プレキャストコンクリート部材の接合部の構造並びに該接合部を有するプレキャストコンクリート組立構造物及びその構造物の構築方法
【課題】本発明は、垂直方向及び水平方向のプレキャストコンクリート部材接合部を一体化するための現場での作業を少なくし、早期に安定した強度のある接合部を得ることのできるプレキャストコンクリート組立構造物を提供する。
【解決手段】壁部材3の下方位置から直交方向に突出する脚部材4とからなるプレキャストコンクリート部材と、該壁部材3の上端位置の頂部6に載置される水平方向のプレキャストコンクリート部材との連結部において、該頂部6にその開口部が露出するようにシースパイプ10を壁部材3に埋設し、該シースパイプ10には、一端側は該壁部材3に固定された鉄筋7が配設され、該鉄筋7は水平部材2或いは水平部材2上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ10内にモルタルが充填され、該壁部材の頂部上方部と水平部材の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化する。
【解決手段】壁部材3の下方位置から直交方向に突出する脚部材4とからなるプレキャストコンクリート部材と、該壁部材3の上端位置の頂部6に載置される水平方向のプレキャストコンクリート部材との連結部において、該頂部6にその開口部が露出するようにシースパイプ10を壁部材3に埋設し、該シースパイプ10には、一端側は該壁部材3に固定された鉄筋7が配設され、該鉄筋7は水平部材2或いは水平部材2上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ10内にモルタルが充填され、該壁部材の頂部上方部と水平部材の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレキャストコンクリート部材の接合部の構造並びに当該接合部を採用することにより橋梁基礎やボックスカルバート等の構造物を構築することが可能なプレキャストコンクリート組立構造物及びその構造物の構築方法を提供することを目的とするものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、柱や壁等の垂直部材や基礎、梁、床版等の水平部材を予め工場等により製造し、それらの部材を施工現場において相互に連結し接合部を完成することにより構造物の工期の短縮及び施工の安定度を増すことが行なわれている。該垂直部材と水平部材との接合部は、構造力学的に強度を必要とする箇所であり、当該箇所の強度を得るためにその部分の補強として補強鉄筋の配筋やコンクリートの打設等を行なっている。しかし当該箇所は複雑な配筋が多く、そのための配筋作業やコンクリート打設のための型枠の設置及びその他の現場での作業が煩雑であり、早期に且つ安定した強度のある接合部を得ることはできなかった。
【0003】
また、上記プレキャストコンクリート部材を組み立てて橋梁基礎やボックスカルバート等の各種構造物が構築されているが、上記同様、接合部の現場での作業が多く、また、プレキャストコンクリート部材相互の補強鉄筋の取り扱いが煩雑であり、早期に安定した強度のある構造物を得ることは困難であった。
【0004】
例えば、特開2003−193544号公報のように、プレキャストコンクリート製側壁部材上に同様のプレキャストコンクリート製の水平方向の型枠部材を掛け渡し、該型枠部材上にコンクリートを打設し、その打設コンクリートにより相互を一体化しているが、その接合部の骨組を構成するものとして、予め側壁部材に略L型となる連結鉄筋を埋設固定し、その鉄筋を現場で配筋された鉄筋とを接続筒体を使用し、溶着や螺合等により連結し、側壁部材と頂版部との一体化を図っている。
【0005】
しかし、上記接合部では、プレキャストコンクリート部材の側端部より長尺の鉄筋を予め突出させておく必要があり、該突出鉄筋が運搬或いは施工上邪魔となっていた。また、それを避けるためには該突出鉄筋をコンクリート部材に沿って折り曲げる必要があるが、現場では施工状態に戻す必要があり、鉄筋が不規則に折れ曲った状態となったり傷んだりし所定の強度が得られない心配があった。
【特許文献1】特開2003−193544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、プレキャストコンクリート部材相互の接合部における現場での作業を簡単とし、早期に安定した強度のある接合部を得ることをその課題とするものである。
【0007】
また、上記プレキャストコンクリート部材における接合部を採用することにより橋梁基礎やボックスカルバート等の各種構造物を得ること及び該構造物を早期に構築することができることをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を達成したもので、壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出する脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材と、該壁部材の上端位置の頂部に載置される水平方向のプレキャストコンクリート部材との連結部において、該頂部にその開口部が露出するようにシースパイプを壁部材に埋設し、該シースパイプには、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は水平部材或いは水平部材上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルが充填され、該壁部材の頂部上方部と水平部材の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化してなるプレキャストコンクリート部材の接合部の構造を特徴とする。
【0009】
また、壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出する脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材と、該壁部材の上端位置の頂部に載置される水平方向のプレキャストコンクリート部材との連結部において、該頂部にその開口部が露出するようにシースパイプを壁部材に埋設し、該シースパイプには、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は水平部材或いは水平部材上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルが充填され、更に、該頂部にその螺合部が露出するようにインサートを壁部材に埋設し、該インサートは、その一端が該壁部材に固定された鉄筋を螺合し、他端は頂部上より外方へ延出するアンカーボルトと螺合され、該壁部材の頂部上方部と水平部材の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化してなるプレキャストコンクリート部材の接合部の構造を特徴とする。
【0010】
更に、上記インサートは、その一端が該壁部材のハンチ部に固定された斜め鉄筋と螺合し、他端は頂部上より斜め外方へ延出するアンカーボルトと螺合され、該壁部材の頂部上方部と水平部材の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化してなるプレキャストコンクリート部材の接合部の構造を特徴とする。
【0011】
また、上記水平方向のプレキャストコンクリート部材を鉄筋或いは組み立て鉄筋の一部が表面側に露出したハーフプレキャスト床版としたプレキャストコンクリート部材の接合部の構造を特徴とする。
【0012】
更に、上記水平方向のプレキャストコンクリート部材の端部両側にテーパー状の切欠部を形成したプレキャストコンクリート部材の接合部の構造を特徴とする。
【0013】
また、壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出する脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材と、該壁部材の上端位置の頂部に載置される床版となるプレキャストコンクリート部材とによって構築されたコンクリート組立構造物において、該プレキャストコンクリート部材の複数個を該脚部材が対向するようにして複数設置され、対向脚部材間の間隙部分又は該間隙部分と該脚部材上の鉄筋を埋設するようにして打設したコンクリートにより所定厚の底側の床を構成し、該壁部材の頂部にその開口部が露出するように埋設されたシースパイプに、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は床版或いは床版上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルが充填され、該壁部材の頂部上方部と床版の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化してなるプレキャストコンクリート組立構造物を特徴とする。
【0014】
更に、壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出する脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材と、該壁部材の上端位置の頂部に載置される床版となるプレキャストコンクリート部材とによって構築されたコンクリート組立構造物において、該プレキャストコンクリート部材の複数個を該脚部材が対向するようにして複数設置され、対向脚部材間の間隙部分又は該間隙部分と該脚部材上の鉄筋を埋設するようにして打設したコンクリートとにより所定厚の底側の床を構成し、該壁部材の頂部にその開口部が露出するように埋設されたシースパイプに、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は床版或いは床版上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルが充填され、更に、該頂部にその螺合部が露出するようにインサートを壁部材に埋設し、該インサートは、その一端が該壁部材に固定された鉄筋を螺合し、他端は頂部上より外方へ延出するアンカーボルトと螺合され、該壁部材の頂部上方部と床版の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化してなるプレキャストコンクリート組立構造物を特徴とする。
【0015】
また、上記側部に設置するプレキャストコンクリート部材と内部に設置するプレキャストコンクリート部材とによって組み立てられる組立構造物において、壁部材の頂部を内部の位置としたプレキャストコンクリート組立構造物を特徴とする。
【0016】
更に、壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出するシース管を配設した脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材と、該壁部材の上端位置の頂部に載置される床版となるプレキャストコンクリート部材とによって構築されるコンクリート組立構造物において、該プレキャストコンクリート部材の複数個を該脚部材が対向するようにして複数設置し、対向脚部材間の間隙部分の鉄筋とともに緊張鉄筋のためのシース管を配設し、それら鉄筋及びシース管を埋設するようにしてコンクリートを打設して所定厚の底側の床を施工し、他方、該壁部材の頂部にその開口部が露出するように埋設されたシースパイプに、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は床版或いは床版上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルを充填し、該壁部材の頂部上方部と床版の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化し、その後、底側のコンクリートが固化して所定の強度が生じるようになった時点で脚部材のシース管及び打設コンクリート中のシース管内に挿通した緊張鉄筋を外方部から緊張し、プレストレスをかけて強固に一体化してなるプレキャストコンクリート組立構造物の構築方法を特徴とする。
【0017】
また、壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出するシース管を配設した脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材と、該壁部材の上端位置の頂部に載置される床版となるプレキャストコンクリート部材とによって構築されるコンクリート組立構造物において、該プレキャストコンクリート部材の複数個を該脚部材が対向するようにして複数設置し、対向脚部材間の間隙部分の鉄筋とともに緊張鉄筋のためのシース管を配設し、それら鉄筋及びシース管を埋設するようにしてコンクリートを打設して所定厚の底側の床を施工し、他方、該壁部材の頂部にその開口部が露出するように埋設されたシースパイプに、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は床版或いは床版上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルを充填し、更に、該頂部にその螺合部が露出するようにインサートを壁部材に埋設し、該インサートは、その一端が該壁部材に固定された鉄筋を螺合し、他端は頂部上より外方へ延出するアンカーボルトと螺合され、該壁部材の頂部上方部と床版の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化し、その後、底側のコンクリートが固化して所定の強度が生じるようになった時点で脚部材のシース管及び打設コンクリート中のシース管内に挿通した緊張鉄筋を外方部から緊張し、プレストレスをかけて強固に一体化してなるプレキャストコンクリート組立構造物の構築方法を特徴とする。
【0018】
更に、壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出するシース管を配設した脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材、底面に設置されるシース管を配設したプレキャスト底版及び該壁部材の上端位置の頂部に載置される床版となるプレキャストコンクリート部材とによって構築されるコンクリート組立構造物において、該プレキャスト底版の複数個を所定位置に設置し、その後、該プレキャストコンクリート部材の複数個を該プレキャスト底版と連結される位置に設置し、他方、該壁部材の頂部にその開口部が露出するように埋設されたシースパイプに、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は床版或いは床版上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルを充填し、該壁部材の頂部上方部と床版の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化し、その後、プレキャスト底版及び脚部材に埋設したシース管に挿通した緊張鉄筋を外方部から緊張し、プレストレスをかけて強固に一体化してなるプレキャストコンクリート組立構造物の構築方法を特徴とする。
【0019】
また、壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出するシース管を配設した脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材、底面に設置されるシース管を配設したプレキャスト底版及び該壁部材の上端位置の頂部に載置される床版となるプレキャストコンクリート部材とによって構築されるコンクリート組立構造物において、該プレキャスト底版の複数個を所定位置に設置し、その後、該プレキャストコンクリート部材の複数個を該プレキャスト底版と連結される位置に設置し、他方、該壁部材の頂部にその開口部が露出するように埋設されたシースパイプに、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は床版或いは床版上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルを充填し、更に、該頂部にその螺合部が露出するようにインサートを壁部材に埋設し、該インサートは、その一端が該壁部材に固定された鉄筋を螺合し、他端は頂部上より外方へ延出するアンカーボルトと螺合され、該壁部材の頂部上方部と床版の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化し、その後、プレキャスト底版及び脚部材に埋設したシース管に挿通した緊張鉄筋を外方部から緊張し、プレストレスをかけて強固に一体化してなるプレキャストコンクリート組立構造物の構築方法を特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明は、プレキャストコンクリート部材の接合部をシースパイプを使用することにより部材相互の連結を早期に且つ安定状態で強固に行うことを可能とした。
【0021】
また、請求項2の発明は、プレキャストコンクリート部材の接合部をシースパイプ及びインサートを使用することにより、部材相互の連結をより一層早期に且つ安定状態で強固に行うことを可能とした。
【0022】
更に、請求項3の発明は、インサートはモルタル等の埋設手段を使用することなく螺合手段により接合部となる鉄筋と連結することができ、乾式手段により施工を早期に且つ安定化させることを可能とした。
【0023】
また、請求項4の発明は、水平部材を床版とし、該床版をコンクリート打設時の型枠として利用できると同時に、壁部材との一体性をより強固とすることを可能とした。
【0024】
更に、請求項5の発明は、水平方向のプレキャストコンクリート部材端部両側の一部を切欠することにより、配筋を容易とし、且つ壁部材と水平方向との連結をより強固とすることを可能とした。
【0025】
また、請求項6及び7の発明は、請求項1のプレキャストコンクリート部材相互の接合部の構造を採用することにより、現場での施工において、ぶれのない安定した強度を有する構造物を得ることを可能とした。
【0026】
更に、請求項8の発明は、組立構造物の内部に設置するプレキャストコンクリート部材により大きな構造物を得ることを可能とした。
【0027】
また、請求項9ないし12の発明は、底版或いはコンクリート材及び脚部材に配設した緊張鉄筋を外方部から緊張することにより部材にプレストレスをかけ、より強固なプレキャストコンクリート組立構造物を得ることを可能とした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0029】
図1ないし図4は、プレキャストコンクリート部材1と床版2との接合部の施工経過を示した側断面図である。プレキャストコンクリート部材1は、所定の部材厚を有して垂直状に立設形成した壁部材3(以下、柱状の部材を含め壁部材という)及び該壁部材3の下方位置にそれとは直交する方向の脚部材4とにより構成している。
【0030】
上記壁部材3は、各種構造物の柱や壁を構成するもので、200〜500mm前後の部材厚を有し、鉄筋7により補強し、工場等によりコンクリート8を打設して構築するものである。該壁部材3の脚部材4側とは反対位置となる上端の頂部5には該床版2を載置するための補強部6を突出形成している。
【0031】
上記脚部材4は、プレキャストコンクリート部材1が構造物として自立できるように壁部材3下部より直交方向へ延出して製造している。脚部材4はその内側には壁部材3同様、鉄筋9が組み立てられ、その一部は折り曲げられ、或いはそれらと連結されて壁部材3側へ立設配筋されている。上記コンクリート8の打設により壁部材3と一体化して製造される。
【0032】
壁部材3の頂部5平面には、その開口部が露出するように所定長のシースパイプ10を適数個埋設配置する。該シースパイプ10はその管中に配置される鉄筋7の太さによりその管径が決まり、例えば、D16の場合はφ45、D22の場合はφ60程度のものが使用される。該シースパイプ10内には鉄筋7が下方部より挿入され、シースパイプ10内にシースパイプ10の内壁と鉄筋7との間に空間を有して留まった状態とされる。該鉄筋7は、壁部材3の頂部5より突出することはない状態で配置或いは突出状態としてもよい。図示のものは突出していない状態のものを示している。
【0033】
図2に示すように、壁部材3の上端位置の頂部5及び補強部6に床版2を架設する。該床版2は、図5に示すように、縦及び横方向に組み込んだ補強筋11、該補強筋11より上方へ突出させたトラス筋12を設けた配筋状態のものにコンクリート13を打設しトラス筋12の一部が露出するようにして版状に形成したカイザー板等のハーフプレキャスト床版が採用される。
【0034】
壁部材3の頂部5に床版2を架設した図2から図3の状態に示すように、該トラス筋12或いは別途縦筋や横筋等を利用して床版2上に所定のスラブ厚の確保或いは壁部材3と一体化するために鉄筋14を組み込む。更に、図6の接合部の拡大図に示すように、L字形に折り曲げた継ぎ手鉄筋15を使用し、その一方側は壁部材3に埋設したシースパイプ10内に配置し、該シースパイプ10内の鉄筋7と連結し重ね継手や溶着或いは接続筒体等の連結手段16により両者を一体化する。継ぎ手鉄筋15の他方側は床版2上のトラス筋12或いは別途配筋した鉄筋17と重ね継手、接続筒体等により連結する。
【0035】
図1ないし図3に示す接合部は、壁部材3に鉄筋がダブル配筋されているので、シースパイプ10も断面方向で複数箇所に形成され、その各々のシースパイプ10内に各々鉄筋7が配置され、それらと継ぎ手鉄筋15とを連結手段16により連結する。鉄筋相互の連結が終了した後、該シースパイプ10内にモルタル18を注入し、鉄筋7と継ぎ手鉄筋15とを固定する。その後、所定厚のスラブ厚となるように壁部材3の上方部及び床版2の上方部に鉄筋が埋設状態となるようにしてコンクリート19を打設する。
【実施例2】
【0036】
図7は、上記実施例1と同様の壁部材3´の頂部5´にシースパイプ10´を埋設配置する他、同頂部5´にインサート10aを先付け配置し、コンクリート8´の打設により壁部材3´内の鉄筋7´と螺合等により一体連結され、その他端側は壁部材3´の頂部5´に露出するように埋設する
【0037】
実施例2では、その断面方向でインサート10aは壁部材3´の頂部5´に垂直状に埋設したインサート10aと、補強部6´となるハンチ部の頂部5´に傾斜して埋設したインサート10aの実施例を示している。上記傾斜した場合は、インサート10aの先端部も傾斜するが、当該箇所からコンクリートが浸入しないように且つ表面側が露出するように凹部を有する状態で埋設する。
【0038】
インサート10aの内壁には、その孔部となる部位に合致する径を有する異形鉄筋を螺合できるネジが刻設されている。
【0039】
カイザー板等のハーフプレキャスト床版2´を該壁部材3´上に架設後、インサート10aには、アンカーボルト10bを螺合する。該アンカーボルト10bは、異形鉄筋等の鉄筋の先端部を外ネジ加工したもので、該外ネジ部をインサート10aに螺合することにより一体化することが可能である。
【0040】
上記螺合一体化され、コンクリート19´が打設されることにより、各々のアンカーボルト10bは圧縮鉄筋或いはハンチ筋としての役割を成すことができる。
なお、実施例2におけるシースパイプ10´の位置及び個数並びにインサート10aの位置及び個数は適宜選択できるものである。
【実施例3】
【0041】
図8(a)(b)は、プレキャストコンクリート部材1″と床版2″との接合部の他の実施例の斜視図及び断面図を示している。プレキャストコンクリート部材1″の壁部材3″頂部5″に載置される床版2″端部の形状として、該端部の両側を床版2″の底部側が長くなるようにテーパー状に切欠して切欠部20を形成している。
【0042】
上記切欠部20により、折り曲げ鉄筋の配設を容易とすると同時に、配筋後に打設されるコンクリート19″が床版2″に食い込み、壁部材3″と床版2″との一体化が強固に行なわれることになる。
実施例3は、前記した実施例1及び2のプレキャストコンクリート部材の接合部に採用されるものであり、他の構成となるシースパイプやインサート及びそれに一体化される鉄筋やコンクリートの打設等はそれらと同様である。
【実施例4】
【0043】
図9は上記接合部の構造を採用してコンクリート組立構造物を構築した一実施例の断面図を示している。プレキャストコンクリート部材21として、壁部材22及び脚部材23よりなる断面逆T字型あるいはL字型の部材を複数個選定する。
【0044】
壁部材22は、柱状或いは長手方向に延設して壁を構成するようにしたコンクリート部材で、その頂部24には補強部25となるハンチを構成している。該頂部24に開口部が露出するようにしてシースパイプ26及び必要に応じインサート(不図示)を予め埋設している。
【0045】
脚部材23は、本実施例では内側脚構成部材27と外側はね出し脚構成部材28とにより断面T字型となる脚構成とし、該内側脚構成部材27は、床へのコンクリート打設を考慮してその厚さH1を選定している。上記構成をしたプレキャストコンクリート部材21複数個をその各々の内側脚構成部材27が相互に対向するようにして配設する。上記対向配設した内側脚構成部材27、27間には間隙が生じるが、床を構成する必要厚さH2を形成するために該間隙箇所及び内側脚構成部材27上に鉄筋を配筋し、コンクリート29を打設する。上記コンクリート29の打設により、内側脚構成部材27が被覆され且つ押圧されて一体化した厚さH2の床が構成される。従って、プレキャストコンクリート部材21、21が強固に設置された状態となる。
【0046】
上記壁部材22、22の頂部24、24間には補強部25、25を利用して床版30を架設する。本実施例での床版30は、ハーフプレキャストスラブ版で、鉄筋を配筋しトラス筋を表面側に突出させるようにしてコンクリート打設して製造している。上記壁部材22、22間への架設により施工現場でのコンクリート打設時の床下側の型枠の役割を達成することができる。床版30の架設後、スラブ上端筋及び実施例1ないし3に示した壁部材22、22との接合部の継ぎ手鉄筋等の配筋(一部省略)をし、その上方側にコンクリート31を打設する。このコンクリート31の打設により壁部材22と一体化されたスラブ厚さH3の床或いは天井が形成される。壁部材22が柱状の場合は、壁部材22間に別途壁を構築することになる。
【実施例5】
【0047】
図10(a)ないし(c)は、上記実施例4と同様、実施例1ないし3の接合部を採用しての他の実施例のコンクリート組立構造物の部分的及び組み立てた状態の側面図及び正面図を示している。プレキャストコンクリート部材32として、壁部材33及び脚部材34よりなる断面逆T字型或いはL字型の部材を複数個選定する。図10(a)に示す側面図は、外側部側に配設されるプレキャストコンクリート部材32で、同(b)に示す正面図は、中央部を含めた組立構造物内に配設されるプレキャストコンクリート部材35である。該プレキャストコンクリート部材35は、上記同様に、壁部材36及び脚部材37とよりなる断面逆T字型に構成され、また、該壁部材36は室内側に位置することになるので、その一部に開口部38を形成している。該開口部38により、施工された後の該プレキャストコンクリート部材35の左右が室内空間として連通することになる。該内側のプレキャストコンクリート部材35を使用することにより大きな空間を有する組立構造物を得ることが可能となる。
【0048】
上記実施例での外側部側壁部材33及び内側壁部材36は、長手方向に延設したコンクリート部材で、その各々の頂部39、40には補強部41、42となるハンチを構成している。該内側壁部材36の場合は、頂部40の左右に補強部42を構成している。更に両頂部39、40には、床版43との連結手段となるシースパイプ44及び必要に応じてインサート(不図示)を形成している。
【0049】
図10(c)は、上記プレキャストコンクリート部材32、35を組み立ててコンクリート組立構造物を構築した断面図を示している。外側部側にプレキャストコンクリート部材32、32を脚部材34、34を内側にして複数個設置し、中央部に内側のプレキャストコンクリート部材35を設置する。
【0050】
外側部側の脚部材34と内側の脚部材37とは所定間隔を有して各々対向し、その各々のシースパイプ45間を連結鉄筋46によって連結する。該連結鉄筋46による鉄筋の連結後、コンクリート47を打設する。
【0051】
プレキャストコンクリート部材32、35の頂部39、40には床版43を載置し、連結することになる。連結手段としては、頂部39、40のシースパイプ44より突出した鉄筋を、床版43側へ或いは床版43側の鉄筋と連結することが可能となる。シースパイプ44にはモルタル等を注入して強固に固定する。
【0052】
また、上記実施例2に示した接合部となるインサーとを併用する態様もできる。更に、底側の床を構成する場合、下記する実施例6、7のように緊張鉄筋を採用する態様も可能である。その際には、予めそのためのシース管を部材中に配設しておくことは言うまでもない。
【実施例6】
【0053】
図11は、上記実施例4又は実施例5に示したものと同様、プレキャストコンクリート組立構造物の実施例に関するもので、壁部材33´及び脚部材34´よりなるプレキャストコンクリート部材32´を施工現場にて配設後、対向する内側脚構成部材27´間の間隙に鉄筋を配筋し、コンクリート29´を打設している。上記脚部材34´内及び上記コンクリートが打設される間隙にはPC鋼棒又はPCより線等の緊張鉄筋を配筋するためのシース管を予め配設しておく。上記打設したコンクリート29´が固化して所定の強度が生じるようになった時点で、シース管内に緊張鉄筋48を挿通し、該緊張鉄筋48を緊張し、プレストレスをかけて強固に一体化する。打設コンクリート側となる緊張鉄筋48を予めシース管内に配置しておき、その後設置される脚部材34´内のシース管に配置された緊張鉄筋48とをその接面位置において接続筒体等を介して一体化し、外方部から緊張することもできるし、また、打設コンクリート側及び脚部材34´側のシース管相互が連通するように設置後、該シース管内に緊張鉄筋48を挿通し、外方部から緊張することも可能である。その際、コンクリート打設側のシース管端部側が露出するように一部切欠部を設けておくことにより緊張鉄筋の連結や挿通を容易とすることが可能となる。該脚部材34´の設置時に対向する内側脚構成部材27、27´端部に凹凸を形成することにより打設コンクリートとの連結を強固とすることができる。他の構成は上記実施例と同様である。
【実施例7】
【0054】
図12は、プレキャストコンクリート組立構造物の他の実施例に関するもので、壁部材33″及び脚部材34″よりなるプレキャストコンクリート部材32″を施工現場において設置するものである。
【0055】
上記プレキャストコンクリート部材32″を設置する前工程として、プレキャスト底版49を設置する。該プレキャスト底版49の両端部には凹凸を形成し、該脚部材34″端部の凹凸部と一致するように構成しており、両者が対向するようにして設置する。
【0056】
該プレキャスト底版49内には鋼棒又はPCPCより線等の緊張鉄筋を配筋するためのシース管を予め埋設しておく。その後、予めシース管が埋設されてなるプレキャストコンクリート部材32″のシース管と該プレキャスト底版49のシース管とが連通するようにして該プレキャストコンクリート部材32″を設置する。上記シース管内に挿通された緊張鉄筋50は外方より緊張し、プレキャスト底版49とプレキャストコンクリート部材32″をプレストレスをかけて強固に連結することになる。緊張鉄筋50の挿通又は連結等は上記実施例6と同様である。該脚部材34″の設置時に対向する端部は、底面側を突出させ裏面側を切欠した段部を形成することにより該プレキャスト底版49とプレキャストコンクリート部材32″との連結面を面一とすることが可能となると同時に、鉄筋の緊張や、土圧や水圧等によってプレキャスト底版49が浮き上がるのを防止している。他の構成は上記実施例と同様である。
【実施例8】
【0057】
実施例4、5における脚部材の端部の構造或いは仕上面となる底側の床材のコンクリート打設表面位置は、図11に示した実施例6と同様の部材と面一となる位置とすることも可能である。
本発明は上記実施例に限定されることなく、その範囲内において適宜変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】プレキャストコンクリート部材の側断面図。
【図2】プレキャストコンクリート部材と床版との接合部の側断面図。
【図3】プレキャストコンクリート部材と床版との接合部に鉄筋を配筋した状態の側断面図。
【図4】プレキャストコンクリート部材と床版との接合部の鉄筋配筋後にコンクリートを打設した状態の側断面図。
【図5(a)】床版の側断面図。
【図5(b)】床版の斜視図。
【図6】プレキャストコンクリート部材と床版との接合部の詳細断面図。
【図7】プレキャストコンクリート部材と床版との接合部に鉄筋を配筋した状態の他の実施例の側断面図。
【図8(a)】プレキャストコンクリート部材と床版との接合部の他の実施例の斜視図。
【図8(b)】プレキャストコンクリート部材と床版との接合部の他の実施例の側断面図。
【図9】コンクリート組立構造物の側断面図。
【図10(a)】プレキャストコンクリート部材の他の実施例の側断面図。
【図10(b)】室内で使用するプレキャストコンクリート部材の他の実施例の正面図。
【図10(c)】コンクリート組立構造物の他の実施例の側断面図。
【図11】コンクリート組立構造物の他の実施例の側断面図。
【図12】コンクリート組立構造物の他の実施例の側断面図。
【符号の説明】
【0059】
1、1´、1″、21、31、32、32´、32″、35 プレキャストコンクリート部材
2、2´、2″、30、43 床版
3、3´、3″、22、33、33´、33″、36 壁部材
4、23、34、34´、34″、37 脚部材
5、5´、24、39、40 頂部
6、6´、41、42 補強部
7、7´、9、14、17、28 鉄筋
8、13、19、29、29´、31、47 コンクリート
10、25、26、44、45 シースパイプ
10a インサート
10b アンカーボルト
11 補強筋
12 トラス筋
15 継ぎ手鉄筋
16 連結手段
18 モルタル
20 切欠部
27、27´ 内側脚構成部材
28 外側はね出し脚構成部材
38 開口部
46 連結鉄筋
48、50 トラス筋鉄筋
49 プレキャスト底版
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレキャストコンクリート部材の接合部の構造並びに当該接合部を採用することにより橋梁基礎やボックスカルバート等の構造物を構築することが可能なプレキャストコンクリート組立構造物及びその構造物の構築方法を提供することを目的とするものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、柱や壁等の垂直部材や基礎、梁、床版等の水平部材を予め工場等により製造し、それらの部材を施工現場において相互に連結し接合部を完成することにより構造物の工期の短縮及び施工の安定度を増すことが行なわれている。該垂直部材と水平部材との接合部は、構造力学的に強度を必要とする箇所であり、当該箇所の強度を得るためにその部分の補強として補強鉄筋の配筋やコンクリートの打設等を行なっている。しかし当該箇所は複雑な配筋が多く、そのための配筋作業やコンクリート打設のための型枠の設置及びその他の現場での作業が煩雑であり、早期に且つ安定した強度のある接合部を得ることはできなかった。
【0003】
また、上記プレキャストコンクリート部材を組み立てて橋梁基礎やボックスカルバート等の各種構造物が構築されているが、上記同様、接合部の現場での作業が多く、また、プレキャストコンクリート部材相互の補強鉄筋の取り扱いが煩雑であり、早期に安定した強度のある構造物を得ることは困難であった。
【0004】
例えば、特開2003−193544号公報のように、プレキャストコンクリート製側壁部材上に同様のプレキャストコンクリート製の水平方向の型枠部材を掛け渡し、該型枠部材上にコンクリートを打設し、その打設コンクリートにより相互を一体化しているが、その接合部の骨組を構成するものとして、予め側壁部材に略L型となる連結鉄筋を埋設固定し、その鉄筋を現場で配筋された鉄筋とを接続筒体を使用し、溶着や螺合等により連結し、側壁部材と頂版部との一体化を図っている。
【0005】
しかし、上記接合部では、プレキャストコンクリート部材の側端部より長尺の鉄筋を予め突出させておく必要があり、該突出鉄筋が運搬或いは施工上邪魔となっていた。また、それを避けるためには該突出鉄筋をコンクリート部材に沿って折り曲げる必要があるが、現場では施工状態に戻す必要があり、鉄筋が不規則に折れ曲った状態となったり傷んだりし所定の強度が得られない心配があった。
【特許文献1】特開2003−193544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、プレキャストコンクリート部材相互の接合部における現場での作業を簡単とし、早期に安定した強度のある接合部を得ることをその課題とするものである。
【0007】
また、上記プレキャストコンクリート部材における接合部を採用することにより橋梁基礎やボックスカルバート等の各種構造物を得ること及び該構造物を早期に構築することができることをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を達成したもので、壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出する脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材と、該壁部材の上端位置の頂部に載置される水平方向のプレキャストコンクリート部材との連結部において、該頂部にその開口部が露出するようにシースパイプを壁部材に埋設し、該シースパイプには、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は水平部材或いは水平部材上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルが充填され、該壁部材の頂部上方部と水平部材の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化してなるプレキャストコンクリート部材の接合部の構造を特徴とする。
【0009】
また、壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出する脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材と、該壁部材の上端位置の頂部に載置される水平方向のプレキャストコンクリート部材との連結部において、該頂部にその開口部が露出するようにシースパイプを壁部材に埋設し、該シースパイプには、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は水平部材或いは水平部材上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルが充填され、更に、該頂部にその螺合部が露出するようにインサートを壁部材に埋設し、該インサートは、その一端が該壁部材に固定された鉄筋を螺合し、他端は頂部上より外方へ延出するアンカーボルトと螺合され、該壁部材の頂部上方部と水平部材の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化してなるプレキャストコンクリート部材の接合部の構造を特徴とする。
【0010】
更に、上記インサートは、その一端が該壁部材のハンチ部に固定された斜め鉄筋と螺合し、他端は頂部上より斜め外方へ延出するアンカーボルトと螺合され、該壁部材の頂部上方部と水平部材の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化してなるプレキャストコンクリート部材の接合部の構造を特徴とする。
【0011】
また、上記水平方向のプレキャストコンクリート部材を鉄筋或いは組み立て鉄筋の一部が表面側に露出したハーフプレキャスト床版としたプレキャストコンクリート部材の接合部の構造を特徴とする。
【0012】
更に、上記水平方向のプレキャストコンクリート部材の端部両側にテーパー状の切欠部を形成したプレキャストコンクリート部材の接合部の構造を特徴とする。
【0013】
また、壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出する脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材と、該壁部材の上端位置の頂部に載置される床版となるプレキャストコンクリート部材とによって構築されたコンクリート組立構造物において、該プレキャストコンクリート部材の複数個を該脚部材が対向するようにして複数設置され、対向脚部材間の間隙部分又は該間隙部分と該脚部材上の鉄筋を埋設するようにして打設したコンクリートにより所定厚の底側の床を構成し、該壁部材の頂部にその開口部が露出するように埋設されたシースパイプに、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は床版或いは床版上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルが充填され、該壁部材の頂部上方部と床版の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化してなるプレキャストコンクリート組立構造物を特徴とする。
【0014】
更に、壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出する脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材と、該壁部材の上端位置の頂部に載置される床版となるプレキャストコンクリート部材とによって構築されたコンクリート組立構造物において、該プレキャストコンクリート部材の複数個を該脚部材が対向するようにして複数設置され、対向脚部材間の間隙部分又は該間隙部分と該脚部材上の鉄筋を埋設するようにして打設したコンクリートとにより所定厚の底側の床を構成し、該壁部材の頂部にその開口部が露出するように埋設されたシースパイプに、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は床版或いは床版上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルが充填され、更に、該頂部にその螺合部が露出するようにインサートを壁部材に埋設し、該インサートは、その一端が該壁部材に固定された鉄筋を螺合し、他端は頂部上より外方へ延出するアンカーボルトと螺合され、該壁部材の頂部上方部と床版の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化してなるプレキャストコンクリート組立構造物を特徴とする。
【0015】
また、上記側部に設置するプレキャストコンクリート部材と内部に設置するプレキャストコンクリート部材とによって組み立てられる組立構造物において、壁部材の頂部を内部の位置としたプレキャストコンクリート組立構造物を特徴とする。
【0016】
更に、壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出するシース管を配設した脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材と、該壁部材の上端位置の頂部に載置される床版となるプレキャストコンクリート部材とによって構築されるコンクリート組立構造物において、該プレキャストコンクリート部材の複数個を該脚部材が対向するようにして複数設置し、対向脚部材間の間隙部分の鉄筋とともに緊張鉄筋のためのシース管を配設し、それら鉄筋及びシース管を埋設するようにしてコンクリートを打設して所定厚の底側の床を施工し、他方、該壁部材の頂部にその開口部が露出するように埋設されたシースパイプに、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は床版或いは床版上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルを充填し、該壁部材の頂部上方部と床版の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化し、その後、底側のコンクリートが固化して所定の強度が生じるようになった時点で脚部材のシース管及び打設コンクリート中のシース管内に挿通した緊張鉄筋を外方部から緊張し、プレストレスをかけて強固に一体化してなるプレキャストコンクリート組立構造物の構築方法を特徴とする。
【0017】
また、壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出するシース管を配設した脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材と、該壁部材の上端位置の頂部に載置される床版となるプレキャストコンクリート部材とによって構築されるコンクリート組立構造物において、該プレキャストコンクリート部材の複数個を該脚部材が対向するようにして複数設置し、対向脚部材間の間隙部分の鉄筋とともに緊張鉄筋のためのシース管を配設し、それら鉄筋及びシース管を埋設するようにしてコンクリートを打設して所定厚の底側の床を施工し、他方、該壁部材の頂部にその開口部が露出するように埋設されたシースパイプに、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は床版或いは床版上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルを充填し、更に、該頂部にその螺合部が露出するようにインサートを壁部材に埋設し、該インサートは、その一端が該壁部材に固定された鉄筋を螺合し、他端は頂部上より外方へ延出するアンカーボルトと螺合され、該壁部材の頂部上方部と床版の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化し、その後、底側のコンクリートが固化して所定の強度が生じるようになった時点で脚部材のシース管及び打設コンクリート中のシース管内に挿通した緊張鉄筋を外方部から緊張し、プレストレスをかけて強固に一体化してなるプレキャストコンクリート組立構造物の構築方法を特徴とする。
【0018】
更に、壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出するシース管を配設した脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材、底面に設置されるシース管を配設したプレキャスト底版及び該壁部材の上端位置の頂部に載置される床版となるプレキャストコンクリート部材とによって構築されるコンクリート組立構造物において、該プレキャスト底版の複数個を所定位置に設置し、その後、該プレキャストコンクリート部材の複数個を該プレキャスト底版と連結される位置に設置し、他方、該壁部材の頂部にその開口部が露出するように埋設されたシースパイプに、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は床版或いは床版上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルを充填し、該壁部材の頂部上方部と床版の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化し、その後、プレキャスト底版及び脚部材に埋設したシース管に挿通した緊張鉄筋を外方部から緊張し、プレストレスをかけて強固に一体化してなるプレキャストコンクリート組立構造物の構築方法を特徴とする。
【0019】
また、壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出するシース管を配設した脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材、底面に設置されるシース管を配設したプレキャスト底版及び該壁部材の上端位置の頂部に載置される床版となるプレキャストコンクリート部材とによって構築されるコンクリート組立構造物において、該プレキャスト底版の複数個を所定位置に設置し、その後、該プレキャストコンクリート部材の複数個を該プレキャスト底版と連結される位置に設置し、他方、該壁部材の頂部にその開口部が露出するように埋設されたシースパイプに、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は床版或いは床版上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルを充填し、更に、該頂部にその螺合部が露出するようにインサートを壁部材に埋設し、該インサートは、その一端が該壁部材に固定された鉄筋を螺合し、他端は頂部上より外方へ延出するアンカーボルトと螺合され、該壁部材の頂部上方部と床版の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化し、その後、プレキャスト底版及び脚部材に埋設したシース管に挿通した緊張鉄筋を外方部から緊張し、プレストレスをかけて強固に一体化してなるプレキャストコンクリート組立構造物の構築方法を特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明は、プレキャストコンクリート部材の接合部をシースパイプを使用することにより部材相互の連結を早期に且つ安定状態で強固に行うことを可能とした。
【0021】
また、請求項2の発明は、プレキャストコンクリート部材の接合部をシースパイプ及びインサートを使用することにより、部材相互の連結をより一層早期に且つ安定状態で強固に行うことを可能とした。
【0022】
更に、請求項3の発明は、インサートはモルタル等の埋設手段を使用することなく螺合手段により接合部となる鉄筋と連結することができ、乾式手段により施工を早期に且つ安定化させることを可能とした。
【0023】
また、請求項4の発明は、水平部材を床版とし、該床版をコンクリート打設時の型枠として利用できると同時に、壁部材との一体性をより強固とすることを可能とした。
【0024】
更に、請求項5の発明は、水平方向のプレキャストコンクリート部材端部両側の一部を切欠することにより、配筋を容易とし、且つ壁部材と水平方向との連結をより強固とすることを可能とした。
【0025】
また、請求項6及び7の発明は、請求項1のプレキャストコンクリート部材相互の接合部の構造を採用することにより、現場での施工において、ぶれのない安定した強度を有する構造物を得ることを可能とした。
【0026】
更に、請求項8の発明は、組立構造物の内部に設置するプレキャストコンクリート部材により大きな構造物を得ることを可能とした。
【0027】
また、請求項9ないし12の発明は、底版或いはコンクリート材及び脚部材に配設した緊張鉄筋を外方部から緊張することにより部材にプレストレスをかけ、より強固なプレキャストコンクリート組立構造物を得ることを可能とした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0029】
図1ないし図4は、プレキャストコンクリート部材1と床版2との接合部の施工経過を示した側断面図である。プレキャストコンクリート部材1は、所定の部材厚を有して垂直状に立設形成した壁部材3(以下、柱状の部材を含め壁部材という)及び該壁部材3の下方位置にそれとは直交する方向の脚部材4とにより構成している。
【0030】
上記壁部材3は、各種構造物の柱や壁を構成するもので、200〜500mm前後の部材厚を有し、鉄筋7により補強し、工場等によりコンクリート8を打設して構築するものである。該壁部材3の脚部材4側とは反対位置となる上端の頂部5には該床版2を載置するための補強部6を突出形成している。
【0031】
上記脚部材4は、プレキャストコンクリート部材1が構造物として自立できるように壁部材3下部より直交方向へ延出して製造している。脚部材4はその内側には壁部材3同様、鉄筋9が組み立てられ、その一部は折り曲げられ、或いはそれらと連結されて壁部材3側へ立設配筋されている。上記コンクリート8の打設により壁部材3と一体化して製造される。
【0032】
壁部材3の頂部5平面には、その開口部が露出するように所定長のシースパイプ10を適数個埋設配置する。該シースパイプ10はその管中に配置される鉄筋7の太さによりその管径が決まり、例えば、D16の場合はφ45、D22の場合はφ60程度のものが使用される。該シースパイプ10内には鉄筋7が下方部より挿入され、シースパイプ10内にシースパイプ10の内壁と鉄筋7との間に空間を有して留まった状態とされる。該鉄筋7は、壁部材3の頂部5より突出することはない状態で配置或いは突出状態としてもよい。図示のものは突出していない状態のものを示している。
【0033】
図2に示すように、壁部材3の上端位置の頂部5及び補強部6に床版2を架設する。該床版2は、図5に示すように、縦及び横方向に組み込んだ補強筋11、該補強筋11より上方へ突出させたトラス筋12を設けた配筋状態のものにコンクリート13を打設しトラス筋12の一部が露出するようにして版状に形成したカイザー板等のハーフプレキャスト床版が採用される。
【0034】
壁部材3の頂部5に床版2を架設した図2から図3の状態に示すように、該トラス筋12或いは別途縦筋や横筋等を利用して床版2上に所定のスラブ厚の確保或いは壁部材3と一体化するために鉄筋14を組み込む。更に、図6の接合部の拡大図に示すように、L字形に折り曲げた継ぎ手鉄筋15を使用し、その一方側は壁部材3に埋設したシースパイプ10内に配置し、該シースパイプ10内の鉄筋7と連結し重ね継手や溶着或いは接続筒体等の連結手段16により両者を一体化する。継ぎ手鉄筋15の他方側は床版2上のトラス筋12或いは別途配筋した鉄筋17と重ね継手、接続筒体等により連結する。
【0035】
図1ないし図3に示す接合部は、壁部材3に鉄筋がダブル配筋されているので、シースパイプ10も断面方向で複数箇所に形成され、その各々のシースパイプ10内に各々鉄筋7が配置され、それらと継ぎ手鉄筋15とを連結手段16により連結する。鉄筋相互の連結が終了した後、該シースパイプ10内にモルタル18を注入し、鉄筋7と継ぎ手鉄筋15とを固定する。その後、所定厚のスラブ厚となるように壁部材3の上方部及び床版2の上方部に鉄筋が埋設状態となるようにしてコンクリート19を打設する。
【実施例2】
【0036】
図7は、上記実施例1と同様の壁部材3´の頂部5´にシースパイプ10´を埋設配置する他、同頂部5´にインサート10aを先付け配置し、コンクリート8´の打設により壁部材3´内の鉄筋7´と螺合等により一体連結され、その他端側は壁部材3´の頂部5´に露出するように埋設する
【0037】
実施例2では、その断面方向でインサート10aは壁部材3´の頂部5´に垂直状に埋設したインサート10aと、補強部6´となるハンチ部の頂部5´に傾斜して埋設したインサート10aの実施例を示している。上記傾斜した場合は、インサート10aの先端部も傾斜するが、当該箇所からコンクリートが浸入しないように且つ表面側が露出するように凹部を有する状態で埋設する。
【0038】
インサート10aの内壁には、その孔部となる部位に合致する径を有する異形鉄筋を螺合できるネジが刻設されている。
【0039】
カイザー板等のハーフプレキャスト床版2´を該壁部材3´上に架設後、インサート10aには、アンカーボルト10bを螺合する。該アンカーボルト10bは、異形鉄筋等の鉄筋の先端部を外ネジ加工したもので、該外ネジ部をインサート10aに螺合することにより一体化することが可能である。
【0040】
上記螺合一体化され、コンクリート19´が打設されることにより、各々のアンカーボルト10bは圧縮鉄筋或いはハンチ筋としての役割を成すことができる。
なお、実施例2におけるシースパイプ10´の位置及び個数並びにインサート10aの位置及び個数は適宜選択できるものである。
【実施例3】
【0041】
図8(a)(b)は、プレキャストコンクリート部材1″と床版2″との接合部の他の実施例の斜視図及び断面図を示している。プレキャストコンクリート部材1″の壁部材3″頂部5″に載置される床版2″端部の形状として、該端部の両側を床版2″の底部側が長くなるようにテーパー状に切欠して切欠部20を形成している。
【0042】
上記切欠部20により、折り曲げ鉄筋の配設を容易とすると同時に、配筋後に打設されるコンクリート19″が床版2″に食い込み、壁部材3″と床版2″との一体化が強固に行なわれることになる。
実施例3は、前記した実施例1及び2のプレキャストコンクリート部材の接合部に採用されるものであり、他の構成となるシースパイプやインサート及びそれに一体化される鉄筋やコンクリートの打設等はそれらと同様である。
【実施例4】
【0043】
図9は上記接合部の構造を採用してコンクリート組立構造物を構築した一実施例の断面図を示している。プレキャストコンクリート部材21として、壁部材22及び脚部材23よりなる断面逆T字型あるいはL字型の部材を複数個選定する。
【0044】
壁部材22は、柱状或いは長手方向に延設して壁を構成するようにしたコンクリート部材で、その頂部24には補強部25となるハンチを構成している。該頂部24に開口部が露出するようにしてシースパイプ26及び必要に応じインサート(不図示)を予め埋設している。
【0045】
脚部材23は、本実施例では内側脚構成部材27と外側はね出し脚構成部材28とにより断面T字型となる脚構成とし、該内側脚構成部材27は、床へのコンクリート打設を考慮してその厚さH1を選定している。上記構成をしたプレキャストコンクリート部材21複数個をその各々の内側脚構成部材27が相互に対向するようにして配設する。上記対向配設した内側脚構成部材27、27間には間隙が生じるが、床を構成する必要厚さH2を形成するために該間隙箇所及び内側脚構成部材27上に鉄筋を配筋し、コンクリート29を打設する。上記コンクリート29の打設により、内側脚構成部材27が被覆され且つ押圧されて一体化した厚さH2の床が構成される。従って、プレキャストコンクリート部材21、21が強固に設置された状態となる。
【0046】
上記壁部材22、22の頂部24、24間には補強部25、25を利用して床版30を架設する。本実施例での床版30は、ハーフプレキャストスラブ版で、鉄筋を配筋しトラス筋を表面側に突出させるようにしてコンクリート打設して製造している。上記壁部材22、22間への架設により施工現場でのコンクリート打設時の床下側の型枠の役割を達成することができる。床版30の架設後、スラブ上端筋及び実施例1ないし3に示した壁部材22、22との接合部の継ぎ手鉄筋等の配筋(一部省略)をし、その上方側にコンクリート31を打設する。このコンクリート31の打設により壁部材22と一体化されたスラブ厚さH3の床或いは天井が形成される。壁部材22が柱状の場合は、壁部材22間に別途壁を構築することになる。
【実施例5】
【0047】
図10(a)ないし(c)は、上記実施例4と同様、実施例1ないし3の接合部を採用しての他の実施例のコンクリート組立構造物の部分的及び組み立てた状態の側面図及び正面図を示している。プレキャストコンクリート部材32として、壁部材33及び脚部材34よりなる断面逆T字型或いはL字型の部材を複数個選定する。図10(a)に示す側面図は、外側部側に配設されるプレキャストコンクリート部材32で、同(b)に示す正面図は、中央部を含めた組立構造物内に配設されるプレキャストコンクリート部材35である。該プレキャストコンクリート部材35は、上記同様に、壁部材36及び脚部材37とよりなる断面逆T字型に構成され、また、該壁部材36は室内側に位置することになるので、その一部に開口部38を形成している。該開口部38により、施工された後の該プレキャストコンクリート部材35の左右が室内空間として連通することになる。該内側のプレキャストコンクリート部材35を使用することにより大きな空間を有する組立構造物を得ることが可能となる。
【0048】
上記実施例での外側部側壁部材33及び内側壁部材36は、長手方向に延設したコンクリート部材で、その各々の頂部39、40には補強部41、42となるハンチを構成している。該内側壁部材36の場合は、頂部40の左右に補強部42を構成している。更に両頂部39、40には、床版43との連結手段となるシースパイプ44及び必要に応じてインサート(不図示)を形成している。
【0049】
図10(c)は、上記プレキャストコンクリート部材32、35を組み立ててコンクリート組立構造物を構築した断面図を示している。外側部側にプレキャストコンクリート部材32、32を脚部材34、34を内側にして複数個設置し、中央部に内側のプレキャストコンクリート部材35を設置する。
【0050】
外側部側の脚部材34と内側の脚部材37とは所定間隔を有して各々対向し、その各々のシースパイプ45間を連結鉄筋46によって連結する。該連結鉄筋46による鉄筋の連結後、コンクリート47を打設する。
【0051】
プレキャストコンクリート部材32、35の頂部39、40には床版43を載置し、連結することになる。連結手段としては、頂部39、40のシースパイプ44より突出した鉄筋を、床版43側へ或いは床版43側の鉄筋と連結することが可能となる。シースパイプ44にはモルタル等を注入して強固に固定する。
【0052】
また、上記実施例2に示した接合部となるインサーとを併用する態様もできる。更に、底側の床を構成する場合、下記する実施例6、7のように緊張鉄筋を採用する態様も可能である。その際には、予めそのためのシース管を部材中に配設しておくことは言うまでもない。
【実施例6】
【0053】
図11は、上記実施例4又は実施例5に示したものと同様、プレキャストコンクリート組立構造物の実施例に関するもので、壁部材33´及び脚部材34´よりなるプレキャストコンクリート部材32´を施工現場にて配設後、対向する内側脚構成部材27´間の間隙に鉄筋を配筋し、コンクリート29´を打設している。上記脚部材34´内及び上記コンクリートが打設される間隙にはPC鋼棒又はPCより線等の緊張鉄筋を配筋するためのシース管を予め配設しておく。上記打設したコンクリート29´が固化して所定の強度が生じるようになった時点で、シース管内に緊張鉄筋48を挿通し、該緊張鉄筋48を緊張し、プレストレスをかけて強固に一体化する。打設コンクリート側となる緊張鉄筋48を予めシース管内に配置しておき、その後設置される脚部材34´内のシース管に配置された緊張鉄筋48とをその接面位置において接続筒体等を介して一体化し、外方部から緊張することもできるし、また、打設コンクリート側及び脚部材34´側のシース管相互が連通するように設置後、該シース管内に緊張鉄筋48を挿通し、外方部から緊張することも可能である。その際、コンクリート打設側のシース管端部側が露出するように一部切欠部を設けておくことにより緊張鉄筋の連結や挿通を容易とすることが可能となる。該脚部材34´の設置時に対向する内側脚構成部材27、27´端部に凹凸を形成することにより打設コンクリートとの連結を強固とすることができる。他の構成は上記実施例と同様である。
【実施例7】
【0054】
図12は、プレキャストコンクリート組立構造物の他の実施例に関するもので、壁部材33″及び脚部材34″よりなるプレキャストコンクリート部材32″を施工現場において設置するものである。
【0055】
上記プレキャストコンクリート部材32″を設置する前工程として、プレキャスト底版49を設置する。該プレキャスト底版49の両端部には凹凸を形成し、該脚部材34″端部の凹凸部と一致するように構成しており、両者が対向するようにして設置する。
【0056】
該プレキャスト底版49内には鋼棒又はPCPCより線等の緊張鉄筋を配筋するためのシース管を予め埋設しておく。その後、予めシース管が埋設されてなるプレキャストコンクリート部材32″のシース管と該プレキャスト底版49のシース管とが連通するようにして該プレキャストコンクリート部材32″を設置する。上記シース管内に挿通された緊張鉄筋50は外方より緊張し、プレキャスト底版49とプレキャストコンクリート部材32″をプレストレスをかけて強固に連結することになる。緊張鉄筋50の挿通又は連結等は上記実施例6と同様である。該脚部材34″の設置時に対向する端部は、底面側を突出させ裏面側を切欠した段部を形成することにより該プレキャスト底版49とプレキャストコンクリート部材32″との連結面を面一とすることが可能となると同時に、鉄筋の緊張や、土圧や水圧等によってプレキャスト底版49が浮き上がるのを防止している。他の構成は上記実施例と同様である。
【実施例8】
【0057】
実施例4、5における脚部材の端部の構造或いは仕上面となる底側の床材のコンクリート打設表面位置は、図11に示した実施例6と同様の部材と面一となる位置とすることも可能である。
本発明は上記実施例に限定されることなく、その範囲内において適宜変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】プレキャストコンクリート部材の側断面図。
【図2】プレキャストコンクリート部材と床版との接合部の側断面図。
【図3】プレキャストコンクリート部材と床版との接合部に鉄筋を配筋した状態の側断面図。
【図4】プレキャストコンクリート部材と床版との接合部の鉄筋配筋後にコンクリートを打設した状態の側断面図。
【図5(a)】床版の側断面図。
【図5(b)】床版の斜視図。
【図6】プレキャストコンクリート部材と床版との接合部の詳細断面図。
【図7】プレキャストコンクリート部材と床版との接合部に鉄筋を配筋した状態の他の実施例の側断面図。
【図8(a)】プレキャストコンクリート部材と床版との接合部の他の実施例の斜視図。
【図8(b)】プレキャストコンクリート部材と床版との接合部の他の実施例の側断面図。
【図9】コンクリート組立構造物の側断面図。
【図10(a)】プレキャストコンクリート部材の他の実施例の側断面図。
【図10(b)】室内で使用するプレキャストコンクリート部材の他の実施例の正面図。
【図10(c)】コンクリート組立構造物の他の実施例の側断面図。
【図11】コンクリート組立構造物の他の実施例の側断面図。
【図12】コンクリート組立構造物の他の実施例の側断面図。
【符号の説明】
【0059】
1、1´、1″、21、31、32、32´、32″、35 プレキャストコンクリート部材
2、2´、2″、30、43 床版
3、3´、3″、22、33、33´、33″、36 壁部材
4、23、34、34´、34″、37 脚部材
5、5´、24、39、40 頂部
6、6´、41、42 補強部
7、7´、9、14、17、28 鉄筋
8、13、19、29、29´、31、47 コンクリート
10、25、26、44、45 シースパイプ
10a インサート
10b アンカーボルト
11 補強筋
12 トラス筋
15 継ぎ手鉄筋
16 連結手段
18 モルタル
20 切欠部
27、27´ 内側脚構成部材
28 外側はね出し脚構成部材
38 開口部
46 連結鉄筋
48、50 トラス筋鉄筋
49 プレキャスト底版
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出する脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材と、該壁部材の上端位置の頂部に載置される水平方向のプレキャストコンクリート部材との連結部において、該頂部にその開口部が露出するようにシースパイプを壁部材に埋設し、該シースパイプには、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は水平部材或いは水平部材上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルが充填され、該壁部材の頂部上方部と水平部材の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化してなることを特徴とするプレキャストコンクリート部材の接合部の構造。
【請求項2】
壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出する脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材と、該壁部材の上端位置の頂部に載置される水平方向のプレキャストコンクリート部材との連結部において、該頂部にその開口部が露出するようにシースパイプを壁部材に埋設し、該シースパイプには、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は水平部材或いは水平部材上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルが充填され、更に、該頂部にその螺合部が露出するようにインサートを壁部材に埋設し、該インサートは、その一端が該壁部材に固定された鉄筋を螺合し、他端は頂部上より外方へ延出するアンカーボルトと螺合され、該壁部材の頂部上方部と水平部材の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化してなることを特徴とするプレキャストコンクリート部材の接合部の構造。
【請求項3】
インサートは、その一端が該壁部材のハンチ部に固定された斜め鉄筋と螺合し、他端は頂部上より斜め外方へ延出するアンカーボルトと螺合され、該壁部材の頂部上方部と水平部材の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化してなることを特徴とする請求項2に記載のプレキャストコンクリート部材の接合部の構造。
【請求項4】
水平方向のプレキャストコンクリート部材を鉄筋或いは組み立て鉄筋の一部が表面側に露出したハーフプレキャスト床版としたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のプレキャストコンクリート部材の接合部の構造。
【請求項5】
水平方向のプレキャストコンクリート部材の端部両側にテーパー状の切欠部を形成したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のプレキャストコンクリート部材の接合部の構造。
【請求項6】
壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出する脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材と、該壁部材の上端位置の頂部に載置される床版となるプレキャストコンクリート部材とによって構築されたコンクリート組立構造物において、該プレキャストコンクリート部材の複数個を該脚部材が対向するようにして複数設置され、対向脚部材間の間隙部分又は該間隙部分と該脚部材上の鉄筋を埋設するようにして打設したコンクリートにより所定厚の底側の床を構成し、該壁部材の頂部にその開口部が露出するように埋設されたシースパイプに、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は床版或いは床版上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルが充填され、該壁部材の頂部上方部と床版の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化してなることを特徴とするプレキャストコンクリート組立構造物。
【請求項7】
壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出する脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材と、該壁部材の上端位置の頂部に載置される床版となるプレキャストコンクリート部材とによって構築されたコンクリート組立構造物において、該プレキャストコンクリート部材の複数個を該脚部材が対向するようにして複数設置され、対向脚部材間の間隙部分又は該間隙部分と該脚部材上の鉄筋を埋設するようにして打設したコンクリートとにより所定厚の底側の床を構成し、該壁部材の頂部にその開口部が露出するように埋設されたシースパイプに、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は床版或いは床版上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルが充填され、更に、該頂部にその螺合部が露出するようにインサートを壁部材に埋設し、該インサートは、その一端が該壁部材に固定された鉄筋を螺合し、他端は頂部上より外方へ延出するアンカーボルトと螺合され、該壁部材の頂部上方部と床版の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化してなることを特徴とするプレキャストコンクリート組立構造物。
【請求項8】
側部に設置するプレキャストコンクリート部材と内部に設置するプレキャストコンクリート部材とによって組み立てられる組立構造物において、壁部材の頂部を内部の位置としたことを特徴とする請求項6又は7に記載のプレキャストコンクリート組立構造物。
【請求項9】
壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出するシース管を配設した脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材と、該壁部材の上端位置の頂部に載置される床版となるプレキャストコンクリート部材とによって構築されるコンクリート組立構造物において、該プレキャストコンクリート部材の複数個を該脚部材が対向するようにして複数設置し、対向脚部材間の間隙部分の鉄筋とともに緊張鉄筋のためのシース管を配設し、それら鉄筋及びシース管を埋設するようにしてコンクリートを打設して所定厚の底側の床を施工し、他方、該壁部材の頂部にその開口部が露出するように埋設されたシースパイプに、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は床版或いは床版上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルを充填し、該壁部材の頂部上方部と床版の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化し、その後、底側のコンクリートが固化して所定の強度が生じるようになった時点で脚部材のシース管及び打設コンクリート中のシース管内に挿通した緊張鉄筋を外方部から緊張し、プレストレスをかけて強固に一体化してなることを特徴とするプレキャストコンクリート組立構造物の構築方法。
【請求項10】
壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出するシース管を配設した脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材と、該壁部材の上端位置の頂部に載置される床版となるプレキャストコンクリート部材とによって構築されるコンクリート組立構造物において、該プレキャストコンクリート部材の複数個を該脚部材が対向するようにして複数設置し、対向脚部材間の間隙部分の鉄筋とともに緊張鉄筋のためのシース管を配設し、それら鉄筋及びシース管を埋設するようにしてコンクリートを打設して所定厚の底側の床を施工し、他方、該壁部材の頂部にその開口部が露出するように埋設されたシースパイプに、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は床版或いは床版上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルを充填し、更に、該頂部にその螺合部が露出するようにインサートを壁部材に埋設し、該インサートは、その一端が該壁部材に固定された鉄筋を螺合し、他端は頂部上より外方へ延出するアンカーボルトと螺合され、該壁部材の頂部上方部と床版の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化し、その後、底側のコンクリートが固化して所定の強度が生じるようになった時点で脚部材のシース管及び打設コンクリート中のシース管内に挿通した緊張鉄筋を外方部から緊張し、プレストレスをかけて強固に一体化してなることを特徴とするプレキャストコンクリート組立構造物の構築方法。
【請求項11】
壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出するシース管を配設した脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材、底面に設置されるシース管を配設したプレキャスト底版及び該壁部材の上端位置の頂部に載置される床版となるプレキャストコンクリート部材とによって構築されるコンクリート組立構造物において、該プレキャスト底版の複数個を所定位置に設置し、その後、該プレキャストコンクリート部材の複数個を該プレキャスト底版と連結される位置に設置し、他方、該壁部材の頂部にその開口部が露出するように埋設されたシースパイプに、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は床版或いは床版上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルを充填し、該壁部材の頂部上方部と床版の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化し、その後、プレキャスト底版及び脚部材に埋設したシース管に挿通した緊張鉄筋を外方部から緊張し、プレストレスをかけて強固に一体化してなることを特徴とするプレキャストコンクリート組立構造物の構築方法。
【請求項12】
壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出するシース管を配設した脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材、底面に設置されるシース管を配設したプレキャスト底版及び該壁部材の上端位置の頂部に載置される床版となるプレキャストコンクリート部材とによって構築されるコンクリート組立構造物において、該プレキャスト底版の複数個を所定位置に設置し、その後、該プレキャストコンクリート部材の複数個を該プレキャスト底版と連結される位置に設置し、他方、該壁部材の頂部にその開口部が露出するように埋設されたシースパイプに、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は床版或いは床版上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルを充填し、更に、該頂部にその螺合部が露出するようにインサートを壁部材に埋設し、該インサートは、その一端が該壁部材に固定された鉄筋を螺合し、他端は頂部上より外方へ延出するアンカーボルトと螺合され、該壁部材の頂部上方部と床版の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化し、その後、プレキャスト底版及び脚部材に埋設したシース管に挿通した緊張鉄筋を外方部から緊張し、プレストレスをかけて強固に一体化してなることを特徴とするプレキャストコンクリート組立構造物の構築方法。
【請求項1】
壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出する脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材と、該壁部材の上端位置の頂部に載置される水平方向のプレキャストコンクリート部材との連結部において、該頂部にその開口部が露出するようにシースパイプを壁部材に埋設し、該シースパイプには、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は水平部材或いは水平部材上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルが充填され、該壁部材の頂部上方部と水平部材の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化してなることを特徴とするプレキャストコンクリート部材の接合部の構造。
【請求項2】
壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出する脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材と、該壁部材の上端位置の頂部に載置される水平方向のプレキャストコンクリート部材との連結部において、該頂部にその開口部が露出するようにシースパイプを壁部材に埋設し、該シースパイプには、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は水平部材或いは水平部材上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルが充填され、更に、該頂部にその螺合部が露出するようにインサートを壁部材に埋設し、該インサートは、その一端が該壁部材に固定された鉄筋を螺合し、他端は頂部上より外方へ延出するアンカーボルトと螺合され、該壁部材の頂部上方部と水平部材の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化してなることを特徴とするプレキャストコンクリート部材の接合部の構造。
【請求項3】
インサートは、その一端が該壁部材のハンチ部に固定された斜め鉄筋と螺合し、他端は頂部上より斜め外方へ延出するアンカーボルトと螺合され、該壁部材の頂部上方部と水平部材の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化してなることを特徴とする請求項2に記載のプレキャストコンクリート部材の接合部の構造。
【請求項4】
水平方向のプレキャストコンクリート部材を鉄筋或いは組み立て鉄筋の一部が表面側に露出したハーフプレキャスト床版としたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のプレキャストコンクリート部材の接合部の構造。
【請求項5】
水平方向のプレキャストコンクリート部材の端部両側にテーパー状の切欠部を形成したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のプレキャストコンクリート部材の接合部の構造。
【請求項6】
壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出する脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材と、該壁部材の上端位置の頂部に載置される床版となるプレキャストコンクリート部材とによって構築されたコンクリート組立構造物において、該プレキャストコンクリート部材の複数個を該脚部材が対向するようにして複数設置され、対向脚部材間の間隙部分又は該間隙部分と該脚部材上の鉄筋を埋設するようにして打設したコンクリートにより所定厚の底側の床を構成し、該壁部材の頂部にその開口部が露出するように埋設されたシースパイプに、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は床版或いは床版上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルが充填され、該壁部材の頂部上方部と床版の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化してなることを特徴とするプレキャストコンクリート組立構造物。
【請求項7】
壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出する脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材と、該壁部材の上端位置の頂部に載置される床版となるプレキャストコンクリート部材とによって構築されたコンクリート組立構造物において、該プレキャストコンクリート部材の複数個を該脚部材が対向するようにして複数設置され、対向脚部材間の間隙部分又は該間隙部分と該脚部材上の鉄筋を埋設するようにして打設したコンクリートとにより所定厚の底側の床を構成し、該壁部材の頂部にその開口部が露出するように埋設されたシースパイプに、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は床版或いは床版上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルが充填され、更に、該頂部にその螺合部が露出するようにインサートを壁部材に埋設し、該インサートは、その一端が該壁部材に固定された鉄筋を螺合し、他端は頂部上より外方へ延出するアンカーボルトと螺合され、該壁部材の頂部上方部と床版の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化してなることを特徴とするプレキャストコンクリート組立構造物。
【請求項8】
側部に設置するプレキャストコンクリート部材と内部に設置するプレキャストコンクリート部材とによって組み立てられる組立構造物において、壁部材の頂部を内部の位置としたことを特徴とする請求項6又は7に記載のプレキャストコンクリート組立構造物。
【請求項9】
壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出するシース管を配設した脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材と、該壁部材の上端位置の頂部に載置される床版となるプレキャストコンクリート部材とによって構築されるコンクリート組立構造物において、該プレキャストコンクリート部材の複数個を該脚部材が対向するようにして複数設置し、対向脚部材間の間隙部分の鉄筋とともに緊張鉄筋のためのシース管を配設し、それら鉄筋及びシース管を埋設するようにしてコンクリートを打設して所定厚の底側の床を施工し、他方、該壁部材の頂部にその開口部が露出するように埋設されたシースパイプに、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は床版或いは床版上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルを充填し、該壁部材の頂部上方部と床版の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化し、その後、底側のコンクリートが固化して所定の強度が生じるようになった時点で脚部材のシース管及び打設コンクリート中のシース管内に挿通した緊張鉄筋を外方部から緊張し、プレストレスをかけて強固に一体化してなることを特徴とするプレキャストコンクリート組立構造物の構築方法。
【請求項10】
壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出するシース管を配設した脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材と、該壁部材の上端位置の頂部に載置される床版となるプレキャストコンクリート部材とによって構築されるコンクリート組立構造物において、該プレキャストコンクリート部材の複数個を該脚部材が対向するようにして複数設置し、対向脚部材間の間隙部分の鉄筋とともに緊張鉄筋のためのシース管を配設し、それら鉄筋及びシース管を埋設するようにしてコンクリートを打設して所定厚の底側の床を施工し、他方、該壁部材の頂部にその開口部が露出するように埋設されたシースパイプに、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は床版或いは床版上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルを充填し、更に、該頂部にその螺合部が露出するようにインサートを壁部材に埋設し、該インサートは、その一端が該壁部材に固定された鉄筋を螺合し、他端は頂部上より外方へ延出するアンカーボルトと螺合され、該壁部材の頂部上方部と床版の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化し、その後、底側のコンクリートが固化して所定の強度が生じるようになった時点で脚部材のシース管及び打設コンクリート中のシース管内に挿通した緊張鉄筋を外方部から緊張し、プレストレスをかけて強固に一体化してなることを特徴とするプレキャストコンクリート組立構造物の構築方法。
【請求項11】
壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出するシース管を配設した脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材、底面に設置されるシース管を配設したプレキャスト底版及び該壁部材の上端位置の頂部に載置される床版となるプレキャストコンクリート部材とによって構築されるコンクリート組立構造物において、該プレキャスト底版の複数個を所定位置に設置し、その後、該プレキャストコンクリート部材の複数個を該プレキャスト底版と連結される位置に設置し、他方、該壁部材の頂部にその開口部が露出するように埋設されたシースパイプに、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は床版或いは床版上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルを充填し、該壁部材の頂部上方部と床版の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化し、その後、プレキャスト底版及び脚部材に埋設したシース管に挿通した緊張鉄筋を外方部から緊張し、プレストレスをかけて強固に一体化してなることを特徴とするプレキャストコンクリート組立構造物の構築方法。
【請求項12】
壁部材と該壁部材の下方位置から直交方向に突出するシース管を配設した脚部材とからなるプレキャストコンクリート部材、底面に設置されるシース管を配設したプレキャスト底版及び該壁部材の上端位置の頂部に載置される床版となるプレキャストコンクリート部材とによって構築されるコンクリート組立構造物において、該プレキャスト底版の複数個を所定位置に設置し、その後、該プレキャストコンクリート部材の複数個を該プレキャスト底版と連結される位置に設置し、他方、該壁部材の頂部にその開口部が露出するように埋設されたシースパイプに、一端側は該壁部材に固定された鉄筋が配設され、該鉄筋は床版或いは床版上に配筋され且つ外方へ延出した補強鉄筋と連結し、その連結状態でシースパイプ内にモルタルを充填し、更に、該頂部にその螺合部が露出するようにインサートを壁部材に埋設し、該インサートは、その一端が該壁部材に固定された鉄筋を螺合し、他端は頂部上より外方へ延出するアンカーボルトと螺合され、該壁部材の頂部上方部と床版の側方部及び/又は上方部とをコンクリートにより一体化し、その後、プレキャスト底版及び脚部材に埋設したシース管に挿通した緊張鉄筋を外方部から緊張し、プレストレスをかけて強固に一体化してなることを特徴とするプレキャストコンクリート組立構造物の構築方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図6】
【図7】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図9】
【図10(a)】
【図10(b)】
【図10(c)】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図6】
【図7】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図9】
【図10(a)】
【図10(b)】
【図10(c)】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−146641(P2007−146641A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−301682(P2006−301682)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【出願人】(000161817)ケイコン株式会社 (37)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【出願人】(000161817)ケイコン株式会社 (37)
【Fターム(参考)】
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