説明

プリンタ

【課題】 リボンカセットをプリンタのカセット装着部に正しく装着する作業を簡便に行なうための機構を備えたプリンタを提供すること。
【解決手段】インクリボン18の幅方向に延在させた開口部11bが形成されたガイド部材11を、リボンカセット21の開孔部21fを挿通して、プリンタ1の印刷待機時にプラテン3から所定量離間させた位置と、プリンタ1の印刷実行時にサーマルヘッド4の複数の発熱素子を前記開口部11bからプラテン3に圧接可能となるようにプラテン3に近接させた位置との間を移動可能に配設し、リボンカセット装着時においては、このガイド部材11を前述のプリンタ1の印刷待機時におけるプラテン3から所定量離間させた位置に位置させ、リボンカセット1の装着用の案内部材として利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリンタの筐体に形成されたカセット挿入部からリボンカセットを挿入することにより、前記リボンカセットをプリンタ内のカセット装着部に装着するプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プリンタの筐体に形成されたカセット挿入部から、所望のインクリボンを収納したリボンカセットを挿入することにより、前記リボンカセットをプリンタ内のカセット装着部に装着し、所望の印刷データの記録を行なう構成のプリンタが利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記プリンタは金属板からなる筐体を有し、この筐体には、プラテンローラに対してヘッドアップ/ダウン可能にラインヘッドからなるサーマルヘッドを下部側に取り付けたヘッド取付台が配設されている。また、前記筐体の前側壁には、プリンタ内のカセット装着部にリボンカセットを先端側から挿入可能な略めがね状の挿入口が形成されている。そして、前記前側壁の外面には、リボンカセットの後端側の位置決めを行うための第1および第2位置決めピンが所定のピッチ寸法で立設されている。また、前記前側壁には、リボンカセットをカセット装着部内に挿入した状態で固定ロックするための爪部材(係止部材)が配設されている。
【0004】
さらに、前記筐体の後側壁には、プリンタのカセット装着部内に突出し、リボンカセットに収納される送出し軸および巻取り軸にそれぞれ嵌合する送出しボビンおよび巻取りボビンが回転可能に配設されている。そして、前記後側壁の内面には、リボンカセットの先端側の位置決めを行うための第3および第4位置決めピンが所定のピッチ寸法で立設されている。
【0005】
一方、リボンカセットは、カセットケースと、送出し軸と巻取軸とに両端をそれぞれ固着させた状態で巻回される幅広で長尺なインクリボンとから構成されている。前記カセットケースは、円筒状とされ、インクリボンの送出し軸を収納する第1収納部と、同じく円筒状とされ、インクリボンの巻取軸を収納する第2収納部とを有しており、両収納部は一対の連接部材を用いてその端部同士を所定の間隔を以て連接されている。そして、前記カセットケースは、前記第1および第2収納部と一対の連結部材とに囲まれた矩形状の開孔部と、第1および第2収納部の後端側およびこれらの後端側を繋ぐ前記連結部材の一方をそれぞれ連結して一体化した略楕形状の側壁を有している。そして、前記側壁には、リボンカセットの後端側の位置決めを行うための第1および第2位置決め孔が、前記プリンタの第1および第2位置決めピンに対応させて穿設されている。また、前記側壁には、リボンカセットをカセット装着部内に挿入した状態で固定ロックするために、前記爪部材が係止される係止孔(係止部材)が形成されている。
【0006】
また、プリンタのリボンカセット挿入部へ挿入する際に先端側となる前記両収納部の部分にはそれぞれ、その中央部に前記送出し軸および巻取り軸の一端部を嵌着させる開口部が形成された円形状の側壁(先端側側壁)が形成されており、各側壁にはそれぞれ、リボンカセットの先端側の位置決めを行うための第3および第4位置決め孔が、前記プリンタの第3および第4位置決めピンに対応させて穿設されている。
【0007】
そして、前記インクリボンは、前記第1収納部に収納された送出し軸と第2収納部に収納された巻取り軸の間に展張され、その中間部を前記開孔部に露出させるようにして収納されている。
【0008】
そして、前記プリンタにリボンカセットを装着する場合は、リボンカセットをプリンタの前側壁に形成された挿入口からプリンタ内に挿入する。その際、リボンカセットの先端側においては、プリンタに形成された第1および第2位置決めピンに、リボンカセットに形成された第1および第2位置決め孔を係合させつつ、プリンタの送出しボビンおよび巻取りボビンに、リボンカセットの前記各収納部に収納されている送出し軸および巻取り軸を嵌合させる。また、リボンカセットの後端側においては、プリンタに形成された第3および第4位置決めピンに、リボンカセットに形成された第3および第4位置決め孔を係合させ、その状態で、前記側壁に形成された係止部材としての係止孔に、プリンタの前側壁に形成された係止部材としての係止爪を係止させ、プリンタに対するリボンカセットの装着を完了させる。
【0009】
【特許文献1】特開2001−205905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来においては、カセット装着部へリボンカセットを挿入する際に、その挿入経路を案内するためのガイド部材が配設されていなかったため、カセット装着部内を移動するリボンカセットの先端側にブレが生じ、カセット装着部の奥部において、前記第1および第2位置決めピンに、リボンカセットに形成された第1および第2位置決め孔を係合させつつ、プリンタの送出しボビンおよび巻取りボビンにそれぞれ送出し軸および巻取り軸を嵌合させるという作業を簡単に行うことができなかった。
【0011】
また、プリンタのカセット装着部内には、記録に供されたインクリボンと記録用紙とを剥離させる剥離ローラが筐体の側壁に支持されて配設されているが、この剥離ローラがリボンカセットの装着作業を困難なものとすることがあった。
【0012】
そこで、本発明のプリンタは、リボンカセットをプリンタのカセット装着部に正しく装着する作業を簡便に行なうための機構を備えたプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した目的を達成する本発明のプリンタの第1の特徴は、長尺なインクリボンを一端側から巻回した送出し軸を回転可能に収納しインクリボンの引き出し口が形成された円筒状の第1収納部と、他端部側から巻回した巻取り軸を回転可能に収納しインクリボンの巻取り口が形成された第2収納部とを一対の連結部材を介して並設させ、前記第1収納部の引き出し口から導出され前記第2収納部の巻取り口へ回収されるインクリボンの中間部を前記両連接部材間に形成された開孔部に露出させたリボンカセットを、筐体に形成された挿入口からカセット装着部内へ挿入し、前記カセット装着部の奥部に回転可能に配置された送出しボビンおよび巻取りボビンに、それぞれ前記リボンカセットの送出し軸および巻取り軸の一端部を嵌合させて、前記カセット装着部に装着させるプリンタであって、前記インクリボンの幅方向に延在する開口部が形成されたガイド部材が、前記リボンカセットの開孔部を挿通して、プリンタの印刷待機時にプラテンから所定量離間した位置と、プリンタの印刷実行時にサーマルヘッドの複数の発熱素子を前記開口部からプラテンに圧接可能となるように前記プラテンに近接した位置との間を移動可能に配設されている点にある。
【0014】
また、第2の特徴は、前記ガイド部材は、インクリボンの搬送方向における断面形状をプラテンの配設方向とは逆方向に開口するコ字状とされ、その底壁に前記開口部が形成されている点にある。
【0015】
さらに、第3の特徴は、前記ガイド部材には、記録に供されて記録用紙に融着しているインクリボンを剥離可能な剥離ローラが回転自在に支持されている点にある。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の特徴を備えたプリンタによれば、リボンカセットのプリンタに対する装着時に、プラテンから所定量離間させたプリンタの印刷待機時における位置にあるガイド部材を、リボンカセットの挿入を案内する案内部材として利用することができる。具体的には、ガイド部材の前記開口部が形成された壁部に前記リボンカセットの開孔部を沿わせるように挿入することで、リボンカセットのカセット装着部内におけるサーマルヘッドの接離方向(以下、この方向を上下方向とする)の揺れを抑制することができ、カセット装着部の奥部において、送出しボビンおよび巻取りボビンに対する前記リボンカセットの送出し軸および巻取り軸の一端部の嵌合を簡便かつ確実に行なうことが可能となる。
【0017】
また、本発明の第2の特徴を備えたプリンタによれば、前述のように開口部が形成された底壁に前記リボンカセットの開孔部を沿わせるとともに、インクリボンの搬送方向上流側において前記底壁から立設された端壁に、リボンカセットの送出し軸が収納された第1収納部の側壁を沿わせ、インクリボンの搬送方向下流側において前記底壁から立設された端壁に、リボンカセットの巻取り軸が収納された第2収納部の側壁を沿わせるように挿入することで、リボンカセットのカセット装着部内における上下方向の揺れ、およびそれに直交する左右方向の揺れを抑制することができ、カセット装着部の奥部において、送出しボビンおよび巻取りボビンに対する前記リボンカセットの送出し軸および巻取り軸の一端部の嵌合をより簡便かつ確実に行なうことが可能となる。
【0018】
さらに、本発明の第3の特徴を備えたプリンタによれば、剥離ローラがガイド部材とともに上下動することにより、カセット装着部内の定位置に剥離ローラが固定配置された構成のプリンタに比してリボンカセットのカセット装着内への装着作業が簡単となり、リボンカセットのプリンタに対する装着の作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面に基づいて本発明のプリンタの一実施の形態を図1乃至図3に基づいて説明する。
【0020】
本発明のプリンタ1は、図1の正面図に示すように、金属板からなる筐体2を有しており、その前側壁2aには、プリンタ1内のカセット装着部22にリボンカセット21を先端側から挿入可能な略めがね状の挿入口2bが形成されている。そして、前記前側壁2aの外面には、リボンカセット21の後端側の位置決めを行うための第1および第2位置決めピン2c、2dが所定のピッチ寸法で立設されている。また、前記前側壁2aには、リボンカセット21をカセット装着部22内に挿入した状態で固定ロックするための爪部材(係止部材)2eが配設されている。
【0021】
さらに、前記筐体2の後側壁2fには、プリンタ1のカセット装着部22内に突出し、リボンカセット21に収納される送出し軸19および巻取り軸20にそれぞれ嵌合する送出しボビン23および巻取りボビン24が回転可能に配設されている。そして、前記後側壁2fの内面には、リボンカセット21の先端側の位置決めを行うための第3および第4位置決めピン2g、2hが所定のピッチ寸法で立設されている。
【0022】
また、筐体2の内部においては、図2および図3の断面図に示すように、前記筐体2の前側壁2aに支持されて回転自在で円柱状のプラテン(以下、プラテンローラ)3が下部側に配設されている。前記プラテンローラ3と対向する上方には、プラテンローラ3の軸方向と平行な長尺状のラインヘッドからなるサーマルヘッド4が配設されている。前記サーマルヘッド4は、プラテンローラ3と対向する側の長手方向に複数の発熱素子(図示せず)が整列形成されて、ヘッド取付台5を介してヘッド支持部材6に取り付けられている。
【0023】
前記ヘッド支持部材6は、ヘッド取付台5を取り付けたヘッド支持部6aと、このヘッド支持部6aから図示右方向にクランク状に延びる延出部6bとが形成され、この延出部6bにサーマルヘッド4の熱を放熱可能なヒートシンク部6cが取り付けられている。また、延出部6bの図示右側端部には、下向きに支持腕6dが取り付けられ、この支持腕6dが筐体2の側壁に橋渡し支持した支持軸7に回動自在に支持されている。即ち、サーマルヘッド4は、ヘッド支持部材6が支持軸7を支点として回動することで、プラテンローラ3に接離(ヘッドダウン/ヘッドアップ)可能になっている。また、ヘッド支持部材6のヘッド支持部6aには、第1コイルバネ8の下端側が支持されている。 前記第1コイルバネ8の上端側は、圧接部材9の圧接板9aに弾性付勢している。前記圧接部材9は、一端部側にサーマルヘッド4の長手方向と平行な長尺状に形成された圧接板9aを有し、この圧接板9aの両端部が一対の回動アーム9bの一端部側に一体形成されている。また、回動アーム9bの他端側が支持軸7に支持されており、回動アーム9bが支持軸7を支点として回動することで圧接板9aが上下動するようになっている。
【0024】
前記圧接部材9は、回動アーム9bの一部を切り起こして係支部9cが形成され、この係支部9cにヘッド支持部材6の延出部6bが係支されている。そして、図示を省略した弾性部材によって、圧接部材9が常に上方に弾性付勢されているので、後述するカム部材10による圧接板9aの圧接が解除されると、ヘッド支持部材6と圧接部材9とは、支持軸7を支点として上方に回動し、サーマルヘッド4がヘッドアップするようになっている。また、圧接部材9は、前側壁2aに支持した支持軸10aに回動可能に支持したカム部材10に圧接板9aが押圧されることで上下動可能になっている。
【0025】
そして、本実施形態においては、サーマルヘッド4を取り付けたヘッド取付台5を囲むように、ヘッド支持部材6と別体のガイド部材11が配設されている。ガイド部材11は、後述するリボンカセット21に形成された矩形状の開孔部21fの内径寸法よりも一回り小さく、前記開孔部21fを上下に挿通可能な寸法とされた底壁11dと、その底壁11dのインクリボン18の搬送方向に位置する端辺に立設された一対の端壁11e、11fと、底壁の側片に立設された不図示の一対の側壁を備え、インクリボン18の搬送方向における断面形状をプラテンの配設方向とは逆方向に開口するコ字状に形成されている。そして、前記底壁11dと一対の端壁11e、11fおよび一対の側壁からなる空洞部11aに、サーマルヘッド4のサーマルヘッド取付台5が位置するように配設されている。また、前記底壁11dには、インクリボン18の幅方向に延在し、サーマルヘッド4の複数の発熱素子を露出させる開口部11bが形成されている。
【0026】
また、ガイド部材11の図示左下端部には、剥離ローラ11cが回転自在に支持されて、印刷時に後述する記録用紙17に融着したインクリボン18を剥離可能になっている。さらに、ガイド部材11の空洞部11a内で開口部11bの図示左側(後述する記録用紙17の矢印Cの給紙方向におけるサーマルヘッド4より下流側)には、光学式のリボンセンサ12が配設され、このリボンセンサ12によって、後述するインクリボン18のインク面を検出して印刷開始位置に位置合わせ可能なリボン頭出しが可能になっている。
【0027】
そして、前記ガイド部材11は、図示を省略した弾性部材によってプラテンローラ3から離間する方向の上方に常に弾性付勢されており、サーマルヘッド4がヘッドアップ状態の印刷待機時においては、図2に示すように、ガイド部材11もプラテンローラ3から所定量上昇するようになっている。このようなガイド部材11は、後述するリボンカセット21の開孔部21fを挿通して、カム部材10を駆動する同一の駆動源によって独立して上下動し、プリンタ1の印刷待機時すなわちヘッドアップ状態における、プラテンローラ3から所定量離間させた位置(図2参照)と、プリンタ1の印刷実行状態、すなわちヘッドダウン状態における、サーマルヘッド4の複数の発熱素子を前記開口部11からプラテンローラ3に圧接可能に前記プラテンローラ3に近接させた位置(図3参照)との間を移動可能とされている。
【0028】
プラテンローラ3の図示右側には、第1紙送りローラと、これに圧接する第1圧接ローラ(いずれも不図示)とが配設されている。また、プラテンローラ3の図示左側には、図示しない駆動源の駆動力により正逆回転可能とされた第2紙送りローラ13と、レバー14を介して第2コイルバネ15の付勢力で第2紙送りローラ13に圧接して従動する第2圧接ローラ16とが配設されている。また、ヘッドアップ状態のサーマルヘッド4とプラテンローラ3との間には、印刷可能な印画紙等の厚紙からなる記録用紙17が、前記第1紙送りローラと、これに圧接する第1圧接ローラとによって矢印C方向に給紙されて、第2紙送りローラ13と第2圧接ローラ16に圧接挟持されるようになっている。そして、第2紙送りローラ13と第2圧接ローラ16とに圧接挟持した記録用紙17は、第2紙送りローラ13の回転で、矢印C方向及びこれと反対方向の矢印D方向に搬送可能になっている。前記プラテンローラ3とサーマルヘッド4との間に給紙されて矢印C方向に搬送される記録用紙17は、第2紙送りローラ13と圧接ローラ14とに圧接挟持された前端部17aを、プラテンローラ3の記録用紙17の正搬送時における搬送方向上流側に配設された不図示の用紙センサが検出して頭出しが行われると、第2紙送りローラ13の回転が一時的に停止するようになっている。
【0029】
また、ヘッドアップ状態のサーマルヘッド4とプラテンローラ3との間で、記録用紙17の上部側には、インクリボン18が引き回しされている。
【0030】
前記インクリボン18は、幅寸法が記録用紙17の幅寸法より若干広く形成されている。そして、インクリボン18の一方の面である図示下面側(記録用紙17との対向面側)には、記録用紙17の印刷範囲より若干長く形成された、例えばイエロ(Y)、シアン(C)、マゼンダ(M)の色のインクが塗布されたインク面が形成されている。
【0031】
前記Cの色のインク面とYの色のインク面との間の透明部分には、2本の黒色のスジからなる第1マーカーが形成され、Yの色のインク面とMの色のインク面との間、及びMの色のインク面とCの色のインク面との間には、それぞれ1本の黒色のスジからなる第2マーカーが形成されている。そして、リボンセンサ12が第1マーカーを検出することにより、最初のYの色のインク面の頭出しが行われるようになっている。また、リボンセンサ12が第2マーカーを検出することにより、M、Cの色のインク面の頭出しが行われるようになっている。前記第1、第2マーカーから、それぞれの色のインク面までの間には透明なスペース部が形成されている。前記スペース部の寸法は、サーマルヘッド4の発熱素子からリボンセンサ12までの寸法より若干小さく形成されている。
【0032】
そして、インクリボン18は、広幅長尺な両端部が送出し軸19と巻取り軸20とに両端からそれぞれ巻回されて、リボンカセット21に収納されている。
【0033】
前記リボンカセット21は、未使用のインクリボン18を巻回した状態の送出し軸19を収納する第1収納部21aと、使用済みのインクリボン18を巻回可能な巻取り軸20を収納する第2収納部21bとが形成されている。そして、第1、第2収納部21a、21bは、一対の連接部材21cを用いてその端部同士を所定の間隔を以て並行に連結されている。
【0034】
また、リボンカセット21には、第1収納部21aの連結部材21c側に、送出し軸19に巻回したインクリボン18を引き出し可能な引き出し口21dが形成されると共に、第2収納部21bの連結部材21c側に、巻取り口21eが形成されている。
【0035】
そして、第1、第2収納部21a、21b間には、前記第1収納部21aの引き出し口21dから導出され前記第2収納部21bの巻取り口21eへ回収されるインクリボン18を露出させる開孔部21fが形成されており、本実施形態において、前記開孔部21fは、上下動するガイド部材11をも挿通可能に形成されている。
【0036】
そして、前記リボンカセット21は、前記第1および第2収納部21a、21bと一対の連結部材21cとに囲まれた矩形状の開孔部21fと、第1および第2収納部21a、21bの後端側およびこれらの後端側を繋ぐ前記連結部材21cの一方をそれぞれ連結して一体化した不図示の略楕形状の側壁を有している。そして、前記側壁には、リボンカセット21の後端側の位置決めを行うための第1および第2位置決め孔(いずれも不図示)が、前記プリンタ1の第1および第2位置決めピン2c、2dに対応させて穿設されている。また、前記側壁には、リボンカセット21をカセット装着部22内に挿入した状態で固定ロックするための、不図示の前記爪部材が係止する係止孔(係止部材)が形成されている。
【0037】
また、プリンタ1のリボンカセット装着部22へ挿入する際に先端側となる前記両収納部21a、21bの部分にはそれぞれ、その中央部に前記送出し軸19および巻取り軸20の一端部を嵌着させる不図示の開口部が形成された円形状の側壁(先端側側壁)が形成されており、各側壁にはそれぞれ、リボンカセット21の先端側の位置決めを行うための不図示の第3および第4位置決め孔が、前記プリンタ1の第3および第4位置決めピン2g、2hに対応させて穿設されている。
【0038】
また、プラテンローラ3と第2紙送りローラ13との間における記録用紙17の搬送経路には、搬送される記録用紙17が下方に撓むのを防止するようにガイド可能な用紙ガイド23が配設され、この用紙ガイド23には、例えば表面が光沢のある鏡面仕上げされて反射面となった反射板23aが接着剤等で固着されている。
【0039】
ここで、このような構成の本実施形態のプリンタ1に対するリボンカセット21の装着方法を説明すると、本実施形態のプリンタ1においては、前記ガイド部材11をリボンカセット21の挿入を案内する案内部材として利用する。
【0040】
すなわち、サーマルヘッド4をヘッドアップすると共に、ガイド部材11を上昇させ、ガイド部材11の開口部11bが形成された壁部にリボンカセット21の開孔部21fを沿わせるとともに、インクリボンの搬送方向上流側において前記底壁11dから立設された端壁11eに、リボンカセット21の送出し軸19が収納された第1収納部21aの側壁を沿わせ、インクリボンの搬送方向下流側において前記底壁11dから立設された端壁11fに、リボンカセット21の巻取り軸20が収納された第2収納部21bの側壁を沿わせるように挿入し、リボンカセット21を筐体2内部に形成したカセット装着部22に装着する。
【0041】
その際、リボンカセット21の先端側においては、プリンタ1に形成された第1および第2位置決めピン2c、2dに、リボンカセット21に形成された第1および第2位置決め孔を係合させつつ、プリンタ1の送出しボビン23および巻取りボビン24に、リボンカセット21の前記各収納部21a、21bに収納されている送出し軸19および巻取り軸20を嵌合させる。また、リボンカセット21の後端側においては、プリンタ1に形成された第3および第4位置決めピン2g、2hに、リボンカセット21に形成された第3および第4位置決め孔を係合させ、その状態で、前記側壁に形成された係止部材としての係止孔に、プリンタ1の前側壁2aに形成された係止部材としての係止爪2eを係止させ、プリンタ1に対するリボンカセット21の装着を完了させる。
【0042】
このように、本実施形態のプリンタ1においては、ガイド部材11の底壁11dをリボンカセット装着の際の案内部材として利用することで、リボンカセット21のカセット装着部22内における上下方向の揺れを抑制することができ、さらに、ガイド部材11の前記底壁11dに立設された端壁11e、11fを案内部材として利用することで、リボンカセット21のカセット装着部22内における左右方向の揺れを抑制することができる。よって、カセット装着部22の奥部において、送出しボビン23および巻取りボビン24に対する前記リボンカセット21の送出し軸19および巻取り軸20の一端部の嵌合を簡便かつ確実に行なうことが可能となる。なお、本実施形態においては、剥離ローラ11dがガイド部材11とともに上下動する構成とされているので、カセット装着部22内の定位置に剥離ローラが支持された構成のプリンタに比して、リボンカセット21のカセット装着22内への装着作業が簡単となり、作業性を向上させることができる。
【0043】
また、このような構成の本発明のプリンタ1の動作を以下に簡単に説明する。
【0044】
まず、印刷待機時である初期状態においては、サーマルヘッド4ヘッドアップ状態となっていると共、ガイド部材11が上昇してプラテンローラ3から離間をしている。このような印刷待機時である初期状態において、まず、巻取り軸20を回転してインクリボン18を巻取って、第1マーカーをリボンセンサ12が検出して最初のY色のインク面の頭出しを行う。その後、初期状態のサーマルヘッド4およびガイド部材11と、プラテンローラ3との間に、図示右側から矢印C方向に給紙して記録用紙17の前端部17aを第2紙送りローラ13と第2圧接ローラ16とに圧接挟持して、記録用紙17の頭出しを行う。
【0045】
そして、記録用紙17及びインクリボン18の頭出しが行われると、カム部材10を回動させて、圧接部材9の圧接板9bを下方に押し下げると、第1コイルバネ8を介してヘッド支持板6が下方に回動して、サーマルヘッド4のヘッドダウンが開始される。 同時に、ガイド部材11が独立して降下し、サーマルヘッド4がプラテンローラ3に圧接する前に、ガイド部材11の下面が記録用紙17を押圧して、プラテンローラ3の外周面に確実に密着させる。そのために、記録用紙17に反り等があったとしても、反りのある記録用紙17をガイド部材11で確実にプラテンローラ3に押し付けることができる。前記ガイド部材11の降下後に、ヘッドダウンするサーマルヘッド4が、インクリボン18と記録用紙17とをプラテンローラ3に圧接する。
【0046】
そして、サーマルヘッド4の複数の発熱素子を印刷情報に基づいて選択的に発熱させると共に記録用紙17を矢印C方向に搬送することにより、記録用紙17に、インクリボン18の最初のYの色のインク面のインクが転写されて記録用紙17にYの色の画像が印刷される。その後、サーマルヘッド4をヘッドアップさせると共に、ガイド部材11を上昇させて、記録用紙17を矢印D方向にバックフィードする。そして、再度記録用紙17の頭出しを行うと共に、サーマルヘッド4をヘッドダウンさせて、Yの色の画像の上にMの色のインク面のインクを印刷することにより、Yの色の画像の上にMの色の画像が重ね印刷される。このような印刷動作を回繰り返すことにより、所望のカラー画像を記録用紙17に印刷することができる。
【0047】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【0048】
例えば、前記ガイド部材は、常時、弾性部材によってプリンタの印刷待機時におけるプラテンから所定量離間させた位置へ付勢されており、ヘッドアップ状態における位置からヘッドダウン状態における位置へ移動するサーマルヘッドを前記空洞ガイド部の下壁に当接させることにより、前記弾性部材の付勢に抗してプラテンに近接させた位置へ移動し、ヘッドダウン状態における位置からヘッドアップ状態における位置へ移動するサーマルヘッドの前記空洞ガイド部の下壁に対する当接を解除させることにより、再び、前記弾性部材の付勢により、プラテンから所定量離間させた位置へ移動するように構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態のプリンタの筐体の要部正面
【図2】本発明の実施形態のプリンタ(リボンカセット装着済み)のヘッドアップ状態を示す要部断面図
【図3】本発明の実施形態のプリンタ(リボンカセット装着済み)のヘッドダウン状態を示す要部断面図
【符号の説明】
【0050】
1 プリンタ
2 筐体
2a 前側板
2b 挿入口
2c 第1位置決めピン
2d 第2位置決めピン
2e 爪部材(係止部材)
2f 後側壁
2g 第3位置決めピン
2h 第4位置決めピン
3 プラテン
4 サーマルヘッド
5 ヘッド取付台
6 ヘッド支持部材
6a ヘッド支持部
6b 延出部
6c ヒートシンク
6d 支持湾
7 支持軸
8 第1コイルバネ
9 圧接部材
9a 圧接板
9b 回動アーム
9c 係止部
10 カム部
10a 支持軸
11 ガイド部材
11a 空洞部
11b 開口部
11c 剥離ローラ
11e (インクリボン搬送方向上流側)端壁
11f (インクリボン搬送方向下流側)端壁
11f 下流側端壁
12 リボンセンサ
13 紙送りローラ
14 レバー
15 第2コイルバネ
16 圧接ローラ
17 記録用紙
18 インクリボン
19 送出し軸
20 巻取り軸
21 リボンカセット
21a 第1収納部
21b 第2収納部
21c 連結壁
21d 引き出し口
21e 巻取り口
21f 開孔部
22 リボンカセット装着部
23 送出しボビン
24 巻取ボビン



【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺なインクリボンを一端側から巻回した送出し軸を回転可能に収納しインクリボンの引き出し口が形成された円筒状の第1収納部と、他端部側から巻回した巻取り軸を回転可能に収納しインクリボンの巻取り口が形成された第2収納部とを一対の連結部材を介して並設させ、前記第1収納部の引き出し口から導出され前記第2収納部の巻取り口へ回収されるインクリボンの中間部を前記両連接部材間に形成された開孔部に露出させたリボンカセットを、筐体に形成された挿入口からカセット装着部内へ挿入し、前記カセット装着部の奥部に回転可能に配置された送出しボビンおよび巻取りボビンに、それぞれ前記リボンカセットの送出し軸および巻取り軸の一端部を嵌合させて、前記カセット装着部に装着させるプリンタであって、
前記インクリボンの幅方向に延在する開口部が形成されたガイド部材が、前記リボンカセットの開孔部を挿通して、プリンタの印刷待機時にプラテンから所定量離間した位置と、プリンタの印刷実行時にサーマルヘッドの複数の発熱素子を前記開口部からプラテンに圧接可能となるように前記プラテンに近接した位置との間を移動可能に配設されていることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記ガイド部材は、インクリボンの搬送方向における断面形状をプラテンの配設方向とは逆方向に開口するコ字状とされ、その底壁に前記開口部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記ガイド部材には、記録に供されて記録用紙に融着しているインクリボンを剥離可能な剥離ローラが回転自在に支持されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−313682(P2007−313682A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−143155(P2006−143155)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】