説明

プリンタ

【課題】ユーザが無理に印刷用紙を引き抜いても、用紙種類判別センサーを保持するための部材が損傷しないプリンタを提供する。
【解決手段】プリンタは、筐体1内に設けられた給紙トレイ2と、給紙トレイ2上において搬送される用紙の種類を検出する用紙種類判別センサー300と、用紙種類判別センサー300を保持し、筐体1に対して回転可能に固定されたセンサー保持部材30と、センサー保持部材30の回転を抑制する回転抑制部材220とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙の種類を判別する用紙種類判別センサーを備えたプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、用紙の種類を判別する用紙種類判別センサーを備えたプリンタが用いられている。以下、図6を用いて、従来の用紙種類判別センサーを備えたプリンタを説明する。
【0003】
従来のプリンタは、筐体1を備えている。筐体1内には、可動式の給紙トレイ2と左右一対の側板3とが設けられている。給紙トレイ2と側板3とによって、給紙口4が形成されている。給紙口4内には、給紙ローラ5が配置されている。給紙口4と排紙口6との間には、送りローラ7、印刷部8、および排紙ローラ9が設けられている。給紙ローラ5、送りローラ7、および排紙ローラ9は、駆動モータ10によって駆動される。なお、図6において、押さえローラ23および24が、それぞれ、送りローラ7および排紙ローラ9に印刷用紙12を押し付けている。前述のような構成によって、プリンタ用紙送り機構が構成されている。
【0004】
また、従来のプリンタにおいては、左右の側板3のそれぞれにセンサー支持シャフト64が固定されている。センサー支持シャフト64に印刷用紙12の種類を判別する用紙種類判別センサー300が取付けられている。また、用紙種類判別センサー300は、センサー支持シャフト64およびスプリング等によって支持されており、印刷用紙12の印刷面に沿うように、僅かに回転可能である。
【0005】
また、図6に示すように、従来の用紙種類判別センサーを備えたプリンタは、スプリング等の機能によって、印刷用紙12に給紙ローラ5を押し付けた状態で、給紙ローラ5を回転させることにより、印刷用紙12を送り出す。なお、用紙種類判別センサー300は、発光部32および受光部33を有している。
【0006】
前述の従来のプリンタによれば、印刷用紙12の種類が判別されるときには、まず、用紙種類判別センサー300の発光部32から印刷用紙12に光が照射される。それにより、光は、印刷用紙12によって反射され、受光部33に入射される。受光部33は、入射された光の強度に応じた信号を、図示しない判別部に伝送する。判別部では印刷用紙12の種類が判別される。その後、判別結果に基づいて、図示しない制御部が、印刷用紙12に応じた印刷条件、たとえば、色の濃さを設定し、印刷部8等を制御する。その結果、印刷用紙12には、その種類に応じた最良の印刷条件で印刷が行なわれる。
【特許文献1】特開2005−22122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来のプリンタによれば、印刷用紙12が給紙トレイ2上を搬送されるときに、印刷用紙12の詰まりが生じ、印刷用紙12を搬送方向とは逆に引き抜かなければならない場合がある。この場合、ユーザが印刷用紙12を引き抜くと、用紙種類判別センサー300は、印刷用紙12が引き抜かれる方向に、センサー支持シャフト64まわりに回転してしまう。このとき、ユーザが無理に印刷用紙12を引き抜くと、センサー支持シャフト64が損傷してしまう。
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザが無理に印刷用紙を引き抜いても、用紙種類判別センサーを保持するための部材が損傷しないプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプリンタは、筐体内に設けられた給紙トレイと、給紙トレイ上において搬送される用紙の種類を検出する用紙種類判別センサーと、用紙種類判別センサーを保持し、筐体に対して回転可能に固定されたセンサー保持部材と、センサー保持部材の回転を抑制する回転抑制部材とを備えている。また、回転抑制部材が、筐体の上蓋に一体成形され、かつ、上蓋の主表面から垂直方向に延びるリブである。また、回転抑制部材とセンサー保持部材と間には隙間が形成されている。
【0010】
上記のプリンタによれば、以下のプリンタによって得られる効果のすべてを得ることができる。
【0011】
本発明のプリンタは、筐体内に設けられた給紙トレイと、給紙トレイ上において搬送される用紙の種類を検出する用紙種類判別センサーと、用紙種類判別センサーを保持し、筐体に対して回転可能に固定されたセンサー保持部材と、センサー保持部材の回転を抑制する回転抑制部材とを備えている。
【0012】
上記の構成によれば、用紙の引き抜きに起因した強制的な逆回転によって、センサー保持部材が損傷することが防止される。
【0013】
また、前述の回転抑制部材が筐体の上蓋に一体成形されていれば、製造工程を増加させることなく、プリンタに回転抑制部材を付加することができる。
【0014】
また、回転抑制部材が上蓋の主表面から垂直方向に延びるリブであれば、回転抑制部材が塊状である場合に比較して、回転抑制部材の成形後の形状が良好になる。
【0015】
また、回転抑制部材とセンサー保持部材と間に隙間が形成されていれば、センサー保持部材の僅かな動きが許容されるため、用紙の搬送がスムーズに行なわれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態のプリンタを説明する。なお、本実施の形態のプリンタの基本的構成は、前述の従来のプリンタの基本的構成と同様であるため、特に必要がなければ、その説明は繰り返さない。
【0017】
本実施の形態のプリンタにおいては、図1に示されるように、筐体1内に給紙トレイ2が設けられている。給紙トレイ2に沿って、印刷用紙12が、ユーザによって、給紙口4から矢印Pで示す方向にプリンタ内へ挿入される。プリンタ内へ挿入された印刷用紙12は、センサー保持部材30と給紙トレイ2との間の隙間に挿入される。このとき、センサー保持部材30は、弾性部材(たとえば、スプリング)によって支持されているため、印刷用紙12を給紙トレイ2に対してある程度押し付ける。
【0018】
その後、印刷が開始されるときには、印刷用紙12は、従来技術において説明された給紙ローラ5等の回転によって、給紙トレイ2上において搬送され、従来技術で説明された印刷部8へと引き込まれる。印刷用紙12の搬送中において、印刷用紙12に向けて、発光部32から光が出射される。その光を印刷用紙12が反射する。反射された光は、受光部33によって受け取られる。受光部33が受けた光の強度に応じて、制御部は、印刷用紙の種類を判別する。また、前述の用紙種類判別センサー300は、センサー保持部材30によって保持されている。センサー保持部材30は、センサー支持シャフト64周りに回転可能にスプリング等の弾性体によって支持されている。センサー支持シャフト64は筐体1に固定されている。
【0019】
一方、プリンタは、図1に示すように、上蓋120を備えている。上蓋120は、筐体1に対して、開閉可能に取付けられている。上蓋120は、プラスチック成型品である。また、図2および図3に示すように、上蓋120の内側であって、センサー保持部材30の回転経路において、センサー保持部材30の回転を抑制する回転抑制部材220が設けられている。この回転抑制部材220は、筐体1の上蓋120に一体成形されており、上蓋120の主表面から垂直方向に延びるリブである。ただし、図4に示すように、回転抑制部材220とセンサー保持部材30と間には隙間Xが形成されている。
【0020】
上記本実施の形態のプリンタにおいては、図5に示すように、ユーザが、印刷用紙12を矢印Kで示す方向に引き抜こうとしたときに、印刷用紙12とセンサー保持部材30との間の摩擦力によって、センサー保持部材30が逆向き(図5において矢印Rで示す向き)に回転する回転力がセンサー保持部材30に加えられる。しかしながら、センサー保持部材30の回転は、回転抑制部材220によって拘束されているため、センサー保持部材30のセンサー支持シャフト64に無理な逆回転力が加えられることが防止されている。したがって、センサー保持部材30のセンサー支持シャフト64が、ユーザの無理な印刷用紙12の引き抜きによって損傷することが防止されている。
【0021】
また、前述の回転抑制部材220が筐体の上蓋120に一体成形されている。そのため、回転抑制部材220がプリンタに付加されても、回転抑制部材220が上蓋120の一部になるような設計がなされてさえいれば、製造工程を増加させることなく、プリンタに回転抑制部材220を付加することができる。また、回転抑制部材220が上蓋120の主表面から垂直方向に延びるリブである。そのため、回転抑制部材220が塊状である場合に形成されるような上蓋120の表面の傾斜が発生しない。そのため、回転抑制部材220が成形された後の形状が良好になっている。
【0022】
また、回転抑制部材220とセンサー保持部材30と間に隙間Xが形成されているため、センサー保持部材30の僅かな動きが許容される。その結果、印刷用紙の搬送がスムーズに行なわれる。
【0023】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態の用紙種類判別センサーを備えたプリンタの概略構成図である。
【図2】実施の形態のプリンタの上蓋の斜視図である。
【図3】実施の形態のプリンタの上蓋に設けられた回転抑制部材の拡大図である。
【図4】実施の形態のプリンタのセンサー保持部材の通常の状態を示す図である。
【図5】実施の形態のプリンタのセンサー保持部材の印刷用紙が引き抜かれているときの状態を示す図である。
【図6】従来の用紙種類判別センサーを備えたプリンタの概略構成図である。
【符号の説明】
【0025】
1 筐体、2 給紙トレイ、3 側板、4 給紙口、5 給紙ローラ、6 排紙口、7 ローラ、8 印刷部、9 排紙ローラ、10 駆動モータ、12 印刷用紙、22 ローラ、30 センサー保持部材、32 発光部、33 受光部、64 センサー支持シャフト、120 上蓋、220 回転抑制部材、300 用紙種類判別センサー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に設けられた給紙トレイと、
前記給紙トレイ上において搬送される用紙の種類を検出する用紙種類判別センサーと、
用紙種類判別センサーを保持し、前記筐体に対して回転可能に固定されたセンサー保持部材と、
前記センサー保持部材の回転を抑制する回転抑制部材とを備え、
前記回転抑制部材が前記筐体の上蓋に一体成形され、かつ、前記上蓋の主表面から垂直方向に延びるリブであり、
前記回転抑制部材と前記センサー保持部材と間に隙間を有する、プリンタ。
【請求項2】
筐体内に設けられた給紙トレイと、
前記給紙トレイ上において搬送される用紙の種類を検出する用紙種類判別センサーと、
用紙種類判別センサーを保持し、前記筐体に対して回転可能に固定されたセンサー保持部材と、
前記センサー保持部材の回転を抑制する回転抑制部材とを備えた、プリンタ。
【請求項3】
前記回転抑制部材が前記筐体の上蓋に一体成形された、請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記回転抑制部材が前記上蓋の主表面から垂直方向に延びるリブである、請求項3に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記回転抑制部材と前記センサー保持部材と間に隙間が形成されている、請求項2に記載のプリンタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−119162(P2007−119162A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312807(P2005−312807)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【出願人】(591194034)レックスマーク・インターナショナル・インコーポレーテツド (142)
【氏名又は名称原語表記】LEXMARK INTERNATIONAL,INC
【Fターム(参考)】