説明

プロキシミティ露光装置、及びプロキシミティ露光装置のマスク搬送方法

【課題】マスクのパターンによるマスクの有無の誤検出を防止するとともに、マスクがマスクストッカー内のマスク受けに正常に搭載されていることを確認して、マスクの搬入又は搬出時のマスクの破損を予防する。
【解決手段】マスク2を収納するマスクストッカー40に、マスク2の下面の縁を支持するマスク支持部44aと、マスク支持部44aより盛り上がったマスク落下防止部44bとを有する複数のマスク受け42を設ける。少なくとも1つのマスク受け42のマスク支持部44aに、マスク2の下面への接触の有無によりマスク2の有無を検出するマスク検出機構51,52,53,54,55,56を設ける。マスク検出機構の検出結果に基づき、マスク2を載せるハンドリングアーム31を有するマスク搬送装置30により、マスク2を複数のマスク受け42に搭載し、またマスク2を複数のマスク受け42から持ち上げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ装置等の表示用パネル基板の製造において、プロキシミティ方式を用いて基板の露光を行うプロキシミティ露光装置及びプロキシミティ露光装置のマスク搬送方法に係り、特に、マスクをマスク搬送装置によりマスクストッカーからマスクホルダへ搬送するプロキシミティ露光装置及びプロキシミティ露光装置のマスク搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示用パネルとして用いられる液晶ディスプレイ装置のTFT(Thin Film Transistor)基板やカラーフィルタ基板、プラズマディスプレイパネル用基板、有機EL(Electroluminescence)表示パネル用基板等の製造は、露光装置を用いて、フォトリソグラフィー技術により基板上にパターンを形成して行われる。露光装置としては、レンズ又は鏡を用いてマスクのパターンを基板上に投影するプロジェクション方式と、マスクと基板との間に微小な間隙(プロキシミティギャップ)を設けてマスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ方式とがある。プロキシミティ方式は、プロジェクション方式に比べてパターン解像性能は劣るが、照射光学系の構成が簡単で、かつ処理能力が高く量産用に適している。
【0003】
プロキシミティ露光装置は、基板を支持するチャックと、マスクを保持するマスクホルダとを備え、マスクホルダに保持されたマスクとチャックに支持された基板とを極めて接近させて露光を行う。マスクホルダは、露光光が通過する開口と、開口の周囲に設けられた吸着溝とを有し、吸着溝によりマスクの周辺部を真空吸着して、マスクをチャックに支持された基板に向かい合わせて保持する。
【0004】
一般に、プロキシミティ露光装置には、使用していないマスクを収納するマスクストッカーが設けられており、マスクストッカー内には、複数のマスクが上下に並べて収納されている。マスクストッカーに収納されていたマスクは、マスク搬送装置により、マスクホルダへ搬送される。特許文献1には、マスク搬送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−86332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マスクストッカー内には、マスクの下面の縁を複数箇所で支持する複数のマスク受けが設けられている。各マスク受けには、マスクの下面の縁を支持するマスク支持部と、マスク支持部より盛り上がったマスク落下防止部と設けられており、マスク支持部に支持されたマスクが横ずれしても、マスクの側面がマスク落下防止部に接触して、マスクの落下が防止される構造となっている。
【0007】
マスクストッカーへのマスクの搬入、及びマスクストッカーからのマスクの搬出は、マスク搬送装置のハンドリングアームにより行われる。従来は、マスクストッカー内のマスクの有無を、投光部と受光部とから成る非接触式の光学センサーを用いて検出し、検出結果に基づき、マスク搬送装置を駆動していた。光学センサーは、投光部と受光部とがマスク受けによりマスクが支持される高さを挟んで設置され、投光部から照射した光を受光部で受光し、受光部で受光した光の強度から、マスクの有無を検出していた。
【0008】
しかしながら、従来の光学センサーは、受光部により受光される光の強度が、マスクに形成されたパターンにより変化するため、誤検出が発生する恐れがあった。また、マスク搬送装置のハンドリングアームによりマスクをマスク受けに搭載する際、マスクの縁がマスク受けのマスク落下防止部に引っ掛かって、マスクがマスク受けに正常に搭載されない場合がある。その場合、光学センサーがマスクの存在を検出すると、マスクが傾いた状態でマスク搬送装置がマスクを取りに行き、マスク搬送装置のハンドリングアームがマスクに衝突する恐れがあった。
【0009】
本発明の課題は、マスクのパターンによるマスクの有無の誤検出を防止するとともに、マスクがマスクストッカー内のマスク受けに正常に搭載されていることを確認して、マスクの搬入又は搬出時のマスクの破損を予防することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のプロキシミティ露光装置は、基板を支持するチャックと、マスクを保持するマスクホルダとを備え、マスクと基板との間に微小なギャップを設けて、マスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ露光装置において、マスクの下面の縁を支持するマスク支持部と、マスク支持部より盛り上がったマスク落下防止部とを有する複数のマスク受けを備え、複数のマスク受けによりマスクの下面の縁を複数箇所で支持して、マスクを収納するマスクストッカーと、少なくとも1つのマスク受けのマスク支持部に設けられ、マスクの下面への接触の有無によりマスクの有無を検出するマスク検出機構と、マスクを載せるハンドリングアームを有するマスク搬送装置と、マスク検出機構の検出結果に基づき、マスク搬送装置を制御して、マスクを複数のマスク受けに搭載し、またマスクを複数のマスク受けから持ち上げてマスクホルダへ搬送する制御装置とを備えたものである。
【0011】
また、本発明のプロキシミティ露光装置のマスク搬送方法は、基板を支持するチャックと、マスクを保持するマスクホルダとを備え、マスクと基板との間に微小なギャップを設けて、マスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ露光装置のマスク搬送方法であって、マスクを収納するマスクストッカーに、マスクの下面の縁を支持するマスク支持部と、マスク支持部より盛り上がったマスク落下防止部とを有する複数のマスク受けを設け、少なくとも1つのマスク受けのマスク支持部に、マスクの下面への接触の有無によりマスクの有無を検出するマスク検出機構を設け、マスク検出機構の検出結果に基づき、マスク搬送装置により、マスクを複数のマスク受けに搭載して、複数のマスク受けによりマスクの下面の縁を複数箇所で支持し、マスク検出機構の検出結果に基づき、マスク搬送装置により、マスクを複数のマスク受けから持ち上げてマスクホルダへ搬送するものである。
【0012】
本発明のマスク検出機構は、マスクの下面への接触の有無によりマスクの有無を検出するので、従来の光学センサーの様なマスクのパターンによる誤検出が発生しない。そして、マスク検出機構を、少なくとも1つのマスク受けのマスク支持部に設けるので、マスクがマスクストッカー内のマスク受けに正常に搭載されていることが確認され、マスクの搬入又は搬出時のマスクの破損が予防される。
【0013】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置は、マスク検出機構が、マスクの下面の縁に接触して下方へ移動する移動部材と、移動部材を上方へ付勢する付勢機構と、移動部材の下方への移動を検出するセンサーとを有するものである。また、本発明のプロキシミティ露光装置のマスク搬送方法は、マスク検出機構に、マスクの下面の縁に接触して下方へ移動する移動部材と、移動部材を上方へ付勢する付勢機構と、移動部材の下方への移動を検出するセンサーとを設け、センサーにより移動部材の下方への移動を検出して、マスクの存在を検出するものである。
【0014】
マスクがマスク受けのマスク支持部に搭載されていないときは、移動部材が付勢機構により上方へ付勢されて下方へ移動せず、センサーが移動部材の下方への移動を検出しないので、マスクの存在が検出されない。マスクがマスク受けのマスク支持部に搭載されると、マスクの重みにより移動部材が付勢機構の付勢力に逆らって下方へ移動し、センサーが移動部材の下方への移動を検出して、マスクの存在が検出される。移動部材と付勢機構とセンサーとを用いた簡単な構成で、マスク受けに正常に搭載されたマスクの存在が確実に検出される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、少なくとも1つのマスク受けのマスク支持部に、マスクの下面への接触の有無によりマスクの有無を検出するマスク検出機構を設けることにより、マスクのパターンによるマスクの有無の誤検出を防止するとともに、マスクがマスクストッカー内のマスク受けに正常に搭載されていることを確認して、マスクの搬入又は搬出時のマスクの破損を予防することができる。
【0016】
さらに、マスク検出機構に、マスクの下面の縁に接触して下方へ移動する移動部材と、移動部材を上方へ付勢する付勢機構と、移動部材の下方への移動を検出するセンサーとを設け、センサーにより移動部材の下方への移動を検出して、マスクの存在を検出することにより、移動部材と付勢機構とセンサーとを用いた簡単な構成で、マスク受けに正常に搭載されたマスクの存在を確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】チャックを露光位置へ移動した状態を示す側面図である。
【図3】マスク搬送装置の上面図である。
【図4】マスクストッカーの内部の側面図である。
【図5】マスク収納部の上面図である。
【図6】図6(a)はマスク検出機構が設けられていないマスク受けの正面図、図6(b)は同側面図である。
【図7】図7(a)はマスク検出機構が設けられたマスク受けの正面図、図7(b)は同側面図である。
【図8】マスク検出機構の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の概略構成を示す図である。また、図2は、チャックを露光位置へ移動した状態を示す側面図である。プロキシミティ露光装置は、ベース3、Xガイド4、Xステージ5、Yガイド6、Yステージ7、θステージ8、チャック支持台9、チャック10、マスクホルダ20、マスク搬送装置30、マスクストッカー40、及び制御装置60を含んで構成されている。プロキシミティ露光装置は、これらの他に、基板をチャック10へ搬入し、また基板をチャック10から搬出する基板搬送装置、露光光を照射する照射光学系、装置内の温度管理を行う温度制御ユニット等を備えている。
【0019】
なお、以下に説明する実施の形態におけるXY方向は例示であって、X方向とY方向とを入れ替えてもよい。
【0020】
図1において、チャック10は、基板のロード及びアンロードを行うロード/アンロード位置にある。ロード/アンロード位置において、図示しない基板搬送装置により、基板がチャック10へ搬入され、また基板がチャック10から搬出される。チャック10への基板のロード及びチャック10からの基板のアンロードは、チャック10に設けた複数の突き上げピンを用いて行われる。突き上げピンは、チャック10の内部に収納されており、チャック10の内部から上昇して、基板をチャック10にロードする際、基板搬送装置から基板を受け取り、基板をチャック10からアンロードする際、基板搬送装置へ基板を受け渡す。チャック10は、基板の裏面を真空吸着して支持する。
【0021】
図2において、基板1の露光を行う露光位置の上空には、マスク2を保持するマスクホルダ20が設置されている。マスクホルダ20には、露光光が通過する開口が設けられており、開口の下方には、マスク2が装着されている。マスクホルダ20の下面の開口の周囲には、吸着溝が設けられており、マスクホルダ20は、吸着溝により、マスク2の周辺部を真空吸着して保持している。マスクホルダ20に保持されたマスク2の上空には、図示しない照射光学系が配置されている。露光時、照射光学系からの露光光がマスク2を透過して基板1へ照射されることにより、マスク2のパターンが基板1の表面に転写され、基板1上にパターンが形成される。
【0022】
チャック10は、チャック支持台9を介してθステージ8に搭載されており、θステージ8の下にはYステージ7及びXステージ5が設けられている。Xステージ5は、ベース3に設けられたXガイド4に搭載され、Xガイド4に沿ってX方向(図2の図面横方向)へ移動する。Yステージ7は、Xステージ5に設けられたYガイド6に搭載され、Yガイド6に沿ってY方向(図2の図面奥行き方向)へ移動する。θステージ8は、Yステージ7に搭載され、θ方向へ回転する。チャック支持台9は、θステージ8に搭載され、チャック10を複数箇所で支持する。
【0023】
Xステージ5のX方向への移動及びYステージ7のY方向への移動により、チャック10は、ロード/アンロード位置と露光位置との間を移動される。ロード/アンロード位置において、Xステージ5のX方向への移動、Yステージ7のY方向への移動、及びθステージ8のθ方向への回転により、チャック10に搭載された基板1のプリアライメントが行われる。露光位置において、Xステージ5のX方向への移動及びYステージ7のY方向への移動により、チャック10に搭載された基板1のXY方向へのステップ移動が行われる。また、図示しないZ−チルト機構により、マスクホルダ20をZ方向(図2の図面上下方向)へ移動及びチルトすることによって、マスク2と基板1とのギャップ合わせが行われる。そして、Xステージ5のX方向への移動、Yステージ7のY方向への移動、及びθステージ8のθ方向への回転により、マスク2と基板1との位置合わせが行われる。
【0024】
なお、本実施の形態では、マスクホルダ20をZ方向へ移動及びチルトすることにより、マスク2と基板1とのギャップ合わせを行っているが、チャック支持台9にZ−チルト機構を設けて、チャック10をZ方向へ移動及びチルトすることにより、マスク2と基板1とのギャップ合わせを行ってもよい。また、本実施の形態では、Xステージ5及びYステージ7によりチャック10をXY方向へ移動することにより、マスク2と基板1との位置合わせを行っているが、マスクホルダ20をXY方向へ移動するステージを設けて、マスクホルダ20をXY方向へ移動することにより、マスク2と基板1との位置合わせを行ってもよい。
【0025】
図1において、ベース3の奥には、マスク搬送装置30及びマスクストッカー40が設けられている。マスクストッカー40には、複数のマスクが上下に並べて収納されている。マスク搬送装置30は、マスク2をマスクストッカー40からマスクホルダ20へ搬送し、またマスク2をマスクホルダ20からマスクストッカー40へ搬送する。
【0026】
図3は、マスク搬送装置の上面図である。マスク搬送装置30は、マスク2を載せる複数のハンドリングアーム31を備えている。各ハンドリングアーム31の上面には、複数のマスク受け32が設けられており、各マスク受け32は、ハンドリングアーム31に搭載されたマスク2の下面の縁を支持する。
【0027】
図4は、マスクストッカーの内部の側面図である。マスクストッカー40内には、マスク2を収納する複数のマスク収納部40aと、マスクケース43を搭載するマスクケース搭載部40bとが設けられている。各マスク収納部40aには、プレート41の上に、マスク2の下面の縁を複数箇所で支持する複数のマスク受け42が設けられている。図5は、マスク収納部40aの上面図である。本実施の形態では、破線で示したマスク2の各辺に対して、マスク受け42が2つずつ設けられている。これらのマスク受け42の内、少なくとも1つのマスク受け42には、後述するマスク検出機構が設けられている。
【0028】
図6(a)はマスク検出機構が設けられていないマスク受けの正面図、図6(b)は同側面図である。マスク受け42は、マスク受け部材44と、台座ブロック45とを含んで構成されている。マスク受け部材44の上面には、マスクの下面の縁を支持するマスク支持部44aと、マスク支持部44aより盛り上がったマスク落下防止部44bとが設けられている。図6(b)において、マスク受け42に破線で示すマスク2が搭載されたとき、マスク支持部44aに支持されたマスク2が横ずれしても、マスク2の側面がマスク落下防止部44bに接触して、マスク2の落下が防止される。マスク落下防止部44bには、マスク受け42にマスクを搭載する際、マスクの縁を案内するためのテーパ部44cが設けられている。
【0029】
なお、マスク受け42の数及び配置は、図5に示した例に限らず、マスク搬送装置30のハンドリングアーム31の数及び配置に応じて適宜決定される。
【0030】
図4において、マスクケース搭載部40bには、マスクケース43を搭載するプレート41が設けられている。マスク2を収納したマスクケース43は、専用の台車により、マスクストッカー40のマスクケース搭載部40bへ移動される。なお、マスクストッカー40へ移動される際、マスクケース43の上部及び手前側には着脱可能な蓋が取り付けられているが、図4では、蓋を外した状態が示されている。マスクケース43内には、マスク2の下面の縁を複数箇所で支持する複数のマスク受け42が設けられている。各マスク受け42の構造は、図6と同様である。マスクケース43に収納されたマスク2は、マスク搬送装置30のハンドリングアーム31により、マスクストッカー40のマスク収納部40aへ移送される。
【0031】
以下、本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置のマスク搬送方法について説明する。図7(a)はマスク検出機構が設けられたマスク受けの正面図、図7(b)は同側面図である。また、図8は、マスク検出機構の動作を説明する図である。図7及び図8において、マスク検出機構は、移動部材51、ロッド52、ガイド53、圧縮コイルバネ54、ブラケット55、及びセンサー56を含んで構成されている。
【0032】
図8(a),(b)において、マスク検出機構が設けられたマスク受け42のマスク受け部材44には、マスク支持部44aに貫通孔が設けられており、貫通孔には、下方から移動部材51が挿入されている。また、マスク検出機構が設けられたマスク受け42の台座ブロック45には、段差付き貫通孔45aが設けられており、段差付き貫通孔45aには、移動部材51、ロッド52、ガイド53、及び圧縮コイルバネ54が収容されている。さらに、台座ブロック45の底部には、切り欠き部45bが形成されており、切り欠き部45bには、センサー56が挿入されている。段差付き貫通孔45aの下端は、切り欠き部45bにつながっている。その他の構造は、図6に示したマスク検出機構が設けられていないマスク受けと同様である。
【0033】
移動部材51の下端には、ロッド52が連結されており、ロッド52はガイド53により上下に案内されている。移動部材51は、圧縮コイルバネ54により上方へ付勢されており、マスクがマスク受け部材44のマスク支持部44aに搭載されていないとき、図8(a)に示す様に、移動部材51の上端がマスク支持部44aから突き出ている。このとき、ロッド52の下端は、台座ブロック45の切り欠き部45bへ突き出ていない。台座ブロック45の側面にはブラケット55が取り付けられており、ブラケット55にはセンサー56が取り付けられている。センサー56は、設定した検出範囲内にある物体を検出する近接型センサーであって、その検出部が台座ブロック45の切り欠き部45bに挿入されている。
【0034】
図8(a)に示す様に、マスクがマスク受け部材44のマスク支持部44aに搭載されていないときは、移動部材51が圧縮コイルバネ54により上方へ付勢されて下方へ移動しないので、ロッド52の下端がセンサー56の検出範囲内に入らず、センサー56がロッド52を検出しない。図8(b)に示す様に、マスク2がマスク受け部材44のマスク支持部44aに搭載されると、マスク2の重みにより移動部材51が圧縮コイルバネ54の付勢力に逆らって下方へ移動し、ロッド52の下端がセンサー56の検出範囲内に入って、センサー56がロッド52を検出する。マスク検出機構は、センサー56によるロッド52の検出の有無から、マスク2の有無を検出する。移動部材51と圧縮コイルバネ54とセンサー56とを用いた簡単な構成で、マスク受け42に正常に搭載されたマスク2の存在が確実に検出される。
【0035】
マスク検出機構は、マスク2の有無の検出結果を、図1の制御装置60へ出力する。図1において、制御装置60は、マスク検出機構の検出結果に基づき、マスク搬送装置30を制御して、マスク2をマスクストッカー40の複数のマスク受け42に搭載し、またマスク2をマスクストッカー40の複数のマスク受け42から持ち上げてマスクホルダ20へ搬送する。
【0036】
本実施の形態のマスク検出機構は、マスク2の下面への接触の有無によりマスク2の有無を検出するので、従来の光学センサーの様なマスク2のパターンによる誤検出が発生しない。そして、マスク検出機構を、少なくとも1つのマスク受け42のマスク支持部44aに設けるので、マスク2がマスクストッカー40内のマスク受け42に正常に搭載されていることが確認され、マスク2の搬入又は搬出時のマスク2の破損が予防される。
【0037】
以上説明した実施の形態によれば、少なくとも1つのマスク受け42のマスク支持部44aに、マスク2の下面への接触の有無によりマスクの有無を検出するマスク検出機構を設けることにより、マスク2のパターンによるマスク2の有無の誤検出を防止するとともに、マスク2がマスクストッカー40内のマスク受け42に正常に搭載されていることを確認して、マスク2の搬入又は搬出時のマスク2の破損を予防することができる。
【0038】
さらに、マスク検出機構に、マスク2の下面の縁に接触して下方へ移動する移動部材51と、移動部材51を上方へ付勢する圧縮コイルバネ54と、移動部材51の下方への移動を検出するセンサー56とを設け、センサー56により移動部材51の下方への移動を検出して、マスク2の存在を検出することにより、移動部材51と圧縮コイルバネ54とセンサー56とを用いた簡単な構成で、マスク受け42に正常に搭載されたマスク2の存在を確実に検出することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 基板
2 マスク
3 ベース
4 Xガイド
5 Xステージ
6 Yガイド
7 Yステージ
8 θステージ
9 チャック支持台
10 チャック
20 マスクホルダ
30 マスク搬送装置
31 ハンドリングアーム
32 マスク受け
40 マスクストッカー
40a マスク収納部
40b マスクケース搭載部
41 プレート
42 マスク受け
43 マスクケース
44 マスク受け部材
44a マスク支持部
44b マスク落下防止部
44c テーパ部
45 台座ブロック
51 移動部材
52 ロッド
53 ガイド
54 圧縮コイルバネ
55 ブラケット
56 センサー
60 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持するチャックと、マスクを保持するマスクホルダとを備え、マスクと基板との間に微小なギャップを設けて、マスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ露光装置において、
マスクの下面の縁を支持するマスク支持部と、該マスク支持部より盛り上がったマスク落下防止部とを有する複数のマスク受けを備え、該複数のマスク受けによりマスクの下面の縁を複数箇所で支持して、マスクを収納するマスクストッカーと、
少なくとも1つのマスク受けのマスク支持部に設けられ、マスクの下面への接触の有無によりマスクの有無を検出するマスク検出機構と、
マスクを載せるハンドリングアームを有するマスク搬送装置と、
前記マスク検出機構の検出結果に基づき、前記マスク搬送装置を制御して、マスクを前記複数のマスク受けに搭載し、またマスクを前記複数のマスク受けから持ち上げて前記マスクホルダへ搬送する制御装置とを備えたことを特徴とするプロキシミティ露光装置。
【請求項2】
前記マスク検出機構は、マスクの下面の縁に接触して下方へ移動する移動部材と、該移動部材を上方へ付勢する付勢機構と、該移動部材の下方への移動を検出するセンサーとを有することを特徴とする請求項1に記載のプロキシミティ露光装置。
【請求項3】
基板を支持するチャックと、マスクを保持するマスクホルダとを備え、マスクと基板との間に微小なギャップを設けて、マスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ露光装置のマスク搬送方法であって、
マスクを収納するマスクストッカーに、マスクの下面の縁を支持するマスク支持部と、マスク支持部より盛り上がったマスク落下防止部とを有する複数のマスク受けを設け、
少なくとも1つのマスク受けのマスク支持部に、マスクの下面への接触の有無によりマスクの有無を検出するマスク検出機構を設け、
マスク検出機構の検出結果に基づき、マスク搬送装置により、マスクを複数のマスク受けに搭載して、複数のマスク受けによりマスクの下面の縁を複数箇所で支持し、
マスク検出機構の検出結果に基づき、マスク搬送装置により、マスクを複数のマスク受けから持ち上げてマスクホルダへ搬送することを特徴とするプロキシミティ露光装置のマスク搬送方法。
【請求項4】
マスク検出機構に、マスクの下面の縁に接触して下方へ移動する移動部材と、移動部材を上方へ付勢する付勢機構と、移動部材の下方への移動を検出するセンサーとを設け、センサーにより移動部材の下方への移動を検出して、マスクの存在を検出することを特徴とする請求項3に記載のプロキシミティ露光装置のマスク搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−220617(P2012−220617A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84432(P2011−84432)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】