説明

プロトン伝導性ブロック共重合体、その架橋体ならびにそれを用いたプロトン伝導膜および燃料電池

【課題】
耐水性と高プロトン伝導性を長期にわたり両立する燃料電池に用いる、プロトン伝導性ブロック共重合体、その架橋体並びにそれらを用いたプロトン伝導膜及び燃料電池を提供する。
【解決手段】
プロトン伝導度(26%RH、80℃)とイオン交換基当量(EW=ポリマー分子量/プロトン酸基量)の積が0.1以上であるプロトン伝導性ブロック共重合体、特定構造の繰り返し構造単位を有するプロトン伝導性ブロック共重合体、それらプロトン伝導性ブロック共重合体の架橋体である。更には、プロトン伝導性ブロック共重合体及びその架橋体を用いたプロトン伝導膜及び燃料電池である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素、アルコールなどを燃料に用いる燃料電池などにおいて用いられるイオン伝導性のプロトン伝導性ブロック共重合芳香族樹脂、それを用いて得られる高分子膜および燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子電解質型燃料電池とは電解質としてプロトン伝導性高分子を用いる燃料電池で、水素やメタノールなどの燃料を酸素または空気を用いて電気化学的に酸化することにより、燃料の化学エネルギーを電気エネルギーに変換して取り出すものである。高分子電解質型燃料電池には、燃料として、ボンベ、配管などから供給される純水素を用いるタイプのほか、改質器によりガソリンやメタノールから水素を発生させて用いるタイプなどがある。また、燃料としてメタノール水溶液を用いて直接発電を行う直接メタノール型燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)も開発されている。
高分子電解質型燃料電池は、高分子電解質膜とこの両側に接触して配置される正極および負極から構成される。燃料の水素あるいはメタノールは負極において電気化学的に酸化されてプロトンと電子を生成する。このプロトンは高分子電解質膜内を、酸素が供給される正極に移動する。一方、負極で生成した電子は電池に接続された負荷を通り、正極に流れ、正極においてプロトンと電子が反応して水を生成する。そのため、電解質膜には高いプロトン伝導性が求められる。
特に水素を燃料とした高分子型燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)においては、燃料に水分が存在しない為、低加湿下でのプロトン伝導性が求められている。
【0003】
高いプロトン伝導性を有する高分子電解質膜としては、非フッ素系の高分子化合物の開発が進められたが、主鎖構造が有する3級炭素がラジカルの攻撃を受けやすく、電池内で容易にα位の水素を放出してしまうため、電池特性が経時的に悪化する問題がある。そのため、主鎖に脂肪族鎖を有さない、すなわち芳香族炭化水素系のプロトン酸基含有高分子が数多く開発されている。なかでも、スルホン化したポリエーテルエーテルケトンから成る膜は、耐熱性と化学的耐久性に優れ、高分子電解質として長時間の使用に耐えうることが報告されている(例えば、非特許文献1)。
これらプロトン酸基含有芳香族炭化水素高分子膜のプロトン伝導性を高めるためには、プロトン酸基の導入量を増やす、すなわちイオン交換基当量を小さくすることが必要であるが、プロトン酸基の導入量を増やすと、同時に親水性が増し、吸水率が増加したり水溶性になることが知られている(例えば、特許文献1)。燃料電池は、燃料と酸素の反応により水を副生することから、水溶性の樹脂は燃料電池用の高分子電解質膜として用いることはできない。また、水溶性とならなくても、吸水性が高い場合には、膜の膨潤や強度の低下、吸水した水を介してのメタノールの負極から正極への透過などの問題を生じる。
【0004】
そこで、高分子電解質膜に架橋構造を導入することで、耐水性を向上、低吸水化する方法も開発されている。
例えば、ポリエーテルエーテルケトンの膜中のスルホン酸同士を脱硫酸縮合させたスルホネート結合による架橋方法が報告されている(例えば、特許文献2)が、硫酸などの脱離を伴う架橋機構であり、膜表面と膜内部あるいは膜の裏面で架橋密度が異なる、厚膜化が困難である、膜にボイドができる、脱離した酸性ガスにより製造装置が腐食するといった問題を有していた。さらに、これらプロトン酸基を用いた架橋機構により得られる膜は、架橋密度を向上させるとプロトン酸基が減少(イオン交換基当量が増加)し、イオン伝導性が低下するといった問題があった。
【0005】
硫酸や塩酸などの脱離を伴わない架橋機構としては、クロロスルホン化ポリエーテルケトンのクロロスルホン酸基とアリルアミンを反応させて、スルホンアミド基で結合したアリル基とし、製膜後付加反応により架橋させる機構が報告されている(例えば、特許文献3)が、架橋密度を向上させるためにはプロトン酸基を減少(イオン交換基当量を増加)させる必要がある。また、架橋基を結合するスルホンアミド結合は加水分解を受けやすいといった問題も有していた。
【0006】
プロトン酸基から誘導されず、脱離成分も伴わない架橋機構を有するものとしては、カルボニル基と芳香環に直結したアルキル基との架橋方法が開示されている(例えば、特許文献4)が架橋基を導入する部分を特定していないため、プロトン酸基の存在する部分で架橋が進み過ぎるとポリマー鎖の動きが架橋により制限されたり、プロトン伝導に必要な水分の吸水が低下するため、プロトン伝導性低減の原因になる場合があった。
しかしながら、いずれの方法においても耐水性と高プロトン伝導性を充分に両立した高分子電解質膜は得られておらず、さらなる性能向上が求められていた。
【0007】
【特許文献1】特開平10−45913号公報
【特許文献2】特表2000−501223号公報
【特許文献3】特開平6−93114号公報
【特許文献4】特開2003−217342号公報
【非特許文献1】本間格、第3回セパレーションズサイエンス&テクノロジー研究会講座講演要旨集「高分子膜燃料電池の基礎と応用」p17 (1999)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、耐水性と高プロトン伝導性を長期にわたり両立する、燃料電池に用いる、プロトン伝導性ブロック共重合体、その架橋体並びにそれらを用いたプロトン伝導膜及び燃料電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、特定のプロトン伝導性ブロック共重合体から得られる高分子電解質膜が、耐水性と高プロトン伝導性を長期にわたり両立することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[8]に記載した事項により特定される。
【0010】
[1] プロトン伝導度(26%RH、80℃)とイオン交換基当量(EW=ポリマー分子量/プロトン酸基量)との積が0.1以上であり、プロトン酸基を有するブロックを含有ことを特徴とするプロトン伝導性ブロック共重合体。
[2]一般式(1)で表される構造単位を繰り返し有するブロック(A)と、一般式(2)で表される構造単位を繰り返し有するブロック(B)とからなることを特徴とするプロトン伝導性ブロック共重合体。







[式(1)中、Aは直接結合,−SO−または−CO−であり、式(1)中の芳香環の水素原子は、−C2m+1(mは1〜10の整数)、−F、−CF、−Si(CH、−OSi(CHまたは−CNに置換されていても良い。
式(2)中、Rはプロトン酸基である。式(2)中、Bは−SO−または−CO−であり、式(2)中の芳香環の水素原子は、プロトン酸基に置換されていても良い。
及びYは、式(3)〜(5)のいずれかであり、且つ、の少なくとも1つは式(4)あるいは(5)で表されるナフタレン環構造であり、式(3)、(4)および(5)で表されるYの芳香環の水素原子はプロトン酸基に置換されていても良い。
式(3)中、のDおよびDはそれぞれ独立して直接結合,−CH−、−C(CH−、−C(CF−、−O−、−SO−または−CO−であり、aおよびbはそれぞれ独立して0または1を示す。
式(3)、(4)および(5)中の芳香環の水素原子は−C2m+1(mは1〜10の整数)、−F、−CF、−Si(CH、−OSi(CHまたは−CNに置換されていても良い。]
[3]ブロック(A)のA及びブロック(B)のBが−CO−であり、且つ、式(3)で表されるXあるいはYの芳香環の水素原子が−C2m+1(mは1〜10の整数)で置換された下記式(6)であり、X及びYのいずれか一方が式(4)、(5)で表されるナフタレン環構造で他方が式(6)である架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体であることを特徴とする前記[2]記載のプロトン伝導性ブロック共重合体。




[式(6)中の芳香環の水素原子が−C2m+1(mは1〜10の整数)、−F、−CF、−Si(CH、−OSi(CHまたは−CNに置換されていても良い。]
[4]ブロック(A)及びブロック(B)の一般式(3)又は式(6)であらわされるX又はYのaが0である前記[2]又は[3]記載のプロトン伝導性ブロック共重合体。
[5]プロトン酸基が、−C2n−SOZ、−C2n−PO、−C2n−COOZ(nは0〜10の整数、ZはH、NaまたはKである)のいずれかであることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれか一つに記載のプロトン伝導性ブロック共重合体。
[6]前記[1]〜[5]のいずれか一つに記載のプロトン伝導性ブロック共重合体を架橋してなるプロトン伝導性ブロック共重合架橋体。
[7]前記[1]〜[6]のいずれか一つに記載のプロトン伝導性ブロック共重合体あるいはプロトン伝導性ブロック共重合架橋体を含んでなるプロトン伝導膜。
[8]前記[7]記載のプロトン伝導膜を用いてなる燃料電池。
【発明の効果】
【0011】
本発明のプロトン伝導性ブロック共重合体及びその架橋体型プロトン伝導性ブロック共重合体は、プロトン伝導度とイオン交換基当量(ポリマー分子量/プロトン酸基量)との積が大きいため、少ないスルホン酸基量で高いプロトン伝導度を発揮することができる。スルホン酸基量が少なければ、吸水量及び吸水膨張を抑制することが可能であり、低加湿下で作動されるPEFCにおいても問題なく使用することができる。すなわち本発明のプロトン伝導性ブロック共重合体及びその架橋体は、耐水性と高プロトン伝導性を長期にわたり両立し得る電解質膜の材料として好適である。
本発明のプロトン伝導性ブロック共重合体あるいはその架橋体型プロトン伝導性ブロック共重合体を用いた電解質膜は、プロトン伝導を担うプロトン酸基を有する親水性のブロックからなる相と、耐水性に優れ吸水膨張が小さい疎水性ブロックとが適度に相分離しながら、その相界面が同一分子で結合されているため、プロトン伝導を担うブロックの水への溶解や吸水膨張が抑制され、さらには相界面の剥離がない。特に構造中に配向性に優れたナフタレン環構造を有する場合その効果が大きい。すなわち、親水性の相にナフタレン構造を有する場合は、ナフタレン環の良好な配向性により親水性ブロックが集合しスルホン酸基がプロトンの通り道を形成するため、該プロトン伝導膜はプロトン酸基の含有量を増やすことなく高プロトン伝導性を有することができ、耐水性に優れる。また、プロトン酸基が配向しているために、低加湿下でも高プロトン伝導性を維持することができる。さらに、疎水性ブロック部分に架橋基を導入し架橋することにより、疎水性ブロック相の吸水膨張をより小さく耐水性を向上させることができる。一方、疎水性の相にナフタレン構造を有する場合は、ナフタレン環の良好な配向性により疎水性ブロックのパッキングが向上し疎水性ブロック相の吸水膨張をより小さくすることができ耐水性を向上することができる。さらに、架橋基を導入することにより吸水膨張を抑制することができる。従って、本発明のプロトン伝導性ブロック共重合体あるいはその架橋体型プロトン伝導性ブロック共重合体をプロトン伝導膜に用いることにより、プロトン伝導性の低下や吸水膨張による発電効率の低下が起こりにくく、高効率で信頼性に優れた燃料電池を得ることができる。また、ナフタレン環の良好な配向性による吸水膨張抑制によって、燃料電池に使用されるメタノールや水素などの燃料の透過も抑制できるため、発電効率の低下が起こりにくく、高効率で信頼性に優れた燃料電池を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るプロトン伝導性ブロック共重合体、及びその架橋体、ならびにそれらを用いた燃料電池用プロトン伝導膜及び燃料電池について具体的に説明する。
【0013】
プロトン伝導度とイオン交換基当量の積が0.1のプロトン伝導性ブロック共重合体
本発明のプロトン伝導性ブロック共重合体は、プロトン伝導度(26%RH、80℃)とイオン交換基当量の積が0.1以上であり、プロトン酸基を有するブロックを含有することを特徴とする。ここで、プロトン伝導度は、26%RH,80℃の条件下で測定し、好ましくは6.67E−05〜5.00E−04[S/cm]、更に好ましくは1.00E−04〜3.33E−04[S/cm]である。イオン交換基当量とは、プロトン酸基1モル当たりの樹脂重量で定義され、樹脂単位重量当たりのプロトン酸基のモル数の逆数を意味し、200〜1500g/molであることが好ましく、300〜1000g/molであることが更に好ましい。プロトン伝導度(26%RH、80℃)とイオン交換基当量との積は、プロトン伝導性ブロック共重合体中のプロトン酸基1個当りのプロトン伝導度に寄与する割合を表しており、0.1以上が好ましく、0.14以上がより好ましい。プロトン伝導度(26%RH、80℃)とイオン交換基当量の積が、0.1以上であれば吸水膨張を抑制したまま充分なプロトン伝導度を発揮することができる。0.1未満である場合は、充分なプロトン伝導度を発揮するためにはイオン交換基当量をより小さくしなければならず、イオン交換基当量を小さくするとプロトン酸基量が多くなり過ぎる為、吸水量が高くなる。吸水量が高くなると吸水膨張を引き起こす為に好ましくない。また、プロトン酸基1個当りのプロトン伝導度に寄与する割合が高いということは、低加湿下でもプロトン伝導度を発揮できることを示しており、低加湿下で作動されるPEFCにおいても問題なく使用することができる。
【0014】
本発明のプロトン伝導性ブロック共重合体は、プロトン酸基を有するブロックを含有する。プロトン酸基を有するブロックは、親水性のブロックであり、吸水することにより高いプロトン伝導性を示す。プロトン酸基を有するブロックが吸水膨張をしても、プロトン酸基を持たない部分がそれを抑制する。更にプロトン酸基を有するブロックと有さないブロックは同一分子で結合されているため、相分離することなくプロトン酸基を有するブロックの吸収膨張を抑制することができる。その結果、このようなプロトン伝導性ブロック共重合体を用いたプロトン伝導膜は、高プロトン伝導性を有しながら、耐水性に優れる。また、2つのブロックの相界面が同一分子で結合されているため、温度や湿度の変化による膨張収縮の差による相界面でのクラックの発生が抑制される。
【0015】
本発明のプロトン伝導性ブロック共重合体は、プロトン酸基を有するブロックを繰り返し有する。プロトン酸基としては、具体的には下記式(7)〜(9)で示されるスルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基などが挙げられる。中でも下記式(7)で示されるスルホン酸基が好ましく、下記式(7)においてZ=Hで示されるスルホン酸基が特に好ましい。
−C2n−SOZ(nは0〜10の整数、ZはH,NaまたはK) (7)
−C2n−COOZ(nは0〜10の整数、ZはH,NaまたはK) (8)
−C2n−PO(nは0〜10の整数、ZはH,NaまたはK) (9)
【0016】
本発明のプロトン伝導性ブロック共重合体は、プロトン伝導度とイオン交換基当量の積が0.1以上で、プロトン酸基を有するブロックを繰り返し有するものであればどのような化合物であっても良い。例えば、後述するブロック(A)およびブロック(B)とからなるプロトン伝導性ブロック共重合体が挙げられるが、これに限定されるものでは無い。
【0017】
本発明のプロトン伝導性ブロック共重合体の膨潤率は10〜100wt%である。ここで、膨潤率は、乾燥した該樹脂の、25℃24時間純水浸漬前後の体積比から求めることができる。本発明にかかるプロトン伝導性ブロック共重合体は、同等のイオン交換基当量を有する共重合体にくらべ、吸水膨張が小さい。また、プロトン伝導性ブロック共重合体が、架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体の場合はさらに架橋基を持たない共重合体に比べ、更に吸水膨張が小さい。
【0018】
ブロック(A)およびブロック(B)
本発明のプロトン伝導性ブロック共重合体に係る、耐水性に優れ吸水膨張が小さい特定の構造単位を繰り返し有するブロック(A)と、プロトン酸基を有するブロック(B)は特には限定されないが、ブロック(A)は、以下の一般式(1)で表される構造単位を、ブロック(B)は、以下の一般式(2)で表される構造単位を繰り返し有するのが好ましい。



[式(1)中、Aは直接結合,−SO−または−CO−であり、式(1)中の芳香環の水素原子は、−C2m+1(mは1〜10の整数)、−F、−CF、−Si(CH、−OSi(CHまたは−CNに置換されていても良い。
式(2)中、Rはプロトン酸基である。式(2)中、Bは−SO−または−CO−であり、式(2)中の芳香環の水素原子は、プロトン酸基に置換されていても良い。
及びYは式(3)〜(5)のいずれかであり、且つ、の少なくとも1つは式(4)あるいは(5)で表されるナフタレン環構造であり、(3)、(4)および(5)で表されるYの芳香環の水素原子はプロトン酸基に置換されていても良い。
式(3)中、のDおよびDはそれぞれ独立して直接結合,−CH−、−C(CH−、−C(CF−、−O−、−SO−または−CO−であり、aおよびbはそれぞれ独立して0または1を示す。
式(3)、(4)および(5)中の芳香族環の水素原子は−C2m+1(mは1〜10の整数)、−F、−CF、−Si(CH、−OSi(CHまたは−CNに置換されていても良い。
【0019】
本発明に係る好ましいブロック(A)もしくはブロック(B)は、その少なくとも一つのブロックに配向性に優れたナフタレン環構造を有することになる。そのため、本発明のプロトン伝導性ブロック共重合体を用いてプロトン伝導膜とした場合には、プロトン酸基を有さない疎水性のブロック(A)にナフタレン環を有する場合は、ナフタレン環によるパッキングが良好になるため、より疎水性を示し吸水膨張が小さくなる。一方、プロトン酸基を有する親水性のブロック(B)にナフタレン環を有する場合は、ナフタレン環の配向性によりプロトン酸基が集合または配列し易くなるためにプロトンのプロトン酸基からプロトン酸基への移動が容易になるため高伝導性を示し、好ましい。
【0020】
本発明に係る好ましいブロック(A)及びブロック(B)は、芳香族ポリエーテル構造により構成されるので、熱水、酸、アルカリ、アルコールなどの加水分解を受けやすい連結基や耐熱性、耐ラジカル性が低い基を有さないため、燃料電池内で用いた際に劣化や変性がほとんどないので好ましい。一方、ブロック(A)又はブロック(B)が、熱水、酸、アルカリ、アルコールなどの加水分解を受けやすいエステル結合、カーボネート結合、アミド結合、イミド結合や、耐熱性が低くラジカルの攻撃を受けやすいα水素を持つアルキレン結合、脂肪族エーテル結合などを有する場合は、燃料電池内で用いた際に劣化を受けるため好ましくない。
【0021】
本発明に係るブロック(A)の分子量は、特に制限はなく、任意の分子量とすることができる。
本発明に係る疎水性ブロックは、前記ブロック(A)以外の複数種類の繰り返し構造単位からなっていても良いが、疎水性ブロックが加水分解や吸水による膨張を受けやすいエステル結合、アミド結合、イミド結合やプロトン酸基を含む場合には、ブロック共重合体の水への溶解性、吸水性が高くなる虞があるため、好ましくない。
【0022】
本発明に係るブロック(B)の分子量は、還元粘度(濃度0.5g/dl、35℃で測定)にして0.05〜0.5dl/gが好ましく、0.1〜0.4dl/gがより好ましく、0.15〜0.3dl/gが特に好ましい。該ブロックの分子量が小さすぎる場合には、ブロック(B)と前記ブロック(A)とが相分離せず単一相を形成し、耐水性が低下したり吸水性が増加する虞があるため好ましくない。該ブロックの分子量が大きすぎる場合には、疎水性ブロックと親水性ブロックとが微細な相分離構造を形成しがたく、一部の分子鎖がプロトン酸基を有するブロックのみから形成され、該分子鎖が水に溶出する等の問題がある虞があり好ましくない。
【0023】
本発明に係るブロック(B)は、前記構造単位以外に複数種類の繰り返し構造単位を有していても良く、それらはプロトン酸基を含まなくても構わない。この場合、プロトン酸基を有する繰り返し構造単位の含有量は、ブロック(B)全体に対し100〜30モル%であることが好ましく、100〜50モル%であることが特に好ましい。プロトン酸基を有する繰り返し構造単位(B)の含有量が少ない場合には、プロトン伝導性が低すぎるため好ましくない。
【0024】
本発明に係るブロック(B)に含有されるプロトン酸基とは、具体的には下記式(7)〜(9)で示されるスルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基などが挙げられる。中でも下記式(7)で示されるスルホン酸基が好ましく、下記式(7)においてZ=Hで示されるスルホン酸基が特に好ましい。
−C2n−SOZ(nは0〜10の整数、ZはH,NaまたはK) (7)
−C2n−COOZ(nは0〜10の整数、ZはH,NaまたはK) (8)
−C2n−PO(nは0〜10の整数、ZはH,NaまたはK) (9)
【0025】
前記プロトン酸基は、電子吸引基である−SO−または−CO−に直接結合した芳香環に結合している場合、他の芳香環に結合したプロトン酸基に比べ結合力が強く、分解、解離を受けにくいため、更に好ましく、その中でも、プロトン酸基が、−CO−が直接結合した芳香環に結合していることが特に好ましい。
なお、既存の芳香族ポリエーテルを発煙硫酸などでスルホン化した場合には、電子吸引基である−SO−または−CO−が直接結合していない芳香環にスルホン酸基が導入されることが知られている。
【0026】
本発明に係るブロック(A)又はブロック(B)は、カルボニル基及び、芳香環に直接結合したアルキル基を有すれば、この部分で架橋することができ、プロトン伝導性ブロック共重合体は架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体となる。その場合は、プロトン伝導性ブロック共重合体が耐水性に優れ、吸水膨張が小さいので、プロトン伝導膜として使用する際に膜が膨潤したり強度が低下することが無いので好ましい。具体的には、ブロック(A)のA及びブロック(B)のBが−CO−であり、且つ、式(3)で表されるXあるいはYの芳香環の水素原子が−C2m+1(mは1〜10の整数)で置換された下記式(6)であり、X及びYのいずれか一方が式(4)、(5)で表されるナフタレン環構造で他方が式(6)であるものが挙げられる。


[式(6)中の芳香環の水素原子が−C2m+1(mは1〜10の整数)、−F、−CF、−Si(CH、−OSi(CHまたは−CNに置換されていても良い。]
【0027】
プロトン伝導性ブロック共重合体
本発明のプロトン伝導性ブロック共重合体は、プロトン酸基を有するプロトン伝導を担うブロック(B)と、耐水性に優れ吸水膨張が小さいブロック(A)とからなる。プロトン伝導を担うブロック(B)は水へ溶解あるいは吸水膨張をしやすく、ブロック(A)は耐水性に優れ吸水膨張が小さいので、ブロック(B)で水への溶解あるいは吸水膨張をしようとしても、ブロック(A)がこれを抑制する。本発明のプロトン伝導性ブロック共重合体は、例えばプロトン伝導膜に使用した場合には、ブロック(A)とブロック(B)とが適度に相分離する。2つの相の界面は同一分子で結合されているため、ブロック(B)からなる相が水へ溶解あるいは吸水膨張しようとしても、耐水性に優れ吸水膨張が小さく架橋されたブロック(A)からなる相がこれを抑制する。その結果、該プロトン伝導膜はプロトン酸基の含有量が高く、高プロトン伝導性を有しながら、耐水性に優れる。また、2つの相界面が同一分子で結合されているため、温度や湿度の変化による2つの相の膨張収縮の差が抑制され、膨張収縮の差によるクラックの発生が抑制される。
【0028】
本発明のプロトン伝導性ブロック共重合体の膨潤率は10〜100wt%である。ここで、膨潤率は、乾燥した該樹脂の、25℃24時間純水浸漬前後の体積比から求めることができる。本発明にかかるプロトン伝導性ブロック共重合体は、同等のイオン交換基当量を有する共重合体にくらべ、吸水膨張が小さい。また、プロトン伝導性ブロック共重合体が、架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体の場合はさらに架橋基を持たない共重合体に比べ、更に吸水膨張が小さい。
【0029】
プロトン伝導性共ブロック重合体は、ランダム共重合体の場合は、親水性部分と疎水性部分が相分離せず単一相を形成するため、プロトン伝導を担う繰り返し構造単位の組成が多くなると水への溶解や吸水膨張が起こり、高プロトン伝導性と耐水性を両立できない。
また、プロトン伝導性ブロック共重合体及び耐水性に優れ吸水膨張の小さい樹脂とからなる複合膜は、2つの樹脂の極性が極端に異なるため微細な相分離構造を形成しがたい、相間が分子鎖で結合されていないためプロトン伝導性樹脂の水への溶解や吸水膨張を抑制できない、温度や湿度の変化による2つの相の膨張収縮の差により相界面にクラックが入る等の問題があり、好ましくない。
【0030】
本発明のプロトン伝導性ブロック共重合体の分子量に特に制限はないが、還元粘度(濃度0.5g/dl、35℃で測定)にして0.4〜2.0dl/gの範囲が好ましく、0.5〜1.5dl/gの範囲が特に好ましい。分子量が低すぎると樹脂強度が低く、得られる膜が乾燥・吸湿時の収縮・膨張により割れる場合がある。また、分子量が高すぎると樹脂の溶剤溶解性が不十分となり、製膜等に支障を生じる場合がある。
【0031】
本発明のプロトン伝導性ブロック共重合体は、プロトン伝導度とイオン交換基当量との積が0.1以上が好ましく、0.14以上がより好ましい。プロトン伝導度は、26%RH、80℃下での測定値であり、好ましくは6.67E−05〜5.00E−04[S/cm]、更に好ましくは1.00E−04〜3.33E−04[S/cm]である。
【0032】
本発明のプロトン伝導性ブロック共重合体において、プロトン酸基を有するブロック(B)と疎水性を示すブロック(A)の割合に特に制限はないが、該プロトン伝導性ブロック共重合体のイオン交換基当量にして200〜1500g/molであることが好ましく、300〜1000g/molであることが特に好ましい。ここで、イオン交換基当量とは、プロトン酸基1モル当たりの樹脂重量で定義され、樹脂単位重量当たりのプロトン酸基のモル数の逆数を意味する。すなわち、イオン交換基当量が小さいほどプロトン酸基を有するブロック(B)の割合が高く、イオン交換基当量が大きいほどプロトン酸基を有するブロック(B)の割合が低いことを示す。イオン交換基当量が小さすぎる場合には、ブロック(A)の割合が少なすぎるため、プロトン伝導性ブロック共重合体の耐水性が不十分となる場合がある。イオン交換基当量が大きすぎる場合には、プロトン酸基を有するブロックの割合が少なすぎるため、十分なプロトン伝導性を得ることができない場合がある。
【0033】
架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体
本発明のプロトン伝導性ブロック共重合体は、プロトン酸基から誘導されず、かつ脱離成分の生成なしに架橋し得る架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体が好ましい。この架橋は、高分子鎖同士を結合させるためにプロトン酸基を用いない、言い換えれば、架橋後に高分子鎖同士を結合する基または鎖がプロトン酸基から誘導された基または鎖ではない部分が架橋される。すなわち、本発明のプロトン酸基から誘導されない架橋には、架橋反応時にプロトン酸基が化学的に反応する架橋はもちろん、事前にプロトン酸基を介して架橋基を導入し、その後に架橋する架橋も含まれない。
【0034】
本発明の架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体は、ブロック(A)及びブロック(B)がカルボニル基及び、芳香環に直接結合したアルキル基を有し、この部分で架橋することが可能である。架橋により、プロトン伝導性ブロック共重合体の鎖同士を結合することができるので耐水性に優れ、吸水膨張が小さいので、プロトン伝導膜として使用する際に膜が膨潤したり強度が低下することが無いので好ましい。中でも、前記芳香環に直接結合したアルキル基が炭素原子数1〜10のアルキル基であることが望ましい。具体的には、ブロック(A)のA及びブロック(B)のBが−CO−であり、且つ、式(3)で表されるXあるいはYの芳香環の水素原子が−C2m+1(nは1〜10の整数)で置換された下記式(6)であり、X及びYのいずれか一方が式(4)又は(5)で表されるナフタレン環構造で他方は式(6)である架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体が挙げられる。
【0035】


[式(6)中の芳香環の水素原子が−C2m+1(mは1〜10の整数)、−F、−CF、−Si(CH、−OSi(CHまたは−CNに置換されていても良い。]
この場合、前記一般式(2)のプロトン酸基は、電子吸引基である−CO−に直接結合した芳香環に結合しており、他の芳香環に結合したプロトン酸基に比べ結合力が強く、分解、解離を受けにくいため、特に好ましい。
【0036】
本発明に係る架橋は、樹脂のプロトン酸基量を減少(イオン交換基当量を増大)させることなく、樹脂の架橋密度を制御することができるので好ましい。一方、プロトン酸基から誘導される架橋は、架橋密度を増大させるためには、より多くのプロトン酸基を用いる必要があり、その結果、得られる樹脂のイオン伝導性が低下するため好ましくない。
本発明の架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体は、その共重合体を構成する繰り返し単位1単位中にプロトン酸基、カルボニル基、アルキル基をそれぞれ同時に1つ以上含有することができ、著しく高い架橋密度を得ることができるため、特に好ましい。また、この架橋機構は架橋により生成する結合中にラジカルの攻撃を受けやすい3級炭素のα位の水素を含まないため、特に好ましい。
【0037】
本発明に係るカルボニル基と芳香環に直接結合した炭素原子数1〜10のアルキル基との架橋機構について説明する。ポリマー中のカルボニル基、および、ポリマー中の芳香環に直接結合した炭素原子数1〜10のアルキル基は次のような形で架橋反応に関与していると推定される。下記反応式はアルキル基がメチル基の場合について示した。


【0038】
上記反応式に示すように、紫外線照射や加熱処理などによるエネルギー供給により、ベンゾフェノン上にラジカルが発生し、これがメチル基から水素を引き抜く。引き続き、ベンジルラジカルの二量化、ベンジルラジカルとアルコール性炭素ラジカルカップリング反応、アルコール性炭素ラジカルの二量化のような反応が起こることで、ポリマー同士の架橋が起こっていると推定される。
【0039】
本発明のプロトン伝導性ブロック共重合体および架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体の形態は、特に制限はなく、粉体、溶剤に溶解あるいは分散したワニス、該ワニスを塗布、乾燥して得られる膜などの形態を有することができる。なお、該プロトン伝導性ブロック共重合体を溶剤に溶解あるいは分散したワニスとする場合には、その溶剤に特に制限はなく、例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、塩化メチル、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素類、ジクロロエチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチルなどの脂肪酸エステル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類のほか、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、炭酸ジメチルなどの非プロトン性極性溶剤類などを単独で、あるいは混合して使用できる。
【0040】
プロトン伝導性ブロック共重合体および架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体の製造法
本発明のプロトン伝導性ブロック共重合体および架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体の製造方法に特に制限はないが、具体的な製造方法を芳香族ポリエーテル構造を例として以下に例示する。
【0041】
1.芳香族ジヒドロキシ化合物とプロトン酸基を有する芳香族ジハライド化合物、芳香族ジハライド化合物とプロトン酸基を有する芳香族ジヒドロキシ化合物、あるいは、プロトン酸基を有する芳香族ジハライド化合物とプロトン酸基を有する芳香族ジヒドロキシ化合物を縮合重合し、35℃における還元粘度が0.05〜0.4dl/gの繰り返し構造単位を有するプロトン酸基含有オリゴマーを合成する。これに芳香族ジヒドロキシ化合物と芳香族ジハライド化合物をそれぞれ添加して縮合重合することによりブロック共重合体とする。
【0042】
2.芳香族ジヒドロキシ化合物とプロトン酸基を有する芳香族ジハライド化合物、芳香族ジハライド化合物とプロトン酸基を有する芳香族ジヒドロキシ化合物、あるいは、プロトン酸基を有する芳香族ジハライド化合物とプロトン酸基を有する芳香族ジヒドロキシ化合物を、それぞれ縮合重合し、35℃における還元粘度が0.05〜0.4dl/gの繰り返し構造単位を有するプロトン酸基含有オリゴマーを合成する。別途、芳香族ジヒドロキシ化合物と芳香族ジハライド化合物をそれぞれ重縮合して疎水性オリゴマーを得る。前記プロトン酸基含有オリゴマーに前記疎水性オリゴマーを添加して縮合重合することによりブロック共重合体とする。
【0043】
ここで、本発明にかかるプロトン伝導性ブロック共重合体の製造において用いるモノマー類に特に制限はないが、代表的な具体例を以下に例示する。
【0044】
芳香族ジハライド化合物としては、前記式例えば、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、3,3’−ジフルオロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、1,4−ジフルオロベンゼン、1,3−ジフルオロベンゼン、2,6−ジクロロベンゾニトリル、4,4’−ジフルオロビフェニル、3,3’−ジブロモ−4,4’−ジフルオロビフェニル、4,4’−ジフルオロジフェニルメタン、4,4’−ジクロロジフェニルメタン、4,4’−ジフルオロジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−フルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)プロパン、α,α’−ビス(4−フルオロフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラメチル−5,5’−ジクロロベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、2,5−ジフルオロトルエン、2,5−ジフルオロエチルベンゼン、2,5−ジフルオロ−p−キシレンなどを挙げられ、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0045】
前記式(3)及び、(6)芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジメチルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、1,4−ビス(4−ヒドロキシベンゾイル)ベンゼン、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ジヒドロキビフェニル、2−メチルハイドロキノン、2−エチルハイドロキノン、2−イソプロピルハイドロキノン、2−オクチルハイドロキノン、2,3−ジメチルハイドロキノン、2,3−ジエチルハイドロキノン、2,5−ジメチルハイドロキノン、2,5−ジエチルハイドロキノン、2,5−ジイソプロピルハイドロキノン、2,6−ジメチルハイドロキノン、2,3,5−トリメチルハイドロキノン、2,3,5,6−テトラメチルハイドロキノン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、α,α’−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼンなどを挙げることができ、これらを単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0046】
前記式(4)および(5)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物としては、1,2-ジヒドロキシナフタレン、1,3-ジヒドロキシナフタレン、1,4-ジヒドロキシナフタレン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,3-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレンなどを挙げられ、これらを単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0047】
プロトン酸基を有する芳香族ジハライド化合物としては、前記の芳香族ジハライド化合物のスルホン化物、アルキルスルホン化物のほか、2,5−ジクロロ安息香酸、2,5−ジフルオロ安息香酸、5,5’−カルボニルビス(2−フルオロ安息香酸)、5,5’−スルホニルビス(2−フルオロ安息香酸)、2,5−ジクロロフェニルホスホン酸、5,5’−カルボニルビス(2−フルオロベンゼンホスホン酸)およびそのアルカリ金属塩などを挙げることができる。
【0048】
プロトン酸基を有する芳香族ジヒドロキシ化合物としては、前記の芳香族ジヒドロキシ化合物のスルホン化物、アルキルスルホン化物のほか、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸、5,5’−メチレンジサリチル酸、5,5’−チオジサリチル酸、2,5−ジヒドロキシフェニルホスホン酸などを有する芳香族ジヒドロキシ化合物およびそのアルカリ金属塩などを挙げることができる。
【0049】
なお、芳香族ジハライド化合物及び芳香族ジヒドロキシ化合物のスルホン化物、アルキルスルホン化物は、前記芳香族ジハライド化合物及び前記芳香族ジヒドロキシ化合物を、発煙硫酸などの公知のスルホン化剤でスルホン化(Macromol. Chem. Phys., 199, 1421(1998))する等の方法により得ることができる。
【0050】
プロトン伝導性ブロック共重合架橋体
本発明のプロトン伝導性ブロック共重合架橋体は、前記プロトン伝導性ブロック共重合体を架橋してなるものであり、架橋されるプロトン伝導性ブロック共重合体は、架橋型であっても架橋型でなくても良い。本発明のプロトン伝導性ブロック共重合架橋体は、プロトン酸基から誘導されない架橋体であり、高分子鎖同士を結合させるためにプロトン酸基を用いない架橋体、言い換えれば、架橋後に高分子鎖同士を結合する基または鎖がプロトン酸基から誘導された基または鎖ではない架橋体である。種々の形態をとることができるが、主に、カルボニル基とアルキル基とが架橋する形態をとる。尚、プロトン伝導性ブロック共重合体が架橋体をとることは、IR測定におけるカルボニル基の吸収ピークの減少や架橋前後の溶剤溶解性の違いによって確認することができる。
【0051】
本発明に係る架橋とは、脱離成分を生成しない反応により、高分子鎖同士を結合することをいう。ここで、脱離成分とは、例えば、フリーデルクラフト反応におけるハロゲン化炭化水素または塩、縮合反応における、水、ハロゲン化水素または塩といった、反応において生成し、樹脂鎖と結合していない副生物を示す。本発明に係る脱離成分を生成しない架橋は、脱離成分による電極材料の変性、劣化がなく、膜厚方向での架橋密度が均一であり、厚膜化が容易で、製造装置を腐食するガスも発生しないため好ましい。一方、脱離成分を生成する架橋は、脱離成分の除去操作が必要である、脱離成分の除去効率の異なる膜表面と膜内部あるいは膜裏面で架橋密度が異なる、厚膜化が困難である、膜にボイドができる、脱離した酸性ガスにより電極材料や製造装置が腐食するなどの問題を有し、好ましくない。
【0052】
架橋方法には種々の方法が知られているが、本発明に係るカルボニル基とアルキル基からなる架橋は、プロトン酸基から誘導されない架橋であり、高分子鎖同士を結合させるためにプロトン酸基を用いない架橋、言い換えれば、架橋後に高分子鎖同士を結合する基または鎖がプロトン酸基から誘導された基または鎖ではない架橋である。すなわち、本発明のプロトン酸基から誘導されない架橋には、架橋反応時にプロトン酸基が化学的に反応する架橋はもちろん、事前にプロトン酸基を介して架橋基を導入し、その後に架橋する架橋も含まれない。本発明のような架橋であれば、樹脂のプロトン酸基量を減少(イオン交換基当量を増大)させることなく、樹脂の架橋密度を制御することができるので好ましい。一方、プロトン酸基から誘導される架橋は、架橋密度を増大させるためには、より多くのプロトン酸基を用いる必要があり、その結果、得られる架橋樹脂のイオン伝導性が低下するため好ましくない。
【0053】
プロトン伝導膜
本発明のプロトン伝導膜は、本発明のプロトン伝導性ブロック共重合体およびそれを架橋してなる型プロトン伝導性ブロック共重合架橋体を含んでなるプロトン伝導膜である。ここで、本発明のプロトン伝導膜には、自立膜のみならず、基材、電極膜や他のプロトン伝導膜等に密着した塗膜も含む。ここで、本発明のプロトン伝導膜の厚みに特に制限はないが、自立膜である場合には10〜200μm、塗膜である場合には1〜100μmであることが好ましい。
本発明のプロトン伝導膜は、本発明のプロトン伝導性ブロック共重合体あるいは架橋型プロトン伝導性ブロック共重合架橋体を含んでいればよく、電気導電性を有する導電材、水素の酸化反応、酸素の還元反応を促進する触媒などと複合化されていても良い。
【0054】
導電材としては、電気伝導性物質であればいずれのものでもよく、各種金属や炭素材料
などが上げられる。例えば、アセチレンブラック等のカーボンブラック、活性炭および黒鉛等が挙げられ、これらは単独あるいは混合して、粉末状あるいはシート状で使用される。
触媒としては、水素の酸化反応および酸素の還元反応を促進する金属であれば特に限定されないが、例えば鉛、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ガリウム、バナジウム、タングステン、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、白金、ロジウムまたはそれらの合金が挙げられる。
【0055】
燃料電池
本発明のプロトン伝導膜は、種々公知の燃料電池の電解質膜として使用することができ、燃料電池の燃料源としては、例えば、天然ガス、水素、メタノール等のアルコールを用いることができる。本発明のプロトン伝導膜を用いた燃料電池は、膜の溶解、樹脂の溶出やプロトン酸基の脱離、燃料のクロスオーバーによる出力低下が生じにくく、発電効率と信頼性に優れる。
【実施例】
【0056】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
実施例中の各種試験の試験方法は次に示すとおりである。
(i)還元粘度(ηinh)
プロトン伝導性ブロック共重合体またはそのオリゴマー0.50gをジメチルスルホキシダあるいはN−メチルピロリドン100mlに加熱溶解したのち、35℃において、ウベローデ粘度計で測定した。
(ii)イオン交換基当量(EW)
100℃真空下において乾燥させたプロトン伝導性ブロック共重合体またはプロトン伝導膜を密閉できるガラス容器中に精秤し、そこに過剰量の塩化ナトリウム水溶液を添加して一晩攪拌した。系内に発生した塩化水素を0.01N水酸化ナトリウム標準水溶液にてフェノールフタレイン指示薬を用いて滴定し、計算した。
(iii)膨潤率
窒素通風下120℃12時間乾燥したプロトン伝導性ブロック共重合体またはプロトン伝導膜を、23℃純水に24時間浸漬し、その体積変化より算出した。
(iv)プロトン伝導度
プロトン伝導膜を、サンプルとして幅5mm、長さ40mmに切り出した後、PTFEホルダー上に設置し、4本の電極を圧接し、4端子法の交流インピーダンス法で求まる円弧から抵抗率を測定した。電圧端子間は20mmとした。インピーダンスの測定はLCRメーター(日置電機社製3532)を使用した。温度は電極を接続したサンプルをアルミブロック製の恒温槽内に設置することにより80℃に制御した。加湿は常圧の恒温槽内への蒸気の導入により行い、水蒸気発生器にて一定温度に蒸留水を加熱し、生成する蒸気を使用し、恒温槽内の湿度が26%RHあるいは65%RH一定となるように設定し伝導度を測定した。湿度はRotronic社製露点計で測定した。また、膜厚は乾燥状態でマイクロメータを用いて測定した。
(v)メタノール透過性
室温にて蒸留水と、1mol/L メタノール水溶液を、直径23mmφのプロトン伝導膜を介して接し、3時間までの蒸留水側のメタノール濃度変化をガスクロにて測定した。得られたメタノール濃度増加直線の傾きより、膜厚50μmでのメタノール透過速度を計算し、これをメタノール透過性とした。
【0057】
(実施例1)
窒素導入管、温度計、トルエンで満たした分液器を備えた冷却器、及び撹拌装置を備えたフラスコに、3,3’−カルボニルビス(6−フルオロベンゼンスルホン酸ナトリウム)6.7566g(0.016mol)、1,4−ジヒドロキシナフタレン3.2034g(0.020mol)および無水炭酸カリウム2.65g(0.019mol)を精秤した。これにジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略す)40.0gおよびトルエン16.0gを加え、窒素ガスを通じ撹拌しながら、140℃まで昇温した後、7.5時間反応を行った。反応はトルエン還留下に行い、留出する水は分液器により分液回収した。冷却後、反応マスの一部をサンプリングし、DMSOで希釈、その上澄みをメタノールに排出してオリゴマーを析出させ、アセトンで洗浄したのち、窒素通風下150℃4時間乾燥してオリゴマーを得た。得られたオリゴマーは、芳香環に直接結合したプロトン酸基(スルホン酸ナトリウム基)を含みかつナフタレン環構造を含む化合物であり、その還元粘度は0.19dl/g(DMSO)であった。
【0058】
前記反応マスに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン7.4188g(0.034mol)、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン7.6905g(0.041mol)、無水炭酸カリウム5.63g(0.041mol)、DMSO60.0gおよびトルエン24.0gを添加し、窒素ガスを通じ撹拌しながら、140℃まで昇温した後6時間、さらにトルエンを留去しながら160℃まで昇温し、3.5時間反応を行った。
【0059】
得られた粘稠な反応マス(110℃)を、ホモミキサーを用いてアセトン1.5Lに排出し、析出したポリマーを濾集、蒸留水2Lで2回、アセトン2Lで1回、それぞれ1時間ずつスラッジした後、濾集した。50℃で8時間、150℃で4時間(いずれも窒素雰囲気下)乾燥してプロトン酸基(スルホン酸ナトリウム基)を有する架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体22.4g(収率90.0%)で、還元粘度(ηinh)は0.6dl/g(N−メチルピロリドン)であった。
得られたブロック共重合体4gを12.0gのN−メチルピロリドンに溶解し、ポリマー濃度25%のワニスを得た。得られたワニスをスペーサーを有するブレードを用いてガラス基板上にキャストし、窒素通風下室温から200℃まで2時間かけて昇温した後200℃で4時間保持乾燥し、厚さ50μmのフィルムを得た。
得られたフィルムはガラス基板上からはがし、メタルハライドランプを用いて両面に各500mJ/cm2の光照射を行い架橋させ、フィルム状のプロトン伝導性ブロック共重合架橋体を得た。
この架橋したフィルムを2N硫酸水溶液および蒸留水に1日づつ浸漬してスルホン酸ナトリウム基のプロトン交換を行い、フリーのスルホン酸基を有するフィルムを得た。
得られたフィルムのイオン交換基当量(EW)は799g/mol、膨潤率は20%、プロトン伝導度は26%RHで2.14E−04S/cm、65%RHで2.77E−02S/cmであった。メタノール透過性は0.5μmol/cm2/minであった。
【0060】
(実施例2)
窒素導入管、温度計、トルエンで満たした分液器を備えた冷却器、及び撹拌装置を備えたフラスコに、3,3’−カルボニルビス(6−フルオロベンゼンスルホン酸ナトリウム)13.5133g(0.032mol)、1,6−ジヒドロキシナフタレン6.4068g(0.040mol)および無水炭酸カリウム5.30g(0.038mol)を精秤した。これにジメチルスルホキシド80.0gおよびトルエン32.0gを加え、窒素ガスを通じ撹拌しながら、140℃まで昇温した後、8時間反応を行った。反応はトルエン還留下に行い、留出する水は分液器により分液回収した。冷却後、反応マスの一部をサンプリングし、DMSOで希釈、その上澄みをメタノールに排出してオリゴマーを析出させ、アセトンで洗浄したのち、窒素通風下150℃4時間乾燥してオリゴマーを得た。得られたオリゴマーは、芳香環に直接結合したプロトン酸基(スルホン酸ナトリウム基)を含みかつナフタレン環構造を含む化合物であり、オリゴマーの還元粘度は0.21dl/g(DMSO)であった。
【0061】
前記反応マスに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン14.8376g(0.068mol)、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン15.3810g(0.060mol)、無水炭酸カリウム11.26g(0.082mol)、DMSO121.0gおよびトルエン48.0gを添加し、窒素ガスを通じ撹拌しながら、140℃まで昇温した後7時間、さらにトルエンを留去しながら160℃まで昇温し、2時間反応を行った。
【0062】
得られた粘稠な反応マス(110℃)を、ホモミキサーを用いてアセトン3Lに排出し、析出したポリマーを濾集、蒸留水4Lで2回、アセトン4Lで1回、それぞれ1時間ずつスラッジした後、濾集した。50℃で8時間、150℃で4時間(いずれも窒素雰囲気下)乾燥してプロトン酸基(スルホン酸ナトリウム基)を有する架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体は46.2g(収率92.8%)、還元粘度は1.00dl/g(N−メチルピロリドン)であった。
得られたブロック共重合体4gを16.0gのN−メチルピロリドンに溶解し、ポリマー濃度20%のワニスを得た。得られたワニスをスペーサーを有するブレードを用いてガラス基板上にキャストし、窒素通風下室温から200℃まで2時間かけて昇温した後200℃で4時間保持乾燥し、厚さ50μmのフィルムを得た。
得られたフィルムはガラス基板上からはがし、メタルハライドランプを用いて両面に各500mJ/cm2の光照射を行い架橋させ、フィルム状のプロトン伝導性ブロック共重合架橋体を得た。
この架橋したフィルムを2N硫酸水溶液および蒸留水に1日づつ浸漬してスルホン酸ナトリウム基のプロトン交換を行い、フリーのスルホン酸基を有するフィルムを得た。
得られたフィルムのイオン交換基当量は752g/mol、膨潤率は31%、プロトン伝導度は26%RHで2.35E−04S/cm、65%RHで2.82E−02S/cmであった。メタノール透過性は0.6μmol/cm2/minであった。
【0063】
(実施例3)
窒素導入管、温度計、トルエンで満たした分液器を備えた冷却器、及び撹拌装置を備えたフラスコに、3,3’−カルボニルビス(6−フルオロベンゼンスルホン酸ナトリウム)13.5133g(0.032mol)、2,7−ジヒドロキシナフタレン6.4068g(0.040mol)および無水炭酸カリウム5.300g(0.038mol)を精秤した。これにDMSO80.0gおよびトルエン32.0gを加え、窒素ガスを通じ撹拌しながら、140℃まで昇温した後、4時間反応を行った。反応はトルエン還留下に行い、留出する水は分液器により分液回収した。冷却後、反応マスの一部をサンプリングし、DMSOで希釈、その上澄みをメタノールに排出してオリゴマーを析出させ、アセトンで洗浄したのち、窒素通風下150℃4時間乾燥してオリゴマーを得た。得られたオリゴマーは、芳香環に直接結合したプロトン酸基(スルホン酸ナトリウム基)を含み且つナフタレン環構造を含む化合物であり、オリゴマーの還元粘度は0.20dl/g(DMSO)であった。
【0064】
前記反応マスに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン14.8376g(0.068mol)、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン15.3810g(0.060mol)、無水炭酸カリウム11.20g(0.081mol)、DMSO120.0gおよびトルエン48.0gを添加し、窒素ガスを通じ撹拌しながら、140℃まで昇温した後6時間30分、さらにトルエンを留去しながら160℃まで昇温し、2時間反応を行った。
【0065】
得られた粘稠な反応マス(110℃)を、ホモミキサーを用いてアセトン3Lに排出し、析出したポリマーを濾集、蒸留水4Lで2回、アセトン4Lで1回、それぞれ1時間ずつスラッジした後、濾集した。50℃で8時間、150℃で4時間(いずれも窒素雰囲気下)乾燥してプロトン酸基(スルホン酸ナトリウム基)を有する架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体は46.7g(収率93.8%)、還元粘度は1.45dl/g(N−メチルピロリドン)であった。
得られたブロック共重合体4gを21.0gのN−メチルピロリドンに加熱溶解し、ポリマー濃度16%のワニスを得た。得られたワニスをスペーサーを有するブレードを用いてガラス基板上にキャストし、窒素通風下室温から200℃まで2時間かけて昇温した後200℃で4時間保持乾燥し、厚さ50μmのフィルムを得た。
得られたフィルムはガラス基板上からはがし、メタルハライドランプを用いて両面に各500mJ/cm2の光照射を行い架橋させ、フィルム状のプロトン伝導性ブロック共重合架橋体を得た。
この架橋したフィルムを2N硫酸水溶液および蒸留水に1日づつ浸漬してスルホン酸ナトリウム基のプロトン交換を行い、フリーのスルホン酸基を有するフィルムを得た。
得られたフィルムのイオン交換基当量は796g/mol、膨潤率は25%、プロトン伝導度は26%RHで1.83E−04S/cm、65%RHで2.31E−02S/cmであった。メタノール透過性は0.5μmol/cm2/minであった。
【0066】
(実施例4)
窒素導入管、温度計、トルエンで満たした分液器を備えた冷却器、及び撹拌装置を備えたフラスコに、3,3’−カルボニルビス(6−フルオロベンゼンスルホン酸ナトリウム)22.3814g(0.053mol)、1,4−ジヒドロキシナフタレン10.6113g(0.06625mol)および無水炭酸カリウム8.78g(0.064mol)を精秤した。これにDMSO132.0gおよびトルエン53.0gを加え、窒素ガスを通じ撹拌しながら、140℃まで昇温した後、9時間反応を行った。反応はトルエン還留下に行い、留出する水は分液器により分液回収した。冷却後、反応マスの一部をサンプリングし、DMSOで希釈、その上澄みをメタノールに排出してオリゴマーを析出させ、アセトンで洗浄したのち、窒素通風下150℃4時間乾燥してオリゴマーを得た。得られたオリゴマーは、芳香環に直接結合したプロトン酸基(スルホン酸ナトリウム基)を含み且つナフタレン環構造を含む化合物であり、オリゴマーの還元粘度は0.17dl/g(DMSO)であった。
【0067】
前記反応マスに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン10.2554g(0.047mol)、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン8.6518g(0.03375mol)、無水炭酸カリウム7.78g(0.056mol)、DMSO76.0gおよびトルエン30.0gを添加し、窒素ガスを通じ撹拌しながら、140℃まで昇温した後5時間、さらにトルエンを留去しながら160℃まで昇温し、4時間30分反応を行った。
【0068】
得られた粘稠な反応マス(110℃)を、ホモミキサーを用いてアセトン3Lに排出し、析出したポリマーを濾集、蒸留水4Lで2回、アセトン4Lで1回、それぞれ1時間ずつスラッジした後、濾集した。50℃で8時間、150℃で4時間(いずれも窒素雰囲気下)乾燥してプロトン酸基(スルホン酸ナトリウム基)を有する架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体は48.2g(収率93.6%)、還元粘度は0.56dl/g(N−メチルピロリドン)であった。
得られたブロック共重合体4gを8.5gのN−メチルピロリドンに溶解し、ポリマー濃度32%のワニスを得た。得られたワニスをスペーサーを有するブレードを用いてガラス基板上にキャストし、窒素通風下室温から200℃まで2時間かけて昇温した後200℃で4時間保持乾燥し、厚さ50μmのフィルムを得た。
得られたフィルムはガラス基板上からはがし、メタルハライドランプを用いて両面に各500mJ/cm2の光照射を行い架橋させ、フィルム状のプロトン伝導性ブロック共重合架橋体を得た。
この架橋したフィルムを2N硫酸水溶液および蒸留水に1日づつ浸漬してスルホン酸ナトリウム基のプロトン交換を行い、フリーのスルホン酸基を有するフィルムを得た。
得られたフィルムのイオン交換基当量は457g/mol、膨潤率は76%、プロトン伝導度は26%RHで9.99E−04S/cm、65%RHで8.05E−02S/cmであった。メタノール透過性は1.3μmol/cm2/minであった。
【0069】
(実施例5)
窒素導入管、温度計、トルエンで満たした分液器を備えた冷却器、及び撹拌装置を備えたフラスコに、3,3’−カルボニルビス(6−フルオロベンゼンスルホン酸ナトリウム)23.2260g(0.055mol)、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン17.6241g(0.06875mol)および無水炭酸カリウム9.11g(0.066mol)を精秤した。これにDMSO163.0gおよびトルエン65.0gを加え、窒素ガスを通じ撹拌しながら、140℃まで昇温した後、9間反応を行った。反応はトルエン還留下に行い、留出する水は分液器により分液回収した。冷却後、反応マスの一部をサンプリングし、DMSOで希釈、その上澄みをメタノールに排出してオリゴマーを析出させ、アセトンで洗浄したのち、窒素通風下150℃4時間乾燥してオリゴマーを得た。得られたオリゴマーは、芳香環に直接結合したプロトン酸基(スルホン酸ナトリウム基)を含む化合物であり、オリゴマーの還元粘度は0.17dl/g(DMSO)であった。
【0070】
前記反応マスに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン9.8190g(0.045mol)、2,7−ジヒドロキシナフタレン5.0053g(0.03125mol)、無水炭酸カリウム7.45g(0.054mol)、DMSO59.0gおよびトルエン24.0gを添加し、窒素ガスを通じ撹拌しながら、140℃まで昇温した後5時間、さらにトルエンを留去しながら160℃まで昇温し、12時間反応を行った。
【0071】
得られた粘稠な反応マス(110℃)を、ホモミキサーを用いてアセトン3Lに排出し、析出したポリマーを濾集、蒸留水4Lで2回、アセトン4Lで1回、それぞれ1時間ずつスラッジした後、濾集した。50℃で8時間、150℃で4時間(いずれも窒素雰囲気下)乾燥してプロトン酸基(スルホン酸ナトリウム基)を有する架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体は45.8g(収率84.7%)、還元粘度は1.12dl/g(N−メチルピロリドン)であった。
得られたブロック共重合体4gを12.0gのN−メチルピロリドンに加熱溶解し、ポリマー濃度25%のワニスを得た。得られたワニスをスペーサーを有するブレードを用いてガラス基板上にキャストし、窒素通風下室温から200℃まで2時間かけて昇温した後200℃で4時間保持乾燥し、厚さ50μmのフィルムを得た。
得られたフィルムはガラス基板上からはがし、メタルハライドランプを用いて両面に各500mJ/cm2の光照射を行い架橋させ、フィルム状のプロトン伝導性ブロック共重合架橋体を得た。
この架橋したフィルムを2N硫酸水溶液および蒸留水に1日づつ浸漬してスルホン酸ナトリウム基のプロトン交換を行い、フリーのスルホン酸基を有するフィルムを得た。
得られたフィルムのイオン交換基当量は453g/mol、膨潤率は74%、プロトン伝導度は26%RHで2.40E−04S/cm、65%RHで4.54E−02S/cmであった。メタノール透過性は1.1μmol/cm2/minであった。
【0072】
(比較例1)
窒素導入管、温度計、トルエンで満たした分液器を備えた冷却器、及び撹拌装置を備え
たフラスコに、3,3’−カルボニルビス(6−フルオロベンゼンスルホン酸ナトリウム)14.7802g(0.035mol)、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン11.2153g(0.043mol)および無水炭酸カリウム5.80g(0.042mol)を精秤した。これにジメチルスルホキシド104.0gおよびトルエン42.0gを加え、窒素ガスを通じ撹拌しながら、140℃まで昇温した後、8間反応を行った。反応はトルエン還留下に行い、留出する水は分液器により分液回収した。冷却後、反応マスの一部をサンプリングし、DMSOで希釈、その上澄みをメタノールに排出してオリゴマーを析出させ、アセトンで洗浄したのち、窒素通風下150℃4時間乾燥してオリゴマーを得た。得られたオリゴマーは、芳香環にプロトン酸基及びアルキル基が直接結合した化合物であり、還元粘度は0.20dl/g(DMSO)であった。
【0073】
前記反応マスに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン14.1830g(0.065mol)、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン14.4197g(0.05625mol)、無水炭酸カリウム10.76g(0.12mol)、DMSO114.0gおよびトルエン46.0gを添加し、窒素ガスを通じ撹拌しながら、140℃まで昇温した後8時間、さらにトルエンを留去しながら160℃まで昇温し、8時間反応を行った。
【0074】
得られた粘稠な反応マス(110℃)を、ホモミキサーを用いてアセトン3Lに排出し、析出したポリマーを濾集、蒸留水4Lで2回、アセトン4Lで1回、それぞれ1時間ずつスラッジした後、濾集した。50℃で8時間、150℃で4時間(いずれも窒素雰囲気下)乾燥してプロトン酸基(スルホン酸ナトリウム基)を有するブロック共重合体46.1g(収率91.1%)を得た。
得られたブロック共重合体の還元粘度は1.10dl/g(N−メチルピロリドン)であった。
得られたブロック共重合体4gを14.2gのN−メチルピロリドンに加熱溶解し、ポリマー濃度22%のワニスを得た。得られたワニスをスペーサーを有するブレードを用いてガラス基板上にキャストし、窒素通風下室温から200℃まで2時間かけて昇温した後200℃で4時間保持乾燥し、厚さ50μmのフィルムを得た。
得られたフィルムはガラス基板上からはがし、メタルハライドランプを用いて両面に各500mJ/cm2の光照射を行い架橋させた。
この架橋したフィルムを2N硫酸水溶液および蒸留水に1日づつ浸漬してスルホン酸ナトリウム基のプロトン交換を行い、フリーのスルホン酸基を有するフィルムを得た。
得られたフィルムのイオン交換基当量は761g/mol、膨潤率は44%、プロトン伝導度は26%RHで2.95E−05S/cm、65%RHで9.41E−03であった。メタノール透過性は0.8μmol/cm2/minであった。
【0075】
(比較例2)
窒素導入管、温度計、トルエンで満たした分液器を備えた冷却器、及び撹拌装置を備え
たフラスコに、3,3’−カルボニルビス(6−フルオロベンゼンスルホン酸ナトリウム)
25.3374g(0.060mol)、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン17.0900g(0.06667mol)および無水炭酸カリウム10.35g(0.075mol)を精秤した。これにジメチルスルホキシド170.0gおよびトルエン68.0gを加え、窒素ガスを通じ撹拌しながら、140℃まで昇温した後、11時間反応を行った。反応はトルエン還留下に行い、留出する水は分液器により分液回収した。冷却後、反応マスの一部をサンプリングし、DMSOで希釈、その上澄みをメタノールに排出してオリゴマーを析出させ、アセトンで洗浄したのち、窒素通風下150℃4時間乾燥してオリゴマーを得た。得られたオリゴマーは、芳香環にプロトン酸基及びアルキル基が直接結合した化合物であり、還元粘度は0.25dl/g(DMSO)であった。
【0076】
前記反応マスに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン8.7280g(0.040mol)、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン8.5450g(0.03333mol)、無水炭酸カリウム6.90g(0.050mol)、DMSO69.0gおよびトルエン28.0gを添加し、窒素ガスを通じ撹拌しながら、140℃まで昇温した後9時間、さらにトルエンを留去しながら160℃まで昇温し、7時間反応を行った。
【0077】
得られた粘稠な反応マス(110℃)を、ホモミキサーを用いてアセトン3Lに排出し、析出したポリマーを濾集、蒸留水4Lで2回、アセトン4Lで1回、それぞれ1時間ずつスラッジした後、濾集した。50℃で8時間、150℃で4時間(いずれも窒素雰囲気下)乾燥してプロトン酸基(スルホン酸ナトリウム基)を有するブロック共重合体54.6g(収率92.1%)を得た。
得られたブロック共重合体の還元粘度は1.03dl/g(N−メチルピロリドン)であった。
得られたブロック共重合体4gを16.0gのN−メチルピロリドンに加熱溶解し、ポリマー濃度20%のワニスを得た。得られたワニスをスペーサーを有するブレードを用いてガラス基板上にキャストし、窒素通風下室温から200℃まで2時間かけて昇温した後200℃で4時間保持乾燥し、厚さ50μmのフィルムを得た。
得られたフィルムはガラス基板上からはがし、メタルハライドランプを用いて両面に各500mJ/cm2の光照射を行い架橋させた。
この架橋したフィルムを2N硫酸水溶液および蒸留水に1日づつ浸漬してスルホン酸ナトリウム基のプロトン交換を行い、フリーのスルホン酸基を有するフィルムを得た。
得られたフィルムのイオン交換基当量は445g/mol、膨潤率は86%、プロトン伝導度は26%RHで2.04E−04S/cm、65%RHで4.17E−05S/cmであった。メタノール透過性は1.7μmol/cm2/minであった。
【0078】

【表1】


【0079】
表1より、実施例1〜5のプロトン伝導度(26%RH、80℃)とイオン交換基当量(EW=ポリマー分子量/プロトン酸基量)の積の値はいずれも0.1以上であり、比較例1及び2に比較して高いことがわかる。またEW値の近い実施例1〜3と比較例1、あるいは実施例4〜6と比較例2を比較すると、実施例ではいずれも膨潤率は低下しているにも関わらず、低加湿下でのプロトン伝導度が向上されているのが判る。このことから、ナフタレン環構造を導入することにより膨潤率を抑制したまま、プロトン伝導度を向上させることができることが判る。また、実施例1〜3と比較例1、あるいは実施例4〜6と比較例2を比較すると、実施例ではいずれもメタノール透過性が低減しているのがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロトン伝導度(26%RH、80℃)とイオン交換基当量(EW=ポリマー分子量/プロトン酸基量)との積が0.1以上であり、プロトン酸基を有するブロックを含むことを特徴とするプロトン伝導性ブロック共重合体。
【請求項2】
ブロック(A)が一般式(1)で表される構造単位を繰り返し有し、ブロック(B)が一般式(2)で表される構造単位を繰り返し有することを特徴とするプロトン伝導性ブロック共重合体。







[式(1)中、Aは直接結合,−SO−または−CO−であり、式(1)中の芳香環の水素原子は、−C2m+1(mは1〜10の整数)、−F、−CF、−Si(CH、−OSi(CHまたは−CNに置換されていても良い。
式(2)中、Rはプロトン酸基である。式(2)中、Bは−SO−または−CO−であり、式(2)中の芳香環の水素原子は、プロトン酸基に置換されていても良い。
及びYは、式(3)〜(5)のいずれかであり、且つ、の少なくとも1つは式(4)あるいは(5)で表されるナフタレン環構造であり、式(3)、(4)および(5)で表されるYの芳香環の水素原子はプロトン酸基に置換されていても良い。
式(3)中、のDおよびDはそれぞれ独立して直接結合,−CH−、−C(CH−、−C(CF−、−O−、−SO−または−CO−であり、aおよびbはそれぞれ独立して0または1を示す。
式(3)、(4)および(5)中の芳香環の水素原子は−C2m+1(mは1〜10の整数)、−F、−CF、−Si(CH、−OSi(CHまたは−CNに置換されていても良い。]
【請求項3】
式(1)で表されるブロック(A)のA及び式(2)で表されるブロック(B)のBが−CO−であり、且つ、式(3)で表されるXあるいはYの芳香環の水素原子が−C2m+1(mは1〜10の整数)で置換された下記式(6)であり、X及びYのいずれか一方が式(4)、(5)で表されるナフタレン環構造で他方が式(6)である架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体であることを特徴とする請求項2記載のプロトン伝導性ブロック共重合体。




[式(6)中の芳香環の水素原子が−C2m+1(mは1〜10の整数)、−F、−CF、−Si(CH、−OSi(CHまたは−CNに置換されていても良い。]
【請求項4】
ブロック(A)及びブロック(B)の一般式(3)又は式(6)であらわされるX又はYのaが0である請求項2又は3記載のプロトン伝導性ブロック共重合体。
【請求項5】
プロトン酸基が、−C2n−SOZ、−C2n−PO、−C2n−COOZ(nは0〜10の整数、ZはH、NaまたはKである)のいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のプロトン伝導性ブロック共重合体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つに記載のプロトン伝導性ブロック共重合体を架橋してなるプロトン伝導性ブロック共重合架橋体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つに記載のプロトン伝導性ブロック共重合体あるいはプロトン伝導性ブロック共重合架橋体を含んでなるプロトン伝導膜。
【請求項8】
請求項7記載のプロトン伝導膜を用いてなる燃料電池。


【公開番号】特開2007−119654(P2007−119654A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−315701(P2005−315701)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】