プリント装置
【課題】 用紙搬送路上の複数の用紙の相対位置を正確に検出できるようにして、用紙上への画像記録位置のばらつき等の問題を解消したプリント装置を提供する。
【解決手段】 用紙搬送路上の各搬送ローラやプラテンローラなどをステッピングモータによって駆動するとともに、その1ステップの駆動の後に用紙搬送路上のすべてのセンサの検出内容を同時に取り込んでメモリに記憶し、ステッピングモータのステップが進むまではそのメモリの内容を参照して各センサの位置における用紙の有無を読み取る。上記ステッピングモータのステップ動作とセンサの読み取りはタイマー割り込みによる割り込み処理で行う。
【解決手段】 用紙搬送路上の各搬送ローラやプラテンローラなどをステッピングモータによって駆動するとともに、その1ステップの駆動の後に用紙搬送路上のすべてのセンサの検出内容を同時に取り込んでメモリに記憶し、ステッピングモータのステップが進むまではそのメモリの内容を参照して各センサの位置における用紙の有無を読み取る。上記ステッピングモータのステップ動作とセンサの読み取りはタイマー割り込みによる割り込み処理で行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、用紙搬送路に沿って用紙を搬送するとともに画像記録を行うプリント装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば感熱記録材料に対しサーマルヘッドを接触させて画像記録を行うサーマルプリンタについては多数の提案がなされている。また、ある種のタイプのサーマルプリンタ、たとえば、ロイコ染料と可逆顕色剤を用いた発色型可逆感熱記録材料(例えば、特許文献1参照)を使用して画像記録を行う、所謂リライタブルのプリント装置は、サーマルヘッドにより画像記録を行うとともに、ヒートローラを使用して画像を消去できるようにしている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−106308公報
【特許文献2】特開2002−331697公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように用紙搬送路に沿って用紙を搬送させつつ用紙搬送上の所定位置での処理を順次行い画像記録を行うプリント装置においては、用紙搬送路に複数の用紙を順次搬送する場合、各用紙に対して所定位置で正確な処理を行うために、および紙詰まりなどが生じた際にどの位置で障害が発生したか把握するために、各用紙が搬送路上のどの位置にあるかを正確に検出する必要がある。
【0004】
ところが、従来のプリント装置においては、用紙搬送路上の複数の箇所で用紙の有無を検出するために複数のセンサを配置しているが、それらのセンサの検出結果を順次読み取るようにしていたため、用紙搬送速度の高速化に伴い、全てのセンサの検出結果を一巡して読み取るのに要する時間での用紙の移動距離が大きくなり、各センサと各用紙の相対位置関係を正確に検知できなくなるという問題があった。
【0005】
また、用紙の搬送タイミングと各センサによる用紙搬送路上の各点での用紙有無の検出タイミングとが実質上非同期であったため、用紙が所定位置に達したことを検出してから用紙に対する画像記録の処理を行った際に、用紙上への画像記録位置がばらつく(ずれる)という問題があった。
【0006】
そこで、この発明の目的は、用紙搬送路上の複数の用紙の相対位置を正確に検出できるようにして上述の問題を解消したプリント装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)この発明のプリント装置は、用紙搬送路に用紙をステッピングモータのステップ駆動により搬送する用紙搬送手段と、この用紙搬送手段により搬送される用紙に画像を記録する画像記録手段と、前記用紙搬送路の複数の所定位置に配置した、用紙の有無を検出するセンサと、前記ステッピングモータのステップ駆動毎に該ステップ駆動の後、前記複数のセンサの検出内容を同時に取り込んでメモリに記憶するセンサ状態取得手段と、前記ステッピングモータのステップを進めるまでは、前記メモリの内容を参照して前記センサの位置における用紙の有無を読み取り、当該用紙の位置に応じた処理を行う用紙処理手段と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
(2)また、この発明のプリント装置は、前記用紙搬送手段および前記センサ状態取得手段を、前記CPUによる割り込み処理プログラムの実行手段とし、前記用紙処理手段をCPUによる前記割り込み処理プログラム以外のプログラムの実行手段としたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
(1)ステッピングモータのステップ駆動毎にその駆動の後、前記複数のセンサの検出内容を同時に取り込んでメモリに記憶し、ステッピングモータのステップを進めるまでは前記メモリの内容を参照して各センサの位置における用紙の有無を読み取るようにしたことにより、用紙搬送路上の複数のセンサの検出結果を順次読み取っている間に用紙が搬送されるといったことがなく、複数の用紙を用紙搬送路上に順次搬送している際に、用紙搬送路上の複数の用紙の相対位置を正確に検知できる。
【0010】
(2)前記用紙処理をCPUのプログラムの実行によって処理し、ステッピングモータのステップ駆動のタイミングでの割り込み処理によって前記センサ状態取得手段が各センサの検出内容を取り込むようにしたことによって、前記用紙処理手段による用紙の用紙搬送路上の位置に応じた処理を行いつつ用紙の搬送とセンサによる検出を並行して行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図2はこの発明の実施形態であるプリント装置100の内部の構成を示す上面図である。図1は図2におけるA−A部分の断面図である。
【0012】
プリント装置100の図1・図2における右側には大量の用紙を載置する昇降テーブル14と、それとは別の給紙トレイ16を設けている。昇降テーブル14に載置された用紙は、昇降テーブル14が上昇することによって、最も上部の用紙の図における左端部がピックアップローラ9に当接する。このピックアップローラ9の駆動軸にはクラッチ19を設けていて、そのクラッチ19のオン状態でこのピックアップローラ9が図1における右方向に回転する。このことによって、用紙は、図における左方向に搬送される。給紙ローラ6は図における右方向に回転しているので、給紙された用紙は左方向にそのまま搬送される。
【0013】
レジストローラ21の駆動軸にはクラッチを設けていて、このクラッチのオフ状態で、給紙されてきた用紙の先端(図1における左端)がレジストローラ21に当接する。その後、上記クラッチのオンによりレジストローラ21が左方向に回転して用紙は図における左方向に搬送されていく。
【0014】
同様に、給紙トレイ16に載置された用紙の最上面の用紙の先端(図における左端)はピックアップローラ8に当接する。ピックアップローラ8の駆動軸にはクラッチ18を設けていて、そのクラッチ18のオン状態でピックアップローラ8が図1における右方向に回転し、用紙は図における左方向に搬送される。給紙ローラ7は図における右方向に回転しているので、給紙された用紙は左方向に搬送される。レジストローラ20の駆動軸にはクラッチを設けていて、このクラッチのオフ状態で、給紙されてきた用紙の先端がレジストローラ20に当接する。その後、上記クラッチのオンによりレジストローラ20が左方向に回転して用紙は図における左方向に搬送されていく。
【0015】
用紙搬送路上で、搬送ローラ13と搬送ローラ22との間には非接触ICタグの読み書き等を行うR/W部5を配置している。搬送ローラ13の駆動軸にはクラッチ15を設けていて、搬送途中の用紙に内装されている非接触ICタグに対してR/W部5が読み書きできる位置に達したとき、搬送ローラ13のクラッチ15をオフすることによって、その状態で用紙を停止させる。この用紙の停止状態でR/W部5がその非接触ICタグに対するデータの読み書きを行う。その後、搬送ローラ13のクラッチ15をオンすることによって用紙を搬送させる。搬送ローラ22は、その用紙を前方(図における左方向)へ搬送する。
【0016】
この搬送ローラ22の前方にはクリーニングローラ4と駆動ローラであるプラテンローラ12とを設けていて、このクリーニングローラ4とプラテンローラ12との間を用紙が通過する際、クリーニングローラ4は用紙の上面(記録面)に付着している塵埃を取り除く。
【0017】
上記クリーニングローラ4よりさらに前方にはヒートローラ3と、それに対向する駆動ローラであるプラテンローラ11を配置して画像消去部を構成している。このヒートローラ3とプラテンローラ11との間を用紙が通過する際に用紙を所定温度にまで上昇させる。
【0018】
ヒートローラ3よりさらに前方には、用紙搬送路の上下に、用紙の表裏面に対して空気を吹き付ける冷却ファン2,2を配置して冷却部を構成している。この上下の冷却ファン2,2によってその間を搬送される用紙の温度を徐々に下げる。これによって用紙に記録されていた画像を消去する。
【0019】
冷却ファン2,2による冷却部よりさらに下流には、サーマルヘッド1とこのサーマルヘッド1との間で用紙を挟むプラテンローラ10を配置して画像記録部を構成している。用紙の先端がサーマルヘッド1の下部に到達した時、サーマルヘッド1は下降し、用紙の記録面に当接し、用紙の搬送と共にサーマルヘッドの駆動によって画像を記録する。
【0020】
上記サーマルヘッド1の位置よりさらに下流には搬送ローラ24,25および通常用紙排出部40を設けていて、画像記録済みの用紙を通常用紙排出部40にまで搬送・排出する。
【0021】
また、搬送ローラ22とプラテンローラ12との間には、フラッパにより異常用紙を下方へ落下させて排出する異常用紙排出部50を設けている。
【0022】
図3は前記用紙搬送路上の用紙検出センサと搬送中の用紙との関係を示す図である。(A)は全体の構成図、(B)は(A)の部分拡大図である。用紙60はレジストローラ21、搬送ローラ13,22,プラテンローラ12,11、搬送ローラ23、プラテンローラ10、搬送ローラ24,25の順に順次搬送される。これらの搬送用のローラの間には、用紙の有無を検出するセンサ80a〜80hをそれぞれ配置している。この例では用紙搬送路上に複数の用紙60a,60b,60c,60dが存在している。これらの用紙は矢印Mで示す方向に搬送される。これらのセンサ80a〜80hは透過型光学センサであり、それらのセンサの位置を用紙がインタラプトするか否かによってその位置での用紙の有無を検出する。
【0023】
この用紙搬送路に沿った各工程では、用紙搬送路上を搬送する用紙の位置に応じて所定の処理を行う。図4は画像記録部での処理手順の例を示している。用紙60cの先端がセンサ80fにさしかかった時、サーマルヘッド1の降下開始タイミングまでのステッピングモータのステップ数をカウントする。所定のステップ数だけカウントして図4の(B)に示した状態となれば、その時点でサーマルヘッド1の下降を開始し、(C)に示すように用紙60cの先端から一定のマージンを確保した位置に当接し、用紙60cの搬送とともにサーマルヘッド1を駆動することによって、(D)に示すように先端余白を確保してからその記録面に画像を記録していく。その後、(E)に示すように、用紙60cの後端がセンサ80fを通過した直後、用紙60cの後端からサーマルヘッド1までの距離が終端余白の距離となるまでのステップ数をカウントし、(F)に示す状態となればサーマルヘッド1の上昇を開始する。その後(G)に示すように用紙60cを次の行程へ搬送する。
【0024】
このように用紙搬送路上の用紙の位置に応じて処理を実行するためには、用紙の搬送と位置検出のタイミング関係が重要である。
【0025】
図5は用紙搬送路に対するセンサの平面での配置例を示している。(A)の例では用紙搬送方向に対して直角方向にそれぞれ2つずつ対をなすようにセンサ(80b,80b′)、(80c,80c′)、(80d,80d′)、(80e,80e′)を配置している。このような配置によって、たとえば図中の用紙60bのように用紙が斜行して搬送されてきた場合に、対を成すセンサのうち一方(この例ではセンサ80d′)が先に用紙を検出し、続いてセンサ80dが用紙を検出することになり、その検出タイミングにずれが生じる。このずれを検出することによって用紙の斜行を検知でき、その斜行に応じて、たとえば記録画像の傾きを補正するなどの処理を行えるようになる。
【0026】
また、図5の(B)に示す例では、用紙搬送方向に沿って複数のセンサ80b,80c,80d,80eを千鳥状に配置している。このようなセンサの配置であっても、用紙60b,60aなどが斜行せずに搬送されてきた場合に、ステッピングモータのステップ数とセンサの間隔との関係からどのタイミングでどのセンサが用紙の先端または後端を検出するかあらかじめ分かっているので、そのタイミングからのずれによって用紙の斜行の有無および斜行の程度が検知する。
【0027】
図6はこのプリント装置100の制御部のブロック図である。制御回路70は次の各制御を行う。
・昇降テーブル14のモータ17に対して駆動部75を介して駆動信号を出力する。
・ピックアップローラのクラッチ18,19に対して駆動部77,78を介してそれぞれ駆動信号を出力する。
・異常用紙を異常用紙排出部50方向へ落下させて排出するフラッパ52に対して駆動部76を介して駆動信号を出力する。
・R/W部のクラッチ15に対して駆動部74を介して駆動信号を出力する。
・R/W部5によって、用紙に内装されている非接触ICタグ61に対するデータの読み書きを行う。
・ヒートローラ3のヒータの制御を、駆動部73を介して行う。
・サーマルヘッド昇降モータ26に対し駆動部72を介して駆動信号を出力する。
・サーマルヘッド1に対して駆動部71を介して駆動信号を出力する。
・キースイッチなどの操作部79の操作内容を読み取る。
・用紙搬送路上の複数の位置で用紙の有無を検出するセンサやヒートローラ3の温度を検出するセンサなど、各種センサ80の検出信号を読み取る。
・インターフェース90を介してホストコンピュータ101との間でデータの入出力を行う。
・ステッピングモータ33に対し駆動部85を介して駆動信号を出力する。
【0028】
次に、図6に示した制御回路70の全体の処理手順を、図7を参照して説明する。
図7は、用紙を給紙してから排出するまでの、制御回路70の制御による一連の流れを示すフローチャートである。まずピックアップローラ8または9のクラッチ18または19の一方をオンして用紙を給紙するとともに搬送を開始する(S1)。用紙搬送路上の用紙の位置を検出するセンサの読み取り結果に応じて、用紙がR/W部5に到達したことを検出すれば、R/W部5の搬送ローラ13のクラッチ15をオフする(S2→S3)。
【0029】
この状態で、非接触ICタグ61はR/W部5に近接し、R/W部5は非接触ICタグ61からデータを読み取る。
【0030】
非接触ICタグ61からデータが正しく読み取れたか否かの状態(リードステータス)をチェックし(S5)、正常であれば、その後、クラッチ15をオンすることによって用紙を再び搬送させる(S6)。これにより、用紙はクリーニングローラ4とプラテンローラ12との間を通過して、その用紙の記録面がクリーニングされる(S7)。
【0031】
その後、用紙はヒートローラ3を通過することにより、用紙の記録面が所定温度(概ね150℃〜200℃の所定温度)まで加熱され、続く除冷によって、すでに記録されていた画像が消去される(S8)。なお、冷却ファン2を駆動することによって用紙搬送路および用紙の蓄熱を抑え、後のサーマルヘッドによる画像記録の際に用紙の記録面を所定温度範囲に保つ。
【0032】
続いて用紙の先端がサーマルヘッド1のヘッド位置の直前に到達した時、サーマルヘッド昇降モータ26を駆動してサーマルヘッド1のヘッド部を用紙に当接させ、その後サーマルヘッド1を駆動して新たな画像を記録する(S9)。
さらにそのまま用紙を搬送し、通常用紙排出部40へ排出する(S10)。
【0033】
もし、非接触ICタグ61からデータが読み取れなければ、または読み取ったデータが異常であれば、フラッパ52を図4に示した破線のように立ち上げて、R/W部のクラッチ15をオンすることによって用紙を異常用紙排出部50へ排出する(S5→S11→S12→S13)。
【0034】
図8は画像記録についての処理手順を示すフローチャートである。図4の(A)に示したように、用紙先端を検知すれば、サーマルヘッド1の下降開始位置に達するまで待つ(S21→S22)。サーマルヘッド1を下降すべきタイミングになればサーマルヘッド1を下降させ、その後印字開始位置になるまで待つ(S23→S24)。その後、図4の(E)に示したように、用紙の終端が検知されるまでは、1ライン分の印字出力を行い、画像形成が終了するまでのライン数をカウントするために残り印字ラインカウンタを減算する(S25→S26→S27→S28)。このカウンタが0になるまでステップS25〜S28の処理を繰り返す。
【0035】
用紙の終端を検知すれば、残り印字ラインカウンタの値を終端余白までのライン数に置き換える。また用紙終端の検知済みフラグをセットする(S26→S30)。
【0036】
残り印字ラインカウンタの値が0となればサーマルヘッドを上昇させる(S29→S31)。
【0037】
このようにして用紙に対して所定の画像を記録(印字)するとともに、用紙が存在しない状態でサーマルヘッド1がプラテンローラ10に当接しないようにしてサーマルヘッド1の破損を防止する。
【0038】
図9および図10は、ホストコンピュータ101から印字データを受信した後、実際に印字(画像記録)を行って用紙を排出するまでの処理手順について示している。図9の(A)に示すように、まず印字データを受信すれば、それを画像記録用のデータに展開する(S41→S42→S43→S41・・・)。1ページ分の展開が終了すれば用紙搬送路上に用紙を搬送開始可能になるまで待つ(S44)。既に給紙を開始した用紙が所定位置まで搬送されたなら、その印字データを印刷(画像記録)する用紙の処理用のバッファの番号(バッファNo.)を取得し、そのバッファへ前記展開した印字データをセットする(S45→S46)。この例では、用紙搬送路上に最大8枚の用紙を搬送可能とするために、このバッファは8段のリングバッファ構造としている。
【0039】
図9の(B)は、このようにバッファにセットしたデータに基づいて印字処理を行うための手順である。まず用紙搬送路上のすべてのセンサの状態を読み取る(S51)。ただし、このセンサの状態は、一定周期でのタイマー割り込みによる割り込み処理によって取得された結果であるメモリから読み出す。現在のタイミングで印字すべきデータがあればその1ライン分の印字を行い、次の1ライン分の印字のための準備を行う(S52→S53→S54)。続いてバッファのうち、処理すべきバッファ番号を取得し、そのバッファ番号に該当する用紙の搬送を確認する(S55→S56)。これをすべてのバッファ番号について行う(S57→S55→・・)。ステップS56については後述する。
【0040】
全ての用紙が用紙搬送路から排出されるまで、上記処理を繰り返す(S58→S51→・・・)。
【0041】
図9の(C)は上記タイマー割り込みでの処理内容を示す図である。ハードウェアにより一定周期で制御回路70内のCPUに対して割り込みがかけられ、その割り込み処理でステッピングモータ33の1ステップ駆動を行い、その後、用紙搬送路上の全センサの状態を同時に取得し、メモリに格納する。たとえば図3に示した例では、8つのセンサ80a〜80hの[0/1]データを8ビットのデータとして同時に取得する。
【0042】
図10は図9の(B)に示したステップS56の処理内容を示すフローチャートである。この処理は処理フェーズに応じて処理を行う。たとえば「フェーズ0」であれば何も処理しない(S61→S62)。「フェーズ1」であれば搬送開始を待つ(S63)。「フェーズ2」であればセンサ80aの通過待ち状態、すなわち先行する用紙の後端がセンサ80aを通過するまで待つ(S64)。このようなフェーズは「フェーズ9」まで存在する。そして、これらの条件が成立しなければそのまま処理を終了する(S72)。条件が成立すれば次のフェーズへフェーズ番号を更新する(S73)。
【0043】
図11は8段のバッファに格納されているデータを適用する用紙の用紙搬送路上の位置に応じたフェーズ番号の例を示している。(A)に示す状態では、丁度図3の(A)に示したように、バッファNo.1は用紙60dの状態を管理するものであり、センサ80gがその用紙60dを検出しているのでフェーズ番号はフェーズ8であり、センサ80gが用紙60dの通過を待っている状態である。また、バッファNo.2は用紙60cを管理するものであり、センサ80dがその用紙60cを検出しているのでフェーズ番号はフェーズ5であり、センサ80dが用紙60cの通過を待っている状態である。他の用紙についても同様である。
【0044】
その後、用紙60cの後端がセンサ80dを通過すれば図11の(B)に示した状態となる。すなわち用紙60cを管理するバッファNo.2のフェーズは、センサ80eが用紙60cの後端を通過するのを待つ状態すなわちフェーズ6となる。
【0045】
このようにして時間経過に伴って各バッファのフェーズ番号は変化していく。このバッファはリングバッファとして用いるので、バッファNo.8まで使用した後、さらに次の用紙の給紙を開始すれば、図11の(C)に示すようにその時点でバッファNo.1を用い、その新たに給紙された用紙について管理する。
【0046】
なお、各用紙の用紙搬送路上の位置を検出するだけでなく、図5に示したように用紙の斜行を検知した場合の処理についてもフェーズを持たせてそれに応じた処理を行うようにすればよい。また、何らかの原因で規定サイズより用紙搬送方向の長さの短い用紙が搬送された場合でも、図4および図8に示した処理によってサーマルヘッドがプラテンローラ10に直接当接することがなく、サーマルヘッド1の破損が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の実施形態に係るプリント装置内部の構成を示す図であり、図2のA−A部分の断面図である。
【図2】同プリント装置内部の構成を示す上面図である。
【図3】用紙搬送路上の複数のセンサと用紙との位置関係の例を示す図である。
【図4】画像記録部での用紙の搬送とサーマルヘッドの昇降の例を示す図である。
【図5】用紙搬送路上の複数のセンサの平面上の配置例を示す図である。
【図6】プリント装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【図7】同プリント装置の制御部の全体の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】画像記録部における画像記録の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】ホストコンピュータからの印字データの受信時の処理と用紙搬送に伴う処理内容を示すフローチャートである。
【図10】図9のステップS56の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】用紙の搬送に伴う各バッファのフェーズ番号の変化の例を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1−サーマルヘッド
2−冷却ファン
3−ヒートローラ
4−クリーニングローラ
5−R/W部(非接触ICタグ読み書き部)
6,7−給紙ローラ
8,9−ピックアップローラ
10,11,12−プラテンローラ
13−搬送ローラ
14−昇降テーブル
15−クラッチ
16−給紙トレイ
18,19−クラッチ
20,21−レジストローラ
22〜25−搬送ローラ
33−ステッピングモータ
40−通常用紙排出部
50−異常用紙排出部
60−用紙
80−センサ
100−プリント装置
101−ホストコンピュータ
【技術分野】
【0001】
この発明は、用紙搬送路に沿って用紙を搬送するとともに画像記録を行うプリント装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば感熱記録材料に対しサーマルヘッドを接触させて画像記録を行うサーマルプリンタについては多数の提案がなされている。また、ある種のタイプのサーマルプリンタ、たとえば、ロイコ染料と可逆顕色剤を用いた発色型可逆感熱記録材料(例えば、特許文献1参照)を使用して画像記録を行う、所謂リライタブルのプリント装置は、サーマルヘッドにより画像記録を行うとともに、ヒートローラを使用して画像を消去できるようにしている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−106308公報
【特許文献2】特開2002−331697公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように用紙搬送路に沿って用紙を搬送させつつ用紙搬送上の所定位置での処理を順次行い画像記録を行うプリント装置においては、用紙搬送路に複数の用紙を順次搬送する場合、各用紙に対して所定位置で正確な処理を行うために、および紙詰まりなどが生じた際にどの位置で障害が発生したか把握するために、各用紙が搬送路上のどの位置にあるかを正確に検出する必要がある。
【0004】
ところが、従来のプリント装置においては、用紙搬送路上の複数の箇所で用紙の有無を検出するために複数のセンサを配置しているが、それらのセンサの検出結果を順次読み取るようにしていたため、用紙搬送速度の高速化に伴い、全てのセンサの検出結果を一巡して読み取るのに要する時間での用紙の移動距離が大きくなり、各センサと各用紙の相対位置関係を正確に検知できなくなるという問題があった。
【0005】
また、用紙の搬送タイミングと各センサによる用紙搬送路上の各点での用紙有無の検出タイミングとが実質上非同期であったため、用紙が所定位置に達したことを検出してから用紙に対する画像記録の処理を行った際に、用紙上への画像記録位置がばらつく(ずれる)という問題があった。
【0006】
そこで、この発明の目的は、用紙搬送路上の複数の用紙の相対位置を正確に検出できるようにして上述の問題を解消したプリント装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)この発明のプリント装置は、用紙搬送路に用紙をステッピングモータのステップ駆動により搬送する用紙搬送手段と、この用紙搬送手段により搬送される用紙に画像を記録する画像記録手段と、前記用紙搬送路の複数の所定位置に配置した、用紙の有無を検出するセンサと、前記ステッピングモータのステップ駆動毎に該ステップ駆動の後、前記複数のセンサの検出内容を同時に取り込んでメモリに記憶するセンサ状態取得手段と、前記ステッピングモータのステップを進めるまでは、前記メモリの内容を参照して前記センサの位置における用紙の有無を読み取り、当該用紙の位置に応じた処理を行う用紙処理手段と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
(2)また、この発明のプリント装置は、前記用紙搬送手段および前記センサ状態取得手段を、前記CPUによる割り込み処理プログラムの実行手段とし、前記用紙処理手段をCPUによる前記割り込み処理プログラム以外のプログラムの実行手段としたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
(1)ステッピングモータのステップ駆動毎にその駆動の後、前記複数のセンサの検出内容を同時に取り込んでメモリに記憶し、ステッピングモータのステップを進めるまでは前記メモリの内容を参照して各センサの位置における用紙の有無を読み取るようにしたことにより、用紙搬送路上の複数のセンサの検出結果を順次読み取っている間に用紙が搬送されるといったことがなく、複数の用紙を用紙搬送路上に順次搬送している際に、用紙搬送路上の複数の用紙の相対位置を正確に検知できる。
【0010】
(2)前記用紙処理をCPUのプログラムの実行によって処理し、ステッピングモータのステップ駆動のタイミングでの割り込み処理によって前記センサ状態取得手段が各センサの検出内容を取り込むようにしたことによって、前記用紙処理手段による用紙の用紙搬送路上の位置に応じた処理を行いつつ用紙の搬送とセンサによる検出を並行して行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図2はこの発明の実施形態であるプリント装置100の内部の構成を示す上面図である。図1は図2におけるA−A部分の断面図である。
【0012】
プリント装置100の図1・図2における右側には大量の用紙を載置する昇降テーブル14と、それとは別の給紙トレイ16を設けている。昇降テーブル14に載置された用紙は、昇降テーブル14が上昇することによって、最も上部の用紙の図における左端部がピックアップローラ9に当接する。このピックアップローラ9の駆動軸にはクラッチ19を設けていて、そのクラッチ19のオン状態でこのピックアップローラ9が図1における右方向に回転する。このことによって、用紙は、図における左方向に搬送される。給紙ローラ6は図における右方向に回転しているので、給紙された用紙は左方向にそのまま搬送される。
【0013】
レジストローラ21の駆動軸にはクラッチを設けていて、このクラッチのオフ状態で、給紙されてきた用紙の先端(図1における左端)がレジストローラ21に当接する。その後、上記クラッチのオンによりレジストローラ21が左方向に回転して用紙は図における左方向に搬送されていく。
【0014】
同様に、給紙トレイ16に載置された用紙の最上面の用紙の先端(図における左端)はピックアップローラ8に当接する。ピックアップローラ8の駆動軸にはクラッチ18を設けていて、そのクラッチ18のオン状態でピックアップローラ8が図1における右方向に回転し、用紙は図における左方向に搬送される。給紙ローラ7は図における右方向に回転しているので、給紙された用紙は左方向に搬送される。レジストローラ20の駆動軸にはクラッチを設けていて、このクラッチのオフ状態で、給紙されてきた用紙の先端がレジストローラ20に当接する。その後、上記クラッチのオンによりレジストローラ20が左方向に回転して用紙は図における左方向に搬送されていく。
【0015】
用紙搬送路上で、搬送ローラ13と搬送ローラ22との間には非接触ICタグの読み書き等を行うR/W部5を配置している。搬送ローラ13の駆動軸にはクラッチ15を設けていて、搬送途中の用紙に内装されている非接触ICタグに対してR/W部5が読み書きできる位置に達したとき、搬送ローラ13のクラッチ15をオフすることによって、その状態で用紙を停止させる。この用紙の停止状態でR/W部5がその非接触ICタグに対するデータの読み書きを行う。その後、搬送ローラ13のクラッチ15をオンすることによって用紙を搬送させる。搬送ローラ22は、その用紙を前方(図における左方向)へ搬送する。
【0016】
この搬送ローラ22の前方にはクリーニングローラ4と駆動ローラであるプラテンローラ12とを設けていて、このクリーニングローラ4とプラテンローラ12との間を用紙が通過する際、クリーニングローラ4は用紙の上面(記録面)に付着している塵埃を取り除く。
【0017】
上記クリーニングローラ4よりさらに前方にはヒートローラ3と、それに対向する駆動ローラであるプラテンローラ11を配置して画像消去部を構成している。このヒートローラ3とプラテンローラ11との間を用紙が通過する際に用紙を所定温度にまで上昇させる。
【0018】
ヒートローラ3よりさらに前方には、用紙搬送路の上下に、用紙の表裏面に対して空気を吹き付ける冷却ファン2,2を配置して冷却部を構成している。この上下の冷却ファン2,2によってその間を搬送される用紙の温度を徐々に下げる。これによって用紙に記録されていた画像を消去する。
【0019】
冷却ファン2,2による冷却部よりさらに下流には、サーマルヘッド1とこのサーマルヘッド1との間で用紙を挟むプラテンローラ10を配置して画像記録部を構成している。用紙の先端がサーマルヘッド1の下部に到達した時、サーマルヘッド1は下降し、用紙の記録面に当接し、用紙の搬送と共にサーマルヘッドの駆動によって画像を記録する。
【0020】
上記サーマルヘッド1の位置よりさらに下流には搬送ローラ24,25および通常用紙排出部40を設けていて、画像記録済みの用紙を通常用紙排出部40にまで搬送・排出する。
【0021】
また、搬送ローラ22とプラテンローラ12との間には、フラッパにより異常用紙を下方へ落下させて排出する異常用紙排出部50を設けている。
【0022】
図3は前記用紙搬送路上の用紙検出センサと搬送中の用紙との関係を示す図である。(A)は全体の構成図、(B)は(A)の部分拡大図である。用紙60はレジストローラ21、搬送ローラ13,22,プラテンローラ12,11、搬送ローラ23、プラテンローラ10、搬送ローラ24,25の順に順次搬送される。これらの搬送用のローラの間には、用紙の有無を検出するセンサ80a〜80hをそれぞれ配置している。この例では用紙搬送路上に複数の用紙60a,60b,60c,60dが存在している。これらの用紙は矢印Mで示す方向に搬送される。これらのセンサ80a〜80hは透過型光学センサであり、それらのセンサの位置を用紙がインタラプトするか否かによってその位置での用紙の有無を検出する。
【0023】
この用紙搬送路に沿った各工程では、用紙搬送路上を搬送する用紙の位置に応じて所定の処理を行う。図4は画像記録部での処理手順の例を示している。用紙60cの先端がセンサ80fにさしかかった時、サーマルヘッド1の降下開始タイミングまでのステッピングモータのステップ数をカウントする。所定のステップ数だけカウントして図4の(B)に示した状態となれば、その時点でサーマルヘッド1の下降を開始し、(C)に示すように用紙60cの先端から一定のマージンを確保した位置に当接し、用紙60cの搬送とともにサーマルヘッド1を駆動することによって、(D)に示すように先端余白を確保してからその記録面に画像を記録していく。その後、(E)に示すように、用紙60cの後端がセンサ80fを通過した直後、用紙60cの後端からサーマルヘッド1までの距離が終端余白の距離となるまでのステップ数をカウントし、(F)に示す状態となればサーマルヘッド1の上昇を開始する。その後(G)に示すように用紙60cを次の行程へ搬送する。
【0024】
このように用紙搬送路上の用紙の位置に応じて処理を実行するためには、用紙の搬送と位置検出のタイミング関係が重要である。
【0025】
図5は用紙搬送路に対するセンサの平面での配置例を示している。(A)の例では用紙搬送方向に対して直角方向にそれぞれ2つずつ対をなすようにセンサ(80b,80b′)、(80c,80c′)、(80d,80d′)、(80e,80e′)を配置している。このような配置によって、たとえば図中の用紙60bのように用紙が斜行して搬送されてきた場合に、対を成すセンサのうち一方(この例ではセンサ80d′)が先に用紙を検出し、続いてセンサ80dが用紙を検出することになり、その検出タイミングにずれが生じる。このずれを検出することによって用紙の斜行を検知でき、その斜行に応じて、たとえば記録画像の傾きを補正するなどの処理を行えるようになる。
【0026】
また、図5の(B)に示す例では、用紙搬送方向に沿って複数のセンサ80b,80c,80d,80eを千鳥状に配置している。このようなセンサの配置であっても、用紙60b,60aなどが斜行せずに搬送されてきた場合に、ステッピングモータのステップ数とセンサの間隔との関係からどのタイミングでどのセンサが用紙の先端または後端を検出するかあらかじめ分かっているので、そのタイミングからのずれによって用紙の斜行の有無および斜行の程度が検知する。
【0027】
図6はこのプリント装置100の制御部のブロック図である。制御回路70は次の各制御を行う。
・昇降テーブル14のモータ17に対して駆動部75を介して駆動信号を出力する。
・ピックアップローラのクラッチ18,19に対して駆動部77,78を介してそれぞれ駆動信号を出力する。
・異常用紙を異常用紙排出部50方向へ落下させて排出するフラッパ52に対して駆動部76を介して駆動信号を出力する。
・R/W部のクラッチ15に対して駆動部74を介して駆動信号を出力する。
・R/W部5によって、用紙に内装されている非接触ICタグ61に対するデータの読み書きを行う。
・ヒートローラ3のヒータの制御を、駆動部73を介して行う。
・サーマルヘッド昇降モータ26に対し駆動部72を介して駆動信号を出力する。
・サーマルヘッド1に対して駆動部71を介して駆動信号を出力する。
・キースイッチなどの操作部79の操作内容を読み取る。
・用紙搬送路上の複数の位置で用紙の有無を検出するセンサやヒートローラ3の温度を検出するセンサなど、各種センサ80の検出信号を読み取る。
・インターフェース90を介してホストコンピュータ101との間でデータの入出力を行う。
・ステッピングモータ33に対し駆動部85を介して駆動信号を出力する。
【0028】
次に、図6に示した制御回路70の全体の処理手順を、図7を参照して説明する。
図7は、用紙を給紙してから排出するまでの、制御回路70の制御による一連の流れを示すフローチャートである。まずピックアップローラ8または9のクラッチ18または19の一方をオンして用紙を給紙するとともに搬送を開始する(S1)。用紙搬送路上の用紙の位置を検出するセンサの読み取り結果に応じて、用紙がR/W部5に到達したことを検出すれば、R/W部5の搬送ローラ13のクラッチ15をオフする(S2→S3)。
【0029】
この状態で、非接触ICタグ61はR/W部5に近接し、R/W部5は非接触ICタグ61からデータを読み取る。
【0030】
非接触ICタグ61からデータが正しく読み取れたか否かの状態(リードステータス)をチェックし(S5)、正常であれば、その後、クラッチ15をオンすることによって用紙を再び搬送させる(S6)。これにより、用紙はクリーニングローラ4とプラテンローラ12との間を通過して、その用紙の記録面がクリーニングされる(S7)。
【0031】
その後、用紙はヒートローラ3を通過することにより、用紙の記録面が所定温度(概ね150℃〜200℃の所定温度)まで加熱され、続く除冷によって、すでに記録されていた画像が消去される(S8)。なお、冷却ファン2を駆動することによって用紙搬送路および用紙の蓄熱を抑え、後のサーマルヘッドによる画像記録の際に用紙の記録面を所定温度範囲に保つ。
【0032】
続いて用紙の先端がサーマルヘッド1のヘッド位置の直前に到達した時、サーマルヘッド昇降モータ26を駆動してサーマルヘッド1のヘッド部を用紙に当接させ、その後サーマルヘッド1を駆動して新たな画像を記録する(S9)。
さらにそのまま用紙を搬送し、通常用紙排出部40へ排出する(S10)。
【0033】
もし、非接触ICタグ61からデータが読み取れなければ、または読み取ったデータが異常であれば、フラッパ52を図4に示した破線のように立ち上げて、R/W部のクラッチ15をオンすることによって用紙を異常用紙排出部50へ排出する(S5→S11→S12→S13)。
【0034】
図8は画像記録についての処理手順を示すフローチャートである。図4の(A)に示したように、用紙先端を検知すれば、サーマルヘッド1の下降開始位置に達するまで待つ(S21→S22)。サーマルヘッド1を下降すべきタイミングになればサーマルヘッド1を下降させ、その後印字開始位置になるまで待つ(S23→S24)。その後、図4の(E)に示したように、用紙の終端が検知されるまでは、1ライン分の印字出力を行い、画像形成が終了するまでのライン数をカウントするために残り印字ラインカウンタを減算する(S25→S26→S27→S28)。このカウンタが0になるまでステップS25〜S28の処理を繰り返す。
【0035】
用紙の終端を検知すれば、残り印字ラインカウンタの値を終端余白までのライン数に置き換える。また用紙終端の検知済みフラグをセットする(S26→S30)。
【0036】
残り印字ラインカウンタの値が0となればサーマルヘッドを上昇させる(S29→S31)。
【0037】
このようにして用紙に対して所定の画像を記録(印字)するとともに、用紙が存在しない状態でサーマルヘッド1がプラテンローラ10に当接しないようにしてサーマルヘッド1の破損を防止する。
【0038】
図9および図10は、ホストコンピュータ101から印字データを受信した後、実際に印字(画像記録)を行って用紙を排出するまでの処理手順について示している。図9の(A)に示すように、まず印字データを受信すれば、それを画像記録用のデータに展開する(S41→S42→S43→S41・・・)。1ページ分の展開が終了すれば用紙搬送路上に用紙を搬送開始可能になるまで待つ(S44)。既に給紙を開始した用紙が所定位置まで搬送されたなら、その印字データを印刷(画像記録)する用紙の処理用のバッファの番号(バッファNo.)を取得し、そのバッファへ前記展開した印字データをセットする(S45→S46)。この例では、用紙搬送路上に最大8枚の用紙を搬送可能とするために、このバッファは8段のリングバッファ構造としている。
【0039】
図9の(B)は、このようにバッファにセットしたデータに基づいて印字処理を行うための手順である。まず用紙搬送路上のすべてのセンサの状態を読み取る(S51)。ただし、このセンサの状態は、一定周期でのタイマー割り込みによる割り込み処理によって取得された結果であるメモリから読み出す。現在のタイミングで印字すべきデータがあればその1ライン分の印字を行い、次の1ライン分の印字のための準備を行う(S52→S53→S54)。続いてバッファのうち、処理すべきバッファ番号を取得し、そのバッファ番号に該当する用紙の搬送を確認する(S55→S56)。これをすべてのバッファ番号について行う(S57→S55→・・)。ステップS56については後述する。
【0040】
全ての用紙が用紙搬送路から排出されるまで、上記処理を繰り返す(S58→S51→・・・)。
【0041】
図9の(C)は上記タイマー割り込みでの処理内容を示す図である。ハードウェアにより一定周期で制御回路70内のCPUに対して割り込みがかけられ、その割り込み処理でステッピングモータ33の1ステップ駆動を行い、その後、用紙搬送路上の全センサの状態を同時に取得し、メモリに格納する。たとえば図3に示した例では、8つのセンサ80a〜80hの[0/1]データを8ビットのデータとして同時に取得する。
【0042】
図10は図9の(B)に示したステップS56の処理内容を示すフローチャートである。この処理は処理フェーズに応じて処理を行う。たとえば「フェーズ0」であれば何も処理しない(S61→S62)。「フェーズ1」であれば搬送開始を待つ(S63)。「フェーズ2」であればセンサ80aの通過待ち状態、すなわち先行する用紙の後端がセンサ80aを通過するまで待つ(S64)。このようなフェーズは「フェーズ9」まで存在する。そして、これらの条件が成立しなければそのまま処理を終了する(S72)。条件が成立すれば次のフェーズへフェーズ番号を更新する(S73)。
【0043】
図11は8段のバッファに格納されているデータを適用する用紙の用紙搬送路上の位置に応じたフェーズ番号の例を示している。(A)に示す状態では、丁度図3の(A)に示したように、バッファNo.1は用紙60dの状態を管理するものであり、センサ80gがその用紙60dを検出しているのでフェーズ番号はフェーズ8であり、センサ80gが用紙60dの通過を待っている状態である。また、バッファNo.2は用紙60cを管理するものであり、センサ80dがその用紙60cを検出しているのでフェーズ番号はフェーズ5であり、センサ80dが用紙60cの通過を待っている状態である。他の用紙についても同様である。
【0044】
その後、用紙60cの後端がセンサ80dを通過すれば図11の(B)に示した状態となる。すなわち用紙60cを管理するバッファNo.2のフェーズは、センサ80eが用紙60cの後端を通過するのを待つ状態すなわちフェーズ6となる。
【0045】
このようにして時間経過に伴って各バッファのフェーズ番号は変化していく。このバッファはリングバッファとして用いるので、バッファNo.8まで使用した後、さらに次の用紙の給紙を開始すれば、図11の(C)に示すようにその時点でバッファNo.1を用い、その新たに給紙された用紙について管理する。
【0046】
なお、各用紙の用紙搬送路上の位置を検出するだけでなく、図5に示したように用紙の斜行を検知した場合の処理についてもフェーズを持たせてそれに応じた処理を行うようにすればよい。また、何らかの原因で規定サイズより用紙搬送方向の長さの短い用紙が搬送された場合でも、図4および図8に示した処理によってサーマルヘッドがプラテンローラ10に直接当接することがなく、サーマルヘッド1の破損が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の実施形態に係るプリント装置内部の構成を示す図であり、図2のA−A部分の断面図である。
【図2】同プリント装置内部の構成を示す上面図である。
【図3】用紙搬送路上の複数のセンサと用紙との位置関係の例を示す図である。
【図4】画像記録部での用紙の搬送とサーマルヘッドの昇降の例を示す図である。
【図5】用紙搬送路上の複数のセンサの平面上の配置例を示す図である。
【図6】プリント装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【図7】同プリント装置の制御部の全体の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】画像記録部における画像記録の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】ホストコンピュータからの印字データの受信時の処理と用紙搬送に伴う処理内容を示すフローチャートである。
【図10】図9のステップS56の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】用紙の搬送に伴う各バッファのフェーズ番号の変化の例を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1−サーマルヘッド
2−冷却ファン
3−ヒートローラ
4−クリーニングローラ
5−R/W部(非接触ICタグ読み書き部)
6,7−給紙ローラ
8,9−ピックアップローラ
10,11,12−プラテンローラ
13−搬送ローラ
14−昇降テーブル
15−クラッチ
16−給紙トレイ
18,19−クラッチ
20,21−レジストローラ
22〜25−搬送ローラ
33−ステッピングモータ
40−通常用紙排出部
50−異常用紙排出部
60−用紙
80−センサ
100−プリント装置
101−ホストコンピュータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙搬送路に用紙をステッピングモータのステップ駆動により搬送する用紙搬送手段と、
前記用紙搬送手段により搬送される用紙に画像を記録する画像記録手段と、
前記用紙搬送路の複数の所定位置に配置した、用紙の有無を検出するセンサと、
前記ステッピングモータのステップ駆動毎に該ステップ駆動の後、前記複数のセンサの検出内容を同時に取り込んでメモリに記憶するセンサ状態取得手段と、
前記ステッピングモータのステップを進めるまでは、前記メモリの内容を参照して前記センサの位置における用紙の有無を読み取り、当該用紙の位置に応じた処理を行う用紙処理手段と、
を備えたことを特徴とするプリント装置。
【請求項2】
前記用紙搬送手段および前記センサ状態取得手段は、CPUによる割り込み処理プログラムの実行手段であり、前記用紙処理手段は前記CPUによる前記割り込み処理プログラム以外のプログラムの実行手段である請求項1に記載のプリント装置。
【請求項1】
用紙搬送路に用紙をステッピングモータのステップ駆動により搬送する用紙搬送手段と、
前記用紙搬送手段により搬送される用紙に画像を記録する画像記録手段と、
前記用紙搬送路の複数の所定位置に配置した、用紙の有無を検出するセンサと、
前記ステッピングモータのステップ駆動毎に該ステップ駆動の後、前記複数のセンサの検出内容を同時に取り込んでメモリに記憶するセンサ状態取得手段と、
前記ステッピングモータのステップを進めるまでは、前記メモリの内容を参照して前記センサの位置における用紙の有無を読み取り、当該用紙の位置に応じた処理を行う用紙処理手段と、
を備えたことを特徴とするプリント装置。
【請求項2】
前記用紙搬送手段および前記センサ状態取得手段は、CPUによる割り込み処理プログラムの実行手段であり、前記用紙処理手段は前記CPUによる前記割り込み処理プログラム以外のプログラムの実行手段である請求項1に記載のプリント装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−150699(P2006−150699A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−343167(P2004−343167)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000177346)三和ニューテック株式会社 (35)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000177346)三和ニューテック株式会社 (35)
【Fターム(参考)】
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