説明

プリントシステム

【課題】 長尺印刷はロール紙の外側に対して印刷されるため、上記のように筒状に丸めた場合でも、印刷面は常に外側になってしまう。このまま収納すると、外側に露出した印刷部分はさまざま外的要因(紫外線や湿気など)によって色褪せや、汚損してしまう可能性がある。
【解決手段】 印刷後の印刷物を筒状に丸めて扱うような場合に、本印刷に加えて適当な大きさのカバーページを加える。また、印刷条件に応じてカバーページの長さを調整することで、より最適なカバーページを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリントシステム、およびその制御方法、記録媒体に関する物である。
【背景技術】
【0002】
大判プリンタでは、ロール紙を使用して、数メートルにも及ぶ長い印刷物(以後、長尺印刷と称す)を出力する事がある。しかしながら、長尺印刷は印刷物が大きいため、印刷後はロール紙を筒状に丸めて扱う事が多い。このような状態で、印刷された画像全体を確認するには、筒状に丸めた印刷物をすべて広げる必要があり、非常に煩雑である。この問題を解決するために、例えば縮小した画像を印刷物の上端、または下段に印刷するような機能を備えた物があった。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開平11−254779
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
長尺印刷はロール紙の外側に対して印刷されるため、上記のように筒状に丸めた場合でも、印刷面は常に外側になってしまう。このまま収納すると、外側に露出した印刷部分はさまざま外的要因(紫外線や湿気など)によって色褪せたり、汚損してしまう可能性がある。
【0004】
また上記従来例のように、縮小画像を添付することにより、確かに筒状態での画像の確認には有効であるが、本来、印刷物に不要な画像が添付されてしまうことになるので、印刷物の用途によっては使用できないことが想定される。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、筒状のロール紙に印刷された印刷物の内容確認を容易に行うと同時に、筒状の印刷物の外側を覆って汚損を防止するために、最適なカバーページを印刷するプリントシステムを提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本出願のプリントシステムに係る第1の発明は、ロール紙などに、印刷後の印刷物を筒状に丸めて扱う事が適当な長さの長尺印刷を行うためのプリントシステムであって、印刷媒体に印刷されるべき、本来目的とする印刷画像を作成する第1の印刷データ作成手段と、前記第1の印刷画像の概要を掴むための縮小画像や印刷時に指定された各種印刷条件、さらには日付や使用者名などの環境条件などの印刷を行うための第2の印刷データ(以降、カバーページと呼ぶ)作成手段と、前記第2の印刷データ作成手段の印刷データを印刷するかどうかを使用者が指定するための指定手段と、前期指定手段の設定状態に応じて前記第1の印刷データ作成手段と前記第2の印刷データ作成手段によって作成された印刷データを印刷する印刷手段とを備える事を特徴とする。
【0007】
本出願のプリントシステムに係る第2の発明は、前記第1の発明に記載のプリントシステムであって、印刷条件に応じて前記カバーページの最適な長さを算出する手段と、前記算出手段によって得られた長さに応じて、前記カバーページの印刷データを作成する前記第2の印刷手段とを備える事を特徴とする。
【0008】
ここで、印刷条件や印刷媒体の条件とは、印刷する印刷媒体の材質や大きさ、印刷する画像の位置などの条件の1つ、または複数の組み合わせから成る。
【0009】
本出願のプリントシステムに係る第3の発明は、前記第1の発明に記載のプリントシステムであって、前記第1の印刷データ作成手段と前記第2の印刷データ作成手段によって作成された2つの印刷データを連続して1枚の印刷物として印刷するモードと、切り離して2枚の印刷物にするモードの2つのモードを切り替える切り替え手段と、使用者がこの2つのモードを指定するためのモード指定手段とを備える事を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、印刷後の印刷物を筒状に丸めて扱うような場合に、本印刷に加えて適当な大きさのカバーページを加える事で、印刷部分の外周を保護して汚損を防止でき、かつ、筒状になった状態でも印刷画像や印刷条件の概要を把握する事ができる。
【0011】
また印刷条件に応じてカバーページの長さを調整することで、より最適なカバーページを提供する事ができる。
【0012】
また使用者の用途に応じて、カバーページと本印刷とをつなげて1枚の印刷物で出力したり、カバーページを分離したい場合にはカットして2枚の印刷物に分ける事ができる。2枚に分けた場合、カバーページのみを糊付けして筒状にすることで、その内部に本印刷物を格納する事もできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(実施例1)
図1は、本発明の特徴をもっともよく表す図面であり、本発明を施したプリンシステムの構成を示したブロック図である。同図において、10はパソコンなどのホスト側に搭載される印刷に関わる構成要素である。11は印刷原稿を作成するためのアプリケーションソフトウェア、12はアプリケーションソフトウェア11の印刷要求に応じて印刷データを仲介するOSの印刷サービス、13はOSの印刷サービス12の要求に従って、印刷データをプリンタ20で処理可能な形式のデータに変換するためのプリンタドライバである。プリンタドライバ13が作成する印刷データには、図2の31に示すような文字の印刷データの他に、印刷する用紙サイズの情報、データ解像度や印刷モード(ヘッドのパス数や移動速度など)などの印刷条件コマンドが付加されている。
【0014】
14はOSの印刷サービス12とプリンタドライバ13との印刷データの受け渡しや、プリンタ20に転送するまでの間、一時保管するためのシステムスプーラである。
【0015】
20はプリンタドライバ13によって作成された印刷データを印刷するためのプリンタとその構成要素である。特にここでは、長尺印刷を行うための大判プリンタを想定している。21は、ホスト10との間のデータ通信を司る通信インターフェースである。ここを通して、ホスト10から印刷データや各種の印刷条件コマンドを受信する。22は、プリンタ20全体の制御を行うCPUである。またCPU22は、RAM23、および ROM24に収められたプログラムやデータに従って、受信した印刷データを描画データに展開する。こうして作成された描画データをエンジンI/F25を経由して、プリントエンジン26に送信し、用紙の印刷面に印刷する。27はプリンタ20にセットされたロール紙の回転を検出するための回転センサであり、28はフィードされた用紙の長さを検出する紙送りセンサである。回転センサで1回転する間にフィードされた紙の送り量を検出する事で、最適なカバーページの長さを取得する事ができる。
【0016】
図2は、本特許を施したプリントシステムで印刷された長尺印刷の例であり、31は幅36インチ×長さ118インチ(600mm×3000mm)の印刷物である。32は印刷物31のカバーページの例である。33は印刷画像をカバーページの長さに合わせて縮小したが荘であり、34はプリンタドライバ13で指定された印刷条件を文字として印刷した領域である。この印刷物を筒状に丸めた場合の例が、図5である。
【0017】
図3は、本発明を施したプリンタドライバ13のユーザインターフェースの例を示した図面であり、同図において、41はアプリケーションソフトウェア11の用紙サイズに相当する「原稿サイズ」を選択するためのものである。42はプリンタ20に装着されている用紙サイズに相当する「出力サイズ」を選択するためのものである。出力サイズ42が『原稿サイズと同じ』に設定されている場合は、通常印刷(等倍印刷)が行われるが、原稿サイズ41と出力サイズ42とに違うサイズを選択すると、その用紙サイズ間で拡大・縮小を行う。43は印刷する部数を指定するためのものである。44は原稿サイズ41の印刷の向きを選ぶ物であり、横向き(ポートレイト)と縦向き(ランドスケープ)とが選択できる。45はカバーページの印刷を指定するための設定であり、さらに印刷したカバーページをカットするには、46の設定をONにする。また47は印刷実行を指示するための印刷ボタン、48は印刷を中止するためのキャンセルボタンである。
【0018】
では、まず図3のプリンタドライバの設定画面を用いて、使用者の操作を説明する。
【0019】
アプリケーション11から、図3のプリンタドライバの設定画面を開き、「原稿サイズ」41に幅36インチ×長さ118インチの用紙サイズを設定する。次に「カバーページを印刷する」の設定45をONにする。印刷条件の設定が完了したら、印刷ボタン47を押して印刷を実行する。すると、アプリケーション11から、OSの印刷サービス12を通して、印刷条件の情報と共に印刷データがプリンタドライバ13に送られてくる。プリンタドライバ13は印刷データをプリンタ20が扱える形に変換し、必要な印刷条件設定コマンドを付加して、システムスプーラ14に送る。すると、OSの印刷サービス12が変換された印刷データをプリンタ20に送信する。
【0020】
次に、図4のフローチャート図を使って、プリンタ20の処理手順を説明する。
【0021】
まずS11において、CPU22は通信インターフェース21を通して、OSの印刷サービス12から送信された印刷データを受信し、RAM23に保管する。この印刷データの中に「カバーページ印刷」のコマンドが含まれていた場合にはS13に進む。次に、印刷するカバーページの最適な長さを算出するために、ロール紙に巻かれた1巻き分の用紙の長さを求める。S13とS14において、少しずつ用紙をフィードしながら、回転センサ27でロールが1回転するまでの間に、紙送りされた量を紙送りセンサ28で検出する。このようにして求めたロール紙1巻き分の長さを、例えば10%ほど増して、最適なカバーページに長さとする。次にS15において、送った紙を、再びロールに巻き戻して元の状態にする。次にS16において、CPU22はRAM23から印刷データを読み出し、S13,S14で求めたカバーページの長さに合わせて印刷画像を縮小した印刷データを作成し、RAM23に保存する。この縮小画像は図2の33に相当する。次にS17において、印刷データに含まれる印刷条件を文字として印刷するための印刷データを作成する。この印刷条件の印刷データは、図2の34に相当し、この例では「用紙の種類」「印刷品質」「解像度」「用紙サイズ」「印刷の向き」「印刷した日付・時刻」などの情報を含んでいる。S16,S17を経て、カバーページに印刷するすべての印刷データが揃ったら、S18においてカバーページを印刷する。次にS19に進み、図3の「カバーページをカットする」の設定46がONにされていた場合には、印刷データの中にロール紙カットのコマンドが含まれているので、S20でロール紙をカットする。設定46がOFFの場合にはカットせず、カバーページと本印刷とが1枚の印刷物となる。これでカバーページの印刷が完了したので、次にS21に進み、CPU22はRAM23に保管されていた印刷データを読み出して、本印刷を実行する。
【0022】
なお、この実施例は最適なカバーページの算出方法として、ロール紙1巻き分の長さを検出する例を示したが、これ以外にも、
a. 印刷する用紙サイズが長い場合はカバーページを長くする。
【0023】
b. 光沢紙などコシの強い紙の場合にはカバーページを長くする。
【0024】
c. 本印刷の上部に十分な空白領域がある場合にはカバーページを短くする。
【0025】
d. カットする場合にはカバーページを長くする。
などの印刷条件の1つ、または複数を組み合わせて制御する事が可能であり、本特許はこれら条件のうちの1つに縛られるものではない。
【0026】
またこの実施例では本印刷の前にバナーパージを印刷する例を示したが、本印刷を先に行い、次いでバナーページを印刷する構成を取ることも可能である。またその際には、カバーページの印刷向きを上下逆にする構成を取ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のプリンタシステムの構成要素を示したブロック図。
【図2】カバーページ付きの長尺印刷の印刷例。
【図3】本発明のプリンタドライバのユーザインターフェースを示した図。
【図4】プリンタの処理手順を説明したフローチャート図。
【図5】図2のカバーページ付きの長尺印刷物を筒状に丸めた物。
【符号の説明】
【0028】
10 ホスト側で印刷に関わる構成要素
11 アプリケーションソフトウェア
12 OSの印刷サービス
13 プリンタドライバ
14 システムスプーラ
20 プリンタ
21 通信インターフェース
22 プリンタのCPU
23 プリンタのRAM
24 プリンタのROM
25 エンジンI/F
26 プリントエンジン
27 回転センサ
28 紙送りセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置、および、記録媒体上に画像形成を行うプリンタ装置から構成されるプリントシステムであって、
印刷媒体に印刷されるべき、本来目的とする印刷画像を作成する第1の印刷データ作成手段と、前記第1の印刷データの概要を掴むための縮小画像や印刷時に指定された各種印刷条件、さらには日付や使用者名などの環境条件などの印刷を行うための第2の印刷データ作成手段と、前記第2の印刷データ作成手段の印刷データを印刷するかどうかを使用者が指定するための指定手段と、前期指定手段の設定状態に応じて前記第1の印刷データ作成手段と前記第2の印刷データ作成手段によって作成された印刷データを印刷する印刷手段とを備え、前記第1の印刷データの印刷物を筒状に丸めた際に、その外周を被う前記第2の印刷データの印刷物を提供する事を特徴とするプリントシステム。
【請求項2】
請求項1に記載したプリントシステムであって、
印刷条件に応じて前記第2の印刷データ作成手段で作成する印刷データの最適な長さを算出する手段を備える事を特徴とする、請求項1に記載のプリントシステム。
【請求項3】
請求項1に記載したプリントシステムであって、
前記第1の印刷データ作成手段と前記第2の印刷データ作成手段によって作成された2つの印刷データを連続して1枚の印刷物として印刷するモードと、切り離して2枚の印刷物にするモードの2つのモードを切り替える切り替え手段と、使用者がこの2つのモードを指定するためのモード指定手段とを備える事を特徴とする、請求項1に記載のプリントシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−168012(P2006−168012A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−360861(P2004−360861)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】