説明

プロセス制御ネットワークを設定及び管理する方法並びに装置

【課題】プロセス制御システムの効率的な設計及び使用を有利にし、システムの物理的な特徴が標準に従うことを確実にするツールを提供する。
【解決手段】標準プロトコルに従うプロセス制御システムを設定及び管理するための空間情報を作成し、加えてより効率的な診断,オンライン・デバッギング,警報監視,及びデバイス・メンテナンスを有利に提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、一般に、プロセス制御ネットワークに関し、特に、プロセス制御ネットワークを設定及び管理する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
化学,石油,及びその他の製造並びに精製プロセスのような大きいプロセスは、プロセスのパラメータを計測及び制御し、それによってプロセスの制御に作用するために、施設内の様々な位置に配置された多数のフィールド・デバイスを有している。これらのデバイスは、例えば、温度,圧力,及び流量センサのようなセンサ、並びにバルブ及びスイッチのような制御要素である。歴史的には、プロセス制御産業は、プロセス内の測定及び制御フィールド・デバイスを操作するために、レベル及び圧力ゲージを手動で読むこと、バルブ・ホイール等を回すことのような手動操作を用いていた。
【0003】
現在では、プロセスの制御は、全体として、プロセスの特定のもの又は全プロセスのどちらかを制御するために、ハードウェア・デバイス間で命令及びデータを送受信することによって、プロセスを監視するマイクロプロセッサ・ベースのコントローラ,コンピュータ,又はワークステーションを使用して実現されることが多い。これらのマイクロプロセッサ,コンピュータ,又はワークステーションにおけるソフトウェア・プログラムによって実行される特定のプロセス制御機能は、ハードウェアへの修正を必要としないで、プログラミングを通じて個々に設計,修正,又は変更される。例えば、エンジニアは、書かれるべきプログラムに、タンク内のレベル・センサから流体のレベルを読み、タンク・レベルを所望する所定のレベルと比較し、そして、読まれたレベルが要求された所定のレベルより低いか又は高いかに基づいて、コントローラに供給バルブの開閉を行わせる。パラメータは、プロセスの選択された画面を表示することによって、また、選択された画面を使用してプログラムを修正することによって容易に変更される。エンジニアは、プロセスのエンジニア用画面を表示させ、修正することによって、主としてパラメータを変更する。
【0004】
コントローラ,コンピュータ,又はワークステーションは、全体の制御方法に関してプロセス・パラメータの測定及び制御に作用するために、集中型の、多くの場合、複雑な制御方法を格納及び実行する。しかし、通常、実行される制御方法は、フィールド・デバイスの製造業者の独自開発であり、従って、プロセス制御システムの拡張,アップグレード,再プログラム,及び/又はサービスを困難並びに高価にしている。なぜなら、フィールド・デバイスの提供者は、これらの動作の何れかを実施するために不可欠な方法に関与しなければならないからである。さらに、使用又は相互接続されることが可能な設備は、フィールド・デバイスの独自開発の性質によって、また、他の製造者によって製造された或るデバイス又はデバイスの機能を提供者がサポートしないという状況によっても制限され得る。
【0005】
独自開発のフィールド・デバイスの使用に固有の問題のうちの幾つかを克服するために、プロセス制御産業は、例えば、HART(登録商標),DE,PROFIBUS(登録商標),WORLDFIP(登録商標),LONWORKS(登録商標),Device-Net,及びCANプロトコルを含む多数の標準的なオープン通信プロトコルを開発してきた。これらの標準プロトコルは、同一のプロセス制御環境内で一緒に使用されるべき異なる製造業者によって製造されたフィールド・デバイスを使用可能にする。理論的には、これらのプロトコルのうちの1つに従う任意のフィールド・デバイスは、たとえ前記フィールド・デバイスが異なる製造業者によって製造されていても、前記プロトコルをサポートするプロセス制御システム又はその他のコントローラと通信し、該プロセス制御システム又はその他のコントローラによって制御されるべきプロセス内で使用されることが可能である。
【0006】
制御機能を実行するために、各プロセス制御デバイスは、標準的なオープン・プロトコルを使用するその他のプロセス制御デバイスと通信する能力と同様に、一又は複数の基本制御機能を実行する能力を有したマイクロプロセッサを備えている。このように、異なる製造業者によって製造されたフィールド・デバイスは、互いに通信し、一又は複数のプロセス制御機能又は制御ループを実行するために、プロセス制御ループ内で相互接続され得る。プロセス内で分散制御に作用する標準バスを介して、異なる製造業者によって製造されたデバイスを相互動作及び相互通信させるオープン通信プロトコルの別の例は、FOUNDATION FieldbusによるFOUNDATION Fieldbusプロトコル(以下、「Fieldbusプロトコル」)である。該Fieldbusプロトコルは、全ディジタルの、2線ループ・プロトコルである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらのプロトコルを使用するとき、プロセス制御システム又はネットワークを設計することに関連した問題は、様々なプロセス制御デバイスの実際の物理的なレイアウト及び相互接続に関連している。特に、これらのプロトコルの各々は、プロセス制御システムが前記標準に従うために動作しなければならない物理的な特徴のための値の制約を記述している。これらの制約は、通信セクションに亘る電圧低下,支線の長さ,全体のケーブルの長さ,全体の電流ドロー(currentdraw),及び特定のハブのプロセス制御デバイスの総数を含んでいる。コントローラ及びオペレータ・ステーションと同様に、容器,パイプ,ポンプ,モータ,及びバルブの物理的な位置は、プロセス制御システム又はネットワークを設定するとき、考慮に入れなければならない制約を記述している。これらの制約の相互関係は、制約の値によっては重要であり、価値がある。システムを管理することは、殆どの精製及び製造施設の複雑さのために厄介となり得る。
【0008】
また、ソフトウェア・プログラムは、制御プロセスを実行することに加えて、前記プロセスの表示を監視及び表示し、オペレータの表示又は特定のプロセスの状態に関する表示の形態でフィードバックを提供する。また、問題が発生したとき、監視するソフトウェア・プログラムは、警報を発する。問題が発生したとき、或るプログラムは、指示又は提案をオペレータに表示する。制御プロセスに対して責任があるオペレータは、彼の見地からプロセスを見て、素早く問題を是正する必要がある。表示又はコンソールは、プロセス制御機能を実行するコントローラ又はコンピュータ・ベースのマイクロプロセッサとオペレータとの間の、また、プログラマー又はエンジニアとプロセス制御機能を実行するコントローラ又はコンピュータ・ベースのマイクロプロセッサとの間のインタフェースとして主に提供される。
【0009】
プロセス制御環境において機能を実行,監視,制御,及びフィードバックするシステムは、Basic,Fortran,又はCのような高水準のコンピュータ・プログラミング言語で書かれたソフトウェアによって主に実現され、コンピュータ又はコントローラ上で実行される。これらの高水準言語は、プロセス制御プログラミングのためには効果的であるが、通常、プロセス・エンジニア,メンテナンス・エンジニア,制御エンジニア,オペレータ,及び監督者には使用又は理解されない。連続機能ブロック及びはしご論理(ladder logic)のようなより高水準のグラフィカルな表示言語は、このような作業者のために開発された。このように、エンジニア,メンテナンス作業者,オペレータ,ラボ作業者等の各々は、彼らの責任に関連したシステムを彼らに見せることを可能にする、プロセス制御システムの要素のグラフィカルな表示を必要としている。
【0010】
プロセス制御システムの要素のグラフィカルな表示は、施設の空間レイアウトへの相互関係なしに提供され、デバイス及び機能の論理的な接続を示すだけである。例えば、プロセス制御プログラムは、Fortranで書かれて、2つの入力を要求し、該入力の平均を計算し、前記2つの入力の平均と等しい出力値を生成するかも知れない。このプログラムは、「平均」機能と呼ばれ得、制御エンジニアのためのグラフィカルな表示を通じて呼び出し及び参照され得る。典型的なグラフィカルな表示は、2つの入力,1つの出力,及び「平均」を示すラベルを有した矩形のブロックから構成され得る。異なるプログラムが、平均値を表示するために、オペレータのためのこの同一機能のグラフィカルな表現を生成すべく使用され得る。システムが顧客に届けられる前に、これらのソフトウェア・プログラムは、予め定義されたユーザ選択可能な特徴のライブラリに置かれる。該プログラムは、機能ブロックによって識別される。ユーザは、それから、機能を呼び出し、例えば、Fortranで全く新しいプログラムを開発しなければならないことよりもむしろ論理的にプロセス制御解を定義することに使用されるライブラリから複数の機能ブロックのうちの1つを選択することによって、オペレータ,エンジニア等のための異なる表示を生成するために、矩形のボックスで示される予め定義されたグラフィカルな表現を選択することが可能である。
【0011】
関連する機能ブロックによってその各々が示される標準化された機能群は、制御ライブラリに格納され得る。このようなライブラリを持つ設計者は、コンピュータの表示画面上で論理的に相互接続することによってプロセス制御解、特定の作業を実行するために矩形のボックスで表わされる機能ブロックで選択された様々な機能又は要素を設計することができる。マイクロプロセッサ又はコンピュータは、ライブラリに格納された予め定義されたテンプレートで機能ブロックによって定義された機能又は要素の各々を関連付け、プログラム機能又は要素の各々を、前記設計者によって所望された相互接続に従いお互いに関係付ける。設計者は、精製又は製造施設の空間の次元に、前記設計を相関させることさえなしに、予め定義された機能の論理的な表示を使用してプロセス制御プログラム全体を設計する。
【0012】
提供されたグラフィカルな表示に関連する1つの問題は、論理的な接続だけが示されるということである。現在、施設の物理的なレイアウトは、プロセス制御システムの設定と相関しておらず、該システムを管理する間、参照されることができない。プロセス制御システムを設定するとき、空間情報は、手作業で計測され、入力されなければならない。プロセス制御システムを管理するとき、デバイス及びコントローラの物理的な位置は、手作業で決定されなければならず、問題の是正及びプロセス制御システムの管理に要求される時間をしばしば増大する。
【0013】
必要であるのは、施設の物理的なレイアウトを考慮に入れると共に、プロセス制御デバイス及びコントローラの空間位置に素早くアクセスすることをシステムのオペレータに許容する、プロセス制御システムを設定する方法である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願発明は、施設内に含まれたプロセス制御システムを設定及び管理するための施設の空間情報を使用することに関する。プロセス制御システムは、標準プロトコルに従い得る。このようなシステムは、プロセス制御システムの効率的な設計及び使用を有利にし、該システムの物理的な特徴が標準に従うことを確実にする。加えて、このようなシステムは、また、より効率的な診断,オンライン・デバッギング,警報管理,及びデバイス・メンテナンスを有利に提供する。上記ツールは、前記施設の空間レイアウトに適用されるプロセス制御ネットワークのレイアウトの自動生成を随意的に提供することがあり得る。
【0015】
別の実施形態において、上記ツールは、ネットワークのレイアウトがFieldbusプロトコルのような標準プロトコルの判定基準に従うことを確認すべく、施設の物理的なレイアウトに適用されたプロセス制御ネットワークのレイアウトを解析するために使用される。
【0016】
上記ツールは、ネットワークにおける作動警報を示すために、点滅デバイス表現を随意的に提供することが可能である。
【0017】
別の実施形態において、上記プロセス制御ネットワークは、まず、論理的な接続を使用して設定され、それから後に、前記設定は、施設の空間レイアウトに適用され、ネットワークのレイアウトに適用された空間情報を使用してプロセス制御ネットワークを管理するために使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本願発明は、添付の図面を参照することによって、当業者にとって明確とされたその多数の目的,特徴,及び利点についてより良く理解され得る。
【0019】
(実施の形態1)
プロセス制御環境100は、図1に示されており、ディジタル制御システム,プロセスコントローラ等を実施するための制御環境を示している。プロセス制御環境100は、オペレータ・ワークステーション102,ラボ・ワークステーション104,及びローカル・エリア・ネットワーク(LAN)108によって電気的に相互接続されたエンジニアリング・ワークステーション106,又は様々なワークステーション及び複数のコントローラ/マルチプレクサ110中のデータと、制御信号とを伝送し、受信する他の公知の通信接続を有している。ワークステーション102,104,及び106は、例えば、IBM互換のアーキテクチャに従うコンピュータである。ワークステーション102,104,及び106は、ワークステーション及び複数のプロセス112の間で電気的に連結する複数のコントローラ/マルチプレクサ110にLAN 108によって接続してあるように示されている。複数の様々な実施形態において、LAN 108は、コントローラ/マルチプレクサ110に直接的に接続された単一のワークステーションを有するか、又は、代わりに、複数のワークステーション(例えば、3個のワークステーション102,104,106)、及びプロセス制御環境100の目的及び要求に基づいた多くのコントローラ/マルチプレクサ110を有している。或る実施形態において、単一のプロセスコントローラ/マルチプレクサ110は、幾つかの異なるプロセス112を制御するか、又は、代わりに、単一のプロセスの一部を制御する。
【0020】
プロセス制御環境100において、プロセス制御方法は、エンジニアリング・ワークステーション106のソフトウェア制御解を生成することによって、また、例えば、前記解を実行のためにLAN 108を介してオペレータ・ワークステーション102,ラボ・ワークステーション104,及びコントローラ/マルチプレクサ110へ伝送することによって開発される。オペレータ・ワークステーション102は、コントローラ/マルチプレクサ110で実行される制御/監視方法にインタフェース表示を供給し、また、プロセス112を表示し、設計された解の要求に応じて制御属性値を変更するために、コントローラ/マルチプレクサ110の一又は複数と通信する。プロセス112は、高性能のフィールド・デバイス又は従来の(非高性能の)フィールド・デバイスであり得る一又は複数のフィールド・デバイスから構成される。
【0021】
加えて、オペレータ・ワークステーション102は、制御されたプロセス112の状態及び条件に関してオペレータに視覚的な及び音声のフィードバックを伝送する。エンジニアリング・ワークステーション106は、プロセッサ116,ディスプレイ115,及び一又は複数の入力/出力(I/O)デバイス又はユーザ・インタフェース・デバイス118(例えば、キーボード,ライト・ペン等)を有している。前記ワークステーション106は、また、揮発性及び不揮発性メモリを含むメモリ117を有している。メモリ117は、プロセス制御環境100の制御操作及び機能を実現するプロセッサ116上で実行する制御プログラムを含んでいる。メモリ117は、また、設定及び管理ツール120(Control Studioツールとも称される)を有している。プロセス制御環境100内のオペレータ・ワークステーション102及びその他のワークステーション(図示せず)は、ユーザ及びプロセッサの間で相互作用を許容するために、ディスプレイ(図示せず)及びユーザ・インタフェース・デバイス(図示せず)に電気的に接続された少なくとも1個の中央処理装置(図示せず)を有している。
【0022】
上記ツール120は、プロセス制御ネットワーク(100)の設定のために、また、プロセス制御ネットワーク(100)が、所望する標準プロトコル(例えば、Fieldbusプロトコル)に対応することを確実にするために使用される。また、上記ツール120は、プロセス制御ネットワーク(100)の管理の間、より効率的なトラブルシューティング及びメンテナンスを提供するために使用されることがあり得る。上記ツール120は、メモリ117に格納されるソフトウェアであることが好ましいが、コンピュータでの読み取りが可能な記録媒体上に含まれ得、エンジニアリング・ワークステーション106のプロセッサ116によって実行される。前記コンピュータでの読み取りが可能な記録媒体は、フレキシブル・ディスク(フロッピー(登録商標)・ディスク),CD-ROM,又はソフトウェアが格納され得るその他の種類の記録媒体であり得る。上記ツール120は、プロセス112の論理的な接続だけを示すか、又は精製若しくは製造施設のレイアウトの空間的な特徴を取り入れている物理的な接続を含み得るエンジニアリング・ワークステーション106のディスプレイ115上に提示される画面表示を可能にする。
【0023】
Fieldbusデバイスを使用するプロセス制御システム(本明細書中においてはプロセス制御ネットワークと同義)と共に本願発明のツールが詳細に記述される一方、本願発明のツールは、2線バス以外に依存するプロトコル、及びアナログのみ又はアナログ及びディジタル通信の両方をサポートするプロトコルを含む、その他の種類のフィールド・デバイス及び通信プロトコルを有するプロセス制御システムで使用されることができる点に留意するべきである。このように、例えば、本願発明のツールは、HART,PROFIBUS等の通信プロトコル、又は現存する若しくは将来開発され得る任意のその他の通信プロトコルを使用して通信する、如何なるプロセス制御システムにおいても使用されることができる。
【0024】
Fieldbusプロトコルの一般的な記述,このプロトコルに従って設定されるフィールド・デバイス,Fieldbusプロトコルを実行するプロセス制御環境100で通信が発生する方法,及びFieldbusプロトコル下で要求される値の制約例が提供される。しかし、Fieldbusプロトコルが当業者には公知であると理解されるべきであり、テキサス州オースティン所在の非営利組織であるFieldbus Foundationから発行、頒布、及び入手可能である多数の記事,パンフレット,及び仕様書で詳細に記述されている。特に、Fieldbusプロトコル下で要求される値の制約を含むFieldbusプロトコルは、「配線及びインストール31.25 Kbits/sec電圧モード配線媒体アプリケーション・ガイド」Foundation Fieldbus(1996)で詳細に記述されている。
【0025】
通常、Fieldbusプロトコルは、2線ループに標準化された物理的なインタフェースを、計測又はプロセス制御環境100内に含まれたセンサ,アクチュエータ,コントローラ,バルブ等のようなプロセス制御設備を相互接続するバスに提供する、ディジタル,シリアル,双方向の通信プロトコルである。Fieldbusプロトコルは、実質的に、プロセス内にフィールド機器(フィールド・デバイス)のためのローカル・エリア・ネットワークを提供する。Fieldbusプロトコルは、プロセスに亘って分散された位置で制御機能を実行し、全体的な制御方法を実行するためにこれらの制御機能の実行の前後に相互通信すべく、これらのデバイスを使用可能にする。Fieldbusプロトコルは、プロセス制御ネットワーク(100)に亘って分散されるべき制御機能を使用可能にし、該プロトコルは、中央プロセスコントローラの複雑さを低減するか、又は必要性を全体的に除去する。しかし、前記システムを管理し、問題のデバイスの物理的な位置を決定するとき、前記システムのトラブルシューティング及び管理をするとき、前記システムの分散された性質は、複雑さを増すことになる。
【0026】
上記Fieldbusプロトコルは、デバイスの記述及び機能ブロックを通じて通信を提供することによって、フィールド・デバイス及び全体的なプロセス制御システムの管理を許容する。フィールド・デバイスは、送信機、並びにデバイスのパフォーマンス及び状態を監視するプロセッサ付きのバルブのようなフィールド機器である。デバイスの記述は、デバイスのためのドライバと同様である。フィールド・デバイスにあっては、前記デバイスの記述は、較正手順,パラメータ手順,及びフィールド・デバイスと通信するために制御システムによって要求されたその他の情報を有している。フィールド・デバイスは、標準動作パラメータについて制御システムに通知し、較正されていない機器のような問題を自己診断して、前記制御システムに報知する能力がある。各フィールド・デバイスは、ユニークな物理的なデバイス・タグと、対応するネットワーク・アドレスとを有している。
【0027】
フィールド・デバイスを管理するために、多くの種類の通信が利用可能であって、ポート及び通信の統計を得、フィールド・デバイスの状態を得、資源の設定及びパラメータを表示及び変更し、フィールド・デバイスのマスター・リセット又は自己テストを開始し、センサの状態を表示し、センサを上げ下げ及びゼロ調整すべく変更することを含んでいる。上記に羅列された通信を管理することと共に空間情報を提供することによって、プロセス制御システムの特徴を管理することは、より効率的であり、使い易い。
【0028】
図2を参照して、Fieldbusプロトコルに従う図1のプロセス制御ネットワーク(プロセス制御環境)100のコントローラ/マルチプレクサ及びプロセス部分を示す。前記ネットワーク100は、複数のフィールド・デバイスからなる一又は複数のプロセス112にバス142を介して結合されたコントローラ/マルチプレクサ110を有している。バス142は、他の特徴と同様に、対応する長さを有する複数のセクション又はセグメントを有している。バス142は、また、たびたび「ブリックス(bricks)」と称される一又は複数のジャンクション・ボックス144(JB1,JB2,JB3)を有し得る。各ジャンクション・ボックス144は、バス142を介して一又は複数のフィールド・バス・デバイス146に結合され得る。また、コントローラ/マルチプレクサ110は、少なくとも1つの電力供給源(PS)148に結合されている。図2に示されたネットワークは、例示のみであって、プロセス制御ネットワーク100がFieldbusプロトコルを使用して設定され得る多くのその他の方法が存在する。
【0029】
上記プロセス制御ネットワーク100は、精製又は製造施設のレイアウトに関して、特定の通信セクションの支線の長さ,全体のバスの長さ,特定のジャンクション・ボックスに結合されたプロセス制御デバイスの総数,並びにコントローラ及びデバイスの物理的な位置のような多数の空間的な特徴を有する。これらの空間的な特徴は、施設の物理的なレイアウトに関する空間情報を使用して、システムの設定の間、自動的に計測及び演算され得る。上記プロセス制御ネットワーク100は、また、通信セクションに亘る電圧低下,セグメント全体の電流ドロー,及びシステムにおけるデバイスの種類のような多数の非空間的な特徴を有する。システムを設定するとき、これらの非空間的な特徴は、ユーザによって提供される。上記ツール120は、プロセス制御ネットワーク100が所望する標準プロトコルに対応するか否かを判定するために、これらの特徴を解析する。
【0030】
上記プロセス制御システムの設定が一旦完了されたならば、施設内のシステムの空間レイアウトを含むツール120は、任意のワークステーション102,104,又は106を使用して、プロセス制御システムを管理するために使用されることができる。プロセス制御システムを管理する機能は、診断,オンライン・デバッギング,警報監視,及びデバイス・メンテナンスのような機能を有している。診断及び警報監視の間、バルブ又はその他のデバイスが故障したとき、表示デバイスの画面のデバイス表現は、施設の空間表示で点滅させることが可能であり、容易に発見される。デバイスの空間位置と同様にデバイスのタグ名は、前記バルブ又はその他のデバイスを識別するために使用されることができる。オンライン・デバッギングの間、機能ブロックにおけるコネクタ及び属性の値は、システムの現在の条件をより容易にユーザに確認させるための施設の空間表示で示されることができる。デバイス・メンテナンスの間、空間表示でデバイスを選択することによって、現在の流量又は最新のメンテナンス記録のような、デバイスについての現在の状況及び情報を得ることができる。
【0031】
プロセス制御環境(プロセス制御ネットワーク)100は、図3に示される、設定モデル又は設定実施210,及び管理又はランタイム・モデル又は実施220の中に存在する。設定実施210,構成要素デバイス,オブジェクト,プロセス制御環境100内の相互接続及び相互関係は、施設の物理的なレイアウトに関する空間情報に定義付け及び関連付けられている。ランタイム実施220において、様々な構成要素デバイス,オブジェクト,相互接続,及び相互関係の操作が実行される。設定実施210及びランタイム実施220は、ASCIIベースのダウンロード言語を通じて相互接続される。該ダウンロード言語は、ユーザによって供給される定義に従うシステム・オブジェクトを生成し、供給された定義から例を生成する。また、定義をダウンロードすることに加えて、前記ダウンロード言語は、例及び例の値をアップロードする。設定実施210は、インストール手順を使用してランタイム実施220で実行するために作動される。
【0032】
上記プロセス制御環境100は、設定及びランタイム実施の両方を有するサブシステムの幾つかを伴う複数のサブシステムを有している。例えば、プロセス・グラフィック・サブシステム230は、プロセス制御環境100のアーキテクチャに、ユーザ定義された表示及びオペレータ・インタフェースを供給する。プロセス・グラフィック・サブシステム230は、プロセス・グラフィック・エディタ232,設定実施210の一部,プロセス・グラフィック・ビューア234,及びランタイム実施220の一部を有する。プロセス・グラフィック・エディタ232は、ダウンロード言語でインターサブシステム・インタフェース236によってプロセス・グラフィック・ビューア234に接続されている。プロセス制御環境100は、また、定義及びモジュール・エディタ242における制御モジュール及び設備モジュールを設定及びインストールし、ランタイム・コントローラ244において制御モジュール及び設備モジュールを実行する制御サブシステム240を有する。定義及びモジュール・エディタ242は、設定実施210内で動作し、ランタイム・コントローラ244は、連続する且つ順序付けられた制御機能を供給するために、ランタイム実施220内で動作する。定義及びモジュール・エディタ242は、前記ダウンロード言語でインターサブシステム・インタフェース246によってランタイム・コントローラ244に接続されている。複数のサブシステムは、サブシステム・インタフェース250によって相互接続されている。
【0033】
設定実施210及びランタイム実施220は、共通のデータ構造へのアクセスをサポートするためにマスター・データベース260に接続する。設定データをマスター・データベース260からローカルまで移すマスター・データベース260に、例えば、ユーザによって指示されるようにローカル・データベース262に、様々なローカル(非マスター)・データベース262に接続する。マスター・データベース260の一部は、不変データベース270である。不変データベース270は、該データベースの構築者がもはや存在しなくなった後も前記データベースが存在し続けるように時間を超越し、また、前記データベースが構築されたアドレス空間とは異なるアドレス空間に前記データベースが移動可能であるように空間を超越するオブジェクトである。全ての設定実施210は、不変データベース270に格納される。
【0034】
ランタイム実施220は、設定実施210によって生成されるデータ構造にアクセスするために不変データベース270及びローカル・データベース262に接続する。特に、ランタイム実施220は、ローカル・データベース262及び不変データベース270から、選択された設備モジュール,表示等を取得する。ランタイム実施220は、定義をインストールするためにその他のサブシステムに接続し、従って、例を生成するために使用されるオブジェクトをインストールし、前記定義が未だ存在していないときに、ランタイム例を例示化し、情報を様々なソースから目的地のオブジェクトまで伝送する。
【0035】
図4を参照して、ツール120の操作を示すフロー・ダイアグラムを示す。Windows(登録商標)オペレーティングシステム下で動作する様々なプログラムに存在するように、ツール120の異なるステップは、「ウィザード」機能に従って動作する。各ステップが完了した後、ユーザは、「NEXT」ボタン等を作動することによって次のステップへ移行する。ユーザが先へ進みたくない場合には、ユーザは、「EXIT」ボタン等を作動することによってツール120を出ることができる。
【0036】
ステップ310において、ユーザは、プロセス制御ネットワーク100の非空間的な特徴に関する情報をツール120に提供する。この情報は、顧客,使用されるデバイス,較正データ,タグ名,ケーブルの種類、電力供給の特徴,及びカード,セグメントについての情報、並びにジャンクション設定情報のようなもの含んでいる。顧客情報は、顧客の名前,会社の名前,ネットワークが配される施設の位置,ツールを提供している代表者の名前,及び該代表者への窓口の名前を含むことが可能である。カード設定情報は、ユーザに、使用されるカードと、プロセス制御ネットワーク100を解析するために使用される操作との種類についての情報を提供することが可能である。セグメント設定情報は、電力供給電圧,ケーブルの種類(ケーブル内で使用される配線のゲージについての情報とともに、ケーブルのその他の特徴を含む)を含むことが可能である。ジャンクション設定情報は、支線ケーブルの種類と、ジャンクション・ボックスに結合するツールの種類とを含む、ジャンクションに結合するデバイスと、どのようにジャンクションへの結合が設定されているかとに関する情報を含んでいる。好ましい実施形態において、機器は、Fieldbusプロトコルに従うデバイスである。ユーザは、機器にタグの識別を随意的に割り当てることが可能である。
【0037】
カードを設定するために、ユーザは、利用可能なコントローラ・カードのリストからコントローラ・カードを選択する。カードが選択された後、選択されたコントローラ・カードのための適当な情報がツール120に提供され得る。本質的には、コントローラ・カードを選択することによって、ユーザは、ネットワークのセグメントを設定する。好ましい実施形態において、各コントローラ・カードは、2つのセグメントを制御することが可能である。しかし、コントローラ・カードに依存して、セグメントは、多かれ少なかれコントローラ・カードによって制御されることが可能である。セグメントが設定されている間、ユーザは、上記ツール120に提供されている情報の概略にアクセスすることが可能である。
【0038】
ステップ320において、ユーザは、施設に関する空間情報をツール120に提供する。特に、見取り図のサイズ,機器の種類,サイズ,及び位置,並びにフレーム表現を含む施設の物理的なレイアウトが提供される。この情報は、ユーザによってツール120に提供されるか、又は3D Toolkit(例えば、TGSからの公開発明者)のような別のツールからインポートされることが可能である。
【0039】
ステップ330において、機能ブロックは、生成及び作動される。Fieldbusプロトコルにおいて、機能ブロックは、システム挙動の制御を提供し、較正手順,パラメータ手順,及び通信手順のような機能を含むことができる。各Fieldbusデバイスは、幾つかの機能ブロックを有することが可能である。ブロックの配置及び相互接続は、Fieldbusデバイスの機能を定める。
【0040】
ステップ340において、プロセス制御システムの物理的なレイアウトは、施設のレイアウトに関する空間情報に適用される。機能ブロック及びデバイスは、結線され、概して施設におけるワイヤ・フレーム及びその他のデバイスの配線に繋がっている。前記レイアウトは、ユーザによって手動でなされることが可能であるか、又は上記ツール120は、プロセス制御システムの物理的なレイアウトを自動的に生成することが可能である。コントローラからジャンクションまで又はジャンクションから別のジャンクションまでの長さ、及び支線の長さのような情報は、自動的に生成され、精製又は製造施設の空間レイアウトから演算されることが可能である。別の実施形態において、機能ブロック及びデバイスの接続は、まず、論理的に接続され、そして、後に、施設に関する空間情報に適用される。
【0041】
ステップ350において、プロセス制御システムの設定は、選択されたプロトコルの要求への適合のためにチェックされる。セグメントの支線の長さの全ては、支線の長さが標準プロトコルによって定義されるような所定の支線の長さを超えないことを確認するためにチェックされる。前記支線の長さは、セグメント(セグメント毎)の機器の個数によって制限される。例えば、機器の個数がより少なければ少ないほど、セグメント毎の支線の長さは長くなる。セグメント毎のデバイスの個数は、また、デバイスの個数が所定のデバイスの個数を超えないことを確認するためにチェックされる。許容されたデバイスの個数は、プロセス制御ネットワーク100によって使用されるコントローラに基づいて変化し得る。好ましい実施形態において、前記コントローラは、16個のデバイスをセグメント毎にバスに結合させることを許容する。しかし、現在のFieldbusの標準は、最高32個のデバイスをセグメント毎にバスに結合させることを許容する。セグメント毎の全体の電流ドローは、該電流ドローが標準プロトコルによって許容される最大電流ドローを超えないことを確認するためにチェックされる。
【0042】
好ましい実施形態において、許容される最大電流ドローは、セグメント毎に375ミリアンペアである。全セグメントのケーブルの長さ(支線の長さを含む)は、該長さが標準プロトコルによって許容された最大のセグメントの長さを超えないことを確認するためにチェックされる。好ましい実施形態において、許容される最大のセグメントの長さは、6232フィート又は1900メートルである。セグメント毎の最小電圧は、プロセス制御ネットワーク100に結合された任意のデバイスでの電圧が標準プロトコルによって記述された電圧を超えるか又は等しいことを確認するためにチェックされる。好ましい実施形態において、この電圧は12.5ボルトである。一又は複数の値がプロトコルによって定義される範囲内にない場合、ユーザは、プロセス制御ネットワーク100の設定を修正するためにステップ340に戻ることが可能である。
【0043】
プロセス制御ネットワーク100が一旦設定されたならば、ユーザは、供給された非空間及び空間情報を利して、プロセス制御システムの管理を開始することができる(ステップ360)。フィールド・デバイスを管理するために、多くの種類の通信が利用可能であって、ポート及び通信の統計を得、フィールド・デバイスの状態を得、資源の設定及びパラメータを表示及び変更し、フィールド・デバイスのマスター・リセット又は自己テストを開始し、センサの状態を表示し、センサを上げ下げ及びゼロ調整すべく変更することを含んでいる。上記に羅列された通信を管理することと共に空間情報を提供することによって、プロセス制御システムの特徴を管理することは、より効率的であり、使い易い。
【0044】
施設に関する空間情報は、3次元の壁,デバイス,ワークステーション等を有する全くの3次元であり得る。施設に関する空間情報は、また、プロセス制御システムの設定をその上にマッピングされた施設の2次元のブループリント、又はユーザ・アプリケーションに適した2次元及び3次元の任意の組み合わせであり得る。
【0045】
別の実施形態において、上記ツール120は、プロセス制御ネットワーク100の設計のための部品表を得る方法をユーザに提供することが可能である。上記ツール120は、また、施設の物理的なレイアウト内のプロセス制御システムのレイアウトを自動的に提供することが可能であり、プロトコル要求を満足していることを確認することが可能である。
【0046】
別の実施形態において、ユーザは、施設の空間情報を提供することなしにシステムを設定し、後に、プロセス制御システムの管理で使用する空間情報を付加することができる。
【0047】
或る規則性を持ったイベントを有するように機能が記述されているが、前記情報が提供される又はステップが完了される任意のその他の規則性であっても、本願発明に含まれると理解される。
【0048】
図5を参照して、プロセス制御システムの論理的な接続を使用するツール120の設定部分の画面表示を、上記ツール120のメイン制御ウィンドウに示す。上記ツール120の画面表現は、テキスト形式のプルダウン・メニュー402,絵文字的なメニュー404,ステンシル部分の表現406,及びダイアグラム部分の画面表示408を含んでいる。ステンシル・アイテム420は、ステンシル部分の表現406内で表示される。プロセス制御環境100の設計についてのユーザのダイアグラムは、ダイアグラム部分の画面表示において提示される。プロセス制御設計の環境についてのこのダイアグラムは、プロセス制御環境100の表示と称される。メイン・ウィンドウ中の表現の各々は、公知のWindows(登録商標)手法に従ってユーザによりサイズ変更及び位置変更が可能である。上記ツール120は、2次元の表示内の座標を含む不変のオブジェクト・データを、スタイル及びその他の情報と同様に保持することによってメイン・ウィンドウの枠の位置及びサイズをトラッキングする。
【0049】
論理的な接続を使用してプロセス制御環境100を設計するとき、ユーザは、単にステンシル部分の表現408からステンシル・アイテムを単に作動し、作動したステンシル・アイテムをダイアグラム部分の画面表示408内の所望する位置へドラッグし、作動したステンシル・アイテムを所望する位置にドロップする。Control Studioオブジェクト・システム130は、それから、プロセス制御環境100を設定するために必要な情報の全てと共にオブジェクトをダイアグラムに生成させるべく、ダイアグラム・アイテムを生成する。ステンシル・アイテムが、プロセス制御環境100を設定すべく前記ダイアグラムに必要な情報の全てを有するオブジェクトであるので、プロセス制御環境100の設計が完了されるとき、この設計は、プロセス制御環境100の適当な部分に直接的にダウンロードされることが可能である。
【0050】
図5及び図6〜図8を参照して、プロセス制御システムのレイアウトにおける施設の空間情報を使用するツール120の空間レイアウト部分の画面表示を示す。上記ツール120は、プロセス制御システムの空間レイアウトの異なる角度及び拡大の表示を提供する。この表現は、グレイスケール又はカラーであり得る。前記画面表示は、ダイアグラム部分の画面表示ウィンドウ408に類似しているようなツール120のウィンドウ中に含まれることが可能である。空間情報を提示するその他の方法は、本願発明の範疇ある。
【0051】
施設の空間情報を使用してプロセス制御環境100を設計するとき、ユーザは、施設の物理的なレイアウトをインポートすること、又はツール120のメイン制御ウィンドウのダイアグラム部分においてレイアウトを生成することの何れかによって開始する。フィールド・デバイス又は機能を付加するために、ユーザは、ステンシル部分の表現408からステンシル・アイテムを単に作動し、作動したステンシル・アイテムをダイアグラム部分の画面表示408内の施設の空間表現における所望する位置へドラッグし、作動したステンシル・アイテムを所望する位置へドロップする。機能の矩形の表現と同様に、ステンシル・アイテムは、精製又は製造施設(例えば、バルブ,ポンプ,タンク,パイプ等)において見られるアイテムの3次元の表現を含んでいる。Control Studioオブジェクト・システム130の空間部分は、それから、施設の空間レイアウト内のプロセス制御環境100を設定するために必要な情報を伴うダイアグラム・アイテムを生成する。ステンシル・アイテムが施設の空間レイアウト内でプロセス制御環境100を設定するためにダイアグラムに必要な情報の全てを有するオブジェクトであるので、プロセス制御環境100がダイアグラム部分内で完了されるとき、この設計は、Control Studioオブジェクト・システムの空間部分を含むプロセス制御環境100の適当な部分に直接的にダウンロードされることが可能である。
【0052】
図6〜図8を再び参照して、空間の画面表示500の例を、空間表示における施設の物理的なレイアウトの例を含んで示す。特に、図6は、施設の概略表示に亘る施設の物理的なレイアウトの表現を示している。空間表現は、プロセス制御環境100の様々な構成要素の物理的及び論理的な表現を更に含んでいる。従って、ユーザは、施設の概略表示に重畳されたプロセス制御環境100の様々な構成要素の物理的な位置を有利に見ることが可能である。図7及び図8は、図6のダイアグラム表現の部分の拡大及び回転表示を示している。このように、図7及び図8は、プロセス制御環境100の特定の部分のより良い表示を得るために図6に示されるようなダイアグラム表現の部分にユーザがどのようにアクセスすることができるかについての例を示している。前記空間表現は、前記概略表示に重畳される必要があるわけではないと理解される。
【0053】
(実施の形態2)
他の実施形態は、以下の請求の範囲内である。
【0054】
例えば、好ましい実施形態が記述されるプロトコルがFieldbusプロトコルのためにプロセス制御ネットワーク100を解析する一方、任意のプロトコルであっても、適切に制約を調節することによって解析され得ると理解される。
【0055】
また、例えば、好ましい実施形態がWindows(登録商標)オペレーティングシステム下で動作し、ウィザード・タイプの表現を使用する一方、これらの詳細が、本願発明の全体的な概念について限定するものではないと理解される。
【0056】
また、本願発明の特定の実施形態が図示及び記述されているが、変更及び修正がそのより広い見地で本願発明から逸脱することなくなされ得ることは、当業者にとっては明白である。従って、添付の請求の範囲は、本願発明の本来の意図及び目的に含まれる全ての変更及び修正のような目的を包含するものであって、その他のプログラミング言語での実施を含むが、これに限定するものではない。さらに、好ましい実施形態がソフトウェアで実施するように開示されているが、アプリケーション固有の集積回路で実施するようなハードウェアでの実施もまた、以下の請求の範囲内であると理解される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】空間の設定及び管理能力を供給する本願発明の一般化された実施形態に従って、ツールを含むワークステーションを示すプロセス制御システムの概略のブロック図である。
【図2】図1に示されたプロセス制御システムのコントローラ/マルチプレクサ及びプロセス部分のブロック図である。
【図3】設定実施、及び管理又はランタイム実施におけるプロセス制御環境を示す概略のブロック図である。
【図4】本願発明に従ったツールの操作を示すフローチャートである。
【図5】プロセス制御システムの機能及びデバイスの間の論理的な接続を示すツールの設定部分の画面表示である。
【図6】プロセス制御システムの機能及びデバイスの間の物理的な接続と、施設の空間レイアウトにおけるそれらの相対位置とを示す空間部分の画面表示の図である。
【図7】プロセス制御システムの機能及びデバイスの間の物理的な接続と、施設の空間レイアウトにおけるそれらの相対位置とを示す空間部分の画面表示の図である。
【図8】プロセス制御システムの機能及びデバイスの間の物理的な接続と、施設の空間レイアウトにおけるそれらの相対位置とを示す空間部分の画面表示の図である。
【符号の説明】
【0058】
100 プロセス制御環境(プロセス制御ネットワーク)
102 オペレータ・ワークステーション
104 ラボ・ワークステーション
106 エンジニアリング・ワークステーション
108 ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)
110 プロセスコントローラ/マルチプレクサ
112 プロセス
115 ディスプレイ
116 プロセッサ
117 メモリ
118 ユーザ・インタフェース・デバイス
120 設定及び管理ツール
130 Control Studioオブジェクト・システム
146 フィールド・バス・デバイス
210 設定実施(設定モデル)
220 ランタイム実施(管理又はランタイム・モデル)
240 制御サブシステム
242 定義及びモジュール・エディタ
244 ランタイム・コントローラ
260 マスター・データベース
262 ローカル・データベース
270 不変データベース
500 画面表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサ及びメモリを有するコンピュータを備えたプロセス制御ネットワークを設定及び管理する方法において、
前記コンピュータに、施設の空間レイアウトに関する情報を提供するステップと、
前記コンピュータに、前記プロセス制御ネットワーク内の複数のデバイスの設定に関する情報を提供するステップと、
前記複数のデバイスを制御する複数の機能ブロックを生成して作動させるステップと、
前記複数のデバイスの状態を得るステップと、
前記施設の空間レイアウトに関して前記複数のデバイスの状態を提示するステップと
を有することを特徴とするプロセス制御ネットワークを設定及び管理する方法。
【請求項2】
前記プロセス制御ネットワークのレイアウトが標準プロトコルの判定基準に従うことを確認すべく、前記施設の物理的なレイアウトに関して前記プロセス制御ネットワークのレイアウトを解析するステップを更に有することを特徴とする請求項1記載のプロセス制御ネットワークを設定及び管理する方法。
【請求項3】
ランタイム環境においてプロセス制御システムを管理するステップを更に有することを特徴とする請求項1記載のプロセス制御ネットワークを設定及び管理する方法。
【請求項4】
前記プロセス制御ネットワークのレイアウトを提供するステップは、前記レイアウトを自動的に生成することを含むことを特徴とする請求項1記載のプロセス制御ネットワークを設定及び管理する方法。
【請求項5】
前記プロセス制御システムを管理するステップは、作動警報を示すために、前記プロセス制御システムの空間表示における点滅デバイス表現を提供することを含むことを特徴とする請求項3記載のプロセス制御ネットワークを設定及び管理する方法。
【請求項6】
前記プロセス制御システムを管理するステップは、前記複数のデバイスのマスター・リセット又は自己テストを開始することを含むことを特徴とする請求項3に記載のプロセス制御ネットワークを設定及び管理する方法。
【請求項7】
前記プロセス制御システムを管理するステップは、前記プロセス制御システムのポート及び通信の統計を得ることを含むことを特徴とする請求項3記載のプロセス制御ネットワークを設定及び管理する方法。
【請求項8】
前記施設の空間レイアウトは三次元のレイアウトであることを特徴とする請求項3に記載のプロセス制御ネットワークを設定及び管理する方法。
【請求項9】
前記標準プロコトルはフィールドバス・プロコトルであることを特徴とする請求項2記載のプロセス制御ネットワークを設定及び管理する方法。
【請求項10】
プロセス制御システムのレイアウトを解析するステップは、プロセス制御システムのセグメントの支線の長さをチェックすることを含むことを特徴とする請求項2記載のプロセス制御ネットワークを設定及び管理する方法。
【請求項11】
プロセス制御ネットワークを設定及び管理する装置において、
プロセッサ及びメモリを有するコンピュータと、
前記コンピュータに、施設の空間レイアウトに関する情報を提供する手段と、
前記コンピュータに、前記プロセス制御ネットワーク内で使用される複数のデバイスに関する情報を提供する手段と、
前記複数のデバイスを制御する複数の機能ブロックを生成して作動させる手段と、
前記複数のデバイスの状態を得る手段と、
前記施設の空間レイアウトに関して前記複数のデバイスの状態を提示する手段とを備えることを特徴とするプロセス制御ネットワークを設定及び管理する装置。
【請求項12】
前記プロセス制御ネットワークで使用される物品に関する情報を提供する手段を更に備えることを特徴とする請求項11記載のプロセス制御ネットワークを設定及び管理する装置。
【請求項13】
前記施設の空間レイアウトに適用される前記プロセス制御ネットワークのレイアウトを提供するために使用されるツールを更に備えることを特徴とする請求項11記載のプロセス制御ネットワークを設定及び管理する装置。
【請求項14】
前記ツールは、標準プロコトルの判定基準に従うことを確認すべく、前記施設の空間レイアウトに適用される前記プロセス制御ネットワークレイアウトを解析するために使用されることを特徴とする請求項13記載のプロセス制御ネットワークを設定及び管理する装置。
【請求項15】
前記ツールは、ランタイム環境において前記プロセス制御システムを管理するために使用されることを特徴とする請求項13記載のプロセス制御ネットワークを設定及び管理する装置。
【請求項16】
前記プロセス制御ネット枠のレイアウトを提供するために使用される前記ツールは、該レイアウトを自動的に生成するツールを更に含むことを特徴とする請求項13記載のプロセス制御ネットワークを設定及び管理する装置。
【請求項17】
前記プロセス制御システムを管理するために使用される前記ツールは、作動警報を示すために、前記プロセス制御システムの空間表示における点滅デバイス表現を提供することを含むことを特徴とする請求項13記載のプロセス制御ネットワークを設定及び管理する装置。
【請求項18】
前記プロセス制御システムを管理することは、前期プロセス制御システムのポート及び通信の統計を得ることを含むことを特徴とする請求項13記載のプロセス制御ネットワークを設定及び管理する装置。
【請求項19】
前記施設の空間レイアウトは3次元のレイアウトであることを特徴とする請求項13記載のプロセス制御ネットワークを設定及び管理する装置。
【請求項20】
前記標準プロコトルはフィールドバス・プロコトルであることを特徴とする請求項14記載のプロセス制御ネットワークを設定及び管理する装置。
【請求項21】
プロセッサ、ディスプレイ及びメモリを有するコンピュータを含むプロセス制御ネットワークと、複数の設備とを備えるプロセスプラントを管理する方法において、
前記メモリに前記複数の設備の空間レイアウトに関する情報を格納するステップと、
前記メモリに、前記プロセス制御ネットワークに関連する複数のデバイスの設定に関する情報を格納するステップと、
前記メモリに、前記複数のデバイスを制御するよう構成された複数の機能ブロックを格納するステップと、
前記ディスプレイ上に前記複数の設備の空間レイアウトを提示するステップと、
前記ディスプレイ上に前記複数の設備の空間レイアウトに関する前記複数の機能ブロックを提示するステップと
を有することを特徴とするプロセスプラントを管理する方法。
【請求項22】
前記複数の設備の空間レイアウトを提示するステップは、3次元グラフィックスにおいて前記複数の設備の空間レイアウトを提示することを更に有することを特徴とする請求項21記載のプロセスプラントを管理する方法。
【請求項23】
更に、前記プロセス制御ネットワークにk連通する前記複数のデバイスからプロセス情報を得るステップと、
前記ディスプレイ上に前記複数の機能ブロックに関する前記プロセス情報を提示するステップと
を有することを特徴とする請求項21記載のプロセスプラントを管理する方法。
【請求項24】
前記複数のデバイスからプロセス情報を得るステップは、複数のデバイスに関連するプロセスシミュレーション情報を得ることを更に有することを特徴とする請求項23記載のプロセスプラントを管理する方法。
【請求項25】
更に、前記複数の機能ブロックの少なくとも一つに関連するパラメータの値を変更することをユーザに許容するステップと、
前記偏光されたパラメータの値に関してプロセスシミュレーション情報を生成するステップと、
前記複数の設備の空間レイアウトに関して前記プロセスシミュレーション情報を提示するステップと
を有することを特徴とする請求項24記載のプロセスプラントを管理する方法。
【請求項26】
更に、前記複数のデバイスのパフォーマンスを監視するステップと、
前記複数のデバイスのパフォーマンスに関連してパフォーマンスの統計を生成するステップと、
前記複数の設備の空間レイアウトに関して前記パフォーマンスの統計を提示するステップと
を有することを特徴とする請求項23記載のプロセスプラントの管理方法。
【請求項27】
更に、前記複数の設備の空間レイアウトに関し、複数のプロセスブロックを含むプロセスシミュレーションを提供するステップと、
複数のプロセスグラフィックエレメントの少なくとも一つに
前記複数のプロセスブロックの各々を複数のプロセスグラフィックエレメントの少なくとも一つに関連付けるステップと
を有することを特徴とする請求項21記載のプロセスプラントの管理方法。
【請求項28】
プロセス制御ネットワーク及び複数の設備を備えるプロセスプラントを管理するシステムであって、
複数のプロセス制御デバイスと、前記複数のプロセス制御デバイスに通信可能に接続されたコンピュータとを有し、
該コンピュータが、プロセッサと、ディスプレイと、メモリとを備え、該メモリには、
前記複数の設備の空間レイアウトに関する情報と、
前記プロセス制御ネットワークに関連する複数のプロセス制御デバイスの設定に関する情報と、
前記複数のプロセス制御デバイスを制御するよう構成された複数の機能ブロックと、
前記プロセッサで動作されるよう構成されたコンピュータプログラムコードとが格納されるようになっており、
該コンピュータプログラムコードは、前記ディスプレイ上で前記複数の設備の空間レイアウトを提示し、前記複数の設備の空間レイアウトに関して前記複数の機能ブロックを提示するよう構成されていることを特徴とするプロセスプラントを管理するシステム。
【請求項29】
前記コンピュータプログラムコードは、更に、プロセス情報を得るよう構成されていることを特徴とする請求項28記載のプロセスプラントを管理するシステム。
【請求項30】
前記コンピュータプログラムコードは、更に、前記複数のプロセス制御デバイスに関するプロセスシミュレーション情報を提供するよう構成されていることを特徴とする請求項29記載のプロセスシステムを管理するシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−48650(P2009−48650A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257113(P2008−257113)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【分割の表示】特願2001−5328(P2001−5328)の分割
【原出願日】平成13年1月12日(2001.1.12)
【出願人】(594120847)フィッシャー−ローズマウント システムズ, インコーポレイテッド (231)
【Fターム(参考)】