説明

プロジェクター

【課題】画像を良好に視認させることができるプロジェクターを提供すること。
【解決手段】プロジェクター1Aは、画像光を形成し、形成した前記画像光を出射する表示装置本体2Aと、位相差板41を有する光学装置4と、を備え、光学装置4は、表示装置本体2Aの投影口28に装着手段6によって着脱自在に装着され、装着手段6は、光学装置4および投影口28に設けられた磁石61,62,63,64で構成され、光学装置4は、前記画像光の偏光状態を変化させることのできる位置で、磁石61,62,63,64の磁力によって装着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スクリーン上に画像を投影するプロジェクター(投射型画像表示装置)と、観察者に装着される偏光眼鏡とを備え、当該偏光眼鏡を通してスクリーン上の投影画像を立体視させる画像表示システム(画像表示装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載されたプロジェクターは、2次元画像表示用から、光学装置(偏光面変換部材)をプリズム出射後の位置に装着させて3次元画像表示用に切り替えられる。この画像表示システムにおいては、2台のプロジェクターの内の一方のプロジェクターから出射された出射光(直線偏光)について、その偏光方向を光学装置によって90度だけ回転させて、左目用の画像光(第1直線偏光)とする。他方のプロジェクターから出射された出射光(直線偏光)は、光学装置を介さずにそのまま右目用の画像光(第2直線偏光)とする。そして、前記した2台のプロジェクターから出射された左目用の画像光および右目用の画像光は、スクリーン上で互いに90度だけ偏光方向が異なる直線偏光として結像されるようにしている。特許文献1の光学装置は、1/2波長板が用いられている。また、偏光眼鏡は、第1直線偏光のみを透過させる左偏光レンズと、第2直線偏光のみを透過させる右偏光レンズとを備える。
そして、観察者は、偏光眼鏡を通して、左目にて左目用の画像光(第1直線偏光)のみを視認し、右目にて右目用の画像光(第2直線偏光)のみを視認することで、投影画像を立体視する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−36004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のとおり、特許文献1に記載されたプロジェクターのように、光学装置としての1/2波長板を用いて画像光の偏光方向を変える際に、当該1/2波長板の光学軸を画像光の偏光方向に対して適切な角度や面で配置する必要がある。
適切に配置されないと、光学装置を通過して出射される画像光の偏光方向が所望の偏光方向とずれてしまう。そうすると、右目用画像光と左目用画像光とが混在し、例えば、右目に左目用画像光が入ってしまう所謂クロストークが増加してしまう。
また、光学装置を通過して出射される画像光の偏光度を高めるために、1/2波長板の後段に偏光板を配置した構成の光学装置もある。このような光学装置を用いる場合も、適切に配置されないと、偏光板で吸収される光が増加して、偏光板の温度が上昇したり、画像光が暗くなってしまったりするという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、画像表示システムにおいて、画像を良好に視認させることができるプロジェクターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプロジェクターは、画像光を形成し、形成した前記画像光を出射する表示装置本体と、位相差板を有する光学装置と、を備え、前記光学装置は、前記表示装置本体の投影口に装着手段によって着脱自在に装着され、前記装着手段は、前記光学装置および前記投影口に設けられた磁石で構成され、前記光学装置は、前記画像光の偏光状態を変化させることのできる位置で、前記磁石の磁力によって装着されることを特徴とする。
【0007】
本発明では、位相差板を有する光学装置が、画像光の偏光状態を変化させることのできる位置で、磁石の磁力によって表示装置本体に着脱自在に装着される。ここで、偏光状態とは、例えば、直線偏光であれば偏光方向、円偏光であれば右回りまたは左回りのことをいう。
従来は、誤った位置(例えば、角度や面)で光学装置が装着され、所望の偏光状態の画像光を形成できず、クロストークが増加していた。
一方で、本発明では、画像光の偏光状態を所望の偏光状態に変化させることのできる位置となるときに、光学装置が表示装置本体に対して装着される。つまり、磁石の磁力で装着されたときに、所望の偏光状態に変化させることができるように、位相差板の光学軸が、出射される画像光の偏光方向に対して配置される。そのため、クロストークが増加した状態のまま画像を視認することを防止できる。
ゆえに、本発明によれば、画像表示システムにおいて、画像を良好に視認させることができる。
【0008】
本発明のプロジェクターでは、前記光学装置は、矩形状に形成され、前記光学装置側の前記磁石は、第1磁石および第2磁石で構成され、前記第1磁石および前記第2磁石は、前記光学装置の装着時に前記表示装置本体側に対して互いに異なる磁極が向かうように、前記矩形の対角線上に配置され、前記表示装置本体側の前記磁石は、第3磁石および第4磁石で構成され、前記第3磁石および前記第4磁石は、前記光学装置の装着時の前記第1磁石および前記第2磁石と対応する位置に設けられ、前記光学装置は、前記画像光の偏光状態を変化させることのできる位置で、前記第1磁石と前記第3磁石との磁力、並びに前記第2磁石と前記第4磁石との磁力によって装着されることが好ましい。
【0009】
本発明では、光学装置側の第1磁石および第2磁石が、対角線上に配置されるとともに、光学装置の装着時に互いに異なる磁極を表示装置本体側に向かうように配置されている。表示装置本体側の第3磁石および第4磁石は、光学装置の装着時の第1磁石および第2磁石と対応する位置に配置されている。そして、光学装置は、前記画像光の偏光状態を変化させることのできる位置で、第1磁石と第3磁石との磁力、並びに第2磁石と第4磁石との磁力によって装着される。
このような本発明によれば、表示装置本体側の投影口に対して光学装置が適切な面および角度で近づけば、第1磁石〜第4磁石の磁力によって引き合って装着される。
しかしながら、磁力による装着状態から、位相差板に画像光が入射する位置を保ちながら光学装置の角度を変えていくと、光学装置側の磁石と表示装置本体側の磁石とが離れることになり、磁力が不足して、装着されない。磁力による装着状態から、180度回転すると、磁力の反発によって固定されなくなる。
また、磁力による装着状態から、光学装置の面を反対側にして投影口に対して近づけると、光学装置の第1磁石および第2磁石に対応する位置に、表示装置側の第3磁石および第4磁石が設けられていないため装着されない。さらに、そのまま回転させても磁力の引き合いが発生する位置が無いため、光学装置は、装着されない。
したがって、本発明のような磁石の配置とすることで、光学装置を適切な面および角度で表示装置に装着できるようになり、より確実に画像を良好に視認させることができる。
【0010】
本発明のプロジェクターでは、前記投影口には、前記光学装置の外形と略同形状の凹部が形成されていることが好ましい。
【0011】
本発明では、表示装置本体の投影口に光学装置の外形と略同形状の凹部が形成されているので、当該凹部の形状に光学装置の外形を合わせて装着すれば、光学装置を装着する際の角度ずれをより確実に防止できる。
【0012】
本発明のプロジェクターでは、前記表示装置本体は、前記投影口に前記光学装置が装着されたことを検知する検知手段と、前記検知手段で検出した情報に基づいて出射させる画像光を制御する制御手段と、を備えることが好ましい。
【0013】
本発明では、検知手段によって光学装置が投影口に装着されたことを検知できる。制御手段は、検知手段で検出した光学装置の装着に関する情報に基づいて、出射させる画像光を制御できる。そのため、表示装置本体の投射レンズから出射させる画像光を立体表示用に自動で切り替えたり、画像光を右目用にするか左目用にするかなどを自動で切り替えたりする制御を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態における画像表示システムの使用形態を示す斜視図。
【図2】第1実施形態における画像表示システムの構成を模式的に示すブロック図。
【図3】第1実施形態における第1光学装置の装着状態を示す斜視図。
【図4】第1実施形態における左用プロジェクター本体の構成を示す平面図。
【図5】第1実施形態における左用プロジェクター本体の光学ユニットの一部拡大した平面図。
【図6】第1実施形態における第2光学装置の装着状態を示す斜視図。
【図7】第1実施形態における右用プロジェクター本体の光学ユニットの一部を拡大した平面図。
【図8】第1実施形態における左用プロジェクターおよび右用プロジェクターから出射され画像選択装置に至る画像光の偏光状態を示す図。
【図9】第2実施形態における第1光学装置の装着状態を示す斜視図。
【図10】第2実施形態における第1光学装置の装着状態を一部拡大して示す正面図。
【図11】第3実施形態における第1光学装置の装着状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔画像表示システムの構成〕
図1は、画像表示システム1の使用形態を示す斜視図である。
図2は、画像表示システム1の構成を模式的に示すブロック図である。
図3は、左用プロジェクター本体2Aの外装筐体2Cに第1光学装置4が、装着手段6によって装着される状態を示す斜視図である。
図4は、左用プロジェクター本体2Aの内部構成を模式的に示す平面図である。
図5は、図4に示す光学ユニット2Uの一部を拡大した平面図である。
【0016】
画像表示システム1は、反射型のスクリーンSc上に投影画像を表示するとともに、観察者に投影画像を立体視させる。この画像表示システム1は、図1に示すように、左用プロジェクター1Aと、右用プロジェクター1Bと、画像選択装置としての偏光眼鏡3とを備える。偏光眼鏡3は、左用プロジェクター本体2Aおよび右用プロジェクター本体2Bとは別体で構成される。
左用プロジェクター1Aは、左用プロジェクター本体2Aと、第1光学装置4とを備える。右用プロジェクター1Bは、右用プロジェクター本体2Bと、第2光学装置5とを備える。なお、左用プロジェクター本体2Aおよび右用プロジェクター本体2Bは、本発明の表示装置本体に相当する。第1光学装置4および第2光学装置5は、本発明の光学装置に相当する。
【0017】
〔プロジェクターの構成〕
左用プロジェクター1Aは、画像情報(画像データ)に基づく左目用画像光(第1画像光)を形成してスクリーンに投射し、右用プロジェクター1Bは、画像情報(画像データ)に基づく右目用画像光(第2画像光)を形成してスクリーンに投射する。
左用プロジェクター本体2Aと右用プロジェクター本体2Bは、略同様の構成を備え、左用プロジェクター本体2Aおよび右用プロジェクター本体2Bのそれぞれの投射レンズから出射される画像光の偏光方向は、同一である。左用プロジェクター本体2Aからの画像光を出射する投射レンズの後段には、左用プロジェクター本体2Aからの画像光を左目用とするための第1光学装置4が、装着手段6によって装着される(図3参照)。一方、右目用の右用プロジェクター本体2Bには、第1光学装置4と外形がほぼ同じに形成された第2光学装置5が、装着手段6によって装着される(図6参照)。
【0018】
左用プロジェクター本体2Aおよび右用プロジェクター本体2Bは、略同様の構成を有しているため、以下では、左用プロジェクター本体2Aを主に説明し、右用プロジェクター本体2Bについては左用プロジェクター本体2Aと異なる点のみを説明する。また、図2では、各プロジェクター本体2A,2Bにおいて、同様の機能を有する構成については、同一の符号を付している。以下の図も同様である。
【0019】
左用プロジェクター本体2Aは、図1,図2,図4に示すように、外装を構成する外装筐体2C(図1)と、外装筐体2Cに収納される光学ユニット2U(図4)および制御装置2D(図2)とを備える。
外装筐体2Cには、図3に示すように、投影口28が形成されている。投影口28には、外装筐体2C面よりも内側に所定寸法分、矩形状に窪んだ凹部281が形成されている。第1光学装置4も後述するように矩形状なので、凹部281は、第1光学装置4と略同形状に形成されている。凹部281の窪み寸法は、第1光学装置4の厚さ寸法よりも小さく形成されている。凹部281の略中央には、投射レンズ26から出射される画像光を外装筐体2C外部へと取り出すための開口282が形成されている。
【0020】
〔装着手段〕
装着手段6は、図3に示すように、第1光学装置4に設けられた第1磁石61および第2磁石62と、左用プロジェクター本体2Aの投影口28の近傍に設けられた第3磁石63および第4磁石64とで構成される。第1磁石61および第2磁石62については、後述する。
第3磁石63は、外装筐体2C外側から投射レンズ26に向かって見た場合に、矩形状に窪んだ凹部281の右上側に配置され、第4磁石64は、凹部281の左下側に配置されている。つまり、第3磁石63と第4磁石64とが凹部281の矩形に対して投射レンズ26を間に挟んだ対角線上に配置されている。このような、第3磁石63および第4磁石64の配置は、後述する第1光学装置4が装着された際の第1磁石61および第2磁石62の配置と対応する位置関係となっている。
第3磁石63の磁極は、N極Npが外装筐体2C外側に向かい、S極Spが外装筐体2C内側に向かうように配置されている。第4磁石64の磁極は、S極Spが外装筐体2C外側に向かい、N極Npが外装筐体2C内側に向かうように配置されている。このように配置される第3磁石63および第4磁石64と、後述する第1光学装置4の第1磁石61および第2磁石62との間で働く磁力によって、第1光学装置4が左用プロジェクター本体2Aに適切な位置で装着される。
【0021】
〔第1光学装置〕
第1光学装置4は、図3に示すように、左用プロジェクター本体2Aの外装筐体2Cの投影口28に装着される。つまり、第1光学装置4は、投射レンズ26の後段に配置されることになる(図4および図5参照)。
第1光学装置4は、画像光の偏光状態を変化させる。
第1光学装置4は、図3に示すように、位相差板41と、偏光板42と、装着手段6を構成する第1磁石61および第2磁石62と、これらを保持する保持体44とを備える。
【0022】
位相差板41は、1/2波長板で構成される。
位相差板41は、第1光学装置4が装着手段6によって左用プロジェクター本体2Aに装着された際に、その光学軸が、投射レンズ26から出射された画像光(第1直線偏光S)の偏光軸に対して45度傾斜した状態となるように、保持体44に保持されている。
位相差板41は、図5に示すように、投射レンズ26から出射された画像光(第1直線偏光S)の偏光方向を、これと直行する第2直線偏光Pに変換する。第1直線偏光Sおよび第2直線偏光Pの偏光方向については、後述する。
【0023】
偏光板42は、第1光学装置4が装着手段6によって左用プロジェクター本体2Aに装着された際に、その透過軸が、投射レンズ26から出射された画像光(第1直線偏光S)の偏光方向に直交するように、保持体44に保持されている。
偏光板42は、位相差板41によって第1直線偏光Sから変換された第2直線偏光Pと同一の透過軸を有するため、第2直線偏光Pをそのまま通過させる(図5参照)。
【0024】
保持体44は、矩形板状に形成されており、その厚さ寸法は、投影口28の凹部281の窪み寸法よりも大きい。保持体44の厚さ方向で見た第1光学装置の平面視(以下、第1光学装置平面視という。)で、保持体44の一方側の面には、位相差板41が露出するように保持され、他方側の面には、偏光板42が露出するように保持されており、さらに、第1光学装置4が投影口28に装着された際に、投射レンズ26から投射された画像光が位相差板41および偏光板42に入射する位置に保持されている。
【0025】
保持体44の側面には、図3に示すように、凸部45が形成されている。
凸部45は、保持体44の面方向外側に向かって延出している。第1光学装置4が位相差板41側の面を投影口28側に向けて装着された際に、左用プロジェクター本体2Aの投影口28の近傍に設けられている後述の検知手段283をオン状態にし、制御装置2Dが第1光学装置4の装着を認識する。
【0026】
第1磁石61は、図3に示すように、第1光学装置平面視で、偏光板42側から見た場合に、矩形状の保持体44の右上側に配置され、第2磁石62は、矩形状の保持体44の左下側に配置されている。つまり、第1磁石61と第2磁石62とが保持体44の矩形に対して位相差板41や偏光板42を間に挟んだ対角線上に配置されている。
第1磁石61の磁極は、位相差板41側の面にS極Spが向かい、偏光板42側の面にN極Npが向かうように配置されている。一方の、第2磁石62の磁極は、位相差板41側の面にN極Npが向かい、偏光板42側の面にS極Spが向かうように配置されている。つまり、第1光学装置平面視で第1光学装置4の一方側の面に向かう前記第1磁石の磁極と前記第2磁石の磁極とは、反対の関係となっている。
本実施形態では、前述のとおり、左用プロジェクター本体2A側の第3磁石63の磁極は、N極Npが外装筐体2C外側に向かい、第4磁石64の磁極は、S極Spが外装筐体2C外側に向かっている。そのため、図3に示すように、第1光学装置4の位相差板41側の面を投影口28側に向けて近づけると、第1磁石61のS極Spと第3磁石63のN極Npとが磁力によって引き合う。他方、図3に示すように、第2磁石62のN極Npと第4磁石64のS極Spとが磁力によって引き合う。このように、第1光学装置4が磁力によって適切な位置に装着される。
【0027】
ここで、第1光学装置4の位相差板41側を投影口28に向けたまま、180度回転させた場合、第1光学装置4を投影口28に近づけると、第3磁石63に対して、第2磁石62が接近し、第4磁石64に対して第1磁石61が接近する。このとき、第3磁石63のN極Npと第2磁石62のN極Npとが近づき、第4磁石64のS極Spと第1磁石61のS極Spとが近づくので、磁力の反発が生じる。よって、第1光学装置4が投影口28に対して上下反対に装着されることが防止される。
また、第1光学装置4の位相差板41側を投影口28に向けたまま回転させていくと、第1光学装置4の磁石と投影口28の磁石とが離れていくので、磁力による引き合いが弱まる。よって、第1光学装置4が投影口28に対して不適切な角度で装着されることが防止される。
さらに、第1光学装置4の偏光板42側を投影口28に向けて近づけた場合(表裏反対にした場合)、第1磁石61および第2磁石62の位置と、第3磁石63および第4磁石64の位置とが一致しないので、磁力による引き合いが発生しない。そのまま回転させても磁力の引き合いが発生する位置が無いため、第1光学装置4は、装着されない。よって、第1光学装置4が表裏反対に装着されることが防止される。
【0028】
〔左用プロジェクター本体の内部構成〕
左用プロジェクター本体2Aは、図1または図2に示すように、外装を構成する外装筐体2Cと、外装筐体2C内部に収納される光学ユニット2U(図4)で大略構成されている。
光学ユニット2Uは、制御装置2Dによる制御の下、画像情報(画像データ)に基づく画像光を形成して投射する。
【0029】
この光学ユニット2Uは、図4に示すように、光源装置21と、照明光学装置22と、色分離光学装置23とを備える。
光源装置21は、光源ランプ211およびリフレクター212を有する。
照明光学装置22は、レンズアレイ221,222、偏光変換素子223および重畳レンズ224を有する。
色分離光学装置23は、ダイクロイックミラー231,232および反射ミラー233を有する。
【0030】
また、光学ユニット2Uは、リレー光学装置24と、内部光学装置25とを備える。
リレー光学装置24は、入射側レンズ241、リレーレンズ243および反射ミラー242,244を有する。
内部光学装置25は、3つの液晶パネル251、3つの入射側偏光板252、3つの出射側偏光板253、2つの1/2波長板254および色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム255(以下、適宜、プリズム255と称する)を有する。
【0031】
さらに、光学ユニット2Uは、投射光学装置としての投射レンズ26と、上述した各光学部品21〜25を内部に収納するとともに投射レンズ26を支持する光学部品用筐体27とを備える。
【0032】
そして、光学ユニット2Uでは、上述した構成により、光源装置21から出射され照明光学装置22を介した光束は、色分離光学装置23でR,G,Bの3つの色光に分離される。また、分離された各色光は、各液晶パネル251にて画像情報に応じてそれぞれ変調される。変調された各色光(各画像光)は、プリズム255にて合成され、投射レンズ26にてスクリーンScに投射される。
【0033】
以下、図4および図5を参照して、前述した内部光学装置25の構成について詳細に説明する。なお、図5では、図4に示した内部光学装置25のうち、液晶パネル251、入射側偏光板252、出射側偏光板253および1/2波長板254については、図示を省略している。リレー光学装置24の入射側レンズ241およびリレーレンズ243についても同様である。
【0034】
内部光学装置25は、前述した各部材251〜255以外に、以下の構成を備える。
内部光学装置25は、図4および図5に示すように、色分離光学装置23の光路後段であってプリズム255の光路前段に光学フィルター256を備える。R色光側の光学フィルターを256R、G色光側の光学フィルターを256Gとする。光学フィルター256Rは、R色光の光路におけるダイクロイックミラー232とプリズム255の間に配設される。光学フィルター256Gは、G色光の光路におけるダイクロイックミラー232とプリズム255の間に配設される。
【0035】
この光学フィルター256R,256Gは、特定の波長域の光束を除去する。
光学フィルター256Rは、色分離光学装置23で分離されたR色光から特定の波長域の光束を除去し、他の波長域の光束を透過する。光学フィルター256Gは、色分離光学装置23で分離されたG色光から特定の波長域の光束を除去し、他の波長域の光束を透過する。
【0036】
プリズム255は、図5に示すように、平面視で略X字状に交差する一対の誘電体多層膜255A,255Bを有する。一方の誘電体多層膜255AはR色光を反射するものであり、他方の誘電体多層膜255BはB色光を反射するものである。
また、内部光学装置25は、プリズム255の光路後段、具体的には、図4に示すように、プリズム255と投射レンズ26の間に偏光変換装置257を備える。
この偏光変換装置257は、プリズム255から入射される合成後の光束のうち、G色光に対応する波長域の偏光軸を90度回転させる。なお、この偏光変換装置257の詳細な特性については、後述する。
【0037】
ここで、本実施形態では、図4に示す光源装置21から出射された光束は、以下に示すように、偏光方向を変えながら進行する。
なお、以下では、図4中、紙面に直交する偏光方向を有する直線偏光を第1直線偏光S(図5では符号「S」と表記)と記載し、第1直線偏光Sの偏光方向に直交し、図4中、紙面に平行する偏光方向を有する直線偏光を第2直線偏光P(図5では符号「P」と表記)として記載する。
また、以下では、説明の便宜上、R色光側の液晶パネル251、入射側偏光板252、出射側偏光板253および1/2波長板254をそれぞれ251R,252R,253R,254Rとする(図4参照)。G色光側およびB色光側も同様に記載する(図4参照)。なお、図4に示すように、液晶パネル251R、入射側偏光板252R、出射側偏光板253Rおよび1/2波長板254Rで1つの光変調装置25Rを構成している。G色光側の光変調装置25GおよびB色光側の光変調装置25Bも同様である。但し、G色光側の光変調装置25Gについては、1/2波長板254は除かれる。
【0038】
先ず、光源装置21から出射された光束の略全ては、図4に示す偏光変換素子223によって第1直線偏光Sに変換される。そして、偏光変換素子223から出射された光束は、色分離光学装置23にてR,G,Bの各色光に分離され、各色光が第1直線偏光Sとして内部光学装置25に入射することとなる。
3つの入射側偏光板252は、偏光変換素子223で揃えられた光束の偏光方向と略同一方向の透過軸を有する。すなわち、内部光学装置25に入射した各色光(第1直線偏光S)は、偏光方向が変更されることなく、第1直線偏光Sが各入射側偏光板252から出射される。
3つの出射側偏光板253は、入射側偏光板252の透過軸に対して照明光軸A(図4)を中心として90度回転した透過軸を有する。すなわち、各入射側偏光板252から出射され、各液晶パネル251を介して各出射側偏光板253に入射した各色光のうち第2直線偏光Pが、各出射側偏光板253から出射される。
【0039】
ここで、1/2波長板254は、図4に示すように、R,Bの各色光側において、各出射側偏光板253R,253Bとプリズム255との間に配設されている。すなわち、各出射側偏光板253から出射されたR,G,Bの各色光(第2直線偏光P)のうち、R,Bの各色光が1/2波長板254R,254Bによって第1直線偏光Sに変換される。
そして、この1/2波長板254Rおよび前述した出射側偏光板253Gの各色光の出射面には、図4および図5に示すように、前述した光学フィルター256R,256Gが配設されている。光学フィルター256Rは、1/2波長板254Rから入射されたR色光から特定の波長域を除去し、光学フィルター256Gは、出射側偏光板253Gから入射されたG色光から特定の波長域を除去する。
プリズム255は、誘電体多層膜255A,255Bによって光学フィルター256Rから入射されたR色光および1/2波長板254Bから入射されたB色光を曲折させ、光学フィルター256Gから入射されたG色光の進行方向と揃えられることにより、3つの色光を合成する。
【0040】
偏光変換装置257は、プリズム255で合成された光束のうち、G色光に対応する波長域の偏光軸を90度回転させ、当該光束の偏光方向を、図5に示すように、第1直線偏光Sの偏光方向に揃える。このような、偏光変換装置は、波長選択性偏光回転素子とも呼ばれ、例えば、特開2010−204333号公報に開示されている。
偏光変換装置257で偏光方向が第1直線偏光Sの偏光方向に揃えられた画像光は、投射レンズ26(図4)によって投射される。
投射レンズ26によって投射された当該画像光は、図5に示すように、左用プロジェクター本体2Aに装着された第1光学装置4に入射される。
【0041】
〔検知手段〕
左用プロジェクター本体2Aの投影口28の近傍には、図3に示すように、第1光学装置4が装着されたことを検出するための検知手段283が設けられている。
検知手段283は、2つの第1リーフスイッチ283aおよび第2リーフスイッチ283bで構成される。リーフスイッチ283a,283bは、ノーマルオープン型のリーフスイッチである。
第1光学装置4が位相差板41側の面を投影口28側に向けて装着手段6の磁力によって装着された際に、保持体44の凸部45が、第1リーフスイッチ283aを押圧する。押圧された第1リーフスイッチ283aは、オン状態となって、電気信号が制御装置2Dへと送られる。当該電気信号を受信した制御装置2Dは、第1光学装置4が装着されたことを認識して、後述のような制御を行う。
【0042】
〔右用プロジェクターの構成〕
図6は、右用プロジェクター本体2Bの外装筐体2Cに第2光学装置5が装着される状態を示す斜視図である。
図7は、右用プロジェクター本体2Bの光学ユニット2Uの一部を拡大した平面図である。
右用プロジェクター本体2Bは、投射レンズ26の後段に、第2光学装置5が装着される点で、左用プロジェクター本体2Aと相違する。
【0043】
〔第2光学装置〕
第2光学装置5は、図6に示すように、偏光板52と、装着手段6を構成する第1磁石61および第2磁石62と、これらを保持する保持体54とを備える。第2光学装置5は、第1光学装置4とは異なり位相差板41を有していない。
【0044】
保持体54は、保持体44と略同様の寸法で矩形板状に形成されているが、保持体44の凸部45とは異なる位置に凸部55を有する。凸部55は、図6に示すように、保持体54の側面に形成され、保持体54の面方向外側に向かって延出している。第2光学装置5が装着された際に、当該凸部55が、第2リーフスイッチ283bを押圧して、第2リーフスイッチ283bをオン状態にする。オン状態となった第2リーフスイッチ283bから電気信号が右用プロジェクター本体2Bを構成する制御装置2E(図2参照)へと送られ、制御装置2Eは、第2光学装置5が装着されたことを認識して、後述のような制御を行う。
【0045】
偏光板52は、保持体54の厚さ方向で見た第2光学装置の平面視(以下、第2光学装置平面視という。)で、第2光学装置5が投影口28に装着された際に、投射レンズ26から投射された光束が入射する位置に保持されている。
【0046】
第2光学装置5および右用プロジェクター本体2Bにおいて、装着手段6を構成する各磁石61,62,63,64は、第1光学装置4および左用プロジェクター本体2Aと同様な位置関係で設けられているので、第2光学装置5は、第1光学装置4と同様な位置で装着される。
本実施形態では、偏光板52は、各磁石61,62,63,64の磁力で第2光学装置5が装着されるときに、投射レンズ26から出射された右目用画像光(第1直線偏光S)の偏光方向と偏光板52の透過軸が一致するように配置されている。そのため、図7に示すように、投射レンズ26から出射された右目用画像光(第1直線偏光S)は、第2光学装置5を通過してもそのままの偏光方向で、スクリーンScに投射される。
【0047】
〔制御装置の構成〕
左用プロジェクター本体2Aを構成する制御装置2Dは、CPU(CENTRAL PROCESSING UNIT)等を有し、左用プロジェクター本体2Aの投影口28に対して装着された光学装置の種類を判別するとともに、液晶パネル251の動作を制御する。
この制御装置2Dは、図2に示すように、信号判別部291と、画像ROM(READ ONLY MEMORY)292、信号処理部293と、パネル駆動部294と、タイミングコントローラー295と、を備える。
タイミングコントローラー295は、左用プロジェクター本体2A外部から基準同期信号を入力し、当該基準同期信号に同期して後述するパネル駆動部294を動作させる。すなわち、タイミングコントローラー295は、左用プロジェクター本体2Aと右用プロジェクター本体2BとでスクリーンSc上に投影される左目用画像および右目用画像の表示タイミングを同期させる。
【0048】
信号判別部291は、外部から入力した入力信号に含まれる左右画像信号から、左目用画像信号と、右目用画像信号とを判別する。
そして、信号判別部291は、左目用画像信号を左目用画像データとして、右目用画像信号を右目用画像データとして、それぞれ区別して画像ROM292に記憶させる。
画像ROM292が記憶する左目用画像データおよび右目用画像データは、1フレーム毎のデータの集まりによってそれぞれ構成されている。
信号処理部293は、画像ROM292に記憶された左目用画像データまたは右目用画像データのいずれかを読み出し、読み出した画像データを赤、緑、青の各色信号に変換してパネル駆動部294に出力する。ここで、第1光学装置4が左用プロジェクター本体2Aに装着されてオン状態になった第1リーフスイッチ283aから電気信号を受信した場合、信号処理部293は、左用プロジェクター本体2Aから左目用画像光(第1画像光)が出射されるように、左目用画像データをパネル駆動部294に出力する。
そして、パネル駆動部294は、信号処理部293から出力された各色信号に基づいて、各色信号に対応する各液晶パネル251を駆動する。
すなわち、左用プロジェクター本体2Aは、スクリーンSc上に左目用画像データに基づく左目用画像光(第1画像光)を投影する。
【0049】
右用プロジェクター本体2Bを構成する制御装置2Eは、左用プロジェクター本体2Aを構成する制御装置2Dと略同様の構成を備える。右用プロジェクター本体2Bの制御装置2Eにおいて、第2光学装置5が装着されてオン状態になった第2リーフスイッチ283bから電気信号を受信すると、信号処理部293は、右用プロジェクター本体2Bから右目用画像光(第2画像光)が出射されるように、右目用画像データをパネル駆動部294に出力する。
そして、パネル駆動部294は、信号処理部293から出力された各色信号に基づいて、各色信号に対応する各液晶パネル251を駆動する。
すなわち、右用プロジェクター本体2Bは、スクリーンSc上に右目用画像データに基づく右目用画像光(第2画像光)を投影する。
【0050】
〔偏光眼鏡の構成〕
図1に示す偏光眼鏡3は、観察者が装着するものであり、図1および図5に示すように、第1透過部としての左目用透過部31と、第2透過部としての右目用透過部32とを備える。
左目用透過部31は、透過軸が第2直線偏光Pの偏光方向と同一方向となる偏光レンズで構成されている。
右目用透過部32は、透過軸が第1直線偏光Sの偏光方向と同一方向となる偏光レンズで構成されている。
つまり、左目用透過部31は、左用プロジェクター本体2Aから投射される左目用画像(第1画像光)を視認するためのものであり、右目用透過部32は、右用プロジェクター本体2Bから投射される右目用画像(第2画像光)を視認するためのものである。
【0051】
〔画像表示システムの動作〕
次に、上述した画像表示システム1の動作について説明する。
図8は、各プロジェクター本体2A,2Bから出射され偏光眼鏡3に至る画像光の偏光状態を示す図である。具体的には、図8は、上述のとおり、装着手段6を構成する各磁石61,62,63,64の磁力によって、第1光学装置4が左用プロジェクター本体2Aに対して適切に装着され、第2光学装置5が右用プロジェクター本体2Bに対して適切に装着された場合の偏光状態を示す図である。
左用プロジェクター本体2Aにおいて、投射レンズ26出射時の第1画像光(第1直線偏光S)は、第1光学装置4に入射され、位相差板41によって、第2直線偏光Pに変換される。位相差板41の後段に設けられた偏光板42は、第2直線偏光Pの偏光方向と同一の透過軸を有する。そのため、第1光学装置4から出射される際の第1画像光は、第2直線偏光Pとなっている。このようにして第2直線偏光Pに変換された第1画像光(左目用画像光)は、スクリーンSc上に投影される。したがって、偏光眼鏡3を装着した観察者は、スクリーンSc上の左目用画像を、左目用透過部31を介して左目のみで視認する。
一方、右用プロジェクター本体2Bにおいて、投射レンズ26出射時の右目用画像光としての第2画像光(第1直線偏光S)は、第2光学装置5に入射され、偏光板52を経て、第1直線偏光SのままスクリーンSc上に投射される。したがって、偏光眼鏡3を装着した観察者は、スクリーンSc上の右目用画像を、右目用透過部32を介して右目のみで視認する。
以上のように、観察者は、スクリーンSc上の左目用画像を左目のみで視認し、右目用画像を右目のみで視認することで、視差により投影画像を立体視することとなる。
【0052】
〔第1実施形態の効果〕
上述した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
第1実施形態では、第1光学装置4が、入射される第1画像光(第1直線偏光S)を第2直線偏光Pに変換できる位相差板41(1/2波長板)の光学軸の位置となるときに、各磁石61,62,63,64の磁力によって、左用プロジェクター本体2Aに装着される。つまり、第1光学装置4が適切な位置でなければ、磁力不足や磁石の反発によって左用プロジェクター本体2Aに対して固定されないため、第1画像光の偏光方向が所望の方向以外に変換されることを防止できる。
そのため、観察者は、右目で左目用画像を視認したりすることなく、スクリーンSc上の左目用画像を左目のみで視認し、右目用画像を右目のみで視認することができる。したがって、第1実施形態によれば、観察者に対して立体的な画像を良好に視認させることができる。
【0053】
また、第1実施形態では、第1光学装置4は、偏光板42を備えるため、第1光学装置4が表裏反対に装着されると、画像光(第1直線偏光S)が、これと直行する透過軸を有する偏光板42に吸収されてしまう。しかしながら、第1実施形態によれば、上述のとおり、第1光学装置4が適切な面で装着されるので、このような画像光の吸収も防止できる。
【0054】
また、第2光学装置5は、右用プロジェクター本体2Bに対して、第2画像光(第1直線偏光S)の偏光方向と偏光板52の透過軸とを一致させた状態で磁力によって装着される。そのため、右用プロジェクター本体2Bの投射レンズ26から出射される画像光が偏光板52に吸収されるのを防止できる。その結果、観察者に対して立体的な画像を良好に視認させることができる。
【0055】
また、第1実施形態では、上述のような各磁石61,62,63,64の対角配置としたことで、第1光学装置4および第2光学装置5をより確実に適切な面および角度で左用プロジェクター本体2Aおよび右用プロジェクター本体2Bに装着できる。
【0056】
さらに、左用プロジェクター本体2Aの投影口28に第1光学装置4の外形と略同形状の凹部281が形成されているので、当該凹部281の形状に第1光学装置4の外形を合わせて装着すれば、第1光学装置4を装着する際の角度ずれをより確実に防止できる。第2光学装置5を右用プロジェクター本体2Bに対して装着させる時も同様である。
【0057】
また、画像表示システム1の左用プロジェクター本体2Aおよび右用プロジェクター本体2Bは、2つの第1リーフスイッチ283aおよび第2リーフスイッチ283bで構成される検知手段283を備える。そして、第1光学装置4の凸部45および第2光学装置5の凸部55に応じて、第1リーフスイッチ283aまたは第2リーフスイッチ283bのどちらかがオン状態となる。そのため、第1光学装置4または第2光学装置5のどちらかが装着されたかを検出できる。
制御装置2D,2Eは、信号処理部293が、この検知手段283が検知した情報に基づいて左用プロジェクター本体2Aおよび右用プロジェクター本体2Bに入力された左目用画像および右目用画像のどちらかを選択してパネル駆動部294に出力できるように構成されている。
そのため、第1実施形態によれば、左用プロジェクター本体2Aおよび右用プロジェクター本体2Bから出射される画像光を自動で右目用にするか左目用にするかについて制御できる。
【0058】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、前記第1実施形態と同様の構造および同一部材には同一の符号を付して、その詳細な説明は、省略または簡略化する。
図9は、第2実施形態における画像表示システムの左用プロジェクター1Cの使用形態を示す斜視図である。
図10は、第2実施形態における左用プロジェクター本体2Gに第1光学装置4Aが装着される状態を示す正面図である。
【0059】
第2実施形態は、第1光学装置4Aを装着させる態様が、前記第1実施形態と相違する。左用プロジェクター本体2Gは、投影口28に前記第1実施形態の凹部281を備えず、図9に示すようにガイド手段284が設けられている。また、第1光学装置4Aは、前記第1実施形態のような磁石の配置とは異なり、位相差板41や偏光板42を挟んで矩形の4つの角にそれぞれ磁石が設けられている。さらに、第1光学装置4Aは、第1実施形態のような凸部45を備えていない。その他の点については、前記第1実施形態と同様である。
【0060】
ガイド手段284は、横断面略L字状に上下方向に伸びる一対の部材で、投影口28の開口282に対して右側にガイド部材284aが設けられ、左側にガイド部材284bが設けられている。ガイド部材284aおよびガイド部材284bの下端側には、それぞれ底部284c,284d(図10参照)が形成されている。
ガイド部材284aおよびガイド部材284bとの間には、第1光学装置4Aが上方向から挿入できるようにスペースが設けられている。
底部284cの上面には、検知手段283が設けられている。この検知手段283は、前記第1実施形態の第1リーフスイッチ283aと同様に、リーフスイッチで構成され、第1光学装置4Aが左用プロジェクター本体2Gに装着されると、当該リーフスイッチがオン状態となり、電気信号が制御装置2Dへと送られるように構成されている。底部284dの上面には、底上部材284eが設けられている。底上部材284eは、検知手段283のリーフスイッチがオン状態となったときの厚さ寸法分の高さを有する。底上部材284eは、第1光学装置4Aが左用プロジェクター本体2Gに装着されたときに、ガイド部材284a側とガイド部材284b側とで第1光学装置4Aの装着位置のがたつきを防止する。
【0061】
底部284cおよび底部284dの下面側には、図10に示すように、それぞれ装着手段6としての第5磁石65および第6磁石66が設けられている。第5磁石65は、上側にN極Np、下側にS極Spとなるように設けられている。第6磁石66は、第5磁石65とは反対に、上側にS極Sp、下側にN極Npとなるように設けられている。
【0062】
第1光学装置4Aは、装着手段6としての第7磁石67,第8磁石68,第9磁石69,第10磁石70を備える。偏光板42が露出する側から見た第1光学装置平面視で、右下側に第7磁石67、右上側に第8磁石68、左上側に第9磁石69、左下側に第10磁石70が設けられ、第7磁石67は下側にS極Sp、第8磁石68は上側にN極Np、第9磁石69は上側にS極Sp、第10磁石70は下側にN極Npが配置されている。
【0063】
第2実施形態では、以上のような装着手段6を構成する各磁石65〜70の配置とすることで、第1光学装置4Aを表裏反対にして装着されることを防止できる。
図9および図10に示すように、位相差板41を投影口28側に向けて第1光学装置4Aを装着しようとするとき、第1光学装置4Aは、ガイド手段284のガイド部材284aおよびガイド部材284bに沿って縦方向にスライドして挿入される。そして、第1光学装置4Aが、底部284cおよび底部284dに近づくと、第5磁石65のN極Npと第7磁石67のS極Spとが磁力によって引き合い、第6磁石66のS極Spと第10磁石70のN極Npとが磁力によって引き合って、第1光学装置4Aが投影口28の所定位置に装着される。つまり、投射レンズ26から出射される第1直線偏光Sが位相差板41および偏光板42に入射される。このとき、検知手段283のリーフスイッチが押圧されてオン状態となり、第1光学装置4Aが装着されたことが検知される。
【0064】
一方で、図9および図10に示した向きとは第1光学装置4Aの表裏を反対にして、偏光板42を投影口28に向けて装着しようとすると、磁石の反発が生じる。
第1光学装置4Aの表裏を反対にして、第1光学装置4Aをガイド手段284のガイド部材284aおよびガイド部材284bに沿って縦方向にスライドして挿入しようとすると、第5磁石65のN極Npに対して、第10磁石70のN極Npが近づき、第6磁石66のS極Spに対して、第7磁石67のS極Spが近づくためである。また、磁石の反発によって、第1光学装置4Aが浮いた状態となるので、検知手段283のリーフスイッチが押圧されないのでオフ状態のままとなり、第1光学装置4Aが装着されたことが検知されない。
【0065】
上述のような第2実施形態によれば、第1光学装置4Aが表裏反対に装着されることを確実に防止できる。第1光学装置4Aは、位相差板41と偏光板42とを備え、偏光板42が投影口28側に向けて装着されると、投射レンズ26から出射される第1直線偏光Sが、第1直線偏光Sの偏光方向とは直交する方向の偏光が透過する偏光板42に位相差板41を介することなく入射される。そのため、第1直線偏光Sが偏光板42で吸収され、偏光板42の温度が上昇するとともに、第1光学装置4Aから出射される光量が少なくなる。
第2実施形態によれば、このような表裏反対に装着されることが防止され、さらにガイド手段284によって、角度ずれが防止されるので、第1画像光の偏光方向が所望の方向以外に変換されることを防止できる。
【0066】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
図11は、第3実施形態における第1光学装置の装着状態を示す斜視図である。
第3実施形態の左用プロジェクター1Dは、第1実施形態のように投射レンズ26が外装筐体2C内部に収容されているのとは異なり、図11に示すように、左用プロジェクター本体2Hの外装筐体2Cの外側に突出して投射レンズ26Bが設けられている点で第1実施形態とは異なる。この投射レンズ26Bの形状に対応して、第3実施形態の第1光学装置4Bは、図11に示すように、箱型の保持体44Bに位相差板41,偏光板42および装着手段6としての第11磁石71,第12磁石72が保持されており、これらの点についても第1実施形態とは異なる。
その他の点については、第1実施形態と同様に構成し得る。
【0067】
投影口28には、図11に示すように、凹部281が設けられており、箱型の保持体44Bが装着されると係合されるようになっている。この凹部281には、装着手段6としての第13磁石73が設けられている。第13磁石73の磁極は、外装筐体2Cの外側に向かってN極Npが配置されている。第13磁石73のS極は、外装筐体2Cの内側に向かって配置されているが、図示を省略する。
【0068】
箱型の保持体44Bは、その内部に、保持体44Bを左用プロジェクター本体2Hに装着した際に投射レンズ26Bが収容されるスペースが設けられている。保持体44Bの正面44C側には、図11に示すように、画像光の入射側から位相差板41、偏光板42の順序で、これらが保持されている。保持体44Bを左用プロジェクター本体2Hに装着した際には、投射レンズ26Bから出射された画像光が、位相差板41および偏光板42に入射する。
保持体44Bの一つの側面側には第11磁石71が設けられており、当該側面側にS極Spが配置されている。保持体44Bの内側にN極が配置されているが、図示を省略する。
保持体44Bの他の3つの側面側には、第12磁石72が設けられている。第12磁石72は、第11磁石71とは磁極の向きが反対向きとなるようにN極Npを当該側面側に向けて配置されている。図11には、他の3つの側面のうち、一つの面に設けられている第12磁石72を示し、残りの2つの面の第12磁石72については、省略する。
【0069】
第3実施形態では、以上のような装着手段6を構成する各磁石71〜73の配置とすることで、第1光学装置4Bを所定の角度以外で装着されることを防止できる。
図11に示すような状態で、第1光学装置4Bを左用プロジェクター本体2Hに装着しようとすると、第1光学装置4Bが凹部281に係合するときに、第13磁石73のN極Npと、第11磁石71のS極Spとが磁力によって引き合う。
一方で、第1光学装置4Bを図11に示す状態から90度または180度回転させて、左用プロジェクター本体2Hに装着しようとすると、第13磁石73のN極Npと、第12磁石72のN極Npとが磁力によって反発する。
【0070】
上述のような第3実施形態によれば、装着手段6を構成する各磁石71〜73の配置によって、不適切な装着位置となるときに磁力の反発によって、装着が防止される。したがって、第1光学装置4Bが所定角度以外の角度で左用プロジェクター本体2Hに装着されることを確実に防止できる。
【0071】
[実施形態の変形]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0072】
前記各実施形態では、本発明のプロジェクターを用いた画像表示システムとして、観察者に投影画像を立体視させる画像表示システムを例示したが、これに限らない。例えば、左目用画像および右目用画像をコンテンツの異なる画像とし、2つの投影画像を表示するデュアル表示システムとして構成しても構わない。
このようなデュアル表示システムとして構成した場合には、偏光眼鏡3としては、左目用透過部31を左右に設けた偏光眼鏡および右目用透過部32を左右に設けた偏光眼鏡の2種類を設ければよい。
【0073】
また、前記各実施形態では、偏光状態を変化させた一例として、左用プロジェクター本体2Aおよび右用プロジェクター本体2Bから出射される第1直線偏光Sを、一方は、第2直線偏光Pに変換し、他方は第1直線偏光SのままでスクリーンScに投影する形態で説明したが、画像光を円偏光に変換した態様も適用できる。
例えば、第1光学装置4および第2光学装置5に適宜1/4波長板を設け、左用プロジェクター本体2Aに装着される第1光学装置4にて第1直線偏光Sを右回りの円偏光(右円偏光)に変換し、右用プロジェクター本体2Bに装着される第2光学装置5にて第1直線偏光Sを左回りの円偏光(左円偏光)に変換させる。この場合、装着手段6の磁力によって、円偏光変換用の第1光学装置4が左用プロジェクター本体2Aに装着され、第2光学装置5が右用プロジェクター本体2Bに装着されるときに、1/4波長板の光学軸が、入射される画像光を円偏光に変換可能な位置となるように、装着手段6の磁石を配置しておく。
そして、左目用画像(右円偏光)および右目用画像(左円偏光)がスクリーンScに投影されて反射されると、左目用画像は、左円偏光となり、右目用画像は、右円偏光となる。これら画像の観察には、右円偏光を透過し左円偏光を遮蔽する右目用透過部と、左円偏光を透過し右円偏光を遮蔽する左目用透過部とを有する眼鏡が用いられる。このような眼鏡を介することで、右目および左目により、それぞれ個別に右目用画像および左目用画像が視認される。
このような円偏光への変換を行う場合の第1光学装置4や第2光学装置5にも、前記実施形態で説明した検知手段283の構成を採用できる。
【0074】
また、前記実施形態では、検知手段283として、2つのリーフスイッチを用いた例を挙げて説明したが、さらにリーフスイッチの数を増やしてもよい。例えば、4つのリーフスイッチを設けておき、直線偏光方式の右目用、直線偏光方式の左目用、円偏光方式の右目用および円偏光方式の左目用のそれぞれに応じた凸部を第1光学装置4や第2光学装置5等の光学装置に設け、左用プロジェクター本体2Aまたは右用プロジェクター本体2Bに装着された光学装置の検知できる種類を増やすこともできる。
【0075】
また、第2実施形態では、一つのリーフスイッチで構成される検知手段283を用いた態様で説明したが、上述のとおり、複数のリーフスイッチで検知手段283を構成してもよい。
また、第3実施形態では、検知手段283を用いていない態様で説明したが、1つ以上のリーフスイッチで構成される検知手段283を用いてもよい。
【0076】
また、検知手段283としては、上述のようなリーフスイッチに限定されず、光学式センサーによって第1光学装置4や第2光学装置5が装着されたことを検知する構成としてもよい。
【0077】
また、第1光学装置4や第2光学装置5は、上記実施形態のような矩形状に限定されずに、その他の多角形や円形等の形状としてもよい。
【0078】
また、投影口28の凹部の窪み寸法は、上記実施形態のような関係に限定されない。例えば、第1光学装置4や第2光学装置5の厚さ寸法よりも大きく形成してもよい。
また、投影口28に上記実施形態のような凹部が形成されていなくても、装着手段を構成する磁石の磁力を強めて、磁力で第1光学装置4や第2光学装置5を装着および保持できるように構成してもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、偏光変換装置257を用いて、プリズム255で合成された光束の偏光方向を第1直線偏光Sの偏光方向に揃える態様で説明したが、これに限定されない。例えば、偏光変換装置257を用いない構成とすることもできる。この場合、プリズム255に入射する際のG色光を、第2直線偏光Pから第1直線偏光Sの偏光方向に変換させる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、プロジェクターや偏光眼鏡を用いて画像を立体視させる画像表示システムに利用できる。
【符号の説明】
【0081】
1A,1C,1D…左用プロジェクター(プロジェクター)、1B…右用プロジェクター(プロジェクター)、2A,2G,2H…左用プロジェクター本体(表示装置本体)、2B…右用プロジェクター本体(表示装置本体)、2D,2E…制御装置、4,4A,4B…第1光学装置、6…装着手段、28…投影口、41…位相差板、61〜73…磁石、283…検知手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像光を形成し、形成した前記画像光を出射する表示装置本体と、
位相差板を有する光学装置と、を備え、
前記光学装置は、前記表示装置本体の投影口に装着手段によって着脱自在に装着され、
前記装着手段は、前記光学装置および前記投影口に設けられた磁石で構成され、
前記光学装置は、前記画像光の偏光状態を変化させることのできる位置で、前記磁石の磁力によって装着される
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
前記光学装置は、矩形状に形成され、
前記光学装置側の前記磁石は、第1磁石および第2磁石で構成され、
前記第1磁石および前記第2磁石は、前記光学装置の装着時に前記表示装置本体側に対して互いに異なる磁極が向かうように、前記矩形の対角線上に配置され、
前記表示装置本体側の前記磁石は、第3磁石および第4磁石で構成され、
前記第3磁石および前記第4磁石は、前記光学装置の装着時の前記第1磁石および前記第2磁石と対応する位置に設けられ、
前記光学装置は、前記画像光の偏光状態を変化させることのできる位置で、前記第1磁石と前記第3磁石との磁力、並びに前記第2磁石と前記第4磁石との磁力によって装着される
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプロジェクターにおいて、
前記投影口には、前記光学装置の外形と略同形状の凹部が形成されている
ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれかに記載のプロジェクターにおいて、
前記表示装置本体は、前記投影口に前記光学装置が装着されたことを検知する検知手段と、
前記検知手段で検出した情報に基づいて出射させる画像光を制御する制御手段と、を備える
ことを特徴とするプロジェクター。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2013−83848(P2013−83848A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224590(P2011−224590)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】