説明

プレカラム誘導体化によるクロマトグラフ装置

【課題】自動的に反応試薬の過不足を判断し、過不足の場合は自動的に反応試薬量及び分析試料量を修正するクロマトグラフ装置を実現する。
【解決手段】反応試薬由来ピーク面積値の正常範囲を800〜8000とし、この範囲を超える分析値が得られた場合は異常なサンプルとして判断することができる。反応試薬由来分析値が800以下の場合は、反応試薬濃度が10倍のものを使用して再分析を行う。10倍の反応試薬濃度のものを使用して、再分析しても、反応試薬由来分析値が800を超えない場合は反応試薬濃度が100倍のものを使用して再分析を行う。分析値が8000以上の場合は反応試薬濃度が1/10倍の反応試薬を使用して再分析を行い、それでも反応試薬由来分析値が8000を超えない場合は、1/100倍濃度のものを使用して再分析を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロマトグラフ装置に係り、クロマトグラフ装置と検出器(質量分析計、UV検出器、蛍光検出器、化学発光検出器等)とを組み合わせた分析装置の分析精度、分析再現性の向上、分析結果の評価、分析作業の効率向上に関する。
【背景技術】
【0002】
生体試料(例えば、血漿)等の成分濃度にばらつきのある試料を分析する場合、試料中の分析対象成分(例えば、アミノ酸など)は非常に広い濃度範囲で分布している。そのため、試料の誘導体化等に用いる反応試薬量を一定として一連の試料の分析を行うと、分析試料の濃度によっては反応試薬の過不足が起こりうる。
【0003】
この反応試薬の不足は、分析成分と反応試薬との反応が不十分となるため、分析成分のピークが過少に評価され、分析再現性や分析精度の低下の原因となる。
【0004】
また、反応試薬が過剰の場合は、分析試料と反応試薬との反応は、十分に進行するが、クロマトグラム上に出現する反応試薬由来のピークが近接する目的成分の分離度を低下させ、その成分の分析精度低下をもたらす。
【0005】
これまで、各分析成分の分析値が分析装置の測定レンジを越えた場合や予め設定された値を越えた場合に、異常値として認識し、その分析試料を希釈液等で希釈するなどした後に再分析する技術が、特許文献1に記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開平5−256852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来技術のように、各分析成分の測定結果だけで異常か否かを判断する方法は、測定試料自体の広範囲な濃度ばらつきのため、異常な結果に対して、1)測定サンプルの異状によるものなのか、2)測定装置の異常によるものなのか、を判別するのが困難であった。
【0008】
しかも、これら異常原因に対する対処方法は、それぞれ異なっており、適切な対処を行わなければ、正しい結果が得られないという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、自動的に反応試薬の過不足を判断し、過不足の場合は自動的に反応試薬量及び分析試料量を修正するクロマトグラフ装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のクロマトグラフ装置(アミノ酸分析装置)は、目的成分を誘導体化する反応試薬を試料に注入する反応試薬注入手段と、上記反応試薬注入手段により反応試薬が注入された試料を分析する分析手段と、上記反応試薬注入手段及び分析手段の動作を制御する制御手段とを備える。
【0011】
そして、上記制御手段は、反応試薬の濃度とこの反応試薬に由来する分析値とを記憶し、濃度未知の試料と上記濃度の反応試薬を反応させた分析結果における反応試薬由来の分析値と、上記記憶された反応試薬に由来する分析値と比較して、所定の範囲内にあるか否かを判定し、再分析の要否を判断する。
【0012】
また、上記制御手段は、上記反応試薬由来の分析値が、上記所定の範囲の下限値以下の場合は、反応試薬濃度を濃くして再分析し、上記反応試薬由来の分析値が、上記所定の範囲の上限値以上の場合は、反応試薬濃度を薄くして再分析させる。
【0013】
また、本発明のクロマトグラフ分析方法(アミノ酸分析方法)は、目的成分(アミノ酸成分)を誘導体化する反応試薬を試料に注入し、反応試薬が注入された試料を分析する。
【0014】
そして、反応試薬の濃度とこの反応試薬に由来する分析値とを記憶し、濃度未知の試料と上記濃度の反応試薬を反応させた分析結果における反応試薬由来の分析値と、上記記憶された反応試薬に由来する分析値と比較して、所定の範囲内にあるか否かを判定し、再分析の要否を判断する。
【0015】
また、上記反応試薬由来の分析値が、上記所定の範囲の下限値以下の場合は、反応試薬濃度を濃くして再分析し、上記反応試薬由来の分析値が、上記所定の範囲の上限値以上の場合は、反応試薬濃度を薄くして再分析させる。
【発明の効果】
【0016】
自動的に反応試薬の過不足を判断し、過不足の場合は自動的に反応試薬量及び分析試料量を修正するクロマトグラフ装置(アミノ酸分析装置)及びクロマトグラフ分析方法(アミノ酸分析方法)を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明が適用されるアミノ酸分析装置としての、アミノ酸分析用質量分析計/液体クロマトグラフ装置(LC/MS装置)の概略構成を示す図である。
【0019】
図1において、LC/MS装置は溶離液を送液する溶離液ポンプ10と、分析サンプルの前処理および注入を行うオートサンプラ(反応試薬注入手段)20と、オートサンプラに洗浄液を送液する洗浄ポンプ30と、カラムの温度を一定に保つカラムオーブン40と、UV検出器50と、質量分析計60とを備え、溶離液ポンプ10は、オートサンプラ20、カラムオーブン40、UV検出器50を介して、配管により質量分析計60に接続されている。また、オートサンプラ20と洗浄ポンプ30とは、洗浄液流路切換バルブ31を介して、配管により接続されている。
【0020】
また、LC/MS装置は、装置を制御する制御部70と、分析データを記録する記録部80と、分析データの解析を行う解析部90と、CRT、プリンタ、マウス、キーボードとを備え、制御部70は、記録部80、解析部90、CRT等と配線を介して信号の送受信を行う。
【0021】
また、制御部70は、溶離液ポンプ10、洗浄ポンプ30、カラムオーブン40、UV検出器50、質量分析計60と配線を介して信号の送受信を行う。
【0022】
また、図示していないが、オートサンプラ20は、反応ポート、洗浄ポート、注入ポート、サンプルラック、ノズル、サンプルループ、シリンジ、インジェクションバルブ、シリンジバルブを備えている。
【0023】
オートサンプラ20のサンプルラックは、分析試料を分注したマイクロプレートを収容する場所と、反応試薬、希釈液、反応停止液、緩衝液および洗浄液の入った各バイアルを収容する場所を備え、サンプル、反応試薬、希釈液、反応停止液、緩衝液および洗浄液を冷却する。
【0024】
オートサンプラ20の反応ポートは40〜70°Cに温度調節できる機能を備えており、反応ポートに注入された前処理反応液および分析サンプルを加熱することができる。
【0025】
次に、溶離液および洗浄液の流路について説明する。
【0026】
溶離液の流路について説明する。、溶離液ポンプ10から送液される溶離液は、オートサンプラ20のインジェクションバルブを経由し、カラムオーブン40、UV検出器50、質量分析計60へと順次流れていく。
【0027】
インジェクションバルブを切り換えると、溶離液はインジェクションバルブからサンプルループ、ノズル、注入ポートを経由してインジェクションバルブに戻る流路を流れる。
【0028】
洗浄液の流路について説明する。洗浄液は、溶離液とは別の独立した流路を持ち、洗浄ポンプ30から洗浄液流路切換バルブ31を経由し、オートサンプラ20の洗浄ポートあるいは反応ポートのいずれかへ流れる。
【0029】
オートサンプラ20のノズル洗浄時は、洗浄ポート側に洗浄液を流すように洗浄液流路切換バルブ31を切り換え、反応ポート洗浄時は反応ポート側に洗浄液流路切換バルブ31を切り換える。
【0030】
次に、本発明の一実施形態における分析試料前処理について説明する。
【0031】
なお、本発明の一実施形態では、分析試料として、アミノ酸42成分混合試料(Asp,Thr,Ser,Glu,Pro,Gly,Ala,Cys2,Val,Met,Ile,Leu,Tyr,Phe,Lys,His,NHCl,Arg,P−Ser,Tau,PEA,Urea,Hypro,Sar,a−AAA,Cit,a−ABA,Cysthi,b−Ala,b−AiBA,GABA,EtOHNH2,HyLys,Orn,1MeHis,3MeHis,Ans,Car,Gln,Asn,Trp,NorVal)を用いた。
【0032】
アミノ酸を分析する場合は、アミノ酸を誘導体化試薬と反応させ、誘導体化して分析する方法が一般に知られている。誘導体化試薬としては、可視および紫外吸収誘導体化試薬や蛍光誘導体化試薬が挙げられる。本発明の一実施形態では、反応試薬として、紫外吸収誘導体化試薬を用いた。
【0033】
以下、分析試料前処理手順の一例を示す。
【0034】
まず、オートサンプラ20のサンプルラックに設置された反応試薬、分析試料、緩衝液の各バイアルから、反応試薬4μl、分析試料4μl、緩衝液12μlをオートサンプラ20のノズルでそれぞれ吸引し、反応ポートに吐出した後、攪拌する。反応ポートの温度は、サンプルの前処理反応を促進させるために55℃に保つ。
【0035】
反応ポートへ混合液を吐出後、所定の反応時間が経過したら、反応停止液および希釈液を注入する。反応停止液20μlおよび希釈液60μlをオートサンプラ20のノズルで吸引し、反応ポートに吐出し、撹拌する。
【0036】
前処理終了後、分析サンプル10μlをオートサンプラ20のノズルで吸引し、注入ポートに注入する。注入と同時にオートサンプラ20から各検出器に分析を開始させる信号が送られ、各検出器で分析が開始される。また、サンプル注入後、反応ポートに洗浄液を流して洗浄を行い、洗浄が終了したら洗浄液を排出し、次のサンプルの前処理を開始する。
【0037】
実サンプル(例えば、血漿などの生体試料)分析時には、実サンプルに一定割合の内部標準物質を添加したものを分析試料とする。
【0038】
各検出器での分析が開始されると、CRT等のモニタには各検出器での現在の分析値や分析条件、分析の進捗状況が表示される。測定により得られたデータは記録部80に記録され、データ解析部90で処理される。
【0039】
次に、反応試薬過不足の判定基準の算出方法(1)、(2)の2つの方法について述べる。
【0040】
(1)少なくとも2点以下の濃度既知の標準試料を予め測定しておき、その結果を基に判定基準を算出する。
【0041】
(2)未知試料測定時に標準試料の測定を行い、その測定結果から判定基準を算出し、未知試料の測定を行う。
【0042】
上記(1)、(2)の方法とも、実施可能であるが、通常は(2)の方法により、標準試料での検量線を作成しながら、判定基準を算出し、未知試料の測定を行う方法が採用される。
【0043】
次に、血漿中のアミノ酸の測定を例に具体的に述べる。アミノ酸標準試料は、血漿中の遊離アミノ酸42成分に内部標準物質として、Ala−d3、Asp−d3、Val−d8、Phe−d8、Lys−d4を添加したものを用いる。
【0044】
各アミノ酸の濃度は5μM〜5mMであり、内部標準物質の濃度は各150μMである。ヒトの血漿中に含まれる平均的な総アミノ酸濃度は約4mM〜10mM程度であるが、実際に分析する際は適宜サンプルを希釈して分析することから、この分析で使用したアミノ酸標準試料の濃度範囲は、血漿をサンプルとして分析した場合を想定しても十分なものといえる。
【0045】
上記アミノ酸標準試料に一定量の内部標準物質を添加した混合試料を所定濃度の反応試薬と反応させて分析する。次に、アミノ酸標準試料の濃度を変えて分析を行い、アミノ酸成分トータル、内部標準物質および反応試薬の各分析値の変化を調べる。
【0046】
図2は反応試薬由来ピーク面積を横軸に、アミノ酸成分、内部標準物質のトータル分析値を縦軸にして示したグラフである。この図2によると、通常のアミノ酸トータル濃度4mM〜10mMの範囲では反応試薬由来ピーク面積値は約1000〜50000の範囲で良い相関を示している。このことから、反応試薬由来ピーク面積値の正常範囲を800〜8000とし、この範囲を超える分析値が得れた場合は、(なんらかの病気や栄養摂取不足など)異常なサンプルとして判断することができる。
【0047】
また、このとき、アミノ酸トータル濃度が30mM程度の高濃度領域では、反応試薬由来ピーク面積値の減少が見られなくなり、反応試薬量がアミノ酸量に対して不足していることを示している。
【0048】
また、これとは逆に、アミノ酸トータル濃度が1mM程度の低濃度領域では、図3の(B)に示すように、反応試薬由来ピークと近接の目的成分由来のピークとが分離しなくなり、分析精度が低下する現象が見られる。
【0049】
なお、図3の(A)は、反応試薬量が適正な場合を示し、図3の(B)は、反応試薬量が過剰の場合を示す。そして、ピークBは反応試薬由来のピークを示し、ピークA、C、D、Eは分析対象成分のピークを示す。
【0050】
図3の(B)に示すように、反応試薬量が過剰な場合は、反応試薬由来のピークBが大きくなることで、近接するピークAと重なり、ピークAは正確に検出することができなくなる。
【0051】
これらのことから、異常なサンプルに対して精度良く分析を行う為には、分析するアミノ酸トータル量に対して適切な量の反応試薬を供給する必要があるといえる。
【0052】
ある特定濃度の反応試薬に対して、精度良く分析できるトータルアミノ酸量の範囲は上記の例では1〜10mMと約一桁程度しかないため、使用する反応試薬としては、通常使用する反応試薬濃度に対し、10倍、100倍、1/10、1/100の各濃度のものを用意する。そして、解析部90により反応試薬由来分析値が800以下と判断された場合は、制御部70は、まず、オートサンプラ20の動作を制御して、反応試薬濃度が10倍のものを使用させて、カラムオーブン40、UV検出器50、質量分析計60の動作を制御して、再分析動作を行わせる。
【0053】
10倍の反応試薬濃度のものを使用して、再分析しても、反応試薬由来分析値が800を超えない場合は、制御部70は、オートサンプラ20の動作を制御して反応試薬濃度が100倍のものを使用し、再分析を行う。
【0054】
また、これとは逆に分析値が8000以上の場合は、制御部70は、反応試薬濃度が1/10倍の反応試薬を使用して再分析を行い、それでも反応試薬由来分析値が8000を超えない場合は、1/100倍濃度のものを使用して再分析を行う。
【0055】
ここで、再分析を行う場合は、その再分析に使用する反応試薬濃度の値をCRT等のディスプレイに表示することも可能である。
【0056】
上述した例のように、反応試薬由来ピークのみでアミノ酸トータル量を推定する方法は、分析する成分が複数存在し、なおかつ各成分の感度差が大きな場合の測定では特に有効な判断手法となる。
【0057】
ただし、反応試薬由来成分のみで判断すると、測定サンプル以外の不良要因(サンプル注入不良や反応試薬の劣化など)によるピーク面積値の異常が発生した場合には、誤った判断をしてしまうことが考えられる。
【0058】
そこで、予め誘導体化を行った内標成分(内標準物質の成分)を測定サンプルに添加したものを使用し、内標成分と反応試薬由来成分との両方の分析値より判断する方法が考えられる。
【0059】
図4は、上記内標成分と反応試薬由来成分との両方の分析値より再測定の要否を判断する方法の動作フローチャートである。
【0060】
図4に示すように、測定終了後、制御部70は、ステップS1において、反応試薬由来ピーク面積値Aが、800を越え、8000未満か否かにより測定サンプルのトータルアミノ酸量の一次判定を行なう。
【0061】
ステップS1において、ピーク面積値Aが800を越え、8000未満であれば、ステップS2に進み、内標成分ピーク面積値(B)により二次判定を行う。
【0062】
また、ステップS1において、ピーク面積値Aが800以下、又は8000以上であれば、ステップS4に進み、内標成分ピーク面積値(B)により二次判定を行う。
【0063】
ステップS4において、反応試薬由来ピーク面積値Aが正常範囲を超えており、内標成分ピーク面積値が正常値(例えば、B(一定値)±10%以内)であれば、測定サンプル濃度が異常と判断し、ステップS5に進み、反応試薬量を変更してステップS3で再測定を行う。
【0064】
また、ステップS4において、反応試薬由来ピーク面積値Aが異常で、なおかつ、内標成分ピーク面積値も異常であれば、測定サンプル以外の不良と判断して、ステップS3に進み、同条件による再測定を行う。
【0065】
ステップS2において、反応試薬由来ピーク面積値Aが正常範囲内であり、内標成分ピーク面積値が正常値(例えば、B(一定値)±10%以内)であれば、測定を終了する。
【0066】
また、ステップS2において、反応試薬由来ピーク面積値Aは正常範囲内であるが、内標成分ピーク面積値が異常であれば、測定サンプル以外の不良と判断して、ステップS3に進み、同条件による再測定を行う。
【0067】
このように、測定サンプルの正常を判断する指標(反応試薬由来成分)と、測定システムが正常かを判断する指標(内標準成分)とを組み合わせることで、より精度の高い分析を自動で行うことが可能となる。
【0068】
以上の方法で再分析を行った結果についても、再度上記判定を行い、再分析が必要と判定された場合は再々分析を行う。また、再分析時の分析条件の修正方法や、同一サンプルに対して再分析を連続で行う回数は、表示手段を用いて、ユーザーが任意に設定することも可能である。
【0069】
また、再測定になった場合、反応試薬由来ピーク面積Aの値と、内標成分ピーク面積値の値とを、ディスプレイ等に表示することも可能である。また、再測定の原因が、測定サンプルにあるのか、反応試薬にあるのか、内標物質にあるのかを表示させることも可能である。、
また、制御部70は、未知試料と所定濃度の反応試薬を反応させて分析させ、分析値が所定の範囲内に無いと判定して再分析を行う際に、分析試料が複数ある場合は、再分析が必要と判断した試料を他の分析試料よりも優先して分析するか、他の分析試料が終了した後に再分析が必要と判断した試料の分析を行うかを選択表示させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明が適用されるアミノ酸分析用質量分析計/液体クロマトグラフ装置(LC/MS装置)の概略構成を示す図である。
【図2】反応試薬由来ピーク面積を横軸に、アミノ酸成分、内部標準物質のトータル分析値を縦軸にして示したグラフである。
【図3】反応試薬量が適正な場合のピークと、反応試薬量が過剰な場合のピークとを比較するグラフである。
【図4】内標成分と反応試薬由来成分との両方の分析値より判断する方法の動作フローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
10 溶離液ポンプ
20 オートサンプラ
30 洗浄ポンプ
31 流路切換バルブ
40 カラムオーブン
50 UV検出器
60 質量分析計
70 制御部
80 記憶部
90 解析部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的成分を誘導体化する反応試薬を試料に注入する反応試薬注入手段と、上記反応試薬注入手段により反応試薬が注入された試料を分析する分析手段と、上記反応試薬注入手段及び分析手段の動作を制御する制御手段とを備えるクロマトグラフ装置において、
上記制御手段は、反応試薬の濃度とこの反応試薬に由来する分析値とを記憶し、濃度未知の試料と上記濃度の反応試薬を反応させた分析結果における反応試薬由来の分析値と、上記記憶された反応試薬に由来する分析値と比較して、反応試薬由来の分析値が所定の範囲内にあるか否かを判定し、再分析の要否を判断することを特徴とするクロマトグラフ装置。
【請求項2】
請求項1記載のクロマトグラフ装置において、上記制御手段は、上記反応試薬由来の分析値が、上記所定の範囲の下限値以下の場合は、反応試薬濃度を濃くして再分析し、上記反応試薬由来の分析値が、上記所定の範囲の上限値以上の場合は、反応試薬濃度を薄くして再分析させることを特徴とするクロマトグラフ装置。
【請求項3】
請求項1記載のクロマトグラフ装置において、上記制御手段は、濃度未知の試料に、予め反応を行った濃度既知の内標準物質を添加した測定試料と、上記反応試薬とを反応させて分析させ、反応試薬由来の分析値と内標準物質の分析値とを比較し、所定の範囲内にあるかを判定し、再分析の要否を判断することを特徴とするクロマトグラフ装置。
【請求項4】
請求項1記載のクロマトグラフ装置において、上記制御手段は、濃度未知の試料と反応試薬とを反応させて分析させ、反応試薬由来の分析値と未知試料の分析値とを比較し、所定の範囲内にあるかを判定し、再分析の要否を判断することを特徴とするクロマトグラフ装置。
【請求項5】
請求項1記載の液体クロマトグラフ装置において、上記制御手段は、濃度未知の試料と反応試薬とを反応させて分析させ、未知試料が複数ある場合に各未知試料成分の合計分析値と反応試薬由来の分析値を比較し、所定の範囲内にあるかを判定し、再分析の要否を判断することを特徴とするクロマトグラフ装置。
【請求項6】
請求項3記載の液体クロマトグラフ装置において、上記制御手段は、未知試料と所定濃度の反応試薬を反応させて分析させ、反応試薬由来の分析値と未知試料由来の分析値と上記内標準物質の分析値とを比較し、所定の範囲内にあるかを判定し、再分析の要否を判断することを特徴とするクロマトグラフ装置。
【請求項7】
請求項1から6のうちのいずれか一項記載のクロマトグラフ装置において、上記制御手段は、未知試料と所定濃度の反応試薬を反応させて分析させ、分析値が所定の範囲内に無く、且つその原因が反応試薬量または分析試料量が適切でないためと判定した時に、所定の計算方法により、必要な反応試薬量または分析試料量を算出して測定条件を修正し、再分析を行うことを特徴とするクロマトグラフ装置。
【請求項8】
請求項7記載のクロマトグラフ装置において、上記制御手段は、未知試料と所定濃度の反応試薬を反応させて分析させ、分析値が所定の範囲内に無いと判定して再分析を行う際に、操作者が任意に設定した、反応試薬量あるいは分析試料量の修正値の算出方法を用いることを特徴とするクロマトグラフ装置。
【請求項9】
請求項7記載のクロマトグラフ装置において、上記制御手段は、未知試料と所定濃度の反応試薬を反応させて分析させ、分析値が所定の範囲内に無いと判定して再分析を行う際に、分析試料が複数ある場合は、再分析が必要と判断した試料を他の分析試料よりも優先して分析するか、他の分析試料が終了した後に上記再分析が必要と判断した試料の分析を行うかを選択表示させることを特徴とするクロマトグラフ装置。
【請求項10】
請求項1から6のうちのいずれか一項記載のクロマトグラフ装置において、上記制御手段は、未知試料と所定濃度の前記反応試薬を反応させて分析させ、分析値が所定の範囲内に無い場合に、その値から測定サンプルに原因があるのか、反応試薬に原因があるのか、内標物質に原因があるのかを表示させることを特徴とするクロマトグラフ装置。
【請求項11】
目的成分を誘導体化する反応試薬を試料に注入し、上記反応試薬が注入された試料を分析するクロマトグラフ分析方法において、
反応試薬の濃度とこの反応試薬に由来する分析値とを記憶し、濃度未知の試料と上記濃度の反応試薬を反応させた分析結果における反応試薬由来の分析値と、上記記憶された反応試薬に由来する分析値と比較して、反応試薬由来の分析値が所定の範囲内にあるか否かを判定し、再分析の要否を判断することを特徴とするクロマトグラフ分析方法。
【請求項12】
請求項10記載のクロマトグラフ分析方法において、上記反応試薬由来の分析値が、上記所定の範囲の下限値以下の場合は、反応試薬濃度を濃くして再分析し、上記反応試薬由来の分析値が、上記所定の範囲の上限値以上の場合は、反応試薬濃度を薄くして再分析させることを特徴とするクロマトグラフ分析方法。
【請求項13】
アミノ酸成分を誘導体化する反応試薬を試料に注入する反応試薬注入用オートサンプラと、上記オートサンプラにより反応試薬が注入された試料を分析する質量分析計と、上記オートサンプラ及び質量分析計の動作を制御する制御部とを備えるアミノ酸分析装置において、
上記制御部は、反応試薬の濃度とこの反応試薬に由来する分析値とを記憶し、濃度未知の試料と上記濃度の反応試薬を反応させた分析結果における反応試薬由来の分析値と、上記記憶された反応試薬に由来する分析値と比較して、反応試薬由来の分析値が所定の範囲内にあるか否かを判定し、再分析の要否を判断することを特徴とするアミノ酸分析装置。
【請求項14】
請求項12記載のアミノ酸分析装置において、上記制御部は、上記反応試薬由来の分析値が、上記所定の範囲の下限値以下の場合は、反応試薬濃度を濃くして再分析し、上記反応試薬由来の分析値が、上記所定の範囲の上限値以上の場合は、反応試薬濃度を薄くして再分析させることを特徴とするアミノ酸分析装置。
【請求項15】
アミノ酸成分を誘導体化する反応試薬を試料に注入し、上記反応試薬が注入された試料を分析するアミノ酸分析方法において、
反応試薬の濃度とこの反応試薬に由来する分析値とを記憶し、濃度未知の試料と上記濃度の反応試薬を反応させた分析結果における反応試薬由来の分析値と、上記記憶された反応試薬に由来する分析値と比較して、反応試薬由来の分析値が所定の範囲内にあるか否かを判定し、再分析の要否を判断することを特徴とするアミノ酸分析方法。
【請求項16】
請求項14記載のアミノ酸分析方法において、上記反応試薬由来の分析値が、上記所定の範囲の下限値以下の場合は、反応試薬濃度を濃くして再分析し、上記反応試薬由来の分析値が、上記所定の範囲の上限値以上の場合は、反応試薬濃度を薄くして再分析させることを特徴とするアミノ酸分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−198898(P2007−198898A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−17598(P2006−17598)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】