説明

プリント基板固定構造及びチューナユニット

【課題】シャーシに対してプリント基板を固定するプリント基板固定構造及びそれを備えたチューナユニットであって、プリント基板を固定するための手作業による半田付け部分を削減でき、これにより生産性を向上させることができるプリント基板固定構造及びそれを備えたチューナユニットを提供する。
【解決手段】シャーシ12に対してプリント基板11を固定するプリント基板固定構造10Aにおいて、シャーシ12は、プリント基板11の外側面11’を囲繞するシャーシ枠体13と、シャーシ枠体13内の空間を仕切るシールド板14とを備え、シャーシ枠体13の内壁面13aには、プリント基板11をシールド板14との間で係止するための基板止め部15が配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、高周波受信用チューナ基板のようなプリント基板をシャーシに対して固定するプリント基板固定構造及びそれを備えたチューナユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器に設けられるプリント基板は、一般的に、フレーム等に固定配置された状態で電子機器の筐体内に保持される。特に、高周波受信用チューナ(例えばテレビジョン受信用チューナ)に設けられるプリント基板のように高周波回路を備えたプリント基板を固定する場合には、プリント基板の外側面を囲繞するシャーシ枠体を備えたシャーシにプリント基板が固定保持されるようになっている。詳しくは、従来のプリント基板固定構造では、シャーシを構成するシャーシ枠体に、プリント基板を固定するための固定手段が設けられ、この固定手段にてプリント基板が保持されると共に、固定手段とプリント基板とが半田で接合されてプリント基板が固定されるようになっている(例えば、下記特許文献1〜5参照)。
【0003】
また、シャーシには、シャーシ枠体内の空間を仕切るシールド板が備えられる場合もある。図9は、シャーシ枠体及びシールド板を備えたシャーシに対してプリント基板を固定する従来のプリント基板固定構造の一例を概略的に示す分解斜視図である。以下、プリント基板として、テレビジョン受信用チューナ基板を例にとって、チューナユニット100を製造する場合について説明する。
【0004】
チューナユニット100を製造する際には、まず、プリント基板101上に、図示しない抵抗器や容量キャパシタなどの部品をマウントする。次に、マウントを行ったプリント基板101に、図示しない空芯コイルや表面弾性波(SAW)フィルタなどの挿入部品を挿入する。最後に、挿入部品を実装したプリント基板101をシャーシ102と一体化する組み込み作業を行う。
【0005】
シャーシ102は、所定の形態となっており、例えば、プリント基板101の外側面を囲繞するシャーシ枠体103と、シャーシ枠体103内の空間を仕切るシールド板104と、プリント基板101を両側の面から覆うようにシャーシ枠体103に設けられる一対のシールド蓋105,106とを備えている。シールド板104には、プリント基板101に対向する側の端部に、プリント基板101に向けて延びる突起104aが設けられている。また、プリント基板101には、シールド板104の突起104aを挿通する突起用孔101aが基板上のランドに設けられている。
【0006】
前記組み込み作業では、シャーシ102におけるシールド板104の突起104aをプリント基板101の突起用孔101aに挿入した状態で、基板上のランドにおいて突起104aの半田付けを行い、シャーシ102とプリント基板101とを一体化する。この際、作業者は、プリント基板101に設けられたランドに予備半田を形成し、この予備半田とシャーシ102の突起104aとを手作業で半田付けしている。
【0007】
ところが、従来のプリント基板固定構造では、次のよう不都合があった。即ち、手作業による半田付け状態のバラツキのため、半田付け不良の懸念があり、また、半田付け不良が発生した場合には、その修復作業等で生産効率が悪化し、ひいては製造コストにも影響があった。例えば、チューナ等を製造する際には、プリント基板101とシャーシ102とは7箇所から10箇所程度の半田付けにより固定され、この半田付け部分のうち3箇所から5箇所は手作業によって半田付けを行うことが多い。手作業という観点から作業者の能力による差が大きくなり、不良が多発する可能性が高い。また、不良半田部分であっても、外見上は良品半田と区別がつき難いため、半田付け不良自体の発見も困難である。
【0008】
また、プリント基板101の回路構成はそのままでそれに接続される端子107だけを変更したい等の要求がある場合、端子107のみの変更であるにも拘わらず、シャーシ102全体での設計変更を伴うこととなり、それに要する時間とコストがかかっていた。
【0009】
さらに、要求仕様或いは特性の向上等により、大幅な回路変更の必要が生じた場合、シャーシ102に取り付けたプリント基板101上でチップを半田コテ等の手作業で交換する必要があった。一方、回路内で小変更を行う場合でも、回路変更前のプリント基板101について一枚全部を交換することがあり、無駄が多かった。
【特許文献1】実開昭62−128690号公報
【特許文献2】実開平3−48284号公報
【特許文献3】実開平4−79486号公報
【特許文献4】特開平9−260884号公報
【特許文献5】特開平11−121946号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、シャーシに対してプリント基板を固定するプリント基板固定構造及びそれを備えたチューナユニットであって、プリント基板を固定するための手作業による半田付け部分を削減でき、これにより生産性を向上させることができるプリント基板固定構造及びそれを備えたチューナユニットを提供することを一の目的とする。
【0011】
さらに、本発明は、たとえプリント基板の仕様変更があっても、それに柔軟に対応でき、それだけ生産性の向上を図ることができるプリント基板固定構造及びそれを備えたチューナユニットを提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、前記課題を解決するために、次の第1及び第2態様のプリント基板固定構造並びにチューナユニットを提供する。
(1)第1態様のプリント基板固定構造
シャーシに対してプリント基板を固定するプリント基板固定構造であって、前記シャーシは、前記プリント基板の外側面を囲繞するシャーシ枠体と、前記シャーシ枠体内の空間を仕切るシールド板とを備え、前記シャーシ枠体の内壁面には、前記プリント基板を前記シールド板との間で係止するための基板止め部が配設されていることを特徴とするプリント基板固定構造。
(2)第2態様のプリント基板固定構造
シャーシに対してプリント基板を固定するプリント基板固定構造であって、前記シャーシは、前記プリント基板の外側面を囲繞するシャーシ枠体と、前記シャーシ枠体内の空間を仕切るシールド板とを備え、前記プリント基板は前記シールド板にて仕切られた空間に対応して分割されており、前記シャーシ枠体の内壁面及び前記シールド板の壁面のうち、前記プリント基板の分割された各分割基板を囲む面には、該各分割基板を双方の面から固定できるように構成された基板止め部が配設されていることを特徴とするプリント基板固定構造。
(3)チューナユニット
前記本発明に係る第1又は第2態様のプリント基板固定構造を備えていることを特徴とするチューナユニット。
【0013】
本発明に係る第1態様のプリント基板固定構造及びそれを備えたチューナユニットによれば、前記シャーシ枠体の内壁面には、前記プリント基板を前記シールド板との間で係止するための前記基板止め部が配設されているので、前記シャーシ枠体と前記シールド板と前記基板止め部とで前記プリント基板を固定することができる。従って、前記プリント基板を固定するための手作業による半田付け部分を削減でき、これにより生産性の向上を図ることができる。
【0014】
本発明に係る第2態様のプリント基板固定構造及びそれを備えたチューナユニットによれば、前記プリント基板は前記シールド板にて仕切られた空間に対応して分割されており、前記シャーシ枠体の内壁面及び前記シールド板の壁面のうち、前記プリント基板の分割された各分割基板を囲む面には、該各分割基板を双方の面から固定できるように構成された前記基板止め部が配設されているので、前記シャーシ枠体及び前記シールド板のうちの前記各分割基板を囲む部材と前記基板止め部とで該各分割基板を固定することができる。従って、前記プリント基板を固定する為の手作業による半田付け部分を削減でき、これにより生産性の向上を図ることができると共に、前記プリント基板が細分化されているので、たとえ該プリント基板の仕様変更があっても、それに柔軟に対応でき、それだけ生産性の向上を図ることができる。
【0015】
本発明に係る第1態様のプリント基板固定構造において、前記基板止め部は、前記プリント基板を双方の面から固定できるように構成されていてもよい。この場合、前記シャーシ枠体と前記基板止め部とで前記プリント基板を固定することができる。
【0016】
本発明に係る第1及び第2態様のプリント基板固定構造の具体的態様として、次のものを例示できる。即ち、
(a)前記プリント基板に電気的に接続される端子をさらに備え、前記シャーシ枠体には、前記端子を挿通するための貫通孔が設けられ、前記端子は、前記シャーシ枠体の前記貫通孔に対して着脱可能に設けられている態様、
(b)前記プリント基板に電気的に接続されると共に該プリント基板に固定された端子をさらに備え、前記シャーシ枠体には、前記端子を挿通するための貫通孔が設けられ、前記端子は、前記プリント基板との固定状態で前記シャーシ枠体の前記貫通孔に挿通されている態様である。
【0017】
前記(a)の態様の場合、前記端子と前記シャーシ枠体の前記貫通孔とが螺合されるように構成されていてもよい。また、前記シャーシ枠体の前記貫通孔には、径方向内方に向けて延びる複数の係止部が周方向に沿って設けられ、前記端子の前記貫通孔への挿通側の端部には、該端子が該貫通孔へ挿通されて軸線回りに回転されることで該貫通孔における前記複数の係止部に対して軸線回り回転可能且つ軸線方向移動不能に係合される複数の係合部が周方向に沿って設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によると、プリント基板を固定するための手作業による半田付け部分を削減でき、これにより生産性を向上させることができるプリント基板固定構造及びそれを備えたチューナユニットを提供することができる。
【0019】
さらに、本発明によると、たとえプリント基板の仕様変更があっても、それに柔軟に対応でき、それだけ生産性の向上を図ることができるプリント基板固定構造及びそれを備えたチューナユニットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るプリント基板固定構造10Aを備えたチューナユニットAの概略構成を示す斜視図である。このプリント基板固定構造10Aは、シャーシ12を備え、このシャーシ12に対してプリント基板11を固定するようになっている。
【0021】
プリント基板11は、例えば、テレビジョン受信用プリント基板のような高周波回路を備えたプリント基板とされている。詳しくは、プリント基板11は矩形状のものとされており、該基板11上には、例えば、図示しない抵抗器や容量キャパシタなどの部品、或いは図示しない空芯コイルやSAWフィルタなどが実装されている。
【0022】
シャーシ12は、シャーシ枠体13及びシールド板14を備えている。シャーシ枠体13は、プリント基板11の外側面11’を囲繞する金属製の枠体とされている。詳しくは、シャーシ枠体13は、プリント基板11の外側面11’の四方から覆うように形成した金属枠体である。シールド板14は、シャーシ枠体13内の空間を仕切る金属製のシールド板とされている。詳しくは、シールド板14は、プリント基板11の個別の回路部分を電気的に遮蔽できるように該基板11上の実装部品を仕切る隔室を形成している。
【0023】
本実施の形態では、チューナユニットAは、さらに一対のシールド蓋21,22を備えている。一対のシールド蓋21,22は、それぞれ、プリント基板11を一方の面及び他方の面を覆うようにシャーシ枠体13に設けられている。これにより、チューナユニットAは、シャーシ枠体13及び一対のシールド蓋21,22によって、プリント基板11全体を覆うようになっている。なお、シャーシ枠体13及び一対のシールド蓋21,22でシールドケースを構成している。
【0024】
また、シールド板14には、プリント基板11に対向する側の端部に、該基板11に向けて延びる突起14aが設けられている。プリント基板11には、シールド板14の突起14aを挿通する突起用孔11”が基板上のランドに設けられている。この突起用孔11”にシールド板14の突起14aを挿入した状態で、基板上のランドにおいて突起14aが手作業にて半田付けされる。
【0025】
そして、シャーシ枠体13の内壁面13aには、プリント基板11をシールド板14との間で係止するための基板止め部15が配設されている。即ち、基板止め部15は、プリント基板11を、シールド板14とは反対側の面から固定できるように構成されている。
【0026】
図2は、図1に示すプリント基板固定構造10Aの基板止め部15部分を概略的に示す断面図である。
【0027】
プリント基板11は、図2に示すように、シャーシ枠体13の内壁面13aによって基板厚み方向(図中矢印X方向)に直交する方向(図中矢印Y方向)に移動不能に保持されると共に、シールド板14の基板側端面14bと基板止め部15とによって基板厚み方向Xに移動不能に保持されるようになっている。
【0028】
第1実施形態のプリント基板固定構造10Aによれば、シャーシ枠体13に基板止め部15を配設することで、シールド板14の突起14a及びプリント基板11の突起用孔11”の数を従来よりも減らすことができ、従って、該基板11を固定するための手作業による半田付け部分を減らすことができる。このため、生産工程での半田不良を減らすことが可能となり、トータル的に生産コストを低く抑えることができる。
【0029】
このプリント基板固定構造10Aについてさらに具体的に説明すると、基板止め部15は、弾性を有しており、シャーシ枠体13の内壁面13aの所定位置に形成されている。基板止め部15は、シャーシ枠体13の外壁面13a’からプレス加工によって内側に突出するように内側から視て凸状に(外側から視て凹状に)に形成されている。
【0030】
また、基板止め部15は、互いに対向する位置に設けられた一対の基板止め部15a,15bを複数対備えている。プリント基板11は、シャーシ12に固定保持されるにあたり、基板止め部15を基準にしてシャーシ枠体13のシールド板14側とは反対側から挿入され、互いに対向する位置に設けられた一対の基板止め部15a、15bの間隔Dを若干押し広げながら該基板止め部15a,15bを撓ませて弾性変形させつつ乗り上げ、該基板止め部15a,15bとシールド板14との間に嵌入される。なお、シャーシ枠体13と基板止め部15a,15bとの間にはプリント基板11の厚みdに相当する間隔が設けられており、この隙間に該基板11が配置される。これにより、シャーシ枠体13の内壁面13aとシールド板14の基板側端面14bと基板止め部15a,15bとでプリント基板11が固定保持されるようになっている。
【0031】
本第1実施形態においては、基板止め部15は、プリント基板11を双方の面から固定できるように構成されていてもよい。
【0032】
図3は、図1に示すプリント基板固定構造10Aにおいて、プリント基板11を双方の面から固定できるように構成した基板止め部15の一例を示す図であって、基板止め部15部分を概略的に示す断面図である。
【0033】
図3に示す基板止め部15は、プリント基板11の一方の面を保持する第1基板止め部151と、プリント基板11の他方の面を保持する第2基板止め部152とからなっている。
【0034】
プリント基板11は、シャーシ枠体13の内壁面13aによって基板厚み方向Xに直交する方向Yに移動不能に保持されると共に、第1基板止め部151と第2基板止め部152とによって基板厚み方向Xに移動不能に保持されるようになっている。
【0035】
この第1及び第2基板止め部151,152は、前記した基板止め部15と同様に形成することができる。即ち、基板止め部151,152は、弾性を有しており、シャーシ枠体13の内壁面13aの所定位置に形成されている。基板止め部151,152は、シャーシ枠体13の外壁面13a’からプレス加工によって内側に突出するように内側から視て凸状に(外側から視て凹状に)に形成されている。
【0036】
また、基板止め部151,152は、互いに対向する位置に設けられた一対の基板止め部(151a,152a),(151b,152b)を複数対備えている。プリント基板11は、シャーシ12に固定保持されるにあたり、基板止め部151,152を基準にしてシャーシ枠体13のシールド板14側とは反対側から挿入され、互いに対向する位置に設けられた第2基板止め部152a,152bの間隔Dを若干押し広げながら該第2基板止め部152a,152bを撓ませて弾性変形させつつ乗り上げ、第1基板止め部151a,151bと第2基板止め部152a,152bとの間に嵌入される。なお、第1及び第2基板止め部151,152は、プリント基板11の厚みdに相当する間隔で配設されており、この隙間に該基板11が配置される。これにより、シャーシ枠体13の内壁面13aと第1基板止め部151a,151bと第2基板止め部152a,152bとでプリント基板11が固定保持されるようになっている。
【0037】
また、本第1実施形態において、プリント基板11に電気的に接続される1又は複数(ここでは2個)の端子16をさらに備え、シャーシ枠体13には、1又は複数の端子16をそれぞれ挿通するための1又は複数の貫通孔13bが設けられ、端子16は、シャーシ枠体13の貫通孔13bに対して着脱可能に接合されてもよい。こうすることで、シャーシ枠体13の共通化が容易となり、仕様毎に端子を含めたシャーシを作製する手間を省くことができ、オプショナル対応が可能となる。例えば、地上波デジタルテレビジョン放送、地上波アナログテレビジョン放送、衛星放送等の複数種の放送を受信できるテレビジョン等に搭載されるチューナユニットの生産において有効に利用することが可能である。
【0038】
図4は、図1に示すプリント基板固定構造10Aにおいて、端子16をシャーシ枠体13の貫通孔13bに対して着脱可能に設ける構成の一例を概略的に示す斜視図である。
【0039】
図4に示すプリント基板固定構造では、端子16とシャーシ枠体13の貫通孔13bとが螺合されるように構成されている。詳しくは、端子16は、円柱状のものとされており、端子16のシャーシ枠体13側端部16aの外周面には、ネジ加工が施されることで雄ネジ16a’が形成されている。また、シャーシ枠体13の貫通孔13bは、円形状のものとされており、貫通孔13bの内周面には、端子16の雄ネジ16a’と螺合するようにネジ加工が施されることで雌ネジ13b’が形成されている。かかる構成を備えたプリント基板固定構造10Aでは、端子16をシャーシ枠体13の貫通孔13bに対して軸線回り一方向又は他方向に回転させることで雄ネジ16a’及び雌ネジ13b’が螺合又は離脱して端子16を貫通孔13bに対して装着又は離脱することができる。
【0040】
また、図5は、図1に示すプリント基板固定構造10Aにおいて、端子16をシャーシ枠体13の貫通孔13bに対して着脱可能に設ける構成の他の例を概略的に示す図であって、図5(a)は、その斜視図であり、図5(b)は、端子16及び貫通孔13bの係合状態を示す側面図であり、図5(c)は、図5(b)におけるb−b線に沿った断面図である。
【0041】
図5に示すプリント基板固定構造では、シャーシ枠体13の貫通孔13bには、径方向内方に向けて延びる複数の係止部13b”が所定間隔をおいて周方向に沿って設けられている。端子16の貫通孔13bへの挿通側の端部16aには、該端子16が該貫通孔13bへ挿通されて軸線回りに回転されることで該貫通孔13bにおける複数の係止部13b”に対して軸線回り回転可能且つ軸線方向移動不能にそれぞれ係合される複数の係合部(ここでは周方向に延びる係合溝)16a”が所定間隔をおいて周方向に沿って設けられている。かかる構成を備えたプリント基板固定構造10Aでは、端子16をシャーシ枠体13の貫通孔13bに対して軸線回り一方向又は他方向に回転させることで係止部13b” 及び係合部16a”が所定の係合位置で係合又は所定の離脱位置で離脱して端子16をシャーシ枠体13の装着又は離脱することができる。
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態に係るプリント基板固定構造10Bの概略構成を示す斜視図である。
【0042】
図6に示すプリント基板固定構造10Bにおいて、第1実施形態のプリント基板固定構造10Aと実質的に同じ部材には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0043】
プリント基板11は、シールド板14にて仕切られた隔室より若干小さいサイズに(ここでは四つの分割基板11a〜11dに)分割されている。そして、プリント基板11の分割された各分割基板11a〜11dは、シールド板14にて仕切られた隔室に配置される。
【0044】
シャーシ枠体13の内壁面13a及びシールド板14の壁面14cのうち各分割基板11a〜11dを囲む面には、該各分割基板11a〜11dを双方の面から固定できるように構成された基板止め部17が配設されている。
【0045】
本第2実施形態のプリント基板固定構造10Bによれば、第1実施形態のプリント基板固定構造10Aの効果に加えて、次の効果を奏する。即ち、プリント基板11を分割するので、回路の一部分を設計変更する際には、設計変更によるコストを削減できる上、変更部分の分割基板のみを再生産すればよいので、設計変更により基板11全体を入れ替えるといった無駄をなくすことができ、再生産にかかるコストも安価にできる。
【0046】
なお、基板止め部17は、第1実施形態のプリント基板固定構造10Aで説明した図3の基板止め部15と同様の構成とすることができる。
【0047】
即ち、図7は、図6に示すプリント基板固定構造10Bにおける基板止め部17の一例を示す図であって、基板止め部17部分を概略的に示す断面図である。
【0048】
図7に示す基板止め部17は、各分割基板11a〜11dの一方の面を保持する第1基板止め部171と、各分割基板11a〜11dの他方の面を保持する第2基板止め部172とからなっている。
【0049】
各分割基板11a〜11dは、シャーシ枠体13の内壁面13a及びシールド板14の壁面14cのうち該各分割基板11a〜11dを囲む面によって基板厚み方向Xに直交する方向Yに移動不能に保持されると共に、第1基板止め部171と第2基板止め部172とによって基板厚み方向Xに移動不能に保持されるようになっている。
【0050】
第1及び第2基板止め部171,172は、弾性を有しており、シャーシ枠体13の内壁面13aやシールド板14の壁面14cの所定位置に形成されている。基板止め部171,172は、シャーシ枠体13の外壁面13a’やシールド板14の壁面14c’からプレス加工によって内側に突出するように内側から視て凸状に(外側から視て凹状に)に形成されている。
【0051】
また、基板止め部171,172は、互いに対向する位置に設けられた一対の基板止め部(171a,172a),(171b,172b)を複数対備えている。プリント基板11は、シャーシ12に固定保持されるにあたり、シャーシ枠体13の隔室に挿入され、互いに対向する位置に設けられた一対の基板止め部のうち一方(例えば、第2基板止め部172a,172b)の間隔Dを若干押し広げながら該一方の基板止め部172a,172bを撓ませて弾性変形させつつ乗り上げ、第1基板止め部171a,171bと第2基板止め部172a,172bとの間に嵌入される。なお、第1及び第2基板止め部171,172は、各分割基板11a〜11dの厚みdに相当する間隔で配設されており、この隙間に該各分割基板11a〜11dが配置される。これにより、シャーシ枠体13の内壁面13aやシールド板14の壁面14cと第1基板止め部171a,171bと第2基板止め部172a,172bとでプリント基板11が固定保持されるようになっている。
【0052】
この第2実施形態のプリント基板固定構造10Bにおいても、第1実施形態のプリント基板固定構造10Aと同様、シャーシ枠体13には、1又は複数の端子16をそれぞれ挿通するための1又は複数の貫通孔13bが設けられ、端子16は、シャーシ枠体13の貫通孔13bに対して着脱可能に接合され得る。従って、図4及び図5に示す構成とすることができる。
【0053】
ところで、前記した構成では、端子16のアース部分とシャーシ12とが電気的に接続される一方、端子16の信号部分及びアース部分とプリント基板11の信号部分及びアース部分とがそれぞれ接続されていない状態でプリント基板11がシャーシ12に取り付けられる。このため、プリント基板11をシャーシ12に取り付けた後、端子16の信号部分及びアース部分とプリント基板11の信号部分及びアース部分とをそれぞれ電気的に接続する必要があり、組み立て作業性が良くない。かかる観点から、前記第1及び第2実施形態のプリント基板固定構造10A,10Bにおいては、プリント基板11の信号部分及びアース部分に電気的に接続されると共に該基板11に固着された端子16を備え、シャーシ枠体13には、端子16を挿通するための貫通孔13bが設けられ、端子16は、プリント基板11に固着された状態でシャーシ枠体13の貫通孔13bに挿通される構成を例示できる。これについて図8を参照しながら図6に示すプリント基板固定構造10Bを例にとって以下に説明する。
【0054】
図8は、図6に示すプリント基板固定構造10Bにおいて、端子16がプリント基板11に固着された状態でシャーシ枠体13の貫通孔13bに挿通される構成の一例を概略的に示す分解斜視図である。なお、図8では、プリント基板11を2分割した場合を例示しており、一方の分割基板11aは図示を省略している。
【0055】
図8に示すプリント基板固定構造では、1又は複数の端子16の少なくとも一つは、プリント基板11の信号部分及びアース部分に電気的に接続されて固着されている。端子16を固着したプリント基板11は、該端子16をシャーシ枠体13の貫通孔13bに挿入しつつ、シャーシ枠体13(ここではシャーシ枠体13の隔室)に挿入されて基板止め部にて固定されるようになっている。かかる構成を備えたプリント基板固定構造10Bでは、端子16の中心導体(信号部分)及び基板11(ここでは分割基板11e)の信号回路部、並びに、端子16のアース部分及び基板11(ここでは分割基板11e)のアース部分を予め電気的に接続させておくことができる。これにより、組み立て作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプリント基板固定構造を備えたチューナユニットの概略構成を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示すプリント基板固定構造の基板止め部部分を概略的に示す断面図である。
【図3】図1に示すプリント基板固定構造において、プリント基板を双方の面から固定できるように構成した基板止め部の一例を示す図であって、基板止め部部分を概略的に示す断面図である。
【図4】図1に示すプリント基板固定構造において、端子をシャーシ枠体の貫通孔に対して着脱可能に設ける構成の一例を概略的に示す斜視図である。
【図5】図1に示すプリント基板固定構造において、端子をシャーシ枠体の貫通孔に対して着脱可能に設ける構成の他の例を概略的に示す図であって、図(a)は、その斜視図であり、図(b)は、端子及び貫通孔の係合状態を示す側面図であり、図(c)は、図(b)におけるb−b線に沿った断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るプリント基板固定構造の概略構成を示す分解斜視図である。
【図7】図6に示すプリント基板固定構造における基板止め部の一例を示す図であって、基板止め部部分を概略的に示す断面図である。
【図8】図6に示すプリント基板固定構造において、端子がプリント基板に固着された状態でシャーシ枠体の貫通孔に挿通される構成の一例を概略的に示す分解斜視図である。
【図9】シャーシ枠体及びシールド板を備えたシャーシに対してプリント基板を固定する従来のプリント基板固定構造の一例を概略的に示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
10A,10B プリント基板固定構造
11 プリント基板
11’ プリント基板の外側面
11a〜11e 分割基板
12 シャーシ
13 シャーシ枠体
13a シャーシ枠体の内壁面
13b 貫通孔
13b” 貫通孔の係止部
14 シールド板
14c’ シールド板の壁面
15 基板止め部
16 端子
16a” 端子の係合部
17 基板止め部
A チューナユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャーシに対してプリント基板を固定するプリント基板固定構造であって、
前記シャーシは、前記プリント基板の外側面を囲繞するシャーシ枠体と、前記シャーシ枠体内の空間を仕切るシールド板とを備え、
前記シャーシ枠体の内壁面には、前記プリント基板を前記シールド板との間で係止するための基板止め部が配設されていることを特徴とするプリント基板固定構造。
【請求項2】
請求項1記載のプリント基板固定構造において、
前記基板止め部は、前記プリント基板を双方の面から固定できるように構成されていることを特徴とするプリント基板固定構造。
【請求項3】
シャーシに対してプリント基板を固定するプリント基板固定構造であって、
前記シャーシは、前記プリント基板の外側面を囲繞するシャーシ枠体と、前記シャーシ枠体内の空間を仕切るシールド板とを備え、
前記プリント基板は前記シールド板にて仕切られた空間に対応して分割されており、
前記シャーシ枠体の内壁面及び前記シールド板の壁面のうち、前記プリント基板の分割された各分割基板を囲む面には、該各分割基板を双方の面から固定できるように構成された基板止め部が配設されていることを特徴とするプリント基板固定構造。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一つに記載のプリント基板固定構造において、
前記プリント基板に電気的に接続される端子をさらに備え、
前記シャーシ枠体には、前記端子を挿通するための貫通孔が設けられ、
前記端子は、前記シャーシ枠体の前記貫通孔に対して着脱可能に設けられていることを特徴とするプリント基板固定構造。
【請求項5】
請求項4記載のプリント基板固定構造において、
前記端子と前記シャーシ枠体の前記貫通孔とが螺合されるように構成されていることを特徴とするプリント基板固定構造。
【請求項6】
請求項4記載のプリント基板固定構造において、
前記シャーシ枠体の前記貫通孔には、径方向内方に向けて延びる複数の係止部が周方向に沿って設けられ、
前記端子の前記貫通孔への挿通側の端部には、該端子が該貫通孔へ挿通されて軸線回りに回転されることで該貫通孔における前記複数の係止部に対して軸線回り回転可能且つ軸線方向移動不能に係合される複数の係合部が周方向に沿って設けられていることを特徴とするプリント基板固定構造。
【請求項7】
請求項1から3の何れか一つに記載のプリント基板固定構造において、
前記プリント基板に電気的に接続されると共に該プリント基板に固定された端子をさらに備え、
前記シャーシ枠体には、前記端子を挿通するための貫通孔が設けられ、
前記端子は、前記プリント基板との固定状態で前記シャーシ枠体の前記貫通孔に挿通されていることを特徴とするプリント基板固定構造。
【請求項8】
請求項1から7の何れか一つに記載のプリント基板固定構造を備えていることを特徴とするチューナユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−81277(P2009−81277A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−249550(P2007−249550)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】