説明

プログラム選択起動システムおよび方法ならびにプログラム

【課題】システム運用中の動作確認が容易で、しかも低コストなプログラム選択起動システムを提供する。
【解決手段】データ項目および/または操作ごとに機能分割された複数のプログラムを格納するプログラム格納部5と、上記複数のプログラムが登録され上記登録されたプログラムのうち選択されたいずれかのプログラムを起動するプログラム起動手段7と、上記プログラム起動手段7に登録されたプログラム一覧を表示する表示手段4と、これらに表示されたプログラム一覧から起動を望むプログラムを選択するプログラム選択手段8とを備えている。また、各プログラムが上記使用者認証手段と交信することにより上記認証情報保持手段に保持された有効性情報の確認を行ない、その確認結果に基づいて、認証が有効な場合にそのプログラムの実行を継続し、認証が無効な場合にそのプログラムの実行を継続しないようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として薬品を生体に投与した際の生体の体重・摂餌量・摂水量・生化学検査・臨床症状観察・病理所見・尿量・眼科学的検査・血液学的検査等を記録・管理・集計する薬品試験データ管理等に適用可能なプログラム選択起動システムおよび方法ならびにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
医薬品・農薬・食品添加物・その他化学物質の発癌性や毒性等、人体に対する安全性は、市販に先だって臨床試験が行われるが、臨床試験に入る前に、ラットやマウス等の動物を使用する非臨床試験で確認することが行われている。
【0003】
このような動物を使用した薬品等の安全性試験は、1回あたりどの程度投与すれば毒性が発生し、その毒性の特徴が何かを明らかにする単回投与毒性試験、反復投与時に毒性が見とめられる用量と毒性変化が見とめられない用量および毒性の特徴を明らかにする反復投与毒性試験、親動物の生殖に及ぼす影響や次世代の発生に関する影響等を明らかにする生殖・発生毒性試験、DNAに傷害性を示す物質や突然変異を誘発する性質の有無を明らかにする変異原性試験をはじめ、癌原性試験、皮膚感作性試験、皮膚光感作性試験、依存性試験等の各種の試験が行われる。
【0004】
上記各試験は、薬品を実際に動物に投与し、体重,餌,水,尿等の量の測定や臨床症状の観察・病理組織所見等を行い、採取したデータを集計し、分析することによって行われる。
【0005】
このような安全性試験は、その薬品を実際に人体に投与して行う臨床試験に先立って行われ、最終的には人体に影響を及ぼすものであることから、薬品が生体に及ぼす影響を正確に理解し、分析することが必要になる。このため、データの記録や管理・分析には、従来からコンピュータシステムが用いられてきた。
【0006】
上述したように、医薬品をはじめとする薬品は、人体に影響を与えるものであるため、上記のような安全性試験のデータ管理には、データに改ざんが加えられることのないよう、厚生省をはじめとする各官庁で厳しい基準が設けられている。このような規準は、総称して「GLP(Good Laboratory Practice)」と呼ばれ、当然のことながら、データを管理するコンピュータシステムもGLPの規準を満たしている必要がある。
【0007】
そして、上記システムは、システムの設計自体がGLPに適合している必要があるのは言うまでもないが、当該システムの適用が、非常に市場がニッチで独特のノウハウが必要なため、非常に高額となる。また、システムを導入した際に、GLPに適合して確実に動作するか否かを確認する導入時の動作確認が必要である。また、システムの運用が開始されてからも、システムの一部にバージョンアップがあったような場合には、GLPに適合して確実に動作することをシステム全体について再度確認して文書として残し、システム自体にも改ざんがないことを保証しなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のシステムでは、全ての機能がパッケージとなって導入・運用され、パッケージ全体でGLP等を保証するようになっている。このため、システムの一部の機能にバージョンアップ等があった場合でも、再度システム全体で動作確認を行わなければならなかった。このような動作確認は、通常2〜3名の人員で3ヶ月以上の時間を要するため、システム運用開始後のバグ修正や機能アップによる動作確認は、実質的には全く行われていなかったのが実情である。しかも、従来のように全ての機能がパッケージ化されたシステムでは、ほとんど使用されることのない機能が数多く付加されており、システム全体のコストを引き上げる要因となっていた。
【0009】
また、従来のシステムでは、システムの起動時に使用者の認証を行うものの、その後は途中で入力者等に変更があってもシステムを終了させるまでそのまま稼動されるため、実質的に入力者の確定ができておらず、GLP等を保証する上で問題があった。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、システム運用中の動作確認が容易で、しかも低コストなプログラム選択起動システムでかつ、認証を一本化可能なシステムおよび方法ならびにプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明のプログラム選択起動システムは、データ項目および/または操作ごとに機能分割された複数のプログラムを格納するプログラム格納部と、
上記複数のプログラムが登録され上記登録されたプログラムのうち選択された少なくともいずれかのプログラムを起動する起動手段と、
上記起動手段に登録されたプログラムの一覧を表示する表示手段と、
上記表示手段に表示されたプログラムの一覧から起動を望むプログラムを選択するプログラム選択手段と
上記起動されたプログラムのうちいずれかが起動し続けているか否かを所定時間ごとに確認する起動確認手段と、
上記起動確認手段によりいずれかのプログラムの起動が確認され続けている間、所定期間ごとに使用者の認証情報の入力を求める使用者認証手段と、
上記使用者認証手段による使用者認証の有効性情報を保持する認証情報保持手段とを備え
各プログラムが上記使用者認証手段と交信することにより上記認証情報保持手段に保持された有効性情報の確認を行ない、その確認結果に基づいて、認証が有効な場合にそのプログラムの実行を継続し、認証が無効な場合にそのプログラムの実行を継続しないようになっていることを要旨とする。
【0012】
また、本発明のプログラム選択起動方法は、データ項目および/または操作ごとに機能分割された複数のプログラムをプログラム格納部に格納するステップと、
上記複数のプログラムが登録され上記登録されたプログラムのうち選択された少なくともいずれかのプログラムを起動手段で起動するステップと、
上記起動手段に登録されたプログラムの一覧を表示手段で表示するステップと、
上記表示手段に表示されたプログラムの一覧から起動を望むプログラムをプログラム選択手段で選択するステップと、
上記起動されたプログラムのうちいずれかが起動し続けているか否かを所定時間ごとに起動確認手段で確認するステップと、
上記起動確認手段によりいずれかのプログラムの起動が確認され続けている間、所定期間ごとに使用者の認証情報の入力を使用者認証手段で求めるステップと、
上記使用者認証手段による使用者認証の有効性情報を認証情報保持手段で保持するステップと、
各プログラムが上記使用者認証手段と交信することにより上記認証情報保持手段に保持された有効性情報の確認を行ない、その確認結果に基づいて、認証が有効な場合にそのプログラムの実行を継続し、認証が無効な場合にそのプログラムの実行を継続しないように制御するステップとを実行することを要旨とする。
また、本発明のプログラム選択起動プログラムは、データ項目および/または操作ごとに機能分割された複数のプログラムをプログラム格納部に格納するステップと、
上記複数のプログラムが登録され上記登録されたプログラムのうち選択された少なくともいずれかのプログラムを起動手段で起動するステップと、
上記起動手段に登録されたプログラムの一覧を表示手段で表示するステップと、
上記表示手段に表示されたプログラムの一覧から起動を望むプログラムをプログラム選択手段で選択するステップと、
上記起動されたプログラムのうちいずれかが起動し続けているか否かを所定時間ごとに起動確認手段で確認するステップと、
上記起動確認手段によりいずれかのプログラムの起動が確認され続けている間、所定期間ごとに使用者の認証情報の入力を使用者認証手段で求めるステップと、
上記使用者認証手段による使用者認証の有効性情報を認証情報保持手段で保持するステップと、
各プログラムが上記使用者認証手段と交信することにより上記認証情報保持手段に保持された有効性情報の確認を行ない、その確認結果に基づいて、認証が有効な場合にそのプログラムの実行を継続し、認証が無効な場合にそのプログラムの実行を継続しないように制御するステップとをコンピュータ装置に実行させることを要旨とする。
【0013】
すなわち、本発明は、データ項目および/または操作ごとに機能分割された複数のプログラムを格納するプログラム格納部と、上記複数のプログラムが登録され上記登録されたプログラムのうち選択された少なくともいずれかのプログラムを起動する起動手段と、上記起動手段に登録されたプログラムの一覧を表示する表示手段と、上記表示手段に表示されたプログラムの一覧から起動を望むプログラムを選択するプログラム選択手段とを備えている。このように、データ項目および/または操作ごとに機能分割された複数のプログラムが独立して存在するため、例えば、一部のプログラムにバージョンアップ等があったような場合、そのプログラムだけの動作確認を行えばすむようになる。したがって、システム運用開始後の動作確認を確実に行ってGLP等を保証することができるようになる。また、使用する可能性の低い不要なプログラムは導入しなくてもすむため、システムの導入コストや運用コストを大幅に引き下げることもできる。
【0014】
また、本発明は、上記起動されたプログラムのうちいずれかが起動し続けているか否かを所定時間ごとに確認する起動確認手段と、上記起動確認手段によりいずれかのプログラムの起動が確認され続けている間、所定期間ごとに使用者の認証情報の入力を求める使用者認証手段とを備えているため、起動されたプログラムのいずれかが起動しつづけている間、所定期間ごとに使用者の認証を行うため、実質的に入力者等が確定でき、確実にGLP等を保証することができる。
【0015】
本発明のプログラム選択起動システムにおいて、生体として動物を用いた薬品の毒性試験に用いられるものである場合には、生体として動物を用いた薬品の毒性試験が、膨大で多種多様なデータが存在し、ユーザーによって必要なデータの種類が異なることが多いため、使用する可能性の高い必要なプログラムだけ導入でき、システム全体のコストを大幅に引き下げることができる。また、複数の観察者が交代でデータ入力等を行うこともありうるため、一定期間ごとに入力者等が確認できる本発明の効果が顕著であり効果的である。
【0016】
本発明のプログラム選択起動システムにおいて、登録されたプログラムが起動されたときに上記プログラムが使用者認証手段の起動を確認し、使用者認証手段が起動されていない場合に使用者認証手段を起動させるようになっている場合には、ひとつの使用者認証手段で複数のプログラムの認証を管理できるため、いずれかのプログラムが起動されている間、他のプログラムを起動するたびに使用者の認証を行う必要がなくなるため、作業効率が向上する。また、登録されたプログラム以外のプログラムの実行中に使用者認証手段が起動されないため、必要以上にメモリ容量を消費せず、そのために実行速度が低下する等の弊害が生じない。
【0017】
本発明のプログラム選択起動システムにおいて、使用者認証手段による使用者認証の有効性情報を保持する認証情報保持手段を備え、各プログラムの起動の際に、上記認証情報保持手段に保持された有効性情報に基づいて、認証が有効な場合にプログラムの実行を開始し、認証が無効な場合にプログラムの実行を開始しないようになっている場合には、使用者認証が有効であればプログラム起動ごとの使用者認証を行なわないため、重複する手間が省けて使い勝手がよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、データ項目および/または操作ごとに機能分割された複数のプログラムが独立して存在するため、一部のプログラムにバージョンアップ等がった場合、そのプログラムだけの動作確認を行えばすむようになる。したがって、システム運用開始後の動作確認を確実に行ってGLP等を保証することができるようになる。また、使用する可能性の低い不要なプログラムは導入しなくてもすむため、システムの導入コストや運用コストを大幅に引き下げることもできる。
また、上記起動されたプログラムのうちいずれかが起動し続けているか否かを所定時間ごとに確認する起動確認手段と、上記起動確認手段によりいずれかのプログラムの起動が確認され続けている間、所定期間ごとに使用者の認証情報の入力を求める使用者認証手段とを備えているため、起動されたプログラムのいずれかが起動しつづけている間、所定期間ごとに使用者の認証を行うため、実質的に入力者等が確定でき、確実にGLP等を保証することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0020】
図1は、本発明のプログラム選択起動システムの一実施の形態を示すシステム構成図である。このシステムは、本発明を薬品試験データ管理システムに適用した例を示すものであり、薬品を実際に動物に投与したときの体重,餌,水,尿等の量や生化学検査,血液学的検査,臨床症状の観察,各種の病理所見等のデータを入力するデータ入力手段1と、このデータ入力手段1に入力されたデータを受信して、後述する各プログラムを実行してデータの集計等を行うプログラム実行手段2とを備えている。
【0021】
また、上記システムには、上記プログラム実行手段2で集計等されたデータ等を帳票等に出力する出力手段(例えばプリンタ)3と、データ入力時やデータ出力時等に各種の情報を表示する表示手段(例えばディスプレイ)4とが設けられている。さらに、入力されたデータをプログラム実行手段2を経由して格納するデータ格納部6とを備えている。図において、12はハードディスクやMO等の記憶装置であり、13は中央演算装置およびメモリ等を備えたコンピュータ装置である。
【0022】
ここで、上記システムは、上述した各手段により、通常のデータ入力や集計等の処理が行われるようになっている。すなわち、データ入力手段1で入力されたデータは、プログラム実行手段2を介してデータ格納部6に格納され、入力作業中には、入力されたデータの他、必要な情報が表示手段4に表示されるようになっている。また、入力データの集計等を行った場合には、集計されたデータが出力手段3から出力され、出力されるデータの他必要な情報が表示手段4に表示されるようになっている。
【0023】
そして、上記システムには、複数のプログラムを格納するプログラム格納部5を備えている。上記プログラム格納部5には、例えば、体重の入力・体重の集計・体重の集計データの出力・病理所見の入力・病理所見の集計・病理所見の出力等、データ項目および/または操作ごとに機能分割された複数のプログラムが格納されている。上記プログラム格納部5に格納されるプログラムは、プログラム導入手段(例えばCD−ROMドライブ等)14によって随時導入しうるようになっている。
【0024】
また、上記システムには、上記プログラム格納部5に格納された各プログラムが登録され、上記登録されたプログラムのうち使用者によって選択されたプログラムを起動するプログラム起動手段7を備えている。また、プログラム格納部5での各プログラムの格納場所と、プログラム起動手段7へのプログラムの登録場所とを関連付ける関連付け手段17が設けられている。
【0025】
さらに、上記プログラム起動手段7に登録されたプログラムの一覧は、表示手段4に表示されるようになっており、上記表示手段4に表示されたプログラムの一覧から使用者が起動を望むプログラムを選択するプログラム選択手段8を備えている。
【0026】
上記プログラム選択手段8によるプログラムの選択は、例えば、マウス等の入力手段を用い、図2に示すように、表示手段4の画面16上に表示されたメニュー14に表示されたプログラム一覧のなかから、起動を希望する所望のプログラムを選び、そのアイコン15にマウスのポインタ(図示せず)を合わせてクリックすることにより行われる。なお、プログラムはひとつだけ起動させてもよいし、ふたつ以上を起動させてもよい。
【0027】
そして、プログラム選択手段8で選択されたプログラムは、関連付け手段17による関連付け情報に基づいて、プログラム起動手段7によって起動される。プログラムの起動は、プログラム格納部5からプログラムをメモリ内に読み出して展開し、オペレーションシステムから実行権限を取得することにより行われる。そして、プログラム実行手段2により起動されたプログラムが実行されるようになっている。
【0028】
さらに、上記システムには、プログラム起動手段7で起動され、プログラム実行手段2で実行されているプログラムが、起動されつづけているか否かを所定時間(例えば5分)ごとに確認する起動確認手段9が設けられている。この起動確認動作は、プログラムがメモリ上に展開され実行されているかどうかをオペレーションシステムに問合せることにより行われる。
【0029】
また、上記起動確認手段9によりいずれかのプログラムの起動が確認され続けている間、所定期間(例えば30分)ごとに使用者の認証情報の入力を求める使用者認証手段10が設けられている。さらに、上記使用者認証手段10の認証情報入力の要求に応じ、認証情報を入力する認証情報入力手段11が設けられている。ここで、認証情報の入力を要求する期間(認証時間)は、プログラムの起動を確認する時間(起動確認時間)よりも長く設定されている。
【0030】
上記認証情報入力の要求は、例えば、表示手段4にパスワードの入力を促すパスワード入力画面を表示することにより行われる。また、認証情報の入力は、例えば、キーボードを用いて上記パスワード入力画面にパスワードを入力することにより行われる。
【0031】
さらに、上記起動確認手段9は、プログラム起動手段に登録されたプログラムが起動されたときに上記プログラムが認証プログラム(使用者認証手段10)の起動を確認し、起動確認手段9が起動されていなければ、上記プログラムによって起動されるようになっている。このようにすることにより、ひとつの使用者認証手段10で複数のプログラムの認証を管理できるため、いずれかのプログラムが起動されている間、他のプログラムを起動するたびにパスワード入力等の使用者の認証を行う必要がなくなるため、作業効率が向上する。また、登録されたプログラム以外のプログラムの実行中に起動確認手段9が起動されないため、必要以上にメモリ容量を消費せず、実行速度が低下する等の弊害が生じない。
【0032】
つぎに、上記薬品試験データ管理システムの動作について、図3に示すフローチャートをもとに説明する。なお、図において「S」は、ステップを意味する。
【0033】
まず、ランチャープログラム(プログラム起動手段7)を起動することにより、登録されているプログラムの一覧が表示手段4に表示される(S10:図2参照)。ついで、表示手段4の画面16に表示されたメニュー14のなかから、所望するプログラムのアイコン15をクリックして所望のプログラムを選択し(S20)、プログラムを起動させる(S30)。このとき、上記起動されたプログラムにより、認証プログラム(起動確認手段9)の起動が確認され、起動確認手段9が起動されていなければ上記プログラムにより起動確認手段9が起動される(S70)。
【0034】
そして、さらに他のプログラムを起動する必要があればステップ1に戻り(S40)、その必要がなければ、起動させたプログラムを実行して、体重,餌,水,尿等の量や病理症状の観察所見等のデータ入力や、入力データの集計、集計データの帳票出力等の各プログラムに応じた処理を行う(S50)。そして、引き続き作業の必要があればステップ10に戻り、その必要がなければ終了する(S60)。
【0035】
一方、認証プログラムは、上記処理と並行して起動し続け、プログラム起動手段7で起動されたプログラムが起動しているか否かを確認する起動確認時間(例えば5分)の経過を常時待ち(S80)、上記起動確認時間が経過した時点で、プログラムが起動しているか否かを確認する(S90)。
【0036】
ついで、いずれかのプログラムが起動していれば(S100)、使用者の認証を行う認証時間(例えば30分)の経過を待つ(S110)。上記認証時間が経過していなければステップ80に戻り、再度起動確認時間の経過を待って上述した動作を繰り返す。
【0037】
ステップ110において、認証時間が経過すると、その時点で、現在実行されている複数のプログラムに実行の一時停止を指示し、表示手段4にパスワード入力画面を表示する等により、使用者に認証情報の入力を要求する(S120)。そして正確なパスワード等の認証情報が入力されると、一時停止状態であるプログラムに対して実行の再開を指示するとともに、再びステップ8に戻り、上述した動作を繰り返す(S130)。
【0038】
一方、ステップ130において、入力されたパスワードが誤っている等、認証情報が入力されなければ、ステップ120に戻り、再び認証情報の入力を要求する。そして、一定回数繰り返しても正確なパスワードが入力されず、使用者の認証ができなかった場合は、一時停止状態であるプログラムに対し、実行の強制終了を指示し、プログラムは終了指示を受けて終了する。
【0039】
一方、ステップ100において、プログラム起動手段7で起動したすべてのプログラムが終了していれば終了する。このように、起動されたプログラムのいずれかが起動しつづけている間、所定期間ごとに使用者の認証を行うため、実質的に入力者が確定でき、確実にGLP等を保証することができる。
【0040】
このように、上記システムによれば、データ項目および/または操作ごとに機能分割された複数のプログラムが独立して存在するため、一部のプログラムにバージョンアップ等があった場合、そのプログラムだけの動作確認を行えばすむようになる。したがって、システム運用開始後の動作確認を確実に行ってGLP等を保証することができるようになる。また、使用する可能性の低い不要なプログラムは導入しなくてもすむため、システム全体のコストを大幅に引き下げることもできる。
【0041】
上記システムは、生体として動物を用いた薬品の毒性試験に好適に用いられる。上記毒性試験が、膨大で多種多様なデータが存在し、ユーザーによって必要なデータの種類が異なることが多いため、使用する可能性の高い必要なプログラムだけ導入でき、システム全体のコストを大幅に引き下げることができるからである。また、複数の観察者が交代でデータ入力等を行うことが多いため、一定期間ごとに入力者等が確認できる本発明の効果が顕著であり効果的だからである。
【0042】
図4は、本発明の第2の実施の形態を示すシステム構成図である。
【0043】
このシステムは、プログラム実行手段で実行される業務プログラムが、認証プログラム(使用者認証手段10)を起動するようになっている。また、上記システムは、使用者認証手段10による認証の有効/無効に係る認証情報を保持する認証情報保持手段18を有し、業務プログラムが認証プログラムと交信して業務プログラム自体の実行を継続するか否かを判断するようになっている。さらに、認証プログラムは、それ自体が何度も起動してしまわないように、それ自体が終了を判断するようになっている。それ以外は、上記第1の実施の形態と同様であり同様の部分には同じ符号を付している。
【0044】
図5は、上記システムの動作を示すフローチャートである。なお、図において「S」は、ステップを意味する。
【0045】
すなわち、まず、ランチャープログラム(プログラム起動手段7)を起動することにより、登録されているプログラムの一覧が表示手段4に表示される(S10:図2参照)。ついで、表示手段4の画面16に表示されたメニュー14のなかから、所望するプログラムのアイコン15をクリックして所望の業務プログラムを選択すると(S20)、業務プログラムの起動が開始される(S30)。そして、ランチャープログラムを終了しない場合はステップ10に戻り、そうでない場合は終了する(S40)。
【0046】
ステップ30において業務プログラムの起動が開始されると、認証プログラム(起動確認手段9)の起動が開始される(S50)。認証プログラムが起動されると、ステップ90に進み、認証プログラムが既に実行されているか否かの確認がおこなわれ、既に実行されていれば2重起動を防止するために認証プログラムの起動動作は終了し、実行されていなければステップ100に進む。
【0047】
ステップ100では、認証情報入力手段11に対してパスワードやユーザID等の認証情報の入力を要求する。ステップ110では、ステップ100において入力されたパスワードやユーザIDが正当で有効であるか無効であるかを判断する。ステップ110において、認証が有効であれば、業務プログラムに認証有効の通知を行い、認証情報保持手段18に認証有効の情報を保持する(S115)。一方、ステップ110において、認証が無効であれば、業務プログラムに認証無効の通知を行い、認証情報保持手段18に認証無効の情報を保持する(S120)。
【0048】
ついで、使用者の認証を行う認証時間(例えば30分)の経過を待ち(S130)、ステップ140において上記認証時間が経過していなければステップ130に戻り、再度認証時間の経過を待って上述した動作を繰り返す。ステップ140において認証時間が経過していれば業務プログラムが実行されてるか否かの確認を行なう(S150)。そして、ステップ160において業務プログラムが1つでも実行されていればステップ130に戻り、再度認証時間の経過を待って上述した動作を繰り返す。ステップ160において業務プログラムが1つも実行されていなければ、認証プログラムを終了する。
【0049】
一方、ステップ30において業務プログラムの起動が開始され、ステップ50において認証プログラムの起動が開始されたのち、ステップ60に進み、上記認証プログラムとの交信により認証情報保持手段18に保持された認証の有効/無効に係る情報の確認を行なう。
【0050】
ステップ70において、認証情報保持手段18に保持された認証が有効であれば、ステップ80に進み、業務プログラムが実行され、無効であれば業務プログラムの起動処理が終了する。
【0051】
上記システムでは、認証プログラムが一旦ユーザ認証を行なっていれば、業務プログラムを起動するごとのユーザ認証を行なわないため、重複する手間が省け、使い勝手がよい。それ以外は、上記実施の形態と同様であり、同様の作用効果を奏する。
【0052】
なお、上記各実施の形態では、プログラムを起動する動作(ステップ10〜40)、プログラムの起動を確認する動作(ステップ90〜160)、業務プログラムを起動する動作(ステップ50〜80)等の動作を一連のルーチンで説明したが、それぞれ別個の実行形式で非同期で実行される場合も含む趣旨である。
【0053】
また、上記各実施の形態では、認証情報の入力を、キーボードを用いてパスワードを入力することにより行ったが、これに限定するものではなく、磁気カードやICカード等のIDカード,指紋・声紋・網膜等の認識装置によって行うこともできる。
【0054】
また、上記各実施の形態において、薬品とは、医薬品に限定されるものではなく、農薬,食品添加物,皮膚外用剤をはじめ、各種の化学物質や、健康食品等を含む趣旨である。
【0055】
また、上記システムは、生体として動物を用いた薬品の毒性試験や、安全性薬理試験だけに限らず、動物による安全性試験に入る前の変異原性試験や、薬効薬理試験や一般薬理試験,薬物動体試験、あるいは、薬品を人体に投与する臨床試験等にも応用することができる。また、非GLPの試験に応用することも可能である。これらの場合でも、同様の作用効果を奏する。
【0056】
また、上記各実施の形態では、本発明のプログラム選択起動システムを、薬品試験データ試験システムに適用した例を示したが、これに限定するものではなく、例えば、生産管理システム,受注管理システム,顧客管理システム,売上げ管理システム等各種の業務管理システム等に適用することができる。これらの場合でも、同様の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明のプログラム選択起動システムの一実施の形態を示すシステム構成図である。
【図2】プログラム起動手段による表示画面の一例を示す図である。
【図3】上記プログラム選択起動システムの動作を説明するフローチャート図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態のプログラム選択起動システムを示すシステム構成図である。
【図5】上記プログラム選択起動システムの動作を説明するフローチャート図である。
【符号の説明】
【0058】
4 表示手段
5 プログラム格納部
7 プログラム起動手段
8 プログラム選択手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ項目および/または操作ごとに機能分割された複数のプログラムを格納するプログラム格納部と、
上記複数のプログラムが登録され上記登録されたプログラムのうち選択された少なくともいずれかのプログラムを起動する起動手段と、
上記起動手段に登録されたプログラムの一覧を表示する表示手段と、
上記表示手段に表示されたプログラムの一覧から起動を望むプログラムを選択するプログラム選択手段と、
上記起動されたプログラムのうちいずれかが起動し続けているか否かを所定時間ごとに確認する起動確認手段と、
上記起動確認手段によりいずれかのプログラムの起動が確認され続けている間、所定期間ごとに使用者の認証情報の入力を求める使用者認証手段と
上記使用者認証手段による使用者認証の有効性情報を保持する認証情報保持手段とを備え
各プログラムが上記使用者認証手段と交信することにより上記認証情報保持手段に保持された有効性情報の確認を行ない、その確認結果に基づいて、認証が有効な場合にそのプログラムの実行を継続し、認証が無効な場合にそのプログラムの実行を継続しないようになっていることを特徴とするプログラム選択起動システム。
【請求項2】
データ項目および/または操作ごとに機能分割された複数のプログラムをプログラム格納部に格納するステップと、
上記複数のプログラムが登録され上記登録されたプログラムのうち選択された少なくともいずれかのプログラムを起動手段で起動するステップと、
上記起動手段に登録されたプログラムの一覧を表示手段で表示するステップと、
上記表示手段に表示されたプログラムの一覧から起動を望むプログラムをプログラム選択手段で選択するステップと、
上記起動されたプログラムのうちいずれかが起動し続けているか否かを所定時間ごとに起動確認手段で確認するステップと、
上記起動確認手段によりいずれかのプログラムの起動が確認され続けている間、所定期間ごとに使用者の認証情報の入力を使用者認証手段で求めるステップと、
上記使用者認証手段による使用者認証の有効性情報を認証情報保持手段で保持するステップと、
各プログラムが上記使用者認証手段と交信することにより上記認証情報保持手段に保持された有効性情報の確認を行ない、その確認結果に基づいて、認証が有効な場合にそのプログラムの実行を継続し、認証が無効な場合にそのプログラムの実行を継続しないように制御するステップとを実行することを特徴とするプログラム選択起動方法。
【請求項3】
データ項目および/または操作ごとに機能分割された複数のプログラムをプログラム格納部に格納するステップと、
上記複数のプログラムが登録され上記登録されたプログラムのうち選択された少なくともいずれかのプログラムを起動手段で起動するステップと、
上記起動手段に登録されたプログラムの一覧を表示手段で表示するステップと、
上記表示手段に表示されたプログラムの一覧から起動を望むプログラムをプログラム選択手段で選択するステップと、
上記起動されたプログラムのうちいずれかが起動し続けているか否かを所定時間ごとに起動確認手段で確認するステップと、
上記起動確認手段によりいずれかのプログラムの起動が確認され続けている間、所定期間ごとに使用者の認証情報の入力を使用者認証手段で求めるステップと、
上記使用者認証手段による使用者認証の有効性情報を認証情報保持手段で保持するステップと、
各プログラムが上記使用者認証手段と交信することにより上記認証情報保持手段に保持された有効性情報の確認を行ない、その確認結果に基づいて、認証が有効な場合にそのプログラムの実行を継続し、認証が無効な場合にそのプログラムの実行を継続しないように制御するステップとをコンピュータ装置に実行させることを特徴とするプログラム選択起動プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−80826(P2009−80826A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−288334(P2008−288334)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【分割の表示】特願2000−311378(P2000−311378)の分割
【原出願日】平成12年10月12日(2000.10.12)
【出願人】(399068041)株式会社エイチ・アンド・ティー (2)
【出願人】(599146886)
【Fターム(参考)】