説明

プロジェクター

【課題】長寿命化が図れるプロジェクターを提供する。
【解決手段】プロジェクター1は、入射した光束を、偏光方向が互いに直交する第1の直線偏光光及び第2の直線偏光光に偏光分離する反射型偏光板51と、反射型偏光板51に対して傾斜して配設され、反射型偏光板51にて偏光分離された第1の直線偏光光を画像情報に応じて変調し、反射型偏光板51に向けて出射する反射型光変調装置52と、反射型偏光板51及び反射型光変調装置52を支持する支持体55と、反射型光変調装置52にて変調される前に反射型偏光板51に入射し、反射型偏光板51にて偏光分離された第2の直線偏光光の出射側に配設され、支持体55に接続する遮蔽部材56とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入射した光束を画像情報に応じて変調する光変調装置として、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)等の反射型液晶パネルを採用したプロジェクターが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のプロジェクターでは、入射した光束を、互いに偏光方向が直交する第1の直線偏光光及び第2の直線偏光光に偏光分離するワイヤーグリッドを備え、反射型液晶パネル及びワイヤーグリッドが支持体により支持されている。
そして、光源から出射されワイヤーグリッドにて偏光分離された各偏光光のうち、第1の直線偏光光は反射型液晶パネルに入射し、第2の直線偏光光は光路外に出射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−036819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のプロジェクターでは、光源から出射されワイヤーグリッドにて偏光分離された各偏光光のうち、光路外に出射された第2の直線偏光光は、反射型液晶パネル、ワイヤーグリッド、支持体等を収納配置する筐体の内面に照射されることとなる。
なお、反射型液晶パネルやワイヤーグリッドに対して光路下流側に配設された光学部品等にて反射され、ワイヤーグリッド側に戻った光束の一部も、ワイヤーグリッドを介して上記第2の直線偏光光と同様に光路外に出射され、筐体の内面に照射されることとなる。
したがって、ワイヤーグリッドを介して光路外に出射される不要光により、筐体が熱劣化してしまう恐れがある。
このため、上述した不要光の照射による筐体の熱劣化を防止してプロジェクターの長寿命化が図れる技術が要望されている。
【0005】
本発明の目的は、長寿命化が図れるプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプロジェクターは、入射した光束を、偏光方向が互いに直交する第1の直線偏光光及び第2の直線偏光光に偏光分離する反射型偏光板と、前記反射型偏光板に対して傾斜して配設され、前記反射型偏光板にて偏光分離された前記第1の直線偏光光を画像情報に応じて変調し、前記反射型偏光板に向けて出射する反射型光変調装置と、前記反射型偏光板及び前記反射型光変調装置を支持する支持体と、前記反射型光変調装置にて変調される前に前記反射型偏光板に入射し、前記反射型偏光板にて偏光分離された前記第2の直線偏光光の出射側に配設され、前記支持体に接続する遮蔽部材とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明では、プロジェクターは、反射型光変調装置にて変調される前に反射型偏光板に入射し、反射型偏光板にて偏光分離された第2の直線偏光光の出射側に配設された遮蔽部材を備える。
このことにより、上述した第2の直線偏光光や、反射型光変調装置及び反射型偏光板の光路下流側に配設された光学部品等にて反射されて反射型偏光板側に戻り、反射型偏光板を介して上記第2の直線偏光光と同様の方向に出射された光束等の不要光は、遮蔽部材に照射されることとなる。したがって、反射型光変調装置、反射型偏光板、支持体、及び遮蔽部材等を収納配置する筐体の内面に上述した不要光が照射されることがなく、筐体の熱劣化を防止してプロジェクターの長寿命化が図れる。
また、遮蔽部材が支持体に接続しているため、不要光の照射により遮蔽部材に生じた熱を支持体に伝達させることができる。すなわち、遮蔽部材と支持体とを独立させた構成と比較して、遮蔽部材の放熱特性を向上させて遮蔽部材の温度上昇を抑制できる。
【0008】
本発明のプロジェクターでは、前記遮蔽部材及び前記支持体は、一体成形されていることが好ましい。
本発明では、遮蔽部材及び支持体が一体成形されているので、遮蔽部材と支持体とを独立して製造した場合と比較して、遮蔽部材を支持体に対してネジ等により固定する工程を省略でき、プロジェクターを容易に製造できる。
ところで、遮蔽部材の放熱特性を向上させるためには、遮蔽部材に複数のフィンを設け、ヒートシンクとしての機能を持たせることが好ましい。
ここで、例えば、遮蔽部材を板金加工等で製造した場合には、遮蔽部材に複数のフィンを設けることが難しい。
これに対して、本発明では、遮蔽部材が支持体とともに成形により一体形成されているので、遮蔽部材に複数のフィンを容易に設けることができ、遮蔽部材にヒートシンクとしての機能を持たせることができる。そして、遮蔽部材にヒートシンクとしての機能を持たせることで、遮蔽部材の放熱特性を向上させることができるため、反射型光変調装置や反射型偏光板に生じた熱を支持体〜遮蔽部材の熱伝達経路を辿って遮蔽部材から放熱させることができ、反射型光変調装置や反射型偏光板の温度上昇も抑制できる。
【0009】
本発明のプロジェクターでは、前記反射型光変調装置は、入射した光束を変調する装置本体と、前記装置本体に電気的に接続されるフレキシブル配線基板とを備え、前記フレキシブル配線基板は、前記反射型光変調装置が前記支持体に支持された際に、前記遮光部材に向けて引き回され、前記遮蔽部材に取り付けられることが好ましい。
本発明では、遮蔽部材は、反射型光変調装置が支持体に支持された際に上述したように引き回されたフレキシブル配線基板を支持する。
このことにより、反射型光変調装置が支持体に支持された際に、フレキシブル配線基板が折り曲げられた状態となった場合であっても、遮蔽部材にてフレキシブル配線基板を補強することができる。このため、フレキシブル配線基板と装置本体との電気的な接続状態を良好に維持できる。
また、フレキシブル配線基板が遮蔽部材に取り付けられることで、上述した不要光がフレキシブル配線基板に照射されることも防止できるため、フレキシブル配線基板の熱劣化も防止できる。
【0010】
本発明のプロジェクターでは、前記遮蔽部材には、入射した光束を吸収する光吸収処理が施されていることが好ましい。
本発明では、遮蔽部材に光吸収処理が施されているので、遮蔽部材に照射された不要光が遮蔽部材にて反射され、再度、反射型偏光板側に戻ることを防止できる。すなわち、遮蔽部材にて反射された不要光が投射画像に含まれることがなく、投射画像の画像品位を良好に維持できる。
また、遮蔽部材に照射された不要光が遮蔽部材にて吸収されるため、遮蔽部材にて反射されることでプロジェクター外部に不要光が漏れることも防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態におけるプロジェクターの概略構成を模式的に示す図。
【図2】本実施形態における光学装置の構成を示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
〔プロジェクターの構成〕
図1は、プロジェクター1の概略構成を模式的に示す図である。
プロジェクター1は、光源から出射される光束を画像情報に応じて変調して画像光を形成し、当該画像光をスクリーン(図示略)上に投射する。このプロジェクター1は、図1に示すように、外装を構成する外装筐体2と、投射光学装置としての投射レンズ3と、光学ユニット4等を備える。
なお、図1において、具体的な図示は省略したが、外装筐体2内において、投射レンズ3及び光学ユニット4以外の空間には、プロジェクター1内部の各構成部材を冷却する冷却ファン等を備えた冷却ユニット、プロジェクター1内部の各構成部材に電力を供給する電源ユニット、及びプロジェクター1内部の各構成部材を制御する制御装置等が配置されるものとする。
【0013】
光学ユニット4は、前記制御装置による制御の下、光源から出射された光束を光学的に処理して画像信号に対応した画像光を形成する。この光学ユニット4は、図1に示すように、光源装置41と、照明光学装置42と、色分離光学装置43と、光学装置5と、これら各部材41〜43,5を内部に収納配置する光学部品用筐体44とを備える。
光源装置41は、光源ランプ411及びリフレクター412等を備える。
照明光学装置42は、第1レンズアレイ421、第2レンズアレイ422、入射した光束を略1種類の直線偏光光に変換する偏光変換素子423、及び重畳レンズ424を備える。
【0014】
色分離光学装置43は、青色光を反射させるB光反射ダイクロイックミラー431A及び緑色光、赤色光を反射させるGR光反射ダイクロイックミラー431BがX字状に配置されたクロスダイクロイックミラー431、緑色光を反射させるG光反射ダイクロイックミラー432、及び2枚の反射ミラー433,434を備える。
【0015】
そして、光源装置41から出射され照明光学装置42を介した光束は、クロスダイクロイックミラー431に入射し、青色光成分と緑色光成分及び赤色光成分とに分離される。
クロスダイクロイックミラー431にて分離された青色光は、反射ミラー433にて反射され、光学装置5を構成する後述するワイヤーグリッド51Bに入射する。
また、クロスダイクロイックミラー431にて分離された緑色光及び赤色光は、反射ミラー434にて反射された後、G光反射ダイクロイックミラー432に入射し、緑色光成分と赤色光成分とに分離される。そして、緑色光は、光学装置5を構成する後述するワイヤーグリッド51Gに入射する。一方、赤色光は、光学装置5を構成する後述するワイヤーグリッド51Rに入射する。
【0016】
〔光学装置の構成〕
図2は、光学装置5の構成を示す分解斜視図である。
なお、図2では、説明の便宜上、光学装置5におけるB色光側のみを図示し、R,G色光側の図示を省略しているが、R,G色光側もB色光側と同様に構成されているものである。
光学装置5は、図1または図2に示すように、反射型偏光板としての3つのワイヤーグリッド51と、3つの反射型光変調装置52と、3つの偏光板53と、色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム54と、3つの支持体55(図2)と、3つの遮蔽部材56(図2)とを備える。
なお、図1では、説明の便宜上、赤色光側のワイヤーグリッドを51R、緑色光側のワイヤーグリッドを51G、青色光側のワイヤーグリッドを51Bとしている。反射型光変調装置52及び偏光板53についても同様である。
【0017】
3つのワイヤーグリッド51は、格子構造に基づく回折により入射した光束を偏光分離する。各ワイヤーグリッド51は、図1または図2に示すように、後述する支持体55により、入射光束の光軸に対して略45°傾斜した状態で配置される。そして、各ワイヤーグリッド51は、入射した光束のうち、偏光変換素子423で揃えられた偏光方向と略同一の偏光方向を有する偏光光(第1の直線偏光光)を透過させ、前記偏光方向に直交する偏光方向を有する偏光光(第2の直線偏光光)を反射させ、入射した光束を偏光分離する。
【0018】
3つの反射型光変調装置52は、図2に示すように、装置本体としての反射型液晶パネル521と、フレキシブル配線基板としてのFPC522と、保持枠523と、ヒートシンク524とで構成されている。
そして、各反射型光変調装置52は、図1または図2に示すように、後述する支持体55により、各ワイヤーグリッド51を透過した光束の光軸に対して反射型液晶パネル521が略直交した状態でそれぞれ配置される。
【0019】
反射型液晶パネル521は、シリコン基板上に液晶が形成されたいわゆるLCOSで構成されている。
FPC522は、前記制御装置と反射型液晶パネル521とを電気的に接続する。すなわち、FPC522の一端側は、反射型液晶パネル521における平面視矩形状の長辺(鉛直軸に沿う方向)に相当する端部近傍に形成された外部回路接続端子(図示略)に圧着等により電気的に接続されている。また、FPC522の他端側には、コネクター(図示略)が設けられ、当該コネクターを介して前記制御装置に電気的に接続する。
このFPC522は、図2に示すように、略L字状に屈曲した形状を有する。そして、FPC522における屈曲した部分には、駆動用ICチップ(図示略)が設けられている。
【0020】
前記駆動用ICチップは、例えば、反射型液晶パネル521を駆動させるための駆動回路の一部を含んで構成され、FPC522に電気的及び機械的に固着されている。
そして、反射型液晶パネル521は、前記制御装置からの信号がFPC522及び前記駆動用ICチップを介して入力されることで、前記液晶の配向状態が制御され、ワイヤーグリッド51を透過した偏光光束の偏光方向を変調し、ワイヤーグリッド51に向けて反射する。反射型液晶パネル521にて変調され、ワイヤーグリッド51に向けて反射された光束は、偏光変換素子423で揃えられた偏光方向に直交する偏光方向を有する偏光光のみがワイヤーグリッド51にて反射されてプリズム54に向う。
【0021】
保持枠523は、反射型液晶パネル521を保持する部材であり、金属等の熱伝導性材料から構成されている。
ヒートシンク524は、保持枠523の背面に取り付けられ、反射型液晶パネル521及び保持枠523の熱を放熱する。
【0022】
3つの偏光板53は、各反射型液晶パネル521にて変調されワイヤーグリッド51にて反射された偏光方向と略同一の偏光方向を有する偏光光を透過させる。すなわち、ワイヤーグリッド51及び偏光板53の双方を用いることで、ワイヤーグリッド51にて所望の直線偏光光以外の偏光成分が反射された場合であっても、偏光板53にて前記偏光成分を除去する構成を採用している。
そして、各偏光板53は、図1または図2に示すように、後述する支持体55により、プリズム54の各光入射面541にそれぞれ対向するように配置される。
【0023】
プリズム54は、図1または図2に示すように、各偏光板53を透過した各色光がそれぞれ入射される各光入射面541を有し、入射した各色光を合成して画像光を形成する。このプリズム54は、4つの直角プリズムを貼り合せた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合せた界面には、2つの誘電体多層膜が形成されている。これら誘電体多層膜は、ワイヤーグリッド51Gにて反射された緑色光を透過し、各ワイヤーグリッド51R,51Bにて反射された赤、青色光をそれぞれ反射する。このようにして、各色光が合成されて画像光が形成される。そして、プリズム54で形成された画像光は、投射レンズ3によりスクリーンに向けて投射される。
【0024】
3つの支持体55は、金属等の熱伝導性材料から構成され、R,G,Bの色光毎に配設されるワイヤーグリッド51、反射型光変調装置52、及び偏光板53をそれぞれ支持する。
この支持体55は、図2に示すように、横断面略直角二等辺三角形状を有する三角柱状の中空部材であり、斜面である第1側面551、頂角を挟む第2側面552及び第3側面553を備える。そして、各側面551〜553には開口部554がそれぞれ形成されている。
【0025】
第1側面551には、ワイヤーグリッド51が固定される。
また、第2側面552には、反射型光変調装置52が固定される。
さらに、第3側面553には、偏光板53が固定される。
以上のように、各側面551〜553に各部材51〜53がそれぞれ固定されることで、各開口部554が閉塞され、支持体55内部の空間が密閉される。すなわち、この密閉空間内に反射型液晶パネル521の反射面が配置されることとなるので、反射面への粉塵の付着を防ぐことができ、反射面に付着した粉塵が投射画像中に影として映る等の投射画像の劣化を防止できる。
【0026】
3つの遮蔽部材56は、金属等の熱伝導性を有する板体で構成され、3つの支持体55にそれぞれ接続する。
この遮蔽部材56は、反射型液晶パネル521にて変調される前にワイヤーグリッド51に入射し、ワイヤーグリッド51にて偏光分離された光束(第2の直線偏光光)の出射側に配設されている。
より具体的に、遮蔽部材56は、図2に示すように、第1側面551及び第2側面552の交差する端部から第2側面552に略直交するように延出し、ワイヤーグリッド51を挟んでプリズム54の光入射面541に対向するように配置されている。そして、光入射面541に対向する側から見た場合には、遮蔽部材56は、ワイヤーグリッド51の一部を覆う。
また、遮蔽部材56において、プリズム54の光入射面541に対向する面には、鉛直方向に沿って延びる複数のフィン561が形成されている。
なお、本実施形態では、支持体55及び遮蔽部材56は、一体成形されたアルミニウム製の成形品で構成されている。また、支持体55及び遮蔽部材56には、ブラックアルマイト処理(光吸収処理)が施されている。
【0027】
そして、反射型光変調装置52が支持体55に支持された状態では、FPC552は、図2に示すように、遮蔽部材56側に折り曲げられ、屈曲部分が遮蔽部材56に取り付けられる。また、FPC552の他端側は、光学部品用筐体44の天面に形成された開口部(図示略)を介して光学部品用筐体44外部に引き回され、前記制御装置に接続される。
上述したようにFPC552の屈曲部分が遮蔽部材56に取り付けられた状態では、FPC552に固着された前記駆動用ICチップが遮蔽部材56に熱伝達可能に接続する。
【0028】
上述した本実施形態によれば、以下の効果がある。
本実施形態では、プロジェクター1は、ワイヤーグリッド51を挟んでプリズム54の光入射面541に対向するように配置された遮蔽部材56を備える。
このことにより、プリズム54の光入射面541に対して離間する方向に進行する不要光(反射型液晶パネル521にて変調される前にワイヤーグリッド51に入射し、ワイヤーグリッド51にて偏光分離された第2の直線偏光光や、プリズム54の光入射面541等にて反射されワイヤーグリッド51を透過した光束等)は、遮蔽部材56に照射されることとなる。したがって、光学部品用筐体44内面に上述した不要光が照射されることがなく、光学部品用筐体44の熱劣化を防止してプロジェクター1の長寿命化が図れる。
【0029】
また、遮蔽部材56が支持体55に接続しているため、不要光の照射により遮蔽部材56に生じた熱を支持体55に伝達させることができる。すなわち、遮蔽部材56と支持体55とを独立させた構成と比較して、遮蔽部材56の放熱特性を向上させて遮蔽部材56の温度上昇を抑制できる。
【0030】
さらに、遮蔽部材56及び支持体55が一体成形されているので、遮蔽部材56と支持体55とを独立して製造した場合と比較して、遮蔽部材56を支持体55に対してネジ等により固定する工程を省略でき、プロジェクター1を容易に製造できる。
また、遮蔽部材56が支持体55とともに成形により一体形成されているので、遮蔽部材56に複数のフィン561を容易に設けることができ、遮蔽部材56にヒートシンクとしての機能を持たせることができる。そして、遮蔽部材56にヒートシンクとしての機能を持たせることで、遮蔽部材56の放熱特性を向上させることができるため、反射型液晶パネル521、ワイヤーグリッド51、及び偏光板53に生じた熱を支持体55〜遮蔽部材56の熱伝達経路を辿って遮蔽部材56から放熱させることができ、上述した各部材51,53,521の温度上昇も抑制できる。
【0031】
さらに、遮蔽部材56は、反射型光変調装置52が支持体55に支持された際に、FPC522を支持する。
このことにより、反射型光変調装置52が支持体55に支持された際に、FPC522が折り曲げられた状態となった場合であっても、遮蔽部材56にてFPC522を補強することができる。このため、FPC522と反射型液晶パネル521との電気的な接続状態を良好に維持できる。
また、FPC522が遮蔽部材56に取り付けられることで、上述した不要光がFPC522に照射されることも防止できるため、FPC522の熱劣化も防止できる。
さらに、前記駆動用ICチップが遮蔽部材56に熱伝達可能に接続するので、前記駆動用ICチップの動作時の発熱を遮蔽部材56や支持体55を介して放熱することができ、前記駆動用ICチップの長寿命化も図れる。
【0032】
また、遮蔽部材56及び支持体55にブラックアルマイト処理が施されているので、遮蔽部材56に照射された不要光が遮蔽部材56にて反射され、再度、ワイヤーグリッド51を介してプリズム54に入射することを防止できる。すなわち、遮蔽部材56にて反射された不要光が投射画像に含まれることがなく、投射画像の画像品位を良好に維持できる。
また、遮蔽部材56に照射された不要光が遮蔽部材56にて吸収されるため、遮蔽部材56にて反射されてプロジェクター1外部に不要光が漏れることも防止できる。
【0033】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、反射型偏光板としてワイヤーグリッド51が用いられていたが、反射型偏光板であれば、その他の構成でも構わない。
例えば、反射型偏光板として、誘電体多層膜によって形成される偏光分離素子、液晶材料等の屈折率異方性(複屈折性)を有する有機材料を層状に積層させた高分子系の層状偏光板、偏りのない光を右回りの円偏光と左回りの円偏光とに分離する円偏光反射板と1/4波長板を組み合わせた光学素子、ブリュースター角を利用して反射偏光光と透過偏光光とに分離する光学素子、あるいは、ホログラムを利用したホログラム光学素子等を採用しても構わない。
【0034】
前記実施形態では、反射型偏光板としてのワイヤーグリッド51は、第1の直線偏光光を透過させて反射型液晶パネル521に入射させるとともに、第2の直線偏光光を光路外に反射させていたが、これに限らない。
例えば、反射型偏光板としては、上記とは逆に、第1の直線偏光光を反射させて反射型液晶パネル521に入射させるとともに、第2の直線偏光光を透過させて光路外に出射する構成としても構わない。
この場合においても、遮蔽部材56は、上記第2の直線偏光光の出射側に配設されるものである。
【0035】
前記実施形態では、支持体55は、横断面略直角二等辺三角形状の三角柱状に形成されていたが、これに限らず、ワイヤーグリッド51と反射型光変調装置52とが略45°をなすようにこれら各部材51,52を支持できる形状であれば、その他の形状で構成しても構わない。
前記実施形態では、支持体55の第3側面553に偏光板53が配設されていたが、偏光板53を省略した構成としてもよく、あるいは、偏光板53の代わりに、位相差板、光学補償板等の他の光学素子を配置しても構わない。
前記実施形態では、遮蔽部材56に施される光吸収処理としてブラックアルマイト処理を採用していたが、これに限らず、その他の処理を採用しても構わない。
【0036】
前記実施形態では、支持体55及び遮蔽部材56が一体成形されていたが、これに限らず、例えば、支持体55及び遮蔽部材56を独立して製造し、支持体55に対してネジ等により遮蔽部材56を接続する構成を採用しても構わない。
前記実施形態では、プロジェクター1は、反射型光変調装置52を3つ備える三板式のプロジェクターで構成されていたが、これに限らず、反射型光変調装置52を1つ、2つ、あるいは、4つ以上備えるプロジェクターとして構成されても構わない。
前記実施形態では、スクリーンを観察する方向から投射を行うフロントタイプのプロジェクターの例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを観察する方向とは反対側から投射を行うリアタイプのプロジェクターにも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、プレゼンテーションやホームシアターに用いられるプロジェクターとして利用できる。
【符号の説明】
【0038】
1・・・プロジェクター、51・・・ワイヤーグリッド(反射型偏光板)、52・・・反射型光変調装置、55・・・支持体、56・・・遮蔽部材、521・・・反射型液晶パネル(装置本体)、522・・・FPC(フレキシブル配線基板)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した光束を、偏光方向が互いに直交する第1の直線偏光光及び第2の直線偏光光に偏光分離する反射型偏光板と、
前記反射型偏光板に対して傾斜して配設され、前記反射型偏光板にて偏光分離された前記第1の直線偏光光を画像情報に応じて変調し、前記反射型偏光板に向けて出射する反射型光変調装置と、
前記反射型偏光板及び前記反射型光変調装置を支持する支持体と、
前記反射型光変調装置にて変調される前に前記反射型偏光板に入射し、前記反射型偏光板にて偏光分離された前記第2の直線偏光光の出射側に配設され、前記支持体に接続する遮蔽部材とを備える
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
前記遮蔽部材及び前記支持体は、一体成形されている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプロジェクターにおいて、
前記反射型光変調装置は、
入射した光束を変調する装置本体と、
前記装置本体に電気的に接続されるフレキシブル配線基板とを備え、
前記フレキシブル配線基板は、
前記反射型光変調装置が前記支持体に支持された際に、前記遮光部材に向けて引き回され、前記遮蔽部材に取り付けられる
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のプロジェクターにおいて、
前記遮蔽部材には、
入射した光束を吸収する光吸収処理が施されている
ことを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−154070(P2011−154070A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13928(P2010−13928)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】