説明

プログラム及び情報処理装置

【課題】利用者の利用権限に応じた処理時間を短縮する。
【解決手段】情報処理装置10は、それぞれ利用権限及び属性情報が付与された複数の電子情報に基づいて、電子情報に付与された利用権限の類型を抽出し、属性情報と利用権限の類型との組み合わせ毎に、当該組み合わせと、当該組み合わせに該当する電子情報を処理対象として予め定めた処理を実行した処理結果とを関連づけて記憶する。そして、情報処理装置10は、指定された1又は複数の利用権限に対応する利用権限の類型を特定し、属性情報毎に、特定された利用権限の類型を含んだ組み合わせに関連づけて記憶手段に記憶された処理結果を読み出し、指定された1又は複数の利用権限により参照可能な電子情報を処理対象として処理を実行した場合の処理結果に対応する対応情報を、読み出された処理結果に基づいて生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
管理している電子データを利用者からの処理要求に応じて処理し、利用者にその処理の結果を提示することがある。例えば、電子文書に付与されたタグをそのタグが付与されている電子文書の数に応じた大きさで表示し、タグの大きさによってタグ毎の使用頻度を表すことがある。
【0003】
また、処理対象の電子データにアクセス権(利用権限)が付与されている場合には、利用者毎のアクセス権に応じた処理結果を出力する必要がある。そこで、下記特許文献1には、各利用者のアクセス権の範囲内で利用できる電子データを検索し提示する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−185095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
利用者からの処理要求を受け付けた後に、指定された利用権限により利用可能な電子情報を特定し、特定された電子情報を処理対象として処理の実行を開始して、その処理の結果を生成する場合がある。この場合には、処理要求を受け付けてからその処理の結果を生成するまでに要する処理時間に、指定された利用権限により利用可能な電子情報を特定する処理に要する処理時間が含まれることになる。
【0005】
本発明の目的は、利用権限及び属性情報が付与された電子情報のうち指定された利用権限により利用可能な電子情報を処理対象とした処理要求を受け付けた後に、指定された利用権限により利用可能な電子情報を特定し、特定された電子情報を処理対象として処理の実行を開始する場合と比較して、処理要求を受け付けてからその処理の結果を生成するまでに要する処理時間を短縮するプログラム及び情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のプログラムの発明は、それぞれ利用権限及び属性情報が付与された複数の電子情報に基づいて、前記電子情報に付与された利用権限の類型を抽出する抽出手段と、前記属性情報と前記抽出手段により抽出された利用権限の類型との組み合わせ毎に、当該組み合わせと、当該組み合わせに該当する電子情報を処理対象として予め定めた処理を実行した処理結果とを関連づけて記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、指定された1又は複数の利用権限に基づいて利用権限の類型を特定する特定手段と、前記属性情報毎に、前記特定手段により特定された利用権限の類型を含んだ組み合わせに関連づけて前記記憶手段に記憶された処理結果を読み出す読出手段と、前記指定された1又は複数の利用権限により利用可能な電子情報を処理対象として前記処理を実行した場合の処理結果に対応した対応情報を、前記読出手段により読み出された処理結果に基づいて生成する生成手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のプログラムにおいて、前記抽出手段は、前記属性情報毎に利用権限の類型を抽出し、前記記憶制御手段は、前記属性情報毎に、当該属性情報と前記抽出手段により抽出された利用権限の類型との組み合わせに該当する電子情報を処理対象として前記処理を実行した処理結果を関連づけて前記記憶手段に記憶させることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のプログラムにおいて、前記抽出手段は、前記属性情報毎に、当該属性情報とともに付与された利用権限の類型のうち、該当する電子情報の件数が閾値以上の利用権限の類型を抽出することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載のプログラムにおいて、前記記憶制御手段は、前記抽出手段により抽出された利用権限の類型に該当しない電子情報を処理対象として前記処理を実行した処理結果を前記記憶手段に記憶させ、前記抽出手段により抽出された利用権限の類型に該当しない電子情報を処理対象として前記処理を実行した処理結果から、前記指定された1又は複数の利用権限により利用可能な電子情報を処理対象として前記処理を実行した処理結果を検索する検索手段として前記コンピュータをさらに機能させ、前記生成手段は、前記読出手段により読み出された処理結果と、前記検索手段により検索された処理結果とに基づいて、前記指定された1又は複数の利用権限により利用可能な電子情報を処理対象として前記処理を実行した場合の処理結果に対応した対応情報を生成することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載のプログラムにおいて、前記処理は、前記属性情報毎の当該属性情報が付与された電子情報の件数を計数する処理であることを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載のプログラムにおいて、前記対応情報は、前記指定された1又は複数の利用権限により利用可能な電子情報を処理対象として前記処理を実行した場合の処理結果を全て又は一部を含む情報であることを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に記載の情報処理装置の発明は、それぞれ利用権限及び属性情報が付与された複数の電子情報に基づいて、前記電子情報に付与された利用権限の類型を抽出する抽出手段と、前記属性情報と前記抽出手段により抽出された利用権限の類型との組み合わせ毎に、当該組み合わせと、当該組み合わせに該当する電子情報を処理対象として予め定めた処理を実行した処理結果とを関連づけて記憶する記憶手段と、指定された1又は複数の利用権限に対応する利用権限の類型を特定する特定手段と、前記属性情報毎に、前記特定手段により特定された利用権限の類型を含んだ組み合わせに関連づけて前記記憶手段に記憶された処理結果を読み出す読出手段と、前記指定された1又は複数の利用権限により参照可能な電子情報を処理対象として前記処理を実行した場合の処理結果に対応する対応情報を、前記読出手段により読み出された処理結果に基づいて生成する生成手段と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、利用権限及び属性情報が付与された電子情報のうち指定された利用権限により利用可能な電子情報を処理対象とした処理要求を受け付けた後に、指定された利用権限により利用可能な電子情報を特定し、特定された電子情報を処理対象として処理の実行を開始する場合と比較して、処理要求を受け付けてからその処理の結果を生成するまでに要する処理時間を短縮できる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、処理要求を受け付けてからその処理の結果を生成するまでに要する処理時間を短縮できる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、処理要求を受け付けてからその処理の結果を生成するまでに要する処理時間を短縮できる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、生成する処理結果の精度を向上できる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、指定された利用権限により利用可能な電子情報に付与された属性情報毎の電子情報の件数を計数する処理に適用できる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、処理結果の全部又は一部の情報を生成するまでに要する処理時間を短縮できる。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、利用権限及び属性情報が付与された電子情報のうち指定された利用権限により利用可能な電子情報を処理対象とした処理要求を受け付けた後に、指定された利用権限により利用可能な電子情報を特定し、特定された電子情報を処理対象として処理の実行を開始する場合と比較して、処理要求を受け付けてからその処理の結果を生成するまでに要する処理時間を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態(以下、実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0021】
本実施形態に係る情報処理装置は、それぞれタグ等の属性情報及びアクセス権(利用権限)が付与された電子文書等の複数のデータを格納している。そして、情報処理装置は格納された複数のデータのうち、利用者が有するアクセス権により利用可能なデータについてタグクラウド表示処理を行う。タグクラウド表示処理とは、図1に例示されるように、データに付与されるタグを、そのタグが付与されたデータ件数に応じた大きさに表示する処理のことであり、タグクラウド表示処理によりタグ毎の使用頻度が可視化される。
【0022】
図2には本実施形態に係る情報処理装置10の機能ブロック図を例示する。図2に示されるように、情報処理装置10は、記憶部12、アクセス権パターン抽出部14、前処理実行部16、処理結果記憶部18、処理受付部20、アクセス権パターン特定部22、処理結果読出部24、対応情報生成部26、及び表示部28を含む。上記各部の機能は、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納されたプログラムが、図示しない媒体読取装置を用いてコンピュータシステムたる情報処理装置10に読み込まれ実行されることで実現されるものとしてよい。なお、プログラムは情報記憶媒体によって情報処理装置10に供給されることとしてもよいし、インターネット等のデータ通信ネットワークを介して情報処理装置10に供給されることとしてもよい。
【0023】
記憶部12は、半導体メモリや磁気ディスク等の記憶装置を含み構成され、記憶部12にはデータやプログラムが記憶される。また、情報処理装置10は中央処理装置(CPU)を含み、記憶部12に記憶されるプログラムに従って中央処理装置が動作することで処理を行うものであり、記憶部12は当該処理の作業用メモリとしても用いられる。本実施形態においては、タグクラウド表示処理を行うにあたり、記憶部12には以下のデータが記憶されている。
【0024】
記憶部12には、タグクラウド表示処理の対象となる複数の電子データが記憶される。本実施形態では電子文書を処理対象とし、記憶部12には複数の電子文書が記憶される。この記憶される各電子文書には、アクセス権情報と、タグ情報とがそれぞれ付与されている。アクセス権情報とは、データに読取、書込、実行等のデータ利用についての利用権限を定めた情報であり、タグ情報とは、データに付与される分類情報やキーワード情報等の属性情報である。
【0025】
記憶部12にはさらに、ユーザやグループに対して設定されるアクセス権情報を格納したアクセス権設定テーブルが記憶されている。図3には、アクセス権設定テーブルの一例を示す。
【0026】
図3に示されるように、アクセス権設定テーブルは、ユーザやグループのID毎に、ユーザ名やグループ名、属するグループやグループの階層関係、そして付与されるアクセス権をそれぞれ関連づけて格納している。図3に示された例では、グループ1の配下にグループ2とグループ3があり、ユーザ1はグループ1に属している。そして、ユーザ1は、ユーザ1に対して個別に付与されたアクセス権並びにグループ1のアクセス権を有する。ユーザ2は、ユーザ2に個別に付与されたアクセス権、並びにグループ1及びグループ3のアクセス権を有する。
【0027】
記憶部12にはさらに、データやデータが格納されるフォルダ(以下データ等とする)毎に、そのデータ等の属性情報を設定した属性情報設定テーブルが記憶されている。図4には、属性情報設定テーブルの一例を示した。
【0028】
図4に示されているように、本実施形態ではデータは電子文書とし、データ(電子文書)とフォルダにはそれぞれの属するフォルダ階層、データやフォルダに付与される読み取りや書き込み等のアクセス権、そして、タグ情報がそれぞれ関連づけられて記憶される。フォルダ階層とは、フォルダやデータのルートフォルダからの階層を示す情報であり、フォルダやデータをファイルシステム上で一意に決定するための情報である。アクセス権は、読取(R)、書込(W)、実行(X)等の各種のデータ利用を許可する利用権限情報である。そしてタグ情報は、データに付与されるキーワード等により構成されるデータの属性情報であり、タグ情報は利用者の入力に基づいて設定されてもよいし、電子文書の内容から抽出された文字列に基づいて設定されてもよい。
【0029】
アクセス権パターン抽出部14は、記憶部12に記憶されるデータ群に付与されたアクセス権のパターンを抽出する。なお、アクセス権のパターンとは、データ又はフォルダに付与された1又は複数のアクセス権からなるアクセス権の類型である。例えば、図4で示した例においては、「グループ2,グループ3」、「グループ1,ユーザ1」、「グループ2,グループ3,ユーザ1」はそれぞれアクセス権の要素が異なるため別々のアクセス権のパターンとして扱われる。また、本実施形態では、タグ毎に頻度の高いアクセス権のパターンをそれぞれ抽出することとする。図5には、タグ毎にアクセス権のパターンのデータ件数を記録したアクセス権パターンテーブルの一例を示した。
【0030】
図5(A)には、タグ1についてのアクセス権パターンテーブルを示し、図5(B)には、タグ2についてのアクセス権パターンテーブルを示す。図5では上記2つのタグについてのアクセス権パターンテーブルを例示したが、全てのタグについてのアクセス権パターンテーブルが生成され保持されるものである。また、図5に示されるように、アクセス権パターンテーブルには、アクセス権パターンに関連づけて、データ件数、アクセス権パターンの要素が格納される。
【0031】
アクセス権パターン抽出部14により抽出されるアクセス権パターンの数は、タグ毎に共通としてもよいし異なっていても構わない。アクセス権パターン抽出部14は、該当するデータ件数が予め定められた値以上のアクセス権パターンを抽出してもよいし、抽出したアクセス権パターンによりカバーされるデータの割合が予め定められた値以上となるようにアクセス権パターンを抽出することとしてもよい。
【0032】
本実施形態では、前処理として、タグ毎に使用頻度の高いアクセス権のパターンについて該当するデータ件数を予め取得しておき、利用者毎のアクセス権に応じた処理を行う際にはその利用者のアクセス権に対応するアクセス権のパターンに該当するデータ件数を読み込むことでアクセス権チェックの回数を減らしている。これは、格納されるデータはデータ登録時に親フォルダのアクセス権を継承することが多く、また、操作の簡便性のためデータへのアクセス権の付与は複数のデータについて一括で行われることも多いので、データ全体では付与されるアクセス権のパターンには偏りがみられるためである。以下、上記処理の詳細について説明する。
【0033】
前処理実行部16は、記憶部12に記憶されるデータ群を処理対象とし、アクセス権パターン抽出部14により抽出されたアクセス権パターンとタグとの組み合わせに該当する情報について予め定められた処理を実行する。なお、本実施形態ではタグとアクセス権パターンとの組み合わせ毎に該当するデータ件数を取得する処理を行う。
【0034】
具体的には、前処理実行部16は、タグ毎に生成されたアクセス権パターンテーブルを参照して、各アクセス権パターンに該当するデータ数を取得するとともに、当該取得したデータ数を処理結果記憶部18に記憶する。タグが付与されたデータのうちアクセス権パターンテーブルに含まれないアクセス権が付与されたデータについては、当該タグの「その他」の欄に、該当するデータの情報を格納する。
【0035】
図6には、前処理実行部16における処理により処理結果記憶部18に記憶される処理結果テーブルの一例を示す。処理結果テーブルはタグ毎に生成され、各タグに対応する処理結果テーブルは、アクセス権パターン毎の処理結果(該当データ件数)を格納するとともに、アクセス権パターンに該当しないデータについては「その他」の欄に処理結果(データ名)を格納することとしている。図6(A)にはタグ1についての処理結果テーブルを示し、図6(B)にはタグ2についての処理結果テーブルを示した。図6では上記2つのタグについての処理結果を例示したが、全てのタグについて上記の処理結果テーブルを生成し保持されるものである。
【0036】
次に、情報処理装置10が利用者からのタグクラウド表示処理の要求を受け付けた際に、当該利用者のアクセス権に応じて行う処理について説明する。
【0037】
処理受付部20は、利用者からタグクラウド表示処理の要求を受け付ける。処理受付部20は、情報処理装置10にログインして操作する利用者からの処理を受け付けてもよいし、ネットワークを介して利用者の操作する情報端末から処理を受け付けてもよい。
【0038】
アクセス権パターン特定部22は、処理受付部20で受け付けた利用者の有するアクセス権に基づいてアクセス権パターンテーブルを参照し、当該アクセス権に対応するアクセス権パターンを特定する。なお、利用者のアクセス権は、アクセス権設定テーブルを参照して取得される。図3及び図5に示された例においては、「ユーザ1」から処理要求を受け付けた場合には、「ユーザ1」の有するアクセス権「G1及びU1」のいずれかの要素を含むアクセス権パターンである「パターン1及び2」が特定される。
【0039】
処理結果読出部24は、タグ毎にアクセス権パターン特定部22により特定されたアクセス権パターンに関連づけて処理結果テーブルに格納された処理結果(該当データ件数)を読み出す。上記の例において、「ユーザ1」の有するアクセス権に基づいてアクセス権パターン1及び2が特定された場合には、タグ1についての処理結果(該当データ件数)を取得する際に、処理結果記憶部18に格納されたタグ1についての処理結果テーブルを参照して、アクセス権パターン1及び2にそれぞれ関連づけられた処理結果(データ件数)をそれぞれ読み出す。
【0040】
対応情報生成部26は、処理結果読出部24により読み出された処理結果と、処理結果テーブルの「その他」の欄に格納されたデータから利用者のアクセス権に基づいて検索されたデータとに基づいて、利用者のアクセス権に基づいて利用可能なデータについての処理結果に対応した対応情報を生成する。本実施形態では、後述する処理モードに応じて、タグ毎に処理結果読出部24により読み出された該当データ件数と、処理結果テーブルの「その他」から検索されたデータ件数とに基づいてタグ毎の該当件数を生成し、これを対応情報とする。以下、3つの処理モードを例示して説明する。
【0041】
まず第1の処理モードは、処理結果読出部24により読み出された該当データ件数を足し合わせたものを対応情報とする方式である。この第1の処理モードは、処理結果テーブルの「その他」に格納されたデータについては処理を行わないため、アクセス権チェックの回数が各データについてアクセス権をチェックする場合に比して大幅に減り処理が高速化される。
【0042】
第2の処理モードは、処理結果読出部24により読み出された該当データ件数と、処理結果テーブルの「その他」の欄に格納されたデータから検索されたデータ件数とを足し合わせて対応情報を得る方式である。この第2の処理モードは、データ全体について漏れのない処理結果が得られつつも、アクセス権パターンを利用した部分の処理についてはアクセス権チェックの回数が減り処理が高速化される。
【0043】
第3の処理モードは、処理結果読出部24により読み出された該当データ件数に応じて、処理結果テーブルの「その他」の欄に格納されたデータについて処理を行って対応情報を得る方式である。この第3の処理モードでは、タグが付与されたデータ件数が「0」か「1」かの違いはそのタグを表示するか否かの差となるため、処理結果読出部24により読み出された該当データ件数が「0」のタグについては、処理結果テーブルの「その他」に含まれるデータを検索することとしている。これにより、処理結果に与える影響の大きい情報については処理を行い、処理結果に与える影響が軽微なものについては処理を行わないこととしている。この第3の処理モードは、処理時間及び処理精度について上記第1の処理モードと第2の処理モードとの中間的な性質を有する処理方式である。
【0044】
以上第1乃至第3の処理モードを例示して説明したが、処理モードはこれらに限られるものではなく他の処理モードを用いても構わない。
【0045】
表示部28は、対応情報生成部26により生成された対応情報に基づいて、利用者に付与されたアクセス権により利用可能なデータに関して、各タグを該当するデータ件数に応じた大きさにして表示する。
【0046】
ここで、利用者のアクセス権応じて行われる上記のタグクラウド表示処理について具体例を用いて説明する。以下説明する例では、処理モードとして上述した第3の処理モードを用いている。
【0047】
情報処理装置10は、ユーザ1からのデータの参照要求(タグクラウド表示要求)を受け付けると、ユーザ1をキーにしてアクセス権設定テーブルを参照して、ユーザ1に付与されたアクセス権「グループ1,ユーザ1」を取得する。次に、情報処理装置10は、取得したアクセス権に応じたアクセス権パターンを特定する。ここでは、「グループ1」、「ユーザ1」のいずれかを含むアクセス権パターン1及び2が対応するアクセス権パターンとして特定される。
【0048】
情報処理装置10は、各タグについての処理結果テーブルを参照して、上記特定されたアクセス権パターンに関連づけて記憶された該当データ件数をそれぞれ読み込む。情報処理装置10は、各タグについて読み込んだ該当データ件数が「0」でない場合には、そのタグについて読み込んだ該当データ件数を足し合わせて該当データ件数を算出する。また、そのタグについて読み込んだ該当データ件数が「0」である場合には、そのタグについての処理結果テーブルの「その他」の欄に格納されたデータについてユーザ1の有するアクセス権により利用可能か否かを判断して、利用可能なデータ件数を取得してそれを対応情報とする。
【0049】
ユーザ1について上述した例で説明すれば、情報処理装置10は、「タグ1」については「パターン1」が「101件」、「パターン2」が「24件」を取得し、合計で125件を「タグ1」のデータ件数として得る。また、「タグ2」については「パターン1」及び「パターン2」が「0件」であるので「タグ2」についての「その他」の欄を参照してユーザ1によりアクセス可能な「Doc1」の1件を「タグ2」のデータ件数として得る。
【0050】
ここで、記憶部12に記憶されるデータが更新されたり、データに付与されるアクセス権やタグの情報が更新されたりした場合には、情報処理装置10は上記の各テーブル情報の更新処理を行うこととしてよい。
【0051】
図7には、上記のテーブル情報の更新処理の一例のフロー図を示した。図7に示されるように、情報処理装置10は格納されたデータについてアクセス権が変更されたことを検出すると(S101)、当該データについて付与された変更前と変更後のアクセス権をそれぞれ取得するとともに(S102)、当該データについて付与されるタグを取得する(S103)。ここで、情報処理装置10は、変更前のアクセス権に対応するアクセス権パターンを特定し、アクセス権パターンが特定できた場合には(S104:Y)、処理結果テーブルに格納されている当該アクセス権パターンの該当データ件数を1つ減らす(S105)。一方で、情報処理装置10はアクセス権パターンを特定できなかった場合には(S104:N)、処理結果テーブルの「その他」欄からアクセス権が変更されたデータを検索し、そのデータを削除する(S106)。
【0052】
次に、情報処理装置10は変更後のアクセス権のパターンを特定して(S107)、特定された場合は(S107:Y)、処理結果テーブルの特定したアクセス権のパターンに対応した該当データ件数に1を加える(S108)。一方で、情報処理装置10はアクセス権パターンを特定できなかった場合には(S108:N)、アクセス権パターンテーブルに当該新たなアクセス権パターンを追加して登録するとともに(S109)、処理対象のデータに付与されたタグについての処理結果テーブルの「その他」の欄に当該処理対象データのデータ名(又はデータID)を追加し(S110)、処理を終了する。
【0053】
また、上記の実施形態においては、タグ毎に該当データ件数の多いアクセス権パターンをそれぞれ抽出することとしたが、データ全体において該当データ件数の多いアクセス権パターンを抽出することとしてもよい。
【0054】
図8には、該当データ件数の多いアクセス権パターンを抽出して記憶したアクセス権パターンテーブルの一例を示す。図8に示されるように、アクセス権パターンテーブルは、ランク順にパターンID、データ件数、アクセス権パターンの要素をそれぞれ関連づけて記憶したものである。ここで、抽出されるアクセス権パターンは、例えば、該当データ件数が予め定められた閾値以上のアクセス権パターンを抽出してもよいし、アクセス権パターンによりカバーされるデータ件数の割合が予め定められた値以上となるアクセス権パターンを抽出することとしてもよい。
【0055】
図9には、上記図8に示すアクセス権パターンテーブルに基づいて各タグに該当するデータ件数を示した処理結果テーブルを例示する。図9に示されるように、タグ毎に図8において格納されたアクセス権パターンの少なくとも一部のアクセス権パターンについて該当データ件数を関連づけて記憶するとともに、上記アクセス権パターンに該当しないデータについては「その他」の欄にデータ名を格納して構成されるものである。この場合にも、情報処理装置10は利用者のアクセス権に基づいてアクセス権パターンを特定し、各タグについての該当データ件数を読み込むことで対応情報を生成する。
【0056】
また、上記の実施形態では、本発明をタグクラウドの表示処理に適用した例を示したがこれに限られるものではなく、本発明は他の多様な処理についても適用することができのはもちろんである。例えば、本発明を図10に例示されるような分類フォルダの分類オブジェクトの件数を表示する処理(分類オブジェクト件数表示処理)に用いてもよい。
【0057】
図10には、分類フォルダの分類オブジェクト件数表示処理の一例を示した。上記の実施形態においてデータに付与されたタグを、データが分類された分類フォルダに置換することで、上述したタグクラウド表示処理と同様の手順により分類オブジェクト件数表示処理が実現される。こうした場合にも、アクセス権チェックの回数が削減されるので、分類オブジェクト件数表示に要する処理時間が短縮される。
【0058】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、例えば、タグ、アクセス権リスト毎に該当する各データのファイル名、パス名等を記憶しておくこととしても構わない。こうした場合には、処理結果テーブルは処理結果のキャッシュとして利用してもよい。また、本発明は上記以外にもこの分野の通常の知識を有する当業者によって多様な変更、変形又は置換が可能であることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】タグクラウドの一例を示す図である。
【図2】本実施形態に係る情報処理装置の機能ブロック図である。
【図3】アクセス権設定テーブルの一例を示す図である。
【図4】属性情報設定テーブルの一例を示す図である。
【図5】アクセス権パターンテーブルの一例を示す図である。
【図6】処理結果テーブルの一例を示す図である。
【図7】テーブル情報の更新処理の一例のフロー図である。
【図8】アクセス権パターンテーブルの一例を示す図である。
【図9】処理結果テーブルの一例を示す図である。
【図10】分類フォルダの分類オブジェクト件数表示処理の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
10 情報処理装置、12 記憶部、14 アクセス権パターン抽出部、16 前処理実行部、18 処理結果記憶部、20 処理受付部、22 アクセス権パターン特定部、24 処理結果読出部、26 対応情報生成部、28 表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ利用権限及び属性情報が付与された複数の電子情報に基づいて、前記電子情報に付与された利用権限の類型を抽出する抽出手段と、
前記属性情報と前記抽出手段により抽出された利用権限の類型との組み合わせ毎に、当該組み合わせと、当該組み合わせに該当する電子情報を処理対象として予め定めた処理を実行した処理結果とを関連づけて記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、
指定された1又は複数の利用権限に基づいて利用権限の類型を特定する特定手段と、
前記属性情報毎に、前記特定手段により特定された利用権限の類型を含んだ組み合わせに関連づけて前記記憶手段に記憶された処理結果を読み出す読出手段と、
前記指定された1又は複数の利用権限により利用可能な電子情報を処理対象として前記処理を実行した場合の処理結果に対応した対応情報を、前記読出手段により読み出された処理結果に基づいて生成する生成手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項2】
前記抽出手段は、前記属性情報毎に利用権限の類型を抽出し、
前記記憶制御手段は、前記属性情報毎に、当該属性情報と前記抽出手段により抽出された利用権限の類型との組み合わせに該当する電子情報を処理対象として前記処理を実行した処理結果を関連づけて前記記憶手段に記憶させる
ことを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記抽出手段は、前記属性情報毎に、当該属性情報とともに付与された利用権限の類型のうち、該当する電子情報の件数が閾値以上の利用権限の類型を抽出する
ことを特徴とする請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記記憶制御手段は、前記抽出手段により抽出された利用権限の類型に該当しない電子情報を処理対象として前記処理を実行した処理結果を前記記憶手段に記憶させ、
前記抽出手段により抽出された利用権限の類型に該当しない電子情報を処理対象として前記処理を実行した処理結果から、前記指定された1又は複数の利用権限により利用可能な電子情報を処理対象として前記処理を実行した処理結果を検索する検索手段として前記コンピュータをさらに機能させ、
前記生成手段は、前記読出手段により読み出された処理結果と、前記検索手段により検索された処理結果とに基づいて、前記指定された1又は複数の利用権限により利用可能な電子情報を処理対象として前記処理を実行した場合の処理結果に対応した対応情報を生成する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプログラム。
【請求項5】
前記処理は、前記属性情報毎の当該属性情報が付与された電子情報の件数を計数する処理である
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のプログラム。
【請求項6】
前記対応情報は、前記指定された1又は複数の利用権限により利用可能な電子情報を処理対象として前記処理を実行した場合の処理結果の全部又は一部を含む情報である
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のプログラム。
【請求項7】
それぞれ利用権限及び属性情報が付与された複数の電子情報に基づいて、前記電子情報に付与された利用権限の類型を抽出する抽出手段と、
前記属性情報と前記抽出手段により抽出された利用権限の類型との組み合わせ毎に、当該組み合わせと、当該組み合わせに該当する電子情報を処理対象として予め定めた処理を実行した処理結果とを関連づけて記憶する記憶手段と、
指定された1又は複数の利用権限に対応する利用権限の類型を特定する特定手段と、
前記属性情報毎に、前記特定手段により特定された利用権限の類型を含んだ組み合わせに関連づけて前記記憶手段に記憶された処理結果を読み出す読出手段と、
前記指定された1又は複数の利用権限により参照可能な電子情報を処理対象として前記処理を実行した場合の処理結果に対応する対応情報を、前記読出手段により読み出された処理結果に基づいて生成する生成手段と、
を含むことを特徴とする情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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