説明

プロセスカートリッジ

【課題】輸送時に像保持体と帯電部材とが擦れることによって発生する静電メモリを簡易かつ省スペースな構成で防止すると共に、この構成を利用者の手間を煩わすことなく自動解除する。
【解決手段】プロセスカートリッジ1は、回転自在な像保持体2と、像保持体2と接触する帯電部材3と、像保持体2と帯電部材3との間に一方が挟まれると共に、他方が像保持体2の回転方向下流側のシート回収領域8に位置するシート部材7とを備え、シート部材7は、画像形成装置の初期動作に従動して像保持体2と帯電部材3との間からシート回収領域8に排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、着脱自在なプロセスカートリッジを備える画像形成装置の梱包形態は、プロセスカートリッジと画像形成装置とを別々に梱包する態様が大半である。この場合、プロセスカートリッジは、露出した像保持体の光疲労を防止するために日除け部材が装着されて、遮光性を有する梱包袋内に密封される。一方、画像形成装置は、プロセスカートリッジの着脱口を形成するフロントカバーや用紙を収納する給紙カセットなどが輸送時に開口しないように粘着テープが貼られて梱包される。
【0003】
しかしながら、画像形成装置の輸送時に、プロセスカートリッジ内の像保持体と帯電部材とが擦れることによって、静電メモリが発生し、画質不良を起こすという問題がある。このような問題を解決する手段として、例えば特許文献1や特許文献2に記載の発明が開示されている。特許文献1に記載のプロセスカートリッジは、輸送時に像保持体と帯電部材との間に可動式のシート部材を挟んだものである。画像形成装置の初期セットアップ時に、プロセスカートリッジが画像形成装置本体に装着されると、シート部材移動手段が画像形成装置内の接点に当接することによって、シート部材は像保持体と帯電部材との間から引き抜かれる。
【0004】
一方、特許文献2に記載のプロセスカートリッジは、像保持体と帯電部材とを離間する離間部材を備えている。離間部材は、画像形成装置の輸送時に帯電部材に巻き付けられることによって、像保持体と帯電部材とを離間する。また、離間部材は、その一端が像保持体に結合しており、画像形成装置の初期動作時に像保持体の回転によって像保持体に巻き取られて回収され、像保持体と帯電部材が接触するというものである。
【特許文献1】特開2002−258719号公報
【特許文献2】特開2002−311688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような背景を鑑み、輸送時に像保持体と帯電部材とが擦れることによって発生する静電メモリを簡易かつ省スペースな構成で防止すると共に、この構成を利用者の手間を煩わすことなく自動解除することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、回転自在な像保持体と、前記像保持体と接触する帯電部材と、前記像保持体と前記帯電部材との間に一方が挟まれると共に、他方が前記像保持体の回転方向下流側のシート回収領域に位置するシート部材とを備え、前記シート部材は、画像形成装置の初期動作に従動して前記像保持体と前記帯電部材との間から前記シート回収領域に排出されることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記シート部材と前記像保持体または前記帯電部材との間における摩擦係数は、前記像保持体と前記帯電部材との間における摩擦係数よりも大きいことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記シート部材の他方は、前記シート回収領域に案内するための経路に解放されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記シート部材は、一方から他方に向かって前記像保持体から離れる方向へ湾曲し、他方が構造部材に固定されることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記シート部材の一方は、2重に折り畳まれて前記像保持体と前記帯電部材との間に挟まれること特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記シート部材の一方は磁性体であり、前記像保持体と前記帯電部材との間から排出された後、構造部材の内壁に設けられた磁性体に接着することを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記シート部材の他方は、前記像保持体の回転方向下流側から上流側に向かって前記帯電部材を外周して前記帯電部材の外壁に固定され、前記シート部材の一方は、前記像保持体と前記帯電部材との間から排出された後、前記像保持体から離間して構造部材に当接することを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記シート部材の他方は、前記像保持体の回転方向下流側へ付勢された弾性部材に連結することを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記シート部材は、一方から他方に向かって開口部を有し、他方は走査書込装置の光路を通過して構造部材の外壁に固定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、シート部材は、画像形成装置の初期動作における像保持体の回転によって像保持体と帯電部材との間から排出されて、シート回収領域に移動する。この態様によれば、シート部材とシート回収領域を備えるという簡易な構成で輸送時における静電メモリを防止することができると共に、画像形成装置の初期動作時にシート部材を自動で解除することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、シート部材は、画像形成装置の初期動作における像保持体の回転によって、像保持体と帯電部材との間から排出され易くなる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、シート部材は、像保持体と帯電部材との間から排出された後、自重により落下してシート回収領域へ回収される。また、シート回収領域は、シート部材の厚さ分のスペースで済むため、省スペースな構成となる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、シート部材の他方は、像保持体から離れる方向へ湾曲して構造部材に固定されているため、シート部材が像保持体と帯電部材との間から排出された後、その復元力(しなり)によって像保持体から離間する。このため、シート部材は、画像形成装置の初期動作後に周辺部材に接触することはない。また、この態様は、シート部材を構造部材に固定するという簡易な構成で実現することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、シート部材の一方は2重に折り畳まれているため、錘となり、像保持体と帯電部材との間から排出された後、シート部材の復元力(しなり)および自重によって像保持体から離れる方向へ垂れ下がる。このため、画像形成装置の初期動作後に周辺部材に接触することはない。この態様によれば、シート部材は、錘をつける必要がなく、単一材料で構成できる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、シート部材の一方が磁性体であるため、錘となり、像保持体と帯電部材との間から排出された後、シート部材は磁性体の自重によって像保持体から離れる方向へ垂れ下がる。また、垂れ下がったシート部材は、磁性体の磁力によって構造部材の磁性体に接着するため、プロセスカートリッジ内のエアフローの影響を受けて振動することはなく、画像形成装置の初期動作後に周辺部材に接触することはない。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、帯電部材を外周して帯電部材の外壁に固定されたシート部材は、像保持体と帯電部材との間から排出された後、その復元力(しなり)によって像保持体から離間し、構造部材に当接した状態となる。このため、シート部材は、プロセスカートリッジ内のエアフローの影響を受けて振動することはなく、画像形成装置の初期動作後に周辺部材に接触することはない。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、シート部材のシート格納領域が像保持体より鉛直方向上方に位置している態様でも、シート部材は、像保持体と帯電部材との間から排出された後、弾性部材の弾性力によって像保持体から離間する。このため、シート部材は、画像形成装置の初期動作後に周辺部材に接触することはない。
【0023】
請求項9に記載の発明によれば、シート部材は、像保持体と帯電部材との間から排出された後、その開口部によって走査書込装置の露光を妨げない。この態様は、プロセスカートリッジがシート回収領域を十分確保できない省スペースな構成の場合に特に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
1.第1の実施形態
以下、ニップ部に挟まれたシート部材が画像形成装置の初期動作に従動してシート回収領域に排出されるプロセスカートリッジの一例について説明する。
【0025】
(輸送時のプロセスカートリッジの構成)
図1は、輸送時のプロセスカートリッジの側面図(A)と、初期動作後のプロセスカートリッジの側面図(B)である。プロセスカートリッジ1は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置の着脱自在な画像形成ユニットであり、像保持体2、帯電部材3、現像部材4、クリーニング部材5、構造部材6、シート部材7を備える。
【0026】
像保持体2は、光導電性感光層を備えた回転自在な感光体ドラムである。感光体ドラムの表面は、バイアス電圧が印加された帯電部材3によって帯電する。帯電した像保持体2は、走査書込装置からの出射光Lによって露光されて静電潜像を形成する。静電潜像は、バイアス電圧が印加された現像部材4によって現像剤が現像される。現像された像保持体2が保持する粉体像は、転写部材によってバイアス電圧が印加されて記録紙に転写される。転写後に像保持体2に残存した現像剤は、クリーニング部材5によって掻き落とされる。以上の像保持体2、帯電部材3、現像部材4、クリーニング部材5は、構造部材6によって支持される。
【0027】
シート部材7は、紙、好ましくはポリエチレンテレフタレート(マイラー(登録商標))等の樹脂フィルムである。画像形成装置の輸送時において、シート部材7は、一方7aが像保持体2とこれに接触する帯電部材3との間(ニップ部9)に挟まれると共に、他方7bが像保持体2の回転方向Aの下流側のシート回収領域8に位置する。また、シート部材7の他方7bは、図1(A)に示すように、シート部材7の鉛直方向の右斜下方に位置するシート回収領域8へ案内するための経路に解放されている。また、シート部材7と像保持体2または帯電部材3との間における摩擦係数が、像保持体2と帯電部材3との間における摩擦係数よりも大きい。
【0028】
(初期動作後のプロセスカートリッジの構成)
画像形成装置の初期動作が開始すると、像保持体2、帯電部材3、現像部材4は、回転方向Aへ回転する。すると、シート部材7は、ニップ部9から排出される。ニップ部9から排出されたシート部材7は、自重により構造部材6のシート回収領域8に落下して回収される。以後、プロセスカートリッジ1は、ニップ部9にシート部材7が挟まれていない状態で画像形成動作を行う。なお、画像形成装置の初期動作とは、例えば、定着装置の加熱ロールが待機温度になるまでに行われる準備回転等を意味する。
【0029】
(第1の実施形態の優位性)
第1の実施形態によれば、シート部材7は、画像形成装置の初期動作における像保持体2の回転によってシート回収領域8に移動する。この態様によれば、シート部材7とシート回収領域8を備えるという簡易な構成によって、輸送時における像保持体2と帯電部材3との間の振動による静電メモリを防止することができると共に、画像形成装置の初期動作時にシート部材7を自動で解除することができる。
【0030】
また、シート部材7と像保持体2または帯電部材3ととの間における摩擦係数が、像保持体2と帯電部材3との間における摩擦係数よりも大きいことにより、シート部材7は、画像形成装置の初期動作における像保持体2の回転によって、像保持体2と帯電部材3との間から排出され易くなる。
【0031】
さらに、シート部材7が、他方7bがシート部材7の鉛直方向の右斜下方に位置するシート回収領域8へ案内するための経路に開放されていることにより、シート部材7は、像保持体2と帯電部材3との間から排出された後、自重により落下してシート回収領域8へ回収される。また、シート回収領域8は、シート部材7の厚さ分のスペースで済むため、省スペースな構成となる。したがって、シート回収領域が十分確保できない場合に特に好適な態様となる。
【0032】
2.第2の実施形態
以下、ニップ部に挟まれた一方から他方へ向かって像保持体から離れる方向へ湾曲し、他方が構造部材に固定されたシート部材を備えるプロセスカートリッジの一例について説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成については記載を省略する。
【0033】
(輸送時のプロセスカートリッジの構成)
図2は、輸送時のプロセスカートリッジの側面図(A)と、初期動作後のプロセスカートリッジの側面図(B)である。シート部材11は、一方11aがニップ部9に挟まれると共に、一方11aから他方11bに向かって像保持体2から離れる方向へ湾曲し、他方11bがシート回収領域8に位置する構造部材6に固定される。
【0034】
(初期動作後のプロセスカートリッジの構成)
画像形成装置の初期動作が開始すると、像保持体2、帯電部材3、現像部材4は、回転方向Aへ回転する。すると、シート部材11は、ニップ部9から排出される。ニップ部9から排出されたシート部材11は、その復元力(しなり)によって像保持体2から離間する。
【0035】
(第2の実施形態の優位性)
第2の実施形態によれば、シート部材11の他方11bは、像保持体2から離れる方向へ湾曲して構造部材6に固定されているため、シート部材11が像保持体2と帯電部材3との間から排出された後、その復元力(しなり)によって像保持体2から離間する。このため、シート部材11は、画像形成装置の初期動作後に像保持体2や帯電部材3に影響することはない。また、この態様は、シート部材11を構造部材6に固定するという簡易な構成で実現することができる。
【0036】
3.第3の実施形態
以下、2重に折り畳まれてニップ部に挟まれたシート部材を備えるプロセスカートリッジの一例について説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成については記載を省略する。
【0037】
(輸送時のプロセスカートリッジの構成)
図3は、輸送時のプロセスカートリッジの側面図(A)と、初期動作後のプロセスカートリッジの側面図(B)である。シート部材21は、一方21aが2重に折り畳まれてニップ部9に挟まれ、一方21aから他方21bに向かって像保持体2から離れる方向へ湾曲し、他方21bがシート回収領域8に位置する構造部材6に固定される。
【0038】
(初期動作後のプロセスカートリッジの構成)
画像形成装置の初期動作が開始すると、像保持体2、帯電部材3、現像部材4は、回転方向Aへ回転する。すると、シート部材21は、ニップ部9から排出される。ニップ部9から排出されたシート部材21は、その復元力(しなり)および自重によって像保持体2から離れる方向へ垂れ下がる。
【0039】
(第3の実施形態の優位性)
第3の実施形態によれば、シート部材21の一方21aは2重に折り畳まれているため、錘となり、像保持体2と帯電部材3との間から排出された後、シート部材21の復元力(しなり)および自重によって像保持体2から離れる方向へ垂れ下がる。このため、シート部材21は、画像形成装置の初期動作後に周辺部材に接触することはない。この態様によれば、シート部材21は、錘をつける必要がなく、単一材料で構成できる。
【0040】
4.第4の実施形態
以下、ニップ部に挟まれた部分が磁性体であるシート部材を備えるプロセスカートリッジの一例について説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成については記載を省略する。
【0041】
(輸送時のプロセスカートリッジの構成)
図4は、輸送時のプロセスカートリッジの側面図(A)と、初期動作後のプロセスカートリッジの側面図(B)である。シート部材31の一方31aは、磁性体(ラバーマグネット)であり、一方31aから他方31bに向かって像保持体2から離れる方向へ湾曲し、他方31bがシート回収領域8に位置する構造部材6に固定される。また、構造部材6の内壁には、シート部材31の磁性体と逆極性の磁性体32が設けられる。
【0042】
(初期動作後のプロセスカートリッジの構成)
画像形成装置の初期動作が開始すると、像保持体2、帯電部材3、現像部材4は、回転方向Aへ回転する。すると、シート部材31は、ニップ部9から排出される。ニップ部9から排出されたシート部材31は、磁性体の自重により像保持体2から離れる方向へ垂れ下がる。また、垂れ下がったシート部材31は、磁性体の磁力によって構造部材6または構造部材6の内壁に設けられた磁性体32に接着する。
【0043】
(第4の実施形態の優位性)
第4の実施形態によれば、シート部材31の一方31aは磁性体であるため、錘となり、像保持体2と帯電部材3との間から排出された後、シート部材31は磁性体の自重によって像保持体2から離れる方向へ垂れ下がる。また、垂れ下がったシート部材31は、磁性体の磁力によって構造部材6の磁性体32に接着するため、プロセスカートリッジ30内のエアフローの影響を受けて振動することはなく、画像形成装置の初期動作後に周辺部材に接触することはない。
【0044】
5.第5の実施形態
以下、帯電部材を外周して帯電部材の外壁に固定されたシート部材を備えるプロセスカートリッジの一例について説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成については記載を省略する。
【0045】
(輸送時のプロセスカートリッジの構成)
図5は、輸送時のプロセスカートリッジの側面図(A)と、初期動作後のプロセスカートリッジの側面図(B)である。シート部材41の一方41aは、像保持体2と帯電部材43との間に挟まれる。シート部材41の他方41bは、像保持体2の回転方向Aの下流側から上流側に向かって帯電部材43を外周し、像保持体2の回転方向Aの上流側に位置する帯電部材43の外壁に固定される。
【0046】
(初期動作後のプロセスカートリッジの構成)
画像形成装置の初期動作が開始すると、像保持体2、帯電部材43、現像部材4は、回転方向Aへ回転する。すると、シート部材41は、ニップ部9から排出される。ニップ部9から排出されたシート部材41の一方41aは、その復元力(しなり)によって像保持体2から離間して構造部材6に当接した状態となる。このため、シート部材41は、プロセスカートリッジ40内のエアフローの影響を受けて振動することがなく、画像形成装置の初期動作後に像保持体2や帯電部材43に影響することはない。
【0047】
(第5の実施形態の優位性)
第5の実施形態によれば、帯電部材43を外周して帯電部材43の外壁に固定されたシート部材41は、像保持体2と帯電部材43との間から排出された後、その復元力(しなり)によって像保持体2から離間し、構造部材6に当接した状態となる。このため、シート部材41は、プロセスカートリッジ40内のエアフローの影響を受けて振動することはなく、画像形成装置の初期動作後に周辺部材に接触することはない。
【0048】
6.第6の実施形態
以下、像保持体の回転方向下流側に付勢された弾性部材に連結するシート部材を備えたプロセスカートリッジの一例について説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成については記載を省略する。
【0049】
(輸送時のプロセスカートリッジの構成)
図6は、輸送時のプロセスカートリッジの側面図(A)と、初期動作後のプロセスカートリッジの側面図(B)である。シート部材51は、一方51aが像保持体2と帯電部材3との間に挟まれ、他方51bが像保持体2の回転方向Aの下流側に付勢された弾性部材(ばね)51cに連結する。また、弾性部材51cは、構造部材6に固定される。
【0050】
(初期動作後のプロセスカートリッジの構成)
画像形成装置の初期動作が開始すると、像保持体2、帯電部材3、現像部材4は、回転方向Aへ回転する。すると、シート部材51は、ニップ部9から排出される。ニップ部9から排出されたシート部材51は、像保持体2の回転方向Aの下流側に付勢された弾性部材51cの弾性力によって像保持体2から離間する。
【0051】
(第6の実施形態の優位性)
第6の実施形態によれば、シート部材51のシート格納領域8が像保持体2より鉛直方向上方に位置している態様でも、シート部材51は、像保持体2と帯電部材3との間から排出された後、弾性部材51cの弾性力によって像保持体2から離間する。このため、シート部材51は、画像形成装置の初期動作後に像保持体2や帯電部材3に影響することはない。
【0052】
7.第7の実施形態
以下、開口部を有すると共に、走査書込装置の光路を通過するシート部材を備えたプロセスカートリッジの一例について説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成については記載を省略する。
【0053】
(輸送時のプロセスカートリッジの構成)
図7は、輸送時のプロセスカートリッジの側面図(A)と、初期動作後のプロセスカートリッジの側面図(B)であり、図8は、シート部材の正面図である。プロセスカートリッジ60は、省スペース型のカートリッジである。シート部材61は、一方61aが像保持体2と帯電部材3との間に挟まれると共に、一方61aから他方61bに向かって開口部61cを有し、他方61bが走査書込装置の光路Rを通過して構造部材6の外壁に固定される。なお、図7において、シート部材61の他方61bは、上側の構造部材6の外壁に固定されているが、図7において、下側の構造部材6の外壁に固定される態様でも良い。
【0054】
(初期動作後のプロセスカートリッジの構成)
画像形成装置の初期動作が開始すると、像保持体2、帯電部材3、現像部材4は、回転方向Aへ回転する。すると、シート部材61は、ニップ部9から排出される。ニップ部9から排出されたシート部材61は、復元力(しなり)および自重により像保持体2から離間して、走査書込装置の光路Lを形成する構造部材6に当接する。
【0055】
(第7の実施形態の優位性)
第7の実施形態によれば、シート部材61は、像保持体2と帯電部材3との間から排出された後、その開口部61cによって走査書込装置の露光を妨げない。この態様は、プロセスカートリッジ60のように、プロセスカートリッジがシート回収領域8を十分確保できない省スペースな構成の場合に特に好適である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリまたはこれらの複合機といった画像形成装置のプロセスカートリッジに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】第1の実施形態に係る輸送時のプロセスカートリッジの側面図(A)と、初期動作後のプロセスカートリッジの側面図(B)である。
【図2】第2の実施形態に係る輸送時のプロセスカートリッジの側面図(A)と、初期動作後のプロセスカートリッジの側面図(B)である。
【図3】第3の実施形態に係る輸送時のプロセスカートリッジの側面図(A)と、初期動作後のプロセスカートリッジの側面図(B)である。
【図4】第4の実施形態に係る輸送時のプロセスカートリッジの側面図(A)と、初期動作後のプロセスカートリッジの側面図(B)である。
【図5】第5の実施形態に係る輸送時のプロセスカートリッジの側面図(A)と、初期動作後のプロセスカートリッジの側面図(B)である。
【図6】第6の実施形態に係る輸送時のプロセスカートリッジの側面図(A)と、初期動作後のプロセスカートリッジの側面図(B)である。
【図7】第7の実施形態に係る輸送時のプロセスカートリッジの側面図(A)と、初期動作後のプロセスカートリッジの側面図(B)である。
【図8】第7の実施形態に係るシート部材の正面図である。
【符号の説明】
【0058】
1、10、20、30、40、50、60…プロセスカートリッジ、2…像保持体、3、43…帯電部材、4…現像部材、5…クリーニング部材、6…構造部材、7、11、21、31、41、51、61…シート部材、7a、11a、21a、31a、41a、51a、61a…シート部材の一方、7b、11b、21b、31b、41b、51b、61b…シート部材の他方、8…シート回収領域、9…ニップ部、32…磁性体、51c…弾性部材、61c…開口部、A…回転方向、L…出射光、R…光路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在な像保持体と、
前記像保持体と接触する帯電部材と、
前記像保持体と前記帯電部材との間に一方が挟まれると共に、他方が前記像保持体の回転方向下流側のシート回収領域に位置するシート部材とを備え、
前記シート部材は、画像形成装置の初期動作に従動して前記像保持体と前記帯電部材との間から前記シート回収領域に排出されることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記シート部材と前記像保持体または前記帯電部材との間における摩擦係数は、前記像保持体と前記帯電部材との間における摩擦係数よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記シート部材の他方は、前記シート回収領域に案内するための経路に解放されていることを特徴とする請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記シート部材は、一方から他方に向かって前記像保持体から離れる方向へ湾曲し、他方が構造部材に固定されることを特徴とする請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記シート部材の一方は、2重に折り畳まれて前記像保持体と前記帯電部材との間に挟まれること特徴とする請求項4に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項6】
前記シート部材の一方は磁性体であり、前記像保持体と前記帯電部材との間から排出された後、構造部材の内壁に設けられた磁性体に接着することを特徴とする請求項4に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項7】
前記シート部材の他方は、前記像保持体の回転方向下流側から上流側に向かって前記帯電部材を外周して前記帯電部材の外壁に固定され、前記シート部材の一方は、前記像保持体と前記帯電部材との間から排出された後、前記像保持体から離間して構造部材に当接することを特徴とする請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項8】
前記シート部材の他方は、前記像保持体の回転方向下流側へ付勢された弾性部材に連結することを特徴とする請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項9】
前記シート部材は、一方から他方に向かって開口部を有し、他方は走査書込装置の光路を通過して構造部材の外壁に固定されることを特徴とする請求項2に記載のプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−210927(P2009−210927A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−55372(P2008−55372)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】