説明

プリントシステム及びプリントプログラム

【課題】 プリントジョブの削除を迅速にかつ確実に行うことができるようにする。
【解決手段】 ホストコンピュータは、削除要求があった場合に、プリントジョブの削除要求を送信する要求送信手段と、削除要求に対する応答を受信する要求応答受信手段と、削除要求に対する応答を受信した場合に、プリントジョブのプリントデータ送信を中止するとともに、ジョブ終了コマンドを送信するジョブ終了処理手段とを備え、印刷装置は、削除要求を受信した場合に、プリント動作中のプリントデータ中のページの切れ目を探索するデータ探索手段と、ページの切れ目が探索できた時点で、プリント動作を停止するとともに、削除要求に対する応答を送信する要求応答送信手段と、ジョブ終了コマンドを受信するまでプリント動作の停止以降に受信したプリントデータを読み飛ばした後に、削除終了通知を送信するジョブ削除手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリントジョブの削除を迅速にかつ確実に行うプリントシステム及びプリントプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ホストコンピュータと印刷装置とからなるプリントシステムにおいて、プリントジョブを削除する場合、サイズの大きいプリントジョブを印刷装置にすべて送信してから削除しようとすると通信量が大きくなったり、印刷装置が受信したジョブを削除する際にジョブを解釈してから削除する場合は削除が終了するまで次のプリントジョブの印刷ができないという問題がある。このような問題を解決するために、印刷装置およびホストコンピュータにてジョブを削除するプリンタ、印刷システムが提案されている。例えば、印刷中にキャンセルが実行されると、ランゲージモニタにてコマンドの切れ目を検知し、キャンセルコマンドをプリンタに送信し、それ以降のデータはホスト側で破壊し、プリンタは、キャンセルコマンドを実行すると印刷を中止し、次の印刷に備えて初期化を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、ホストコンピュータからプリントジョブの中止コマンドを送信すると、印刷装置が既に受信した印刷ジョブを消去し、ホストコンピュータではスプーラに残ったプリントジョブを消去するものも知られている(例えば、特許文献2、3参照)。
【特許文献1】特開2002−222069号公報
【特許文献2】特開2000−148312号公報
【特許文献3】特開2004−127314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、近年のプリントシステムは、スプーラを備えていたり、印刷装置に受信バッファを備えていることが多く、ホストコンピュータと印刷装置が直接接続されていた場合に比べてプリントジョブの状態が多様化しているため、単にプリントジョブの削除要求をホストコンピュータから印刷装置へ送信しても、印刷装置がプリントジョブの状態を認識してジョブの削除処理を行うためには、処理時間が増大するという問題がある。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、プリントジョブの削除を迅速にかつ確実に行うことができるようにするために、ホストからのジョブ削除要求に対して、通信量を増大させないためにホストおよび印刷装置の両方でジョブの削除を行い、さらに、ジョブが中途半端な箇所で切れることがないようにジョブ内の改ページ等の切れ目の判断して、ジョブの削除処理を行うプリントシステム及びプリントプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、作成したプリントデータを含むプリントジョブを送信するホストコンピュータと該プリントジョブに基づいて前記プリントデータの印刷を行う印刷装置とからなるプリントシステムであって、前記ホストコンピュータは、前記プリントジョブの削除要求を監視する要求監視手段と、前記削除要求があった場合に、前記印刷装置に対して、プリントジョブの削除要求を送信する要求送信手段と、前記削除要求に対する応答を前記印刷装置から受信する要求応答受信手段と、前記要求応答受信手段において削除要求に対する応答を受信した場合に、前記プリントジョブのプリントデータ送信を中止するとともに、前記印刷装置に対して、ジョブ終了コマンドを送信するジョブ終了処理手段とを備え、前記印刷装置は、前記ホストコンピュータから前記削除要求を受信する要求受信手段と、前記要求受信手段において、前記削除要求を受信した場合に、プリント動作中のプリントデータ中のページの切れ目を探索するデータ探索手段と、前記ページの切れ目が探索できた時点で、プリント動作を停止するとともに、前記ホストコンピュータに対して、前記削除要求に対する応答を送信する要求応答送信手段と、前記ホストコンピュータからのジョブ終了コマンドを受信するまでプリント動作の停止以降の前記プリントデータを読み飛ばした後に、前記ホストコンピュータに対して、削除終了通知を送信するジョブ削除手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
本発明は、作成したプリントデータを含むプリントジョブを送信するホストコンピュータと該プリントジョブに基づいて前記プリントデータの印刷を行う印刷装置とからなるプリントシステムの前記ホストコンピュータ上で動作するプリントプログラムであって、前記プリントジョブの削除要求を監視する要求監視処理と、前記削除要求があった場合に、前記印刷装置に対して、プリントジョブの削除要求を送信する要求送信処理と、前記削除要求に対する応答を前記印刷装置から受信する要求応答受信処理と、前記要求応答受信処理において削除要求に対する応答を受信した場合に、前記プリントジョブのプリントデータ送信を中止するとともに、前記印刷装置に対して、ジョブ終了コマンドを送信するジョブ終了処理とをコンピュータに行わせることを特徴とする。
【0007】
本発明は、作成したプリントデータを含むプリントジョブを送信するホストコンピュータと該プリントジョブに基づいて前記プリントデータの印刷を行う印刷装置とからなるプリントシステムの前記印刷装置上で動作するプリントプログラムであって、前記ホストコンピュータから前記削除要求を受信する要求受信処理と、前記要求受信処理において、前記削除要求を受信した場合に、プリント動作中のプリントデータ中のページの切れ目を探索するデータ探索処理と、前記ページの切れ目が探索できた時点で、プリント動作を停止するとともに、前記ホストコンピュータに対して、前記削除要求に対する応答を送信する要求応答送信処理と、前記ホストコンピュータからのジョブ終了コマンドを受信するまでプリント動作の停止以降の前記プリントデータを読み飛ばした後に、前記ホストコンピュータに対して、削除終了通知を送信するジョブ削除処理とをコンピュータに行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、プリントジョブの削除要求の操作がされた場合に、ホストコンピュータから印刷装置に対して、削除要求を送信し、この削除要求を受信した印刷装置は、ページの切れ目を見つけた時点で、印刷動作を停止させて、ジョブ削除の準備ができたことを意味する削除要求に対する応答をホストコンピュータへ返し、ホストコンピュータが送信するプリントジョブ終了コマンドを受信できるまで、受信済みのプリントデータを読み飛ばすようにしたため、確実にプリントジョブの削除処理を実行することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態によるプリントシステムを図面を参照して説明する。図1は同実施形態の構成を示すブロック図である。この図において、符号1は、印刷する文書等のデータを作成し、この文書データから印刷用のデータを生成して出力するホストコンピュータであり、CPU11とスプーラ12とを備えている。符号2は、ホストコンピュータ1から出力されるプリントデータに基づいて、印刷を行うプリンタであり、受信バッファ21と印刷部22を備えている。符号Nは、ホストコンピュータ1とプリンタ2との間で、情報通信を行うネットワークである。
【0010】
次に、図2を参照して、図1に示すプリントシステムの動作を説明する。図2は、図1に示すホストコンピュータ1とプリンタ2の動作を示すフローチャートである。
まず、CPU11は、ユーザの操作に基づいて、文書データから作成したプリントデータを含むプリントジョブを生成し、このプリントジョブの印刷指示を出力する(ステップS1)。このプリントジョブは、スプーラ12内にスプールされ、スプーラ12によって順次プリンタ2へ送信される。スプーラ12から送信されたプリントジョブは、受信バッファ21に一時的に蓄えられる。印刷部22は、受信バッファ21に蓄えられたプリントジョブデータを順次読み出して、印刷処理を実行する(ステップS2)。
【0011】
一方、CPU11は、プリントジョブの実行中に、ユーザの操作によりプリントジョブの削除要求があったか否かを監視する(ステップS2)。そして、削除要求の操作がされた場合に、CPU11は、プリンタ22に対して、削除要求を送信する(ステップS3)。
【0012】
プリンタ2は、プリントジョブの実行中に、ホストコンピュータ1からのデータを受信し(ステップS12)、受信したデータが削除要求であったか否かを判定しながら(ステップS13)、受信したデータがプリントジョブデータであれば印刷処理を続行する。そして、削除要求を受信した場合、印刷部22は、受信バッファ21に蓄えられているプリントジョブデータを読み出すときに、プリントデータ中のページ情報を探索しながら読み出しを行い(ステップS14)、ページの切れ目を探し出す(ステップS15)。
【0013】
次に、印刷部22は、プリントデータ中のページの切れ目が見つかった時点で、印刷動作を停止するとともに、削除要求に対する応答をホストコンピュータ1へ送信する(ステップS16)。これにより用紙に印刷する動作が停止するが、スプーラ12から送信されるプリントデータを受信バッファ21に蓄える動作は続行する。
【0014】
次に、CPU11は、削除要求を送信した後、プリンタ2から削除要求に対する応答が送信されるまで待機し(ステップS4、S5)、削除要求に対する応答が受信できた時点で、プリントデータの送信を中止する(ステップS6)。そして、CPU11は、プリンタ2に対して、プリントジョブ終了コマンドを送信するとともに(ステップS7)、スプーラ12内のプリントジョブを削除する(ステップS8)。
【0015】
次に、印刷部22は、削除要求に対する応答を送信した後、ホストコンピュータ1からのプリントジョブ終了コマンドが受信されるまで、受信バッファ21のプリントデータを読み飛ばし(ステップS17、S18)、プリントジョブ終了コマンドが受信された時点で、ホストコンピュータ1に対して、削除終了通知を送信する(ステップS19)。この削除終了通知をCPU11が受信することにより、ジョブ削除処理が終了する(ステップS9)。
【0016】
このように、削除要求の操作がされた場合に、まずホストコンピュータ1からプリンタ2に対して、削除要求を送信し、この削除要求を受信したプリンタ2は、ページの切れ目を見つけた時点で、印刷動作を停止させて、ジョブ削除の準備ができたことを意味する削除要求に対する応答をホストコンピュータ1へ返し、ホストコンピュータ1が送信するプリントジョブ終了コマンドを受信できるまで、受信バッファ21に受信済みのプリントデータを読み飛ばすようにしたため、確実にプリントジョブの削除処理を実行することができる。
【0017】
なお、図1における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによりプリントジョブ削除処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0018】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0020】
1・・・ホストコンピュータ、11・・・CPU、12・・・スプーラ、2・・・プリンタ、21・・・受信バッファ、22・・・印刷部、N・・・ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作成したプリントデータを含むプリントジョブを送信するホストコンピュータと該プリントジョブに基づいて前記プリントデータの印刷を行う印刷装置とからなるプリントシステムであって、
前記ホストコンピュータは、
前記プリントジョブの削除要求を監視する要求監視手段と、
前記削除要求があった場合に、前記印刷装置に対して、プリントジョブの削除要求を送信する要求送信手段と、
前記削除要求に対する応答を前記印刷装置から受信する要求応答受信手段と、
前記要求応答受信手段において削除要求に対する応答を受信した場合に、前記プリントジョブのプリントデータ送信を中止するとともに、前記印刷装置に対して、ジョブ終了コマンドを送信するジョブ終了処理手段と
を備え、
前記印刷装置は、
前記ホストコンピュータから前記削除要求を受信する要求受信手段と、
前記要求受信手段において、前記削除要求を受信した場合に、プリント動作中のプリントデータ中のページの切れ目を探索するデータ探索手段と、
前記ページの切れ目が探索できた時点で、プリント動作を停止するとともに、前記ホストコンピュータに対して、前記削除要求に対する応答を送信する要求応答送信手段と、
前記ホストコンピュータからのジョブ終了コマンドを受信するまでプリント動作の停止以降の前記プリントデータを読み飛ばした後に、前記ホストコンピュータに対して、削除終了通知を送信するジョブ削除手段と
を備えたことを特徴とするプリントシステム。
【請求項2】
作成したプリントデータを含むプリントジョブを送信するホストコンピュータと該プリントジョブに基づいて前記プリントデータの印刷を行う印刷装置とからなるプリントシステムの前記ホストコンピュータ上で動作するプリントプログラムであって、
前記プリントジョブの削除要求を監視する要求監視処理と、
前記削除要求があった場合に、前記印刷装置に対して、プリントジョブの削除要求を送信する要求送信処理と、
前記削除要求に対する応答を前記印刷装置から受信する要求応答受信処理と、
前記要求応答受信処理において削除要求に対する応答を受信した場合に、前記プリントジョブのプリントデータ送信を中止するとともに、前記印刷装置に対して、ジョブ終了コマンドを送信するジョブ終了処理と
をコンピュータに行わせることを特徴とするプリントプログラム。
【請求項3】
作成したプリントデータを含むプリントジョブを送信するホストコンピュータと該プリントジョブに基づいて前記プリントデータの印刷を行う印刷装置とからなるプリントシステムの前記印刷装置上で動作するプリントプログラムであって、
前記ホストコンピュータから前記削除要求を受信する要求受信処理と、
前記要求受信処理において、前記削除要求を受信した場合に、プリント動作中のプリントデータ中のページの切れ目を探索するデータ探索処理と、
前記ページの切れ目が探索できた時点で、プリント動作を停止するとともに、前記ホストコンピュータに対して、前記削除要求に対する応答を送信する要求応答送信処理と、
前記ホストコンピュータからのジョブ終了コマンドを受信するまでプリント動作の停止以降の前記プリントデータを読み飛ばした後に、前記ホストコンピュータに対して、削除終了通知を送信するジョブ削除処理と
をコンピュータに行わせることを特徴とするプリントプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−95829(P2006−95829A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−283939(P2004−283939)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】