説明

プロジェクター、およびプロジェクターの制御方法

【課題】検出されたスクリーンに対応した画像補正を行うプロジェクターを提供する。
【解決手段】プロジェクターは、スクリーンと画像光とを含む領域を撮像し、撮影画像に基づき、画像光の外周線の各辺を算出する第1外周線算出部およびスクリーンの外周線の各辺を算出する第2外周線算出部(S102)と、スクリーンの3辺を検出した場合、残りの1辺を画像光の外周線の1辺を用いて補完した第1の仮定スクリーン外周線を算出する仮定スクリーン外周線算出部(S104)と、仮定スクリーンアスペクト比が第1の比率より縦長かを判定する仮定アスペクト比判定部(S105)と、縦長の場合に仮定スクリーンアスペクト比を第2の比率に変更して第2の仮定スクリーン外周線を算出する仮定スクリーン外周線再算出部(S106)と、第2の仮定スクリーン外周線に収まるように補正画像光変調領域を算出する補正画像光変調領域算出部(S107)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクター、およびプロジェクターの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CCD等の撮像装置によりスクリーンを撮像し、撮像した画像からスクリーン枠の4辺を検出し、そのスクリーン枠にあわせて投写画像を補正するプロジェクターが知られている。また、特許文献1には、スクリーン枠の3辺以下しか検出されなかった場合に、検出された辺から検出できなかった辺を推定し、そのスクリーン枠にあわせて画像を補正するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−60447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スクリーン枠のアスペクト比とプロジェクターの投写画像のアスペクト比が異なっていた場合には、検出できなかった辺の位置を正しく推定(算出)することができず、スクリーン枠に対して投写画像を好適に補正できない場合があった。特に、プロジェクターの出力画像のアスペクト比が16:10(または16:9)等のワイドタイプであり、スクリーン枠のアスペクト比が4:3の場合であって、投写距離が近距離の場合に、投写画像を好適に補正できず、投写画像がスクリーン枠からはみ出てしまう場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例に係るプロジェクターは、スクリーン上に画像を表示させるプロジェクターであって、光源と、前記光源から射出された光を画像を表す有効な画像光に変調するための光変調領域を有する光変調装置と、前記スクリーンと前記画像光とを含む領域を撮像して撮影画像を生成する画像撮像部と、前記撮影画像に基づき、前記画像光の外周線の各辺を算出する第1外周線算出部と、前記撮影画像に基づき、前記スクリーンの外周線の各辺を算出する第2外周線算出部と、前記第2外周線算出部が前記撮影画像における前記スクリーンの外周線の4辺の内の3辺を検出した場合に、検出されなかった1辺を前記第1外周線算出部が算出した前記画像光の外周線の1辺を用いて補完した第1の仮定スクリーン外周線を算出する仮定スクリーン外周線算出部と、前記第1の仮定スクリーン外周線が表す領域のアスペクト比である仮定スクリーンアスペクト比を算出する仮定スクリーンアスペクト比算出部と、前記仮定スクリーンアスペクト比が第1の比率よりも縦長か否かを判定する仮定アスペクト比判定部と、前記仮定アスペクト比判定部の判定結果が前記第1の比率よりも縦長の場合には、前記仮定スクリーンアスペクト比を前記第1の比率とは異なる第2の比率に変更し、前記第2の比率に応じて前記検出されなかった1辺を算出し、前記第1の仮定スクリーン外周線を補正して第2の仮定スクリーン外周線を算出する仮定スクリーン外周線再算出部と、前記第2の仮定スクリーン外周線に収まるように、前記光変調領域中の一部の領域である補正画像光変調領域を算出する補正画像光変調領域算出部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
このようなプロジェクターによれば、第1外周線算出部は、撮影画像に基づき、画像光の外周線の各辺を算出する。第2外周線算出部は、撮影画像に基づき、スクリーンの外周線の各辺を算出する。仮定スクリーン外周線算出部は、スクリーンの外周線の内の検出されなかった1辺を画像光の外周線の1辺を用いて補完して第1の仮定スクリーン外周線を算出する。仮定スクリーンアスペクト比算出部は、第1の仮定スクリーン外周線が表す領域のアスペクト比を算出する。仮定アスペクト比判定部は、仮定スクリーンアスペクト比が第1の比率よりも縦長か否かを判定する。判定結果が第1の比率よりも縦長の場合には、仮定スクリーン外周線再算出部は、仮定スクリーンアスペクト比を第1の比率とは異なる第2の比率に変更し、第2の比率に応じて、検出されなかった1辺を算出して、第2の仮定スクリーン外周線を算出する。補正画像光変調領域算出部は、第2の仮定スクリーン外周線に収まるように、補正画像光変調領域を算出する。これにより、スクリーンの1辺が検出できなくて、スクリーンのアスペクト比とプロジェクターの光変調領域のアスペクト比が異なっていた場合にも、スクリーンに収まるように投写画像を補正することができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記補正画像光変調領域算出部は、前記第2の仮定スクリーン外周線に対して、前記光変調領域のアスペクト比を維持して前記補正画像光変調領域を算出することを特徴とする。
【0009】
このようなプロジェクターによれば、光変調領域のアスペクト比が維持された画像がスクリーンに投写されるため、投写画像が歪むことを回避できる。
【0010】
[適用例3]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記補正画像光変調領域算出部は、前記第2の仮定スクリーン外周線に内接するように前記補正画像光変調領域を算出することを特徴とする。
【0011】
このようなプロジェクターによれば、第2の仮定スクリーン外周線に内接するように画像が投写されるため、投写画像の視認性が向上する。
【0012】
[適用例4]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、前記第1の比率は16:10とし、前記第2の比率は4:3とすることを特徴とする。
【0013】
このようなプロジェクターによれば、市販されているアスペクト比が4:3のスクリーンに対して、光変調領域のアスペクト比が16:10のプロジェクターから画像を投写した際に、スクリーンの1辺が検出できない場合にも、スクリーンに収まるように投写画像を補正することができる。
【0014】
[適用例5]本適用例に係るプロジェクターの制御方法は、光源と、前記光源から射出された光を画像を表す有効な画像光に変調するための光変調領域を有する光変調装置と、を備え、スクリーン上に画像を表示させるプロジェクターの制御方法であって、前記スクリーンと前記画像光とを含む領域を撮像して撮影画像を生成する画像撮像ステップと、前記撮影画像に基づき、前記画像光の外周線の各辺を算出する第1外周線算出ステップと、前記撮影画像に基づき、前記スクリーンの外周線の各辺を算出する第2外周線算出ステップと、前記第2外周線算出部が前記撮影画像における前記スクリーンの外周線の4辺の内の3辺を検出した場合に、検出されなかった1辺を前記第1外周線算出ステップによって算出された前記画像光の外周線の1辺を用いて補完した第1の仮定スクリーン外周線を算出する仮定スクリーン外周線算出ステップと、前記第1の仮定スクリーン外周線が表す領域のアスペクト比である仮定スクリーンアスペクト比を算出する仮定スクリーンアスペクト比算出ステップと、前記仮定スクリーンアスペクト比が第1の比率よりも縦長か否かを判定する仮定アスペクト比判定ステップと、前記仮定アスペクト比判定ステップの判定結果が前記第1の比率よりも縦長の場合には、前記仮定スクリーンアスペクト比を前記第1の比率とは異なる第2の比率に変更し、前記第2の比率に応じて前記検出されなかった1辺を算出し、前記第1の仮定スクリーン外周線を補正して第2の仮定スクリーン外周線を算出する仮定スクリーン外周線再算出ステップと、前記第2の仮定スクリーン外周線に収まるように、前記光変調領域中の一部の領域である補正画像光変調領域を算出する補正画像光変調領域算出ステップと、を備えることを特徴とする。
【0015】
このようなプロジェクターの制御方法によれば、スクリーンの1辺が検出できなくて、スクリーンのアスペクト比とプロジェクターの光変調領域のアスペクト比が異なっていた場合においても、スクリーンに収まるように投写画像を補正することができる。
【0016】
また、上述したプロジェクターおよびその制御方法がプロジェクターに備えられたコンピューターを用いて構築されている場合には、上記形態および上記適用例は、その機能を実現するためのプログラム、あるいは当該プログラムを前記コンピューターで読み取り可能に記録した記録媒体等の態様で構成することも可能である。記録媒体としては、フレキシブルディスクやハードディスク、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、Blu−ray Disc(登録商標)、光磁気ディスク、不揮発性メモリーカード、プロジェクターの内部記憶装置(RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の半導体メモリー)、及び外部記憶装置(USB(Universal Serial Bus)メモリー等)等、前記コンピューターが読み取り可能な種々の媒体を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係るプロジェクターを上方から見た説明図。
【図2】プロジェクターの概略構成を示すブロック図。
【図3】プロジェクターの画像補正処理のフローチャート。
【図4】仮定スクリーン枠算出についての説明図であり、(a)は、全投写領域とスクリーン枠と撮像領域とを表す説明図、(b)は、スクリーン枠と撮像領域と仮定スクリーン枠とを表す説明図。
【図5】仮定スクリーン枠の再算出と補正画像形成についての説明図であり、(a)は、スクリーン枠と仮定スクリーン枠とを表す説明図、(b)は、スクリーン枠と再算出した仮定スクリーン枠とを表す説明図、(c)は、スクリーン枠と再算出した仮定スクリーン枠と補正画像とを表す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態について説明する。
【0019】
(実施形態)
本実施形態では、撮像装置を備え、外部のスクリーンの外周線(以降、「スクリーン枠」とも呼ぶ)に収まるように画像補正を行うプロジェクターについて説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係るプロジェクターを上方から見た説明図である。図1に示すように、プロジェクター100には、投写光学系(投写レンズ)150と撮像部(撮像装置)180とが、プロジェクター100本体の前面に隣り合った状態で取り付けられている。ここで、投写光学系150が投写する画角である投写画角はθ1とし、投写画角の中央線をH1としている。また、撮像部180が撮像する画角である撮像画角はθ2(θ2>θ1)とし、撮像画角の中央線をH2としている。なお、撮像部180は、投写光学系150の光軸方向(即ち中央線H1方向)に対して角度θ3分、投写光学系150側に傾斜して取り付けられている。
【0021】
このように、投写光学系150と撮像部180とは、取り付け位置が異なるため、プロジェクター100から、投写画角と撮像画角との交点Aまでの間(距離L)については、撮像部180は、投写光学系150から投写される画像の右端近傍を撮像することが不可能になっている。なお、投写画角θ1と撮像画角θ2との画角の差が小さいと、撮像できない範囲が多くなる。
【0022】
図2は、本実施形態に係るプロジェクター100の概略構成を示すブロック図である。図2を使用して、プロジェクター100の内部構成について説明する。プロジェクター100は、画像を表す画像光を投写して、スクリーンSCなどのスクリーン上に画像(以降、「投写画像」と呼ぶ)を表示させる。なお、スクリーンSCのアスペクト比は、4:3とする。
【0023】
プロジェクター100は、A/D変換部110、内部メモリー120、画像形成パネル部としての液晶パネル130および液晶パネル駆動部132、光源としての照明光学系140、投写光学系150、CPU160、操作受付部170、画像撮像部としての撮像部180、撮影画像メモリー182等を備えている。ここで、内部メモリー120、液晶パネル駆動部132、CPU160、操作受付部170、および撮影画像メモリー182は、バス102を介して互いに接続されている。
【0024】
A/D変換部110は、パーソナルコンピューターやビデオ再生装置、メモリーカード、USBストレージ、デジタルカメラ等、外部の画像供給装置(図示せず)とケーブルを介した接続を行うための各種の画像入力端子が備えられており、画像供給装置から画像信号が入力される。そして、A/D変換部110は、必要によりA/D変換を行い、デジタル画像信号を出力する。
【0025】
内部メモリー120には、画像処理部122として機能するコンピュータープログラムが格納されている。画像処理部122は、A/D変換部110から出力されたデジタル画像信号に対して、画像の表示状態(例えば、輝度、コントラスト、同期、トラッキング、色の濃さ、色合い等)の調整を行い、液晶パネル駆動部132へと出力する。また、画像処理部122は、画像をスクリーンSCに収まるように補正する画像補正部123を有している。
【0026】
液晶パネル駆動部132は、画像処理部122を経て入力されたデジタル画像信号に基づいて、光変調装置である液晶パネル130を駆動する。液晶パネル130は、照明光学系140から照射された照明光を画像を表す有効な画像光へと変調するための画像を、液晶パネル130の表面(「パネル面」とも呼ぶ)の光変調領域に形成する。本実施形態では、光変調領域は液晶パネル130と一致するものとするが、光変調領域は、液晶パネル130のパネル面全面より小さい領域としてもよい。なお、液晶パネル130のアスペクト比は、16:10とする。
【0027】
投写光学系150は、プロジェクター100の筐体の前面に取り付けられており、液晶パネル130によって画像光へと変調された光を拡大投写する。
【0028】
操作受付部170は、プロジェクター100に対して各種指示を行うための複数のキー等を備えている。操作受付部170が備えるキーとしては、電源のオン/オフを行うための「電源キー」や、入力された画像信号を切り替えるための「入力切替キー」、各種設定を行うためのメニュー画面の表示/非表示を切り替える「メニューキー」、メニュー画面におけるカーソルの移動等に用いられる「カーソルキー」、各種設定を決定するための「決定キー」、投写画像をスクリーンSCの枠に収めるように補正を行う「画像補正キー」等がある。ユーザーが操作受付部170を操作すると、操作受付部170は、ユーザーの操作内容に応じた制御情報をバス102を介してCPU160に出力する。なお、操作受付部170は、リモコン信号受信部(図示せず)と遠隔操作が可能なリモートコントローラー(図示せず)を有した構成としてもよい。この場合、リモートコントローラーは、ユーザーの操作内容に応じた赤外線等の操作信号を発し、リモコン信号受信部がこれを受信して制御情報としてCPU160に伝達する。
【0029】
CPU160は、内部メモリー120から画像処理部122としてのコンピュータープログラムを読み出して実行することにより、スクリーンSC上に画像を投写したり、後述の画像補正処理などの画像処理を行ったりする。また、CPU160は、プロジェクター100内の各部の動作を統括制御する。
【0030】
撮像部180は、CCDカメラを有しており、撮影画像を生成する。撮像部180により生成された撮影画像は、内部メモリー120を経て、撮影画像メモリー182内に格納される。なお、撮像部180は、CCDカメラの代わりに他の撮像デバイスを有しているとすることも可能である。
【0031】
次に、プロジェクター100が、投写画像をスクリーンSCの外周線(以降、「スクリーン枠SF」と呼ぶ)に収まるように補正する画像補正処理について説明する。
図3は、プロジェクター100の画像補正処理のフローチャートである。CPU160は、画像補正部123に備わるプログラムに従って、画像補正処理を行う。
【0032】
操作受付部170に備わる画像補正キーが押下されると、CPU160は、液晶パネル130の全投写領域を検出するための所定の検出用パターン画像を投写させ、撮像部180は、投写された画像を撮像する(ステップS101)。CPU160は、撮影画像を分析し、全投写領域およびスクリーン枠SFを検出する(ステップS102)。全投写領域を検出するCPU160が第1外周線算出部に相当し、スクリーン枠SFを検出するCPU160が第2外周線算出部に相当する。なお、全投写領域およびスクリーン枠SFの検出方法は既知の方法を用いるものとする(例えば、特開2006−60447号公報参照)。
【0033】
CPU160は、スクリーン枠SFの各辺すべてを検出したか否かを判断する(ステップS103)。スクリーン枠SFの各辺すべてを検出していなかった場合(ステップS103:NO)には、CPU160は、検出できなかった辺を全投写領域の外周線の辺とした仮定スクリーン枠を算出する(ステップS104)。この仮定スクリーン枠が第1の仮定スクリーン外周線に相当し、このときのCPU160が仮定スクリーン外周線算出部に相当する。
【0034】
ここで、仮定スクリーン枠の算出について図を用いて説明する。
図4は、仮定スクリーン枠算出についての説明図であり、図4(a)は、全投写領域とスクリーン枠SFと撮像領域とを表す説明図であり、図4(b)は、スクリーン枠SFと撮像領域と仮定スクリーン枠とを表す説明図である。
【0035】
図4(a)では、スクリーン枠SFを包含するように全投写領域PFが表されている。即ちスクリーン枠SFを包含するように、所定の検出用パターン画像が投写されている。ここで、スクリーン枠SFのアスペクト比は4:3であり、全投写領域PFのアスペクト比は、16:10である。また、撮像領域CIには、スクリーン枠SFの右辺SFrおよび全投写領域PFの右辺PFrが包含されておらず、この状態では、CPU160は、スクリーン枠SFの1辺(右辺SFr)を検出できない。ただし、CPU160は、全投写領域PFの右辺PFrについては、液晶パネル130の右端の位置として算出することができる。
【0036】
図4(b)では、仮定スクリーン枠iSF1を算出した状態が表されている。仮定スクリーン枠iSF1は1点鎖線で表している。仮定スクリーン枠iSF1の3辺(左辺、上辺、および下辺)は、スクリーン枠SFで検出された3辺と同様の位置とし、残りの1辺(右辺)は、全投写領域PFの右辺PFrの位置としている。このように仮定スクリーン枠iSF1は算出される。
【0037】
図3に戻り、CPU160は、算出した仮定スクリーン枠iSF1のアスペクト比(横:縦)が16:10より縦長か否かを判定する(ステップS105)。このときのCPU160が仮定スクリーンアスペクト比算出部および仮定アスペクト比判定部に相当する。仮定スクリーン枠iSF1のアスペクト比が16:10より縦長である場合(ステップS105:YES)、CPU160は、実際のスクリーンSC(スクリーン枠SF)のアスペクト比が4:3であると判断し、スクリーン枠SFで検出した3辺に基づいて、アスペクト比4:3の仮定スクリーン枠iSF2を再算出する(ステップS106)。仮定スクリーン枠iSF2が第2の仮定スクリーン外周線に相当し、このときのCPU160が仮定スクリーン外周線再算出部に相当する。
【0038】
そして、CPU160は、液晶パネル130のアスペクト比(16:10)を維持しつつ、算出した仮定スクリーン枠(ここでは、仮定スクリーン枠iSF2)に最大幅で収まるように補正画像を形成する(ステップS107)。このときのCPU160が補正画像光変調領域算出部に相当する。なお、補正画像光変調領域算出部による補正画像形成処理は、既知の処理方法を用いるものとする(例えば、特開2006−60447号公報参照)。そして、画像補正処理を終了する。
【0039】
ここで、仮定スクリーン枠の再算出と補正画像形成について図を用いて説明する。
図5は、仮定スクリーン枠の再算出と補正画像形成についての説明図であり、図5(a)は、スクリーン枠SFと仮定スクリーン枠iSF1とを表す説明図であり、図5(b)は、スクリーン枠SFと再算出した仮定スクリーン枠iSF2とを表す説明図であり、図5(c)は、スクリーン枠SFと再算出した仮定スクリーン枠iSF2と補正画像とを表す説明図である。
【0040】
図5(a)では、仮定スクリーン枠iSF1が算出された状態が表されている。図5(b)では、再算出した仮定スクリーン枠iSF2の状態が表されている。仮定スクリーン枠iSF2は、アスペクト比を4:3とするため、スクリーン枠SFに収まる形状となっている。図5(c)では、仮定スクリーン枠iSF2に、液晶パネル130のアスペクト比(16:10)を維持した補正画像RIFが形成されている。
【0041】
図3に戻り、仮定スクリーン枠iSF1のアスペクト比が16:10より縦長でなければ(ステップS105:NO)、CPU160は、仮定スクリーン枠の再算出は行わず、ステップS107に移行して、液晶パネル130のアスペクト比(16:10)を維持しつつ、算出した仮定スクリーン枠(ここでは、仮定スクリーン枠iSF1)に縦方向または横方向に最大幅で収まるように補正画像RIFを形成する。そして、画像補正処理を終了する。
【0042】
スクリーン枠SFの各辺すべてを検出した場合(ステップS103:YES)には、液晶パネル130のアスペクト比(16:10)を維持しつつ、検出したスクリーン枠SFに縦方向または横方向に最大幅で収まるように補正画像RIFを形成する(ステップS108)。そして、画像補正処理を終了する。
【0043】
上述したように、プロジェクター100は、補正画像RIFをスクリーン枠SFに収まるように補正する。
【0044】
上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)プロジェクター100は、仮定スクリーン枠iSF1のアスペクト比が16:10よりも縦長の場合には、アスペクト比は4:3であると仮定して仮定スクリーン枠iSF2を再算出する。そして、アスペクト比が4:3の仮定スクリーン枠iSF2に収まるように、補正画像を形成する。これにより、スクリーン枠SFの1辺が検出できなくて、スクリーン枠SFのアスペクト比とプロジェクター100の液晶パネル130のアスペクト比とが異なっていた場合にも、スクリーン枠SFに収まるように投写画像を補正することができる。よって、アスペクト比が4:3のスクリーン枠SFから、投写画像がはみ出ることを回避でき、ユーザーは好適な投写画像を視認することができる。
【0045】
(2)プロジェクター100は、仮定スクリーン枠iSF1,iSF2に対して、液晶パネル130のアスペクト比を維持して補正画像を形成する。これにより、液晶パネル130のアスペクト比が維持された画像がスクリーンSCに投写されるため、投写画像が歪むことを回避できる。よって、ユーザーは好適な投写画像を視認することができる。
【0046】
(3)プロジェクター100は、仮定スクリーン枠iSF1,iSF2に対して、液晶パネル130のアスペクト比を維持しつつ、仮定スクリーン枠iSF1,iSF2の縦方向または横方向に最大幅で(即ち、内接するように)補正画像を算出する。これにより、スクリーン枠SFに対して最大幅で画像が投写されるため、投写画像の視認性が向上する。
【0047】
(4)プロジェクター100は、仮定スクリーン枠iSF1のアスペクト比が16:10よりも縦長でない場合には、仮定スクリーン枠iSF1に収まるように、補正画像を形成する。これにより、スクリーン枠SFの1辺が検出できなくて、スクリーン枠SFのアスペクト比が4:3よりも横長の場合は、スクリーン枠SFを16:10またはそれ以上の横長であるとして、仮定スクリーンiSF1に収まるように、縦方向または横方向に最大幅で投写画像を補正するため、ユーザーは、液晶パネル130のアスペクト比を維持した好適な投写画像を視認することができる。
【0048】
(5)プロジェクター100は、スクリーン枠SFのすべてを検出した場合には、検出したスクリーン枠SFに収まるように、液晶パネル130のアスペクト比を維持した投写画像を補正することができるため、ユーザーは好適な投写画像を視認することができる。
【0049】
(6)プロジェクター100において、第1の比率は16:10とし、第2の比率は4:3としている。これにより、市販されているアスペクト比が4:3のスクリーンSCに対して、液晶パネル130のアスペクト比が16:10のプロジェクター100を投写した際に、スクリーンの1辺が検出できない場合にも、スクリーンに収まるように投写画像を補正することが可能となり、有益である。
【0050】
(7)プロジェクター100は、画像補正処理を行うため、撮像部180の撮像画角を投写光学系150の投写画角に対して必要以上に広角にする必要がなくなる。つまり、撮像部180で使用するCCDカメラ等の撮像デバイスを必要以上に広角にしなくてもよいため、製品設計時における部品選択の自由度を向上できる。また、撮像部180の取り付け角度の許容範囲を広げることができる。
【0051】
なお、上述した実施形態に限定されず、種々の変更や改良等を加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
【0052】
(変形例1)上記実施形態では、第1の比率は16:10としたが、16:9としてもよい。
【0053】
(変形例2)上記実施形態では、画像処理部122はコンピュータープログラムとしているが、画像処理を行う回路装置(図示せず)を有して構成されてもよい。
【0054】
(変形例3)上記実施形態では、光変調装置として、透過型の液晶パネル130を用いているが、反射型の液晶パネル等、反射型の光変調装置を用いることも可能である。また、入射した光の射出方向を、画素としてのマイクロミラー毎に制御することにより、光源から射出した光を変調する微小ミラーアレイデバイス等を用いることもできる。
【符号の説明】
【0055】
100…プロジェクター、102…バス、110…A/D変換部、120…内部メモリー、122…画像処理部、123…画像補正部、130…液晶パネル、132…液晶パネル駆動部、140…照明光学系、150…投写光学系、160…CPU、170…操作受付部、180…撮像部、182…撮影画像メモリー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン上に画像を表示させるプロジェクターであって、
光源と、
前記光源から射出された光を画像を表す有効な画像光に変調するための光変調領域を有する光変調装置と、
前記スクリーンと前記画像光とを含む領域を撮像して撮影画像を生成する画像撮像部と、
前記撮影画像に基づき、前記画像光の外周線の各辺を算出する第1外周線算出部と、
前記撮影画像に基づき、前記スクリーンの外周線の各辺を算出する第2外周線算出部と、
前記第2外周線算出部が前記撮影画像における前記スクリーンの外周線の4辺の内の3辺を検出した場合に、検出されなかった1辺を前記第1外周線算出部が算出した前記画像光の外周線の1辺を用いて補完した第1の仮定スクリーン外周線を算出する仮定スクリーン外周線算出部と、
前記第1の仮定スクリーン外周線が表す領域のアスペクト比である仮定スクリーンアスペクト比を算出する仮定スクリーンアスペクト比算出部と、
前記仮定スクリーンアスペクト比が第1の比率よりも縦長か否かを判定する仮定アスペクト比判定部と、
前記仮定アスペクト比判定部の判定結果が前記第1の比率よりも縦長の場合には、前記仮定スクリーンアスペクト比を前記第1の比率とは異なる第2の比率に変更し、前記第2の比率に応じて前記検出されなかった1辺を算出し、前記第1の仮定スクリーン外周線を補正して第2の仮定スクリーン外周線を算出する仮定スクリーン外周線再算出部と、
前記第2の仮定スクリーン外周線に収まるように、前記光変調領域中の一部の領域である補正画像光変調領域を算出する補正画像光変調領域算出部と、
を備えることを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターであって、
前記補正画像光変調領域算出部は、前記第2の仮定スクリーン外周線に対して、前記光変調領域のアスペクト比を維持して前記補正画像光変調領域を算出することを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項2に記載のプロジェクターであって、
前記補正画像光変調領域算出部は、前記第2の仮定スクリーン外周線に内接するように前記補正画像光変調領域を算出することを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のプロジェクターであって、
前記第1の比率は16:10とし、前記第2の比率は4:3とすることを特徴とするプロジェクター。
【請求項5】
光源と、前記光源から射出された光を画像を表す有効な画像光に変調するための光変調領域を有する光変調装置と、を備え、スクリーン上に画像を表示させるプロジェクターの制御方法であって、
前記スクリーンと前記画像光とを含む領域を撮像して撮影画像を生成する画像撮像ステップと、
前記撮影画像に基づき、前記画像光の外周線の各辺を算出する第1外周線算出ステップと、
前記撮影画像に基づき、前記スクリーンの外周線の各辺を算出する第2外周線算出ステップと、
前記第2外周線算出部が前記撮影画像における前記スクリーンの外周線の4辺の内の3辺を検出した場合に、検出されなかった1辺を前記第1外周線算出ステップによって算出された前記画像光の外周線の1辺を用いて補完した第1の仮定スクリーン外周線を算出する仮定スクリーン外周線算出ステップと、
前記第1の仮定スクリーン外周線が表す領域のアスペクト比である仮定スクリーンアスペクト比を算出する仮定スクリーンアスペクト比算出ステップと、
前記仮定スクリーンアスペクト比が第1の比率よりも縦長か否かを判定する仮定アスペクト比判定ステップと、
前記仮定アスペクト比判定ステップの判定結果が前記第1の比率よりも縦長の場合には、前記仮定スクリーンアスペクト比を前記第1の比率とは異なる第2の比率に変更し、前記第2の比率に応じて前記検出されなかった1辺を算出し、前記第1の仮定スクリーン外周線を補正して第2の仮定スクリーン外周線を算出する仮定スクリーン外周線再算出ステップと、
前記第2の仮定スクリーン外周線に収まるように、前記光変調領域中の一部の領域である補正画像光変調領域を算出する補正画像光変調領域算出ステップと、
を備えることを特徴とするプロジェクターの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−65139(P2012−65139A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207676(P2010−207676)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】