プレキャストコンクリート部材の接合構造
【課題】上層の施工の妨げとなることなく、かつ特別な機構を設けることなく梁を柱の間に配置することができるプレキャストコンクリート部材の接合構造を提供する。
【解決手段】プレキャストされた柱20にプレキャストされた梁30の端部を接合する接合構造10に関する。接合構造10は、柱20と梁30の境界部に接合部40を設ける。接合部40は、現場打ちにより打設されるコンクリートCを介して柱20と梁30を接合する。
接合部40の領域内に露出部29が露出する柱側鉄筋26が柱20に設けられる。また接合部40の領域内に露出部36が露出する梁側鉄筋35が梁30に設けられる。柱側鉄筋26の露出部29と梁側鉄筋35の露出部36は、接合部40において、互いに長手方向に重なる。
【解決手段】プレキャストされた柱20にプレキャストされた梁30の端部を接合する接合構造10に関する。接合構造10は、柱20と梁30の境界部に接合部40を設ける。接合部40は、現場打ちにより打設されるコンクリートCを介して柱20と梁30を接合する。
接合部40の領域内に露出部29が露出する柱側鉄筋26が柱20に設けられる。また接合部40の領域内に露出部36が露出する梁側鉄筋35が梁30に設けられる。柱側鉄筋26の露出部29と梁側鉄筋35の露出部36は、接合部40において、互いに長手方向に重なる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレキャストコンクリート部材の接合構造に関し、例えば一対の柱の間に梁を接合する際に適用される接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
工期の短縮や、安全性の向上、品質の向上、ひいてはコスト縮減などの多くの利点を有することから、予め工場などで製作した、すなわちプレキャスト化されたコンクリート部材を用い、これを現場で組み立てて建築物を築造することが行なわれている。特に建築物を構築する際にその設置数が多い梁をプレキャスト化した場合には工期短縮などの効果が大きい。
【0003】
このようなプレキャストコンクリート部材を用いた接合構造が種々提案されている。
その中で、特許文献1、2には、梁に設けられた主筋を柱に定着するのに、柱側に定着部分を設ける構造が開示されている。この定着部分は、コンクリートを現場打ちすることにより得られる。
また、特許文献3には、プレキャスト時に柱に係合孔を設けておき、梁側に設けた連結部材をこの係合孔に挿入し、係合孔と連結部材の間に目地モルタルを充填して接合する構造が開示されている。
さらに、特許文献4には、プレキャスト時に柱に形成された貫通孔にシース管を挿入しておく。そして特許文献4は、梁の端部からプレストレス導入部材を延出させ、この延出部をシース管に貫通させるとともにシース管に定着させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−027037号公報
【特許文献2】特開平4−198533号公報
【特許文献3】特開平6−272340号公報
【特許文献4】特開2007−191865号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2の接合構造は、柱側に定着部分を設けるために、当該定着部分よりも上層の施工は、現場打ちを伴う定着が完了した後まで待たなければならない。
また、特許文献3の接合構造は、梁を柱の間に配置させるまでは連結部材を梁の内部に後退させておき、配置された後に連結部材を梁の端部から突出させるための機構が必要である。このような機構を梁内に設けるのは煩雑であるとともに、現場の作業時に当該機構が動作しなくなるおそれもある。この点は、特許文献4の接合構造も同様であり、梁を柱の間に配置させるまではプレストレス導入部材の延出部を梁の内部に後退させておき、配置された後に延出部を梁の端部から突出させるための機構が必要である。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたものであり、上層の施工を妨げることなく、かつ特別な機構を設けることなく梁を柱の間に配置することができるプレキャストコンクリート部材の接合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるプレキャストコンクリート部材の接合構造(以下、単に接合構造ということがある)は、プレキャストされた柱にプレキャストされた梁の端部を接合することを前提とする。
本発明による接合構造は、柱と梁の境界部に設けられ、現場打ちにより打設されたコンクリートを介して柱と梁を接合する接合部を備える。
また、本発明による接合構造は、接合部の領域内に一部が露出する柱側鉄筋が柱に設けられるとともに、接合部の領域内に一部が露出する梁側鉄筋が梁に設けられる。柱側鉄筋と梁側鉄筋は、接合部において、当該露出する部分が互いに長手方向に重なる。
【0007】
本発明の接合構造によると、現場打ちにより打設されたコンクリートを含む接合部は、柱と梁の境界部に設けられるので、当該接合構造を施工するのに先行して上層を施工することができる。したがって、本発明の接合構造は、上層の施工を妨げることがない。
また本発明の接合構造によると、柱側鉄筋及び梁側鉄筋の各々の露出する部分は接合部の領域内に留まるものであり、柱側鉄筋の露出する部分は梁と干渉することがないし、また、梁側鉄筋の露出する部分は柱と干渉することがない。したがって、特別な機構を設けることなく梁を柱の間に配置させることができる。
【0008】
本発明の接合構造において、接合部を構成するコンクリートが打設されてから硬化するまで、梁を支持する必要があるが、支持体を柱に一体的に設けることが好ましい。支持体を別体として用意するのに比べて、施工の負担を軽減できる。
【0009】
本発明において、接合部を構成するコンクリートを場所打ちにより打設する際には、コンクリートの型枠が必要となる。この型枠は、柱及び梁の一方又は双方に一体的に形成される型枠部により構成されることが好ましい。型枠を別体として用意する必要がないので、施工の負担を軽減できる。
【0010】
型枠が、柱及び梁の一方又は双方に一体的に形成される型枠部により構成される場合において、柱に一体的に設けられる支持体が、型枠部の一部又は全部を構成することができる。支持体の他に型枠を用意するとしても一部で足りるか、または支持体の他に形枠を用意する必要がないので、施工の負担を軽減できる。
【0011】
上記と同様に、型枠部の全部を、梁に一体的に形成させることも有効である。この場合も、他に形枠を用意する必要がないので、施工の負担を軽減できる。
【0012】
本発明において、柱側鉄筋を柱に設ける形態は、少なくとも2つある。
1つ目は、接合部の領域内に露出する端部を除いて、プレキャストの際に柱に埋設させる形態である。この形態は、プレキャストされた柱に柱側鉄筋が一体化された状態で現場まで搬送され、現場における施工の際に柱側鉄筋を設置する作業が必要ないので、現場における施工負担を軽減できる。
2つ目は、現場打ちの際に柱側鉄筋を配設する形態である。鉄筋も含めてプレキャストした柱は鉄筋が柱から突出し、この突出部分は相当の容積を占有する。2つ目の形態は、柱には柱側鉄筋に伴い容積を占有することがないので、現場まで搬送する際に同じ搬送容積においてより多くの柱を搬送できるので、搬送性に優れる。
【0013】
本発明の接合構造において、互いの軸線が直交する第1の梁と第2の梁が、各々の接合部により柱に接合される場合がある。この場合には、第1の梁と第2の梁が、場所打ちされたコンクリートを介して接合されることが好ましい。そうすることにより、第1の梁と第2の梁の各々の接合部に近接する端部の強度及び剛性を向上できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上層の施工を妨げることなく、かつ特別な機構を設けることなく梁を柱の間に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態による接合構造を示し、(a)は平面図、(b)は(a)の1b−1b線断面図である。
【図2】第1実施形態による接合構造を示す部分斜視図である。
【図3】第1実施形態による接合構造の施工過程を示す図であり、(a)は梁が柱の間に配置された状態を示し、(b)は梁が柱の所定位置に配置された状態を示す。
【図4】第1実施形態による接合構造の変更例を示し、(a)は平面図、(b)は(a)の4b−4b線断面図である。
【図5】第1実施形態による接合構造の変更例を示し、(a)は平面図、(b)は(a)の5b−5b線断面図である。
【図6】第2実施形態による接合構造を示し、(a)は平面図、(b)は(a)の6b−6b線断面図である。
【図7】第2実施形態による接合構造の変更例を示し、(a)は平面図、(b)は(a)の7b−7b線断面図である。
【図8】第3実施形態による接合構造を示し、(a)は平面図、(b)は(a)の8b−8b線断面図である。
【図9】第3実施形態による接合構造の施工初期の状態を示す斜視図である。
【図10】第3実施形態による接合構造の施工が終了した状態を示す斜視図である。
【図11】第4実施形態による接合構造を施工する手順を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に示す実施形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1〜図3に示すように、第1実施形態による接合構造10は、所定の間隔を隔てて建てられる一対の柱20,20の間に配設される梁30からなり、より具体的には柱20と梁30の一端部との間の接合部40に係る部分に関するものである。
【0017】
[柱20]
柱20は、コンクリートをプレキャストすることにより作製されたものであり、種々の建造物の構造を担う。柱20は、鉛直方向に延びる矩形断面の柱本体21と、柱本体21の側面から水平方向に突出するコーベル23と、複数の柱側鉄筋26と、を備えている。ここでは、コーベル23は一つだけ示しているが、梁30が配設される箇所に対応してコーベル23は設けられる。
【0018】
<コーベル23>
コーベル23(支持体、型枠部)は、プレキャスト時に柱本体21と一体的に形成されるものである。コーベル23は、梁30を支持する機能を備える。そのために、コーベル23は、梁30が載せられても耐えられる強度を有する。接合部40が形成された後、梁30の支持は専ら接合部40により行われる。
また、コーベル23は、接合部40を構成するコンクリートCを現場打ちにより打設する際の型枠Mの一部として機能する。コーベル23は、特に型枠Mの底壁として機能し、打設されるコンクリートCを鉛直方向から支持する。コーベル23は、柱本体21の側面22からの突出長さ及びその幅が、型枠Mの底壁として足りるように形成される。また、コーベル23は、そのために、水平方向に延びる平坦な支持面24を備える。
本発明において、2つの機能を備えるものである限り、コーベル23の構造はここで示したものに限定されない。
【0019】
<柱側鉄筋26>
各々の柱側鉄筋26は、鉛直部27と水平部28からなり、L字状の形態をなしている。鉛直部27は柱本体21の内部に鉛直方向に沿って保持される。水平部28は鉛直部27と繋がる側の端部(後端部とする)が柱本体21の内部に水平方向に沿って保持されるが、それよりも先端に向かう側は柱本体21から露出している。この露出部29は、接合部40の領域内にあって、接合部40を構成するコンクリートCに保持される。柱側鉄筋26は、露出部29を除いてプレキャストの際に柱本体21の内部に埋設され、コンクリートCが硬化することにより、柱本体21に荷重を伝達できるように保持される。
柱側鉄筋26はプレキャストされた柱20に一体化された状態で現場まで搬送されるので、現場の施工の際に柱側鉄筋26を設置する作業は必要ないので、現場における施工負担を軽減できる。
なお、柱側鉄筋26がL字状をしていること、及び、ここで示した柱側鉄筋26の数及び配置位置、はあくまで一例であり、その目的を達成する範囲で任意に設定することができる。
【0020】
[梁30]
梁30は、コンクリートをプレキャストすることにより作製されたものであり、柱20と同様に種々の建造物の構造を担う。梁30は、水平方向に延びる矩形断面の梁本体31と、梁本体31の柱20に臨む端部(先端とする)から柱20に向けて突出する一対の側壁33,33と、複数の梁側鉄筋35と、を備えている。
【0021】
<側壁33>
一対の側壁33,33(型枠部)は、プレキャスト時に梁本体31と一体的に形成されるものである。この側壁33,33は、梁30の両側の側面32,32に沿って形成される。側壁33,33は、所定の間隔を隔てて対向して配置され、梁30が単体の状態では、側壁33,33同士の間は空隙とされ、上下方向にも貫通している。この空隙内に接合部40が形成される。つまり、この側壁33,33は、接合部40を構成するコンクリートCを現場打ちにより打設する際の型枠Mの一部として機能する。側壁33,33は、特に型枠Mの側壁として機能し、打設されたコンクリートCを水平方向に支持する。
側壁33,33は、各々、梁本体31と同じ高さを有している。また、側壁33,33の柱20に向けた突出長さは、柱側鉄筋26の露出部29の長さよりもわずかに長く設定されている。したがって、側壁33,33の先端を柱20の側面22に突き当てたとしても、柱側鉄筋26が梁本体31と干渉することがない。
なお、ここで示した側壁33,33により形成される空隙の形態は矩形であるが、これはあくまで一例であり、例えば、平面視した形状が三角形状(先端に向かうほど空隙が広がる)の空隙とすることもできる。
【0022】
<梁側鉄筋35>
直線状の梁側鉄筋35は、軸方向に沿って梁本体31の内部に保持されるが、その両端部は梁本体31から露出する。この梁側鉄筋35は梁30の主筋をなしている。この露出部36の長さは、側壁33,33の突出長さよりもわずかに短く設定されている。したがって、側壁33,33の先端を柱20の側面22に突き当てたとしても、梁側鉄筋35が柱本体21と干渉することがない。
【0023】
[接合部40]
接合部40は、梁30の両端部が柱20のコーベル23に載せされる接合位置において、柱20と梁本体31の先端の境界部に設けられる。接合部40は柱20の側面22と、コーベル23の支持面24と、一対の側壁33,33及び梁本体31の先端面37で囲まれる領域に形成される。接合部40は、この領域内に現場打ちで打設され、硬化したコンクリートCを備える。柱側鉄筋26はその露出部29が荷重を伝達できるようにコンクリートC(接合部40)に保持される。また、梁側鉄筋35はその露出部36が荷重を伝達できるようにコンクリートC(接合部40)に保持される。このように、柱20と梁30は、接合部40(コンクリートC、柱側鉄筋26、梁側鉄筋35)により相互に荷重が伝達できるように接合されている。しかも、柱側鉄筋26の露出部29と梁側鉄筋35の露出部36は、図に示すように長手方向に相当の長さが重なる。このように重なりを長くすることで、柱20と梁30を高い剛性で接合できる。
【0024】
[施工手順]
所定の間隔を隔てて建てられている一対の柱20,20の間に梁30を掛け渡すことで構成される接合構造10の施工手順の要旨を、図3を参照して説明する。一対の柱20,20の間隔は、側壁33,33を含めた梁30がちょうど挿入されるように設定されている。
側壁33,33が形成され、かつ側壁33,33の間に露出部36が配置される梁側鉄筋35を備えた梁30が用意される。この梁30を、柱20,20の間であって、かつ柱20,20の各々のコーベル23,23の上方に持ち上げる(図3(a))。梁30の側壁33,33の先端は、柱20の側面22に当接する。
【0025】
この位置から梁30を降下させて、その両端をコーベル23,23に載せる。そうすると、柱本体21の側面22、コーベル23の支持面24、一対の側壁33,33、及び梁本体31の先端面37により型枠Mが構成される。この型枠Mの内部には、柱側鉄筋26の露出部29と、梁側鉄筋35の露出部36と、が配置される。露出部29と露出部36は、長手方向に重なっている。この重なりは、柱20と梁30が剛接合されるように、十分な長さを確保する。
この型枠Mの内部にコンクリートCを打設する。コンクリートCが硬化すると、柱20と梁30が、柱側鉄筋26(露出部29)、梁側鉄筋35(露出部36)及びコンクリートCを介して加重の伝達が行える接合部40により接合される。
【0026】
以上説明した接合構造10によると、柱本体21と梁本体31との境界部に場所打ちでコンクリートCを打設して接合部40を形成する。したがって、下層に当たるこの接合部40を施工するよりも先に上層を施工することができるので、接合構造10は上層の施工を妨げることがない。
また、接合構造10は、梁30を一対の柱20,20の間に配置する際に、柱側鉄筋26の露出部29が梁本体31と干渉することがなく、また、梁側鉄筋35の露出部36が柱本体21と干渉することがない。したがって、接合構造10によると、特別な機構を梁(又は柱)に設けることなく、梁30を一対の柱20,20の間に配置できる。
【0027】
さらに、接合構造10は、柱20(柱本体21)と一体的に形成されたコーベル23で梁30を支持するので、梁30を支持する支持体を別に用意する必要がない。加えて、接合構造10は、コンクリートCを打設する型枠Mをコーベル23と梁30に一体的に形成された側壁33,33で形成するので、型枠Mを別に用意する必要がない。したがって、接合構造10によると、施工の負担を軽減できる。ただし、これは本発明における好ましい形態であり、梁30を支持する支持体を別に用意すること、型枠Mを別に用意すること、を本発明は排除しない。
【0028】
なお、接合構造10は、型枠Mをコーベル23(柱20の一部)と側壁33,33(梁30の一部)で形成した。しかし、これに限らず、図4に示すように、側壁33,33に相当する側壁25,25(型枠部)をコーベル23に設けることで、コンクリートCの型枠Mを形成することができる。
また、図5に示すように、コーベル23に側壁25を一つだけ設けるとともに、梁30に側壁33を一つだけ設けることで、型枠Mを形成することもできる。この形態によると、柱20,20の間に側方から梁30を挿入することができる。
なお、図4、図5において、図1と同じ構成部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【0029】
<第2実施形態>
次に、図6に基づいて、第2実施形態による接合構造110を説明する。接合構造110も一対の柱120,120の間に配設される梁130からなるものである点で第1実施形態による接合構造10と同じであり、柱120と梁130の先端の境界部に接合部140が設けられる。以下、第1実施形態による接合構造10と相違する点を中心にして第2実施形態による接合構造110を説明する。
【0030】
[柱120]
柱120は、コンクリートをプレキャストすることにより作製されたものである。柱120は、柱本体121と、柱本体121の側面から水平方向に突出するコーベル123と、複数の柱側鉄筋126と、を備えている。柱側鉄筋126は以下のようにして設けられている。
柱本体121には、柱側鉄筋126が挿入される鉄筋保持孔125が穿孔されている。鉄筋保持孔125は、柱本体121の対向する側面122を貫通して設けられており、この鉄筋保持孔125は、さや管(シース管)を挿入することでプレキャスト時に形成することができる。
柱本体121の側面122には、鉄筋保持孔125が形成される領域を取り囲むように凹部122aが形成されている。柱側鉄筋126はこの凹部122aが形成されている側から鉄筋保持孔125に挿入される。
【0031】
<コーベル123>
プレキャスト時に柱本体21と一体的に形成されるコーベル123は、梁130を支持する機能を有するが、第1実施形態とは異なり、コンクリートCを現場打ちにより打設する際の型枠Mの一部として機能するものではない。型枠Mとして機能しないことから、コーベル123は、第1実施形態のコーベル23に比べて、突出長さ、幅を小さくできる。
【0032】
<柱側鉄筋126>
柱側鉄筋126は、直線状に延びる鉄筋本体127と、鉄筋本体127の一端部に設けられる定着部128と、を備えている。定着部128の径は鉄筋本体127よりも大きい。
柱側鉄筋126は、柱本体121の鉄筋保持孔125の内部に保持されるが、それよりも先端側は柱本体121から露出している。この露出部129は、接合部140の領域内にあって、接合部140を構成するコンクリートCに保持される。このコンクリートCは、場所打ちにより打設されるものである。また、鉄筋保持孔125の径は、鉄筋本体127よりも大きいが、定着部128よりも小さい。したがって、柱側鉄筋126を鉄筋保持孔125に挿入すると、柱側鉄筋126は柱120の凹部122aの底面に定着部128が係止されるので、柱側鉄筋126はそれ以上奥へ挿入することができない。
柱側鉄筋126と鉄筋保持孔125の隙間及び凹部122aにはモルタルを充填することで、露出部29を除いて柱本体121の鉄筋保持孔125に柱側鉄筋126が保持されることにより、柱側鉄筋126から柱本体121に荷重が伝達される。
柱側鉄筋26は、梁130を設置後に、プレキャストにより予め形成された鉄筋保持孔125に挿入される。したがって、柱120は、現場に到着するまではコーベル123を含む柱本体121と、柱側鉄筋126とは分離されている。したがって、プレキャストにより柱側鉄筋26が一体化された柱20を運搬する場合に比べて、運搬に必要なスペースをセーブできる。
【0033】
[梁130]
梁130は、コンクリートをプレキャストすることにより作製されたものである。梁130は、梁本体31の先端に柱120に向けて突出する樋状体133と、複数の梁側鉄筋135と、を備えている。
【0034】
<樋状体133>
樋状体133(型枠部)は、プレキャスト時に梁本体131と一体的に形成されるものである。この樋状体133は、梁130の両側の側面132,132、底面138に沿って形成される。この樋状体133は、接合部140を構成するコンクリートCを現場打ちにより打設する際の型枠Mの一部として機能する。
樋状体133は、各々、梁本体131と同じ高さ及び幅を有している。また、樋状体133の柱220に向けた突出長さは、柱側鉄筋126の露出部129の長さよりもわずかに長く設定されている。したがって、樋状体133の先端を柱120の側面122に突き当てたとしても、柱側鉄筋126が梁本体131と干渉することがない。
【0035】
<梁側鉄筋135>
直線状の梁側鉄筋135は、第1実施形態の梁側鉄筋135と同様の構成をなしており、梁本体131から露出する露出部136を備える。露出部136の長さは、樋状体133の突出長さよりもわずかに短く設定されている。したがって、樋状体133の先端を柱120の側面122に突き当てたとしても、梁側鉄筋135が柱本体121と干渉することがない。
【0036】
[接合部140]
接合部140は、梁130の両端部が柱120のコーベル123に載せされる接合位置において、柱本体121の側面、コーベル123の支持面124、樋状体133及び梁本体131の先端面137で囲まれる領域に形成される。接合部140は、この領域内に現場打ちで打設され、硬化したコンクリートCを備える。柱側鉄筋126及び梁側鉄筋135は、第1実施形態と同様にコンクリートC(接合部140)に保持され、柱120と梁130は相互に荷重が伝達できるように接合されている。
【0037】
[施工手順]
第2実施形態による接合構造110は、梁130の両端をコーベル123,123に載せるまでは第1実施形態と同じ手順で施工される。
梁130がコーベル123,123に支持される所定位置に配置されると、前述したように、型枠Mが構成される。そして、梁130が所定位置に配置されると、必要な本数の柱側鉄筋126を鉄筋保持孔125に挿入する。全ての柱側鉄筋126を挿入した後に、柱側鉄筋126と鉄筋保持孔125の隙間にモルタルを充填して生める。そうすると、型枠Mの内部には、柱側鉄筋126の露出部129と、梁側鉄筋135の露出部136と、が配置される。露出部129と露出部136の重なりは、第1実施形態と同様である。
この型枠Mの内部にコンクリートCを打設する。コンクリートCが硬化すると、柱120と梁130とが、柱側鉄筋126(露出部129)、梁側鉄筋135(露出部136)及びコンクリートCを介して加重の伝達が行える接合部140を介して接合される。
【0038】
以上説明した接合構造110も第1実施形態と同様の効果を奏する。
加えて、梁本体131に一体的に形成された樋状体133が型枠Mの底壁として機能するので、底壁として機能する第1実施形態のコーベル23に比べて、第2実施形態はコーベル123を小さくできる。
【0039】
なお、接合構造110は、梁本体131から樋状体133にかけて外形の寸法を一定にしているが、本発明はこれに限らず、図7に示すように、接合部140に近い部分のみを拡幅させ、その他の部分は縮幅することで、梁130を作製するのに必要なコンクリートCの量を低減できる。
【0040】
<第3実施形態>
次に、図8〜図10に基づいて、第3実施形態による接合構造210を説明する。
第3実施形態にかかる接合構造210は、柱220の直交する側面に接合部240を介して接合される一対の梁230a、230bの接合に係る強度および剛性を向上することを目的としている。なお、第3実施形態にかかる接合構造210は、柱220、梁230a等の基本的な構成は、施工手順も含め第1実施形態の接合構造10を踏襲するものであるから、以下では、第3実施形態に特徴的な構成を中心にして説明する。
【0041】
柱220に一体的に形成されている。コーベル223は、直交する側面222に亘って形成されており、一つのコーベル223で2本の梁230の端部を支持する。柱220には、柱側鉄筋226が設けられており、柱本体221から露出部229が露出している。
【0042】
梁230(230a、230b)は、側壁233a,233bの外側が平面視して三角状に突出しており、端部がスパナのヘッドに類似した形状をなしている。直交する梁230a,230bを所定の位置に配置すると、隣接する側壁233a,233bの当接面234a,234b同士が接触して、相互の位置決めがなされる。側壁233a、233bには、厚さ方向に貫通するとともに、当接面234a,234bに開口する接合溝237a,237bが形成されている。隣接する側壁233a,233bが相互に位置決めされると、接合溝237a,237bも位置決めがなされ、両者が連通する空隙が形成される。この空隙の下端はコーベル223で封止される。
梁230には、梁側鉄筋235が設けられており、この梁側鉄筋235は露出部236を備えている。
【0043】
[接合部240,250]
第1実施形態は、第1接合部240と、第2接合部250を備えている。
第1接合部240、第1実施形態の接合部40に対応するものであり、柱220と梁230a、230bを相互に荷重が伝達できるように接合する。
第2接合部250は、隣接する梁230aと梁230bとを端部において接合する。つまり、接合溝237aと接合溝237bにより形成される空隙内に、接合溝237aから接合溝237bにかけて複数の接合鉄筋251が配置される。さらに、この空隙内に現場打ちで打設されたコンクリートCが充填される。そうすることで、直交する梁230a,230bの端部の強度および剛性を飛躍的に向上できる。
【0044】
<第4実施形態>
次に、図11に基づいて、第4実施形態による接合構造310を説明する。
接合構造310は、基本的な構成が第1実施形態による接合構造10と同じであるが、柱側鉄筋26の露出部29に対応する部分は現場における施工時に取り付けられる。
つまり、接合構造310は、プレキャストにより作製される柱320は、露出部329を除いて柱側鉄筋326を備えている。柱側鉄筋326は、側面322に開口するジョイント327を備えている。ジョイント327の一方端は水平部328の先端に接合されている。露出部329は現場においてジョイント327に接合される(図11(a),(b))。なお、ジョイント327としては、例えばネジ式のものを用いることができるが、これに限らず、溶接その他の接合方法を採用することができる。
露出部329をジョイント327に接合したならば、梁30の両端(図11では一方のみ図示)をコーベル323に載せる(図11(c))。形成された型枠Mの内部にコンクリートCを打設する(図11(d))。コンクリートCが硬化すると、柱320と梁30が、柱側鉄筋326(露出部329)、梁側鉄筋35(露出部36)及びコンクリートCを介して加重の伝達が行える接合構造310が構成される。
以上のように、露出部329を現場施工時に接合することにすれば、第2実施形態と同様に柱320の搬送性が優れる。しかも、本実施形態によると、露出部329を除く柱側鉄筋326は柱320とともにプレキャストされており、現場における施工が露出部329の接続だけで足りるので、現場における作業負担を軽減できる。
なお、ここでは柱側鉄筋326について露出部329を現場施工時に接合しているが、梁側鉄筋35の露出部36について適用できることは言うまでもない。
【0045】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものでない。例えば、接合部40のコンクリートCが硬化するまで梁30を支持するのは、柱20と一体に形成されたコーベル23に限らず、支持体を別途用意することを本発明は包含する。その他、本発明の趣旨の範囲内で上述した実施形態を適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0046】
10,110,210,310…接合構造
20,120,220,320…柱、21,121,221…柱本体
23,123,223,323…コーベル、24,124…支持面、25…側壁
26,126,226,326…柱側鉄筋、29,129,329…露出部
30,130,230,230a,230b…梁
31,131…梁本体、33,233a,233a…側壁,133…樋状体
35,135,235…梁側鉄筋、36,136,236…露出部
40,140,240,250…接合部
251…接合鉄筋、C…コンクリート、M…型枠
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレキャストコンクリート部材の接合構造に関し、例えば一対の柱の間に梁を接合する際に適用される接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
工期の短縮や、安全性の向上、品質の向上、ひいてはコスト縮減などの多くの利点を有することから、予め工場などで製作した、すなわちプレキャスト化されたコンクリート部材を用い、これを現場で組み立てて建築物を築造することが行なわれている。特に建築物を構築する際にその設置数が多い梁をプレキャスト化した場合には工期短縮などの効果が大きい。
【0003】
このようなプレキャストコンクリート部材を用いた接合構造が種々提案されている。
その中で、特許文献1、2には、梁に設けられた主筋を柱に定着するのに、柱側に定着部分を設ける構造が開示されている。この定着部分は、コンクリートを現場打ちすることにより得られる。
また、特許文献3には、プレキャスト時に柱に係合孔を設けておき、梁側に設けた連結部材をこの係合孔に挿入し、係合孔と連結部材の間に目地モルタルを充填して接合する構造が開示されている。
さらに、特許文献4には、プレキャスト時に柱に形成された貫通孔にシース管を挿入しておく。そして特許文献4は、梁の端部からプレストレス導入部材を延出させ、この延出部をシース管に貫通させるとともにシース管に定着させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−027037号公報
【特許文献2】特開平4−198533号公報
【特許文献3】特開平6−272340号公報
【特許文献4】特開2007−191865号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2の接合構造は、柱側に定着部分を設けるために、当該定着部分よりも上層の施工は、現場打ちを伴う定着が完了した後まで待たなければならない。
また、特許文献3の接合構造は、梁を柱の間に配置させるまでは連結部材を梁の内部に後退させておき、配置された後に連結部材を梁の端部から突出させるための機構が必要である。このような機構を梁内に設けるのは煩雑であるとともに、現場の作業時に当該機構が動作しなくなるおそれもある。この点は、特許文献4の接合構造も同様であり、梁を柱の間に配置させるまではプレストレス導入部材の延出部を梁の内部に後退させておき、配置された後に延出部を梁の端部から突出させるための機構が必要である。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたものであり、上層の施工を妨げることなく、かつ特別な機構を設けることなく梁を柱の間に配置することができるプレキャストコンクリート部材の接合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるプレキャストコンクリート部材の接合構造(以下、単に接合構造ということがある)は、プレキャストされた柱にプレキャストされた梁の端部を接合することを前提とする。
本発明による接合構造は、柱と梁の境界部に設けられ、現場打ちにより打設されたコンクリートを介して柱と梁を接合する接合部を備える。
また、本発明による接合構造は、接合部の領域内に一部が露出する柱側鉄筋が柱に設けられるとともに、接合部の領域内に一部が露出する梁側鉄筋が梁に設けられる。柱側鉄筋と梁側鉄筋は、接合部において、当該露出する部分が互いに長手方向に重なる。
【0007】
本発明の接合構造によると、現場打ちにより打設されたコンクリートを含む接合部は、柱と梁の境界部に設けられるので、当該接合構造を施工するのに先行して上層を施工することができる。したがって、本発明の接合構造は、上層の施工を妨げることがない。
また本発明の接合構造によると、柱側鉄筋及び梁側鉄筋の各々の露出する部分は接合部の領域内に留まるものであり、柱側鉄筋の露出する部分は梁と干渉することがないし、また、梁側鉄筋の露出する部分は柱と干渉することがない。したがって、特別な機構を設けることなく梁を柱の間に配置させることができる。
【0008】
本発明の接合構造において、接合部を構成するコンクリートが打設されてから硬化するまで、梁を支持する必要があるが、支持体を柱に一体的に設けることが好ましい。支持体を別体として用意するのに比べて、施工の負担を軽減できる。
【0009】
本発明において、接合部を構成するコンクリートを場所打ちにより打設する際には、コンクリートの型枠が必要となる。この型枠は、柱及び梁の一方又は双方に一体的に形成される型枠部により構成されることが好ましい。型枠を別体として用意する必要がないので、施工の負担を軽減できる。
【0010】
型枠が、柱及び梁の一方又は双方に一体的に形成される型枠部により構成される場合において、柱に一体的に設けられる支持体が、型枠部の一部又は全部を構成することができる。支持体の他に型枠を用意するとしても一部で足りるか、または支持体の他に形枠を用意する必要がないので、施工の負担を軽減できる。
【0011】
上記と同様に、型枠部の全部を、梁に一体的に形成させることも有効である。この場合も、他に形枠を用意する必要がないので、施工の負担を軽減できる。
【0012】
本発明において、柱側鉄筋を柱に設ける形態は、少なくとも2つある。
1つ目は、接合部の領域内に露出する端部を除いて、プレキャストの際に柱に埋設させる形態である。この形態は、プレキャストされた柱に柱側鉄筋が一体化された状態で現場まで搬送され、現場における施工の際に柱側鉄筋を設置する作業が必要ないので、現場における施工負担を軽減できる。
2つ目は、現場打ちの際に柱側鉄筋を配設する形態である。鉄筋も含めてプレキャストした柱は鉄筋が柱から突出し、この突出部分は相当の容積を占有する。2つ目の形態は、柱には柱側鉄筋に伴い容積を占有することがないので、現場まで搬送する際に同じ搬送容積においてより多くの柱を搬送できるので、搬送性に優れる。
【0013】
本発明の接合構造において、互いの軸線が直交する第1の梁と第2の梁が、各々の接合部により柱に接合される場合がある。この場合には、第1の梁と第2の梁が、場所打ちされたコンクリートを介して接合されることが好ましい。そうすることにより、第1の梁と第2の梁の各々の接合部に近接する端部の強度及び剛性を向上できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上層の施工を妨げることなく、かつ特別な機構を設けることなく梁を柱の間に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態による接合構造を示し、(a)は平面図、(b)は(a)の1b−1b線断面図である。
【図2】第1実施形態による接合構造を示す部分斜視図である。
【図3】第1実施形態による接合構造の施工過程を示す図であり、(a)は梁が柱の間に配置された状態を示し、(b)は梁が柱の所定位置に配置された状態を示す。
【図4】第1実施形態による接合構造の変更例を示し、(a)は平面図、(b)は(a)の4b−4b線断面図である。
【図5】第1実施形態による接合構造の変更例を示し、(a)は平面図、(b)は(a)の5b−5b線断面図である。
【図6】第2実施形態による接合構造を示し、(a)は平面図、(b)は(a)の6b−6b線断面図である。
【図7】第2実施形態による接合構造の変更例を示し、(a)は平面図、(b)は(a)の7b−7b線断面図である。
【図8】第3実施形態による接合構造を示し、(a)は平面図、(b)は(a)の8b−8b線断面図である。
【図9】第3実施形態による接合構造の施工初期の状態を示す斜視図である。
【図10】第3実施形態による接合構造の施工が終了した状態を示す斜視図である。
【図11】第4実施形態による接合構造を施工する手順を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に示す実施形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1〜図3に示すように、第1実施形態による接合構造10は、所定の間隔を隔てて建てられる一対の柱20,20の間に配設される梁30からなり、より具体的には柱20と梁30の一端部との間の接合部40に係る部分に関するものである。
【0017】
[柱20]
柱20は、コンクリートをプレキャストすることにより作製されたものであり、種々の建造物の構造を担う。柱20は、鉛直方向に延びる矩形断面の柱本体21と、柱本体21の側面から水平方向に突出するコーベル23と、複数の柱側鉄筋26と、を備えている。ここでは、コーベル23は一つだけ示しているが、梁30が配設される箇所に対応してコーベル23は設けられる。
【0018】
<コーベル23>
コーベル23(支持体、型枠部)は、プレキャスト時に柱本体21と一体的に形成されるものである。コーベル23は、梁30を支持する機能を備える。そのために、コーベル23は、梁30が載せられても耐えられる強度を有する。接合部40が形成された後、梁30の支持は専ら接合部40により行われる。
また、コーベル23は、接合部40を構成するコンクリートCを現場打ちにより打設する際の型枠Mの一部として機能する。コーベル23は、特に型枠Mの底壁として機能し、打設されるコンクリートCを鉛直方向から支持する。コーベル23は、柱本体21の側面22からの突出長さ及びその幅が、型枠Mの底壁として足りるように形成される。また、コーベル23は、そのために、水平方向に延びる平坦な支持面24を備える。
本発明において、2つの機能を備えるものである限り、コーベル23の構造はここで示したものに限定されない。
【0019】
<柱側鉄筋26>
各々の柱側鉄筋26は、鉛直部27と水平部28からなり、L字状の形態をなしている。鉛直部27は柱本体21の内部に鉛直方向に沿って保持される。水平部28は鉛直部27と繋がる側の端部(後端部とする)が柱本体21の内部に水平方向に沿って保持されるが、それよりも先端に向かう側は柱本体21から露出している。この露出部29は、接合部40の領域内にあって、接合部40を構成するコンクリートCに保持される。柱側鉄筋26は、露出部29を除いてプレキャストの際に柱本体21の内部に埋設され、コンクリートCが硬化することにより、柱本体21に荷重を伝達できるように保持される。
柱側鉄筋26はプレキャストされた柱20に一体化された状態で現場まで搬送されるので、現場の施工の際に柱側鉄筋26を設置する作業は必要ないので、現場における施工負担を軽減できる。
なお、柱側鉄筋26がL字状をしていること、及び、ここで示した柱側鉄筋26の数及び配置位置、はあくまで一例であり、その目的を達成する範囲で任意に設定することができる。
【0020】
[梁30]
梁30は、コンクリートをプレキャストすることにより作製されたものであり、柱20と同様に種々の建造物の構造を担う。梁30は、水平方向に延びる矩形断面の梁本体31と、梁本体31の柱20に臨む端部(先端とする)から柱20に向けて突出する一対の側壁33,33と、複数の梁側鉄筋35と、を備えている。
【0021】
<側壁33>
一対の側壁33,33(型枠部)は、プレキャスト時に梁本体31と一体的に形成されるものである。この側壁33,33は、梁30の両側の側面32,32に沿って形成される。側壁33,33は、所定の間隔を隔てて対向して配置され、梁30が単体の状態では、側壁33,33同士の間は空隙とされ、上下方向にも貫通している。この空隙内に接合部40が形成される。つまり、この側壁33,33は、接合部40を構成するコンクリートCを現場打ちにより打設する際の型枠Mの一部として機能する。側壁33,33は、特に型枠Mの側壁として機能し、打設されたコンクリートCを水平方向に支持する。
側壁33,33は、各々、梁本体31と同じ高さを有している。また、側壁33,33の柱20に向けた突出長さは、柱側鉄筋26の露出部29の長さよりもわずかに長く設定されている。したがって、側壁33,33の先端を柱20の側面22に突き当てたとしても、柱側鉄筋26が梁本体31と干渉することがない。
なお、ここで示した側壁33,33により形成される空隙の形態は矩形であるが、これはあくまで一例であり、例えば、平面視した形状が三角形状(先端に向かうほど空隙が広がる)の空隙とすることもできる。
【0022】
<梁側鉄筋35>
直線状の梁側鉄筋35は、軸方向に沿って梁本体31の内部に保持されるが、その両端部は梁本体31から露出する。この梁側鉄筋35は梁30の主筋をなしている。この露出部36の長さは、側壁33,33の突出長さよりもわずかに短く設定されている。したがって、側壁33,33の先端を柱20の側面22に突き当てたとしても、梁側鉄筋35が柱本体21と干渉することがない。
【0023】
[接合部40]
接合部40は、梁30の両端部が柱20のコーベル23に載せされる接合位置において、柱20と梁本体31の先端の境界部に設けられる。接合部40は柱20の側面22と、コーベル23の支持面24と、一対の側壁33,33及び梁本体31の先端面37で囲まれる領域に形成される。接合部40は、この領域内に現場打ちで打設され、硬化したコンクリートCを備える。柱側鉄筋26はその露出部29が荷重を伝達できるようにコンクリートC(接合部40)に保持される。また、梁側鉄筋35はその露出部36が荷重を伝達できるようにコンクリートC(接合部40)に保持される。このように、柱20と梁30は、接合部40(コンクリートC、柱側鉄筋26、梁側鉄筋35)により相互に荷重が伝達できるように接合されている。しかも、柱側鉄筋26の露出部29と梁側鉄筋35の露出部36は、図に示すように長手方向に相当の長さが重なる。このように重なりを長くすることで、柱20と梁30を高い剛性で接合できる。
【0024】
[施工手順]
所定の間隔を隔てて建てられている一対の柱20,20の間に梁30を掛け渡すことで構成される接合構造10の施工手順の要旨を、図3を参照して説明する。一対の柱20,20の間隔は、側壁33,33を含めた梁30がちょうど挿入されるように設定されている。
側壁33,33が形成され、かつ側壁33,33の間に露出部36が配置される梁側鉄筋35を備えた梁30が用意される。この梁30を、柱20,20の間であって、かつ柱20,20の各々のコーベル23,23の上方に持ち上げる(図3(a))。梁30の側壁33,33の先端は、柱20の側面22に当接する。
【0025】
この位置から梁30を降下させて、その両端をコーベル23,23に載せる。そうすると、柱本体21の側面22、コーベル23の支持面24、一対の側壁33,33、及び梁本体31の先端面37により型枠Mが構成される。この型枠Mの内部には、柱側鉄筋26の露出部29と、梁側鉄筋35の露出部36と、が配置される。露出部29と露出部36は、長手方向に重なっている。この重なりは、柱20と梁30が剛接合されるように、十分な長さを確保する。
この型枠Mの内部にコンクリートCを打設する。コンクリートCが硬化すると、柱20と梁30が、柱側鉄筋26(露出部29)、梁側鉄筋35(露出部36)及びコンクリートCを介して加重の伝達が行える接合部40により接合される。
【0026】
以上説明した接合構造10によると、柱本体21と梁本体31との境界部に場所打ちでコンクリートCを打設して接合部40を形成する。したがって、下層に当たるこの接合部40を施工するよりも先に上層を施工することができるので、接合構造10は上層の施工を妨げることがない。
また、接合構造10は、梁30を一対の柱20,20の間に配置する際に、柱側鉄筋26の露出部29が梁本体31と干渉することがなく、また、梁側鉄筋35の露出部36が柱本体21と干渉することがない。したがって、接合構造10によると、特別な機構を梁(又は柱)に設けることなく、梁30を一対の柱20,20の間に配置できる。
【0027】
さらに、接合構造10は、柱20(柱本体21)と一体的に形成されたコーベル23で梁30を支持するので、梁30を支持する支持体を別に用意する必要がない。加えて、接合構造10は、コンクリートCを打設する型枠Mをコーベル23と梁30に一体的に形成された側壁33,33で形成するので、型枠Mを別に用意する必要がない。したがって、接合構造10によると、施工の負担を軽減できる。ただし、これは本発明における好ましい形態であり、梁30を支持する支持体を別に用意すること、型枠Mを別に用意すること、を本発明は排除しない。
【0028】
なお、接合構造10は、型枠Mをコーベル23(柱20の一部)と側壁33,33(梁30の一部)で形成した。しかし、これに限らず、図4に示すように、側壁33,33に相当する側壁25,25(型枠部)をコーベル23に設けることで、コンクリートCの型枠Mを形成することができる。
また、図5に示すように、コーベル23に側壁25を一つだけ設けるとともに、梁30に側壁33を一つだけ設けることで、型枠Mを形成することもできる。この形態によると、柱20,20の間に側方から梁30を挿入することができる。
なお、図4、図5において、図1と同じ構成部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【0029】
<第2実施形態>
次に、図6に基づいて、第2実施形態による接合構造110を説明する。接合構造110も一対の柱120,120の間に配設される梁130からなるものである点で第1実施形態による接合構造10と同じであり、柱120と梁130の先端の境界部に接合部140が設けられる。以下、第1実施形態による接合構造10と相違する点を中心にして第2実施形態による接合構造110を説明する。
【0030】
[柱120]
柱120は、コンクリートをプレキャストすることにより作製されたものである。柱120は、柱本体121と、柱本体121の側面から水平方向に突出するコーベル123と、複数の柱側鉄筋126と、を備えている。柱側鉄筋126は以下のようにして設けられている。
柱本体121には、柱側鉄筋126が挿入される鉄筋保持孔125が穿孔されている。鉄筋保持孔125は、柱本体121の対向する側面122を貫通して設けられており、この鉄筋保持孔125は、さや管(シース管)を挿入することでプレキャスト時に形成することができる。
柱本体121の側面122には、鉄筋保持孔125が形成される領域を取り囲むように凹部122aが形成されている。柱側鉄筋126はこの凹部122aが形成されている側から鉄筋保持孔125に挿入される。
【0031】
<コーベル123>
プレキャスト時に柱本体21と一体的に形成されるコーベル123は、梁130を支持する機能を有するが、第1実施形態とは異なり、コンクリートCを現場打ちにより打設する際の型枠Mの一部として機能するものではない。型枠Mとして機能しないことから、コーベル123は、第1実施形態のコーベル23に比べて、突出長さ、幅を小さくできる。
【0032】
<柱側鉄筋126>
柱側鉄筋126は、直線状に延びる鉄筋本体127と、鉄筋本体127の一端部に設けられる定着部128と、を備えている。定着部128の径は鉄筋本体127よりも大きい。
柱側鉄筋126は、柱本体121の鉄筋保持孔125の内部に保持されるが、それよりも先端側は柱本体121から露出している。この露出部129は、接合部140の領域内にあって、接合部140を構成するコンクリートCに保持される。このコンクリートCは、場所打ちにより打設されるものである。また、鉄筋保持孔125の径は、鉄筋本体127よりも大きいが、定着部128よりも小さい。したがって、柱側鉄筋126を鉄筋保持孔125に挿入すると、柱側鉄筋126は柱120の凹部122aの底面に定着部128が係止されるので、柱側鉄筋126はそれ以上奥へ挿入することができない。
柱側鉄筋126と鉄筋保持孔125の隙間及び凹部122aにはモルタルを充填することで、露出部29を除いて柱本体121の鉄筋保持孔125に柱側鉄筋126が保持されることにより、柱側鉄筋126から柱本体121に荷重が伝達される。
柱側鉄筋26は、梁130を設置後に、プレキャストにより予め形成された鉄筋保持孔125に挿入される。したがって、柱120は、現場に到着するまではコーベル123を含む柱本体121と、柱側鉄筋126とは分離されている。したがって、プレキャストにより柱側鉄筋26が一体化された柱20を運搬する場合に比べて、運搬に必要なスペースをセーブできる。
【0033】
[梁130]
梁130は、コンクリートをプレキャストすることにより作製されたものである。梁130は、梁本体31の先端に柱120に向けて突出する樋状体133と、複数の梁側鉄筋135と、を備えている。
【0034】
<樋状体133>
樋状体133(型枠部)は、プレキャスト時に梁本体131と一体的に形成されるものである。この樋状体133は、梁130の両側の側面132,132、底面138に沿って形成される。この樋状体133は、接合部140を構成するコンクリートCを現場打ちにより打設する際の型枠Mの一部として機能する。
樋状体133は、各々、梁本体131と同じ高さ及び幅を有している。また、樋状体133の柱220に向けた突出長さは、柱側鉄筋126の露出部129の長さよりもわずかに長く設定されている。したがって、樋状体133の先端を柱120の側面122に突き当てたとしても、柱側鉄筋126が梁本体131と干渉することがない。
【0035】
<梁側鉄筋135>
直線状の梁側鉄筋135は、第1実施形態の梁側鉄筋135と同様の構成をなしており、梁本体131から露出する露出部136を備える。露出部136の長さは、樋状体133の突出長さよりもわずかに短く設定されている。したがって、樋状体133の先端を柱120の側面122に突き当てたとしても、梁側鉄筋135が柱本体121と干渉することがない。
【0036】
[接合部140]
接合部140は、梁130の両端部が柱120のコーベル123に載せされる接合位置において、柱本体121の側面、コーベル123の支持面124、樋状体133及び梁本体131の先端面137で囲まれる領域に形成される。接合部140は、この領域内に現場打ちで打設され、硬化したコンクリートCを備える。柱側鉄筋126及び梁側鉄筋135は、第1実施形態と同様にコンクリートC(接合部140)に保持され、柱120と梁130は相互に荷重が伝達できるように接合されている。
【0037】
[施工手順]
第2実施形態による接合構造110は、梁130の両端をコーベル123,123に載せるまでは第1実施形態と同じ手順で施工される。
梁130がコーベル123,123に支持される所定位置に配置されると、前述したように、型枠Mが構成される。そして、梁130が所定位置に配置されると、必要な本数の柱側鉄筋126を鉄筋保持孔125に挿入する。全ての柱側鉄筋126を挿入した後に、柱側鉄筋126と鉄筋保持孔125の隙間にモルタルを充填して生める。そうすると、型枠Mの内部には、柱側鉄筋126の露出部129と、梁側鉄筋135の露出部136と、が配置される。露出部129と露出部136の重なりは、第1実施形態と同様である。
この型枠Mの内部にコンクリートCを打設する。コンクリートCが硬化すると、柱120と梁130とが、柱側鉄筋126(露出部129)、梁側鉄筋135(露出部136)及びコンクリートCを介して加重の伝達が行える接合部140を介して接合される。
【0038】
以上説明した接合構造110も第1実施形態と同様の効果を奏する。
加えて、梁本体131に一体的に形成された樋状体133が型枠Mの底壁として機能するので、底壁として機能する第1実施形態のコーベル23に比べて、第2実施形態はコーベル123を小さくできる。
【0039】
なお、接合構造110は、梁本体131から樋状体133にかけて外形の寸法を一定にしているが、本発明はこれに限らず、図7に示すように、接合部140に近い部分のみを拡幅させ、その他の部分は縮幅することで、梁130を作製するのに必要なコンクリートCの量を低減できる。
【0040】
<第3実施形態>
次に、図8〜図10に基づいて、第3実施形態による接合構造210を説明する。
第3実施形態にかかる接合構造210は、柱220の直交する側面に接合部240を介して接合される一対の梁230a、230bの接合に係る強度および剛性を向上することを目的としている。なお、第3実施形態にかかる接合構造210は、柱220、梁230a等の基本的な構成は、施工手順も含め第1実施形態の接合構造10を踏襲するものであるから、以下では、第3実施形態に特徴的な構成を中心にして説明する。
【0041】
柱220に一体的に形成されている。コーベル223は、直交する側面222に亘って形成されており、一つのコーベル223で2本の梁230の端部を支持する。柱220には、柱側鉄筋226が設けられており、柱本体221から露出部229が露出している。
【0042】
梁230(230a、230b)は、側壁233a,233bの外側が平面視して三角状に突出しており、端部がスパナのヘッドに類似した形状をなしている。直交する梁230a,230bを所定の位置に配置すると、隣接する側壁233a,233bの当接面234a,234b同士が接触して、相互の位置決めがなされる。側壁233a、233bには、厚さ方向に貫通するとともに、当接面234a,234bに開口する接合溝237a,237bが形成されている。隣接する側壁233a,233bが相互に位置決めされると、接合溝237a,237bも位置決めがなされ、両者が連通する空隙が形成される。この空隙の下端はコーベル223で封止される。
梁230には、梁側鉄筋235が設けられており、この梁側鉄筋235は露出部236を備えている。
【0043】
[接合部240,250]
第1実施形態は、第1接合部240と、第2接合部250を備えている。
第1接合部240、第1実施形態の接合部40に対応するものであり、柱220と梁230a、230bを相互に荷重が伝達できるように接合する。
第2接合部250は、隣接する梁230aと梁230bとを端部において接合する。つまり、接合溝237aと接合溝237bにより形成される空隙内に、接合溝237aから接合溝237bにかけて複数の接合鉄筋251が配置される。さらに、この空隙内に現場打ちで打設されたコンクリートCが充填される。そうすることで、直交する梁230a,230bの端部の強度および剛性を飛躍的に向上できる。
【0044】
<第4実施形態>
次に、図11に基づいて、第4実施形態による接合構造310を説明する。
接合構造310は、基本的な構成が第1実施形態による接合構造10と同じであるが、柱側鉄筋26の露出部29に対応する部分は現場における施工時に取り付けられる。
つまり、接合構造310は、プレキャストにより作製される柱320は、露出部329を除いて柱側鉄筋326を備えている。柱側鉄筋326は、側面322に開口するジョイント327を備えている。ジョイント327の一方端は水平部328の先端に接合されている。露出部329は現場においてジョイント327に接合される(図11(a),(b))。なお、ジョイント327としては、例えばネジ式のものを用いることができるが、これに限らず、溶接その他の接合方法を採用することができる。
露出部329をジョイント327に接合したならば、梁30の両端(図11では一方のみ図示)をコーベル323に載せる(図11(c))。形成された型枠Mの内部にコンクリートCを打設する(図11(d))。コンクリートCが硬化すると、柱320と梁30が、柱側鉄筋326(露出部329)、梁側鉄筋35(露出部36)及びコンクリートCを介して加重の伝達が行える接合構造310が構成される。
以上のように、露出部329を現場施工時に接合することにすれば、第2実施形態と同様に柱320の搬送性が優れる。しかも、本実施形態によると、露出部329を除く柱側鉄筋326は柱320とともにプレキャストされており、現場における施工が露出部329の接続だけで足りるので、現場における作業負担を軽減できる。
なお、ここでは柱側鉄筋326について露出部329を現場施工時に接合しているが、梁側鉄筋35の露出部36について適用できることは言うまでもない。
【0045】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものでない。例えば、接合部40のコンクリートCが硬化するまで梁30を支持するのは、柱20と一体に形成されたコーベル23に限らず、支持体を別途用意することを本発明は包含する。その他、本発明の趣旨の範囲内で上述した実施形態を適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0046】
10,110,210,310…接合構造
20,120,220,320…柱、21,121,221…柱本体
23,123,223,323…コーベル、24,124…支持面、25…側壁
26,126,226,326…柱側鉄筋、29,129,329…露出部
30,130,230,230a,230b…梁
31,131…梁本体、33,233a,233a…側壁,133…樋状体
35,135,235…梁側鉄筋、36,136,236…露出部
40,140,240,250…接合部
251…接合鉄筋、C…コンクリート、M…型枠
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレキャストされた柱にプレキャストされた梁の端部を接合する接合構造であって、
前記柱と前記梁の境界部に設けられる、現場打ちにより打設されたコンクリートを介して前記柱と前記梁を接合する接合部と、
前記柱に設けられ、前記接合部の領域内に一部が露出する柱側鉄筋と、
前記梁に設けられ、前記接合部の領域内に一部が露出する梁側鉄筋と、
を備え、
前記柱側鉄筋と前記梁側鉄筋は、前記接合部において、当該露出する部分が互いに長手方向に重なり合う、
ことを特徴とするプレキャストコンクリート部材の接合構造。
【請求項2】
前記接合部を構成する前記コンクリートが打設されてから硬化するまで、前記梁を支持する支持体が前記柱に一体的に設けられる、
請求項1に記載のプレキャストコンクリート部材の接合構造。
【請求項3】
前記接合部に対応して前記コンクリートが打設される型枠を備え、
前記型枠は、前記柱及び前記梁の一方又は双方に一体的に形成される型枠部により構成される、
請求項1に記載のプレキャストコンクリート部材の接合構造。
【請求項4】
前記支持体が、前記型枠部の一部又は全部を構成する、
請求項3に記載のプレキャストコンクリート部材の接合構造。
【請求項5】
前記型枠部の全部が、前記梁に一体的に形成される、
請求項3に記載のプレキャストコンクリート部材の接合構造。
【請求項6】
前記柱側鉄筋は、
前記接合部の領域内に露出する前記端部を除いて、前記プレキャストの際に前記柱に埋設される、
請求項1〜4のいずれか一項に記載のプレキャストコンクリート部材の接合構造。
【請求項7】
前記柱側鉄筋は、
前記現場打ちの際に配設されるものである、
請求項1〜5のいずれか一項に記載のプレキャストコンクリート部材の接合構造。
【請求項8】
互いの軸線が直交する第1の梁と第2の梁が、各々の前記接合部により前記柱に接合され、
前記第1の梁と前記第2の梁が、場所打ちされたコンクリートを介して接合される、
請求項1〜7のいずれか一項に記載のプレキャストコンクリート部材の接合構造。
【請求項1】
プレキャストされた柱にプレキャストされた梁の端部を接合する接合構造であって、
前記柱と前記梁の境界部に設けられる、現場打ちにより打設されたコンクリートを介して前記柱と前記梁を接合する接合部と、
前記柱に設けられ、前記接合部の領域内に一部が露出する柱側鉄筋と、
前記梁に設けられ、前記接合部の領域内に一部が露出する梁側鉄筋と、
を備え、
前記柱側鉄筋と前記梁側鉄筋は、前記接合部において、当該露出する部分が互いに長手方向に重なり合う、
ことを特徴とするプレキャストコンクリート部材の接合構造。
【請求項2】
前記接合部を構成する前記コンクリートが打設されてから硬化するまで、前記梁を支持する支持体が前記柱に一体的に設けられる、
請求項1に記載のプレキャストコンクリート部材の接合構造。
【請求項3】
前記接合部に対応して前記コンクリートが打設される型枠を備え、
前記型枠は、前記柱及び前記梁の一方又は双方に一体的に形成される型枠部により構成される、
請求項1に記載のプレキャストコンクリート部材の接合構造。
【請求項4】
前記支持体が、前記型枠部の一部又は全部を構成する、
請求項3に記載のプレキャストコンクリート部材の接合構造。
【請求項5】
前記型枠部の全部が、前記梁に一体的に形成される、
請求項3に記載のプレキャストコンクリート部材の接合構造。
【請求項6】
前記柱側鉄筋は、
前記接合部の領域内に露出する前記端部を除いて、前記プレキャストの際に前記柱に埋設される、
請求項1〜4のいずれか一項に記載のプレキャストコンクリート部材の接合構造。
【請求項7】
前記柱側鉄筋は、
前記現場打ちの際に配設されるものである、
請求項1〜5のいずれか一項に記載のプレキャストコンクリート部材の接合構造。
【請求項8】
互いの軸線が直交する第1の梁と第2の梁が、各々の前記接合部により前記柱に接合され、
前記第1の梁と前記第2の梁が、場所打ちされたコンクリートを介して接合される、
請求項1〜7のいずれか一項に記載のプレキャストコンクリート部材の接合構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−144936(P2012−144936A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5508(P2011−5508)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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