説明

プリントカートリッジを含むインクジェット印刷システム

プリントカートリッジを固定するよう構成されたインクジェットプリンタ装置であり、プリントカートリッジは、頂部開口を有する開放型の容器(12)と、容器内の多孔性インク吸収体(26)と、多孔性インク吸収体とインク連絡するプリントヘッド(28)と、容器を閉塞するために、頂部開口の上方で、容器上に位置するよう構成された頂部カバー蓋(32)と、カバー蓋が容器上に位置するときに、多孔性インク吸収体より上で、水平向きに長手方向に延在するよう頂部カバー蓋上に取り付けられたインク導管針(34)とを含むことによって、プリントインク(38)が、重力の力によって、インク導管針から多孔性インク吸収体(26)上に、及び、多孔性インク吸収体から垂直に下方にプリントヘッドまで自由に降下し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ねインクジェット印刷に関し、より詳細には、インクジェットプリンタ内にプリントカートリッジを固定するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタは周知である。インクジェットプリンタの1つの一般的な種類は、インクジェットプリンタ内の走査キャリッジに装着される交換可能なプリントカートリッジを使用する。走査キャリッジは、キャリッジ上のプリントヘッドを用いて、シート上に帯状のインクを印刷するために紙シートに亘って走査する。
【0003】
1991年10月5日に出願され且つ1993年4月20日に公開された従来技術の日本出願番号第03−285746号(公開番号第05−096744号)は、1つの実施態様において、スポンジのような多孔性インク吸収体と、多孔性インク吸収体とインク連絡しているプリントヘッドとを有するプリントカートリッジを開示している。プリントカートリッジは、インク供給体をプリントカートリッジのネスト内に垂直に降ろすことによって、プリントインクで再充填される。ネストの底部で直立したインク導管針が、インク供給体の底部で隔壁に垂直に貫通している。これはプリントインクがプリントカートリッジ内の毛管を通じてインク供給体から多孔性インク吸収体に流れるのを可能にする。
【0004】
1999年11月9日に発効した従来技術の米国特許第5,980,032号は、走査キャリッジ上のストール内に垂直に降ろされる交換可能なプリントカートリッジを含むインクジェットプリンタを開示している。プリントカートリッジがストール内に押し込まれると、キャリッジ上のインク導管針が走査キャリッジ上の直立隔壁を垂直に貫通する。これは隔壁と走査キャリッジから分離された固定インク供給源との間を相互接続する可撓なインク配管がプリントインクをプリントカートリッジに流すのを可能にする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は従来技術の問題点を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
プリントカートリッジを固定するためのインクジェットプリンタ装置であって、プリンタカートリッジは、
頂部開口を有する開放型の容器と、
容器内の多孔性インク吸収体と、
多孔性インク吸収体とインク連絡するプリントヘッドと、
容器を閉塞するために、頂部開口の上方で、容器上に位置するよう構成された頂部カバー蓋と、
カバー蓋が容器上に位置するときに、多孔性インク吸収体より上で、水平向きに長手方向に延在するよう、カバー蓋上に取り付けられたインク導管針とを含むことによって、
プリントインクが、重力の力によって、インク導管針から前記多孔性インク吸収体(26)上に、及び、多孔性インク吸収体から垂直に下方にプリントヘッドまで自由に降下可能であり、
当該装置は、
可撓な隔壁と、
隔壁へのインク配給接続と、
頂部カバー蓋上に取り付けられたインク導管針が隔壁を通じて水平に挿入され或いは隔壁を水平に貫通するよう、プリントカートリッジを実質的に水平方向に収容するためのストールと、
プリントカートリッジがストール内に収容されるときに、プリントカートリッジをカバーするために移動可能に閉塞され、且つ、インク導管針が隔壁から取り外されないことを保証するために、プリントカートリッジをストール内の所定位置に固定するよう構成されたカバードアとを含む。
【0007】
プリントカートリッジ上の対応する回路と接続するよう、電気回路がストール内に位置するのが好ましい。この場合には、プリントカートリッジ上の対応する回路がストール内の電気回路から分離されえ得ないことを保証するために、カバードアはプリントカートリッジをストール内の所定位置に固定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明はインクジェットプリンタに具現化されるものとして描写されている。そのようなプリンタの機能は一般的に既知であるので、以下の詳細な記載は、本発明の一部を構成する或いは本発明と協働する素子のみに向けられている。しかしながら、記載されていない他の素子は、当業者に既知の多様な形態を取り得ることが理解されるべきである。
【0009】
プリントカートリッジ
図1、2、及び、5は、プリントカートリッジ10を示している。
【0010】
プリントカートリッジ10のボックス状の容器12は、一組の平面的な側壁14,16と、一組の平行な平面的な端壁18,20と、段付き底壁22とを有する。頂壁はなく、よって、図1に示されるような長方形状の頂部開口24がある。
【0011】
図1及び5に示されるように、フォーム又はスポンジ塊のような多孔性インク吸収体26が、容器の側壁、端壁、底壁14,16,18,20,22に当接し、且つ、容器の頂部開口24に隣接するよう、容器12内に緊密に嵌合されている。
【0012】
容器12の底壁22内の開口30にあるプリントヘッド28が、容器内の多孔性インク吸収体26と重力流インク連絡している。図1及び5を参照。
【0013】
容器を頂部開口で閉塞するために、頂部カバー蓋32が容器内の頂部開口24の上で容器12上に配置されるよう構成されている。図2及び5を参照。
【0014】
頂部カバー蓋32が、図5に示されるように容器12上に位置するときに、容器内の多孔性インク吸収体26の上方に離間して位置するよう、中空のインク導管針34が、頂部カバー蓋32内に取り付けられている。プリントインクが図5に示されるような最大インクレベル40まで多孔性インク吸収体上に垂直に蓄積するために、これは、プリントインクが、インク導管針34から、容器12内の頂部開口24を通じて、多孔性インク吸収体26上に重力の力によって自由に垂直に降下することを可能にする。頂部カバー蓋32が容12上にあるとき、インク導管針34はインク吸収体26の上方で水平向きに長手方向に延在している。
【0015】
頂部カバー蓋32が容器12上にあるとき、頂部カバー蓋はインク導管針34と多孔性インク吸収体26との間に空気室42を形成している。図5を参照。頂部カバー蓋32は、インク導管針34のための開放シュラウド44も有する。
【0016】
走査キャリッジ
1999年11月9日に発効した従来技術の米国特許第5,980,032号におけるように、紙シート上に帯状のプリントインク38を印刷するために、インクジェットプリンタ内の走査キャリッジ46は、紙シート(図示せず)に亘って走査するために、スライド棒48に沿って移動可能である。図3を参照。
【0017】
走査キャリッジ46は、図3乃至5に示されるように、弾性ゴム製の水平方向に貫通可能な隔壁50と、隔壁のための剛的な管状又は円筒状支持体54と、管状支持体54のための取付支持体又はブラケット56とを含む。隔壁50は、管状支持体54に固定されている。管状支持体54は、取付支持体56内の壁孔58を通じて長手方向に延び、C形状締結クリップ60を介して取付支持体に固定されている。図4を参照。取付支持体56は、走査キャリッジの各孔(図示せず)内に延在する締結戻り止又はクリップ61,61によって、走査キャリッジ46に固定されている。可撓なインク配管64が、一端で管状支持体54に接続され、他端で走査キャリッジ48から分離された固定インク貯蔵部(図示せず)に接続されている。走査キャリッジ48上のストール66が、実質的に水平方向68にプリントキャリッジ10を収容するよう構成され、よって、プリントキャリッジの頂部カバー蓋32内に取り付けられたインク導管針34は、図5に示されるように、隔壁50を通じて水平方向に挿入されるか或いは水平方向に隔壁を貫通する。もし水平方向68がX軸に沿うと考えられるならば、管状支持体54はその軸に沿って固定されるが、Y及びZ軸に沿って僅かに(0.025")調節し得る。インク導管針34が図5に示されるように隔壁50を通じて長手方向に延在するとき、それは管状支持体54の内側のボール復帰ばね72の逆付勢に抗してボール弁70を移動する。ボール弁70は堅く当接する隔壁の一端から移動される。隔壁を通じたインク導管針34の挿入を容易にするために、隔壁50は、針の直径よりも小さな直径を有する隔壁内の事前貫通円筒孔、隔壁内の事前貫通中央スリット、又は、進み圧痕のような、多少の既知の手段(図示せず)を有し得る。針と隔壁との間に空気がないよう、針が隔壁を通じて長手方向に延在するときに、隔壁50が針34をぴったり取り囲むことが重要である。
【0018】
プリントインク38が針に流入し且つ流出し、次に、インク出口開口から、容器12内の頂部開口24を通じて、容器内の多孔性インク吸収体26上に重力降下するために、インク導管針34は、図5に示されるように、インク進入開口74と、インク出口開口76とを有する。次に、プリントインク38は、容器12の底壁22内の底部開口30でプリントヘッド28に流出する。
【0019】
プリントカートリッジ82がストール66内に装着されるときに、走査キャリッジ46のばねパッド80上に支持される可撓な(リボン)電気回路78が、プリントカートリッジ10の容器12の端壁20上の対応する回路82に接触する。図4を参照。プリントカートリッジ10は、容器12上の(少なくとも)3つの基準面D1、D2、及び、D3でストール66内に支持されるのが好ましい。図5を参照。一組のピン83,83が、それらの一端で取付支持体56内の底部孔(図示せず)を通じて突出し、反対側の端部で可撓回路78内の頂部孔85,85内に突出している。
【0020】
図4に示されるようにカバードア84を取付支持体56上に旋回的に支持するために、カバードア84は、取付支持体内のそれぞれの壁孔88,88に突出する同軸の突起86,86を有する。カバードア84が図3において反時計回りに下方に旋回されると、プリントカートリッジ10をストール66内にしっかりと保持又は固定するために、カバードア84は閉塞する。カバードア84はばね付勢されたカートリッジ保持装置90を含み、カートリッジ保持装置は、それぞれのスロット(図示せず)内の同軸ピンによるように、カバードア上に旋回的に支持され、この目的のために、図4中の螺旋状の圧縮ピン92によって反時計回りに付勢されている。カバードア84が図4において旋回されて閉塞されると、保持装置90は、プリントカートリッジ10の頂部カバー蓋32上の傾斜面又は表面に対してしっかりと支持されるようになる。図3を参照。これは頂部カバー蓋32内に取り付けられたインク導管針34が隔壁50から取り外され得ないこと、及び、プリントカートリッジ10が容器12上の基準面D1、D2、及び、D3で支持されることによってストール66内に正しく位置付けられることを保証するよう働く。それは走査キャリッジ46のばねパッド80上に支持された可撓回路78がプリントカートリッジ10上の対応する回路82と接触したままであることも保証する。図4に示されるように、保持装置90は、頂部カバー蓋44上の傾斜面94を補完する傾斜面又は表面96を有する。
【0021】
部品リスト
10 プリントカートリッジ
12 容器
14 側壁
16 側壁
18 端壁
20 端壁
22 底壁
24 頂部開口
26 多孔性インク吸収体
28 プリントヘッド
30 開口
32 頂部カバー蓋
34 インク導管針
38 プリントインク
40 最大インクレベル
42 空気室
44 シュラウド
46 走査キャリッジ
48 スライド棒
50 隔壁
54 管状支持体
56 取付支持体
58 壁孔
60 締結クリップ
61,61 締結戻り止
64 インク配管
66 ストール
68 水平方向
70 ボール弁
72 ボール復帰ばね
74 インク進入開口
76 インク出口開口
78 電気回路
80 ばねパッド
82 対応回路
D1,D2,D3 基準面
83,83 ピン
84 カバードア
85,85 頂部孔
86,86 同軸突起
88,88 壁孔
90 キャリッジ保持装置
92 螺旋状圧縮ばね
94 傾斜面
96 傾斜面
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】プリントカートリッジを示す展開斜視図である。
【図2】組み立てられたプリントカートリッジを示す斜視図である。
【図3】プリントカートリッジを収容するためのストールを含むインクジェットプリンタ走査キャリッジを示す斜視図である。
【図4】プリントインクを、走査キャリッジから分離された固定のインク供給源から、プリントカートリッジに流すための走査キャリッジ上のインク配給組立体と、閉鎖時にプリントカートリッジを走査キャリッジ上の所定位置に固定するカバードアとを示す展開斜視図である。
【図5】プリントカートリッジ及びインク配給組立体を示す側断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂部開口を有する開放型の容器と、
該容器内の多孔性インク吸収体と、
該多孔性インク吸収体とインク連絡するプリントヘッドと、
前記頂部開口で前記容器を閉塞するために、前記頂部開口の上方で、前記容器上に位置するよう構成されたカバー蓋と、
該カバー蓋が前記容器上に位置するときに、前記多孔性インク吸収体より上に離間して位置するよう、前記カバー蓋内に取り付けられたインク導管針とを含むことで、
プリントインクが、前記多孔性インク吸収体上に垂直に蓄積するために、重力の力によって、前記インク導管針から前記多孔性インク吸収体上に自由に降下し得る、
プリントカートリッジ。
【請求項2】
前記カバー蓋が前記容器上に位置するときに、前記カバー蓋は、前記インク導管針と前記多孔性インク吸収体との間に空気室を形成する、請求項1に記載のプリントカートリッジ。
【請求項3】
前記カバー蓋は、前記インク導管針のためのシュラウドを有する、請求項2に記載のプリントカートリッジ。
【請求項4】
前記多孔性インク吸収体は、前記容器内の前記頂部開口に隣接している、請求項1に記載のプリントカートリッジ。
【請求項5】
前記多孔性インク吸収体上に垂直に蓄積する前記プリントインクは、前記頂部開口より下の最大レベルまで蓄積する、請求項4に記載のプリントカートリッジ。
【請求項6】
側壁、前記端壁、及び、前記底壁を有するが、頂部開口があるよう頂壁を有さないボックス状の容器と、
前記側壁、端壁、及び、底壁に当接し、且つ、前記頂部開口に隣接するよう前記容器内に嵌入された多孔性インク吸収体と、
前記底壁内の開口にあり、且つ、前記多孔性インク吸収体とインク連絡するプリントヘッドと、
前記容器を前記頂部開口で閉塞するために、前記頂部開口の上方で、前記容器上に位置するよう構成された頂部カバー蓋と、
該カバー蓋が前記容器上に位置するときに、前記多孔性インク吸収体より上に離間して位置するよう、前記カバー蓋上に取り付けられたインク導管針とを含むことで、
プリントインクが、重力の力によって、前記インク導管針から、前記頂部開口を通じて、前記多孔性インク吸収体上に、及び、前記多孔性インク吸収体から垂直に下方にプリントヘッドまで自由に降下し得る、
プリントカートリッジ。
【請求項7】
プリントカートリッジと、移動可能な走査キャリッジとを含むインクジェットプリントシステムであって、
前記プリントカートリッジは、
(a)頂部開口を有する開放型の容器と、
(b)該容器内の多孔性インク吸収体と、
(c)該多孔性インク吸収体とインク連絡するプリントヘッドと、
(d)前記頂部開口で前記容器を閉塞するために、前記頂部開口の上方で、前記容器上に位置するよう構成されたカバー蓋と、
(e)前記カバー蓋が前記容器上に位置するときに、前記多孔性インク吸収体より上で、水平向きに長手方向に延在するよう、前記カバー蓋上に取り付けられたインク導管針とを含むことで、
プリントインクが、前記多孔性インク吸収体上に垂直に蓄積するために、重力の力によって、前記インク導管針から前記多孔性インク吸収体上に自由に降下可能であり、
前記走査キャリッジは、
(a)可撓な隔壁と、
(b)該隔壁のための支持体と、
(c)前記隔壁に接続された可撓なインク配管と、
(d)前記インク導管針が前記隔壁を通じて水平方向に挿入されるよう、前記プリントカートリッジを実質的に水平方向に収容するためのストールとを含む、
インクジェット印刷システム。
【請求項8】
プリントカートリッジとのインク配給接続をもたらすための装置であって、
前記プリントカートリッジは、
頂部開口を有する開放型の容器と、
該容器内の多孔性インク吸収体と、
該多孔性インク吸収体とインク連絡するプリントヘッドと、
前記容器を閉塞するために、前記頂部開口の上方で、前記容器上に位置するよう構成されたカバー蓋と、
前記カバー蓋が前記容器上に位置するときに、前記多孔性インク吸収体より上で、水平向きに長手方向に延在するよう前記カバー蓋上に取り付けられたインク導管針とを含むことで、
プリントインクが、重力の力によって、前記インク導管針から前記多孔性インク吸収体上に、及び、前記多孔性インク吸収体から垂直に下方にプリントヘッドまで自由に降下可能であり、
当該装置は、
可撓な隔壁と、
該隔壁のための支持体と、
前記インク導管針が前記隔壁を水平方向に貫通するよう、前記プリントカートリッジを実質的に水平方向に収容するためのストールとを含む、
装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−504976(P2007−504976A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526148(P2006−526148)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/028223
【国際公開番号】WO2005/025876
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】