説明

プリント配線板の接続構造、プリント配線板及びプリント配線板接続体の製造方法

【課題】銅箔を接合する接着剤の軟化による接続リードの傾斜や移動を防止して、接続信頼性を高めることができるプリント配線板の接続構造を提供する。
【解決手段】複数の接続リード211,212,213,214が基材201上に露出して設けられたプリント配線板15と、上記接続リードに接続されるフライングリード311,312,313,314が設けられたフレキシブルプリント配線板11とを接続して構成されるプリント配線板の接続構造32であって、上記接続リードに所定の隙間をあけて形成されたダミー接続リード215,216が上記プリント配線板に設けられており、上記接続リードと上記フライングリードとが接続されて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、プリント配線板の接続構造等に関する。詳しくは、ハードディスク装置等に用いられる、フライングリードを利用したプリント配線板の接続構造等に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、ハードディスクドライブ等の磁気ディスク装置においては、磁気ディスクに記録されたデータの書き込みや読み込みを行うためにヘッドスタックアセンブリ(Head Stack Assembly)が用いられる。
【0003】
上記ヘッドスタックアセンブリを構成するサスペンション側のフレキシブルプリント配線板の端子と、アクチュエータアセンブリ側のメインプリント配線板の端子とが、揺動可能に保持されたキャリッジの側部で接続されている。磁気ディスク装置の小型化、高密度化にともない、上記プリント配線板の接続構造の電気的及び機械的な接続強度が、磁気ディスク装置の信頼性を左右する重要な要素となっている。
【0004】
従来、上記サスペンション側のフレキシブルプリント配線板の端子として、リードを露出させたフライングリードの形態が採用されることが多い。このフライングリードと、上記アクチュエータアセンブリ側のフレキシブルプリント配線板の接続リードとが超音波等を用いて接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−157999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
たとえば、超音波によって上記接続を行う場合、上記接続リードと上記フライングリードに金メッキが設けられている。そして、金メッキを設けた上記接続リードと上記フライングリードとを対接させて積層し、積層部分に超音波を作用させて発熱させることにより、上記金メッキが溶融して上記接続リードと上記フライングリードとが接続される。
【0007】
上記接続リードには、絶縁性の基材に接着剤層を介して設けられた銅箔層をエッチング加工等により、上記接続リードを含む回路パターンが形成されている。したがって、各接続リードは、上記接着剤層の上に突出するようにして設けられている。
【0008】
ところが、上記超音波接続を行う際に発生する熱が上記接着剤層に伝わって、これを軟化させる。しかも、超音波による接続工程は、上記接続部分に所定の圧力を加えて行われるため、上記接続リードを介して、軟化した接着剤層が流動させられて変形することが多い。上記接着剤層が変形すると、図11に示すように、上記接続リードに変位や傾斜が生じることになり、上記接続リードと上記フライングリードとを適正に対接させることができなくなる。このため、各接続リードに設けた金メッキを充分に溶融させることができなくなり、接続不良が生じる恐れが高くなる。
【0009】
特に、複数の接続リードが所定間隔で形成されている場合、両端部に設けた接続リードに、外側に向かう変位や傾斜が生じることが多い。このため、両端部の接続リードとこれに接続されるフライングリードの接続構造に接続不良が生じやすい。
【0010】
また、上記接続リードと上記フライングリードを接続する前に、上記接続リードを設けた領域におけるプリント配線板の裏面側に、補強板を設ける場合がある。上記補強板は、上記接続リードを形成した後に熱プレス等によって接合されるため、上記接続リードに所定の温度と圧力が作用する。このため、上記の場合と同様に接着剤が変形あるいは流動して、上記接続リードに変位や傾斜が生じやすくなる。変位や傾斜が生じた接続リードに対してフライングリードを適正に対接させることができないため、超音波を充分に作用させることができなくなる。この結果、上記と同様に接続不良が生じやすくなって、接続信頼性が低下してしまう。
【0011】
さらに、上記接続リードと上記フライングリードとを、導電性接着剤で接続する場合にも、所定の温度及び圧力が作用するため、上記と同様の問題が発生しやすい。
【0012】
本願発明は、上記問題を解決し、銅箔を接合する接着剤の軟化による接続リードの傾斜や移動を防止して、接続信頼性を高めることができるプリント配線板の接続構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願の請求項1に記載した発明は、複数の接続リードが基材上に露出して設けられたプリント配線板と、上記接続リードに接続されるフライングリードが設けられたフレキシブルプリント配線板とを接続して構成されるプリント配線板の接続構造であって、上記接続リードに所定の隙間をあけて形成されたダミー接続リードが上記プリント配線板に設けられており、上記接続リードと上記フライングリードとが接続されて構成されている。
【0014】
本願発明では、電気的に導通させられる接続リードとフライングリードに加えて、ダミー接続リードが設けられる。上記ダミー接続リードは、上記接続リードに所定の隙間をあけて形成されるため、上記ダミー接続リードと接続リードの隙間にある接着剤層の流動を低減させることが可能となる。すなわち、接続リードの側部にある接着剤層の流動が低減される結果、上記接続リードの変位や傾斜を防止できる。
【0015】
一方、上記ダミー接続リードは、電気的接続を行う必要はなく、これらダミー接続リードに変位や傾斜が生じても、接続の信頼性が低下することがない。このため、上記接続リードと上記フライングリードの接続を確実に行うことが可能となり、プリント配線板の接続信頼性が向上する。
【0016】
上記ダミー接続リードを設ける部位は特に限定されることはない。超音波接続等を行う場合に、樹脂の流動を防止する部分に形成することができる。たとえば、請求項5に記載した発明のように、所定隙間をあけて平行に形成された複数の接続リード及びフライングリードを備える場合、少なくとも両端部に設けられた上記接続リードの外側に、上記ダミー接続リードを形成するのが好ましい。
【0017】
上記ダミー接続リードの寸法や形態も特に限定されることはない。たとえば、複数の接続リード及びフライングリードが櫛歯状に成形されている場合、両端部の接続リードに隣接するとともに、この接続リードと同じ形態のダミー接続リードを形成することができる。また、上記接続リード及びフライングリードと異なる形態のダミー接続リードを形成することもできる。
【0018】
上記接続リードの変位や傾斜を防止できれば、上記接続リードと上記ダミー接続リードの間の隙間の大きさも特に限定されることはない。たとえば、上記接続リードと上記ダミー接続リードの間の隙間を、0.1〜0.5mmに設定するとともに、0.1〜0.5mmの幅のダミー接続リードを設けることができる。また、複数の接続リードが設けられる場合、上記接続リード間の隙間と同じ大きさの隙間をあけて、ダミー接続リードを設けることができる。
【0019】
請求項2に記載したは、上記ダミー接続リードに対応するダミーフライングリードが上記フレキシブルプリント配線板に設けられており、上記ダミー接続リードと上記ダミーフライングリードとが対接させられているものである。
【0020】
上記ダミー接続リードと上記ダミーフライングリードとは、接続リードとフライングリードと同様に、接続する際に互いに対接させるように構成するのが好ましい。この構成を採用することにより、接続時にダミー接続リードがダミーフライングリードに押圧される。このため、上記ダミー接続リードの変位や傾斜をより減少させることができる。この結果、ダミー接続リードと接続リード間にある接着剤層の流動をより低減させることが可能となり、上記接続リードに変位や傾斜が発生するのを防止できる。
【0021】
上記ダミーフライングリードは、上記ダミー接続リードに対応して形成される。なお、ダミー接続リードの全域に対応するように形成する必要はない。樹脂の流動によるダミー接続リードの変位を減少させることができれば、ダミー接続リードの一部に対応し、あるいは、ダミー接続リードより大きな面積で形成することもできる。
【0022】
また、上記ダミーフライングリードの寸法や形態も特に限定されることはない。たとえば、フライングリードと同じ形態のダミーフライングリードを形成することができる。また、フライングリードと異なる形態のダミーフライングリードを形成することもできる。
【0023】
本願発明が適用されるプリント配線板の接続構造における接続手法は特に限定されることはない。たとえば、請求項3に記載した発明のように、少なくとも上記各接続リード及び上記各フライングリードに、接続用金メッキが設けられているとともに、上記接続リードと上記フライングリードとが超音波接続により接続される接続構造に本願発明を適用できる。
【0024】
上記ダミー接続リードや上記ダミーフライングリードは、各プリント配線板において回路を構成しないように設けることができる。また、接続する必要がない回路を構成する銅箔の一部を、上記ダミー接続リードやダミーフライングリードとして利用することもできる。
【0025】
また、上記ダミーフライングリードを設ける場合、上記ダミー接続リードと上記ダミーフライングリードは、電気的に接続する必要がない。このため、上記ダミー接続リードと上記ダミーフライングリードとを、接続リードとフライングリードの接続と同様に接続してもよいし、また、単に対接させるだけでもよい。
【0026】
また、請求項4に記載した発明のように、上記接続リードと上記フライングリードとが、導電性接着剤を介して接続されている接続構造にも本願発明を適用できる。導電性接着剤を用いて接続する場合には、上記ダミー接続リードや上記ダミーフライングリードを設けることにより、上記と同様の効果が得られるばかりでなく、上記接続リードとフライングリードの接続領域における上記導電性接着剤の不要な方向への流れを抑制することができる。このため、接続信頼性をより高めることができる。
【0027】
上記プリント配線板の種類も特に限定されることはない。たとえば、接続リードを設けたリジッドプリント配線板と、フライングリードを設けたフレキシブルプリント配線板との接続構造に本願発明を適用できる。
【0028】
また、請求項6に記載した発明のように、フレキシブルプリント配線板同士の接続構造に本願発明を適用することができる。
【0029】
本願発明は、互いに接続される接続リードとフライングリードの接続信頼を向上させるためのものであり、請求項7に記載した発明に係るダミー接続リードを有するプリント配線板と、請求項8に記載した発明に係るダミーフライングリードとを組み合わせて構成することができる。
【0030】
本願発明に係る接続構造が適用される電子機器の種類も特に限定されることはない。たとえば、請求項9に記載された発明のように、ハードディスク装置におけるプリント配線板に適用することができる。
【0031】
請求項10に記載した発明は、接続リードと、この接続リードに所定隙間をあけて形成されたダミー接続リードとを備えるプリント配線板を準備する工程と、上記接続リードに対応するフライングリードを備えるフレキシブルプリント配線板を準備する工程と、上記接続リードと上記フライングリードとを対接させる位置決め工程と、上記接続リードと上記フライングリードとを接続する接続工程とを含むプリント配線板接続体の製造方法に係るものである。
【0032】
請求項11に記載した発明は、上記フレキシブルプリント配線板を準備する工程において、上記ダミー接続リードに対応するダミーフライングリードを備えるフレキシブルプリント配線板が準備されるとともに、上記位置決め工程において、上記ダミー接続リードと上記ダミーフライングリードが対接させられるものである。
【0033】
上記接続工程は、請求項12に記載した発明のように、超音波を用いて行うことができる。また、請求項13に記載した発明のように、上記接続工程を、導電性接着剤を用いて行うこともできる。
【発明の効果】
【0034】
接続リードを備えるプリント配線板と、フライングリードを備えるフレキシブルプリント配線板との接続構造における接続信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本願発明に係るプリント配線板の接続構造が適用されるハードディスク装置の概要を示す平面図である。
【図2】図1に示すハードディスク装置のヘッドスタックアセンブリの平面図である。
【図3】図2に示すヘッドスタックアセンブリにおけるプリント配線板の接続構造の分解斜視図である。
【図4】図3に示すプリント配線板の接続構造の接続前の状態を示す平面図である。
【図5】図3におけるV−V線に沿う断面図である。
【図6】図3に示すプリント配線板の接続後の状態を示す断面図である。
【図7】第2の実施形態に係るプリント配線板の接続構想を示す図であり、図3に対応する分解斜視図である。
【図8】図7に示すプリント配線板の接続構造の接続前の状態を示す平面図である。
【図9】図7におけるIX−IX線に沿う断面図である。
【図10】図9に示すプリント配線板の接続後の状態を示す断面図である。
【図11】接続リードが傾斜した従来の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本願発明の実施形態を図に基づいて具体的に説明する。
【0037】
図1は、本願発明に係るプリント配線板の接続構造が採用されるハードディスク装置1の全体平面図である。ハードディスク装置1は、ケース2内に、情報が記録されるとともにモータで回転可能に支持された複数の磁気ディスク3と、ヘッドスタックアセンブリ4とを備えて構成される。上記ヘッドスタックアセンブリ4は、先端部に上記磁気ディスク3に対して情報を読み書きする図示しないヘッドコアが設けられており、上記ヘッドコアが上記磁気ディスク表面において揺動できるように、揺動可能に保持されている。
【0038】
上記ヘッドスタックアセンブリは、基端部に設けられたボイスコイルモータ6によって軸13の回りに揺動可能に支持されたキャリッジ7と、キャリッジ7のアーム部8に設けられたサスペンション9とを備え、このサスペンション9の先端部分に設けられる磁気ヘッド部10に、上記ヘッドコアが保持されている。
【0039】
上記ヘッドコアは、上記サスペンション9に沿って設けられるサンペンション用フレキシブルプリント配線板11に形成された接続配線12に接続されており、この接続配線12を介して情報がやりとりされる。上記サスペンション用フレキシブルプリント配線板11は、上記サスペンション9の中央部分を上記アーム部8の揺動中心に向かって延びるとともに、上記アーム部8の中間部において、上記キャリッジ7の側部に引き出される。そして、このサスペンション用フレキシブルプリント配線板11の基端部が、上記キャリッジの側部に固定されたメンインプリント配線板15に接続される。
【0040】
本実施形態に係るメインプリント配線板15は、上記キャリッジ7の側部に固定された矩形状の固定部15aと、上記固定部15aから屈曲可能に延出された長尺矩形状の延出部15bとを備えて構成されるとともに、これら固定部15aと延出部15bとが、接続部41を介して一体的に接続されている。
【0041】
上記固定部15aは、矩形状に形成されているとともに、中央部に信号増幅のための増幅集積回路16を備える。そして、先端側に、上記サスペンション用フレキシブルプリント配線板11との接続を行うための接続構造32が設けられている。
【0042】
図3は、上記接続構造32の概要を示す要部の分解斜視図である。図3に示すように、上記メインプリント配線板15は、絶縁性基材201と、この基材201上に積層された接着剤層202と、この接着剤層202の上に積層された銅箔層203と、上記銅箔層を覆う絶縁性のカバー層204とを備えて構成されている。また、上記絶縁性基材201の下面には、ステンレス板から形成された補強板205が図示しない接着剤層を介して積層接着されている。上記銅箔層203をエッチング加工等することにより、所要の回路が形成されている。
【0043】
上記構成のメインプリント配線板15の固定部15aの先端側に矩形状の接続部17が突出形成されている。この接続部17における上記カバー層204を切除することにより、複数の接続リード211,212,213,214が露出させられている。上記各接続リードの少なくとも接続面には、各接続リードの腐食を防止するとともに超音波接続を行うための金メッキ251が設けられている。
【0044】
一方、上記サスペンション用フレキシブルプリント配線板11は、絶縁性基材321と、この絶縁性基材321上に積層された接着剤層322と、上記接着剤層322に積層接着された銅箔層323と、上記銅箔層323を覆うカバー層324とを備えて構成されている。上記銅箔層323をエッチング加工等することにより、所要の接続配線12が形成されている。
【0045】
上記サスペンション用フレキシブルプリント配線板11の基端部に、フライングリード311,312,313,314を設けた接続部27が形成されている。上記フライングリード311,312,313,314は、銅箔層323から形成される上記フライングリード311,312,313,314のみ残して他の部材を矩形状に切除することにより形成されている。なお、上記接続部27の先端側には、上記フライングリード311,312,313,314の保形性を確保するために上記他の部材を矩形状に残した先端枠部11bが設けられている。上記各フライングリード311,312,313,314の少なくとも接続面には、各接続リードの腐食を防止するとともに超音波接続を行うための金メッキ351が設けられている。
【0046】
本実施形態においては、上記接続部17における両端部に位置する接続リード211,214に隣接して、ダミー接続リード215,216が、上記接続リード211,214と所定間隔をあけて平行に形成されている。図4に示すように、上記ダミー接続リード215,216は、上記接続リード211,212,213,214より小さい幅で、上記接続リード間の隙間と同じ大きさの隙間Hをあけて形成されている。本実施形態では、上記隙間Hが、0.2mmに設定されているとともに、0.2mmの幅のダミー接続リード215,216が設けられている。また、上記各ダミー接続リード215,216の少なくとも接続面には、上記接続リードと同様の金メッキ251が設けられている。
【0047】
図5及び図6に示すように、メインプリント配線板側15の上記接続部17と、サスペンション用フレキシブルプリント配線板側の接続部27とを対接させるとともに、図示しない超音波を作用させる治具がフライングリード側から、各フライングリードと接続リードを挟圧するように作用させられる。
【0048】
上記超音波の作用により、上記各接続リードとこれに対接させられるフライングリード間に摩擦熱が発生し、上記金メッキ251,351を溶融させ、各接続リードと対応するフライングリードが金メッキ251,351を介して接続される。
【0049】
上記超音波接続の際に作用する温度によってメインプリント配線板15の接着剤層202が軟化させられるとともに、作用する圧力によって接着剤層が側部に向けて流動ないし変形させられる。このため、従来の接続構造においては、図11に示すように、両端部の接続リード211,214が変位あるいは傾斜させられる。
【0050】
上記ダミー接続リード215,216は、接続部17の両側部に、各接続リード間の隙間Hと同様の隙間Hをあけて形成されている。したがって、上記ダミー接続リード215,216は、図11に示す従来例と同様に、軟化した接着剤層202に一部が押し込まれるようにして外側に向けて変位あるいは傾斜させられる。
【0051】
しかし、上記ダミー接続リード215,216を設けることによって、これらダミー接続リード215,216と両端部の接続リード211,214との間に位置する接着剤層の流動ないし変形が制限される。このため、上記ダミー接続リード215,216の内側に位置する接続リード211,214が変位し、あるいは傾斜するのを防止することができる。これにより、各接続リード211,212,213,214と各フライングリード311,312,313,314とを適正に対接させた状態で超音波を作用させることが可能になる。この結果、確実な接続構造を形成することができるとともに、上記接続構造における信頼性が高まる。
【0052】
図7〜図10に、本願発明に係る第2の実施形態を示す。この実施形態は、サスペンション用フレキシブルプリント配線板11のフライングリード311,312,313,314の両側部に、ダミー接続リード215,216に対応するダミーフライングリード315,316を設けたものである。なお、メンインプリント配線板15の構成、及び、上記ダミーフライングリード315,316を除くサスペンション用フレキシブルプリント配線板11の構成は、第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0053】
上記ダミーフライングリード315,316は、上記サスペンション用フレキシブルプリント配線板11の接続部27における両端のフライングリード311,314に隣接して、所定間隔Hをあけて平行に形成されている。図8に示すように、上記ダミーフライングリード315,316は、上記ダミー接続リード215,216に対応した位置及び形態で形成されている。
【0054】
本実施形態では、上記ダミー接続リード215,216とダミーフライングリード315,316とが、上記接続リード211,212,213,214と上記フライングリード311,312,313,314の接続と同様に接続される。
【0055】
上記ダミー接続リード215,216とダミーフライングリード315,316とは、各接続部17,27の両側部に、各接続リード間の隙間Hと同様の隙間Hをあけて形成されている。したがって、上記ダミー接続リード215,216は、図11に示す従来例と同様に、軟化した接着剤層202に一部が押し込まれるようにして外側に向けて変位あるいは傾斜させられる。
【0056】
しかし、上記ダミー接続リード215,216とダミーフライングリード315,316を設けることによって、ダミー接続リード215,216と両端部の接続リード211,214との間に位置する接着剤層の流動ないし変形が制限される。このため、第1の実施形態と同様に、上記ダミー接続リード215,216の内側に位置する接続リード211,214が変位し、あるいは傾斜するのを防止することができる。これにより、各接続リード211,212,213,214と各フライングリード311,312,313,314とを適正に対接させた状態で超音波を作用させることが可能になる。さらに、本実施形態では、接続時にダミー接続リードがダミーフライングリードに押圧されて、変位が規制される。これにより、上記ダミー接続リードの変位や傾斜を減少させることができるため、接続リード211,214の変位や傾斜をより確実に防止することができる。この結果、確実な接続構造を形成することができるとともに、上記接続構造における信頼性がより高まる。
【0057】
上述した実施形態では、接続リード211,212,213,214と上記フライングリード311,312,313,314とを接続する場合における接続リード211,214の変位や傾斜を防止した。さらに、上記補強板205を積層接着する際に、上記接着剤層202が軟化して変形する程度の温度や圧力が作用する場合がある。上記ダミー接続リード215,216を設けることにより、上記補強板205を設ける際の接続リード211,214の変位や傾斜を防止することもできる。
【0058】
さらに、本実施形態では、接続リード211,212,213,214と上記フライングリード311,312,313,314とを超音波を用いて接続したが、これらを、導電性接着剤を用いて接続する場合にも、同様の効果を発揮させることができる。
【0059】
本願発明は、上述の実施例に限定されることはない。今回開示された実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本願発明の範囲は、上記説明した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本願発明によって、接続信頼性の高いプリント配線板の接続構造を得ることができる。
【符号の説明】
【0061】
11 フレキシブルプリント配線板
15 プリント配線板
211 接続リード
212 接続リード
213 接続リード
214 接続リード
311 フライングリード
312 フライングリード
313 フライングリード
314 フライングリード
215 ダミー接続リード
216 ダミー接続リード
315 ダミーフライングリード
316 ダミーフライングリード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の接続リードが基材上に露出して設けられたプリント配線板と、上記接続リードに接続されるフライングリードが設けられたフレキシブルプリント配線板とを接続して構成されるプリント配線板の接続構造であって、
上記接続リードに所定の隙間をあけて形成されたダミー接続リードが上記プリント配線板に設けられており、
上記接続リードと上記フライングリードとが接続されている、プリント配線板の接続構造。
【請求項2】
上記ダミー接続リードに対応するダミーフライングリードが上記フレキシブルプリント配線板に設けられており、
上記ダミー接続リードと上記ダミーフライングリードとが対接させられている、請求項1に記載のプリント配線板の接続構造。
【請求項3】
少なくとも上記各接続リード及び上記各フライングリードに、接続用金メッキが設けられているとともに、上記接続リードと上記フライングリードとが超音波接続により接続されている、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のプリント配線板の接続構造。
【請求項4】
上記接続リードと上記フライングリードとが、導電性接着剤を介して接続されている、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のプリント配線板の接続構造。
【請求項5】
所定隙間をあけて平行に形成された複数の接続リード及びフライングリードを備え、
少なくとも両端部に設けられた上記接続リードの外側に、上記ダミー接続リードが形成されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプリント配線板の接続構造。
【請求項6】
上記プリント配線板が、フレキシブルプリント配線板である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のプリント配線板の接続構造。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載されたダミー接続リードを有するプリント配線板。
【請求項8】
請求項2から請求項6のいずれか1項に記載されたダミーフライングリードを有するフレキシブルプリント配線板。
【請求項9】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のプリント配線板の接続構造を備える、ハードディスク装置。
【請求項10】
接続リードと、この接続リードに所定隙間をあけて形成されたダミー接続リードとを備えるプリント配線板を準備する工程と、
上記接続リードに対応するフライングリードを備えるフレキシブルプリント配線板を準備する工程と、
上記接続リードと上記フライングリードとを対接させる位置決め工程と、
上記接続リードと上記フライングリードとを接続する接続工程とを含む、プリント配線板接続体の製造方法。
【請求項11】
上記フレキシブルプリント配線板を準備する工程において、上記ダミー接続リードに対応するダミーフライングリードを備えるフレキシブルプリント配線板が準備されるとともに、
上記位置決め工程において、上記ダミー接続リードと上記ダミーフライングリードが対接させられる、請求項10に記載のプリント配線板接続体の製造方法。
【請求項12】
上記接続工程が、超音波を用いて行われる、請求項10又は請求項11のいずれかに記載のプリント配線板接続体の製造方法。
【請求項13】
上記接続工程が、導電性接着剤を用いて行われる、請求項10又は請求項11のいずれかに記載のプリント配線板接続体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−69397(P2013−69397A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−279703(P2011−279703)
【出願日】平成23年12月21日(2011.12.21)
【出願人】(500400216)住友電工プリントサーキット株式会社 (197)
【Fターム(参考)】