説明

プレート式熱交換器用ガスケット

【課題】高温環境下においても高い耐久性を有するプレート式熱交換器用ガスケットを提供する。
【解決手段】ガスケット12は、プレート式熱交換器の伝熱プレート11、11間に形成された流路をシールするためのものである。ガスケット12は、ゴムから形成された中芯ゴム部21と、中芯ゴム部21の外周面を被覆する第1および第2の帆布31、32とを備える。第1の帆布31は、断面六角形状の中芯ゴム部21の外周面のうち、3辺の外周面を被覆する。第2の帆布32は、断面六角形状の中芯ゴム部21の外周面のうち、残りの3辺の外周面を被覆する。第1及び第2の帆布31、32は、ガスケット12の幅方向に沿って配置される伸縮性を有するよこ糸34を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば化学プラントや食品工場等で使用されるプレート式熱交換器のガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
プレート式熱交換器は、多数の伝熱プレートが間隔を空けて積層され、隣接する伝熱プレート間に流路が形成されたものである。プレート式熱交換器では、低温流体が流される流路と、高温流体が流される流路が交互に形成されており、それにより低温流体と高温流体の間で熱交換が行われる。プレート式熱交換器における伝熱プレートは、流路を取り囲むようにガスケット溝が成形されており、そのガスケット溝に嵌合されたガスケットを介して積層されている。プレート式熱交換器では、このようなガスケットによって流路の気密性が確保されている。
【0003】
プレート式熱交換器のガスケットは、流路に流される高温流体に接するため、一般的に耐熱性、耐薬品性が高い材質で形成されている。具体的には、フッ素ゴムで形成されたものや、特許文献1に記載されるように、ゴムの外周をフッ素樹脂でコーティングし、かつ接液側の表面をそのコーティングの上からさらに樹脂シートで被覆したもの等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−301425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、高温流体として、例えば180℃以上の流体(例えば、水蒸気)が使用される場合、フッ素ゴムで形成されたガスケットは永久歪みが生じやすく、長時間使用すると、割れ等が発生することがある。また、特許文献1に記載されるガスケットも、外周が硬質の樹脂シートで覆われることにより、ガスケット全体の柔軟性が損なれ、割れ等の発生を十分に低減させることができない。さらに、これらガスケットは、フッ素ゴムがゴム全体に使用され、あるいはガスケット構造が複雑であるため、製造コストが高くなるとの問題もある。
【0006】
そこで、本発明は以上の問題点に鑑みてなされたものであり、比較的簡単な構造を有しかつ安価な材料で、十分な耐熱性・耐久性を有するプレート式熱交換器用ガスケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るガスケットは、プレート式熱交換器の伝熱プレート間に形成された流路をシールするためのものであって、ゴムから形成された中芯ゴム部と、中芯ゴム部の外周面を被覆する帆布とを備えることを特徴とする。
【0008】
例えば、中芯ゴム部は断面多角形を呈するとともに、上記ガスケットは、中芯ゴム部の外周面を被覆する第1及び第2の帆布を有する。この場合、中芯ゴム部の外周面は、多角形の少なくとも一辺が第1の帆布で被覆され、多角形の残りの辺が第2の帆布で被覆されていることが好ましい。さらに好ましくは、第1の帆布の両端それぞれは、多角形の頂点で、第2の帆布の両端それぞれに接続される。そして、中芯ゴム部は例えば、その外周面全周が帆布で被覆される。
【0009】
帆布は、例えば少なくとも一部の糸が伸縮糸で構成され、伸縮性を有することが好ましく、帆布はさらに好ましくはガスケットの幅方向に伸縮性を有する。この場合、帆布は例えば、ガスケットの長手方向に沿って配置される第1の糸と、ガスケットの幅方向に沿って配置される第2の糸から織られた織布であって、第1の糸は非伸縮糸であるとともに、第2の糸は伸縮糸である。また、帆布は、ゴム糊によって含浸処理され、或いはコート剤によってコーティング処理されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、ガスケットを例えば180℃以上の高温流体に接するように使用した場合でも、ガスケットで生じる割れを抑制して、ガスケットの耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるプレート式熱交換器の一例を示す斜視図である。
【図2】プレート式熱交換器を構成する伝熱プレートを示す平面図である。
【図3】第1の実施形態におけるガスケットとガスケット溝を示す斜視図である。
【図4】第1の実施形態におけるガスケットを示す断面図である。
【図5】第2の実施形態におけるガスケットを示す断面図である。
【図6】第3の実施形態におけるガスケットを示す断面図である。
【図7】ガスケットの変形例を示す断面図である。
【図8】ガスケットの変形例を示す断面図である。
【図9】ガスケットの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るガスケットが装着されるプレート式熱交換器の一例を示す図である。プレート式熱交換器10は、波形状にプレス成形された金属製の伝熱プレート11が、ガスケット12を介して、複数枚積層されて構成されたものである。各伝熱プレート11には、4隅に熱交換媒体の流体通路孔13が、中央部に伝熱面14が設けられ、さらに伝熱面14と流体通路孔13を取り囲むようにガスケット12が装着される。
【0013】
図2に示すように、ガスケット12は、伝熱プレート11の片側上下2つの流体通路孔13と伝熱面14を囲う大リング部12aと、伝熱プレート11の残り2つの流体通路孔13を囲う小リング部12bから成る。このような伝熱プレート11は、垂直に交互に180゜反転されて積層されており、図1に示すように、伝熱プレート11間に第1の熱交換媒体が流れる実線矢印の第1の流路16と、第2の熱交換媒体が流れる鎖線矢印の第2の流路17とが交互に形成される。第1及び第2の熱交換媒体は、一方が高温流体、他方が低温流体である。本実施形態における高温流体は、例えば180℃以上の流体であって、より具体的には水蒸気等である。
【0014】
図3に示すように、各伝熱プレート11の一方の面11Aには、例えばプレス成形によって溝側面を他方の面11B側から一方の面11A側に突出させることにより、ガスケット溝19が成形される。ガスケット12はガスケット溝19の内部に嵌合されて、伝熱プレート11の一方の面11Aに装着される。
【0015】
図3、4に示すように、ガスケット12は、ガスケット本体を構成する中芯ゴム部21と、中芯ゴム部21の外周面21Aを被覆する第1及び第2の帆布31、32で構成される。中芯ゴム部21は、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、H−NBR(水素添加ニトリルゴム)、NBR(ニトリルゴム)等のゴムで形成されるが、EPDMで形成されることが好ましい。
【0016】
中芯ゴム部21は、ガスケット12の幅方向Dに長くなるように扁平した断面六角形状を呈する。その六角形は、幅方向Dに略平行であって互いに対向する2つの辺22A、22Dと、辺22Aに内角が鈍角を成すように接続される2つの辺22B、22Cと、辺22Dに内角が鈍角を成すように接続される2つの辺22E、22Fとから構成される。
【0017】
第1の帆布31は、3辺22A〜22Cの外周面21Aを被覆すると共に、第2の帆布32は3辺22D〜22Fの外周面21Aを被覆する。第1の帆布31の幅方向Dにおける両端31E、31Fそれぞれは、辺22B、22Eの交点である頂点21G、及び辺22C、22Fの交点である頂点21Hそれぞれにおいて、第2の帆布32の幅方向における両端32E、32Fそれぞれに接続する。これにより、中芯ゴム部21は、その外周面21Aの全周が帆布によって被覆される。なお、第1及び第2の帆布31、32の端部31E、31F、32E、32Fは、図4に示すように、中芯ゴム部21の外周面21Aから外側に突出しており、その突出した部分同士が、例えば後述するように帆布に含浸されたゴム糊によって接着される。
【0018】
図3に示すように、伝熱プレート11の一方の面11Aに設けられたガスケット溝19は台形状を呈し、ガスケット溝19の内周面19Aは、3辺22A〜22Cを被覆する第1の帆布31の外周面に沿った形状を呈する。
【0019】
3辺22A〜22Cを被覆する第1の帆布31の外周面は、隣接する2つの伝熱プレート11、11のうち一方の伝熱プレート11に設けられた溝19の内周面19Aに密着する。また、第2の帆布32の辺22Dを被覆する部分は、他方の伝熱プレート11の他方の面11Bに密着される。ガスケット12は一対の伝熱プレート11、11によってその厚さ方向に圧縮され、2つの伝熱プレート11間に形成された流路(第1の流路16又は第2の流路17)は、このようなガスケット12によってシールされる。
【0020】
第1及び第2の帆布31、32は、中芯ゴム部21に接着される前に、ゴム糊で含浸処理が施されていても良い。ゴム糊は、EPDM、SBR(スチレンブタジエンゴム)、ウレタンゴム、H−NBR、NBR、フッ素ゴム、シリコンゴム等のゴム材料がトルエン等の一般有機溶剤で希釈されたものであって、例えば固形分濃度10〜30質量%程度のものである。ゴム糊含浸処理は、第1及び第2の帆布31、32が、例えば、ゴム糊に浸漬された後、加熱乾燥されることにより、実質的にその両面にゴム糊被膜が形成される処理である。第1及び第2の帆布31、32は、ゴム糊で含浸処理が施されることにより、中芯ゴム部21に接着されやすくなるとともに、帆布の端部同士(例えば、31E、32E)も接着されやすくなる。
【0021】
また、第1及び第2の帆布31、32は、コート剤でコーティング処理が施されていても良い。コート剤は、例えば、フッ素ゴム、シリコンゴム等がトルエン等の一般有機溶剤で希釈されたものである。コーティング処理は、例えば、コート剤が、第1及び第2の帆布31、32の一方の面(ガスケットの外周面を構成する面)に、適宜公知のコーティング法でコーティングされた後、加熱乾燥されることにより行われ、上記一方の面にコート剤被膜を形成する処理である。このとき、コート剤は、第1及び第2の帆布31、32の他方の面(中芯ゴム部21に接着する面)まで浸透しないようにコーティングされることが好ましい。コート剤は、他方の面まで浸透しないことにより、帆布と中芯ゴム部との接着性を阻害しないからである。本実施形態では、コート剤処理されることによって、ガスケットの耐熱性や耐薬品性をさらに向上させることができる。なお、コーティング処理とゴム糊含浸処理とは、併用されても良いし、一方のみが用いられても良い。
【0022】
第1及び第2の帆布31、32それぞれは、図3に示すように、ガスケットの長手方向Lに沿って配置されるたて糸(第1の糸)33と、ガスケットの幅方向Dに沿って配置されるよこ糸(第2の糸)34とによって織られた織布である。たて糸33は、伸縮性を有さない非伸縮糸であって、例えば、アラミド、ナイロン、ポリエステル等のフィラメントを撚って形成された撚糸である。また、よこ糸34は、例えばポリエステルやナイロン等の繊維の捲縮加工糸であって、伸縮性を有する伸縮糸である。これにより、第1及び第2の帆布31、32は、ガスケットの幅方向Dに伸縮性を有する。但し、たて糸33、よこ糸34はいずれも、非伸縮糸であっても良い。
【0023】
第1および第2の帆布31、32の厚さは、例えば0.3mm〜0.8mmである。帆布の厚さとは、中芯ゴム部21に接着される前であって、含浸処理される場合にはさらに含浸処理前の帆布の厚さであって、JIS L 1096に準拠して測定したものである。
【0024】
次に、本実施形態に係るガスケット12の製造方法の一例を説明する。
本実施形態では、まず、所望により、第1及び第2の帆布31、32に上記したゴム糊含浸処理を施し、及び/又はコート剤でコーティング処理を施すとともに、中芯ゴム部21を構成するための断面扁平六角形の未加硫ゴムを用意する。次いで、第1及び第2の帆布31、32それぞれを、3辺22A〜22C、22D〜22Fそれぞれに相当する、上記未加硫ゴムの外周面に被せた後、これらをプレス成型によって、ガスケット12の厚さ方向(辺22A、22Dの外周面21Aの垂直方向)に加圧しつつ加熱する。このプレス成型により未加硫ゴムを加硫するとともに、第1及び第2の帆布31、32を、中芯ゴム部21に加硫接着し、さらに帆布の端部31E、32E(又は31F、32F)同士も接着してガスケット12を得る。なお、接着された端部31E、32E(又は31F、32F)同士は、中芯ゴム部21の外周面から突出するが、その突出する部分が長すぎる場合等には、その部分を適宜切断しても良い。
【0025】
以上のように、本実施形態では、ガスケットがゴムと帆布の複合材料で構成されるため、ガスケットの柔軟性を損なうことなく、ガスケットを補強することができる。したがって、ガスケットを例えば180℃以上の高温流体に接するように使用した場合でも、ガスケットの永久歪みを抑えて割れを生じにくくし、ガスケットの耐久性を向上させることができる。
【0026】
さらに本実施形態では、図4のように、第1の帆布31が被覆される辺(22A〜22C)の外周面21Aは全て下側(ガスケットの厚さ方向に沿う一方)を向き、第2の帆布32が被覆される辺(22D〜22F)の外周面21Aは全て上側(厚さ方向に沿う他方)を向く。したがって、第1及び第2の帆布21、22を上下から厚さ方向にプレスして中芯ゴム21に接着しやすくなる。また、第1の糸が非伸縮糸で第2の糸が伸縮糸である場合、帆布が、ガスケットが伝熱プレートに圧縮されたときに変形しやすい幅方向Dに伸縮性を有するとともに、非伸縮糸によってガスケットの強度が確保されるので、ガスケットの永久歪みをより抑制させることができる。
【0027】
図5は、本発明の第2の実施形態に係るガスケットを示す断面図である。本実施形態では、中芯ゴム部21として、断面形状が六角形のものの代わりに、幅方向Dに長くなるように扁平した断面八角形のものを用いた。この八角形は、互いに略平行で対向する2つの辺40A、40Fと、辺40Aに内角が鈍角を成すように接続される2つの辺40B、40Cと、辺40Fに内角が鈍角を成すように接続される2つの辺40G、40Hとを有し、さらに、辺40B、40G間の辺40Dと、辺40C、40H間の辺40Eとを有するものである。なお、辺40D、40Eは、辺40B、40Cと同様に、第1の辺40Aに対して、鈍角に傾斜するものである。
【0028】
本実施形態では、第1の帆布31は、5辺40A〜40Eの外周面21Aを被覆すると共に、第2の帆布32は3辺40F〜40Hの外周面21Aを被覆する。そして、第1の帆布31の両端31E、31Fそれぞれは、辺40D、40Gの交点である頂点41A、及び辺40E、40Hの交点である頂点41Bそれぞれにおいて、第2の帆布32の両端32E、32Fそれぞれに、第1の実施形態と同様に接続される。本実施形態でも、図5のように、第1の帆布31が被覆される辺40A〜40Eの外周面21Aは全て下側を向き、第2の帆布32が被覆される辺40F〜40Hの外周面21Aは全て上側を向くため、第1の実施形態と同様に、厚さ方向にプレスすることにより、帆布を中芯ゴム部21に接着しやすくなる。
【0029】
図6は、本発明の第3の実施形態のガスケットを示す断面図である。第1の実施形態では、中芯ゴム部21の断面形状は凸六角形であったが、本実施形態では、図6に示すように、中芯ゴム部21の断面形状は、凹六角形を呈する点が第1の実施形態と相違する。すなわち、本実施形態では、辺22B、22Cは辺22Aに内角が鋭角を成すように接続されるとともに、辺22E、22Fは辺22Dに内角が鋭角を成すように接続されている。
【0030】
なお、本発明において中芯ゴム部21の断面形状は、六角形や八角形以外の他の凸多角形、凹多角形を呈しても良い。また、ガスケット12の形状は、多角形でなくても良く、例えば湾曲面を有していても良い。例えば、図7に示すように、外周面21Aは、幅方向Dに略平行であって互いに対向する一対の平行な平面50A、50Bと、互いに対向し、外側に向かって膨らんだ一対の断面弧状(断面曲線)の湾曲面50C、50Dから構成されても良い。この場合、第1の帆布31は、第1及び第2の実施形態と同様に、外周面21Aのうち下側を向く部分に、第2の帆布32は、外周面21Aのうち上側を向く部分に被覆される。また、図8に示すように、断面弧状(断面曲線)の湾曲面50C、50Dは、内側に向かって膨らんでいても良い。また、図9に示すように、互いに対向し、内側に向かって膨らんだ一対の断面弧状(断面曲線)の湾曲面51A、51Bと、互いに対向し、内側に向かって膨らんだ一対の断面弧状(断面曲線)の湾曲面51C、51Dとから構成されても良い。なお、帆布の端部31E、32E(又は31F、32F)は、図7に示すように、突出していてもよいし、図6、8、9に示すように突出していなくてもよい。
【実施例】
【0031】
本発明の実施形態について以下実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0032】
[実施例1]
EPDMから形成される断面扁平六角形の未加硫ゴムの外周面に、厚さ0.45mmの第1及び第2の帆布を被せたものを、プレス成形して、図4に示すような形状を有する、長さ100mm、幅9.5mm、厚さ3.8mmのガスケットを製造した。第1及び第2の帆布は、たて糸とよこ糸から織られた平織の織布であって、たて糸をガスケットの長手方向に、よこ糸をガスケットの幅方向に配置した。また、第1及び第2の帆布のたて糸及びよこ糸としては、ナイロン6のフィラメントの撚糸であって、繊度470dtex、撚り数120T/mの非伸縮糸を使用した。
【0033】
[比較例1]
未加硫ゴムをフッ素ゴムから形成するとともに、中芯ゴム部の外周面に帆布を被覆しなかった点を除いて、実施例1と同様に実施した。
【0034】
[比較例2]
中芯ゴム部の外周面に帆布を被覆しなかった点を除いて実施例1と同様に実施した。
【0035】
[評価方法]
各実施例、比較例のガスケットを、JIS K6262に基づき圧縮永久歪み率を測定した。具体的には、各ガスケットを、圧縮装置において2枚の金属板で挟み込み厚さ方向に40N・mの圧力で圧縮した状態で、温度190℃湿度0%の乾熱環境下、及び190℃の湿熱環境下(190℃の飽和水蒸気圧の環境下)それぞれで、500時間放置した。そして、下記式で示すように放置前後におけるガスケットの厚さ変化から、ガスケットの圧縮永久歪み率を算出した。また、その放置後の外観を目視で観察した。評価結果を表1に示す。
CS=(T−T)/(T−T)×100
なお、CS:圧縮永久歪み(%)、T:ガスケットの元の厚さ(mm)、T:スペーサの厚さ(=2.69mm)、T:圧縮装置から取り外し、30分後のガスケットの厚さ(mm)
【0036】
【表1】

【符号の説明】
【0037】
10 プレート式熱交換器
11 伝熱プレート
12 ガスケット
21 中芯ゴム部
31 第1の帆布
32 第2の帆布
33 たて糸(第1の糸)
34 よこ糸(第2の糸)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレート式熱交換器の伝熱プレート間に形成された流路をシールするためのガスケットにおいて、ゴムから形成された中芯ゴム部と、前記中芯ゴム部の外周面を被覆する帆布とを備えることを特徴とするガスケット。
【請求項2】
前記ガスケットは、前記中芯ゴム部の外周面を被覆する第1及び第2の帆布を有し、前記中芯ゴム部は、断面多角形を呈するとともに、前記中芯ゴム部の外周面は、前記多角形の少なくとも1辺が前記第1の帆布で被覆され、前記多角形の残りの辺が前記第2の帆布で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載のガスケット。
【請求項3】
前記第1の帆布の両端それぞれは、前記多角形の頂点で、前記第2の帆布の両端それぞれに接続されていることを特徴とする請求項2に記載のガスケット。
【請求項4】
前記帆布は、少なくとも一部が伸縮糸で構成され、伸縮性を有することを特徴とする請求項1に記載のガスケット。
【請求項5】
前記帆布はガスケットの幅方向に伸縮性を有すること特徴とする請求項4に記載のガスケット。
【請求項6】
前記帆布は、ガスケットの長手方向に沿って配置される第1の糸と、ガスケットの幅方向に沿って配置される第2の糸から織られた織布であって、前記第1の糸は非伸縮糸であるとともに、前記第2の糸は伸縮糸であることを特徴とする請求項5に記載のガスケット。
【請求項7】
前記中芯ゴム部は、その外周面全周が帆布で被覆されることを特徴とする請求項1に記載のガスケット。
【請求項8】
前記帆布は、ゴム糊によって含浸処理され、或いはコート剤によってコーティング処理されていることを特徴とする請求項1に記載のガスケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−210126(P2010−210126A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55528(P2009−55528)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000111085)ニッタ株式会社 (588)
【Fターム(参考)】