説明

プレートコンパクタ

【課題】輾圧板へのアスファルト材の付着防止を堅持し、且つ、簡単な機体構造で軽量化および小型化が図れるプレートコンパクタを提供する。
【解決手段】プレートコンパクタ10は、伝動機構18を介し駆動エンジン16の回転動力が伝達されて駆動可能となる加振機20と、加振機20に接続され、加振機20の振動によりアスファルト舗装面のアスファルト合材を締め固めるトレイ状の輾圧板12と、駆動エンジン16および加振機20を搭載・支持する支持ベース14とを含み、支持ベース14は、輾圧板12の上側を覆うように密閉状に配設され、駆動エンジン16から排出された高温の排気ガスは、支持ベース14と輾圧板12とで囲繞された輾圧箱15の内部空間Sに引き入れられて輾圧板12が加熱されると共に、内部空間Sを経由して輾圧板12の裏面とアスファルト舗装面との間に放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、プレートコンパクタに関し、特にたとえば、アスファルト道路舗装工事に際し、加熱された輾圧板(振動板)に振動を与え、アスファルト路面を締固めて固化する、プレートコンパクタに関する。
【背景技術】
【0002】
本願発明の背景となる従来技術には、アスファルト舗装工事の際に、アスファルト合材がプレートコンパクタの振動板(所謂、輾圧板)に付着せずに、効率よく施工できるようにするために、振動板の内側にアルミニウムや銅等の良熱伝導材を一体的に装着し、当該良熱伝導材を介して発熱体で振動板を70〜100℃に加熱するように形成しているプレートコンパクタがあった(例えば、特許文献1参照)。また、この特許文献1には、振動板に装着する良熱伝導材に振動板にそった平板状の空洞を一体的に設けて高温蒸発点のダウサム(商品名)等のオイルを装填し、この空洞部にパイプヒータ等の発熱体を内装してオイルを加熱して振動板を加熱するようにしたものも開示されている。
この従来のプレートコンパクタでは、良熱伝導材を介して振動板を熱伝達よく加熱することができるので、加熱能力を向上させて効率よく施工することができる。つまり、この従来技術では、加熱能力が高められ、省エネルギー化が図れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−20213号(第3頁、図1−図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この従来のプレートコンパクタでは、加熱能力を高め、省エネルギー化を図ることで発電機を小型化することができるものの、発電機の電力供給により発熱体を加熱する必要があるため、依然として、プレートコンパクタ全体の機体重量の軽減と当該機体構造の小型化には課題を残すものであった。
一方で、従来、プレートコンパクタでアスファルト合材を締固める際に、当該アスファルト材の振動板(所謂、輾圧板)への付着防止を堅持することができ、且つ、簡単な機体構造の軽量で小型のプレートコンパクタの普及が切望されている。
【0005】
それゆえに、本願発明の主たる目的は、輾圧板へのアスファルト材の付着防止を堅持し、且つ、簡単な機体構造で軽量化および小型化が図れるプレートコンパクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者による鋭意研究の結果、アスファルト道路舗装工事において、加熱された輾圧板(振動板)に振動を与え、アスファルト路面を締固めて固化する場合、当該路面を輾圧する輾圧部位となる、つまり、輾圧板の裏面の温度が150〜200℃の高温に保たれている状態ではアスファルト合材がほとんどこびり付かないという知見に達した。本願発明はその知見に基づき考え出されたものである。
請求項1にかかる本願発明は、駆動エンジンと、伝動機構を介し駆動エンジンの回転動力が伝達されて駆動可能となる加振機と、加振機に接続され、加振機の振動によりアスファルト舗装面のアスファルト合材を締め固めるトレイ状の輾圧板と、駆動エンジンおよび加振機を搭載・支持する支持ベースとを含み、支持ベースは、輾圧板の上側を覆うように密閉状に配設され、駆動エンジンから排出された高温の排気ガスは、支持ベースと輾圧板との間の内部空間に引き入れられて輾圧板が加熱されると共に、内部空間を経由して輾圧板の裏面と前記アスファルト舗装面との間に放出されることを特徴とする、プレートコンパクタである。
請求項1にかかる本願発明では、駆動エンジンから排出された高温の排気ガスが、支持ベースと輾圧板との間の内部空間に引き入れられて輾圧板が加熱され、加熱状態の輾圧板の輾圧によりアスファルト路面表面が押圧固化される。この場合、輾圧板が高温の排気ガスにより加熱されると共に、当該高温の排気ガスは、輾圧するアスファルト舗装路面の表面に放出口および拡散通路を経由して吹き付けられる。そのため、輾圧板の裏面(輾圧面)へのアスファルト合材のこびり付きが回避され、アスファルト舗装面の仕上げが良好なものとなる。また、請求項1にかかる本願発明では、従来技術のような輾圧板を加熱するための発電機、ヒータおよびヒータの温度制御を行う制御ボックス等が不要となるため、簡単な機体構造で軽量化および小型化が図れるものとなっている。
請求項2にかかる本願発明は、請求項1にかかる発明に従属する発明であって、排気ガスを内部空間に送出させる送出手段と、輾圧板の裏面に配設され、内部空間に引き入れられた排気ガスを放出する放出口と、放出口と連通され、放出口から放出された排気ガスを輾圧板の裏面に拡散させる拡散通路と、輾圧板の動作に応じて、放出口を開閉する開閉手段とをさらに含むことを特徴とする、プレートコンパクタである。
請求項2にかかる本願発明では、排気ガスが送出手段により、支持ベースと輾圧板との間の内部空間に送出される。内部空間に引き入れられた排気ガスは、放出口から放出される。放出口から放出された排気ガスは、拡散通路を介して、輾圧板の裏面(輾圧面)に拡散放出される。この場合、輾圧板の動作に応じて、開閉手段は放出口を開閉する。
【発明の効果】
【0007】
本願発明によれば、輾圧板へのアスファルト材の付着防止を堅持し、且つ、簡単な機体構造で軽量化および小型化が図れるプレートコンパクタが得られる。
【0008】
本願発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本願発明にかかる実施形態の一例を示す概略正面図である。
【図2】本願発明にかかる実施形態例に適用される輾圧板の一例を示す要部裏面図である。
【図3】図1および図2に示したプレートコンパクタの輾圧板が作動しているときの放出口の開閉状態を示す要部断面図であって、(A)は当該輾圧板が上に移動して拡散弁により放出口を開いた状態を示す要部断面図であり、(B)は当該輾圧板が下に移動して拡散弁により放出口を閉じた状態を示す要部断面図である。
【図4】本願発明にかかるプレートコンパクタに適用され得る拡散弁の他の例を示すと共に当該プレートコンパクタの輾圧板が作動しているときの放出口の開閉状態を示す要部断面図であって、(A)は当該輾圧板が上に移動して拡散弁により放出口を開いた状態を示す要部断面図であり、(B)は当該輾圧板が下に移動して拡散弁により放出口を閉じた状態を示す要部断面図である。
【図5】本願発明にかかるプレートコンパクタに適用され得る拡散弁のさらに他の例を示すと共に当該プレートコンパクタの輾圧板が作動しているときの放出口の開閉状態を示す要部断面図であって、(A)は当該輾圧板が上に移動して拡散弁により放出口を閉じた状態を示す要部断面図であり、(B)は当該輾圧板が下に移動して拡散弁により放出口を開いた状態を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本願発明にかかる実施形態の一例を示す概略正面図であり、図2は、本願発明にかかる実施形態例に適用される輾圧板の一例を示す要部裏面図である。
本実施形態例にかかるプレートコンパクタ10は、たとえば正面視舟形トレイ状の輾圧板12を含む。輾圧板12には、当該輾圧板12の上側を覆うようにして、たとえば図1で見て、平面視横長矩形状の支持ベース14が密閉状に配設されている。輾圧板12と支持ベース14とで囲繞された部位は輾圧箱15を構成するものとなり、輾圧箱15は、密閉可能となる内部空間Sを有するものとなっている。
【0011】
支持ベース14の上面には、駆動エンジン16、伝動機構18を介し駆動エンジン16の回転動力が伝達されて駆動可能となる加振機20が搭載・支持されている。駆動エンジン16は、支持ベース14の上に配設された支持台(図示せず)に、防振部材(図示せず)および支持板(図示せず)等を介して支持されている。加振機20は、他の支持台22に他の防振部材(図示せず)および支持板(図示せず)等を介して支持されている。
輾圧板12の前後方向(図1の左右方向)に見て、駆動エンジン16は輾圧板12の中央より前側に配設され、加振機20は輾圧板12の中央より後側に配設されている。
【0012】
伝動機構18は、駆動エンジン16の駆動軸(図示せず)に取付けられたプーリ18aと加振機20の起振軸(図示せず)に取付けられたプーリ18bと、プーリ18aおよびプーリ18b間に掛架された伝動ベルト18cとを含み、駆動エンジン16の回転動力を加振機20に伝達するものである。加振機20は、たとえば偏心重量部(図示せず)を備えた単一の起振軸で振動を起す構成態様となっており、駆動エンジン16が駆動すると、伝動機構18を経由して駆動エンジン16の回転動力が加振機20に伝達される。そのため、加振機20により振動が発生し、当該振動が輾圧板12に伝達される。
【0013】
この場合、加振機20は、たとえば図1で見て、プーリ18bを介し、その起振軸(図示せず)を反時計方向に回転させた場合、アスファルト舗装面(路面)との非対称摩擦力により、プレートコンパクタ10が前進可能となる。アスファルト舗装面(路面)上にプレートコンパクタ10が通過することによって、当該アスファルト舗装面(路面)には、輾圧板24の振動を受けながら、且つ、当該プレートコンパクタ10自体の重量負荷も掛けられる。そのため、当該アスファルト舗装面(路面)は、締固められる。
【0014】
一方、駆動エンジン16には、他の伝動機構24を介して、当該駆動エンジン16の回転駆動力が伝達されて駆動可能となるポンプ26が接続されている。ポンプ26は、支持ベース14の上面で、輾圧板12の前後方向(図1の左右方向)に見て、中央より前側に配設されている。ポンプ26は、駆動エンジン12の排気ガス排出口16Aから排出される高温の排気ガスを吸引し、当該排気ガスを上記した輾圧箱15の内部空間Sに強制的に圧送するものである。すなわち、このポンプ26は、駆動エンジン16から排出された高温の排気ガスを輾圧箱15の内部空間Sに送出させるための送出手段としての機能を有するものである。
【0015】
この場合、伝動機構24は、駆動エンジン16の駆動軸(図示せず)に取付けられたプーリ24aと吸引吐出ポンプ26の回転軸(図示せず)に取付けられたプーリ24bと、プーリ24aおよびプーリ24b間に掛架された伝動ベルト24cとを含み、駆動エンジン16とポンプ26とは、可撓性耐熱管28を介して接続されている。可撓性耐熱管28は、その長さ方向の一端側が駆動エンジン16の排気ガス排出口16Aに装着され、その長さ方向の他端側がポンプ26の吸引口(図示せず)に装着される。
【0016】
また、ポンプ26および輾圧箱15は、別の可撓性耐熱管30を介して接続されている。可撓性耐熱管30は、その長さ方向の一端側がポンプ26の吐出口(図示せず)に装着され、その長さ方向の他端側が輾圧箱15の排気ガス取入れ口32に装着される。この場合、排気ガス取入れ口32は、たとえば円筒状に形成され、輾圧箱15を構成する支持ベース14に貫設された態様となっている。この排気ガス取入れ口32は、輾圧板12の前後方向(図1の左右方向)に見て、中央より後側に配設されている。
【0017】
さらに、上記した輾圧箱15の支持ベース14には、安全装置としてのたとえば圧力制御弁(図示せず)が配設されている。この圧力制御弁は、密閉状の輾圧箱15に高温の排気ガスが引き入れられたときに、当該輾圧箱15の内部空間Sの圧力上昇による当該輾圧箱15の機械的損傷を防止するためのものである。圧力制御弁としては、リリーフ弁(安全弁)および減圧弁等が適宜用いられ得る。
【0018】
さらに、輾圧箱15は、輾圧板12の裏面(輾圧面)の中央部に配設され、内部空間Sに引き入れられた高温の排気ガスが放出される放出口としての機能を備えたたとえば円形の貫通孔34を有する。この貫通孔34の周縁端には、たとえば平面視円形で環状のフランジ部36が配設されている。フランジ部36は、輾圧箱15の内側、つまり、内部空間S側に向いて貫通孔34の周縁端から略直角に突出して配設され、当該貫通孔34を補強するものである。
【0019】
また、輾圧板12は、その裏面(輾圧)側に、貫通孔34と連通される拡散通路38を有する。拡散通路38は、輾圧板12の裏面(輾圧)側の略全域に拡散する複数の溝部40を含む。複数の溝部40は、それぞれ、輾圧板12の中央部を中心として、当該中心から放射線状に延び設けられている。複数の溝部40の深さは、輾圧板12でアスファルト路面を輾圧する際に、当該路面に溝跡が残らない程度の浅い溝となっている。
駆動エンジン16の排気ガス排出口16Aから排出され、輾圧箱15に引き入れられた高温の排気ガスは、貫通孔34および拡散通路38を介して、輾圧板12の裏面(輾圧面)に拡散放出される。この場合、後述する開閉手段により、貫通孔34は、輾圧板12の上下動する動作に応じて、開閉されるものとなっている。
【0020】
そこで、本実施形態例に適用されている開閉手段の一例について、たとえば図1および図3(A),3(B)を参照しながら説明する。
開閉手段42は、特に、たとえば図3(A)に示すように、たとえば拡散弁44を有する。拡散弁44は、たとえば断面視円錐台状の弁体44aを含む。当該弁体44aは、図3(A)で見て上下方向に、つまり、輾圧箱15の上下方向(鉛直方向)に見て、相対する両側面に、下方に往くに従って対称的に漸次拡径して傾斜する、所謂、テーパ面が形成されている。弁体44aの上端側には、当該弁体44aと一体的に連接される円柱状の弁棒44bが配設されている。
【0021】
さらに、本実施形態例では、たとえば図3(A)に示すように、輾圧箱15の輾圧板12がアスファルト舗装する路面から上方に変位して離間された場合に、上記した拡散弁44が貫通孔34(放出口)を開いた状態とする位置に配置される。拡散弁44の弁棒44bは、貫通孔34と上下方向に対向する位置、つまり、輾圧箱15の支持ベース12の中央部下面に支持されている。弁棒44bの上端面中央部は、支持ベース12の下面に、付勢手段としてのたとえば押しバネ(圧縮コイルバネ)46により支持されている。拡散弁44は、通常、付勢手段46によって、その弁体44aが貫通孔34(放出口)を開く状態に付勢されている。この場合、輾圧箱15がアスファルト舗装する路面から離間した状態で、拡散弁44は、その弁体44aの下端面が輾圧板12の底面よりも下側に突出した位置に配置されるように構成されている。
【0022】
本実施形態例では、支持ベース12の下面に、弁棒44bの直径よりも大きい直径を有するたとえば円筒状のガイドブラケット部48が配設されている。ガイドブラケット部48の内側には、拡散弁44の弁棒44bの軸方向の上部外周面がガイドブラケット部48の内周面に当接して摺動自在となるように、拡散弁44が押しバネ(圧縮コイルバネ)46で支持されている。押しバネ(圧縮コイルバネ)46は、その一端がガイドブラケット部48の内側上面、つまり、支持ベース12の下面に固着され、その他端が弁棒44bの上端面に固着されている。
【0023】
そして、本実施形態例では、たとえば図3(B)に示すように、輾圧箱15の輾圧板12が振動し、当該輾圧板12が下方に変位してアスファルト舗装路面に押圧され接地された場合、拡散弁44の弁体44aもアスファルト舗装路面に押圧される。このとき、拡散弁44は、押しバネ(圧縮コイルバネ)46の付勢力に抗して、弁体44aが貫通孔34(放出口)を閉じた状態とする位置に変位するものとなっている。
【0024】
本実施形態例では、駆動エンジン16が作動されると、加振機20から与えられる振動により輾圧板12が振動すると共に、アスファルト舗装面(路面)との非対称摩擦力により、プレートコンパクタ10が前進可能となる。このとき、駆動エンジン16の排気ガス排出口16Aから排出された高温の排気ガスが、輾圧箱15の内部空間Sに引き入れられて輾圧板12が加熱されると同時に、当該高温の排気ガスが、上記した開閉手段42の拡散弁44等の機能によって、貫通孔34(放出口)および拡散通路38を経由し、輾圧板12の裏面(輾圧面)とアスファルト舗装面との間に拡散放出されることによって、つまり、輾圧するアスファルト舗装路面の表面に吹き付けられることによって、アスファルト路面表面が押圧固化される。
【0025】
すなわち、本実施形態例にかかるプレートコンパクタ10では、輾圧板12を加熱状態にする機能と、高温の排気ガスをアスファルト舗装路面の表面に吹き付ける機能との協働作用による相乗効果により、輾圧板12でのアスファルト舗装路面の輾圧が可能となっている。そのため、本実施形態例では、輾圧板12の裏面(輾圧面)へのアスファルト合材のこびり付きが回避され、アスファルト舗装面の仕上げが良好なものとなる。
本実施形態例では、従来技術のような輾圧板を加熱するための発電機、ヒータおよびヒータの温度制御を行う制御ボックス等が不要となるため、簡単な機体構造で軽量化および小型化が図れるものとなっている。
【0026】
図4は、本願発明にかかるプレートコンパクタに適用され得る拡散弁の他の例を示すと共に当該プレートコンパクタの輾圧板が作動しているときの放出口の開閉状態を示す要部断面図であって、(A)は当該輾圧板が上に移動して拡散弁により放出口を開いた状態を示す要部断面図であり、(B)は当該輾圧板が下に移動して拡散弁により放出口を閉じた状態を示す要部断面図である。
本実施形態例では、上述した実施形態例と比べて、特に、開閉手段42における貫通孔34(放出口)の構造が相違している。すなわち、図1〜図3に示す実施形態例では、図3に示すように、貫通孔34が、その周縁端から輾圧箱15の内部空間S側に向いて略直角に突出するフランジ部36を有した構造となっている。拡散弁44が貫通孔34を閉鎖するとき、弁体44aのテーパ面がフランジ部36の下端角部に当接することによって、貫通孔34が閉鎖されるものとなっている。
それに対して、図4に示す実施形態例では、貫通孔34がフランジ部36の下端角部に円錐台状の内周面を有する円錐台状の弁座50を有し、当該弁座50は、弁体44aのテーパ面と嵌合密着可能な態様となっている。そのため、図4に示す実施形態例では、図1〜図3に示す実施形態例と比べて、拡散弁44が貫通孔34(放出口)を閉じたときの閉塞度をより強固なものとすることができる。
【0027】
また、図4に示す実施形態例では、図1〜図3に示す実施形態例と比べて、拡散弁44が弁体44aの先端に、弾性材からなるたとえば円板状の緩衝部52を有し、弁棒44bの軸方向の中間部に嵌装された断面矩形棒状の当り部54を有するものとなっている。緩衝部52は、輾圧板12が下方に変位してアスファルト舗装路面に押圧され接地されるときに、弁体44aがアスファルト舗装路面から受ける衝撃を緩和するためのものである。当り部54は、フランジ部36の上端部に当接可能となって、当該フランジ部36の上下方向の長さ(高さ)の位置で、拡散弁44の変位量を規制するものとなっている。すなわち、当り部54は、拡散弁44の弁体44aが必要以上に輾圧板12の裏面から下に突出しないようにするための規制板としての機能を有するものである。この場合、フランジ部36の輾圧板12の下端面からの高さを調節することによって、拡散弁44により貫通孔34(放出口)が開いたときの当該貫通孔34(放出口)と弁体44aとの隙間量を適宜調節することが可能となっている。
【0028】
図5は、本願発明にかかるプレートコンパクタに適用され得る拡散弁のさらに他の例を示すと共に当該プレートコンパクタの輾圧板が作動しているときの放出口の開閉状態を示す要部断面図であって、(A)は当該輾圧板が上に移動して拡散弁により放出口を閉じた状態を示す要部断面図であり、(B)は当該輾圧板が下に移動して拡散弁により放出口を開いた状態を示す要部断面図である。
本実施形態例では、上述した各実施形態例と比べて、特に、開閉手段42の拡散弁および貫通孔の構造が相違している。すなわち、図1〜図3に示す実施形態例および図4に示す実施形態例では、拡散弁44の弁体44aが正面視円錐台状の態様となっているが、それに対して、図5に示す実施形態例では、拡散弁58が、正面視逆円錐台状の弁体58aと、円柱状の弁棒58bとで構成されている。この場合、輾圧板12は、フランジ部36を有するものではなく、貫通孔34(放出口)は、逆円錐台状の内周面を有する逆円錐台状の弁座56を有し、当該弁座50は、弁体58aのテーパ面と嵌合密着可能な態様となっている。そのため、本実施形態例は、図4に示す実施形態例と同様に、拡散弁58が貫通孔34(放出口)を閉じたときの閉塞度がより強固なものとなっている。
【0029】
上述した各実施形態例において、駆動エンジン16から排出された高温の排気ガスには、駆動エンジン16の排気ガス排出口16Aから貫通孔34(放出口)に至る経路で、水または油が、所謂、液体状態として供給するのではなく、霧状(ミクロンフォグ)などの略気体状態(オイルミスト)の水または油として供給されるようにしてもよい。この場合、輾圧板12の裏面(輾圧面)へのアスファルト合材のこびり付きが回避され、アスファルト舗装面の仕上げがより一層優れたものとなる。
【符号の説明】
【0030】
10 プレートコンパクタ
12 輾圧板
14 支持ベース
16 駆動エンジン
16A 排気ガス排出口
18,24 伝動機構
18a,18b,24a,24b プーリ
18c,24c 伝動ベルト
20 加振機
22 支持台
26 ポンプ
28,30 可撓性耐熱管
32 排気ガス取入れ口
34 貫通部(放出口)
36 フランジ部
38 拡散通路
40 溝部
42 開閉手段
44,58 拡散弁
44a,58a 弁体
44b,58b 弁棒
46 押しバネ(圧縮コイルバネ)
48 ブラケット部
50,56 弁座
52 緩衝部
54 当り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動エンジン、
伝動機構を介し前記駆動エンジンの回転動力が伝達されて駆動可能となる加振機、
前記加振機に接続され、前記加振機の振動によりアスファルト舗装面のアスファルト合材を締め固めるトレイ状の輾圧板、および
前記駆動エンジンおよび前記加振機を搭載・支持する支持ベースを含み、
前記支持ベースは、前記輾圧板の上側を覆うように密閉状に配設され、
前記駆動エンジンから排出された高温の排気ガスは、前記支持ベースと前記輾圧板との間の内部空間に引き入れられて前記輾圧板が加熱されると共に、前記内部空間を経由して前記輾圧板の裏面と前記アスファルト舗装面との間に放出されることを特徴とする、プレートコンパクタ。
【請求項2】
前記排気ガスを前記内部空間に送出させる送出手段、
前記輾圧板の裏面に配設され、前記内部空間に引き入れられた前記排気ガスが放出される放出口、
前記放出口と連通され、前記放出口から放出された前記排気ガスを前記輾圧板の裏面に拡散させる拡散通路、および
前記輾圧板の動作に応じて、前記放出口を開閉する開閉手段をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のプレートコンパクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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