説明

プロテクター、複合筒状体、コントロールケーブル、車両用ホース、プロテクターの製造方法および複合筒状体の製造方法。

【課題】接着剤を別途塗布する必要がなく、かつ作業性の良好なプロテクター、複合筒状体、コントロールケーブル、車両用ホース、プロテクターの製造方法および複合筒状体の製造方法を提供する。
【解決手段】プロテクター1は、保護対象物4を保護するための、樹脂繊維を編み込みして筒状としたプロテクター1である。プロテクター1は、プロテクター1を主として構成する保護用樹脂繊維2と、保護用樹脂繊維2とは異なる繊維種で構成され、かつ保護対象物4に溶着可能な溶着用樹脂繊維3とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプロテクター、複合筒状体、コントロールケーブル、車両用ホース、プロテクターの製造方法および複合筒状体の製造方法に関し、特に、保護対象物を保護するための、樹脂繊維を編み込みして筒状としたプロテクター、複合筒状体、コントロールケーブル、車両用ホース、プロテクターの製造方法および複合筒状体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両には多様な部品が用いられ、筒状体の部品も用いられている。車両に用いられる筒状体としては、たとえば車両の各種装置を遠隔操作するコントロールケーブルのアウターケーシングがある。たとえば特開2008−164100号公報(特許文献1)にはコントロールケーブルのアウターケーシングが開示されている。
【0003】
このような筒状体では、車両に取り付けられることから振動に起因する磨耗からの保護が必要となる。その保護のために、筒状体をプロテクターで覆うことが考えられる。より具体的には、筒状のプロテクターの内側に挿通されるチューブ等の筒状体の表面上にプロテクターを外嵌することが考えられる。たとえば特開2003−113995号公報(特許文献2)には自動車用のゴムホースの表面上に装着された従来の筒状のゴム製プロテクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−164100号公報
【特許文献2】特開2003−113995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、プロテクターを筒状体の保護される部位に固定するために、プロテクターが接着剤により筒状体に固定される。そのため、接着剤が必要となる。さらに、プロテクターの外部から塗布された接着剤をプロテクターの内側まで染み込ませる必要があるため時間がかかる。また接着剤の乾燥にも時間がかかる。そのため、接着作業の作業性が悪い。
【0006】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、接着剤を別途塗布する必要が必要なく、かつ作業性の良好なプロテクター、複合筒状体、コントロールケーブル、車両用ホース、プロテクターの製造方法および複合筒状体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のプロテクターは、保護対象物を保護するための、樹脂繊維を編み込みして筒状としたプロテクターである。プロテクターは、プロテクターを主として構成する保護用樹脂繊維と、保護用樹脂繊維とは異なる繊維種で構成され、かつ保護対象物に溶着可能な溶着用樹脂繊維とを備えている。
【0008】
本発明のプロテクターによれば、保護対象物と溶着用樹脂繊維とをたとえば超音波溶着などにより溶着することができる。そして、溶着用樹脂繊維と保護用樹脂繊維とが編み込まれているため、保護用樹脂繊維に溶着用樹脂繊維を保持することができる。そのため、保護対象物に溶着された溶着用樹脂繊維を保護用樹脂繊維に保持することで、保護対象物にプロテクターを固定することができる。したがって、保護対象物にプロテクターを固定するための接着剤を別途塗布する必要がない。さらに、プロテクターの外部から塗布された接着剤をプロテクターの内側まで染み込ませる必要もない。また接着剤を乾燥させる時間も必要ない。そのため、接着作業の作業性を向上することができる。
【0009】
また、保護対象物と溶着用樹脂繊維とをたとえば超音波溶着などにより溶着することができるため、接着剤で保護対象物とプロテクターとが接着されない。そのため、接着剤による接着ムラがないことから品質を向上することができる。
【0010】
また、溶着用樹脂繊維と保護用樹脂繊維とが編み込まれて物理的に固定されているので、保護対象物にプロテクターを固定するために溶着用樹脂繊維と保護用樹脂繊維とを溶着させる必要がない。そのため、保護用樹脂繊維と溶着用樹脂繊維との相溶性(接着性)を考慮する必要がない。このため、保護用樹脂繊維と溶着用樹脂繊維との材料の選択の幅を広げることができる。
【0011】
上記のプロテクターにおいて好ましくは、保護用樹脂繊維に溶着用樹脂繊維がプロテクターの長手方向に等間隔に編み込まれている。これにより、プロテクターの長手方向に等間隔に溶着用樹脂繊維を保護対象物に溶着することができる。そのため、保護対象物にプロテクターを安定して固定することができる。また、プロテクターの柔軟性を維持することができる。また、溶着用樹脂繊維の量を少なく抑えることができる。
【0012】
上記のプロテクターにおいて好ましくは、保護用樹脂繊維に溶着用樹脂繊維がプロテクターの長手方向にらせん状に編み込まれている。これにより、保護対象物にプロテクターを長手方向に均一に固定することができる。
【0013】
上記のプロテクターにおいて好ましくは、保護用樹脂繊維の割合が溶着用樹脂繊維の割合より多い。これにより、保護用樹脂繊維の量を多くすることができるので、保護用樹脂繊維によって保護対象物をさらに確実に保護することができる。
【0014】
上記のプロテクターにおいて好ましくは、保護用樹脂繊維がナイロン繊維を含んでいる。ナイロン繊維は耐摩耗性がよいため保護対象物をさらに確実に保護することができる。またナイロン繊維は柔軟性が良好であるため、保護対象物の形状に追随してプロテクターを変形させることが容易である。そのため、保護対象物の形状による溶着への影響を抑制することができる。
【0015】
上記のプロテクターにおいて好ましくは、保護用樹脂繊維がポリエチレンテレフタレート繊維を含んでいる。ポリエチレンテレフタレート繊維は耐摩耗性がよいため保護対象物をさらに確実に保護することができる。またポリエチレンテレフタレート繊維は柔軟性が良好であるため、保護対象物の形状に追随してプロテクターを変形させることが容易である。そのため、保護対象物の形状による溶着への影響を抑制することができる。
【0016】
上記のプロテクターにおいて好ましくは、溶着用樹脂繊維がポリプロピレン繊維を含んでいる。ポリプロピレンは耐摩耗性がよいため保護対象物をさらに確実に保護することができる。また、超音波溶着などで容易に溶着することができる。
【0017】
本発明の他の局面に従うプロテクターは、外表面がポリプロピレンで形成されたジャケットを有する保護対象物と組み合わされ、かつ保護対象物を保護するためのプロテクターであって、編み込まれたポリプロピレン繊維を含む筒状壁と、筒状壁のポリプロピレン繊維を外表面がポリプロピレンで形成されたジャケットに溶着する溶着接合部とを備えている。互いに溶着されているジャケットの外表面と筒状壁の材料がポリプロピレンであって同じであるため、溶着接合部は強固に溶着されている。
【0018】
上記の本発明の他の局面に従うプロテクターにおいて好ましくは、筒状壁は、ポリエチレンテレフタレート繊維およびナイロン繊維を含み、ポリエチレンテレフタレート繊維およびナイロン繊維は互いに編み込まれる。ポリエチレンテレフタレート繊維およびナイロン繊維は耐摩耗性がよいため保護対象物をさらに確実に保護することができる。
【0019】
本発明の複合筒状体は、外表面が樹脂層である可撓性を有する筒状体と、上記のプロテクターより形成された保護層とを備えている。保護層は、筒状体と溶着用樹脂繊維との溶着により筒状体の外表面上に形成されている。
【0020】
本発明の複合筒状体によれば、上記のプロテクターにより形成された保護層が筒状体と溶着用樹脂繊維との溶着により筒状体の外表面上に形成されているので、プロテクターを筒状体に接着するための接着剤を別途塗布する必要がない。また、プロテクターを筒状体に接着するための接着作業の作業性を向上することができる。
【0021】
本発明のコントロールケーブルは、インナーケーブルと、インナーケーブルを挿入可能であり、かつ外表面を有するアウターケーシングと、上記のプロテクターより形成された保護層とを備えている。保護層は、アウターケーシングと溶着用樹脂繊維との溶着によりアウターケーシングの外表面上に形成されている。
【0022】
本発明のコントロールケーブルによれば、上記のプロテクターにより形成された保護層がアウターケーシングと溶着用樹脂繊維との溶着によりアウターケーシングの外表面上に形成されているので、プロテクターをアウターケーシングに接着するための接着剤を別途塗布する必要がない。またプロテクターをアウターケーシングに接着するための接着作業の作業性を向上することができる。
【0023】
上記のコントロールケーブルにおいて好ましくは、アウターケーシングの外表面と溶着用樹脂繊維とを構成する樹脂がポリオレフィンであり、保護用樹脂繊維がナイロン繊維である。ポリオレフィン製樹脂は耐摩耗性がよいためアウターケーシングをさらに確実に保護することができる。また、超音波溶着で容易に溶着することができる。また、ポリオレフィン製の軽量アウターを用いることができる。さらにナイロン繊維は耐摩耗性がよいためアウターケーシングをさらに確実に保護することができる。またナイロン繊維は柔軟性が良好であるため、アウターケーシングに追随してプロテクターを変形させることが容易である。そのため、アウターケーシングの形状によって溶着に影響が及ぼされない。
【0024】
本発明の車両用ホースは、外表面を有するホース本体と、上記のプロテクターより形成された保護層とを備えている。保護層は、ホース本体と溶着用樹脂繊維との溶着によりホース本体の外表面上に形成されている。
【0025】
本発明の車両用ホースによれば、上記のプロテクターにより形成された保護層がホース本体と溶着用樹脂繊維との溶着によりホース本体の外表面上に形成されているので、プロテクターをホース本体に接着するための接着剤を別途塗布する必要がない。またプロテクターをホース本体に接着するための接着作業の作業性を向上することができる。
【0026】
本発明のプロテクターの製造方法は、樹脂繊維を編み込みして筒状としたプロテクターの製造方法であって、以下の工程を備えている。ポリエチレンテレフタレート繊維を供給する。ナイロン繊維を供給する。ポリプロピレン繊維を供給する。ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリプロピレン繊維およびナイロン繊維を互いに編み込んで筒状壁を形成する。これにより、筒状壁を所望の構造に形成することができる。
【0027】
本発明の他の局面に従う複合筒状体の製造方法は、樹脂繊維を編み込みして筒状としたプロテクターが、外表面がポリプロピレンで形成されたジャケットに溶着された複合筒状体の製造方法であって、以下の工程を備えている。ポリプロピレン繊維を含む筒状壁を供給する。筒状壁のポリプロピレン繊維を外表面がポリプロピレンで形成されたジャケットに溶着する。互いに溶着されるジャケットの外表面と筒状壁の材料がポリプロピレンであって同じであるため、プロテクターとジャケットとが強固に溶着される。
【0028】
上記の複合筒状体の製造方法において好ましくは、筒状壁を供給する工程は、ポリエチレンテレフタレート繊維およびナイロン繊維を有する筒状壁を形成する工程を含む。ポリエチレンテレフタレート繊維およびナイロン繊維は耐摩耗性がよいためジャケットをさらに確実に保護することができる。
【0029】
上記の複合筒状体の製造方法において好ましくは、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリプロピレン繊維およびナイロン繊維を互いに編み込む工程を含む。これにより、筒状壁を所望の構造に形成することができる。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように本発明によれば、接着剤を別途塗布する必要がなく、かつ作業性の良好なプロテクターならびにそれを用いた複合筒状体、コントロールケーブル、車両用ホース、プロテクターの製造方法および複合筒状体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態1におけるプロテクターの概略平面図である。
【図2】本発明の実施の形態1における複合筒状体の概略平面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う概略断面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿う概略断面図である。
【図5】本発明の実施の形態2におけるコントロールケーブルの概略部分断面図である。
【図6】図5のVIーVI線に沿う概略断面図である。
【図7】本発明の実施の形態3における車両用ホースの概略平面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿う概略断面図である。
【図9】図7のIX−IX線に沿う概略断面図である。
【図10】本発明の実施の形態4におけるプロテクターおよび複合筒状体の概略斜視図である。
【図11】図10のXI−XI線に沿う概略断面図である。
【図12】本発明の実施の形態4の別の局面に従うプロテクターおよび複合筒状体の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
最初に本発明の実施の形態1のプロテクターの構成について説明する。
【0033】
図1を参照して、プロテクター1は、保護対象物4を保護するためのものである。プロテクター1は、樹脂繊維を編み込みして構成されている。樹脂繊維は糸状に形成されていてもよい。プロテクター1は、複数の樹脂繊維が束ねられて編み込まれていてもよい。プロテクター1は、樹脂繊維を編み込むことで構成されているため、保護対象物4の形状にあわせて容易に変形することができる。つまり、プロテクター1は、可撓性および柔軟性を有している。プロテクター1は筒状の形状を有している。プロテクター1は保護対象物4を内周側に挿入可能に構成されている。このため、保護対象物4の外表面を覆うことで保護対象物4を保護することができる。
【0034】
プロテクター1を構成する樹脂繊維は、複数の繊維種を有している。プロテクター1は、保護用樹脂繊維2と、溶着用樹脂繊維3とを主に有している。保護用樹脂繊維2は、プロテクター1を主として構成する。ここで、「主として構成する」とは、プロテクター1としての保護機能を主として発揮するように構成することを意味しており、必ずしも多量含むことを意味するものではない。保護用樹脂繊維2は、たとえばナイロン繊維であってもよい。また、保護用樹脂繊維2の材料は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)などであってもよい。
【0035】
溶着用樹脂繊維3は、保護用樹脂繊維2とは異なる繊維種で構成されている。溶着用樹脂繊維3は、保護対象物4に溶着可能に構成されている。溶着用樹脂繊維3は、たとえば超音波溶着により保護対象物4に溶着され得る。溶着用樹脂繊維3は、溶着された部分で保護対象物4に固定され、溶着されていない部分で保護用樹脂繊維2に保持され得る。溶着用樹脂繊維3の材料は、たとえばポリプロピレンを含んでいてもよい。
【0036】
保護用樹脂繊維2と溶着用樹脂繊維3とは互いに編み込まれている。保護用樹脂繊維2が溶着用樹脂繊維3に編み込まれていることで保護用樹脂繊維2に溶着用樹脂繊維3を容易に保持することができる。保護用樹脂繊維2に溶着用樹脂繊維3がプロテクター1の長手方向に等間隔に編み込まれていてもよい。なお、この等間隔は、製造誤差を除いた間隔が略等しく設けられていればよい。さらに保護用樹脂繊維2に溶着用樹脂繊維3がプロテクター1の長手方向にらせん状に編み込まれていてもよい。保護用樹脂繊維2に溶着用樹脂繊維3がたとえば2列並んで編み込まれていてもよい。
【0037】
保護用樹脂繊維2の割合が溶着用樹脂繊維3の割合より多くてもよい。図1に示されるプロテクター1では、保護用樹脂繊維2がプロテクター1の大部分の体積を占めている。つまり、保護用樹脂繊維2の量は溶着用樹脂繊維3の量より大幅に多くなっている。このため、保護用樹脂繊維2で保護対象物4の外表面を効果的に保護することができる。
【0038】
続いて、本実施の形態のプロテクターの製造方法について説明する。
プロテクター1は、糸状の保護用樹脂繊維2と糸状の溶着用樹脂繊維3とを一般的な編み込み方法で編み込むことにより製造される。プロテクター1は、所定の長さを有するように筒状に形成される。また、プロテクター1は、保護対象物4を内周側に挿入可能な径を有するように形成される。なお、プロテクター1の両端部は溶断されていてもよい。これにより、樹脂繊維のほつれを抑制することができる。
【0039】
次に、本実施の形態のプロテクターを備えた複合筒状体の構成について説明する。
図2を参照して、複合筒状体10は、たとえば、様々なケーブル、ホースなどである。図2および図3を参照して、複合筒状体10は、筒状体11と、上記のプロテクター1より形成された保護層12とを主に有している。筒状体11は筒状に形成されている。筒状体11の外表面11aは樹脂層で構成されている。筒状体11は少なくとも外表面11aが樹脂層で構成されていればよい。また、筒状体11は、全体が樹脂層で構成されていてもよい。筒状体11は、可撓性を有している。
【0040】
図3および図4を参照して、プロテクター1より形成された保護層12は、筒状体11と溶着用樹脂繊維3との溶着により筒状体11の外表面11a上に形成されている。つまり、溶着用樹脂繊維3は、筒状体11の外表面11a上に、たとえば超音波溶着により、溶着されている。
【0041】
溶着用樹脂繊維3は、部分的に筒状体11の外表面11a上に溶着されている。つまり、溶着用樹脂繊維3は、溶着された部分と溶着されていない部分とを有している。溶着された部分と溶着されていない部分とは連続的に形成されている。溶着された部分は筒状体11の外表面11aに固定されている。一方、溶着されていない部分は保護用樹脂繊維2に編み込まれることで保護用樹脂繊維2に保持されている。
【0042】
溶着用樹脂繊維3が溶着された部分で筒状体11に固定されており、溶着されていない部分で保護用樹脂繊維2に保持されていることで、プロテクター1は筒状体11に固定されている。なお、保護用樹脂繊維2に溶着用樹脂繊維3が溶着された状態で絡みついていてもよい。
【0043】
続いて、本実施の形態の複合筒状体の製造方法について説明する。
まず、プロテクター1と、筒状体11とが準備される。プロテクター1の内周面と接するように筒状体11がプロテクター1に挿入されて、筒状体11の外表面11aにプロテクター1が外嵌される。
【0044】
プロテクター1が筒状体11の外表面11aに溶着される。本実施の形態では、たとえば超音波溶着により溶着される場合について説明するが、溶着方法はこれに限定されない。溶着方法は、たとえば熱溶着などであってもよい。
【0045】
筒状体11の外表面11aにプロテクター1が外嵌された状態で、超音波溶着のためのホーンによって溶着用樹脂繊維3が溶着される。たとえばプロテクター1の両端部のそれぞれにおいて、溶着用樹脂繊維3が上下2箇所で局部的に溶着されてもよい。これにより、合計4箇所で溶着用樹脂繊維3が溶着されることで、プロテクター1が筒状体11に固定される。また、溶着箇所はこれに限定されず、たとえばプロテクター1の両端部に挟まれた中央部においても溶着用樹脂繊維3が溶着されていてもよい。
【0046】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態のプロテクター1によれば、保護対象物4と溶着用樹脂繊維3とをたとえば超音波溶着などにより溶着することができる。そして、溶着用樹脂繊維3と保護用樹脂繊維2とが編み込まれているため、保護用樹脂繊維2に溶着用樹脂繊維3を保持することができる。そのため、保護対象物4に溶着された溶着用樹脂繊維3を保護用樹脂繊維2に保持することで、保護対象物4にプロテクター1を固定することができる。したがって、保護対象物4にプロテクター1を固定するための接着剤を別途塗布する必要がない。さらに、プロテクター1の外部から塗布された接着剤をプロテクター1の内側まで染み込ませる必要もない。また接着剤を乾燥させる時間も必要ない。そのため、接着作業の作業性を向上することができる。
【0047】
また、保護対象物4と溶着用樹脂繊維3とをたとえば超音波溶着などにより溶着することができるため、接着剤で保護対象物4とプロテクター1とが接着されない。そのため、接着剤による接着ムラがないことから品質を向上することができる。
【0048】
また、溶着用樹脂繊維3と保護用樹脂繊維2とが編み込まれて物理的に固定されているので、保護対象物4にプロテクター1を固定するために溶着用樹脂繊維3と保護用樹脂繊維2とを溶着させる必要がない。そのため、保護用樹脂繊維2と溶着用樹脂繊維3との相溶性(接着性)を考慮する必要がない。このため、保護用樹脂繊維2と溶着用樹脂繊維3との材料の選択の幅を広げることができる。
【0049】
また、本実施の形態のプロテクター1によれば、保護用樹脂繊維2に溶着用樹脂繊維3がプロテクター1の長手方向に等間隔に編み込まれているため、プロテクター1の長手方向に等間隔に溶着用樹脂繊維3を保護対象物4に溶着することができる。そのため、保護対象物4にプロテクター1を安定して固定することができる。また、プロテクター1の柔軟性を維持することができる。また、溶着用樹脂繊維3の量を少なく抑えることができる。
【0050】
また、本実施の形態のプロテクター1によれば、保護用樹脂繊維2に溶着用樹脂繊維3がプロテクター1の長手方向にらせん状に編み込まれているため、保護対象物4にプロテクター1を長手方向に均一に固定することができる。
【0051】
また、本実施の形態のプロテクター1によれば、保護用樹脂繊維2の割合が溶着用樹脂繊維3の割合より多いため、保護用樹脂繊維2の量を多くすることができる。そのため、保護用樹脂繊維2によって保護対象物4をさらに確実に保護することができる。
【0052】
また、本実施の形態のプロテクター1によれば、保護用樹脂繊維2がナイロン繊維を含んでいる。ナイロン繊維は耐摩耗性がよいため保護対象物4をさらに確実に保護することができる。またナイロン繊維は柔軟性が良好であるため、保護対象物4の形状に追随してプロテクター1を変形させることが容易である。そのため、保護対象物4の形状による溶着への影響を抑制することができる。
【0053】
また、本実施の形態のプロテクター1によれば、保護用樹脂繊維2がポリエチレンテレフタレート繊維を含んでいる。ポリエチレンテレフタレート繊維は耐摩耗性がよいため保護対象物をさらに確実に保護することができる。またポリエチレンテレフタレート繊維は柔軟性が良好であるため、保護対象物4の形状に追随してプロテクター1を変形させることが容易である。そのため、保護対象物4の形状による溶着への影響を抑制することができる。
【0054】
また、本実施の形態のプロテクター1によれば、溶着用樹脂繊維3がポリプロピレン繊維を含んでいる。ポリプロピレンは耐摩耗性がよいため保護対象物4をさらに確実に保護することができる。また、超音波溶着などで容易に溶着することができる。
【0055】
本実施の形態の複合筒状体10によれば、上記のプロテクター1により形成された保護層12が筒状体11と溶着用樹脂繊維3との溶着により筒状体11の外表面11a上に形成されているので、プロテクター1を筒状体11に接着するための接着剤を別途塗布する必要がない。また、プロテクター1を筒状体11に接着するための接着作業の作業性を向上することができる。
【0056】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2では、実施の形態1と比較して、プロテクターを備えた対象物が異なっている。
【0057】
まず、本発明の実施の形態2のコントロールケーブルの構成について説明する。
図5および図6を参照して、コントロールケーブル20は、たとえば車両の各種装置を遠隔操作するためのものである。コントロールケーブル20は、インナーケーブル21とアウターケーシング22と、プロテクター1より形成された保護層23とを主に有している。インナーケーブル21とアウターケーシング22とは可撓性を有している。
【0058】
インナーケーブル21は、たとえば複数本の金属素線を撚り合わせて構成されている。インナーケーブル21の材料としては、たとえば鋼線、ステンレス鋼線などが適用され得る。また、インナーケーブル21は、樹脂によって覆われていてもよい。つまり、インナーケーブル21は樹脂コートされていてもよい。
【0059】
アウターケーシング22は、内周側にインナーケーブル21を挿入可能に構成されている。アウターケーシング22は、外周側に外表面22aを有している。アウターケーシング22は、たとえば鎧層22bと被膜22cとを有している。被膜22cによって外表面22aが構成されている。
【0060】
鎧層22bは、金属線がらせん状に密に巻かれて構成されていてもよい。さらに、鎧層22bは、内側の幅が狭い断面台形状の金属製の台形線と、その台形線の各巻きの間に介在される金属製の丸線とからなる2条コイルで構成されていてもよい。鎧層22bの金属線の材料としては、鋼線、亜鉛メッキ鋼線、ステンレス鋼線などが適用され得る。
【0061】
被膜22cは、鎧層22bの表面を覆うように形成されている。被膜22cの材料としては、樹脂が適用され得る。被膜22cで形成された外表面22aを構成する樹脂としては、ポリオレフィンが適用され得る。樹脂としては、たとえばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などが適用され得る。被膜22cは、たとえば押し出し成形などにより鎧層22bの周囲に設けられ得る。
【0062】
プロテクター1より形成された保護層23は、アウターケーシング22と溶着用樹脂繊維3との溶着によりアウターケーシング22の外表面22a上に形成されている。つまり、溶着用樹脂繊維3は、アウターケーシング22の被膜22cで構成された外表面22a上に、たとえば超音波溶着により溶着されている。これにより、プロテクター1は、アウターケーシング22に固定されている。
【0063】
プロテクター1の溶着用樹脂繊維3を構成する樹脂としては、ポリオレフィンが適用され得る。また、プロテクター1の保護用樹脂繊維2としては、ナイロン繊維が適用され得る。
【0064】
続いて、本実施の形態のコントロールケーブルの製造方法について説明する。
まず、プロテクター1と、インナーケーブル21と、アウターケーシング22とが準備される。インナーケーブル21がアウターケーシング22の内周側に挿入される。またプロテクター1の内周面と接するようにアウターケーシング22がプロテクター1に挿入されて、アウターケーシング22の外表面22aにプロテクター1が外嵌される。
【0065】
プロテクター1がアウターケーシング22の外表面22aに溶着される。本実施の形態では、たとえば超音波溶着により溶着される場合について説明するが、溶着方法はこれに限定されない。溶着方法は、たとえば熱溶着などであってもよい。
【0066】
アウターケーシング22の外表面22aにプロテクター1が外嵌された状態で、超音波溶着のためのホーンによって溶着用樹脂繊維3が溶着される。たとえばプロテクター1の両端部のそれぞれにおいて、溶着用樹脂繊維3が上下2箇所で局部的に溶着されてもよい。これにより、合計4箇所で溶着用樹脂繊維3が溶着されることで、プロテクター1がアウターケーシング22に固定される。また、溶着箇所はこれに限定されず、たとえばプロテクター1の両端部に挟まれた中央部においても溶着用樹脂繊維3が溶着されていてもよい。
【0067】
なお、本実施の形態のこれ以外の構成、製造方法は上述した実施の形態1と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0068】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態のコントロールケーブル20によれば、上記のプロテクター1により形成された保護層23がアウターケーシング22と溶着用樹脂繊維3との溶着によりアウターケーシング22の外表面22a上に形成されているので、プロテクター1をアウターケーシング22に接着するための接着剤を別途塗布する必要がない。またプロテクター1をアウターケーシング22に接着するための接着作業の作業性を向上することができる。
【0069】
また、本実施の形態のコントロールケーブル20によれば、アウターケーシング22の外表面22aと溶着用樹脂繊維3とを構成する樹脂がポリオレフィンであり、保護用樹脂繊維2がナイロン繊維である。ポリオレフィン製樹脂は耐摩耗性がよいためアウターケーシング22をさらに確実に保護することができる。また、超音波溶着で容易に溶着することができる。また、ポリオレフィン製の軽量アウターを用いることができる。さらにナイロン繊維は耐摩耗性がよいためアウターケーシング22をさらに確実に保護することができる。またナイロン繊維は柔軟性が良好であるため、アウターケーシング22に追随してプロテクター1を変形させることが容易である。そのため、アウターケーシング22の形状によって溶着に影響が及ぼされない。
【0070】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3では、実施の形態1と比較して、プロテクターを備えた対象物が異なっている。
【0071】
まず、本発明の実施の形態3の車両用ホースの構成について説明する。
図7および図8を参照して、車両用ホース30は車両に用いられるホースである。車両用ホース30は、ホース本体31と、上記のプロテクター1より形成された保護層32とを主に有している。ホース本体31は、筒状に形成されている。ホース本体31は、外周側に外表面31aを有している。ホース本体31の外表面31aは樹脂で構成されている。ホース本体31は少なくとも外表面31aが樹脂で構成されていればよい。また、ホース本体31は、全体が樹脂で構成されていてもよい。樹脂としては、ポリオレフィンが適用され得る。さらに具体的には、樹脂としては、たとえばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などが適用され得る。また、ホース本体31はエラストマーで構成されていてもよい。ホース本体31は、可撓性を有している。
【0072】
図8および図9を参照して、プロテクター1より形成された保護層32は、ホース本体31と溶着用樹脂繊維3との溶着によりホース本体31の外表面31a上に形成されている。つまり、溶着用樹脂繊維3は、ホース本体31の外表面31a上に、たとえば超音波溶着により溶着されている。これにより、プロテクター1はホース本体31に固定されている。
【0073】
続いて、本実施の形態の車両用ホースの製造方法について説明する。
まず、プロテクター1と、ホース本体31とが準備される。プロテクター1の内周面と接するようにホース本体31がプロテクター1に挿入されて、ホース本体31の外表面31aにプロテクター1が外嵌される。
【0074】
プロテクター1がホース本体31の外表面31aに溶着される。本実施の形態では、たとえば超音波溶着により溶着される場合について説明するが、溶着方法はこれに限定されない。溶着方法は、たとえば熱溶着などであってもよい。
【0075】
ホース本体31の外表面31aにプロテクター1が外嵌された状態で、超音波溶着のためのホーンによって溶着用樹脂繊維3が溶着される。たとえばプロテクター1の両端部のそれぞれにおいて、溶着用樹脂繊維3が上下2箇所で局部的に溶着されてもよい。これにより、合計4箇所で溶着用樹脂繊維3が溶着されることで、プロテクター1がホース本体31に固定される。また、溶着箇所はこれに限定されず、たとえばプロテクター1の両端部に挟まれた中央部においても溶着用樹脂繊維3が溶着されていてもよい。
【0076】
なお、本実施の形態のこれ以外の構成、製造方法は上述した実施の形態1と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0077】
本実施の形態の車両用ホース30によれば、上記のプロテクター1により形成された保護層32がホース本体31と溶着用樹脂繊維3との溶着によりホース本体31の外表面31a上に形成されているので、プロテクター1をホース本体31に接着するための接着剤を別途塗布する必要がない。またプロテクター1をホース本体31に接着するための接着作業の作業性を向上することができる。
【0078】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4では、本発明の他の局面に従うプロテクターについて説明する。本発明の他の局面に従うプロテクターは、概して、ポリマージャケットに含まれる細長い部材を保護するための織物スリーブに関し、より特定的には、ポリマージャケットに固定されるための機構を有する編み込まれた織物スリーブに関する。
【0079】
従来、たとえばアウターポリプロピレンジャケットを含むワイヤーハーネスなどの、内部に含まれる細長い部材を保護するのに使用するための筒状スリーブが知られている。いくつかの用途では、保護スリーブとワイヤーハーネスのアウタージャケットとの間の相対的な軸方向移動を防ぐことが望ましい。
【0080】
したがって、従来、スリーブは接着剤およびテープによってジャケットの外表面に固定されている。接着剤およびテープは、スリーブとジャケットとの間の相対的な移動を防ぐのに有効であり得るものの、費用がかかる。たとえば接着剤は、その後の生成物に対する費用が必要となるほか、塗布の際に面倒であり得、さらに熱的に困難な環境、たとえば高熱で破断し得る。同様に、スリーブをジャケットに固定するためにテープを使用すると、その後の生成物に対する費用が必要となり、加えて、塗布するのが非効率であり費用がかかり得る。
【0081】
既知のスリーブをジャケットに超音波溶接する試みもいくつかなされてきたが、これらの取組みは、多くが不成功に終わっている。この不成功は、スリーブおよびジャケットの異なる材料が互いに溶接されていることから生じ得る。したがって、従来、上述したものなどの欠点はあるが、スリーブをジャケットに固定するために接着剤およびテープが採用されている。
【0082】
次に、本発明の実施の形態4のプロテクターおよび複合筒状体の構成および製造方法について説明する。
【0083】
図10および図11を参照して、プロテクター1は筒状の織物スリーブである。プロテクター1は、編み込み処理によって互いに編み込みされて壁(筒状壁)51を形成する複数の糸状の樹脂繊維(ヤーン)を有している。壁51は継ぎ目がなく、周方向に連続している。プロテクター1は、プロテクター1の両端部52の間を中心長手軸50に沿って軸方向に延在する空洞53を規定する外表面54と内表面55とを有している。空洞53は、外表面54がポリプロピレンで形成されたジャケット(アウターポリプロピレンジャケット)56によって束ねられた、たとえばワイヤーハーネスとして表される細長い部材を収容するように寸法決めされている。アウターポリプロピレンジャケット56が空洞53を通って設置された後、1つ以上の溶着接合部57によって、プロテクター1の壁51の内表面55が、アウターポリプロピレンジャケット56との相対的な移動に対抗して固定される。
【0084】
壁51は、任意の好適な長さおよび直径を有して構成することができ、所期の用途のための所望のパターンを有して編み込まれる。したがって、壁51は、さまざまな構造的特性および構造を有して構成することができる。壁51は、ポリエチレンテレフタレート(PET)の第1のヤーンフィラメント58と、ナイロンの第2のヤーンフィラメント59と、ポリプロピレン(PP)の第3のヤーンフィラメント60とを含んで編み込まれている。
【0085】
好ましい一実施の形態として、例として限定されないが、48打製紐機を使用してプロテクター1が構成される。PETの第1のヤーン58の2つの端部がボビンごとに供給される。ナイロンの第2のヤーン59の1つの端部がボビンごとに供給され、PPの第3のヤーン60の2つの端部がボビンごとに供給される。42個のPETおよびナイロンのボビンと、6個のPPのボビンが使用される。6個のPPのボビンは、2個のボビンが互いに隣接して平行に均一化された状態で構成される。したがって、4本のPPのフィラメントが互いに直接隣接して編まれ、それによって、4本の編まれたPPのフィラメントの幅が増大したバンドが形成される。PETは直径約0.25mmのモノフィラメントとして供給される。ナイロンは直径約0.38mmのモノフィラメントとして供給される。PPは直径約0.25mmのモノフィラメントとして供給される。所望の物理的構造を得るために、第1、第2および第3のヤーン58,59,60の編み込みパターンを変更することができる。
【0086】
プロテクター1が形成された後、アウターポリプロピレンジャケット56およびそれによって束ねられているワイヤがプロテクター1の空洞53を通って設置される。次いで、PPの第3のヤーン60が、超音波溶接処理などで、1つ以上の溶着接合部57によってアウターポリプロピレンジャケット56の外表面に溶接される。これにより複合筒状体10が製造される。互いに溶接されている材料PPが同じであることから、形成される化学的に接合された溶着接合部57は強固であり、信頼性が高い。したがって、組立および使用中に溶着接合部57の破断に耐えるようにプロテクター1がアウターポリプロピレンジャケット56に確実に固定される。したがって、プロテクター1とアウターポリプロピレンジャケット56との間の相対的な移動に起因するあらゆる位置ずれと、潜在的な磨耗とが予防される。
【0087】
図12を参照して、本発明のさらに別の局面に従って構成されたプロテクター1を説明する。プロテクター1は、同じ第1、第2および第3のヤーンフィラメント158,159,160で構成されるが、編み込みパターンは、上述しかつ図10および図11に例示したものとは異なる。
【0088】
特に、PPの第3のヤーンフィラメント160は、第1および第2のヤーンフィラメント158,159とともに壁151の周りにらせん形に延在するように編み込まれるのではなく、プロテクター1の長手中心軸150に平行またはほぼ平行に、プロテクター1の長さに沿って縦糸状に延在するように挿入される。したがって、第3のヤーンフィラメント160のバンドル(束)が互いに周方向に離間した関係に形成され、バンドルごとのPPの第3のヤーンフィラメント160の端部の数を所望の通りに供給することができる。PPの第3のヤーンフィラメント160が軸150に平行またはほぼ平行に延在している状態で、溶着接合部157がプロテクター1の長さに沿って長手方向に延在するおおむね長方形の形状を有して形成されることから、寸法が増大した溶接パッチまたは溶着接合部157を、第3のヤーン160とアウターポリプロピレンジャケット156との間に容易に形成することができる。
【0089】
プロテクター1は、必要とされる寸法および長さにかかわらず、多様な用途における使用に好適であることが認識されるべきである。たとえば、自動車、船舶、産業、航空、もしくは航空宇宙用途、または、保護スリーブが隣接する構成要素を熱放射に対して保護することが望まれるいずれかの他の用途において使用され得る。
【0090】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、保護対象物を保護するための、樹脂繊維を編み込みして筒状としたプロテクター、複合筒状体、コントロールケーブル、車両用ホース、プロテクターの製造方法および複合筒状体の製造方法に、特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0092】
1 プロテクター、2 保護用樹脂繊維、3 溶着用樹脂繊維、4 保護対象物、10 複合筒状体、11 筒状体、12 保護層、20 コントロールケーブル、21 インナーケーブル、22 アウターケーシング、22a 外表面、22b 鎧層、22c 被膜、23 保護層、30 車両用ホース、31 ホース本体、32 保護層、50 中心長手軸、51 壁、52 両端部、53 空洞、54 外表面、55 内表面、56 アウターポリプロピレンジャケット、57 溶着接合部、58,158 第1のヤーンフィラメント、59,159 第2のヤーンフィラメント、60,160 第3のヤーンフィラメント。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護対象物を保護するための、樹脂繊維を編み込みして筒状としたプロテクターであって、
前記プロテクターを主として構成する保護用樹脂繊維と、
前記保護用樹脂繊維とは異なる繊維種で構成され、かつ前記保護対象物に溶着可能な溶着用樹脂繊維とを備えた、プロテクター。
【請求項2】
前記保護用樹脂繊維に前記溶着用樹脂繊維が前記プロテクターの長手方向に等間隔に編み込まれている、請求項1に記載のプロテクター。
【請求項3】
前記保護用樹脂繊維に前記溶着用樹脂繊維が前記プロテクターの長手方向にらせん状に編み込まれている、請求項2に記載のプロテクター。
【請求項4】
前記保護用樹脂繊維の割合が前記溶着用樹脂繊維の割合より多い、請求項1〜3のいずれかに記載のプロテクター。
【請求項5】
前記保護用樹脂繊維がナイロン繊維を含む、請求項1〜4のいずれかに記載のプロテクター。
【請求項6】
前記保護用樹脂繊維がポリエチレンテレフタレート繊維を含む、請求項1〜5のいずれかに記載のプロテクター。
【請求項7】
前記溶着用樹脂繊維がポリプロピレン繊維を含む、請求項1〜6のいずれかに記載のプロテクター。
【請求項8】
外表面がポリプロピレンで形成されたジャケットを有する保護対象物と組み合わされ、かつ前記保護対象物を保護するためのプロテクターであって、
編み込まれたポリプロピレン繊維を含む筒状壁と、
前記筒状壁の前記ポリプロピレン繊維を前記外表面がポリプロピレンで形成されたジャケットに溶着する溶着接合部とを備える、プロテクター。
【請求項9】
前記筒状壁は、ポリエチレンテレフタレート繊維およびナイロン繊維を含み、
前記ポリエチレンテレフタレート繊維および前記ナイロン繊維は互いに編み込まれる、請求項8に記載のプロテクター。
【請求項10】
外表面が樹脂層である可撓性を有する筒状体と、
請求項1〜9のいずれかに記載のプロテクターより形成された保護層とを備え、
前記保護層は、前記筒状体と前記溶着用樹脂繊維との溶着により前記筒状体の前記外表面上に形成された、複合筒状体。
【請求項11】
インナーケーブルと、
前記インナーケーブルを挿入可能であり、かつ外表面を有するアウターケーシングと、
請求項1〜9のいずれかに記載のプロテクターより形成された保護層とを備え、
前記保護層は、前記アウターケーシングと前記溶着用樹脂繊維との溶着により前記アウターケーシングの前記外表面上に形成された、コントロールケーブル。
【請求項12】
前記アウターケーシングの前記外表面と前記溶着用樹脂繊維とを構成する樹脂がポリオレフィンであり、
前記保護用樹脂繊維がナイロン繊維である、請求項11に記載のコントロールケーブル。
【請求項13】
外表面を有するホース本体と、
請求項1〜9のいずれかに記載のプロテクターより形成された保護層とを備え、
前記保護層は、前記ホース本体と前記溶着用樹脂繊維との溶着により前記ホース本体の前記外表面上に形成された、車両用ホース。
【請求項14】
樹脂繊維を編み込みして筒状としたプロテクターの製造方法であって、
ポリエチレンテレフタレート繊維を供給する工程と、
ナイロン繊維を供給する工程と、
ポリプロピレン繊維を供給する工程と、
前記ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリプロピレン繊維およびナイロン繊維を互いに編み込んで筒状壁を形成する工程とを備える、プロテクターの製造方法。
【請求項15】
樹脂繊維を編み込みして筒状としたプロテクターが、外表面がポリプロピレンで形成されたジャケットに溶着された複合筒状体の製造方法であって、
ポリプロピレン繊維を含む筒状壁を供給する工程と、
前記筒状壁の前記ポリプロピレン繊維を前記外表面がポリプロピレンで形成されたジャケットに溶着する工程とを備える、複合筒状体の製造方法。
【請求項16】
前記筒状壁を供給する工程は、ポリエチレンテレフタレート繊維およびナイロン繊維を有する前記筒状壁を形成する工程を含む、請求項15に記載の複合筒状体の製造方法。
【請求項17】
前記ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリプロピレン繊維およびナイロン繊維を互いに編み込む工程を含む、請求項16に記載の複合筒状体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−96492(P2013−96492A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239412(P2011−239412)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(390000996)株式会社ハイレックスコーポレーション (362)
【出願人】(511264803)フェデラル・モーグルジャパン株式会社 (1)
【Fターム(参考)】