説明

プロジェクタ

【課題】 聴衆に見せることを意図しない秘匿画像を含む画像が聴衆に認識されないようにするプロジェクタを提供する。
【解決手段】 画像を投射する投射部22と、タッチセンサ12を備え前記投射部により投射される前記画像を表示する表示部10と、前記タッチセンサにより前記表示部に表示された前記画像の少なくとも一部に対する接触が検出された場合に、接触された領域に表示されている前記画像を認識不可能な状態に変化させた編集画像を生成する画像処理部24と、前記投射部により前記編集画像を投射する投射制御部36とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プライベートな画像が投射されないようにするプロジェクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。このプロジェクタにおいては、プレゼンテーション用の画像とプライベートな画像を画像の明るさ、コントラストにより判断し、プライベートな画像の場合には画像を白黒化してサムネイル表示し、その後に選択された場合にのみ投射する処理が行われる。
【特許文献1】特開2006−3395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このプロジェクタにおいてはプライベートな画像であっても白黒化したサムネイル表示によりスクリーンに投射されるため、スクリーンを見ている聴衆にプライベートな画像が認識される虞がある。また、誤ってプライベートな画像が投射された場合等にスクリーンに投射されている画像を認識不可能にすることができない。
【0004】
本発明の目的は、聴衆に見せることを意図しない秘匿画像を含む画像が聴衆に認識されないようにするプロジェクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のプロジェクタは、画像を投射する投射部と、タッチセンサを備え前記投射部により投射される前記画像を表示する表示部と、前記タッチセンサにより前記表示部に表示された前記画像の少なくとも一部に対する接触が検出された場合に、接触された領域に表示されている前記画像を認識不可能な状態に変化させた編集画像を生成する画像処理部と、前記投射部により前記編集画像を投射する投射制御部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のプロジェクタによれば聴衆に見せることを意図しない画像を聴衆に認識されないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係るプロジェクタについて説明する。図1は、実施の形態に係るプロジェクタの外観を示す図である。プロジェクタ2の前面には電源のオン、オフを行う電源スイッチ4、画像の投射を行う再生ボタン6、画像の投射の停止を行う停止ボタン8、投射する画像を次の画像に切り換える切換ボタン9、投射される画像を表示する表示部10、表示部10に積層して配置された透明電極により構成されるタッチセンサ12が備えられ、プロジェクタ2の上面には画像を投射する投射窓14が備えられている。
【0008】
図2は実施の形態に係るプロジェクタのシステム構成を示すブロック図である。プロジェクタ2はCPU16を備え、CPU16には表示部10の表示制御を行うモニタ表示制御部18、タッチセンサ12、電源スイッチ4、再生ボタン6、停止ボタン8、切換ボタン9を備える操作部20、画像を投射する投射光学系を備える投射部22、投射する画像に変化または補正を施す画像処理部24、投射する画像の画像データを記憶する投射画像記憶部26、秘匿画像のデータを記憶する秘匿画像記憶部28が接続されている。
【0009】
ここで、投射部22は、光源であるLED(発光ダイオード)30の点灯及び消灯を行う電源制御部32、投射する画像を表示するLCOS(反射型液晶素子)34、LCOS34の表示制御を行う投射制御部36を備えている。
【0010】
次に、図3に示すフローチャートを参照して、プロジェクタ2の処理について説明する。電源スイッチ4が操作されプロジェクタ2の電源が投入され、再生ボタン6が押下された場合には、投射画像記憶部26に記憶されている画像の中の1つ目の画像の画像データを読み出す(ステップS1)。また、切換ボタン9が押下され投射する画像を切り換える場合には、投射画像記憶部26に記憶されている画像の中の次の画像の画像データを読み出す。次に、読み出した画像と秘匿画像記憶部28に記憶されている画像とを照合し、読み出した画像に秘匿画像が含まれているか否かを判定する(ステップS2)。ここで、秘匿画像記憶部28には秘匿画像として、特定の文字、特定の形状、特定の人物の顔等が記憶されている。例えば、聴衆に見せることを意図しない画像には「秘」、「Confidential」、社名、社章等の特定の文字、特定の形状が含まれていることが多いことから、秘匿画像としてこれらの文字や形状を秘匿画像記憶部28に記憶させる。なお、これらの秘匿画像はユーザが秘匿画像記憶部28に記憶させてもよいし、プリセットで秘匿画像記憶部28に記憶させておいてもよい。
【0011】
読み出した画像に秘匿画像が含まれていると判定した場合には、秘匿画像が含まれる旨の警告と共に読み出した画像を表示部10に表示する(ステップS3)。ここで、秘匿画像が含まれる旨の警告は表示部10の全体または一部の点滅、秘匿画像であることを示す文字または図形の表示部10における表示等により行う。このとき、ステップS1において画像を読み出す前に別の画像を投射していた場合には、当該別の画像の投射が継続された状態となっている。例えば、図4に示すように文字「ABC」を含む画像38を投射している状態において、投射する画像を文字「ABC」を含む画像38から文字「DEF」を含む画像40に切り換える場合に、画像40には「秘」という秘匿画像が含まれるため、表示部10に画像40を表示し、投射部22において画像40を読み出す1つ前に読み出して投射していた画像38をLCOS34に表示し投射を継続する。
【0012】
ここで、表示部10を確認したユーザにより表示部10に表示されている画像を投射しないとして切換ボタン9が押下された場合には(ステップS4)、読み出した画像を投射せずにステップS1に戻り他の画像を投射画像記憶部26から読み出す。一方、再生ボタン6が押下され(ステップS4)、表示部10に表示されている画像の投射が指示された場合には、ユーザにより表示部10に表示されている画像全体を投射する指示が行われたか、一部を秘匿して投射するか指示が行われたかの判別を行う(ステップS5)。ここで再度再生ボタン6が押下され画像全体を投射する指示が行われた場合には表示部10に表示されている画像をそのままLCOS34に表示し投射部22により投射する(ステップS9)。例えば、図5に示すように秘匿画像「秘」を含む画像40をそのままLCOS34に表示し投射部22により投射する。なお、画像40から秘匿画像「秘」を除くことにより秘匿画像「秘」は投射せずに画像のみを投射してもよい。
【0013】
一方、表示部10に表示される画像において秘匿すべき画像をユーザが指等で接触することにより、画像の一部を秘匿して投射することを指示した場合には、タッチセンサ12により接触された領域が検出され、検出された領域に表示されている画像に対して画像処理部24により聴衆に認識されないように塗りつぶす等の画像秘匿処理が行われ、編集画像が生成される(ステップS6)。次いで秘匿すべき画像として接触された領域に表示されている画像が秘匿画像として秘匿画像記憶部28に記憶されているか判定する(ステップS7)。記憶されている場合には編集画像をLCOS34に表示し投射部22により投射し(ステップS9)、記憶されていない場合には接触された領域を秘匿画像記憶部28に秘匿画像として記憶し(ステップS8)、編集画像をLCOS34に表示し投射部22により投射する(ステップS9)。例えば、図4に示す画像40において文字「F」を秘匿すべき画像として秘匿する場合には、図6に示すように表示部10において文字「F」の部分をユーザの指により接触する。接触された領域は、タッチセンサ12により検出され、接触を検出した領域に表示されている画像に対して画像処理部24により画像秘匿処理を施し編集画像42を生成する。また、文字「F」が秘匿画像として秘匿画像記憶部28に記憶されていない場合には、秘匿画像記憶部28に記憶し、図6に示すように編集画像42をLCOS34に表示し投射部22により投射する。
【0014】
ステップS2において読み出した画像に秘匿画像が含まれないと判定した場合には、読み出した画像を表示部10に表示すると共にLCOS34に表示し投射部22により投射する(ステップS10)。例えば、画像44に秘匿画像記憶部28に記憶されている秘匿画像が含まれていない場合には、図7に示すように画像44を表示部10に表示すると共にLCOS34に表示し投射部22により投射する。次に、ユーザにより表示及び投射した画像の一部を秘匿する指示が行われたか否かの判別が行われ(ステップS11)、表示部10に表示される画像の少なくとも一部を秘匿すべき画像としてユーザが指等で接触することにより、画像の一部を秘匿して投射することを指示した場合には、タッチセンサ12により接触された領域が検出され、検出された領域に表示されている画像に対して画像処理部24により聴衆に認識されないように塗りつぶす等の画像秘匿処理が行われ編集画像が生成される(ステップS12)。次いで秘匿すべき画像として接触された領域を秘匿画像記憶部28に秘匿画像として記憶し(ステップS13)、編集画像をLCOS34に表示し投射部22により投射する(ステップS9)。即ち、図7に示す画像44において文字「1000円」を秘匿すべき画像として秘匿する場合には、図8に示すように表示部10において文字「1000円」の部分をユーザが指で接触する。接触された領域は、タッチセンサ12により検出され、接触が検出された領域に表示されている画像に対して画像処理部24により画像秘匿処理を施し編集画像46を生成する。また、文字「1000円」を秘匿画像として秘匿画像記憶部28に記憶し、図8に示すように編集画像46をLCOS34に表示し投射部22により投射する。
【0015】
本実施の形態によれば聴衆に見せることを意図しない画像を聴衆に認識されないようにすることができ、また、投射される画像の一部のみを秘匿したい場合に秘匿したい部分のみを秘匿して投射することができる。
【0016】
なお、本実施の形態における画像秘匿処理においては、接触された領域の画像を塗りつぶす処理を例に説明したが、タッチセンサ12により接触が検知された領域についてモザイクをかける、色成分を減少させる、色成分をなくす、コントラストを下げる、画像解像度を下げる等の処理を行ってもよい。また、本実施の形態において投射される画像は静止画であっても動画であってもよい。
【0017】
また、本実施の形態においては、表示部10に表示された画像においてタッチセンサ12により検出された領域に表示されている画像に対して画像秘匿処理を施す構成としたが、誤作動防止のため表示部10に表示された画像上の一定の位置に所定時間以上指等が接触していることをタッチセンサ12により検出された場合に画像秘匿処理を実施する構成としてもよい。
【0018】
また、本実施の形態において、表示部10に表示された画像において秘匿すべき画像をユーザが指で接触する構成を例に説明したが、タッチペン等を用いて接触してもよい。
【0019】
また、上述の実施の形態ではステップS2において読み出した画像が秘匿画像記憶部28に記憶されている秘匿画像を含む場合にはステップS3において投射しないようにしたが、画像に含まれる秘匿画像によって秘匿の度合いを変更して投射し、秘匿画像が含まれる旨の警告と共に読み出した画像を表示部10に表示するようにしてもよい。例えば、「秘」、「Confidential」の文字が含まれている場合には画像全体を秘匿するように処理し、特定の人物の顔が含まれている場合には顔のみにモザイクやぼかしを施して秘匿画像を含む画像を投射する。また、投射する画像に含まれる秘匿画像の内容、種類によってモザイクの濃さやぼかしの程度を変更して投射してもよい。
【0020】
また、指等が表示部10に接触した状態で動いた場合には指等が表示部10上で動くことにより描く軌跡を秘匿すべき画像として画像秘匿処理を行ってもよい。例えば、図7に示すように画像44を投射している状態で図9の表示部10の上方に示す矢印のように指を表示部10上で動かすと、指が動くことにより描く軌跡はタッチセンサ12により検出され、該軌跡に表示されている画像に対して画像処理部24により画像秘匿処理を施し編集画像48を生成し、図9に示すように編集画像48をLCOS34に表示し投射部22により投射する。
【0021】
また、図10に示すように画像秘匿マーク50を用いて画像秘匿処理を実施するようにしてもよい。表示部10上に表示された画像秘匿マーク50に接触した指等の動きがタッチセンサ12により検出され、その動きに伴って画像秘匿マーク50を移動させる。また、表示部10に接触した指を回転させる等の所定の動作をタッチセンサ12により検出し、画像秘匿マーク50の拡大縮小及び形状を変更することが可能に構成し、秘匿すべき画像上に適当な大きさ及び形状の画像秘匿マーク50を表示することにより画像秘匿処理を実施するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係るプロジェクタの外観を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るプロジェクタのシステム構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るプロジェクタの処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係るプロジェクタから投射される画像を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るプロジェクタから投射される画像を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るプロジェクタから投射される画像を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るプロジェクタから投射される画像を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るプロジェクタから投射される画像を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るプロジェクタから投射される画像を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る画像秘匿マークを示す図である。
【符号の説明】
【0023】
2…プロジェクタ、10…表示部、12…タッチセンサ、14…投影窓、16…CPU、22…投射部、24…画像処理部、28…秘匿画像記憶部、30…LED、34…LCOS。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を投射する投射部と、
タッチセンサを備え前記投射部により投射される前記画像を表示する表示部と、
前記タッチセンサにより前記表示部に表示された前記画像の少なくとも一部に対する接触が検出された場合に、接触された領域に表示されている前記画像を認識不可能な状態に変化させた編集画像を生成する画像処理部と、
前記投射部により前記編集画像を投射する投射制御部と
を備えることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項2】
前記タッチセンサにより所定時間以上の接触が検出された領域について前記編集画像を生成することを特徴とする請求項1記載のプロジェクタ。
【請求項3】
秘匿画像を記憶する秘匿画像記憶部を備え、
前記秘匿画像記憶部は、前記タッチセンサにより接触が検出された領域に表示されている画像を秘匿画像として記憶することを特徴とする請求項1または請求項2記載のプロジェクタ。
【請求項4】
前記秘匿画像記憶部に記憶されている前記秘匿画像と前記投射部により投射される前記画像とを照合する照合部と、
前記照合部における照合により前記画像に前記秘匿画像が含まれる場合には前記表示部に警告を表示する警告表示手段と
を備えることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のプロジェクタ。
【請求項5】
前記画像に前記秘匿画像が含まれる場合には前記秘匿画像を含む前記画像と前記警告を前記表示部に表示し、前記投射部は前記秘匿画像を含む前記画像の1つ前に投射していた前記画像を継続して投射することを特徴とする請求項4記載のプロジェクタ。
【請求項6】
前記秘匿画像を含む前記画像が前記表示部に表示された場合に、ユーザの選択により前記表示部に表示された前記画像を前記投射部により投射することを特徴とする請求項4または請求項5記載のプロジェクタ。
【請求項7】
前記秘匿画像を含む前記画像が前記表示部に表示された場合に、ユーザの選択により前記表示部に表示された前記画像を投射せず、次に投射すべき他の前記画像を前記表示部に表示し、前記投射部により投射することを特徴とする請求項4または請求項5記載のプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−294558(P2009−294558A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150081(P2008−150081)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】