説明

プリンタ

【課題】 複数のカードスロットが各信号線を共有し、一つのコントローラに接続されているシステムにおいて、常時同時に電圧が供給されている場合、複数のカードが挿入された際に突入電流が流れ、メモリーカードの損傷が発生する。
【解決手段】 カード挿入検知信号をそれぞれ具備し、同時に複数のカードが挿入された際にカードへ供給する電源を落として内蔵データの保護を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
複数のメモリーカードを装着可能なプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年デジタルカメラの普及にあいまって、その出力装置としてのプリンタの普及も進んでいる。
【0003】
デジタルカメラの出力装置としてのプリンタは高画質が要求されるため、インクジェットプリンタまたは昇華型プリンタが使用されることが多い。
【0004】
同時に、デジタルカメラに使用するメモリカードとして、CFカード(COMPACTFLASH(登録商標))、SDカード(SD\Secure Digital(登録商標))、MSカード(MEMORY STICK(登録商標))などがあり、プリンタはその各メモリカードに対応できるように構成することが求められる。
【0005】
特に、SDカードにおいては、SDカード、ミニSDカード、マイクロSDカードなど同系列で複数あり、そのいずれのメモリカードにも対応できるように求められるため、装置内にスロットを複数具備することが多い。
【0006】
そのため、各メモリカード用にコントローラを複数具備することが多く、コストアップの要因になっていた。
【0007】
このような問題点を解決するために、特許文献1に示されるような方法が提案されている。
【0008】
該特許文献においては、装置内に複数のSDカードスロットを具備し、各種信号線を共通にし、クロックラインにセレクタを設けアクセスしたいメモリのみクロックが出力されるようになっている。
【0009】
また、各メモリに供給する電圧はメモリが挿された時点で供給される。
【特許文献1】特開2004−133695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記従来例に示されるようなシステムにおいては、主電源がONのときは各スロットに対して、電力が常時供給されている。従って、メモリカードが挿された時点で電圧がメモリに供給され、メモリへの突入電流が生じ、メモリ内部のデータの損傷などの問題が危惧されている。
【0011】
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、複数のメモリカードスロットを具備したプリンタにおいて、コストアップせずに安定して通信を行うことができるシステムを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本出願に係る第一の発明は複数のカードスロットを有したシステムにおいて、前記複数のカードの信号に接続される信号ラインを共通化する共通化手段と前記複数のカードに対する電源供給手段を複数具備し、前記複数のカードに対して、1つのリードライト制御手段を有したことを特徴としている。
【0013】
また、本発明の他の特徴とするところは、前記複数のスロットに2つ以上のカードが挿入されたとき、信号線を共有しない他のカードへのアクセスを行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、各スロットに対して電圧供給を切替え可能とし、信号を共用することにより、メモリコントローラが一つで安定した通信をおこなうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明の第一の実施例を図1〜図3まで使用し説明する。
【0017】
図1はSDカード周辺の回路であり、本発明の構成を如実に示す図である。図2はプリンタのブロック図であり、図3はメモリカードアクセスのタイムチャートである。
【0018】
説明を分かりやすくするために、図2より説明する。
【0019】
図2において、10はCPU、11はメモリコントローラ、12はSDカード1、13はSDカード用スロット1、14はSDカード2、15はSDカードスロット2、40は共通バスライン、41は入出力制御部、42は入出力I/F、43はLCDドライバ部、44はLCD画面、45はFlashROM、46はRAM、47は操作部、48はCFカードコントローラ、49はCFカードスロット、50はCFカードである。
【0020】
図2において、CPU10は、FlashROM内に格納されている動作プログラムにより各ブロックの動作を司る。ユーザの操作部47を通しての各メモリ(12,14,50)の印画要請または入出力I/F例えばUSBを通してのPCからの印画要請を受けると、CPUは印画動作を開始する。そのシーケンスは、プリンタエンジン51を動作させるとともに、メモリカードまたはI/Fからの画像データをRAM46上に展開し、プリントエンジン部に送信して画像を印画する。
【0021】
また、たとえばSDカード1が挿されたらSDカードコントローラを通じて、画像データを受信し、LCDドライバ部43を駆動し、LCD画面44に表示する。該SDカードのアクセス手段を図1に示す。
【0022】
図1において、10はCPU、11はメモリコントローラ、12はSDカード1、13はSDカード用スロット1、14はSDカード2、15はSDカードスロット2、16はSDカード1用電源供給信号、17はSDカード1用SWFET、18はSDカード1用電源線、19はSDカード2用電源供給信号、20はSDカード2用SWFET、21はSDカード2用電源線、22はSDカード1検知信号、23はSDカード2検知信号、24は4ビットのデータ線、25はコマンド線、26はクロック線である。
【0023】
図1において、SDカードスロット13、15にカードが挿入されていないときには、SDカード用電源供給信号16,19がFALSEになっておおり、FET17、20がONしていないため、3.3Vの電圧がSDカード用電源線18、21に接続されずSDカード13、15には電源が供給されない状態である。このとき、SDカード検知信号22,23はそれぞれCPU10内で3.3V即ちHレベルにプルアップされている(図3-A)。
【0024】
次にSDカードスロット1(13)にSDカード1(12)が挿入されると、SDカード1検知信号22がLレベルに変化し(図3-B)、CPU10はSDカード1(12)が挿入されたことを検知し、SDカード1用電源供給信号16を駆動し(図3-C)、FET17をONし、SDカードスロット1に電圧を供給する(図3-D)。電圧が供給されるとSDカード1はSDカードコントローラ11と通信をはじめ、信号線24、25,26を介してデータの送受を行う(図3-E)。
【0025】
この状況にて、SDカード2(14)が挿入された場合、SDカード2検知信号23がLレベルになり、CPU10はSDカード2(14)が挿入されたことを検知する(図3-F)。しかし、すでにSDカード1が挿入されているので、電源供給線19はONしない。したがって、FET20がONせず、SDカード2には電源が供給されない。しかしながら、SDカード1と信号線23、24,25が共通になっているため、SDカード1の通信結果に影響を与えるため、CPU10はSDカード1との通信を一時停止し、SDカード1への電源供給を停止する。SDカード2の抜き取りを要請をユーザに行う。SDカード2が抜かれたらふたたび、SDカード1との通信を一時停止したアドレスから再開する。
【0026】
SDカード2が挿入されていて、後からSDカード1が挿入された場合も同様にCPU10はSDカード2との通信を一時停止し、SDカード1が抜かれた際にSDカード2との通信を一時停止したアドレスから再開する(図3-H)。このように、電源供給SW FETを各スロットに具備し、SDカードを挿入されてから、電圧を供給する構成にすれば、挿入された際のSDカードへの突入電流を防止、安定した通信を提供できる。
【実施例2】
【0027】
本発明第2の実施例を図2、図4、図5に示す。
【0028】
図2において、SDカードスロット1(13)にSDカード1(12)が挿入され、CFカードスロット49にCFカード50挿入された状態であるとする。そのとき、SDカードが優先であるシステムなため、CPUはSDカードコントローラ11を通じてSDカード1の内容を読み取る。その後、SDカードスロット2(15)にSDカード2(14)が挿入された場合を想定する。前実施例においては、CPU10からのSDカード1(12)へのアクセスを一時していた。本実施例ではそれを更に改良したものである。以下、図4を用いて説明する。図4は図2のCPU10に格納されるシーケンスプログラムのフローチャートである。
【0029】
図4において、S61でSDカード1を挿入されたあと、S62で電源供給、S63でSDカード1初期化、S64でSDカード初期化され、その後S65でCFカードが挿入される。その際、図2に示されるようにSDコントローラ11とCFコントローラ48が別構成であるため、CFカードが挿されたことによるSDカードへの影響はない。その後S66でSDカード2が挿入されると、前実施例で説明したように、SDカード1への電源供給がOFFされる。S67でLCDに図5に示されるような警告画面を表示する。そして、S69で所定時間例えば、1分待機し、S70でユーザがSDカード2を抜いたかどうかを検査し、抜いていればS71でSD1への再アクセスを行い、抜いていなければS72でCFカードへのアクセスを行う。
【0030】
以上、説明したようにSDカード1,SDカード2が挿入されたときに、CFカードへのアクセスに切り替えることにより、使い勝手のよいメモリインターフェースになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1の実施例に係る発明の構成を説明する図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置のシステムブロックを説明する図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係るタイムチャートを説明する図である。
【図4】本発明の第2の実施例に係るフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施例に係る警告画面である。
【符号の説明】
【0032】
10 CPU
11 メモリコントローラ
12 SDカード1
13 SDカード用スロット1
14 SDカード2
15 SDカードスロット2
40 共通バスライン
41 入出力制御部
42 入出力I/F
43 LCDドライバ部
44 LCD画面
45 FlashROM
46 RAM
47 操作部
48 CFカードコントローラ
49 CFカードスロット
50 CFカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカードスロットを有したプリンタにおいて、
前記複数のカードの信号に接続される信号ラインを共通化する共通化手段と前記複数のカードに対する電源供給手段を複数具備し、
前記複数のカードに対して、1つのリードライト制御手段を有したことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記複数のスロットに2つ以上のカードが挿入されたとき、挿入されている全てのカードに対する電源供給を停止することを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記複数のスロットに2つ以上のカードが挿入されたとき、信号線を共有しない他のカードへのアクセスを行うことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−33247(P2010−33247A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193531(P2008−193531)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】