説明

プロジェクター

【課題】光学装置の小型化を図れるプロジェクターを提供する。
【解決手段】プロジェクター1は、複数の色光を色光毎に画像情報に応じて変調する複数の反射型光変調装置52と、複数の反射型光変調装置52に対応して設けられ、反射型光変調装置52に照射される色光及び反射型光変調装置52にて変調された色光を偏光分離する複数のワイヤーグリッド51と、複数の反射型光変調装置52にて変調され複数のワイヤーグリッド51を介した各色光をそれぞれ入射する複数の光入射面を有し、入射した各色光を合成するプリズム53と、プリズム53にて合成された色光を投射する投射レンズ3と、入射した色光を透過させるガラス板54とを備える。ガラス板54は、複数のワイヤーグリッド51のうちワイヤーグリッド51B、及びプリズム53の間の光路上にのみ配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入射した光束を画像情報に応じて変調する光変調装置として、R(赤)、G(緑)、B(青)の3つの色光毎にLCOS(Liquid Crystal On Silicon)等の反射型液晶パネルを3枚採用した、いわゆる三板式のプロジェクターが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のプロジェクターでは、反射型液晶パネルに照射される色光及び反射型液晶パネルで変調された色光を偏光分離するワイヤーグリッドが色光毎に設けられ、反射型液晶パネルで変調され各ワイヤーグリッドにて偏光分離された各色光を色合成光学装置にて合成し、投射レンズにてスクリーン上に投射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−036819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、プロジェクターの小型化を図るべく各光学部品を密集して配置すると、3つの色光のうち特定の色光の光路と他の色光の光路上に配置される光学部品との間の距離が十分に保てなくなる。そこで、光学装置の小型化を維持しながら上記距離を十分に保つためには、例えば、上記特定の色光の光路上に配置されるワイヤーグリッドと色合成光学装置との間の距離を伸ばす、すなわち、上記特定の色光の光路長のみを伸ばすことが考えられる。
しかしながら、各反射型液晶パネルは、投射レンズで鮮明な画像光を投射するために、すべて投射レンズのバックフォーカス位置に配置する必要があり、特定の色光の光路長を、当該色光を変調する反射型液晶パネル及び投射レンズ間において単純に伸ばそうとすると、他のすべての色光の光路長も伸ばさなければならず、光学装置の小型化が図れない。
【0005】
本発明の目的は、小型化が図れるプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプロジェクターは、複数の色光を色光毎に画像情報に応じて変調する複数の反射型光変調装置と、前記複数の反射型光変調装置に対応して設けられ、前記反射型光変調装置に照射される色光及び前記反射型光変調装置にて変調された色光を偏光分離する複数の反射型偏光板と、前記複数の反射型光変調装置にて変調され前記複数の反射型偏光板を介した各色光をそれぞれ入射する複数の光入射面を有し、入射した各色光を合成する色合成光学装置と、前記色合成光学装置にて合成された色光を投射する投射レンズと、入射した色光を透過させる透光性部材とを備え、前記透光性部材は、前記複数の反射型偏光板のうちのいずれかの第1の反射型偏光板、及び前記色合成光学装置の間の光路上にのみ配置されていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、プロジェクターは、第1の反射型偏光板及び色合成光学装置の間の光路上にのみ透光性部材が配設されている。
ここで、反射型偏光板及び色合成光学装置間の光路上に透光性部材を配置すると、当該透光性部材を透過する色光の光路長が透光性部材を配置しない場合よりも長くなる。具体的に、透光性部材の厚さを「d」とし、屈折率を「n」とすると、透光性部材を進む色光と空気中を進む色光との光路差、すなわち透光性部材を透過する光路長の伸び量Aは、以下の式(1)のようになる。
【0008】
[数1]
A=(1−1/n)d ・・・(1)
【0009】
したがって、本発明では、光学装置の構成部品を密集して配置することで、特定の色光の光路と構成部品との距離が十分に保てない場合であっても、この特定の色光の光路長のみを伸ばして構成部品との距離を十分に保つことができるため、プロジェクターの小型化が図れる。
【0010】
本発明のプロジェクターでは、前記複数の色光のうち前記第1の反射型偏光板に照射される第1の色光の光路は、前記複数の反射型光変調装置のうち前記第1の反射型偏光板に対応する第1の反射型光変調装置とは異なる第2の反射型光変調装置の背面側に位置付けられていることが好ましい。
本発明では、プロジェクターは、第1の色光の光路が第2の反射型光変調装置の背面側に位置付けられているため、第1の色光の光路と第2の反射型光変調装置との距離を適切に調整することができる。特に、第2の反射型光変調装置の背面側に、ヒートシンクが設けられている場合には、ヒートシンクの熱を放熱するための空間を効率的に確保することができる。
【0011】
本発明のプロジェクターでは、前記透光性部材は、透過させた色光を出射する光出射側の端面が前記光入射面に対して所定の角度、傾斜するように配置されていることが好ましい。
本発明では、透光性部材における光出射側の端面は、光入射面に対して所定の角度、傾斜するように配置されている。このため、色合成光学装置の光入射面で反射され、透光性部材にてさらに反射された色光(迷光)を、色合成光学装置を外れた方向に進行させることができる。したがって、迷光が色合成光学装置および投射レンズを介して投射画像に入り込むことを防止でき、投射画像の画像品位を良好に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態におけるプロジェクターの概略構成を模式的に示す図。
【図2】本実施形態での光路長の伸びについて説明するための図。
【図3】本実施形態での光路長の伸びについて説明するための図。
【図4】第2実施形態におけるガラス板について説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔プロジェクターの構成〕
図1は、プロジェクター1の概略構成を模式的に示す図である。
プロジェクター1は、光源から出射される光束を画像情報に応じて変調して画像光を形成し、当該画像光をスクリーン(図示略)上に投射する。このプロジェクター1は、図1に示すように、外装を構成する外装筐体2と、投射光学装置としての投射レンズ3と、光学ユニット4等を備える。
なお、図1において、具体的な図示は省略したが、外装筐体2内において、投射レンズ3及び光学ユニット4以外の空間には、プロジェクター1内部の各構成部材を冷却する冷却ファン等を備えた冷却ユニット、プロジェクター1内部の各構成部材に電力を供給する電源ユニット、及びプロジェクター1内部の各構成部材を制御する制御装置等が配置されるものとする。
【0014】
光学ユニット4は、前記制御装置による制御の下、光源から出射された光束を光学的に処理して画像信号に対応した画像光を形成する。この光学ユニット4は、図1に示すように、光源装置41と、照明光学装置42と、色分離光学装置43と、集光光学装置44と、光学装置5とを備える。なお、光学ユニット4は、さらに、これら各部材41〜44,5を内部に収納配置する光学部品用筐体(図示略)を備える。
光源装置41は、光源ランプ411及びリフレクター412等を備える。
照明光学装置42は、第1レンズアレイ421、第2レンズアレイ422、入射した光束を略1種類の直線偏光光に変換する偏光変換素子423、及び重畳レンズ424を備える。
【0015】
色分離光学装置43は、青色光を反射させるB光反射ダイクロイックミラー431A及び緑色光、赤色光を反射させるGR光反射ダイクロイックミラー431BがX字状に配置されたクロスダイクロイックミラー431、緑色光を反射させるG光反射ダイクロイックミラー432、及び2枚の反射ミラー433,434を備える。
集光光学装置44は、反射ミラー433と光学装置5(ワイヤーグリッド51B)との間及び反射ミラー434と光学装置5(ワイヤーグリッド51R,51G)との間に配設され、入射側レンズ441及び出射側レンズ442を備える。
【0016】
そして、光源装置41から出射され照明光学装置42を介した光束は、クロスダイクロイックミラー431に入射し、青色光成分と緑色光成分及び赤色光成分とに分離される。
クロスダイクロイックミラー431にて分離された青色光は、反射ミラー433にて反射され、集光光学装置44を介した後、光学装置5を構成する後述するワイヤーグリッド51Bに入射する。
また、クロスダイクロイックミラー431にて分離された緑色光及び赤色光は、反射ミラー434にて反射された後、集光光学装置44を介してG光反射ダイクロイックミラー432に入射し、緑色光成分と赤色光成分とに分離される。そして、緑色光は、光学装置5を構成する後述するワイヤーグリッド51Gに入射する。一方、赤色光は、光学装置5を構成する後述するワイヤーグリッド51Rに入射する。
【0017】
〔光学装置の構成〕
光学装置5は、図1に示すように、反射型偏光板としての3つのワイヤーグリッド51と、3つの反射型光変調装置52と、色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム53と、透光性部材としてのガラス板54とを備える。
なお、図1では、説明の便宜上、赤色光側のワイヤーグリッドを51R、緑色光側のワイヤーグリッドを51G、青色光側のワイヤーグリッドを51Bとしている。反射型光変調装置52についても同様である。
【0018】
3つのワイヤーグリッド51は、3つの反射型光変調装置52に対応して設けられ、格子構造に基づく回折により入射した光束を偏光分離する。各ワイヤーグリッド51は、図1に示すように、入射光束の光軸に対して略45°傾斜した状態で配置される。そして、各ワイヤーグリッド51は、入射した光束のうち、偏光変換素子423で揃えられた偏光方向と略同一の偏光方向を有する偏光光(第1の直線偏光光)を透過させ、前記偏光方向に直交する偏光方向を有する偏光光(第2の直線偏光光)を反射させ、入射した光束を偏光分離する。
【0019】
3つの反射型光変調装置52は、図1に示すように、反射型液晶パネル521と、ヒートシンク522とを備えた構成とされている。
そして、各反射型光変調装置52は、図1に示すように、各ワイヤーグリッド51を透過した光束の光軸に対して反射型液晶パネル521が略直交した状態でそれぞれ配置される。
【0020】
反射型液晶パネル521は、シリコン基板上に液晶が形成されたいわゆるLCOSで構成され、熱伝導性材料で構成された保持枠(図示略)に保持されている。
そして、反射型液晶パネル521は、前記制御装置による制御の下、前記液晶の配向状態が制御され、ワイヤーグリッド51を透過した偏光光束の偏光方向を画像情報に応じて変調し、ワイヤーグリッド51に向けて反射する。反射型液晶パネル521にて変調され、ワイヤーグリッド51に向けて反射された光束は、偏光変換素子423で揃えられた偏光方向に直交する偏光方向を有する偏光光のみがワイヤーグリッド51にて反射されてプリズム53に向う。
ヒートシンク522は、前記保持枠の背面側(反射型液晶パネル521の反射面とは反対側)に取り付けられ、反射型液晶パネル521の熱を放熱する。
【0021】
プリズム53は、図1に示すように、各ワイヤーグリッド51にて反射された各色光がそれぞれ入射される各光入射面531を有し、入射した各色光を合成して画像光を形成する。このプリズム53は、4つの直角プリズムを貼り合せた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合せた界面には、2つの誘電体多層膜が形成されている。これら誘電体多層膜は、ワイヤーグリッド51Gにて反射された緑色光を透過し、各ワイヤーグリッド51R,51Bにて反射された赤、青色光をそれぞれ反射する。このようにして、各色光が合成されて画像光が形成される。そして、プリズム53で形成された画像光は、投射レンズ3によりスクリーンに向けて投射される。
【0022】
そして、プロジェクター1は、図1に示すように、赤色光、緑色光及び青色光のうち第1の反射型偏光板としてのワイヤーグリッド51Bに照射される第1の色光としての青色光の光路の一部(反射ミラー433とワイヤーグリッド51Bとの間の光路)は、ワイヤーグリッド51Bに対応する第1の反射型光変調装置52Bとは異なる第2の反射型光変調装置52Gの背面側(ヒートシンク522側)に位置付けられている。
なお、各反射型光変調装置52の反射型液晶パネル521のパネル面は、投射レンズ3が鮮明な画像光を投射するように、すべて投射レンズ3のバックフォーカスに合う位置に配置されている。
【0023】
反射型光変調装置52Bで変調した青色光は、以下のガラス板54を透過する。
ガラス板54は、白色ガラス製の厚みが均一な透明な板で構成され、互いに平行する入射面541と出射面542とを備えている。入射面541は、青色光を入射するガラス板54の光入射側の端面であり、出射面542は、透過させた青色光を出射するガラス板54の光出射側の端面である。具体的に、入射面541及び出射面542は、プリズム53の光入射面531の大きさと同じまたは小さく構成されている。そして、ガラス板54は、プリズム53の青色光を入射する光入射面531に出射面542が接着されている。具体的に、ガラス板54は、透明な接着剤によりプリズム53に接着されている。このように、ワイヤーグリッド51Bとプリズム53との間にガラス板54が配置されていることで、ガラス板54を透過する青色光の光路長が変化する。
【0024】
ここで、ガラス板54と光路長との関係について詳細に説明する。
透光性部材の厚さを「d」とし、屈折率を「n」とすると、透光性部材による光路長の伸び量(透光性部材を進む色光と空気中を進む色光との光路差)Aは、以下の式(2)で表すことができる。
【0025】
[数2]
A=(1−1/n)d ・・・(2)
【0026】
例えば、ガラス板54として、厚さ「d」が4mmであり、屈折率「n」が約1.5である白板ガラスを用いた場合、A=(1−1/1.5)×4=約1.33となり、ガラス板54を透過する青色光の光路長は、約1.33mm伸びることになる。すなわち、ガラス板54を配置しない場合と比較して、反射型光変調装置52Bに対する投射レンズ3のバックフォーカス位置が約1.33mm遠ざかることになる。
なお、式(2)から、ガラス板54の厚さまたはガラス板54の材質を変更することで、光路長の伸び量を調整できることがわかる。
【0027】
図2及び図3は、光路長の伸びについて説明するための図である。具体的に、図2は、本実施形態(ガラス板54を設けた場合)の光路の構成を示し、図3は、ガラス板54を設けない場合の光路の構成を示している。
図2に示すように、プロジェクター1は、ガラス板54を設けることで、ガラス板54を透過する青色光の光路長が伸びるため、反射型光変調装置52Gと青色光の光路との距離Lが十分に保たれる。なお、赤色光及び緑色光の光路長は変わらない。
このように、プロジェクター1は、光学装置5の小型化を図るべくワイヤーグリッド51、反射型光変調装置52等の各構成部品を密集して配置しており、青色光の光路と反射型光変調装置52Gとの距離が近づくが、ガラス板54をワイヤーグリッド51B及びプリズム53間にのみ配置することで青色光の光路長のみが伸び、青色光の光路と反射型光変調装置52Gとの距離を適切に保つことができる。
【0028】
これに対して、図3に示すように、ガラス板54を設けなかった場合には、反射型光変調装置52Gと青色光の光路との距離Lを十分に保てないことになる。このように、距離Lが不十分な場合、反射型光変調装置52Gのヒートシンク522の冷却効率が低下するだけでなく、当該ヒートシンク522が青色光の光路と干渉してしまう。すなわち、当該ヒートシンク522が、当該光路内の集光光学装置44の構成部品や当該光路を形成する光学部品用筐体等と干渉してしまう。
青色光の光路と反射型光変調装置52Gとの距離を適切に保ちつつ、光学装置5の小型化を図るためには、青色光の光路長だけを伸ばせばよい。しかし、各反射型光変調装置52は、投射レンズ3で鮮明な画像光を投射するために、すべて投射レンズ3のバックフォーカス位置に配置する必要があるため、単に青色光の光路長を伸ばそうとした場合には、他のすべての色光(赤色光及び緑色光)の光路長も伸ばさなければならず、光学装置5の小型化は困難となる。
【0029】
上述した本実施形態によれば、以下の効果がある。
本実施形態では、プロジェクター1は、ワイヤーグリッド51Bとプリズム53との間の青色光の光路上にのみ配置され、当該ワイヤーグリッド51Bを介してプリズム53に入射する青色光を透過するガラス板54を備える。
これにより、ガラス板54を透過する青色光の光路長がガラス板54を配置しない場合よりも長くなる。このため、各色光のすべての光路長を伸ばさなくても、青色光の光路長だけを伸ばすことができるため、青色光の光路と反射型光変調装置52Gとの距離を十分に保ちつつ、プロジェクター1の小型化を図ることができる。
また、プロジェクター1は、このガラス板54を備えることで、プロジェクター1のバックフォーカスのみを設計変更する必要が生じた場合であっても、ガラス板54の厚さを変えるだけで工数をかけずにバックフォーカスを変えることができる。
【0030】
また、プロジェクター1は、反射型光変調装置52Bに入射する青色光の光路が、反射型光変調装置52Gの背面側に位置付けられているため、当該青色光の光路と反射型光変調装置52Gとの距離を適切に調整することができる。具体的に、ガラス板54の厚さを適切に調整することで、ワイヤーグリッド51B及びプリズム53間の青色光の光路長を所望の値だけ伸ばすことができる。ガラス板54が配置されていない場合と比較して、反射型光変調装置52Gのヒートシンク522の熱を放熱するための空間を効率的に保つことができる。
【0031】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、前記第1実施形態と同様の構造及び同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。なお、本実施形態は、ガラス板54の配置に関して第1実施形態と相違し、他の構造は、前記第1実施形態と同様である。
【0032】
図4は、本実施形態におけるガラス板54について説明するための図である。
図4に示すように、本実施形態では、ガラス板54は、プリズム53に対して隙間を設けて配置している。
また、ガラス板54は、プリズム53の青色光の光入射面531に対して角度を設けて配置されている。具体的に、プリズム53の光入射面531に対してガラス板54の光出射側の端面である出射面542が所定の角度、傾斜するように配置されている。
なお、ガラス板54は、保持部材(図示せず)でこの配置状態が動かないように保持されている。
【0033】
上述した本実施形態によれば、前記第1実施形態の効果に加えて以下の効果がある。
本実施形態では、ガラス板54の出射面542は、プリズム53の光入射面531に対して所定の角度、傾斜するように配置されている。このため、プリズム53の光入射面531で反射され、ガラス板54にてさらに反射された色光(迷光)を、プリズム53を外れた方向に進行させることができる。したがって、迷光がプリズム53および投射レンズ3を介して投射画像に入り込むことを防止でき、投射画像の画像品位を良好に維持できる。
ガラス板54は、保持部材により保持されるため、接着剤等を用いてガラス板54をプリズム53に接着する必要がなくなる。
【0034】
なお、本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記第1実施形態では、プリズム53にガラス板54を接着したが、これに限らず、ワイヤーグリッド51Bに接着しても構わない。
前記各実施形態では、反射型偏光板としてワイヤーグリッド51が用いられていたが、反射型偏光板であれば、その他の構成でも構わない。
例えば、反射型偏光板として、誘電体多層膜によって形成される偏光分離素子、液晶材料等の屈折率異方性(複屈折性)を有する有機材料を層状に積層させた高分子系の層状偏光板、偏りのない光を右回りの円偏光と左回りの円偏光とに分離する円偏光反射板と1/4波長板を組み合わせた光学素子、ブリュースター角を利用して反射偏光光と透過偏光光とに分離する光学素子、あるいは、ホログラムを利用したホログラム光学素子等を採用しても構わない。
【0035】
前記各実施形態では、反射型偏光板としてのワイヤーグリッド51は、第1の直線偏光光を透過させて反射型液晶パネル521に入射させるとともに、第2の直線偏光光を光路外に反射させていたが、これに限らない。
例えば、反射型偏光板としては、上記とは逆に、第1の直線偏光光を反射させて反射型液晶パネル521に入射させるとともに、第2の直線偏光光を透過させて光路外に出射する構成であっても構わない。
前記各実施形態では、透光性部材として白色ガラス製のガラス板54を例示して説明したが、透光性部材は、これに限らず、サファイヤや樹脂材料等で形成しても構わない。適宜、材料を選定することで、屈折率の違いにより光路長の伸び量を調整することができる。また、透光性部材の形状についても、板形状に限らず、長方体等であっても構わない。
前記各実施形態では、ガラス板54は、青色光の光路上に配置したが、これに限らず、赤色光の光路上や緑色光の光路上に配置しても構わない。具体的に、ガラス板54は、クロスダイクロイックミラー431から反射型光変調装置52までが独立した構成の光路(前記各実施形態では青色光)上に設けることが好ましい。
【0036】
前記各実施形態では、ガラス板54は、反射型光変調装置52Gと青色光の光路の距離Lを確保するために設けたが、これに限らず、青色光の光路の障害となる他の部材との距離を確保するために設けても構わない。
前記各実施形態では、プロジェクター1は、反射型光変調装置52を3つ備える三板式のプロジェクターで構成されていたが、これに限らず、反射型光変調装置52を2つ備えるプロジェクターや、反射型光変調装置52を4つ以上備えるプロジェクターとして構成されても構わない。
前記各実施形態では、スクリーンを観察する方向から投射を行うフロントタイプのプロジェクターの例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを観察する方向とは反対側から投射を行うリアタイプのプロジェクターにも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、プレゼンテーションやホームシアターに用いられるプロジェクターとして利用できる。
【符号の説明】
【0038】
1・・・プロジェクター、51・・・ワイヤーグリッド(反射型偏光板)、52・・・反射型光変調装置、53・・・クロスダイクロイックプリズム(色合成光学装置)、54・・・ガラス板(透光性部材)、531・・・光入射面、542・・・出射面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の色光を色光毎に画像情報に応じて変調する複数の反射型光変調装置と、
前記複数の反射型光変調装置に対応して設けられ、前記反射型光変調装置に照射される色光及び前記反射型光変調装置にて変調された色光を偏光分離する複数の反射型偏光板と、
前記複数の反射型光変調装置にて変調され前記複数の反射型偏光板を介した各色光をそれぞれ入射する複数の光入射面を有し、入射した各色光を合成する色合成光学装置と、
前記色合成光学装置にて合成された色光を投射する投射レンズと、
入射した色光を透過させる透光性部材とを備え、
前記透光性部材は、
前記複数の反射型偏光板のうちいずれかの第1の反射型偏光板、及び前記色合成光学装置の間の光路上にのみ配置されている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
前記複数の色光のうち前記第1の反射型偏光板に照射される第1の色光の光路の一部は、前記複数の反射型光変調装置のうち前記第1の反射型偏光板に対応する第1の反射型光変調装置とは異なる第2の反射型光変調装置の背面側に位置付けられている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプロジェクターにおいて、
前記透光性部材は、
透過させた色光を出射する光出射側の端面が前記光入射面に対して所定の角度、傾斜するように配置されている
ことを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−150159(P2011−150159A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11765(P2010−11765)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】