説明

プリント基板の固定構造、及び生産機器のコントローラ

【課題】種々の寸法のプリント基板を筺体に固定するとともに、振動のある環境下でもプリント基板の電気的接続を安定して維持する。
【解決手段】第3辺23に対して平行に並列で設けられた第1,第2シャフト33,34と、第1シャフト33に沿ってスライド可能に設けられ、PCI基板20の両面から第3辺23を挟む下側部材40及び中間部材50とを備える。下側部材40は、PCI基板20の第1辺21側の端面に当たる。第2シャフト34に沿ってスライド可能、且つ第1シャフト33に係合及び非係合可能に設けられ、係合した状態において、PCI基板20の両面から第3辺23を挟むとともに、PCI基板20において第1辺21に平行な第4辺24側の端面に当たる上側部材60と、下側部材40、中間部材50、及び係合した状態の上側部材60を、第1シャフト33の軸線方向の外側から挟むスライド板部材31及び上スライド部材35とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板の固定構造、及びその固定構造を備える生産機器のコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PCI(Peripheral Component Interconnect)基板の固定構造等、プリント基板の差込部を接続スロットに差し込んで電気的に接続するとともに、プリント基板を筺体に固定する固定構造がある。こうした固定構造を備える筺体が、振動のある環境下に置かれる場合には、プリント基板の差込部と接続スロットとの電気的接続に不具合が生じないように、以下のような固定構造を採用している。
【0003】
すなわち、矩形状のプリント基板において、差込部の設けられた一辺に対して直交する両辺のうち一方の辺は、標準的な規格の固定用部材を筺体にねじで締結することにより固定している。さらに、振動のある環境下に置かれる場合には、他方の辺に予め加工を行って専用の固定用部材を取り付け、この固定用部材を筺体にねじで締結することにより固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−232725号公報
【特許文献2】特開平10−145030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、種々の寸法のプリント基板を筺体に固定する要望があり、振動のある環境下で用いられる上記固定構造では、専用の固定用部材やそれをプリント基板に取り付けるための構造等が必要となり、このような要望に柔軟に対応できない。
【0006】
なお、プリント基板の表面処理用冶具として、特許文献1,2に記載のものがある。特許文献1に記載のものは、プリント基板を保持する空間を内部に形成する枠体において、一部の枠材を移動可能に構成するとともに、プリント基板を固定するクリップを枠材に設けている。また、特許文献2に記載のものは、一対の縦桟と一対の横桟とで構成される矩形枠体において、一対の横桟の間隔を可変に構成するとともに、一対の縦桟の所定箇所にプリント基板を挟持する複数のクリップを設けている。
【0007】
これら特許文献1,2に記載のものは、種々の寸法のプリント基板に対応することができるものの、そもそもプリント基板を電気的に接続するとともに筺体に固定する固定構造ではなく、また振動のある環境下ではプリント基板の固定が不安定となる可能性が高い。
【0008】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、種々の寸法のプリント基板を筺体に固定することができるとともに、振動のある環境下でも基板の電気的接続を安定して維持することのできるプリント基板の固定構造、及びその固定構造を備える生産機器のコントローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
【0010】
第1の発明は、矩形状のプリント基板の第1辺に設けられた差込部を接続スロットに差し込んで電気的に接続するとともに、前記基板において前記第1辺に直交する第2辺及び第3辺のうち前記第2辺を筺体に締結により固定するプリント基板の固定構造であって、前記第3辺に対して平行に並列で設けられ、前記第3辺に近い側の第1シャフト及び前記第3辺から遠い側の第2シャフトと、前記第1シャフトに沿ってスライド可能に設けられ、前記基板の両面から前記第3辺を挟むとともに、前記基板の前記第1辺側の端面に当たる第1部材と、前記第1シャフトに沿ってスライド可能に設けられ、前記基板の両面から前記第3辺を挟む第2部材と、前記第2シャフトに沿ってスライド可能、且つ前記第1シャフトに係合及び非係合可能に設けられ、前記係合した状態において、前記基板の両面から前記第3辺を挟むとともに、前記基板において前記第1辺に平行な第4辺側の端面に当たる第3部材と、前記第1部材、前記第2部材、及び前記係合した状態の前記第3部材を、前記第1シャフトの軸線方向の外側から挟んで、それら第1部材、第2部材、及び第3部材の各スライドを規制する規制部材と、を備えることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、矩形状のプリント基板の第1辺に設けられた差込部が接続スロットに差し込まれ、プリント基板と接続スロットとが電気的に接続される。そして、基板において第1辺に直交する第2辺及び第3辺のうち、第2辺が筺体に締結により固定される。すなわち、従来と同様に、基板の第2辺は、標準的な規格の固定用部材が筺体にねじで締結される等により固定される。
【0012】
ここで、第3辺に対して平行に、第3辺に近い側の第1シャフトと、第3辺から遠い側の第2シャフトとが、並列で設けられている。そして、第1シャフトに沿ってスライド可能に第1部材及び第2部材が設けられており、第1部材及び第2部材により基板の両面から第3辺が挟まれている。また、第2シャフトに沿ってスライド可能に第3部材が設けられており、第1シャフトに係合した状態の第3部材により、基板の両面から第3辺が挟まれている。このため、第1部材、第2部材、及び第3部材により、基板の第3辺が基板の面に垂直な方向へ移動することが抑制される。
【0013】
また、第1部材が基板の第1辺側の端面に当たっており、第1シャフトに係合した状態の第3部材が基板の第4辺側の端面に当たっている。そして、第1部材、第2部材、及び第1シャフトに係合した状態の第3部材が、第1シャフトの軸線方向の外側から規制部材により挟まれ、それら第1部材、第2部材、及び第3部材の各スライドが規制されている。このため、第1部材側へ基板が移動することが、スライドの規制された第1部材により抑制されるとともに、第3部材側へ基板が移動することが、スライドの規制された第3部材により抑制される。
【0014】
さらに、第3部材を第1シャフトに非係合の状態とすることにより、第2シャフトに沿って第3部材をスライドさせるとともに、第1シャフトに沿って第3部材と反対方向へ第2部材をスライドさせることができる。そして、第3部材を第1シャフトに係合した状態とすることにより、第3部材と第2部材との位置を入れ替えることができる。したがって、基板の幅に対応させて第1部材と第3部材との間隔を変更することができ、種々の寸法の基板を筺体に固定することができる。
【0015】
また、第3部材と第2部材とがいずれの位置関係にある場合でも、第1部材、第2部材、及び係合した状態の第3部材の合計長さは変わらないため、それらを第1シャフトの軸線方向の外側から規制部材により挟むことができ、それら第1部材、第2部材、及び第3部材の各スライドを規制することができる。このため、基板が第1シャフトの軸線方向へ移動することを効果的に抑制することができ、振動のある環境下でも基板の電気的接続を安定して維持することができる。なお、第2辺が筺体に締結により固定されているため、基板が第1辺の長さ方向へ移動することは、比較的容易に抑制することができる。
【0016】
第2の発明では、前記第3部材は、前記第2シャフトを中心として回転可能に設けられることにより、前記第1シャフトに係合及び非係合可能に設けられている。
【0017】
上記構成によれば、第2シャフトを中心として第3部材を回転させることにより、第3部材を第1シャフトに係合した状態と非係合の状態とを切り替えることができる。このため、第3部材を第2シャフトから取り外すことなく、係合した状態と非係合の状態とを切り替えることができる。したがって、第3部材と第2部材との位置を、容易に入れ替えることができるとともに、第3部材の紛失を抑制することができる。その結果、工場など、筺体を開放して作業するのに必ずしも適さない環境でも、作業の実施を可能とすることができる。
【0018】
具体的には、第3の発明のように、前記第3部材には、前記第2シャフトの挿通される貫通孔と、前記第1シャフトに係合される溝とが設けられているといった構成を採用することができる。こうした構成によれば、第3部材の構造が複雑化することを抑制しつつ、第3部材を第1シャフトに係合及び非係合可能に設けることができる。
【0019】
第4の発明では、前記第2部材は複数設けられているため、第1部材と第3部材との間に配置される第2部材の数を変更することにより、基板の幅に対応させて第1部材と第3部材との間隔をより細かく変更することができる。したがって、種々の寸法のプリント基板に対して、より柔軟に対応することができる。
【0020】
第5の発明では、前記第1シャフトの断面形状は非円形とされており、前記第1部材及び前記第2部材には、前記第1シャフトが挿通されて嵌合する貫通孔が前記断面形状に対応した形状で設けられている。
【0021】
上記構成によれば、第1シャフトの断面形状が非円形とされており、第1部材及び第2部材において、この断面形状に対応した形状の貫通孔に第1シャフトが挿通されて嵌合している。このため、第1部材及び第2部材が第1シャフトを中心として回転することを抑制することができる。その結果、第1部材及び第2部材により、基板の第3辺が基板の面に垂直な方向へ移動することを効果的に抑制することができる。
【0022】
第6の発明では、前記第2部材には、前記第1シャフトの軸線方向において全長にわたって溝が設けられており、前記第2部材は、前記溝が前記第3辺に嵌合することにより、前記基板の両面から前記第3辺を挟んでいる。
【0023】
上記構成によれば、第2部材において第1シャフトの軸線方向の全長にわたって溝が設けられており、この溝が基板の第3辺に嵌合している。したがって、第2部材において、より広い範囲で基板の両面から第3辺を挟むことができ、基板の固定をより安定させることができる。
【0024】
第7の発明では、前記第1シャフト及び前記第2シャフトの前記並列な状態を維持しつつ、前記第2辺と前記第1シャフトとの間隔を調節する調節機構を備える。
【0025】
上記構成によれば、基板の第2辺と第1シャフトとの間隔を調節することができるとともに、第1シャフト及び第2シャフトの並列な状態を維持することができる。このため、基板の第1辺の長さに対応させて第2辺と第1シャフトとの間隔を調整することができるとともに、第3部材が第1シャフトに係合及び非係合可能な状態を維持することができる。その結果、種々の寸法のプリント基板に対して、より柔軟に対応することができる。
【0026】
具体的には、第8の発明のように、生産機器のコントローラは、第1〜第7のいずれかの発明におけるプリント基板の固定構造を備えるといった構成を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】PCI基板の固定された筺体を示す正面図。
【図2】スライド板部材を示す正面図。
【図3】シャフト部材を示す正面図。
【図4】上スライド部材及び下スライド部材を示す部分断面図。
【図5】下スライド部材のスライド板部材への組み付け状態を示す平面図。
【図6】下側部材を示す図。
【図7】中間部材を示す図。
【図8】上側部材を示す図。
【図9】PCI基板の固定構造の初期状態を示す正面図。
【図10】筺体の天板及び中板を取り外した状態を示す正面図。
【図11】各部材の入れ替え態様を示す正面図。
【図12】シャフト部材を移動させた状態を示す正面図。
【図13】筺体の中板及び天板を取り付けた状態を示す正面図。
【図14】中間部材の変形例を示す図。
【図15】中間部材の他の変形例を示す図。
【図16】下側部材の変形例を示す図。
【図17】上側部材の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、機械組立工場の水平な床面に設置されるロボットコントローラ(生産機器のコントローラ)において、その筺体にPCI基板を固定する固定構造として具体化している。
【0029】
図1は、PCI基板の固定された筺体を示す正面図である。同図に示すように、筺体10は、直方体状に形成されており、その底面が工場の床面に当たるように設置されている。筺体10の上部には、中空の四角柱状に側方へ突き出した突出部11が設けられている。筺体10の上部において、突出部11の内部と反対側の側壁18とに、板状に側方へ張り出した張出部12が設けられている。張出部12の上側に中板13が取り付けられており、中板13の上方に天板14が取り付けられている。
【0030】
筺体10の底部には、ロボットコントローラのマザーボード15が設置されている。マザーボード15は、その基板面が筺体10の底面と平行になるように配置されている。マザーボード15は、ロボットコントローラを構成する電気回路と、その電気回路にPCI基板20を電気的に接続するためのPCIスロット16(拡張スロット)とを備えている。PCIスロット16(接続スロット)は、マザーボード15の板面方向に対してPCI基板20の差込方向が垂直となるように配置されている。
【0031】
PCI基板20(プリント基板)は、矩形状に形成されており、その長辺が第1辺21,第4辺24となっており、その短辺が第2辺22,第3辺23となっている。第1辺21には、PCIスロット16に差し込まれる差込部25が設けられている。PCI基板は、所定の機能を発揮する電気回路を備えている。そして、上方からPCIスロット16に差込部25が差し込まれており、PCI基板20の電気回路とマザーボード15の電気回路とが電気的に接続されている。
【0032】
PCI基板20の第2辺22には、PCI基板の標準規格に基づいた固定用金具26が取り付けられている。固定用金具26は、長尺の板状に形成されており、一端が直角に折り曲げられて、折り曲げ部26aが形成されている。固定用金具26は、PCI基板20の第2辺22にねじで締結されている。そして、固定用金具26において、折り曲げ部26aが上記突出部11の底部にねじで締結され、それ以外の部分が筺体10の側壁17にねじ等で締結されている。これにより、PCI基板20の第2辺22が筺体10に固定されている。
【0033】
PCIスロット16の側方には、スライド板部材31が設けられている。スライド板部材31は、上記マザーボード15と上記筺体10の側壁18とに固定されている。スライド板部材31は、矩形の板状に形成されており、PCIスロット16の差込口が延びる方向の延長上に設けられている。スライド板部材31は、マザーボード15と平行に配置されている。マザーボード15とスライド板部材31との間隔は、マザーボード15の表面からPCIスロット16が突出する長さと略等しくなっている。
【0034】
中板13とスライド板部材31との間には、シャフト部材32が掛け渡されている。シャフト部材32は、第1シャフト33、第2シャフト34、及びスライド部材35,36を備えている。第1シャフト33及び第2シャフト34の両端部は、スライド部材35,36にそれぞれ固定されている。シャフト部材32は、中板13及びスライド板部材31に対して垂直に配置されている。そして、上側に配置された上スライド部材35が中板13にねじで締結されており、下側に配置された下スライド部材36がスライド板部材31にねじで締結されている。これにより、第1シャフト33及び第2シャフト34が、PCI基板20の第3辺23に対して平行に並列で配置されている。第1シャフト33及び第2シャフト34は、PCI基板20の板面を含む平面上に配置されている。第1シャフト33が第3辺23に近い側に配置され、第2シャフト34が第3辺23から遠い側に配置されている。
【0035】
第1シャフト33には、第1シャフト33に沿ってスライド可能に下側部材40(第1部材)が設けられている。下側部材40は、「L」字状に形成されており、その「L」字形状をPCI基板20の端面に沿わせるように、PCI基板20の第1辺21側の端面と、PCI基板20の第3辺23側の端面とに当たっている。
【0036】
第2シャフト34には、第2シャフト34に沿ってスライド可能に上側部材60(第3部材)が設けられている。上側部材60は、第1シャフト33に係合しており、第1シャフト33に沿ってスライド可能となっている。上側部材60は、「L」字状に形成されており、その「L」字形状をPCI基板20の端面に沿わせるように、PCI基板20の第4辺24側の端面と、PCI基板20の第3辺23側の端面とに当たっている。
【0037】
第1シャフト33には、第1シャフト33に沿ってスライド可能に中間部材50(第2部材)が設けられている。中間部材50は、下側部材40と上側部材60との間に2つ(複数)設けられている。中間部材50は、「I」字状に形成されており、その「I」字形状をPCI基板20の端面に沿わせるように、PCI基板20の第3辺23側の端面に当たっている。
【0038】
下側部材40、2つの中間部材50、及び上側部材60は、上記スライド板部材31(規制部材)と上スライド部材35(規制部材)とによって、第1シャフト33及び第2シャフト34の軸線方向の外側から挟まれている。すなわち、下側部材40及び2つの中間部材50の第1シャフト33に沿ったスライドと、上側部材60の第2シャフト34に沿ったスライドとが規制されている。これにより、PCI基板20の第3辺23が筺体10に固定されている。
【0039】
次に、PCI基板20の固定構造を構成する各部材を詳細に説明する。
【0040】
図2は、スライド板部材31を示す正面図である。同図に示すように、スライド板部材31は、矩形の板状に形成されている。スライド板部材31には、その短辺に平行に3つ(複数)のスリット31aが設けられている。3つのスリット31aは、同一の寸法で形成されおり、互いに等間隔で配置されている。スリット31aは、スライド板部材31の一方の長辺から他方の長辺近傍まで延びている。スリット31aの幅は、上記第1シャフト33及び第2シャフト34の太さ(断面の幅)よりも若干広くなっている。このため、スリット31aに第1シャフト33及び第2シャフト34を挿通させた状態で、スリット31aに沿ってシャフト部材32をスライドさせることができる。スリット31aには、スライド板部材31の長辺側の端部、すなわちスリット31aの切れ込み開始部分から、シャフト部材32の第1シャフト33及び第2シャフト34が挿入される。
【0041】
図3は、シャフト部材32を示す正面図である。同図に示すように、第1シャフト33の両端に、上スライド部材35と下スライド部材36とがそれぞれ固定されている。また、第2シャフト34の両端に、上スライド部材35と下スライド部材36とがそれぞれ固定されている。そして、第1シャフト33と第2シャフト34とが平行の状態で、第1シャフト33、第2シャフト34、上スライド部材35、及び下スライド部材36が一体化されている。
【0042】
第1シャフト33及び第2シャフト34には、下スライド部材36から所定の間隔をおいて、板状の落ち止め部材37が設けられている。所定の間隔は、スライド板部材31の厚みよりも若干広い間隔となっている。そして、落ち止め部材37と下スライド部材36との間に、スライド板部材31が配置されるように、上記スリット31aに第1シャフト33及び第2シャフト34が挿入される。これにより、落ち止め部材37と下スライド部材36との間にスライド板部材31が挟まれた状態で、スライド板部材31に対してシャフト部材32がスライドする。なお、スライド板部材31、第1シャフト33、第2シャフト34、下スライド部材36、及び落ち止め部材37によって、PCI基板20の第2辺22と第1シャフト33との間隔を調節する調節機構が構成される。
【0043】
図4(a)は上スライド部材を示す部分断面図であり、図4(b)は下スライド部材を示す部分断面図である。同図に示すように、スライド部材35,36は、矩形の板状に形成されている。第1シャフト33の断面形状は正方形(非円形)となっており、第2シャフト34の断面形状は円形となっている。上スライド部材35では、略中央に第1シャフト33が固定されており、第1シャフト33を挟んで、ねじ孔38が設けられるとともに第2シャフト34が固定されている。下スライド部材36では、略中央に第2シャフト34が固定されており、第2シャフト34を挟んで、第1シャフト33が固定されるとともにねじ孔38が設けられている。このため、図3に示すように、上スライド部材35と下スライド部材36とは、第1シャフト33及び第2シャフト34に対して、互いに反対方向へ張り出している。
【0044】
図5は、下スライド部材36のスライド板部材31への組み付け状態を示す平面図である。同図に示すように、下スライド部材36と落ち止め部材37との間に、スライド板部材31が挟まれている。落ち止め部材の幅は、スリット31aの幅よりも広くされている。このため、シャフト部材32がスリット31aから下へ落ちることを、落ち止め部材37により防ぐことができる。そして、上記ねじ孔38にねじ39がねじ込まれることにより、スライド板部材31に下スライド部材36が締結されている。ここで、上スライド部材35と下スライド部材36とは、第1シャフト33及び第2シャフト34に対して、互いに反対方向へ張り出している。このため、ねじ孔38にねじ39をねじ込む際に、上スライド部材35に干渉することを抑制することができる。
【0045】
図6は下側部材40を示す図であり、(a)は正面図、図6(b)は左側面図、(c)は上面図、(d)は右側面図、(e)は下面図である。同図に示すように、下側部材40は「L」字状に形成されている。下側部材40には、第1シャフト33が挿通されて嵌合する貫通孔41が設けられている。貫通孔41は、第1シャフト33の断面形状に対応して、正方形(非円形)の断面形状を有している。貫通孔41の断面寸法は、第1シャフト33の断面寸法よりも若干大きくなっている。
【0046】
下側部材40の側面には、「L」字形状に沿って溝42が設けられている。溝42の幅は、PCI基板20の厚さよりも若干広くなっている。このため、溝42にPCI基板20の第3辺23が挿入(嵌合)されることにより、下側部材40によってPCI基板20の両面から、第3辺23の端部と第1辺21の端部とが挟まれる。そして、溝42の底面42aにPCI基板20の第1辺21側の端面が当たり、溝42の底面42bにPCI基板20の第3辺23側の端面が当たる。
【0047】
図7は中間部材50を示す図であり、(a)は正面図、図6(b)は左側面図、(c)は上面図、(d)は右側面図、(e)は下面図である。同図に示すように、中間部材50は「I」字状に形成されている。中間部材50には、第1シャフト33が挿通されて嵌合する貫通孔51が設けられている。貫通孔51は、第1シャフト33の断面形状に対応して、正方形(非円形)の断面形状を有している。貫通孔51の断面寸法は、第1シャフト33の断面寸法よりも若干大きくなっている。
【0048】
中間部材50の側面には、全長にわたって溝52が設けられている。中間部材50において溝52が延びる方向の長さは、PCI基板20の寸法に対応して設定されている。すなわち、下側部材40と上側部材60との間に配置する中間部材50の数を変更することにより、第3辺23の長さが異なるPCI基板20を固定可能としている。溝52の幅は、PCI基板20の厚さよりも若干広くなっている。このため、溝52にPCI基板20の第3辺23が挿入(嵌合)されることにより、中間部材50によってPCI基板20の両面から第3辺23の中間部が挟まれる。そして、溝52の底面52bにPCI基板20の第3辺23側の端面が当たる。
【0049】
図8は上側部材60を示す図であり、(a)は正面図、図6(b)は左側面図、(c)は上面図、(d)は右側面図、(e)は下面図である。同図に示すように、上側部材60は「L」字状に形成されている。上側部材60には、第2シャフト34が挿通されて嵌合する貫通孔61が設けられている。貫通孔61は、第2シャフト34の断面形状に対応して、円形の断面形状を有している。貫通孔61の断面寸法は、第2シャフト34の断面寸法よりも若干大きくなっている。このため、上側部材60は、第2シャフト34を中心として回転可能となっている。
【0050】
上側部材60の側面には、「L」字形状に沿って溝62が設けられている。溝62の幅は、PCI基板20の厚さよりも若干広くなっている。このため、溝62にPCI基板20の第3辺23が挿入(嵌合)されることにより、上側部材60によってPCI基板20の両面から、第3辺23の端部と第4辺24の端部とが挟まれる。そして、溝62の底面62aにPCI基板20の第4辺24側の端面が当たり、溝62の底面62bにPCI基板20の第3辺23側の端面が当たる。
【0051】
上側部材60には、第1シャフト33に係合する溝63が設けられている。溝63は、貫通孔61と平行に形成されている。溝63は、第2シャフト34を中心として上側部材60を回転させた際に、第1シャフト33に係合(嵌合)する位置に形成されている。溝63の幅は、第1シャフト33の太さ(断面幅)よりも若干広くなっている。そして、第2シャフト34を中心として上側部材60を回転させることにより、上側部材60は第1シャフト33に係合する状態と非係合の状態とに切り替えられる。
【0052】
次に、筺体10にPCI基板20を固定する手順を説明する。
【0053】
図9は、PCI基板20の固定構造の初期状態を示す正面図である。同図に示すように、初期状態では、筺体10内にPCI基板20が設置されていない。シャフト部材32、下側部材40、中間部材50、及び上側部材60等は、PCIスロット16から筺体10の側壁18側へ近付いた位置に固定されている。詳しくは、上スライド部材35が中板13にねじで締結され、下スライド部材36がスライド板部材31にねじで締結されている。これにより、PCIスロット16の上方に、PCI基板20を挿入するための空間が確保されている。
【0054】
図10は、筺体10の天板14及び中板13を取り外した状態を示す正面図である。同図に示すように、まず、筺体10から天板14を取り外し、続いて中板13を取り外す。これにより、上方から筺体10内へPCI基板20を挿入可能となる。
【0055】
図11は、各部材の入れ替え態様を示す正面図である。ここでは、同図に示すように、図1に示したPCI基板20よりも小さい寸法のPCI基板20を筺体10に固定する。PCI基板20の第2辺22には、PCI基板の標準規格に基づいた固定用金具26が取り付けられている。まず、PCI基板20の第1辺21に設けられた差込部25を、PCIスロット16に差し込む。そして、固定用金具26の折り曲げ部26aを突出部11の底部にねじで締結し、それ以外の部分を筺体10の側壁17にねじ等で締結する。
【0056】
続いて、第2シャフト34を中心として上側部材60を回転させる。詳しくは、上側部材60の溝63を第1シャフト33から外す方向へ上側部材60を回転させる。これにより、上側部材60が第1シャフト33に非係合の状態となり、中間部材50の上方に空間が形成される。そして、第1シャフト33に沿って、上側の中間部材50を上方へスライドさせる。続いて、第2シャフト34に沿って、上側部材60を下方へスライドさせる。さらに、上側部材60を先程と反対側へ回転させて、上側部材60の溝63を第1シャフト33に係合(嵌合)させる。これにより、上側部材60と上側の中間部材50とが、入れ替えられた状態となる。
【0057】
図12は、シャフト部材32を移動させた状態を示す正面図である。同図に示すように、続いて、下スライド部材36をスライド板部材31に締結しているねじ39を緩めて、シャフト部材32、下側部材40、中間部材50、及び上側部材60を、PCI基板20へ近付ける方向へ移動させる。このとき、スライド板部材31のスリット31aに沿って、第1シャフト33及び第2シャフト34をスライドさせる。なお、シャフト部材32がスリット31aから下へ落ちることは、落ち止め部材37により防がれる。
【0058】
そして、下側部材40、下側の中間部材50、及び上側部材60を、PCI基板20の第3辺23側の端面に当てる。詳しくは、下側部材40の溝42の底面42b、下側の中間部材50における溝52の底面52b、及び上側部材60の溝62の底面62bを、PCI基板20の第3辺23側の端面に当てる。このとき、下側部材40の溝42の底面42aがPCI基板20の第1辺21側の端面に当たった状態となり、上側部材60の溝62の底面62aがPCI基板20の第4辺24側の端面に当たった状態となる。
【0059】
これにより、PCI基板20の第1辺21の端部と第3辺23の端部とが、下側部材40によって挟まれた状態となる。また、PCI基板20の第3辺23の中間部が、下側の中間部材50によって挟まれた状態となる。さらに、PCI基板20の第4辺24の端部と第3辺23の端部とが、上側部材60によって挟まれた状態となる。ここで、下側部材40、2つの中間部材50、及び上側部材60は、スライド板部材31と上スライド部材35とによって、第1シャフト33及び第2シャフト34の軸線方向の外側から挟まれている。このため、下側部材40及び2つの中間部材50の第1シャフト33に沿ったスライドと、上側部材60の第2シャフト34に沿ったスライドとが規制されている。この状態で、下スライド部材36をスライド板部材31にねじ39で締結する。
【0060】
図13は、筺体10の中板13及び天板14を取り付けた状態を示す正面図である。同図に示すように、続いて中板13を取り付け、中板13に上スライド部材35をねじで締結する。これにより、筺体10にPCI基板20が固定された状態となる。最後に、筺体10に天板14を取り付ける。
【0061】
以上詳述した本実施形態は以下の利点を有する。
【0062】
・第3辺23に対して平行に、第3辺23に近い側の第1シャフト33と、第3辺23から遠い側の第2シャフト34とが、並列で設けられている。そして、第1シャフト33に沿ってスライド可能に下側部材40及び中間部材50が設けられており、下側部材40及び中間部材50により、PCI基板20の両面から第3辺23の端部と第1辺21の端部とが挟まれている。また、第2シャフト34に沿ってスライド可能に上側部材60が設けられており、第1シャフト33に係合した状態の上側部材60により、PCI基板20の両面から第3辺23の端部と第4辺24の端部とが挟まれている。このため、下側部材40、中間部材50、及び上側部材60により、PCI基板20の第3辺23がPCI基板20の板面に垂直な方向へ移動することが抑制される。
【0063】
・下側部材40における溝42の底面42aがPCI基板20の第1辺21側の端面に当たっており、第1シャフト33に係合した状態の上側部材60における溝62の底面62aが、PCI基板20の第4辺24側の端面に当たっている。そして、下側部材40、中間部材50、及び第1シャフト33に係合した状態の上側部材60が、第1シャフト33の軸線方向の外側からスライド板部材31と上スライド部材35とにより挟まれ、それら下側部材40、中間部材50、及び上側部材60の各スライドが規制されている。このため、下側部材40側へPCI基板20が移動することが、スライドの規制された下側部材40により抑制されるとともに、上側部材60側へPCI基板20が移動することが、スライドの規制された上側部材60により抑制される。
【0064】
・上側部材60を第1シャフト33に非係合の状態とすることにより、第2シャフト34に沿って上側部材60を下方へスライドさせるとともに、第1シャフト33に沿って中間部材50を上方へスライドさせることができる。そして、上側部材60を第1シャフト33に係合した状態とすることにより、上側部材60と中間部材50との位置を入れ替えることができる。したがって、PCI基板20の上下方向の幅に対応させて下側部材40と上側部材60との間隔を変更することができ、種々の寸法のPCI基板20を筺体10に固定することができる。
【0065】
・上側部材60と中間部材50とがいずれの位置関係にある場合でも、下側部材40、中間部材50、及び係合した状態の上側部材60の合計長さは変わらないため、それらを第1シャフト33の軸線方向の外側からスライド板部材31と上スライド部材35とにより挟むことができ、それら下側部材40、中間部材50、及び上側部材60の各スライドを規制することができる。このため、PCI基板20が第1シャフト33の軸線方向へ移動することを効果的に抑制することができ、振動のある環境下でもPCI基板20の電気的接続を安定して維持することができる。なお、第2辺22が筺体10に締結により固定されているため、PCI基板20が第1辺21の長さ方向へ移動することは、比較的容易に抑制することができる。
【0066】
・第2シャフト34を中心として上側部材60を回転させることにより、上側部材60を第1シャフト33に係合した状態と非係合の状態とを切り替えることができる。このため、上側部材60を第2シャフト34から取り外すことなく、係合した状態と非係合の状態とを切り替えることができる。したがって、上側部材60と中間部材50との位置を、容易に入れ替えることができるとともに、上側部材60の紛失を抑制することができる。その結果、工場など、筺体10を開放して作業するのに必ずしも適さない環境でも、作業の実施を可能とすることができる。
【0067】
・上側部材60には、第2シャフト34の挿通される貫通孔61と、第1シャフト33に係合される溝63とが設けられている。このため、上側部材60の構造が複雑化することを抑制しつつ、上側部材60を第1シャフト33に係合及び非係合可能に設けることができる。
【0068】
・中間部材50は複数設けられているため、下側部材40と上側部材60との間に配置される中間部材50の数を変更することにより、PCI基板20の上下方向の幅に対応させて下側部材40と上側部材60との間隔をより細かく変更することができる。したがって、種々の寸法のPCI基板20に対して、より柔軟に対応することができる。
【0069】
・第1シャフト33の断面形状が正方形とされており、下側部材40及び中間部材50において、この正方形の断面形状に対応した正方形の断面形状の貫通孔41,51に第1シャフト33が挿通されて嵌合している。このため、下側部材40及び中間部材50が第1シャフト33を中心として回転することを抑制することができる。その結果、下側部材40及び中間部材50により、PCI基板20の第3辺23がPCI基板20の面に垂直な方向へ移動することを効果的に抑制することができる。
【0070】
・中間部材50において第1シャフト33の軸線方向の全長にわたって溝52が設けられており、この溝52がPCI基板20の第3辺23に嵌合している。したがって、中間部材50において、より広い範囲でPCI基板20の両面から第3辺23を挟むことができ、PCI基板20の固定をより安定させることができる。
【0071】
・スライド板部材31、シャフト部材32等により、PCI基板20の第2辺22と第1シャフト33との間隔を調節することができるとともに、第1シャフト33及び第2シャフト34の並列な状態を維持することができる。このため、PCI基板20の第1辺21の長さに対応させて第2辺22と第1シャフト33との間隔を調整することができるとともに、上側部材60が第1シャフト33に係合及び非係合可能な状態を維持することができる。その結果、種々の寸法のPCI基板20に対して、より柔軟に対応することができる。
【0072】
上記実施形態を、以下のように変形して実施することもできる。なお、上記実施形態と同一の部材については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0073】
・図14に示すように、中間部材150の所定部分から側方へ四角柱状の一対の突出部153を突出させ、一対の突出部153の間に溝152を形成するようにしてもよい。こうした構成によっても、PCI基板20の第3辺23を溝152に係合(嵌合)させることにより、中間部材150によってPCI基板20の両面から第3辺23を挟むことができる。なお、中間部材150の両端から側方へ一対の突出部153を突出させる構成に限らず、中間部材150の任意の部分から側方へ一対の突出部153を突出させることができる。
【0074】
・図15に示すように、2つ(複数)の部品250A,250Bにより構成された中間部材250を採用することもできる。中間部材250は、対称形状の2つの部品250A,250Bにより構成されており、全体の形状は上述した中間部材50と同一になっている。部品250A,250Bは、分離及び組立可能に形成されている。こうした構成によれば、シャフト部材32をPCI基板20に近づけた位置に移動させた後、部品250A,250Bを組み立てて、中間部材250によりPCI基板20の両面から第3辺23を挟むことができる。また、第1シャフト33に沿って中間部材250をスライドさせることもできる。なお、同様にして、上側部材60及び下側部材40を、分離及び組立可能に形成することもできる。
【0075】
・図16に示すように、第1シャフト33の断面形状を三角形にするとともに、この三角形の断面形状に対応した三角形の断面形状を有する貫通孔141を、下側部材140に設けるようにしてもよい。下側部材140のその他の構成は、上述した下側部材40と同一である。この場合には、中間部材50及び上側部材60においても、貫通孔51及び貫通孔61をそれぞれ三角形の断面形状にする必要がある。こうした構成によっても、下側部材140等が第1シャフト33を中心として回転することを抑制することができる。なお、第1シャフト33、貫通孔141の断面形状は三角形に限らず、長方形や六角形等、非円形の断面形状を採用することができる。
【0076】
・図17に示すように、上述した上側部材60の貫通孔61に代えて、溝164を設けた上側部材160を採用することもできる。上側部材160のその他の構成は、上側部材60と同一である。溝164は、貫通孔61の径と同一の幅で形成されており、貫通孔61と同様に延びている。こうした構成によっても、第2シャフト34を中心として上側部材160を回転させることにより、上側部材160を第1シャフト33に係合した状態と非係合の状態とを切り替えることができる。このため、上側部材160を第2シャフト34から取り外すことなく、係合した状態と非係合の状態とを切り替えることができる。なお、溝164を溝63と同一の方向に開口するように形成することもできるが、上側部材160が第2シャフト34から外れることを抑制する上では、溝164を溝63と反対の方向に開口するように形成することが望ましい。また、溝164の開口部を塞ぐように蓋等を設けてもよい。
【0077】
・上記実施形態では、初期状態において、下側部材40と上側部材60との間に2つの中間部材50を設けるようにしたが、この中間部材50の数を1つや、3つ以上にしてもよい。中間部材50の数を増やした場合には、下側部材40と上側部材60との間隔をよく細かく変更することができるため、種々の寸法のPCI基板20に対して、より柔軟に対応することができる。
【0078】
・上記実施形態では、下側部材40、中間部材50、及び第1シャフト33に係合した状態の上側部材60が、第1シャフト33の軸線方向の外側からスライド板部材31と上スライド部材35とにより挟まれ、それら下側部材40、中間部材50、及び上側部材60の各スライドが規制されるようにした。しかしながら、下スライド部材36をスライド板部材31の上側に配置するようにして、下スライド部材36(規制部材)と上スライド部材35とで、下側部材40、中間部材50、及び第1シャフト33に係合した状態の上側部材60を、第1シャフト33の軸線方向の外側から挟むようにしてもよい。こうした構成によっても、下側部材40、中間部材50、及び上側部材60の各スライドを規制することができる。
【0079】
・上記実施形態では、スライド板部材31、第1シャフト33、第2シャフト34、下スライド部材36、及び落ち止め部材37によって、PCI基板20の第2辺22と第1シャフト33との間隔を調節する調節機構を構成した。しかしながら、調節機構は、第1シャフト33及び第2シャフト34の並列な状態を維持しつつ、PCI基板20の第2辺22と第1シャフト33との間隔を調節できるものであればよく、任意の構成を採用することができる。
【0080】
・上記実施形態では、PCI基板20が床面に対して垂直に配置される構成を採用したが、PCI基板が水平(床面に対して平行)に配置される構成等を採用することもできる。こうした構成であっても、下側部材40、中間部材50、及び係合した状態の上側部材60が第1シャフト33の軸線方向の外側からスライド板部材31と上スライド部材35とにより挟まれ、それら下側部材40、中間部材50、及び上側部材60の各スライドが規制される。このため、PCI基板20が第1シャフト33の軸線方向へ移動することを効果的に抑制することができ、振動のある環境下でもPCI基板20の電気的接続を安定して維持することができる。
【0081】
・矩形状に形成されるとともに、拡張スロットに差し込まれる差込部、電気回路等を備えるプリント基板であれば、PCI基板に限らず、上述した固定構造を適用することができる。
【符号の説明】
【0082】
10…筺体、15…マザーボード、16…PCIスロット(接続スロット)、20…PCI基板(プリント基板)、21…第1辺、22…第2辺、23…第3辺、24…第4辺、25…差込部、31…スライド板部材(規制部材)、32…シャフト部材、33…第1シャフト、34…第2シャフト、35…上スライド部材(規制部材)、36…下スライド部材、40,140…下側部材(第1部材)、50,150,250…中間部材(第2部材)、60,160…上側部材(第3部材)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状のプリント基板の第1辺に設けられた差込部を接続スロットに差し込んで電気的に接続するとともに、前記基板において前記第1辺に直交する第2辺及び第3辺のうち前記第2辺を筺体に締結により固定するプリント基板の固定構造であって、
前記第3辺に対して平行に並列で設けられ、前記第3辺に近い側の第1シャフト及び前記第3辺から遠い側の第2シャフトと、
前記第1シャフトに沿ってスライド可能に設けられ、前記基板の両面から前記第3辺を挟むとともに、前記基板の前記第1辺側の端面に当たる第1部材と、
前記第1シャフトに沿ってスライド可能に設けられ、前記基板の両面から前記第3辺を挟む第2部材と、
前記第2シャフトに沿ってスライド可能、且つ前記第1シャフトに係合及び非係合可能に設けられ、前記係合した状態において、前記基板の両面から前記第3辺を挟むとともに、前記基板において前記第1辺に平行な第4辺側の端面に当たる第3部材と、
前記第1部材、前記第2部材、及び前記係合した状態の前記第3部材を、前記第1シャフトの軸線方向の外側から挟んで、それら第1部材、第2部材、及び第3部材の各スライドを規制する規制部材と、
を備えることを特徴とするプリント基板の固定構造。
【請求項2】
前記第3部材は、前記第2シャフトを中心として回転可能に設けられることにより、前記第1シャフトに係合及び非係合可能に設けられている請求項1に記載のプリント基板の固定構造。
【請求項3】
前記第3部材には、前記第2シャフトの挿通される貫通孔と、前記第1シャフトに係合される溝とが設けられている請求項2に記載のプリント基板の固定構造。
【請求項4】
前記第2部材は複数設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載のプリント基板の固定構造。
【請求項5】
前記第1シャフトの断面形状は非円形とされており、
前記第1部材及び前記第2部材には、前記第1シャフトが挿通されて嵌合する貫通孔が前記断面形状に対応した形状で設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載のプリント基板の固定構造。
【請求項6】
前記第2部材には、前記第1シャフトの軸線方向において全長にわたって溝が設けられており、
前記第2部材は、前記溝が前記第3辺に嵌合することにより、前記基板の両面から前記第3辺を挟んでいる請求項1〜5のいずれか1項に記載のプリント基板の固定構造。
【請求項7】
前記第1シャフト及び前記第2シャフトの前記並列な状態を維持しつつ、前記第2辺と前記第1シャフトとの間隔を調節する調節機構を備える請求項1〜6のいずれか1項に記載のプリント基板の固定構造。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のプリント基板の固定構造を備える生産機器のコントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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