説明

プリント配線基板の製造方法および製造装置

【課題】スループットを低下させることなく、プリント基板の配線を均一にエッチングして形成するプリント配線基板の製造方法および製造装置を提供する。
【解決手段】複数の成分を混合したエッチング液を用いてプリント基板の配線をエッチング処理して形成する工程において、エッチング処理又は待機時に消費されたエッチング液を補充するための補充薬液に対して、温度調節および攪拌を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板の製造方法および製造装置に関し、特に、エッチング液を用いたエッチングにより、プリント基板上の導体膜から配線を形成するプリント配線基板の製造方法および製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の電気・電子機器において小型化が進行している。それに伴い、電気・電子機器に用いられる電子基板の微細化も急速に進行している。電子基板の微細化に関し、特にCOF(Chip on Film)テープにおいては、配線ピッチ微細化の要求が一層強まっており、配線ピッチが25μm以下というファイン領域のリードをもつテープも作られている。
【0003】
この電子基板の微細化に加え、放熱性の向上も課題となっている。この放熱性の向上を実現するためには、配線断面積の大きい配線形状が要求されている。
【0004】
つまり、電子基板の微細化と放熱性の向上を実現するためには、導体膜が厚く、かつ配線ピッチが微細である電子基板が要求されている。
【0005】
このような電子基板を実現する手法として、サブトラクティブ法やセミアディティブ法が挙げられる。
前記サブトラクティブ法は、樹脂基板上に導電性金属層を持った積層板上に液体レジストやドライフイルム等の感光性樹脂層を形成し、露光・現像して回路パターンを形成した後、エッチング処理により非回路部の導電性金属層を除去することによって配線を形成する方法である。
また、前記セミアディティブ法は、基板表面に設けられた下地金属層の上に感光性樹脂層をパターニングし、露出した下地金属層表面に目的金属を析出させることによって配線を形成する方法である。
【0006】
しかしながら、前記サブトラクティブ法を用いてファイン領域の配線を形成する場合、エッチング液によるエッチングは等方的に行なわれる。そのため、意図しないサイドエッチングが発生してしまい、配線のトップ幅を確保できなくなるといった問題がある。
この問題を解決する為、前記サブトラクティブ法を用いる際に前記エッチング液にサイドエッチング抑制用添加剤を添加するなど、エッチング液に複数の成分を添加した液が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
ところで、先に述べたとおり、前記サブトラクティブ法は、エッチング液を用いたエッチング処理を導電性金属層に対して行うことにより配線を形成する方法である。図7に、複数の成分が混合するエッチング液1を用いて、プリント基板31の配線を形成する装置の一般的な構成を示す。
【0008】
図6より、従来のプリント配線基板の製造装置は、使用するエッチング液1を一定温度に温度調節する貯液温調槽2と、プリント基板31にエッチング液1を接触させるエッチング処理槽3と、エッチング処理で消費されたエッチング液1を補充する補充装置4から構成されている。
前記貯液温調槽2と前記エッチング処理槽3は供給管路24で接続され、さらに前記貯液温調槽2と補充装置4も補充管路44で接続されている。また、供給ポンプ25でエッチング液1が循環される。エッチング液1が、前記貯液温調槽2から供給ポンプ25によ
りエッチング処理槽3に運ばれ、そして、エッチング処理槽3に備えられているスプレーノズル32からプリント配線基板にスプレーされることにより、エッチング処理が行われる。
前記貯液温調槽2には、通常使用されるエッチング液1の処理に適した温度に温調するためのヒータ26を用いた温度調節機構と液撹拌機能が設けられている(例えば、特許文献2参照)。
また、エッチング液1を補充する補充装置4は、そのエッチング液1の状態を管理するセンサ27によりセンシングされ、その結果に基づき、制御盤41より電気信号が補充ポンプ45に送られることで、適切な量の補充薬液43が補充液槽42から供給されるようになっている。センサ27には、例えば電位、比重、液量などを測定するものが用いられる。
関連技術ではあるが、写真用処理薬品の溶解補充の際に、粉末と液体の処理薬品を攪拌混合したものを自動で供給する技術も知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−306784号公報
【特許文献2】特開2001−340736号公報
【特許文献3】特開平9−80718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、複数の成分が混合されたエッチング液に対して設定温度への昇温などの温度調節を実施する場合、エッチング液において、その温度調節に用いられる加熱媒体に触れる部分では局所的に設定温度以上となり、不必要な副反応や必要成分の分離・分解反応が行われる可能性がある。この不必要な反応により、エッチング液内部において成分ムラが発生し、ひいてはプリント配線基板へのエッチングムラが発生してプリント基板の配線を均一にエッチングすることができず、プリント配線基板の品質低下につながるおそれがある。
【0011】
前記不必要な反応を避けるために、前記加熱媒体の温度を下げることも考えられる。しかしながら今度は、前記加熱媒体と設定温度との温度差が小さすぎるため、すなわち、前記加熱媒体の温度が低いことから、設定温度到達に長時間を要し、かつエッチング液の温調レスポンスが外乱に対して悪化するという問題が発生し、ひいてはプリント配線基板のスループットの低下につながるおそれがある。
【0012】
本発明の目的は、スループットを低下させることなく、プリント基板の配線を均一にエッチングして形成するプリント配線基板の製造方法および製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第一の態様は、複数の成分を混合したエッチング液を用いてプリント基板の配線をエッチング処理して形成する工程において、エッチング処理又は待機時に消費されたエッチング液を補充するための補充薬液に対して、温度調節および攪拌を行うことを特徴とする。
【0014】
本発明の第二の態様は、第一の態様に記載の発明において、前記温度調節および攪拌を、密閉構造の装置にて行うことを特徴とする。
【0015】
本発明の第三の態様は、第一または第二の態様に記載の発明において、前記温度調節を
、マイクロ波および/または赤外線を用いて行うことを特徴とする。
【0016】
本発明の第四の態様は、第一ないし第三の態様に記載の発明において、前記攪拌を、超音波を用いて行うことを特徴とする。
【0017】
本発明の第五の態様は、第一ないし第四のいずれかの態様に記載の発明において、前記温度調節および攪拌を、前記補充薬液を補充しない際にも行うことを特徴とする。
【0018】
本発明の第六の態様は、第一ないし第五のいずれかの態様に記載の発明において、前記温度調節および攪拌を、前記補充薬液に接する全てのエッチング液において行うことを特徴とする。
【0019】
本発明の第七の態様は、第一ないし第六のいずれかの態様に記載のプリント配線基板の製造方法を用いたプリント配線基板の製造装置である。
【0020】
本発明の第八の態様は、エッチング液を一定温度に温度調節する貯液温調槽と、前記貯液処理槽と連通されプリント基板に前記エッチング液を接触させてエッチング処理を行うエッチング処理槽と、前記貯液処理槽と連通され、前記エッチング処理又は待機時に消費されたエッチング液を補充するための補充薬液を前記エッチング処理槽に補充する補充装置とを有し、前記補充装置は前記貯液処理槽のエッチング液量を制御する制御部と、補充薬液を貯留する補充液槽とを有し、前記補充液槽において補充薬液を温度調節および攪拌することを特徴とするプリント配線基板の製造装置である。
【0021】
本発明の第九の態様は、第八の態様に記載の発明において、前記貯液処理槽と前記エッチング処理槽は、前記貯液処理槽から前記エッチング処理槽にエッチング液を供給するための供給ポンプが設けられた供給管路により連通され、前記補充液槽と前記貯液処理槽は、前記補充液槽から前記貯液処理槽にエッチング液を補充するための補充ポンプが設けられた補充管路により連通され、前記供給ポンプと前記エッチング処理槽との間の供給管路に供給管路三方弁が設けられ、前記供給管路三方の残る一方を、前記貯液処理槽と接続される戻り管路と連結し、前記補充ポンプと前記貯液温調槽との間の補充管路に補充管路三方弁が設けられ、前記補充管路三方弁の残る一方を、前記補充液槽と接続される第2補充管路と連結することを特徴とするプリント配線基板の製造装置である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、スループットを低下させることなく、プリント基板の配線を均一にエッチングして形成するプリント配線基板の製造方法および製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態におけるプリント配線基板製造装置の概略図である。
【図2】本発明の他の実施形態におけるプリント配線基板製造装置の概略図である。
【図3】本発明の他の実施形態におけるプリント配線基板製造装置の概略図である。
【図4】本発明の他の実施形態におけるプリント配線基板製造装置の概略図である。
【図5】本発明の他の実施形態におけるプリント配線基板製造装置の概略図である。
【図6】従来技術におけるプリント配線基板製造装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
発明者らは、スループットを低下させることなく、プリント基板の配線を均一にエッチングして形成するプリント配線基板の製造工程について種々検討した。
その結果、発明者らは、エッチング液が貯液されている貯液温調槽に対し補充液槽から
エッチング液を補充する場合に、前記補充液槽に温度調節および攪拌機能を設けることにより、不必要な副反応や必要成分の分離・分解反応を抑えられることを見出した。
【0025】
(実施の形態1)
以下に、本発明の一実施形態に係るプリント配線基板製造方法及びその製造装置について説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態におけるプリント配線基板製造装置の概略図である。図1より、本実施形態におけるプリント配線基板製造装置は、一定温度にてエッチング液1を貯液する貯液温調槽2と、前記貯液温調槽2から供給ポンプ25によって供給されるエッチング液1によりプリント基板31をエッチング処理するエッチング処理槽3と、前記エッチング処理又は待機時に消費された分のエッチング液1を補充ポンプ45によって貯液温調槽2に補充するための補充装置4とを有する。
【0027】
最初に、貯液温調槽2について説明する。
前記貯液温調槽2と後述するエッチング処理槽3との間には、エッチング液1を供給するための供給管路24が接続されており、前記供給管路24には前記供給ポンプ25が設置されている。
また、前記貯液温調槽2と、前記補充装置4内の後述する補充液槽42との間には、エッチング液1を補充するための補充管路44が接続されており、前記補充管路44には前記補充ポンプ45が設置されている。
【0028】
前記貯液温調槽2には、後で詳述するエッチング処理槽3にてプリント基板31をエッチング処理するためのエッチング液1が貯液されている。
前記エッチング液1としては、複数の成分が混合されているものであって、前記サブトラクティブ法によるプリント配線基板の製造方法にて用いられるものであればよく、例えば塩化第2鉄、塩化第2銅、アルカリエッチング、硫酸系化合物、フッ化水素、水の組み合わせが挙げられる。
【0029】
また、前記貯液温調槽2にはエッチング液1を一定温度に保つためのヒータ26と、前記貯液温調槽2内のエッチング液1の状態を測定するセンサ27が設けられている。
【0030】
前記ヒータ26は従来のものを使用することができ、加熱媒体を用いたヒータでもよく、赤外線加熱のように加熱媒体を用いないヒータでもよい。このとき、前記ヒータ26の加熱媒体の温度を、前記エッチング液1の副反応が発生する温度、必要成分の分離・分解温度とすることが好ましい。具体的には、エッチング液1の温度を30℃〜45℃に維持するのが好ましい。
さらに、図示しない攪拌装置により、エッチング液1を攪拌してもよい。前記攪拌装置における攪拌は、攪拌機を用いた物理的な攪拌でもよく、エッチング液1の循環路を設けることによる循環攪拌でもよく、超音波を用いた攪拌でもよい。
【0031】
前記センサ27には、例えば液量を測定する液量センサが用いられる。この場合、センサ27は貯液温調槽2内のエッチング液1の水位を測定するためのものであり、具体的には電極式の液面計により液量のレベルを検出し、更にその液量レベルの検知情報を制御盤41に送り、後で詳述する補充管路44に設置された補充ポンプ45等を制御盤41にて制御する。それにより、後で詳述する補充液槽42から貯液温調槽2に供給されるエッチング液1の量を制御する。
【0032】
次に、エッチング処理槽3について説明する。
前記エッチング処理槽3の上部には、前記供給管路24に連結されたエッチング液吐出
装置32が設置されており、前記エッチング液吐出装置32の下部にはプリント配線基板用のプリント基板31が設置されている。
【0033】
前記プリント基板31のベースは、ポリイミド系樹脂などの絶縁性および可撓性を有する樹脂からなるテープ状のフィルム基材から構成される。前記フィルム基材の表面に銅箔が設けられ、前記銅箔上に、配線パターンをエッチング形成するためのレジストパターンがフォトレジストにより形成されている。このようにしてプリント基板31が構成される。
そして、前記プリント基板31をロール・トゥ・ロールで巻き取りながら、エッチング処理層内において前記プリント基板31を矢印方向に走行させる。
【0034】
前記エッチング液吐出装置32は、具体的にはスプレーノズル32であり、走行する前記プリント基板31の表面に向けて配線パターン形成用としてのエッチング液1を吐出するように構成される。前記スプレーノズル32は、走行するプリント基板31の幅方向及び長さ方向をともにカバーするように搬送方向(長さ方向)および搬送方向に垂直の方向(幅方向)に複数設けられていてもよい。
なお、前記エッチング液吐出装置32は、前記プリント基板31の下部にも設置されてプリント基板31の両面からエッチング液1を吐出してもよく、前記プリント基板31の下部のみからエッチング液1を吐出してもよい。
【0035】
前記スプレーノズル32から吐出されるエッチング液1により、前記プリント基板31はエッチングされる。その際、使用済みエッチング液は、前記エッチング処理槽3と前記貯液温調槽2とを連通させる排出路33により、前記貯液温調槽2へと排出される。このように再び前記貯液温調槽2に貯液されたエッチング液1は、エッチング処理槽3に再度供給され、エッチング処理のために再利用される。
なお、前記エッチング液1の排出は、図1のように使用済みエッチング液1の自重により排出する方法でもよく、真空ラインによる強制排出でもよい。
【0036】
最後に、供給装置4について説明する。
前記供給装置4は、先に述べたとおり、制御盤41と補充液槽42とを有する。
前記制御盤41は、補充液槽42から貯液温調槽2に供給されるエッチング液1の量を制御するために、前記センサ27および補充管路44に設置された補充ポンプ45に接続されている。
また、補充液槽42は、エッチング液1を補充するための補充管路44によって前記貯液温調槽2と連通されている。
【0037】
ここで、供給装置4によるエッチング液1の補充について詳述する。上述のように、エッチング液1を貯液温調槽2と前記エッチング処理槽3との間で循環させながらエッチング処理を行うことにより、またはエッチング処理を行っていないエッチング処理待機時に、エッチング液1は消費される。このようにエッチング液1が消費されると、貯液温調槽2内のエッチング液量が低下する。そしてこのエッチング液量が所定の量まで低下すると、センサ27によりエッチング液量低下の情報が制御盤41に送られる。そして、前記制御盤41によって補充ポンプ45を稼働させることにより、補充液槽42から貯液温調槽2に補充されるエッチング液(以降、補充薬液43ともいう)の量を制御する。
【0038】
従来では、このように補充されるエッチング液1は貯液温調槽2で温度調節および攪拌されるため二度手間となりコストもかかるため、補充液槽42においては温度調節および攪拌もなされなかった。
しかしながら、本実施形態では、二度手間となりコストもかかるという状況にもかかわらず、前記補充液槽42においても加熱媒体(ヒータ49)による温度調節、および攪拌
機による攪拌を行う。なお、この温度調節および攪拌は、前記補充薬液43を前記貯液温調槽2に補充する際に行われてもよいし、後述する別の実施形態のように補充時以外の際に行われてもよい。
これにより、補充薬液43と、貯液温調槽2とエッチング処理槽3内のエッチング液1との間の温度差を減少させることができる。この温度差を減少させることにより、貯液温調槽2の温度調節において、エッチング液1よりも温度が低い補充薬液43を補充する際、エッチング液1全体の温度が下がることに起因して加熱媒体(ヒータ49)の設定温度を上昇させなくとも済む。加熱媒体の設定温度を上昇させなくとも済むため、エッチング液1における不必要な副反応や必要成分の分離・分解反応を抑えることができ、攪拌を行うことによりさらに前記反応を抑制することができる。
さらには、補充薬液43と、貯液温調槽2とエッチング処理槽3内のエッチング液1との間の温度差に起因するエッチング液1の凝縮反応等の影響を抑制することができ、攪拌を行うことによりさらに前記反応を抑制することができる。
また、上述のような構成により、不必要な副反応や必要成分の分離・分解反応抑制を考慮して加熱媒体(ヒータ49)の温度を低下させなくとも済むようになるため、エッチング液1の温調レスポンス低下に起因するスループットの低下を抑制することができ、かつ、プリント基板31の配線を均一にエッチングして形成することができる。
本実施形態は、例えば車両用配線のような電気・電子部品への適用に最適であり、このような電気・電子部品の小型化に大きく貢献することができる。
【0039】
(実施の形態2)
以下、本発明の別の実施形態について、図2を用いて説明する。実施の形態2では、実施の形態1の補充液槽42内の補充薬液43に対して行われる温度調節および攪拌は、密閉構造の装置にて行う。
前記密閉構造の装置について具体的に説明すると、補充薬液43は補充液槽42内部に貯留されているが、この補充液槽42をさらに密閉部材421で覆うことにより、密閉構造の装置としている。さらに、この密閉部材421の外側にスクラバー50を設け、密閉部材421内の排気を行っている。
【0040】
通常、エッチング液1を加温・温調する貯液温調槽2および補充液槽42などに対して、腐食雰囲気を外部に出さないために、スクラバー50による排気を行っている。そのため、エッチング液成分、特に揮発性成分はエッチング処理を行っていない場合でも消費されやすい。
ところが、通常のように直接スクラバー50により補充液槽42を直接的に排気するのではなく、本実施形態のように補充液槽42を密閉する密閉部材421内を排気、すなわち補充液槽42を間接的に排気する構造とすることで、エッチング液成分や補充液成分の蒸発によるエッチング液1の消費を抑制できる。
さらには、上述の通り、密閉部材421内はスクラバー50による排気が行われているので、密閉部材421内は負圧となる。これにより、密閉部材421内の腐食雰囲気が外部に流出することを防ぐこともできる。
【0041】
(実施の形態3)
次に、本発明の別の実施形態について、図3を用いて説明する。実施の形態3では、実施の形態1の補充液槽42における温度調節において、加熱媒体の代わりにマイクロ波発生装置および/または赤外線発生装置46を設ける。これにより、加熱媒体によらず、補充薬液43を加熱温度調節できるため、加熱媒体近辺のエッチング液1が不必要な副反応を起こすのを抑制することができ、必要成分の分離・分解反応を抑制することができる。
【0042】
(実施の形態4)
次に、本発明の別の実施形態について、図3を用いて説明する。実施の形態4では、実
施の形態1の補充液槽42における攪拌において、攪拌機の代わりに超音波発振子47を設ける。超音波による攪拌を行うことにより、複数の成分からなる補充薬液43全体を均一に攪拌することができ、液成分構成が均一化される。さらに、必要成分の分離・分解反応が抑制される。
【0043】
(実施の形態5)
次に、本発明の別の実施形態について、図3を用いて説明する。実施の形態5では、実施の形態3と実施の形態4を組み合わせた構成を有している。すなわち、補充液槽42における温度調節においてマイクロ波発生装置および/または赤外線発生装置46を設け、攪拌において超音波による攪拌を行う。マイクロ波発生装置および/または赤外線発生装置46による加熱と、超音波発振子47による超音波攪拌との複合効果により、複数の成分からなる補充薬液43全体を、より均一に攪拌することができ、液成分構成がより均一化される。加熱媒体近辺のエッチング液1が不必要な副反応を起こすのを抑制することができ、必要成分の分離・分解反応をより抑制することができる。
【0044】
(実施の形態6)
次に、本発明の別の実施形態について、図4を用いて説明する。実施の形態6では、実施の形態5に加えて、補充ポンプ45と貯液温調槽2との間の補充管路44に補充管路三方弁48を設け、前記補充管路三方弁48の残る一方を、前記補充液槽42に接続されている第2補充管路442と連結することにより、従来技術において発生する液溜まりに起因する問題を解決できる。
【0045】
補充液槽42から貯液温調槽2に補充薬液43であるエッチング液1を補充するときには、実施の形態1のように補充液槽42と貯液温調槽2が連通するように補充管路三方弁48の開口方向を設定する。一方、補充液槽42から貯液温調槽2にエッチング液1を補充していないときには、補充管路44と第2補充管路442が連通するように補充管路三方弁48の開口方向を設定する。そうすると、従来では液溜まりが発生していた補充ポンプ45と貯液温調槽2との間の補充管路44が補充液槽42と連通されることにより、温度調節および攪拌を、前記補充薬液43の接する全てのエッチング液1において行うことになり、液溜まりの発生を抑制することができる。
これによって、エッチング液1全体に攪拌が行き届き、しかも上述のような一時的な温度降下を抑えることができ、エッチング液1内で分離した成分を攪拌により再分散・混合させることができる。ひいては、プリント基板31の配線を均一にエッチングすることができ、プリント配線基板の品質を向上させることができる。
【0046】
(実施の形態7)
次に、本発明の別の実施形態について、図5を用いて説明する。実施の形態7では、戻り管路441および供給管路三方弁28を設けた図5に示される構成と、実施の形態6とを組み合わせた構成を有し、さらに補充薬液43の接する全てのエッチング液1において温度調節および攪拌が行われる。具体的には、供給ポンプ25とスプレーノズル32との間の供給管路24に前記供給管路三方弁28を設け、前記供給管路三方弁28の残る一方を、前記貯液温調槽2に接続されている戻り管路441と連結し、さらに、補充ポンプ45と貯液温調槽2との間の補充管路44に補充管路三方弁48を設け、前記補充管路三方弁48の残る一方を、前記補充液槽42に接続されている第2補充管路442と連結する。
これによって、温度調節および攪拌を、前記補充薬液43の接する全てのエッチング液1において行うことになり、エッチング液1全体に攪拌が行き届き、しかも上述のような一時的な温度降下を抑えることができ、エッチング液1内で分離した成分を攪拌により再分散・混合させることができる。ひいては、プリント基板31の配線を均一にエッチングすることができ、プリント配線基板の品質を向上させることができる。
つまり、エッチング処理槽3および/または補充液槽42と、貯液温調槽2とを相互に連通させることができ、液溜まりをさらに抑えることができ、プリント配線基板製造装置内の全ての補充薬液43を一定温度に保ち、ひいてはエッチング液1を均一にすることができる。その結果、プリント基板31の配線をさらに均一にエッチングすることができ、プリント配線基板の品質を向上させることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 エッチング液
2 貯液温調槽
24 供給管路
25 供給ポンプ
26 ヒータ
27 センサ
28 供給管路三方弁
3 エッチング処理槽
31 基板
32 スプレーノズル
33 排出路
4 補充装置
41 制御盤
42 補充液槽
421 密閉部材
43 補充薬液
44 補充管路
441 戻り管路
442 第2補充管路
45 補充ポンプ
46 マイクロ波発生装置および/または赤外線発生装置
47 超音波発振子
48 補充管路三方弁
49 ヒータ
50 スクラバー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の成分を混合したエッチング液を用いてプリント基板の配線をエッチング処理して形成する工程において、
エッチング処理又は待機時に消費されたエッチング液を補充するための補充薬液に対して、温度調節および攪拌を行うことを特徴とするプリント配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記温度調節および攪拌を、密閉構造の装置にて行うことを特徴とする請求項1に記載のプリント配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記温度調節を、マイクロ波および/または赤外線を用いて行うことを特徴とする請求項1または2に記載のプリント配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記攪拌を、超音波を用いて行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のプリント配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記温度調節および攪拌を、前記補充薬液を補充しない際にも行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のプリント配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記温度調節および攪拌を、前記補充薬液の接する全てのエッチング液において行うことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のプリント配線基板の製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のプリント配線基板の製造方法を用いたプリント配線基板の製造装置。
【請求項8】
エッチング液を一定温度に温度調節する貯液温調槽と、
前記貯液処理槽と連通されプリント基板に前記エッチング液を接触させてエッチング処理を行うエッチング処理槽と、
前記貯液処理槽と連通され、前記エッチング処理又は待機時に消費されたエッチング液を補充するための補充薬液を前記エッチング処理槽に補充する補充装置とを有し、
前記補充装置は前記貯液処理槽のエッチング液量を制御する制御部と、前記補充薬液を貯留する補充液槽とを有し、
前記補充液槽において前記補充薬液を温度調節および攪拌することを特徴とするプリント配線基板の製造装置。
【請求項9】
前記貯液処理槽と前記エッチング処理槽は、前記貯液処理槽から前記エッチング処理にエッチング液を供給するための供給ポンプが設けられた供給管路により連通され、
前記補充液槽と前記貯液処理槽は、前記補充液槽から前記貯液処理槽にエッチング液を補充するための補充ポンプが設けられた補充管路により連通され、
前記供給ポンプと前記エッチング処理槽との間の供給管路に供給管路三方弁が設けられ、前記供給管路三方弁の残る一方を、前記貯液処理槽と接続される戻り管路と連結し、
前記補充ポンプと前記貯液温調槽との間の補充管路に補充管路三方弁が設けられ、前記補充管路三方弁の残る一方を、前記補充液槽と接続される第2補充管路と連結することを特徴とする請求項8に記載のプリント配線基板の製造装置。







【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【公開番号】特開2010−219165(P2010−219165A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62077(P2009−62077)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】