説明

プロジェクタ

【課題】通気孔からプロジェクタ内部への粉塵の侵入を抑制する。
【解決手段】プロジェクタ10において、投射ユニット12は、画像を投射する投射機構22と、投射機構22に含まれる光源54が発する熱の放熱に用いるエアを採り込みまたは排出する通気孔32aと、を有する。筐体14は、投射ユニット12が画像の投射を行わない収納位置にあるときは通気孔を遮蔽し、投射ユニット12が画像の投射を行う投射位置にあるときは通気孔の遮蔽を解除するように設けられている。駆動機構24は、投射ユニット12または遮蔽部材を移動させる。電子制御部70は、所定の投射準備要求を取得したときは画像の投射を行う投射位置まで投射ユニット12を移動させ、所定の収納要求を取得したときは画像の投射を行わない収納位置まで投射ユニット12を移動させるよう駆動機構24を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像を投射するプロジェクタは、所望の被投射面に画像を投射すべく、水平方向に対して様々な角度に投射方向を向けることが求められる。ここで、非投射状態が選択されたときは、画像を投射するための開口部が支持部材によって遮蔽されるよう投射機構を含む筐体を回転させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−107282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、プロジェクタはビジネスの用途だけでなく映画の投射など家庭用の用途にも急激に拡大しており、投射画像の画質の要求も次第に高まっている。その一方、このようなプロジェクタの光源は多くの熱を発することから、その放熱のため通気孔を通じた外部からのエアの採り込みが必要となる場合がある。しかし、外部のエアには粉塵などが含まれている可能性があり、これが投射機構のレンズやミラーに付着すると、投射画像の品質に影響が及ぶ可能性がある。
【0005】
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、通気孔からプロジェクタ内部への粉塵の侵入を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のプロジェクタは、画像を投射する投射機構と、投射機構の放熱に用いるエアを採り込みまたは排出する通気孔と、を有する投射ユニットと、投射ユニットを移動させる駆動機構と、所定の投射準備要求を取得したときは、画像の投射が可能な投射位置まで投射ユニットを移動させ、所定の投射回避要求を取得したときは、画像の投射を回避すべき投射回避位置まで投射ユニットを移動させるよう駆動機構を制御する制御部と、投射ユニットが投射回避位置にあるときは通気孔を遮蔽し、投射ユニットが投射位置にあるときは通気孔の遮蔽を解除するよう設けられた遮蔽部材と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、通気孔からプロジェクタ内部への粉塵の侵入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1(a)は、第1の実施形態に係るプロジェクタの斜視図であり、図1(b)は、第1の実施形態に係るプロジェクタの側面透過図である。
【図2】図2(a)は、投射ユニットが収納位置にあるときの第1の実施形態に係るプロジェクタの斜視図であり、図2(b)は、投射ユニットが収納位置にあるときの第1の実施形態に係るプロジェクタの側面透過図である。
【図3】図3(a)は、第2の実施形態に係るプロジェクタの側面透過図であり図3(b)は、図3(a)のP−P断面図である。
【図4】図4は、鉛直上方に画像を投射するときの第2の実施形態に係るプロジェクタの側面透過図である。
【図5】図5(a)は、第3の実施形態に係るプロジェクタの斜視図である。図5(b)は、第3の実施形態に係るプロジェクタの側面透過図である。
【図6】図6(a)は、収納位置にあるときの第3の実施形態に係るプロジェクタの斜視図であり、図6(b)は、収納位置にあるときの第3の実施形態に係るプロジェクタの側面透過図である。
【図7】図7(a)は、ファンを取り付けたときの第3の実施形態に係るプロジェクタの斜視図であり、図7(b)は、フィルタをさらに取り付けたときの第3の実施形態に係るプロジェクタの斜視図である。
【図8】図8は、第4の実施形態に係るプロジェクタの斜視図である。
【図9】図9(a)は、前方から見た第5の実施形態に係るプロジェクタの斜視図であり、図9(b)は、後方から見た第5の実施形態に係るプロジェクタの斜視図である。図9(c)は、第5の実施形態に係るプロジェクタの側面透過図である。
【図10】図10(a)は、投射ユニットが収納位置にあるときの第5の実施形態に係るプロジェクタの斜視図であり、図10(b)は、投射ユニットが収納位置にあるときの第5の実施形態に係るプロジェクタの側面透過図である。
【図11】図11(a)は、第6の実施形態に係るプロジェクタの斜視図であり、図11(b)は、第6の実施形態に係るプロジェクタの側面透過図である。
【図12】図12は、鉛直上方に画像を投射するときの第6の実施形態に係るプロジェクタの側面透過図である。
【図13】図13は、投射ユニットが収納位置にあるときの第6の実施形態に係るプロジェクタの側面透過図である。
【図14】図14(a)は、前方から見た第7の実施形態に係るプロジェクタの斜視図であり、図14(b)は、後方から見た第7の実施形態に係るプロジェクタの斜視図である。
【図15】図15(a)は、投射位置にある第7の実施形態に係るプロジェクタの上面透過図であり、図15(b)は、収納位置にある第7の実施形態に係るプロジェクタの上面透過図である。
【図16】図16(a)は、カバーが投射位置にある第8の実施形態に係るプロジェクタの斜視図であり、図16(b)は、カバーが投射位置にある第8の実施形態に係るプロジェクタの上面透視図である。
【図17】図17(a)は、カバーが収納位置にある第8の実施形態に係るプロジェクタの斜視図であり、図17(b)は、カバーが収納位置にある第8の実施形態に係るプロジェクタの上面透視図である。
【図18】図18は、第9の実施形態に係るプロジェクタの斜視図である。
【図19】図19は、投射ユニットが投射位置にあるときの第9の実施形態に係るプロジェクタの上面透視図である。
【図20】図20は、投射ユニットが収納位置にあるときの第9の実施形態に係るプロジェクタの上面透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
図1(a)は、第1の実施形態に係るプロジェクタ10の斜視図である。図1(b)は、第1の実施形態に係るプロジェクタ10の側面透過図である。プロジェクタ10は、投射ユニット12および筐体14を有する。投射ユニット12は円柱状に形成され、その中心軸が水平方向を向くように筐体14に支持される。このとき筐体14は、投射ユニット12を回転可能に支持する。したがって筐体14は投射ユニット12を支持する支持部材として機能する。
【0010】
投射ユニット12は、シャーシ20、投射機構22、および駆動機構24を有する。シャーシ20は、円筒状部分30および2つの側壁32を有する。側壁32は、円筒状部分30の両端の開口を各々が覆うよう設けられる。図1(b)は、投射ユニット12の内部が見えるよう側壁32が円筒状部分30から外された状態を示している。なお、円筒状部分30に代えて、他の形状の筒状部分が設けられてもよい。例えば断面形状が正六角形や正八角形などの正多角形となる筒状部分であってもよい。
【0011】
シャーシ20は、投射機構22を収容する。投射機構22は、シャーシ20の内部に固定されている。円筒状部分30には開口部30aが設けられており、投射機構22は、この開口部30aを介して画像を外部に投射する。
【0012】
開口部30aは、シャーシ20内部への異物の侵入を阻止するための透明カバー(図示せず)によって塞がれている。透明カバーは、シャーシ20が描く円よりも突出するとシャーシ20の回転が妨げられるため、シャーシ20から突出しないよう開口部30aよりも円筒状部分30の内部側に配置されている。透明カバーは、ワイドコンバージョンレンズ等のレンズ機能を含んでもよい。
【0013】
駆動機構24は、モータ40、伝達機構42、およびシャフト44を有する。2つの側壁32の各々の中心には挿通孔が設けられており、この挿通孔にシャフト44が回転可能に挿通される。こうして筐体14は、投射ユニット12を回転可能に支持し、円筒状部分30は、その中心軸が投射ユニット12の回転軸となる。シャフト44の両端部は筐体14に固定される。モータ40は、板状に形成されたモータベース(図示せず)を介してシャーシ20に固定される。モータ40は、ギヤを含む伝達機構42を介してシャフト44に回転駆動力を与える。シャフト44は筐体14に固定されており回転不能とされているため、モータ40が作動することによりシャーシ20がシャフト44を中心に回転する。このようにモータ40は、シャーシ20を筐体14に対し回転させるアクチュエータとして機能する。
【0014】
シャーシ20は、投射機構22だけでなく駆動機構24も収容する。このように駆動機構24をシャーシ20が収容することにより、投射ユニット12の外部の構成を簡略化することができ、デザイン性の高いプロジェクタ10を提供することができる。
【0015】
投射機構22は、光学ユニット52および光源54を有する。光学ユニット52は、複数のレンズを含む。光源54は、半導体発光素子であるLED(Light Emitting Diode)を含む。なお、光源54に、水銀放電灯などの放電灯や、フィラメントを用いた白熱灯が採用されてもよい。
【0016】
光源54は、点灯することによって熱を発し、寿命の短縮化を回避するため、放熱が必要となる。このため、シャーシ20には、さらに放熱機構60が設けられている。放熱機構60は、ダクト62およびヒートシンク64を有する。ダクト62は、断面が矩形の筒状に設けられている。2つの側壁32には、ダクト62の断面と略同一形状の矩形の通気孔32aが設けられている。通気孔32aは、投射機構22の光源54の放熱に用いるエアを採り込みまたは排出する。ダクト62は、その両端のダクト開口部が通気孔32aと重なるようシャーシ20の内部に配置される。ダクト62には、ファン(図示せず)が配置されており、光源54が点灯するときはこのファンが作動して一方の通気孔32aからエアを採り込み、ダクト62の内部を通じて他方の通気孔32aから排出する。したがって、ダクト62内部がエア通過領域となる。また、2つの通気孔32aの一方が吸気孔となり、一方が排気孔となる。
【0017】
ヒートシンク64は、プレート部64aの一方の面から多数の放熱フィン64bが突出するよう形成される。ヒートシンク64は、アルミニウムなど熱伝導性の高い放熱性材料によって形成され、放熱部材として機能する。
【0018】
ヒートシンク64は、光源54の放熱に用いられる。具体的には、プレート部64aのうち放熱フィン64bが設けられる面と逆の面に光源54が取り付けられる。こうして、光源54が発する熱をヒートシンク64のプレート部64aが回収し、回収した熱を放熱フィン64bから放散させる。
【0019】
ダクト62には、ヒートシンク64を挿入するための取り付け孔62aが設けられている。ヒートシンク64は、放熱フィン64bを先頭にこの取り付け孔62aに挿入される。取り付け孔62aの形状はプレート部64aの外形と略同一となっており、取り付け孔62aに取り付け孔62aが嵌め込まれ、ヒートシンク64がダクト62に固定される。
【0020】
こうしてヒートシンク64は、光源54と、通気孔32aから採り込まれまたは排出されるエアと、の双方に接するよう設けられる。また、ヒートシンク64のプレート部64aは、投射機構22が設けられたシャーシ20の内部領域へのエアの流入を抑制するよう、内部領域とエアが通過するエア通過領域とを仕切る。このようにエア通過領域とシャーシ20の内部領域とを仕切ることで、通気孔32aからシャーシ20の内部領域への粉塵の侵入を阻止することができる。このため、粉塵による光学ユニット52などへの影響を抑制することができる。
【0021】
なお、ダクト62とヒートシンク64との間、およびダクト62と通気孔32aとの間は、隙間が生じないよう各々が形成されている。隙間の発生を回避するため、これらの間にウレタンのスポンジやゴムなどのシール材が配置されてもよい。
【0022】
プロジェクタ10には、電子制御部70が設けられている。第1の実施形態では電子制御部70は筐体14の内部に配置されているが、投射ユニット12の内部に配置されていてもよい。電子制御部70は、各種の演算を実行するCPU、各種の制御プログラムを格納するROM、およびデータ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAMを有する。電子制御部70は、駆動制御部として機能し、駆動機構24によるシャーシ20の回転を制御する。また、電子制御部70は、画像制御部としても機能し、外部へ投射すべき画像の画像データを生成する。
【0023】
投射機構22は、空間変調素子(図示せず)を含む。電子制御部70は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)から読み取られた画像データに、空間変調素子に映し出すための画像処理を施して画像データを生成する。空間変調素子は、生成された画像データが示す画像を表示する。こうして表示された画像の投射光が投射機構22から開口部30aを通じて外部に投射される。開口部30aから投射された画像は、プロジェクタ10の外部に設けられたスクリーン(図示せず)上に結像する。電子制御部70は、光源54の点灯、消灯、および光源54が発する光の輝度も制御する。
【0024】
図1(a)および図1(b)は、投射ユニット12が水平投射位置にあるときのプロジェクタ10を示している。投射ユニット12の水平投射位置は、投射機構22による画像の水平方向への投射が可能な投射位置である。投射ユニット12が水平投射位置に設定されている場合、投射ユニット12は、光軸Xが水平且つ前方に向くよう位置する。
【0025】
投射ユニット12が水平投射位置にあるとき、開口部30aは筐体14の上端14aよりも上方に位置する。したがって筐体14は、投射ユニット12が水平投射位置にあるときに開口部30aの遮蔽を解除するよう設けられている。このとき通気孔32aもまた筐体14の上端14aより上方に位置する。このため筐体14は、投射ユニット12が水平投射位置にあるときは通気孔32aの遮蔽もまた解除するよう設けられている。
【0026】
図2(a)は、投射ユニット12が収納位置にあるときの第1の実施形態に係るプロジェクタ10の斜視図である。図2(b)は、投射ユニット12が収納位置にあるときの第1の実施形態に係るプロジェクタ10の側面透過図である。収納位置は、投射機構22による画像の投射を回避すべき投射回避位置ともいうことができる。収納位置にあるとき、投射ユニット12は、光軸Xが水平且つ後方に向くよう位置する。
【0027】
投射ユニット12が収納位置にあるとき、開口部30aは筐体14の上端14aよりも下方に位置する。したがって筐体14は、投射ユニット12が収納位置にあるときに開口部30aを遮蔽するよう設けられている。このとき通気孔32aもまた筐体14の上端14aより下方に位置する。このため筐体14は、投射ユニット12が収納位置にあるときは通気孔32aも遮蔽するよう設けられている。したがって筐体14は、遮蔽部材として機能する。
【0028】
なお、筐体14は、投射ユニット12が収納位置にあるときは2つの通気孔32aの一方を遮蔽し、投射ユニット12が水平投射位置にあるときは当該一方の通気孔32aの遮蔽を解除してもよい。このとき、他方の通気孔32aは、常に遮蔽されずに外部と連通していてもよい。また、開口部30aまたは通気孔32aを遮蔽する部材は、筐体14と別体に設けられていてもよい。
【0029】
投射ユニット12が収納位置に配置され開口部30aが遮蔽されることで、開口部30aに設けられた透明カバーが外気に露出されないこととなる。これにより、プロジェクタ10を利用していない間、開口部30aに設けられた透明カバーに異物が付着することを抑制することができる。また、開口部30aを通じてシャーシ20の内部領域へ粉塵が侵入することを抑制する効果も期待できる。同様に、通気孔32aが遮蔽されることで、通気孔32aを通じてシャーシ20の内部領域へ粉塵が侵入することを抑制することができる。
【0030】
プロジェクタ10にはコントロールパネル(図示せず)が設けられており、このコントロールパネルに、S/E(Start/End)ボタン(図示せず)が配置されている。プロジェクタ10の電源がオフのときにS/Eボタンが押された場合、電子制御部70を含む各部に電力が供給され、電子制御部70は、投射機構22による画像の投射が可能な投射準備状態とすることを要求する投射準備要求を取得する。投射準備要求を取得した場合、電子制御部70は、水平投射位置までシャーシ20を回転させるよう駆動機構24を制御する。
【0031】
プロジェクタ10の電源がオンのときにS/Eボタンが押された場合、電子制御部70は、プロジェクタ10の電源をオフにして投射機構22による画像の投射を回避すべき投射回避状態とすることを要求する投射回避要求を取得する。投射回避要求を取得した場合、電子制御部70は、収納位置までシャーシ20を回転させるよう駆動機構24を制御する。なお、プロジェクタ10とは別体のリモコンにS/Eボタンが設けられてもよい。電子制御部70は、リモコンへの操作入力を無線で取得可能に設けられてもよい。
【0032】
駆動機構24は、シャーシ20を例えば上下方向に移動させてもよい。この場合、電子制御部70は、所定の投射準備要求を取得したときは、画像の投射が可能な投射位置までシャーシ20を上方向に移動させる。また、電子制御部70は、所定の投射回避要求を取得したときは、画像の投射を回避すべき投射回避位置までシャーシ20を下方向に移動させるよう駆動機構24を制御する。
【0033】
(第2の実施形態)
図3(a)は、第2の実施形態に係るプロジェクタ100の側面透過図であり、図3(b)は、図3(a)のP−P断面図である。以下、第1の実施形態と同様の個所は同一の符号を付して説明を省略する。
【0034】
プロジェクタ100は、側壁32に代えて側壁106が設けられ、放熱機構60に代えて放熱機構102が設けられた以外は、第1の実施形態に係るプロジェクタ10と同様に構成される。側壁106は、通気孔32aに代えて、通気孔32aと位置が異なる通気孔106aが設けられた以外は、側壁32と同様に形成される。
【0035】
通気孔106aは、通気孔32aよりも開口部30aに近い位置に配置される。放熱機構102は、ヒートシンク64およびダクト104を有する。ダクト104は、ヒートシンク取付部104a、接続部104b、およびダクト開口部104cを有する。ヒートシンク取付部104aには、第1の実施形態の取り付け孔62aと同様の取り付け孔104dが設けられており、この取り付け孔104dにヒートシンク64が取り付けられる。したがって、第2の実施形態においても、ヒートシンク64は、光源54と、通気孔106aから採り込まれまたは排出されるエアと、の双方に接するよう設けられる。また、ヒートシンク64のプレート部64aは、シャーシ20の内部領域へのエアの流入を抑制するよう、内部領域とエアが通過するエア通過領域とを仕切る。なお、放熱機構102にファン(図示せず)が設けられており、このファンが光源54の点灯時に作動する点は第1の実施形態と同様である。
【0036】
接続部104bは、ダクト開口部104cがヒートシンク64よりも開口部30aに近くに位置するよう、接続部104bの端部とダクト開口部104cとを接続する。こうして、ダクト104は投射機構22を囲うようコ字状に形成される。通気孔106aは、ダクト104のダクト開口部104cと重なる位置に設けられる。こうして通気孔106aは、第1の実施形態に係る通気孔32aよりも開口部30aの近くに配置される。
【0037】
コントロールパネルには、画像を略水平に投射する水平投射位置と画像を鉛直上方に投射する鉛直投射位置との間で移動させる指示を発する切り替えスイッチが設けられている。ユーザはこの切り替えスイッチを押すことで、画像の投射方向を切り替えることができる。
【0038】
図3(a)および図3(b)は、投射ユニット12が水平投射位置にあるときのプロジェクタ100を示している。投射ユニット12が水平投射位置に設定されている場合、投射ユニット12は、光軸Xが水平且つ前方に向くよう位置する。
【0039】
第2の実施形態においても、投射ユニット12が水平投射位置にあるとき、開口部30aは筐体14の上端14aよりも上方に位置する。したがって筐体14は、投射ユニット12が水平投射位置にあるときに開口部30aの遮蔽を解除するよう設けられている。このとき通気孔106aもまた筐体14の上端14aより上方に位置する。このため筐体14は、投射ユニット12が水平投射位置にあるときは通気孔106aの遮蔽もまた解除するよう設けられている。
【0040】
電子制御部70は、投射ユニット12を収納位置に移動させる場合、第1の実施形態と同様に光軸Xが水平且つ後方に向くよう投射ユニット12を回転させる。第2の実施形態においても、投射ユニット12が収納位置にあるとき、開口部30aは筐体14の上端14aよりも下方に位置する。したがって筐体14は、投射ユニット12が収納位置にあるときに開口部30aを遮蔽するよう設けられている。このとき通気孔32aもまた筐体14の上端14aより下方に位置する。このため筐体14は、投射ユニット12が収納位置にあるときは通気孔106aも遮蔽するよう設けられている。
【0041】
図4は、鉛直上方に画像を投射するときの第2の実施形態に係るプロジェクタ100の側面透過図である。投射ユニット12が水平投射位置にあるときに切り替えスイッチが押された場合、電子制御部70は、投射ユニット12を鉛直投射位置まで回転させるよう駆動機構24を制御する。
【0042】
投射ユニット12が鉛直投射位置にあるとき、開口部30aは筐体14の上端14aよりも上方に位置する。したがって筐体14は、投射ユニット12が鉛直投射位置にあるときに開口部30aの遮蔽を解除するよう設けられている。このとき通気孔106aもまた筐体14の上端14aより上方に位置する。このため筐体14は、投射ユニット12が鉛直投射位置にあるときは通気孔106aの遮蔽もまた解除するよう設けられている。
【0043】
このように通気孔106aを開口部30aの近くに配置することで、開口部30aの遮蔽が解除されているときは、同様に通気孔106aの遮蔽も解除させることができる。このため、通気孔106aによるエアの採り込みおよび排出を可能としたまま投射ユニット12をより多くの角度回転させることができ、光軸Xが向く方向を幅広く変化させることができる。
【0044】
なお、切り替えスイッチによって光軸Xが向く方向は鉛直上方に限られない。例えば電子制御部70は、投射ユニット12が水平投射位置にあるときに切り替えスイッチが押された場合、水平投射位置よりも光軸Xが水平方向に対し大きい角度上方に傾く傾斜位置まで投射ユニット12を回転させてもよい。
【0045】
(第3の実施形態)
図5(a)は、第3の実施形態に係るプロジェクタ150の斜視図であり、図5(b)は、第3の実施形態に係るプロジェクタ150の側面透過図である。以下、上述の実施形態と同様の個所については同一の符号を付して説明を省略する。
【0046】
プロジェクタ150は、投射ユニット152および筐体154を有する。投射ユニット152は円柱状に形成され、その中心軸が水平方向を向くように筐体154に支持される。このとき筐体154は、投射ユニット152を回転可能に支持する。したがって筐体154は支持部材として機能する。
【0047】
投射ユニット152は、シャーシ160、投射機構170、および駆動機構24を有する。シャーシ160は、円筒状部分30および2つの側壁162を有する。側壁162は、円筒状部分30の両端の開口を各々が覆うよう設けられる。図5(b)は、投射ユニット12の内部が見えるよう側壁162が円筒状部分30から外された状態を示している。なお、円筒状部分30に代えて、他の形状の筒状部分が設けられてもよい。例えば断面形状が正六角形や正八角形などの正多角形となる筒状部分であってもよい。
【0048】
シャーシ160は、投射機構170を収容する。投射機構170は、シャーシ160の内部に固定されている。投射機構170は、光学ユニット172および光源54を有する。光学ユニット172は、第1光学ユニット174、ミラー176、および第2光学ユニット178を有する。第1光学ユニット174は、空間変調素子を有する。光源54による光は、第1光学ユニット174の空間変調素子を透過して変調され、ミラー176によって反射される。ミラー176で反射された光は、第2光学ユニット178を通過して開口部30aから投射される。このとき、第1光学ユニット174の光軸X1と第2光学ユニット178の光軸X2とが直角となるよう、ミラー176によって光が反射される。開口部30aから投射された光は、外部に設けられたスクリーン上で結像する。
【0049】
図5(b)に示すように、第1光学ユニット174の光軸X1と第2光学ユニット178の光軸X2とは、投射ユニット152の回転軸、すなわちシャフト44を囲むように構成される。このため、光源54は、開口部30aとシャフト44を挟む位置に配置される。このように光学ユニット172が構成される場合、画像を投射するため開口部30aが上方に位置するよう投射ユニット152を回転させると、光源54はシャフト44よりも下方に位置する。このため、第1、第2実施形態のように筐体154の上端を略同一水平面上に形成すると、開口部30aを筐体の上端より上方に位置させたときに、光源54を筐体154の上端より上方に位置させることは困難となり、光源54の放熱のためのダクト62の両端のダクト開口部もまた筐体154の上端より上方に位置させることが困難となる。このため、第3の実施形態に係る筐体154は、2つの連通孔154aを有する。2つの連通孔154aは、筐体154の右側面および左側面の各々に設けられる。
【0050】
図5(a)は、水平投射位置にあるときの第3の実施形態に係るプロジェクタ150の斜視図であり、図5(b)は、水平投射位置にあるときの第3の実施形態に係るプロジェクタ150の側面透過図である。投射ユニット152が水平投射位置にあるときは、投射ユニット152は、光軸X2が水平且つ前方に向くよう位置する。このとき連通孔154aは、図5(a)および図5(b)に示すように、通気孔162aと重複して通気孔162aと外部とを連通させ、通気孔162aの遮蔽を解除する。
【0051】
図6(a)は、収納位置にあるときの第3の実施形態に係るプロジェクタ150の斜視図であり、図6(b)は、収納位置にあるときの第3の実施形態に係るプロジェクタ150の側面透過図である。収納位置にあるとき、投射ユニット152は、光軸X2が鉛直下方に向くよう位置する。図6(a)および図6(b)に示すように、連通孔154aは、投射ユニット152が収納位置にあるときは通気孔162aと非重複となることで通気孔162aを遮蔽する。
【0052】
このように連通孔154aを設けることで、開口部30aと光源54とが回転軸を挟んで反対側に位置するような場合においても、投射ユニット152が水平投射位置に配置されたときに開口部30aおよび通気孔162aの双方の遮蔽を解除することができる。
【0053】
なお、筐体154は円筒状部分30の外周に沿うよう半円状に形成された半円部154bを有する。半円部154bは、円筒状部分30の両端の各々に沿うよう2個所に設けられる。このように筐体154を設けることで、投射ユニット152と筐体154との外観における一体感を高めることができる。
【0054】
また、連通孔154aは、光軸X2が水平よりも上方に傾くよう水平投射位置が変更されても通気孔162aと重なるよう、通気孔162aをシャフト44を中心に回転させた軌跡となる円弧状に形成されている。これにより、光軸X2の方向の変更した場合においても通気孔162aから適切にエアを採り込みおよび排出することができる。なお、連通孔154aが円弧状以外の形状に形成されていてもよい。
【0055】
図7(a)は、ファン202を取り付けたときの第3の実施形態に係るプロジェクタ150の斜視図であり、図7(b)は、フィルタ204をさらに取り付けたときの第3の実施形態に係るプロジェクタ150の斜視図である。電子制御部70は、ファン202の作動を制御するファン制御部としても機能する。ファン202は、ダクト62の両端のダクト開口部の一方に配置される。フィルタ204は、ファン202の外側に取り付けられる。ファン202は、正転することで外部からダクト62の内部にエアを採り込むよう回転する。これにより、より多くのエアを放熱フィン64b周辺において通過させることができ、光源54の熱を適切に放散させることができる。
【0056】
電子制御部70は、投射ユニット152が収納位置から水平投射位置に移動し、ファン202が連通孔154aと重なり外部と連通したときに、ファン202の作動を開始する。また、電子制御部70は、投射ユニット152が水平投射位置にあるときの所定のタイミングで、ファン202を逆転させる。これにより、フィルタ204に付着した埃などを外部に飛ばして除去することができる。所定タイミングは、投射ユニット152が水平投射位置にあるときに電源をオフするためS/Eボタンが押されたときであってもよく、他のタイミングであってもよい。
【0057】
(第4の実施形態)
図8は、第4の実施形態に係るプロジェクタ250の斜視図である。以下、上述の実施形態と同様の個所については同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
プロジェクタ250は、筐体154に代えて筐体252が設けられている以外は、第3の実施形態に係るプロジェクタ150と同様に構成される。筐体252は、連通孔154aに代えて連通孔252aが設けられ、さらにブラシ254が設けられた以外は、第3の実施形態に係る筐体154と同様に構成される。したがって、筐体252は、筐体154の半円部154bと同一の半円部252bを有する。
【0059】
連通孔252aは、ブラシ254を取り付けるために大きく形成されている点以外は、連通孔154aと同様に形成される。ブラシ254は、投射ユニット152が水平投射位置から収納位置に回転するときにフィルタ204の表面に接触するよう配置される。このようにブラシ254を設けることで、投射ユニット152の回転動作とともにフィルタ204の清掃作業も実行することができる。
【0060】
なお、このように投射ユニット152が水平投射位置から収納位置に回転するときに、電子制御部70は、ファン202を逆転させてもよい。これにより、ブラシ254によって掻きだされた埃などを外部に飛ばして除去することができる。
【0061】
(第5の実施形態)
図9(a)は、前方から見た第5の実施形態に係るプロジェクタ300の斜視図であり、図9(b)は、後方から見た第5の実施形態に係るプロジェクタ300の斜視図である。図9(c)は、第5の実施形態に係るプロジェクタ300の側面透過図である。以下、上述の実施形態と同様の個所については同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
プロジェクタ300は、円筒状部分30に代えて円筒状部分304が設けられ、側壁32に代えて側壁306が設けられた以外は、第1の実施形態に係るプロジェクタ10と同様に構成される。円筒状部分304は、吸気孔304b、排気孔304c、ファン308がさらに設けられた以外は、円筒状部分30と同様に構成される。側壁306は、通気孔32aが塞がれた以外は、側壁32と同様に形成される。
【0063】
吸気孔304bは、プロジェクタ300が水平投射位置にある状態において、開口部30aと反対側の円筒状部分304に配置される。排気孔304cは、円筒状部分304において開口部30aと吸気孔304bの中間位置に配置され、プロジェクタ300が水平投射位置にある状態において、上方に開口されるよう配置される。ファン308は、投射ユニット12の内部であって、排気孔304cの近い位置に配置される。したがって、吸気孔304bから採り込まれたエアY1は、吸気孔304bの近くに配置される放熱機構60におけるヒートシンク64を通過し、ファン308を経て排気孔304cからエアY2として排出される。
【0064】
図9(a)〜(c)は、投射ユニット12が水平投射位置にあるときのプロジェクタ300を示している。投射ユニット12が水平投射位置に設定されている場合、投射ユニット12は、光軸Xが水平且つ前方に向くよう位置する。
【0065】
第5の実施形態においても、投射ユニット12が水平投射位置にあるとき、開口部30aは筐体14の上端14aよりも上方に位置する。したがって筐体14は、投射ユニット12が水平投射位置にあるときに開口部30aの遮蔽を解除するよう設けられている。このとき吸気孔304bと排気孔304cもまた筐体14の上端14aより上方に位置する。このため筐体14は、投射ユニット12が水平投射位置にあるときは吸気孔304bと排気孔304cの遮蔽もまた解除するよう設けられている。
【0066】
図10(a)は、投射ユニット12が収納位置にあるときのプロジェクタ300の斜視図である。図10(b)は、投射ユニット12が収納位置にあるときのプロジェクタ300の側面透過図である。収納位置にあるとき、投射ユニット12は、光軸Xが水平且つ後方に向くよう位置する。
【0067】
電子制御部70は、投射ユニット12を収納位置に移動させる場合、第1の実施形態と同様に光軸Xが水平且つ後方に向くよう投射ユニット12を回転させる。第5の実施形態においても、投射ユニット12が収納位置にあるとき、開口部30aは筐体14の上端14aよりも下方に位置する。したがって筐体14は、投射ユニット12が収納位置にあるときに開口部30aを遮蔽するよう設けられている。このとき吸気孔304bと排気孔304cもまた筐体14の上端14aより下方に位置する。このため筐体14は、投射ユニット12が収納位置にあるときは吸気孔304bと排気孔304cも遮蔽するよう設けられている。
【0068】
(第6の実施形態)
図11(a)は、前方から見た第6の実施形態に係るプロジェクタ350の斜視図であり、図11(b)は、第6の実施形態に係るプロジェクタ350の側面透過図である。以下、上述の実施形態と同様の個所については同一の符号を付して説明を省略する。
【0069】
プロジェクタ350は、筐体14に代えて筐体352が設けられ、円筒状部分304に代えて円筒状部分354が設けられ、投射機構22に代えて投射機構360が設けられた以外は、第5の実施形態に係るプロジェクタ300と同様に構成される。
【0070】
筐体352は、シャフト44を支持する側面の形状が五角形となっている。ちょうど、第5の実施形態に係る筐体14の長方形の側面において、シャフト44を頂点とする五角形を構成するよう、筐体14の上側にある前方および後方の角部を切り取った形状としている。円筒状部分354は、吸気孔304bに代えて、開口部30aの周辺部に吸気孔354bが設けられた以外は、円筒状部分304と同様に構成される。
【0071】
投射機構360は、光学ユニット362、ミラー364および光源54を有する。光学ユニット362は、空間変調素子を有する。光源54による光は、ミラー364によって反射され、光学ユニット362を通過して開口部30aから投射される。このとき、光源54の光軸X1と光学ユニット362の光軸X2とが直角となるよう、ミラー364によって光が反射される。開口部30aから投射された光は、外部に設けられたスクリーン上で結像する。
【0072】
吸気孔354bは、プロジェクタ350が水平投射位置にある状態において、開口部30aと同じ前方に配置され、排気孔304cは、上方に開口されるよう配置される。したがって、吸気孔304bから採り込まれたエアY1は、ファン308の近くに配置される放熱機構60におけるヒートシンク64を通過し、ファン308を経て排気孔304cからエアY2として排出される。なお、吸気孔354bは、開口部30aの周辺部に開口部30aと別に設けられてもよいし、開口部30aに設けられた透明カバー等と円筒状部分354の間の隙間を利用して、開口部30aと一体となって設けられてもよい。
【0073】
図11(a)および図11(b)は、投射ユニット12が水平投射位置にあるときのプロジェクタ350を示している。投射ユニット12が水平投射位置に設定されている場合、投射ユニット12は、光軸Xが水平且つ前方に向くよう位置する。
【0074】
第6の実施形態においても、投射ユニット12が水平投射位置にあるとき、開口部30aは筐体352の上端352aよりも上方に位置する。したがって筐体352は、投射ユニット12が水平投射位置にあるときに開口部30aの遮蔽を解除するよう設けられている。このとき吸気孔304bと排気孔304cもまた筐体14の上端352aより上方に位置する。このため筐体352は、投射ユニット12が水平投射位置にあるときは吸気孔304bと排気孔304cの遮蔽もまた解除するよう設けられている。
【0075】
図12は、鉛直上方に画像を投射するときの第6の実施形態に係るプロジェクタ350の側面透過図である。投射ユニット12が水平投射位置にあるときに切り替えスイッチが押された場合、電子制御部70は、投射ユニット12を鉛直投射位置まで回転させるよう駆動機構24を制御する。
【0076】
投射ユニット12が鉛直投射位置にあるとき、開口部30aは筐体352の上端352aよりも上方に位置する。したがって筐体352は、投射ユニット12が鉛直投射位置にあるときに開口部30aの遮蔽を解除するよう設けられている。このとき吸気孔354bと排気孔304cもまた筐体352の上端352aより上方に位置する。このため筐体352は、投射ユニット12が鉛直投射位置にあるときは吸気孔354bと排気孔304cの遮蔽もまた解除するよう設けられている。
【0077】
図13は、投射ユニット12が収納位置にあるときの第6の実施形態に係るプロジェクタ300の側面透過図である。収納位置にあるとき、投射ユニット12は、光軸X2が水平方向から約140度回転させた後方かつ下方に向いて位置する。
【0078】
電子制御部70は、投射ユニット12を収納位置に移動させる場合、光軸X2が水平方向から約140度回転させた後方かつ下方に向くよう投射ユニット12を回転させる。第6の実施形態においても、投射ユニット12が収納位置にあるとき、開口部30aは筐体352の上端352aよりも下方に位置する。したがって筐体352は、投射ユニット12が収納位置にあるときに開口部30aを遮蔽するよう設けられている。このとき吸気孔354bと排気孔304cもまた筐体352の上端352aより下方に位置する。このため筐体352は、投射ユニット12が収納位置にあるときは吸気孔354bと排気孔304cも遮蔽するよう設けられている。
【0079】
このように吸気孔354bを開口部30aの周辺部に配置し、排気孔304cを開口部30aから90度の位置に配置することで、開口部30aの遮蔽が解除されているときは、同様に吸気孔354bと排気孔304cの遮蔽も解除させることができる。このため、吸気孔354bによるエアの採り込みおよび排気孔304cによるエアの排気を可能としたまま投射ユニット12をより多くの角度回転させることができ、光軸X2が向く方向を幅広く変化させることができる。
【0080】
なお、切り替えスイッチによって光軸Xが向く方向は鉛直上方に限られない。例えば電子制御部70は、投射ユニット12が水平投射位置にあるときに切り替えスイッチが押された場合、水平投射位置よりも光軸Xが水平方向に対し大きい角度上方に傾く傾斜位置まで投射ユニット12を回転させてもよい。
【0081】
(第7の実施形態)
図14(a)は、開口部30aを前方としたとき、前方から見た第7の実施形態に係るプロジェクタ400の斜視図であり、図14(b)は、後方から見た第7の実施形態に係るプロジェクタ400の斜視図である。図15(a)および図15(b)は、第7の実施形態に係るプロジェクタ400の上面透過図である。以下、上述の実施形態と同様の個所については同一の符号を付して説明を省略する。
【0082】
プロジェクタ400は、筐体14に代えて筐体412が設けられ、円筒状部分304に代えて円筒状部分404が設けられ、第5の実施形態に係るプロジェクタ300と同様に構成される。プロジェクタ400は、筐体412の内部において投射ユニット12が回転する構成となっている。上述した実施形態においては、円筒状部分404は、吸気孔304b、排気孔304cに代えて、吸気孔404b、排気孔404cが設けられた以外は、円筒状部分304と同様に構成される。
【0083】
筐体412は、正八角柱の形状をしており、正八角形の形状を有する2つの筐体底面部414と8つの長方形の形状が連なる筐体側面部416とを備える。筐体底面部414の各々の中心には挿通孔が設けられており(図示せず)、この挿通孔にシャフト44が回転可能に挿通される。こうして筐体412は、投射ユニット12を回転可能に支持し、円筒状部分404は、その中心軸が投射ユニット12の回転軸となる。筐体側面部416は、8つの長方形の面のうち、3つの面にそれぞれ、筐体開口部416a、筐体吸気孔416b、および筐体排気孔416cが設けられる。具体的には、筐体開口部416aが設けられる筐体側面部416の面を第1の面とし、その面から反時計回りに順に第2〜第8の面とすると、筐体側面部416の第4の面に筐体吸気孔416bが設けられ、筐体側面部416の第6の面に筐体排気孔416cが設けられる。なお、筐体412は、正六角柱などのその他の正多角柱の形状をしてもよいし、円筒形状を有していてもよい。
【0084】
開口部30a、吸気孔404b、および排気孔404cは、プロジェクタ400が投射位置にある状態において、それぞれ、筐体開口部416a、筐体吸気孔416b、および筐体排気孔416cと重複し、外部と連通するように円筒状部分404に配置される。ファン308は、投射ユニット12の内部であって、排気孔404cの近い位置に配置される。したがって、吸気孔404bから採り込まれたエアY1は、投射ユニット12の内部に配置される放熱機構60におけるヒートシンク64を通過し、ファン308を経て排気孔404cからエアY2として排出される。
【0085】
図15(a)は、投射ユニット12が投射位置にあるときのプロジェクタ400を示した上面透過図である。投射ユニット12が投射位置に設定されている場合、投射ユニット12は、光軸Xが筐体開口部416aを通じて外部に投射されるよう位置する。
【0086】
図15(b)は、投射ユニット12が収納位置にあるときのプロジェクタ400を示した上面透過図である。収納位置にあるとき、投射ユニット12は、光軸Xが投射位置を基準として45度回転した方向となるよう位置する。
【0087】
電子制御部70は、投射ユニット12を収納位置に移動させる場合、光軸Xが投射位置を基準として45度回転した方向となるように投射ユニット12を回転させる。第7の実施形態において、投射ユニット12が収納位置にあるとき、開口部30a、吸気孔404b、および排気孔404cは、それぞれ、筐体開口部416a、筐体吸気孔416b、および筐体排気孔416cと非重複となり、筐体側面部416により遮蔽された状態となる。このため筐体412は、投射ユニット12が収納位置にあるときは開口部30a、吸気孔404b、および排気孔404cを遮蔽するよう設けられている。
【0088】
第7の実施形態においては、筐体底面部414を下にして載置される形状として説明したが、筐体開口部416a、筐体吸気孔416bまたは筐体排気孔416cを有さない筐体側面部416を下にして載置されてもよい。
【0089】
(第8の実施形態)
図16(a)は、第8の実施形態に係るプロジェクタ500の斜視図であり、図16(b)は、第8の実施形態に係るプロジェクタ500の上面透視図である。プロジェクタ500は、投射ユニット502、カバー512を有する。投射ユニット502は、略直方体の形状のシャーシ503を有し、シャーシ503の内部に投射機構520、駆動機構524、放熱機構60および電子制御部70が設けられる。
【0090】
シャーシ503は、上面と下面に対応する2つの底面部504と、前面と後面を含む4つの側面部506を有する。底面部504は、水平方向に備えられプロジェクタ500の支持部材として機能する。側面部506の前面には、開口部506aが設けられており、投射機構520は、この開口部506aを介して画像を外部に投射する。側面部506の前面に吸気孔506bが設けられ、前面に対向する側面部506の後面に排気孔506cが設けられる。
【0091】
カバー512は、上面と下面に対応する2つのカバー底面部514と、前面と後面に対応する二つのカバー側面部516を有する断面が矩形の筒形状をしており、シャーシ503の底面部504および側面部506に沿って水平方向にスライドするよう取り付けられている。カバー側面部516の前面には、カバー開口部516aが設けられており、開口部506aと重複することにより、カバー開口部516aを介して画像が外部に投射される。
【0092】
側面部506には突部508が設けられており、カバー512が突部508に押し当てられた状態において、開口部506aとカバー開口部516aが重複した位置となる。また、カバー512が突部508に押し当てられた状態において、カバー底面部514が吸気孔506bおよび排気孔506cを遮蔽しないよう、カバー512の水平方向の長さが調整されている。
【0093】
投射機構520は、光源54と光学ユニット522を含み、シャーシ503の内部に固定されている。光学ユニット522は、第1の実施形態に係る光学ユニット52と同様に、複数のレンズを含み、光源54の光軸X1と光学ユニット522の光軸X2とが直角となるように光を反射するミラーを含む。
【0094】
駆動機構524は、モータ526、伝達機構528、ガイドレール530を有する(図示せず)。ガイドレール530は、シャーシ503の外側に取り付けられ、カバー512を水平方向にスライド可能に支持する。伝達機構528は、モータ526を介してカバー512に水平方向の駆動力を与える。駆動機構524は、例えば、ステッピングモータとリードスクリューによる機構や、ベルト機構、リニアモータ機構などが採用される。
【0095】
放熱機構60は、第1の実施形態と同様に光源54の放熱に用いられる。具体的には、吸気孔506bから採り込まれたエアY1は、放熱機構60におけるヒートシンク64を通過し、排気孔506cからエアY2として排出される。なお、排気孔506cの近傍にファン(図示せず)が設けられていてもよい。また、第1の実施形態にて説明したように、ヒートシンク64によって、内部領域とエア通過領域が仕切られていてもよい。
【0096】
電子制御部70は、投射準備要求を取得した場合、カバー512を投射位置までスライドさせるように駆動機構524を制御する。具体的には、カバー512が突部508に押し当てられるまで、カバー512を左方向へスライドさせる。また、電子制御部70は、投射回避要求を取得した場合、カバー512を収納位置までスライドさせるように駆動機構524を制御する。具体的には、開口部506aとカバー開口部516aが非重複となり、開口部506aがカバー512によって遮蔽された位置となるまで、カバー512を右方向へスライドさせる。
【0097】
図16(a)および図16(b)は、カバー512が投射位置にあるときのプロジェクタ500を示している。このとき、カバー開口部516aは、開口部506aと重複する位置となり、投射機構520は、開口部506aおよびカバー開口部516aを介して画像を外部に投射可能となる。また、吸気孔506bおよび排気孔506cも、カバー512による遮蔽が解除される。
【0098】
図17(a)および図17(b)は、カバー512が収納位置にあるときのプロジェクタ500を示している。このとき、カバー開口部516aは、開口部506aと非重複となる位置になり、開口部506aはカバー512により遮蔽される。また、吸気孔506bおよび排気孔506cも、カバー512により遮蔽される。このため、カバー512は遮蔽部材として機能する。
【0099】
(第9の実施形態)
図18は、第9の実施形態に係るプロジェクタ550の斜視図である。プロジェクタ550は、略直方体の形状の筐体560を有し、筐体560の内部に投射ユニット552、駆動機構524および電子制御部70が設けられる。
【0100】
図19および図20は、第9の実施形態に係るプロジェクタ550の上面透視図である。プロジェクタ550は、投射ユニット502に代えて投射ユニット552が設けられ、カバー512に代えて筐体560が設けられた以外は、第8の実施形態に係るプロジェクタ500と同様に構成される。投射ユニット552は、シャーシ503の代わりにシャーシ553が設けられ、投射ユニット502の内部に設けられていた駆動機構524および電子制御部70が設けられていない以外は、投射ユニット502と同様に構成される。なお、駆動機構524および電子制御部70は、筐体560の内部に設けられている。シャーシ553は、シャーシ503の突部508が設けられていない以外は、第8の実施形態に係るシャーシ503と同様に構成される。
【0101】
筐体560は、上面と下面に対応する2つの筐体底面部562と、前面と後面を含む4つの筐体側面部564を有する直方体形状をしている。筐体560の内部には、シャーシ553と、駆動機構524と、電子制御部70が設けられる。筐体側面部564の前面には、筐体開口部564aが設けられており、開口部506aと重複することにより、筐体開口部564aを介して画像が外部に投射される。また、筐体側面部564の前面には、筐体吸気孔564bが設けられており、吸気孔506bと重複することにより、外部からエアY1が採り込まれる。筐体側面部564の後面には、筐体排気孔564cが設けられており、排気孔506cと重複することにより採り込まれたエアがエアY2として排出される。
【0102】
駆動機構524は、ガイドレール530に代えてガイドレール570を有する。ガイドレール570は、筐体560の内部に取り付けられ、投射ユニット552を水平方向にスライド可能に支持する。伝達機構528は、モータ526を介してシャーシ553に水平方向の駆動力を与える(図示せず)。
【0103】
電子制御部70は、投射準備要求を取得した場合、投射ユニット552を投射位置までスライドさせるように駆動機構524を制御する。具体的には、筐体開口部564aと開口部506aとが重複する位置となるまで、投射ユニット552を左方向へスライドさせる。また、電子制御部70は、投射回避要求を取得した場合、投射ユニット552を収納位置までスライドさせるように駆動機構524を制御する。具体的には、筐体開口部564aと開口部506aとが非重複となり、開口部506aが筐体560によって遮蔽された位置となるまで、シャーシ553を右方向へスライドさせる。
【0104】
図19は、投射ユニット552が投射位置にあるときのプロジェクタ550を示している。このとき、筐体開口部564aは、開口部506aと重複する位置となり、投射機構520は、開口部506aおよび筐体開口部564aを介して画像を外部に投射可能となる。また、吸気孔506bおよび排気孔506cも、それぞれ筐体吸気孔564bおよび筐体排気孔564cと重複する位置となることで、筐体560による遮蔽が解除される。
【0105】
図20は、投射ユニット552が収納位置にあるときのプロジェクタ550を示している。このとき、筐体開口部564aは、開口部506aと非重複の位置となり、開口部506aは筐体560により遮蔽される。また、吸気孔506bおよび排気孔506cも、それぞれ筐体吸気孔564bおよび筐体排気孔564cと非重複の位置となることで、筐体560により遮蔽される。
【0106】
本発明は上述の各実施例に限定されるものではなく、各実施例の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施例として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施例に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施例も本発明の範囲に含まれうる。
【0107】
例えば、第1から第7の実施例において、投射ユニットが投射位置と収納位置とを切り換えるための回転角度は、各々の実施例に記載された角度に限定されず、回転により各々の実施例に記載された目的が得られる角度であれば、その数値は問わない。
【0108】
また、上記各実施例において、駆動機構によって投射ユニットまたは遮蔽部材のいずれかを移動させるように説明したが、駆動機構によって双方が移動することによって、同一の目的が得られる構成であってもよい。この場合は、遮蔽部材は筐体とは別個に移動可能に構成される。
【符号の説明】
【0109】
10 プロジェクタ、 12 投射ユニット、 14 筐体、 14a 上端、 20 シャーシ、 22 投射機構、 24 駆動機構、 30a 開口部、 32 側壁、 32a 通気孔、 40 モータ、 52 光学ユニット、 54 光源、 60 放熱機構、 62 ダクト、 62a 取り付け孔、 64 ヒートシンク、 64a プレート部、 64b 放熱フィン、 70 電子制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を投射する投射機構と、前記投射機構の放熱に用いるエアを採り込みまたは排出する通気孔と、を有する投射ユニットと、
前記投射ユニットが画像の投射を行わない収納位置にあるときは前記通気孔を遮蔽し、前記投射ユニットが画像の投射を行う投射位置にあるときは前記通気孔の遮蔽を解除するように設けられた遮蔽部材と、
前記投射ユニットまたは前記遮蔽部材を移動させる駆動機構と、
所定の投射準備要求を取得したときは、前記投射位置まで前記投射ユニットを移動させ、所定の収納要求を取得したときは、前記収納位置まで前記投射ユニットを移動させるよう前記駆動機構を制御する制御部と、
を備えることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項2】
前記投射ユニットは、前記投射機構からの画像の投射光が出射される開口部をさらに備え、
前記遮蔽部材は、前記投射ユニットが前記収納位置にあるときは前記開口部を遮蔽し、前記投射ユニットが前記投射位置にあるときは前記開口部の遮蔽を解除するよう設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ。
【請求項3】
前記遮蔽部材は、前記通気孔と外部とを連通させるための連通孔を有し、
前記連通孔は、前記投射ユニットが前記収納位置にあるときは前記通気孔と非重複となることで前記通気孔を遮蔽し、前記投射ユニットが前記投射位置にあるときは前記通気孔と重複して前記通気孔の遮蔽を解除するよう設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のプロジェクタ。
【請求項4】
前記駆動機構は、前記投射ユニットを回転させるよう設けられ、
前記制御部は、前記投射準備要求を取得したときは前記投射位置まで前記投射ユニットを回転させ、前記収納要求を取得したときは前記収納位置まで前記投射ユニットを回転させるよう前記駆動機構を制御することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプロジェクタ。
【請求項5】
前記通気孔は、前記投射機構の放熱に用いるエアを採り込む吸気孔および排出する排気孔によって構成され、
前記遮蔽部材は、前記投射ユニットが前記収納位置にあるときは前記吸気孔および前記排気孔を遮蔽し、前記投射ユニットが投射位置にあるときは前記吸気孔および前記排気孔の遮蔽を解除することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のプロジェクタ。
【請求項6】
前記吸気孔は、前記開口部を用いることを特徴とする請求項5に記載のプロジェクタ。
【請求項7】
前記投射機構に含まれる光源の放熱に用いる放熱部材をさらに備え、
前記放熱部材は、前記光源と、前記通気孔から採り込まれまたは排出されるエアと、の双方に接するよう設けられると共に、前記投射機構が設けられた前記投射ユニットの内部領域への前記エアの流入を抑制するよう、前記内部領域と前記エアが通過するエア通過領域とを仕切ることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−33209(P2013−33209A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−85524(P2012−85524)
【出願日】平成24年4月4日(2012.4.4)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】