説明

プルタブ、該プルタブを有する紙容器および紙容器入り飲料

【課題】保香性に優れると共に剥離性に優れるプルタブを提供する。
【解決手段】紙基材の最表面にヒートシールを有する容器基材10に開口部11が設けられ、開口部を前記容器外側からプルタブシール20が被覆し、容器内側から内フィルムが被覆するプルタブであって、該プルタブシールが、容器外側から紙基材、遮光層、ガスバリア層およびヒートシール層を含み、内フィルムが、容器内側から、ポリオレフィン層、ガスバリア層およびヒートシール層を含むものである、プルタブである。該構成によれば、ガスバリア性に優れるため、特に嗜好品の香味を維持でき、かつ剥離性に優れ、剥離時にフィルム残りなく、剥離することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保香性に優れ、かつ剥離しやすいプルタブおよび該プルタブを有する液体用紙容器、並びに液体飲料を液体用紙容器に充填した紙容器入り飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、飲み口用の開口部が開封用のプルタブシールで覆われたいわゆるプルタブつきの紙製容器が、使い易さと使用後の廃棄処理の容易さとから、果汁飲料、コーヒー飲料、液体スープなどの液体食品の分野で多用されている。
【0003】
このようなプルタブは、容器蓋部などに設けられた開口部を被覆するように開封用のプルタブシールで覆われており、一般に容器本体は紙基材からなる。従って、液体の内容物をこのような紙容器に充填する場合に、前記した開口部の端面が露出していると、充填時および保管時に内容物がその端面から内部に浸透して容器が変形したり、または衛生面でも問題となる。また、プルタブシールの最内層は容器の内容物と接触するため、使用する接着層の種類によっては内容物が浸透し、接着層の接着力を低下させる場合がある。このように接着層の接着力が低下すると、開封時にプルタブシールを引き上げても、内テープと接触層とが容器の開口部に残されたままプルタブシールのみが分離し、開口部が開口されずその機能を発揮しえないばかりでなく美観を損ねる結果となる。一方、プルタブは、貯蔵中あるいは流通販売中においては強固に固着し、その使用時においては容易に剥がすことができる強度で加熱溶着していることが望ましい。このような保存時の液密性および使用時の易剥離性などを確保する各種の開発がなされている。
【0004】
例えば、容器の一部に設けられた、開口部を密封するプルタブにおいて、容器内面部に設ける内テープが熱溶融性樹脂のフィルムよりなり、容器外面部に設ける外テープが、内テープ側から、熱溶融性樹脂よりなる接着層、エチレン/カルボキシル基を含む不飽和単量体との共重合体、アルミ箔とを順に積層して構成されることを特徴とするプルタブがある(特許文献1)。該プルタブは、日本酒、焼酎、ワイン、ウイスキー、調味料、ジュース、液体洗剤、毛髪のセット液、エマルジョンワックス、入浴剤、不凍液等の充填包装用紙容器の注出部の密封に用いる紙容器のプルタブに関するものであり、該公報によれば、紙容器のプルタブが、香料、薬効成分、アルコール、界面活性剤、アルカリ性成分等を充填した内容成分により外テープ接着層の着力の低下を防止でき、開封時に開口部の内テープと接着層とを含む状態で取り除かれて、完全に開口するプルタブとなる。
【0005】
また、例えば、外側から順に紙層/補強層/シーラント層を積層してなるプルタブを、少なくとも外側から順にシーラント層/延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET),延伸高密度ポリエチレンフィルム(OHDPE),延伸ポリプロピレンフィルム(OPP),延伸ナイロンフィルム(ONY)などの強度層/バリア層/紙層/接着層を積層してなるトップパネルの開口部に、シーラント層同士でヒートシールしてなるプルタブが開示されている(特許文献2)。該公報は、プルタブを剥がすと開口部周辺の剥離面での紙剥けや、剥離面あるいは開口部エッジに紙の繊維が現れることが多いこと、また、プルタブ側でも界面剥離を起こすことがあり、プルタブのシーラント層が逆にトップパネル側に取られて開口部に残り、開口部が露出しないという問題を解決するものであり、上記構成によると、プルタブを剥離する場合、必ず剥離界面から剥離するようになり、剥離力が他の層に悪影響を及ぼさず、紙の毛羽立ち、アルミ面の波打ち、紙層の浮き、アルミ層の浮き等が発生することがなく、また、剥離界面には、剥離方向と同一方向に配向されたプラスチック面が有り、これが強度層の引っ張り強度と耐層間破壊性を強めているため、強度層の層間破壊は起きにくく、剥離界面から綺麗に剥離した剥離部を得ることができる、という。
【特許文献1】特開平6−263159号公報
【特許文献2】特開平7−33143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許公報1記載のプルタブでは、紙基材の端面が内容物と接触するため、内容物への紙臭移りを防ぐことができない。
【0007】
また、上記特許公報2に記載の方法は、剥離界面の接着力を調整するために、OPEのコロナ放電処理という前処理が必要であり、製造工程が複雑である。
【0008】
さらに、上記特許公報1、2記載のプルタブでは、充填する内容物の種類よってその保護機能が十分でない場合がある。特に、嗜好性の強いコーヒー飲料などの場合にプルタブ近傍からフレーバーが遺漏する場合には、品質保証期間を短縮させる必要も発生する。また、紙容器入り飲料の製造工程において、プルタブが容器蓋部に設けられ、容器本体に飲料を充填してから蓋部を嵌合することで容器を密閉する場合には問題は少ないが、予めプルタブを設けた蓋部が紙容器本体に取り付けられ、この紙容器に飲料を充填する場合には、充填工程からプルタブと飲料とが接触するため特にプルタブの構成が紙容器入り飲料に与える影響が大きい。
【0009】
上記現状に鑑み、本発明は内容物の密封性に優れるプルタブを提供することを目的とする。
【0010】
また、剥離時に、プルタブの剥離面と開口部エッジとに、フィルム残りがないプルタブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、液体用紙容器のプルタブについて詳細に検討した結果、プルタブシールに遮光層とガスバリア層とを設け、かつ内フィルムを設けると、内容物の紙臭移りを防ぎ、高いバリア性を有するプルタブとすることができること、およびプルタブシールのヒートシール層を特定の厚さに調整すると、コロナ放電処理などの前処理を行うことなく剥離性に優れるプルタブとなることを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ガスバリア性に優れるため、特に嗜好性の高い液体飲料の紙容器に使用しても、長期に亘り香味を維持することができる。
【0013】
本発明では、プルタブを構成する各層について、前処理することなく積層しプルタブを調製することができるため、製造効率に優れる。
【0014】
本発明のプルタブは、剥離性に優れるため、プルタブを適正な力で、剥離部のみを剥離界面で美しく、キレ良く剥離することができ、商品価値をさらに高めることができる。
【0015】
また、プルタブシールのヒートシール層上にシリコーン樹脂とセルロース系樹脂との混合樹脂からなる剥離剤を使用すると、コロナ処理を行わずに剥離剤を塗布することができ、コロナ処理工程を削除することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の第一は、紙基材の最表面にヒートシール層を有する容器基材に開口部が設けられ、前記開口部を前記容器外側からプルタブシールが被覆し、前記容器内側から内フィルムが被覆するプルタブであって、該プルタブシールが、容器外側から紙基材、遮光層、ガスバリア層およびヒートシール層を含み、前記内フィルムが、前記容器内側から、ポリオレフィン層、ガスバリア層およびヒートシール層を含むものである、プルタブである。本発明のプルタブは、液体用紙容器の容器本体のほか、容器蓋部、容器底部などのいずれに設けられていてもよい。図1に本発明の実施態様の好適な一例である、容器蓋部に設けられたプルタブの断面図を示す図1を用いて、説明する。
【0017】
図1(a)に示すように、本発明のプルタブは、容器基材(10)の開口部(11)を覆うように、上下からプルタブシール(20)および内フィルム(30)とが積層され、プルタブシールの一部を残して、図1(b)に示すようにヒートシールにより接着されて構成される。
【0018】
(1)プルタブシール
本発明で使用するプルタブシール(20)は、少なくとも紙基材に、遮光層、ガスバリア層、ポリオレフィン層およびヒートシール層を積層してなる積層フィルムである。
【0019】
紙基材としては、これが液体用紙容器としての賦型性、耐屈曲性、あるいは剛性等を保持させるものであればよく、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白ロ−ル紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の紙基材、その他等を使用することができる。紙基材としては、坪量40〜150g/m2、より好ましくは、50〜100g/mのものを使用する。紙基材は、引っ張強度があり、層間剥離のしにくいものが好ましく、プルタブシールに使用するには晒クラフト50〜100g/m2が好適に使用される。
【0020】
遮光層としては、アルミニウム、鉄、ステンレス、亜鉛、金、銀、銅、またはこれらの合金からなる箔であり、アルミ箔が主に使用される。遮光層の厚さは3〜20μm、特には5〜10μmの範囲が望ましいものである。アルミ箔は、酸素ガスや水蒸気などのバリア性も併せ持つため本発明では特にアルミ箔を使用することが好ましい。
【0021】
ガスバリア層としては、有機系でも無機系でもよく、有機系としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等、より具体的には、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、アクリロニトリル共重合樹脂、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、延伸ナイロンフィルム(ONY)、無延伸ナイロンフィルム(MXD6NY)、ポリカーボネート、延伸ポリプロピレン、延伸高密度ポリエチレンフィルム(OHDPE)、延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、の各種の樹脂を使用することができる。中でもエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)などのエチレンビニルアルコール共重合体またはポリアミド樹脂を好適に使用することができる。
【0022】
また無機系としては、基材樹脂に無機化合物を蒸着したフィルムがある。このような蒸着フィルムとして使用できる基材樹脂としては、機械的、物理的、化学的等において優れた性質を有し、特に、強度を有して強靱であり、かつ、耐熱性を有する樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等の各種の樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。これらの樹脂のフィルムないしシートは、一軸ないし二軸方向に延伸されているものでもよい。上記の基材樹脂には、必要ならば、その表面にアンカーコート剤等をコーティングして表面平滑化処理等を施してもよい。
【0023】
また、蒸着しうる無機酸化物としては、基本的に金属の酸化物をアモルファス(非晶質)化した薄膜であれば使用可能であり、例えば、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物をアモルファス(非晶質)化した薄膜を使用することができる。液体用紙容器に適するものとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物をアモルファス(非晶質)化した薄膜を挙げることができる。ところで、上記の金属の酸化物をアモルファス(非晶質)化した薄膜は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物等のように金属酸化物として呼ぶことができ、その表記は、例えば、SiOX 、AlOX 、MgOX 等のようにMOX (ただし、式中、Mは、金属元素を表し、Xの値は、金属元素によってそれぞれ範囲がことなる。)で表される。また、上記のXの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0〜2、アルミニウム(Al)は、0〜1.5、マグネシウム(Mg)は、0〜1、カルシウム(Ca)は、0〜1、カリウム(K)は、0〜0.5、スズ(Sn)は、0〜2、ナトリウム(Na)は、0〜0.5、ホウ素(B)は、0〜1、5、チタン(Ti)は、0〜2、鉛(Pb)は、0〜1、ジルコニウム(Zr)は0〜2、イットリウム(Y)は、0〜1.5の範囲の値をとることができる。上記において、X=0の場合、完全な金属であり、透明ではなく全く使用することができない、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。本発明において、液体用紙容器としては、一般的に、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)以外は、使用される例に乏しく、ケイ素(Si)は、1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は、0.5〜1.5の範囲の値のものを使用することができる。本発明において、上記のような無機酸化物の薄膜の膜厚としては、使用する金属、または金属の酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50〜3000Å位、好ましくは、100〜2000Å位の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。また、本発明においては、無機酸化物の薄膜としては、無機酸化物の薄膜の1層だけではなく、2層あるいはそれ以上を積層した積層体の状態でもよく、また、使用する金属、または金属の酸化物としては、1種または2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合した無機酸化物の薄膜を構成することもできる。
【0024】
基材樹脂の上に、無機酸化物の薄膜を形成するには、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD法)等を挙げることができる。本発明では、上記の中でもガスバリア層として、PETを使用することが好ましい。プルタブシールは、剥離の際に強度がないとプルタブシールが切断され、また、剥離方向に引っ張る際に適度なハリと強度がないと容易に剥離することができない。PETはガスバリア性に優れ嗜好品に含まれる香味の保香性に優れ、かつ適度な強度とハリとを有するため、プルタブシールに好適である。
【0025】
ヒートシール層としては、熱によって溶融し相互に融着し得るポリオレフィン系樹脂のフィルムないしシートを使用することができ、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、その他の樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。これらの中でも、ポリエチレンフィルムは、1軸延伸でも、2軸延伸でもよいがより好適には、2軸延伸フィルムである。本発明では、ポリエチレンやポリエチレンフィルムを使用することが好ましい。低密度ポリエチレンはヒートシール性に優れ、かつ剥離時のフィルム残りも少なく、好ましい。特に、後記するように、所定の厚さの低密度ポリエチレンフィルムをヒートシール層として使用すると、剥離性に優れるプルタブとなることが判明した。
【0026】
本発明において、上記した各種の樹脂をフィルムないしシートとして使用し、プルタブシールを積層して製造することができる。このようなフィルムやシートの製造方法としては、例えば、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、溶融押出法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の製膜化法を用いて、上記の各種の樹脂を単独で製膜化する方法、あるいは、2種以上の各種の樹脂を使用して多層共押出製膜化する方法、さらには、2種以上の樹脂を使用し、製膜化する前に混合して製膜化する方法等により、各種の樹脂のフィルムないしシートを製造し、さらに、要すれば、例えば、テンター方式、あるいは、チューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸してなる各種の樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。
【0027】
なお、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料等の着色剤等を使用することができ、さらには、改質用樹脂等も使用することができる。
【0028】
本発明において、上記で調製したフィルムやシートを使用し、または上記した共重合体や樹脂を使用して前記胴部材用積層体や底部材用積層体を製造するには、ウエットラミネーション法、ドライラミネーション法、無溶剤型ドライラミネーション法、押し出しラミネーション法、Tダイ押し出し成形法、共押し出しラミネーション法、インフレーション法、共押し出しインフレーション法、その他等で行うことができる。
【0029】
ラミネート用接着剤としては、例えば、1液、あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他などの溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型などのラミネート用接着剤を使用することができる。上記ラミネート用接着剤のコーティング法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他の方法で塗布することができる。そのコーティング量としては、好ましくは0.1〜10g/m2(乾燥状態)の範囲、より好ましくは1〜5g/m2(乾燥状態)の範囲である。なお、上記ラミネート用接着剤には、例えば、シランカップリング剤などの接着促進剤を任意に添加することができる。
【0030】
また、上記において、溶融押し出し接着性樹脂としては、前述のヒートシール性樹脂層を形成するヒートシール性樹脂を同様に使用することができ、低密度ポリエチレン、特に、線状低密度ポリエチレン、酸変性ポリエチレンを使用することが好ましい。上記の溶融押し出し接着性樹脂による溶融押し出し樹脂層の膜厚は、好ましくは5〜100μmの範囲、さらに好ましくは、10〜50μmの範囲である。なお、本発明において、上記の積層を行う際に、より強固な接着強度を得る必要がある場合には、アンカーコート剤などの接着改良剤などをコートすることもできる。上記アンカーコート剤としては、例えば、アルキルチタネートなどの有機チタン系アンカーコート剤、イソシアネート系アンカーコート剤、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤、ポリブタジエン系アンカーコート剤、その他の水性または油性の各種のアンカーコート剤を使用することができる。本発明においては、上記アンカーコート剤を、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレイコート、その他のコーティング法でコーティングし、溶剤、希釈剤などを乾燥して、アンカーコート剤層を形成することができる。上記アンカーコート剤の塗布量としては、0.1〜5g/m2(乾燥状態)の範囲が好ましい。
【0031】
本発明においては、上記のような樹脂の1種ないし2種以上を使用し、これを押出機等を用いて溶融押出して、例えば、遮光層やバリア層を積層した紙基材に、アンカーコート剤層等を介して、溶融押出樹脂層を溶融押出し積層することにより、あるいは、上記のような樹脂の1種ないし2種以上を使用し、予め、これから樹脂のフィルムないしシートを製造し、紙基材の一方の面にラミネート用接着剤層等を介してドライラミネート積層することにより、ヒートシール層を積層することができる。
【0032】
また、プルタブ開封の際に必要なきっかけ部(非接着部)を設けるために、剥離剤を使用することが一般的であるが、従来の剥離剤を使用する場合は剥離剤の塗布前にコロナ処理のような表面処理を施す必要がある。例えば、ニトロセルロースを主成分とする剥離剤、例えば、ザ・インクテック株式会社製の商品名「CM」を使用する場合には、PE上にコロナ処理を行った後にCMを塗布する必要があった。一方、本発明においてバリア層にアルミ箔を使用する場合は、スパークが発生するためコロナ処理を行うことができない。このような場合であっても、例えば剥離剤として大日本インキ株式会社製の商品名「ポリコートP−81」などを使用すると、最内層のヒートシール層に直接剥離剤を塗布することができる。このため、コロナ処理などの表面処理を行わずに剥離剤を塗布できるため、1工程を減らすことができ、かつ内面フィルムとの接着性も向上させることができる。なお、本発明で使用しうる剥離剤としては、シリコーン樹脂、ウレタン系樹脂、硝化綿(セルロース)系樹脂、硝化綿とウレタン系樹脂とのブレンド樹脂、シリコーン樹脂とセルロース系樹脂とのブレンド樹脂などが例示でき、これらの中でもシリコーン樹脂とセルロース系樹脂とのブレンド樹脂がコロナ処理を行うことなく塗布することができるため、好適である。このような剥離剤としては、シリコーン樹脂とセルロース系樹脂とを主成分とし、酢酸エチルやトルエンを溶剤として含む「ポリコートP−81」などは、コロナ処理を行うことなく塗布することができるため、特に好適である。なお、上記「ポリコートP−81」は、通常のインキと同様に、PEやPEフィルムの上に印刷機によって塗布することができる。
【0033】
本発明で使用するプルタブシールの好適な構成としては、容器外側から、紙基材/遮光層/ガスバリア層/ヒートシール層として、紙基材/アルミ箔/PET/ポリエチレンであり、接着層やアンカーコート層を含む具体的な態様としては、紙基材/ポリエチレン(接着層)/アルミ箔(遮光層)/ドライラミネーション用接着剤(接着層)/PET(ガスバリア層)/アンカーコート層/ポリエチレン(接着層)/ポリエチレンフィルム(ヒートシール層)である。接着層にはエクストルジョンコートされた低密度ポリエチレン(LDPE)などを使用することができ、アルミ箔と紙基材との接着にはアイオノマー、エチレンメチルアクリレート(EMA)、エチレンメチルメタアクリレート(EMMA)を用いてもよい。なお、ドライラミネーション用接着剤やアンカーコート剤としては、前記したいずれのものも好適に使用することができる。
【0034】
各層の厚さは、紙基材;好ましくは40〜150g/m2、より好ましくは50〜100g/m2/ポリエチレン(接着層);好ましくは5〜30μm、より好ましくは10〜20μm/アルミ箔(遮光層);好ましくは3〜20μm、より好ましくは5〜10μm/ドライラミネーション用接着剤(接着層)5〜6μm/PET(ガスバリア層);好ましくは5〜30μm、より好ましくは10〜20μm/アンカーコート層2〜3μm/ポリエチレン(接着層);好ましくは5〜30μm、より好ましくは10〜20μm/ポリエチレンフィルム(ヒートシール層);好ましくは20〜100μm、より好ましくは40〜80μmである。
【0035】
また、ポリエチレンフィルムに代えて、低密度ポリエチレンを押出し積層したものであってもよい。この場合には、アンカーコート層の上に直接、低密度ポリエチレンを上記厚さとなるように押出し積層することができる。
【0036】
特に、本発明のプルタブは、開口部の上下からプルタブシールと内フィルムとで被覆し、かつヒートシールによって接着したものであり、プルタブシールのヒートシール層の厚さによって、内フィルムの剥離性が左右されることが判明した。ヒートシールとして使用するポリエチレン層の厚さが、40μmを下回るとプルタブシールのヒートシール層が薄すぎて、プルタブシールの引き上げ時に容器内側から積層およびヒートシール接着した内フィルムを引っ張り上げる力が不足し、開口部周辺にフィルム残りが発生する場合がある。一方、100μmを超えても剥離性が変わらず不経済である。
【0037】
(2)内フィルム
内フィルムは、容器外側からポリオレフィン層、ガスバリア層およびヒートシール層とを含み、ポリオレフィン層としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂がある。ポリオレフィン層は、容器内容物と接触する層を構成し、本発明では、安価かつ操作性に優れる点でポリエチレンを好適に使用することができる。
【0038】
また、ガスバリア層としては、上記プルタブシールのガスバリア層の項に記載したものの中から適宜選択することができ、好ましくは有機系ガスバリア層であり、この中でも好ましくはエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、アクリロニトリル共重合樹脂、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、延伸ナイロンフィルム(ONY)、無延伸ナイロンフィルム(MXD6NY)、ポリカーボネート、延伸ポリプロピレン、延伸高密度ポリエチレンフィルム(OHDPE)、延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)であり、特に好ましくはEVOH、無延伸ナイロンフィルム(MXD6NY)である。ガスバリア層の構成がプルタブシールと異なる組成であれば、異なる機能に基づいてバリア性が発揮されるため、酸素や水蒸気などのガスバリア性がより向上する。
【0039】
また、ヒートシール層も、上記プルタブシールのヒートシール層の項に記載したものの中から適宜選択することができ、好ましくはヒートシール層と同じ樹脂である。同種の樹脂を使用すると、特にヒートシール時の接着性に優れるからである。
【0040】
内フィルムもプルタブシールと同様に、各層は、共押出し法、熱圧着法、接着剤法(ドライラミ法)、真空蒸着法などによって積層することができる。また、本発明で使用する内フィルムは、上記プルタブシールと同様に、さらに接着剤層を含んでいてもよい。
【0041】
好ましい内フィルムの構成は、例えば、容器外側からポリエチレンなどのポリエチレン層/接着層/EVOHなどのガスバリア層/接着層/ポリエチレンなどのヒートシール層などがある。なお、接着層としては、ポリエチレンの押し出しが好適である。
【0042】
各層の厚さは、ポリオレフィン層;好ましくは10〜50μm、より好ましくは15〜25μm/ポリエチレン(接着層);好ましくは1〜10μm、より好ましくは1〜5μm/EVOH(ガスバリア層);好ましくは1〜20μm、より好ましくは1〜10μm/ポリエチレン(ヒートシール層);好ましくは10〜50μm、より好ましくは15〜25μmであり、内フィルム層としては、20〜200μm、より好ましくは20〜100μmである。内フィルム層が40μmを下回ると内容物が漏れる恐れがあり、一方、100μmを超えても、密閉性が変わらず不経済である。
【0043】
このような内フィルムは、ポリエチレンを溶融して接着層として使用し、ポリエチレンフィルムとEVOHフィルムとを押し出しラミネーションによって積層し、ついでポリエチレンを溶融して接着層として使用し、ヒートシール層として使用するポリエチレンフィルムと前記EVOH層との間に押し出し、積層して調製することができる。
【0044】
(3)容器基材
液体用紙容器自体の構成には特に制限はなく、少なくとも紙基材を含み、プルタブシールおよび内フィルムとヒートシールさせる紙基材の表裏の最表面にヒートシールを有すればよい。本発明の特徴は、プルタブを構成するプルタブシールと内フィルムとの層構成にあり、上記構成とすることで、特に保香性の確保に優れ、かつ内フィルムの残存などがなく、プルタブの剥離性に優れるからである。
【0045】
しかしながら、本発明のプルタブの構成によって特に嗜好性の高い液体飲料の保香性を確保するには、前記容器基材が、容器外側から順にヒートシール層、遮光層、紙基材およびヒートシール層を積層してなることが好ましい。遮光層が存在することで内容物の光による変質を防止することができる。また、ヒートシール層は、前記した内フィルムと同じ構成であり、容器基材に使用する内層と同じ構成の内フィルムをプルタブの内フィルムに使用することで、内容物の紙臭移りを防止し、高いバリア性を確保することができる。
【0046】
よって、上記各層は、前記したプルタブや内フィルムで使用したものの中から選択することができる。ヒートシール層としては、プルタブや内フィルムと同様の材質であることが好ましく、ポリオレフィン、この中でもポリエチレンであることが好適である。
【0047】
容器基材に使用する遮光層としても、プルタブと同様に厚さ3〜20μmのアルミ箔であることが好適である。特に広い波長の光を遮断でき、品質保持性が高いからである。
【0048】
紙基材としては、液体用紙容器としての賦型性、耐屈曲性、あるいは剛性等を保持させるものであればよく、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白ロ−ル紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の紙基材、その他等を使用することができる。紙基材としては、坪量80〜350g/m2、より好ましくは、200〜300g/mのものが好適である。
【0049】
また、液体用紙容器においても、各層は、共押出し法、熱圧着法、接着剤法(ドライラミ法)、真空蒸着法などによって接着することができる。したがって、上記に加えてさらに接着剤層を含んでいてもよい。従って、容器外側から内側に向かって、ヒートシール層/接着層/遮光層/接着層/紙基材/ヒートシール層であってもよい。一方、遮光層の表面にヒートシール層を形成する場合には、接着層を使用せず、例えば、紙基材にドライラミ法でアルミ箔を積層した後にポリエチレンなどを溶融して積層し、ヒートシール層としてもよい。本発明で使用する液体用紙容器の構成としては、ヒートシール層/遮光層/ポリエチレンなどのポリオレフィン/紙基材/ヒートシール層があり、より具体的には、ポリエチレンなどのポリオレフィン/アルミ箔/接着層/紙基材/ポリエチレンなどのポリオレフィン層である。
【0050】
各層の厚さは、ポリエチレン(ヒートシール層);好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜30μm/アルミ箔(遮光層);好ましくは3〜20μm、より好ましくは5〜10μm/ポリエチレン(接着層);好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜30μm/紙基材;好ましくは100〜370g/m2、より好ましくは220〜300g/m2/ポリエチレン(ポリオレフィン層);好ましくは5〜80μm、より好ましくは10〜50μmである。なお、紙基材は引張強度があり、層間剥離のしにくいものが好ましく、容器基材にはカップ原紙150〜400g/m2 が好適に使用される。
【0051】
このような容器基材は、例えば、紙基材の外側にポリオレフィンを押出し、次いでアルミ箔を積層し、前記アルミ箔上にアンカーコート剤を塗布し、さらにポリオレフィンを塗布し、前記紙基材の反対側に、ポリオレフィンを押出して調製することができる。
【0052】
(4)プルタブ
本発明のプルタブは、紙基材の最表面にヒートシール層を有する容器基材に開口部を設け、前記開口部を前記容器外側からプルタブシールで被覆し、前記容器内側から内フィルムで被覆し、ヒートシール層によってプルタブシールと内フィルムとを接着することで調製することができる。
【0053】
本発明のプルタブは、ヒートシール処理によってプルタブシールと内フィルムとが一体化し、該プルタブを剥がす際には、プルタブシールの引き上げに伴って開口部周辺で内フィルムと容器基材のヒートシール層との切断が行われ、プルタブシール側に内フィルムが積層されたまま剥離される必要がある。この剥離性は、プルタブシールや内フィルムの有する遮光性や、ガスバリア性などとは別個の特性であり、プルタブとして機能するためには、この剥離性が極めて重要である。本発明では、プルタブシールおよび内フィルムの構成を上記とすることで、嗜好性に高い液体飲料用紙容器に使用する場合でも、品質保持性および保香性などに優れ、かつプルタブシールのヒートシール層にポリエチレンフィルムを使用し、各層の厚さや積層フィルムの厚さを上記範囲に設定することで、フィルムの残りがなく、きわめて優れた剥離性が確保される。
【0054】
プルタブシールを容器(40)の蓋部に設けた開口部から簡便かつフィルム残りなく剥離するために、例えば、図2(a)に示すように、開口部(11)は、剥離開始側の形状が尖らしてあることが好適であるが、これに限定されるものではない。また、前記開口部(11)の外周(13)を内フィルムと共にヒートシールする一方、前記剥離開始側に未ヒートシール部(21)を形成しておく。
【0055】
(5)液体用紙容器
本発明のプルタブは、特に液体飲料用の紙容器のプルタブに好適に使用することができる。容器基材を、容器外側からプルタブシールで、容器内側から内フィルムで積層するため、たとえ容器基材に設けた開口部によって端面が露出する場合でも、プルタブシールと内フィルムとによって端面と内容物との接触を回避することができる。このようなプルタブは、紙容器の蓋部に設けられていても、底部に設けられていても、または容器の側部に設けられていてもよい。また、筒状胴部は、円柱状であってもテーパー状であっても、逆テーパー状であってもよい。本発明の液体用紙容器は、特にガスバリア性、保香性に優れるため、嗜好性の強いコーヒー、水飲料用の紙容器として最適に使用することができる。
【0056】
本発明の蓋部にプルタブが設けられている液体用紙容器を製造するには、予め長尺の蓋部用の紙基材に等間隔に開口部を設け、この紙基材を容器基材に用いて、上記方法に従って調製したプルタブシールと内フィルムとを、前記開口部を覆うようにして積層し、プルタブシールの一部を残してヒートシールを行えばよい。
【0057】
このようなプルタブを用いて逆テーパー状の液体用紙容器を調製するには、予めプルタブを設けた帯状の蓋部材用積層体(50)を調製しておく。一方、液体用紙容器の胴部を作るに必要な容器基材(図示せず)を所定の形状に打ち抜き加工してブランク板(61)を形成しこれを筒状に巻いてその両側端部を部分的に重ね合わせ、重合部分にホットエアー処理等の加熱処理を行い筒状のカップ胴部(65)を製造する。一方、蓋部は、帯状の蓋部材用積層体(50)をプルタブ(20)を含むように円形状に打ち抜き加工して蓋部を構成する円板(51)を製造し、その外周部を筒状に起立成形して、起立成形部(53)を形成し、次いで、製造したカップ胴部(65)に蓋部を挿入し、胴部の底部先端を起立成形部側に折り曲げ、カップ胴部(65)と蓋部(53)との接合部分に熱風等を吹きつけてヒートシール性樹脂層を加熱溶融する。次いで、蓋部の起立成形部(53)との重合部分を内径側からローレットがけしてカップ胴部(65)と蓋部(53)とを密接着させて蓋シール部(70)を形成する。
【0058】
内容物は、容器の天地を逆転し、蓋部を下にした状態で充填することができる。内容物の充填後に、この状態で前記蓋部を取り付けたと同様にして底部を取り付ける。蓋部面積が底部面積より小さい逆テーパー状の容器の場合、天地を逆転した状態で内容物を充填すると、充填時の面積が広いため充填作業が容易となる。加えて、内容物を充填した後に、蓋部よりも面積の広い底部を取り付けるため、底部の取り付け作業も容易となる。
【0059】
(6)紙容器入り飲料
本発明の紙容器入り飲料は、上記した液体用紙容器に液体飲料を充填したものである。このような飲料としては、コーヒー、味噌汁、液体スープ、果汁飲料、水などがある。
【実施例】
【0060】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
【0061】
(実施例1)
(1)プルタブシール1(紙(80g/m2)/PE15/Al/DL/PET12/AC/PE15/PEF30)の製造
基材としてカタツヤクラフト紙(坪量80g/m2)を使用し、基材側から順番に、LDPE(三井化学(株)製、商品名「MR16P」;密度:0.923g/cm、メルトインデックス(MI):3.7g/10min、融点(DSC法):111℃)を15μmの厚さに押出して積層し、その上から厚さ7μmのアルミ箔を貼り合わせ、接着剤(ロックペイント(株)製、商品名「RU−77T/H」)を塗布してさらに厚さ12μmのPETフィルムを貼り合せた。その上にアンカーコート剤(三井武田ケミカル(株)製、商品名「A3210/A3075」)を塗布した。次いで、押出しにより前記LDPEを前記アンカーコート剤の上に15μm厚に積層し、更に、最内層として厚さ30μmのLDPEフィルム(東ソー(株)製、商品名「P204」;密度:0.923g/cm、MI:7.0g/10min、融点(DSC法)107℃)を貼り合せた。さらに、LDPEフィルム上に剥離剤としてポリコートP−81を塗布した。
【0062】
(2)内フィルムの製造
厚さ5μmのEVOH(クラレ(株)製、商品名「E105B」)の両面に、三井化学社製、商品名「NF−555」;密度:0.913g/cm、MI:4.2g/10min、融点(DSC法):120℃)を4μmの厚さで塗布し、ポリエチレンをLDPE(三井化学(株)製、商品名「MR16P」;密度:0.923g/cm、メルトインデックス(MI):3.7g/10min、融点(DSC法):111℃)を18.5μmの厚さに押出して積層し、内フィルムを製造した。
【0063】
(3)プルタブの製造
紙基材:256g/mの外側にLDPE(東ソー(株)製、商品名「P204」;密度:0.923g/cm、MI:7.0g/10min、融点(DSC法)107℃)を18μm押出し、前記LDPE上にアンカーコート剤(三井武田ケミカル(株)製、商品名「A3210/A30」)を塗布し、その上に厚さ15μのアルミ箔を積層し、さらに厚さ15μmのLDPE(東ソー(株)製、商品名「P204」;密度:0.923g/cm、MI:7.0g/10min、融点(DSC法)107℃)を塗布した。また、前記紙基材の反対側に、LDPE(東ソー(株)製、商品名「P204」;密度:0.923g/cm、MI:7.0g/10min、融点(DSC法)107℃)を60μm押出し、紙容器蓋部を形成した。次いで、該蓋部に長径7〜9mm、短径3〜5mmの開口部を設けた。該蓋部の構成は、最外層(プルタブシールと接触させる側)から最内層(内容物側)に向かってPE15/Al15/AC/PE18/紙(256g/m2)/PE60となる。
【0064】
上記開口部のLDPE層上にプルタブシール1を積層し、カップ原紙側に上記内フィルムを積層し、温度150〜250℃で融着させ、プルタブを製造した。
【0065】
(実施例2)
(1)プルタブシール2の製造(紙(80g/m2)/PE15/Al/DL/PET12/AC/PE15/PEF40
基材としてカタツヤクラフト紙(坪量80g/m2)を使用し、基材側から順番に、LDPE(三井化学(株)製、商品名「MR16P」;密度:0.923g/cm、MI:3.7g/10min、融点(DSC法):111℃)を15μmの厚さに押出して積層し、その上から厚さ7μmのアルミ箔を貼り合わせ、接着剤(ロックペイント(株)製、商品名「RU−77T/H」)を塗布してさらに厚さ12μmのPETフィルムを貼り合せた。その上にアンカーコート剤(三井武田ケミカル(株)製、商品名「A3210/A3075」)を塗布した。次いで、押出しにより前記LDPEを前記アンカーコート剤の上に15μm厚に積層し、更に、最内層として厚さ40μmのLDPEフィルム(東ソー(株)製、商品名「P204」;密度:0.923g/cm、MI:7.0g/10min、融点(DSC法)107℃)を貼り合せた。
【0066】
(2)プルタブの製造
実施例1と同様にして内フィルムを製造した。
【0067】
次いで、プルタブシール1に代えてプルタブシール2を使用した以外は実施例1と同様にして、プルタブを製造した。
【0068】
(実施例3)
(1)プルタブシール3の製造(紙(60g/m2)/PE15/Al/DL/PET12/AC/PE15/PEF50
基材としてカタツヤクラフト紙(坪量60g/m2)を使用し、基材側から順番に、LDPE(三井化学(株)製、商品名「MR16P」;密度:0.923g/cm、MI:3.7g/10min、融点(DSC法):111℃)を15μmの厚さに押出して積層し、その上から厚さ7μmのアルミ箔を貼り合わせ、接着剤(ロックペイント(株)製、商品名「RU−77T/H」)を塗布してさらに厚さ12μmのPETフィルムを貼り合せた。その上にアンカーコート剤(三井武田ケミカル(株)製、商品名「A3210/A3075」)を塗布した。次いで、押出しにより前記LDPEを前記アンカーコート剤の上に15μm厚に積層し、更に、最内層として厚さ50μmのLDPEフィルム(東ソー(株)製、商品名「P204」;密度:0.923g/cm、MI:7.0g/10min、融点(DSC法)107℃)を貼り合せた。
【0069】
(2)プルタブの製造
実施例1と同様にして内フィルムを製造した。
【0070】
次いで、プルタブシール1に代えてプルタブシール3を使用した以外は実施例1と同様にして、プルタブを製造した。
【0071】
(実施例4)
(1)プルタブシール4の製造(紙(80g/m2)/PE15/Al/DL/PET12/AC/ECPE50
基材としてカタツヤクラフト紙(坪量80g/m2)を使用し、基材側から順番に、LDPE(三井化学(株)製、商品名「MR16P」;密度:0.923g/cm、MI:3.7g/10min、融点(DSC法):111℃)を15μmの厚さに押出して積層し、その上から厚さ7μmのアルミ箔を貼り合わせ、接着剤(ロックペイント(株)製、商品名「RU−77T/H」)を塗布してさらに厚さ12μmのPETフィルムを貼り合せた。その上にアンカーコート剤(三井武田ケミカル(株)製、商品名「A3210/A3075」)を塗布し、次いで、最内層としてLDPE(日本ポリケム(株)製、商品名「LC600A」;密度:0.919g/cm、MI:7.0g/10min、融点(DSC法)107℃)を押出しで厚さ50μmに積層した。
【0072】
(2)プルタブの製造
実施例1と同様にして内フィルムを製造した。
【0073】
次いで、プルタブシール1に代えてプルタブシール4を使用した以外は実施例1と同様にして、プルタブを製造した。
【0074】
(比較例)
(1)プルタブシール5の製造(紙(80g/m2)/PE15/HDPEF40/PE30
基材としてカタツヤクラフト紙(坪量80g/m2)を使用し、基材側から順番に、LDPE(三井化学(株)製、商品名「MR16P」;密度:0.923g/cm、MI:3.7g/10min、融点(DSC法):111℃)を15μmの厚さに押出して積層し、その上から厚さ40μmのHDPEF(アイセロ化学株式会社製、商品名「H−500s」:密度:0.950g/cm、MI:1.5g/10min、融点(DSC法):130℃)を貼り合わせ、次いで、LDPE(三井化学(株)製、商品名「MR16P」;密度:0.923g/cm、MI:3.7g/10min、融点(DSC法):111℃)を押出しで厚さ30μmに積層した。
【0075】
(2)プルタブの製造
実施例1と同様にして内フィルムを製造した。
【0076】
次いで、プルタブシール1に代えてプルタブシール5を使用した以外は実施例1と同様にして、プルタブを製造した。
【0077】
(特性評価実験例)
上記実施例1〜4および比較例で製造したプルタブについて、バリア性、開封時の飲み口内面フィルムおよび蓋に対するフィルムの残りと開封時のピール強度を評価した。なお、ピール強度は、実施例3、実施例4のプルタブを用いてピール強度を測定した。評価方法は以下に従った。結果を表1〜3に示す。
【0078】
(1)バリア性:JIS K7126(1987年)のA法によって酸素透過率を、B法によって水蒸気透過率を測定した。また、遮光性は、JIS Z8722に基づいて設計されたカラーメーターにて全光線透過率を測定し、透過率0%を遮光性「有」、透過率100%を「無」とした。
【0079】
(2)フィルム残り:プルタブシールを表示通りきっかけ部分から開封した際、どの程度フィルムが残るかで評価した。
【0080】
(3)ピール強度:蓋部材用積層体にプルタブシールが接着した状態でプルタブの外周を蓋部材用積層体と共に切断して試験片とし、この試験片のプルタブ非接着部分と蓋部材用積層体とをそれぞれ2個のつかみ具で軽くつかんだ。図4に示すように、試験片が荷重の係る方向と平行になるように揃えてから、つかみ具をしめ、その後、引張り荷重をかけ、プルタブシールが剥離し終わる間の最大荷重を読み取った。図5に示すように、開口部から飲み口部分の終わりまでをA部とし、飲み口部分の終わりからプルタブシール接着の最後部までをB部とし、最大荷重をピール強度として評価した。
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】

【0083】
【表3】

【0084】
(結果)
(1)実施例1〜4のプルタブは、いずれも遮光性、酸素バリア性、水蒸気バリア性に優れた。
【0085】
(2)実施例1〜4のプルタブは、外枠側のフィルム残りがなく、またはあっても少なく、飲み口側のフィルム残りもないかまたは少ないため、実用できると判断された。
【0086】
(3)実施例3と実施例4とを比較すると、ヒートシール層として、押出しポリエチレンを使用するよりも、ポリエチレンフィルムを使用する方が、開封時にプルタブ引き上げ側の飲み口の内面フィルムのフィルム残りが少なく、このためピール強度も低減できた。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の紙カップ容器は、遮光性、保香性に優れ、特に嗜好性の高い飲料用のプルタブとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】(b)はプルタブの横断面図であり、(a)はプルタブシールと内フィルムとを容器基材に設けた開口部の上下に配置した工程を説明する図である。
【図2】(a)は、プルタブを設けた液体用紙容器の蓋部の平面図であり、(b)はプルタブを開口した状態を示す図である。
【図3】本発明にかかる液体用紙容器を製造する工程を示す図である。
【図4】実施例で製造したプルタブのピール強度測定の際の引っ張り状態を示す図である。
【図5】実施例で製造したプルタブのピール強度の評価箇所を示す図である。
【符号の説明】
【0089】
10・・・容器基材、
11・・・開口部、
13・・・開口部の外周、
20・・・プルタブシール、
21・・・プルタブシールの未ヒートシール部、
30・・・内フィルム、
40・・・容器、
50・・・蓋部材用積層体、
51・・・蓋部を構成する円板、
53・・・起立成形部、
61・・・ブランク板、
65・・・カップ胴部、
70・・・シール部、
80・・・A部、
90・・・B部
100・・・つかみ具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材の最表面にヒートシール層を有する容器基材に開口部が設けられ、前記開口部を前記容器外側からプルタブシールが被覆し、前記容器内側から内フィルムが被覆するプルタブであって、該プルタブシールが、容器外側から紙基材層、遮光層、ガスバリア層およびヒートシール層を含み、前記内フィルムが、前記容器内側から、ポリオレフィン層、ガスバリア層およびヒートシール層を含むものである、プルタブ。
【請求項2】
前記プルタブシールの前記遮光層が、アルミ箔からなる、請求項1記載のプルタブ。
【請求項3】
前記プルタブシールの前記ガスバリア層が、ポリエチレンテレフタレート層である、請求項1または2記載のプルタブ。
【請求項4】
前記プルタブシールのヒートシール層がポリエチレンフィルムである、請求項1〜3のいずれかに記載のプルタブ。
【請求項5】
前記プルタブシールのヒートシール層の厚さが20〜100μmである、請求項4記載のプルタブ。
【請求項6】
前記プルタブシールが、前記ヒートシール層の上にシリコーン樹脂とセルロース系樹脂との混合樹脂からなる剥離剤を塗布されることを特徴とする、請求項5記載のプルタブ。
【請求項7】
前記容器基材が、容器外側から順にヒートシール層、遮光層、紙基材層およびヒートシール層を積層してなることを特徴とする、プルタブ。
【請求項8】
前記プルタブを有する、液体用紙容器。
【請求項9】
飲料を、前記8記載の液体用紙容器に充填した、紙容器入り飲料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−210640(P2007−210640A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−32447(P2006−32447)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】