説明

プローブ顕微鏡およびプローブ顕微鏡型光記録再生ヘッド装置

【課題】試料表面との原子間力で動作するカンチレバーを有するプローブ顕微鏡にあって、小型化、解像度の改善を図る。
【解決手段】観察照明光学系12と、試料10から観察情報を取り出す情報検出光学系11とが共通の対物レンズ14に対して設けることによって小型化をはかり、波長選択素子13によってこれら光学系11および12の波長の重複によるノイズの改善を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブ顕微鏡およびプローブ顕微鏡型光記録再生ヘッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の、プローブ顕微鏡における光学系は、目的とする試料に対するプローブ位置を観察する観察照明光学系と、試料からの観察情報を光学的に取り出すいわゆる光てこ型光学系による情報検出光学系とを有する(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図6は、従来のプローブ顕微鏡例えばAFM(Atomic Force Microscope)顕微鏡の要部の概略構成図である。このプローブ顕微鏡は、例えば微視的表面形状を観察する目的とする試料100に近接なしは接触するプローブ101を有し、所定のばね定数を有するカンチレバー102が設けられる。
そして、試料100に対するプローブ位置を観察する観察照明光学系111と、試料100表面との原子間力によって変位するカンチレバー102の変位量を光学的に検出する情報検出光学系112とを有する。
この情報検出光学系112においては、カンチレバー102にレーザ光104を照射し、カンチレバー102の変位量に応じて変位するレーザ光104の反射光の変位量を検出して原子間力を測定し、プローブの変位が一定になるようにカンチレバー102もしくは試料の位置を制御し、その制御信号によって試料100の表面状態を観察するようになされている。
【0004】
この場合、カンチレバー102に照射するレーザ光のスポットはできるだけ微小に絞り込むことが要求される。これは、絞り込みが十分なされない場合、微小幅のカンチレバーから照明光スポットがはみ出ることによって、試料102の表面パターンによっては、干渉縞の発生などの試料情報の読み出し信号へのノイズの混入、分解能の低下を来たすことによる。
【0005】
しかしながら、この顕微鏡においては、プローブの位置、光照射位置等の観察を行う観察照明光学系121が配置されていることから、少なくともその対物レンズを避けて、斜方からカンチレバー102に対するレーザ光104を照射させるという方法がとられる。このため、レーザ光104に対する集光レンズ105の配置位置は、カンチレバー102からかなり離間した位置に配置せざるを得ず、このことと、カンチレバーに斜め入射することから、スポット径は大きくなり、更に、空間的問題から、光路が長くなって、開口数の大きいレンズをもって効率よい、十分な絞込みができないという問題がある。
また、このように、観察照明光学系111と、情報検出光学系112との両光学系をそれぞれ設けることは、光学系が複雑かつ大型となる。
【0006】
また、昨今、光記録媒体例えば光磁気記録媒体等において、記録容量のより大容量化のために、記録ピット(例えば記録磁区)の微小化が要求され、これに伴って解像度が高い光記録再生ヘッドが要求され、プローブ顕微鏡型の光記録再生ヘッド実用化の研究が盛んになっている。
【特許文献1】特開平9−54099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述したプローブ顕微鏡およびプローブ顕微鏡型の光記録または/および光再生がなされるプローブ顕微鏡型光記録再生がなされるヘッドにおいて、上述したプローブ顕微鏡における問題、すなわち試料、あるいは試料に相当する光記録媒体からの情報読み出し信号へのノイズの低減、光学系の複雑大型化の改善を図る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるプローブ顕微鏡は、試料の表面との原子間力が作用されるプローブが設けられたカンチレバーを有し、該カンチレバーを介して上記試料の試料情報の検出がなされるプローブ顕微鏡であって、上記試料の試料情報を得る情報検出レーザ光照射がなされる情報検出光学系と、上記情報検出レーザ光の照射状態を観察する観察照明光学系と、波長選択素子と、上記情報検出光学系と上記観察照明光学系との両光学系に対する共通の対物レンズとを有し、上記情報検出光学系は、上記カンチレバーへの上記情報検出レーザ光のレーザ光源と、上記情報検出レーザ光の上記カンチレバーからの上記試料の試料情報を含む戻り光により上記カンチレバーの変位の検出によって試料情報を検出する情報検出光学系であり、上記観察照明光学系は、照明光源と、該照明光源からの照明光の上記観察情報を有する戻り光の光学像の観察装置とを有し、上記照明光源は、少なくとも上記情報検出レーザ光の波長以外の波長帯を有し、上記波長選択素子は、上記照明光源からの照明光から上記情報検出レーザ光の波長の光成分を排除し、該照明光を上記情報検出レーザ光とともに上記対物レンズに向かわせる波長選択性を有する光学素子より成ることを特徴とする。
【0009】
本発明によるプローブ顕微鏡は、試料の表面との原子間力が作用されるプローブが設けられたカンチレバーを有し、該カンチレバーを介して上記試料の試料情報の検出がなされるプローブ顕微鏡であって上記試料の試料情報を得る情報検出レーザ光照射がなされる情報検出光学系と、上記レーザ光の照射状態を観察する観察照明光学系と、上記カンチレバーの変位検出光学系と、第1および第2の波長選択素子と、上記情報検出光学系と上記観察照明光学系と上記カンチレバーの変位検出光学系とに対する共通の対物レンズとを有し、上記情報検出光学系は、情報検出レーザ光の情報検出レーザ光源を有し、上記プローブに、上記情報検出レーザ光を照射して、近接場光を発生させ、該近接場光の上記試料への照射による試料情報を含む戻り光により試料情報を検出する情報検出光学系であり、上記観察照明光学系は、照明光源と、該照明光源からの照明光の上記観察情報を有する戻り光の光学像の観察装置とを有し、上記カンチレバーの変位検出光学系は、上記カンチレバーの変位検出レーザ光のレーザ光源と、上記変位検出レーザ光の上記カンチレバーからの戻り光から上記カンチレバーの変位を検出するカンチレバーの変位検出装置とを有し、上記情報検出レーザ光と上記カンチレバーの変位検出レーザ光とは互いに異なる波長のレーザ光であり、上記照明光源は、少なくとも上記情報検出レーザ光の波長以外の波長帯を有する照明光の光源であり、上記第1の波長選択素子は、上記照明光源からの照明光から上記カンチレバーの変位検出レーザ光の波長の光成分を排除し、該照明光を上記カンチレバーの変位検出レーザ光とともに上記対物レンズに向かわせる波長選択性を有する光学素子より成り、上記第2の波長選択素子は、上記照明光源からの照明光から上記情報検出レーザ光の波長の光成分を排除し、該照明光を上記情報検出レーザ光とともに上記対物レンズに向かわせる波長選択性を有する光学素子より成ることを特徴とする。
【0010】
本発明によるプローブ顕微鏡は、試料の表面との原子間力が作用されるプローブが設けられたカンチレバーを有し、該カンチレバーを介して上記試料の試料情報の検出がなされるプローブ顕微鏡であって、上記試料の試料情報を得る情報検出レーザ光照射がなされる情報検出光学系と、上記レーザ光の照射状態を観察する観察照明光学系と、上記カンチレバーの変位検出光学系と、波長選択素子と、上記情報検出光学系と上記観察照明光学系とに対する共通の対物レンズとを有し、上記情報検出光学系は、情報検出レーザ光の情報検出レーザ光源を有し、上記プローブに、上記情報検出レーザ光を照射して、近接場光を発生させ、該近接場光の上記試料への照射による試料情報を含む戻り光により試料情報を検出する情報検出光学系であり、上記観察照明光学系は、照明光源と、該照明光源からの照明光の上記観察情報を有する戻り光の光学像の観察装置とを有し、上記カンチレバーの変位検出光学系は、上記カンチレバーの変位検出レーザ光のレーザ光源と、上記変位検出レーザ光の上記カンチレバーからの戻り光から上記カンチレバーの変位を検出するカンチレバーの変位検出装置とを有し、上記カンチレバーの変位検出レーザ光は、上記共通の対物レンズとは異なる外部レンズ系を通じて上記カンチレバー照射され、上記変位検出装置によってカンチレバーの変位の検出がなされ、上記試料情報検出レーザ光と上記カンチレバーの変位検出レーザ光とは互いに異なる波長のレーザ光であり、上記情報検出レーザ光と上記カンチレバーの変位検出レーザ光とは互いに異なる波長のレーザ光であり、上記照明光源は、少なくとも上記情報検出レーザ光の波長と上記変位検出レーザ光以外の波長帯を有する照明光の光源であり、上記波長選択素子は、上記照明光源からの照明光から上記情報検出レーザ光の波長の光成分を排除し、該照明光を上記情報検出レーザ光とともに上記対物レンズに向かわせる波長選択性を有する光学素子より成ることを特徴とする。
【0011】
本発明によるプローブ顕微鏡型光記録再生ヘッド装置は、光記録媒体に情報の記録および再生の少なくともいずれかを行うプローブ顕微鏡型光記録再生ヘッド装置であって、光記録媒体の表面との原子間力が作用されるプローブが設けられたカンチレバーを有し、該カンチレバーを介して上記光記録媒体の記録情報の検出がなされ、上記光記録媒体の記録情報を得る情報検出レーザ光照射がなされる情報検出光学系と、上記情報検出レーザ光の照射状態を観察する観察照明光学系と、波長選択素子と、上記情報検出光学系と上記観察照明光学系との両光学系に対する共通の対物レンズとを有し、上記情報検出光学系は、上記カンチレバーへの上記情報検出レーザ光のレーザ光源と、上記情報検出レーザ光の上記カンチレバーからの上記光記録媒体の記録情報を含む戻り光により上記カンチレバーの変位の検出によって上記記録情報を検出する情報検出光学系であり、上記観察照明光学系は、照明光源と、該照明光源からの照明光の上記観察情報を有する戻り光の光学像の観察装置とを有し、上記照明光源は、少なくとも上記情報検出レーザ光の波長以外の波長帯を有する照明光の光源であり、上記波長選択素子は、上記照明光源からの照明光から上記情報検出レーザ光の波長の光成分を排除し、該照明光を上記情報検出レーザ光とともに上記対物レンズに向かわせる波長選択性を有する光学素子より成ることを特徴とする。
【0012】
本発明によるプローブ顕微鏡型光記録再生ヘッド装置は、光記録媒体に情報の記録および再生の少なくともいずれかを行うプローブ顕微鏡型光記録再生ヘッド装置であって、光記録媒体の表面との原子間力が作用されるプローブが設けられたカンチレバーを有し、該カンチレバーを介して上記光記録媒体の記録情報の検出がなされ、上記光記録媒体の記録情報を得る情報検出レーザ光照射がなされる情報検出光学系と、上記レーザ光の照射状態を観察する観察照明光学系と、上記カンチレバーの変位検出光学系と、第1および第2の波長選択素子と、上記情報検出光学系と上記観察照明光学系と上記カンチレバーの変位検出光学系とに対する共通の対物レンズとを有し、上記情報検出光学系は、情報検出レーザ光の情報検出レーザ光源を有し、上記プローブに、上記情報検出レーザ光を照射して、近接場光を発生させ、該近接場光の上記光記録媒体への照射による記録情報を含む戻り光により上記光記録媒体の記録情報を検出する情報検出光学系であり、上記観察照明光学系は、照明光源と、該照明光源からの照明光の上記観察情報を有する戻り光の光学像の観察装置とを有し、上記カンチレバーの変位検出光学系は、上記カンチレバーの変位検出レーザ光のレーザ光源と、上記変位検出レーザ光の上記カンチレバーからの戻り光から上記カンチレバーの変位を検出するカンチレバーの変位検出装置とを有し、上記情報検出レーザ光と上記カンチレバーの変位検出レーザ光とは互いに異なる波長のレーザ光であり、上記照明光源は、少なくとも上記情報検出レーザ光の波長と上記変位検出レーザ光以外の波長帯を有する照明光の光源であり、上記第1の波長選択素子は、上記照明光源からの照明光から上記カンチレバーの変位検出レーザ光の波長の光成分を排除し、該照明光を上記カンチレバーの変位検出レーザ光とともに上記対物レンズに向かわせる波長選択性を有する光学素子より成り、上記第2の波長選択素子は、上記照明光源からの照明光から上記情報検出レーザ光の波長の光成分を排除し、該照明光を上記情報検出レーザ光とともに上記対物レンズに向かわせる波長選択性を有する光学素子より成ることを特徴とする。
【0013】
本発明によるプローブ顕微鏡型光記録再生ヘッド装置は、光記録媒体に情報の記録および再生の少なくともいずれかを行うプローブ顕微鏡型光記録再生ヘッド装置であって、上記光記録媒体の表面との原子間力が作用されるプローブが設けられたカンチレバーを有し、該カンチレバーを介して上記光記録媒体の記録情報の検出がなされ、上記光記録媒体の記録情報を得る情報検出レーザ光照射がなされる情報検出光学系と、上記レーザ光の照射状態を観察する観察照明光学系と、上記カンチレバーの変位検出光学系と、波長選択素子と、上記情報検出光学系と上記観察照明光学系とに対する共通の対物レンズとを有し、上記情報検出光学系は、情報検出レーザ光の情報検出レーザ光源を有し、上記プローブに、上記情報検出レーザ光を照射して、近接場光を発生させ、該近接場光の上記光記録媒体への照射による記録情報を含む戻り光により記録情報を検出する情報検出光学系であり、上記観察照明光学系は、照明光源と、該照明光源からの照明光の上記観察情報を有する戻り光の光学像の観察装置とを有し、上記カンチレバーの変位検出光学系は、上記カンチレバーの変位検出レーザ光のレーザ光源と、上記変位検出レーザ光の上記カンチレバーからの戻り光から上記カンチレバーの変位を検出するカンチレバーの変位検出装置とを有し、上記カンチレバーの変位検出レーザ光は、上記共通の対物レンズとは異なる外部レンズ系を通じて上記カンチレバー照射され、上記変位検出装置によってカンチレバーの変位の検出がなされ、上記試料情報検出レーザ光と上記カンチレバーの変位検出レーザ光とは互いに異なる波長のレーザ光であり、上記情報検出レーザ光と上記カンチレバーの変位検出レーザ光とは互いに異なる波長のレーザ光であり、上記照明光源は、少なくとも上記情報検出レーザ光の波長と上記変位検出レーザ光以外の波長帯を有する照明光の光源であり、上記波長選択素子は、上記照明光源からの照明光から上記情報検出レーザ光の波長の光成分を排除し、該照明光を上記情報検出レーザ光とともに上記対物レンズに向かわせる波長選択性を有する光学素子より成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上述したように、本発明によるプローブ顕微鏡およびプローブ顕微鏡型光記録再生ヘッド装置においては、試料もしくは光記録媒体に対する少なくともプローブ位置の観察がなされる観察照明光学系と、試料もしくは光記録媒体から情報取り出す情報検出光学系とに対する対物レンズを共通の対物レンズ構成としたことによって構成の簡潔化、占有空間の小型化が図られる。
そして、このように、プローブ位置の観察および試料情報の取り出しを共通の対物レンズによって行う構成とし、これらプローブ位置の検出および試料情報の検出を、相互に近軸位置で行うことができることから、正確に試料情報もしくは光記録媒体の記録情報を取り出すことができる。
【0015】
また、プローブ位置の検出および試料情報の検出を、対物レンズの近軸光とすることができることから、光学的に、ひずみ、収差の小さい検出を行うことができる。したがって、高感度、高解像度化が図られる。
【0016】
また、カンチレバーによって近接場光を得る構成とした本発明によるプローブ顕微鏡および光記録再生ヘッド装置にあっては、近接場光をカンチレバーのプローブから得て、このカンチレバーによって位置検出を行うことから、正確に近接場光を試料に照射する構成とされるものであり、同時に、その試料もしくは光記録媒体に対する少なくともプローブ位置の観察がなされる観察照明光学系と、情報検出光学系とに対する対物レンズを共通の対物レンズ構成としたことによって構成の簡潔化が図られる。
そして、このように、プローブ位置の観察および試料情報の取り出しを共通の対物レンズによって行うにも拘わらず、波長選択素子を光路に設けたことによって観察情報の取り出しにおいて照明光によって、情報取り出しが阻害されることがなく、また、照明光によってプローブ位置検出等が阻害されることがないものであり、それぞれの機能が確実になされた構成とされるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明によるプローブ顕微鏡およびプローブ顕微鏡型光記録再生装置の実施の形態例について説明するが、本発明は、この実施の形態例に限定されるものではない。
図1〜図4は、本発明によるプローブ顕微鏡を例示する模式的構成図である。
本発明によるプローブ顕微鏡は、観察がなされる目的とする試料10の表面との原子間力が作用されるプローブ21が設けられたカンチレバー22を有するものであり、このカンチレバー22を介して試料10上の情報を検出する。
まず、本発明によるプローブ顕微鏡の実施の形態例について説明する。
【0018】
[プローブ顕微鏡の第1の実施の形態例]
図1はこの第1の実施形態例によるプローブ顕微鏡300の模式的構成図である。
この実施の形態例によるプローブ顕微鏡300は、試料10の試料情報例えば表面形状を得るプローブ顕微鏡である。
このプローブ顕微鏡300の光学系においては、試料10の試料情報を得るための情報検出レーザ光照射がなされる情報検出光学系11と、情報検出レーザ光18の照射状態を観察する観察照明光学系12と、波長選択素子13とを有する。
そして、本発明においては、対物レンズ14がこれら情報検出光学系11と観察照明光学系12との両光学系に対して共通に設けられる。
【0019】
情報検出光学系11は、カンチレバー22に照射する情報検出レーザ光18を発生するレーザ光源17と、のカンチレバー22からの試料10の試料情報を含む情報検出レーザ光18の戻り光によってカンチレバー22の変位を検出し、これによって試料情報を検出する情報検出装置19を有する。
【0020】
観察照明光学系12は、照明光源15と、この照明光源15からの照明光20の観察情報を有する戻り光の光学像を観察する観察装置16とを有する。
照明光源15からの照明光20は、少なくとも情報検出レーザ光18の波長以外の波長帯を有する照明光とされる。
【0021】
そして、波長選択素子13は、照明光20から情報検出レーザ光18の波長の光成分を排除し、この照明光を情報検出レーザ光18とともに対物レンズ14に向かわせる波長選択性を有する光学素子より成る。この光学素子としては、情報検出レーザ光18の波長光を反射し、この波長以外で、照明光20の波長光を透過す例えばるダイクロイックミラーによって構成することができる。
【0022】
そして、この実施形態例におけるプローブ顕微鏡300においては、表面の観察がなされる試料10に対して、プローブ顕微鏡300の光軸、すなわちその対物レンズ14の光軸と直交する面に沿って相対的に移動する走査型プローブ顕微鏡構成とされる。
この実施形態例においては、試料10が移動ステージ60上に配置される。移動ステージ60は、プローブ顕微鏡300の上述した光軸方向に沿うz軸方向と、これとほぼ直交する面上で、互いに直交するx軸およびy軸方向に移動できる構成とされる。
【0023】
カンチレバー22は、例えば一端支持型構成を有し、その遊端(カンチレバー22の支持側とは反対側の先端)に、プローブ21を有する。
また、この例においては、試料面10に対してプローブ21の先端が近接ないしは軽く接触する配置構成とされ、移動ステージ60のx軸およびy軸方向の移動によってプローブ21が試料10の表面に対してx軸およびy軸方向に走査するようになされる。
カンチレバー22は、プローブ21の先端と、試料10の観察がなされる表面との原子間力の作用によって支持端側を支点として撓曲変位する構成とされる。このカンチレバー22は、その長さが例えば100μm、厚さ400nm〜800nmを有し、所定のばね定数を有する。このカンチレバー22は、光透過性の例えばSiNより構成され、後述する情報検出レーザ光18の照射部に例えばAuあるいはAl等の金属膜による反射膜22R被着される。
【0024】
また、情報検出光学系11は、カンチレバー22の変位の検出、すなわち原子間力の大きさの検出による、試料10の例えば表面形状等の情報を検出する。すなわちカンチレバー22を介して試料情報の検出がなされる。
この情報検出光学系11は、カンチレバー22に照射される情報検出レーザ光17例えば650nmの赤のレーザ光を発光するレーザ光源17例えば半導体レーザと、集光レンズ等の光学レンズ85を有し、更に情報検出レーザ光17のカンチレバー22からの戻り光を検出する情報検出装置19が設けられて成る。
この情報検出装置19は、例えば2分割フォトダイオード、4分割フォトダイオード、1次元センサ、PSD(Position Sensing Device)等によって構成することができる。
【0025】
一方、観察照明光学系12は、カンチレバー22に対する情報検出レーザ光18の照射状態や、プローブ21と試料10と位置関係等を観察する光学系であり、例えば白色照明光20を発生する白色光源による照明光源15と、照明光20を対物レンズ14の光軸もしくは近軸上に導入するハーフミラー80と、試料10からの戻り光の光学像を観察する観察装置16と、この観察装置16に戻り光を向かわせるミラー81と、集光レンズ等の光学レンズ82とを有する。
観察装置16は、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラなどの固体撮像素子による撮像素子83と、例えばその撮像光学像を映出するモニター84とを有して成る。
【0026】
そして、照明光20と情報検出レーザ光18とを共に対物レンズ14に導入する光路部にダイクロイックミラーによる波長選択素子13を配置して、ここにおいて、照明光20の情報検出レーザ光18の波長光、すなわちこの例では650nmの赤の光を反射させて排除する。
【0027】
この構成によって、観察照明光学系12により、照明光20をカンチレバー22および試料10に照射し、情報検出レーザ光18をカンチレバー22に照射して、これら照射状態等を照明光20の戻り光の観察装置16によって観察する。そして、この観察結果によって試料10の基準位置の調整を移動ステージ60の、x,y,z各軸方向の調整によって行い、また、必要に応じてカンチレバー22の設定位置の調整を行なう。
【0028】
そして、移動ステージ60をxおよびy軸方向に移動させて、プローブ21が試料10の表面上を走査するようになされ、各位置において、試料10の表面状態、例えば、微細凹凸の検出等を原子間力の変化によるカンチレバー22の傾き変化による変位を、2分割フォトダイオード、4分割フォトダイオード、PSD等による情報検出装置19に導入される情報検出レーザ光18の戻り光の入射スポット形状、位置の変化を、分割ダイオードの各部、センサの各部の光電変換によって検出された検出出力の演算によって検出する。
このようにして、カンチレバー22の傾きの変化によって、原子間力の測定、これによる試料10の表面の測定を行うことができる。
すなわち、プローブ21の試料表面に対する各走査位置での原子間力によって変位するカンチレバー22の変位量を検出することによって、原子間力を検出して、これによって試料10の移動ステージ60のz軸方向の制御を行って、変位が一定になるようにし、またこのときの制御信号によって試料10の観察がなされるものである。
【0029】
この第1の実施形態例におけるように、本発明構成においては、カンチレバー22に対する変位検出を行って情報検出を行う情報検出光学系11と、観察照明光学系12とについて共通の対物レンズ14とする構成としたことにより、カンチレバー22に対する対物レンズ(集光レンズ)の間隔を充分小とすることができる。
したがって、この構成においては、図6で説明した従来構成における集光レンズとカンチレバー22との距離が大となること、斜め照射によることのスポット径の問題を回避でき、カンチレバーに対するレーザスポット径を充分小にすることができる。
したがって、カンチレバー22からこのレーザ光18がはみ出すことによるノイズの発生を効果的に回避できるものである。
【0030】
また、情報検出レーザ光18と照明光20とを共に、対物レンズ14の光軸上もしくは近軸上の光とすることができることから、収差の改善が図られ、それぞれのスポット形状およびスポット径の改善が図られ、解像度の向上、および高精度化が図られる。
また、上述したように、対物レンズ14を情報検出光学系11と、観察照明光学系12とに関して共通の対物レンズ14としたことによって、全体の小型化と、組み立て精度の向上を図ることができる。
そして、上述したように、照明光20は、照明による観察に適した白色光を用い、カンチレバー22の変位の検出を変位検出に適したレーザ光を用いて、これらに対して共通の対物レンズ14に導入するものであるが、波長選択素子13を配置して両者の波長が相互に重複することがないようにしたことから、それぞれの戻り光を正確に検出することができるものである。
【0031】
上述した本発明によるプローブ顕微鏡の第1の実施の形態例においては、カンチレバー22の変位の検出によって原子間力の検出、試料10の情報の検出を行う構成とした場合であるが、試料10からの情報取り出しと、カンチレバーの変位の検出とを異なる光学系によって行うプローブ顕微鏡構成とすることもできる。
【0032】
次に、このように、試料からの情報取り出しと、カンチレバーの変位の検出とを異なる光学系によって行う構成による本発明によるプローブ顕微鏡の実施の形態例を説明する。図2〜図4は、いずれもこの構成によるプローブ顕微鏡の実施の形態例の模式的構成図である。
そして、これらの例においては、試料10に対して近接場光いわゆる近接場光によって試料10の形状、各種化学的、物理的特性の情報を取り出すことができるようになされるものである。
【0033】
[プローブ顕微鏡の第2の実施の形態例]
図2は、この実施の形態例によるプローブ顕微鏡301の模式的構成図である。
図2において、図1と対応する部分には、同一符号を付して示すが、このプローブ顕微鏡301においては、試料10の試料情報を得る情報検出レーザ光照射がなされる情報検出光学系11と、レーザ光の照射状態を観察する観察照明光学系12と、カンチレバーの変位検出光学系110と、第1および第2の波長選択素子131および132とを有する。
そして、これら情報検出光学系11と、カンチレバーの変位検出光学系110と、観察照明光学系12に関して共通の対物レンズ14とが設けられる。
【0034】
そして、この構成においては、情報検出光学系11による情報読み出しがなされるレーザ光のファーフィールド光を、カンチレバー22のプローブ21の先端にフォーカスさせ、この先端に形成された光学的細孔21hから発生させた近接場光(ニアフィールド光)を試料10に照射することによって試料10からの情報読み出しを行なうものである。この近接場光によるスポット径は回折限界に規制されず、対物レンズ14の開口数および情報読み出しのレーザ光の波長に依存しないことから微小な照射スポット径とすることができる。
【0035】
このプローブ顕微鏡301においても、プローブ21と、表面情報取り出し等の対象試料10とは、プローブ顕微鏡301の光軸、すなわち対物レンズ14の光軸方向と直交する面に沿って、直交する2軸方向に関して相対的に移動する走査型プローブ顕微鏡構成とされる。
このため、この実施形態例においても、試料10が移動ステージ60上に配置される。移動ステージ60は、プローブ顕微鏡301の上述の光軸方向に沿うz軸方向と、これと直交する面上で、互いに直交するx軸およびy軸方向に移動できる構成とされる。
この移動ステージ60は、その制御装置61によって移動制御がなされる。
【0036】
カンチレバー22は、所定のばね定数を有し、SiN等の光透過性材料によって構成される。そして、このカンチレバー22において、そのプローブ21は、試料10に向かって凸の凹状、例えば円錐凹状に形成され、この凹状プローブ21の内周面と、このプローブ21の周辺の対物レンズ14と対向する面に、例えばAuあるいはAl金属膜等による反射膜22Rが被着形成される。そして、このプローブ21の先端には、反射膜21Rが被着されていないか、あるいは被着されていても極薄とされることなどによる光学的細孔21hが形成される。
【0037】
情報検出光学系11は、例えば500nmの緑の波長の情報検出レーザ光18の情報検出レーザ光源17と、集光レンズ等の光学レンズ85と、ハーフミラー86と、試料10からの試料情報を含む戻り光の情報検出装置19とを有する。
この情報検出装置19は、この情報検出装置19に導入される試料10からの戻り光の態様、目的とする検出信号態様等に応じて例えばフォトダイオード、光電子増倍管(フォトマルチプライヤ)分光器等によって構成される。
また、この情報検出装置19への例えば凹状プローブ21の凹状内周面からの不要反射光を排除する不要反射光排除手段87と、光路を形成するミラー88等が設けられる。
【0038】
不要反射光排除手段87は、例えば共焦点光学系191によって構成することができる。この共焦点光学系191は、プローブ21の先端の光学的細孔21hとの共焦点を形成する共焦点光学レンズ91と、その共焦点位置に配置されたアパーチャ90とを有する構成することができる。
【0039】
カンチレバーの変位検出光学系110は、カンチレバーの変位検出レーザ光180の例えば赤のレーザ光源170と、カンチレバー22からの変位検出レーザ光180の戻り光によってカンチレバー22の変位を検出するカンチレバーの変位検出装置190と、集光レンズ等による光学レンズ185とを有する。
この変位検出装置190は、例えば2分割フォトダイオード、4分割フォトダイオード、PSD等によって構成することができる。
【0040】
観察照明光学系12は、カンチレバー22に対する情報検出レーザ光18の照射状態や、プローブ21と試料10との位置関係等を観察する光学系であり、例えば白色照明光20を発生する白色光源による照明光源15と、照明光20を対物レンズ14の光軸もしくは近軸上に導入するハーフミラー80と、試料10からの戻り光の光学像を観察する観察装置16と、この観察装置16に戻り光を向かわせるミラー81と、集光レンズ等の光学レンズ82とを有する。
観察装置16は、例えばCCDカメラなどの固体撮像素子による例えば撮像素子83と、例えばその撮像光学像を映出するモニター84とを有して成る。
【0041】
情報検出レーザ光18と上記カンチレバーの変位検出レーザ光180とは、上述したように、例えば緑のレーザ光と赤のレーザ光による互いに異なる波長のレーザ光を用いることができ、一方、照明光源15としては、これら情報検出レーザ光18の波長と変位検出レーザ光180の波長、この例では緑および赤の波長以外の波長に渡る波長帯であって照明光として好適な白色光の照明光20を発光する白色光源が用いられる。
【0042】
そして、例えばダイクロイックミラーによる第1の波長選択素子131が、照明光20とカンチレバー変位検出レーザ光180とを共に対物レンズ14に導入する光路部に配置されて、ここにおいて、第1の波長選択素子131によって白色光の照明光20から、レーザ光180の波長光すなわちこの例では650nmの赤の光を反射させて排除する。
また、例えばダイクロイックミラーによる第2の波長選択素子132が、照明光20とカンチレバー変位検出レーザ光180とさらに情報検出レーザ光源17からの検出を共に対物レンズに導入する光路部に配置されて、ここにおいて、第2の波長選択素子132によって白色光の照明光20から情報検出レーザ光18の波長光すなわちこの例では500nmの緑の光を反射させて排除する。
【0043】
この構成によって、照明光20をカンチレバー22および試料10に照射すると共に、カンチレバー変位検出レーザ光180をカンチレバー22に照射して、その照明光20の戻り光によりこれら照射状態等を観察照明光学系12の観察装置16によって観察する。そして、この観察結果によって試料10の基準位置の調整を移動ステージ60の、x,y,z方向の調整によって行い、また、必要に応じてカンチレバーの設定位置の調整を行なう。
【0044】
そして、移動ステージ60をxおよびy方向に移動させて、情報検出光学系11からの情報検出レーザ光18によるプローブ21からの近接場光30のスポットを試料10の表面上に走査するようになされる。
このようにして、情報検出光学系11による情報検出レーザ光18が、光学レンズ85、ハーフミラー86を通じて、第2波長選択素子132のダイクロイックミラーによって反射され、対物レンズ14によってカンチレバー22のプローブ21の光学的細孔21hにフォーカスされるように集光される。このとき、導入された波長λのファーフィールドレーザ光は、プローブ21の内径dが、λに比し充分小となる位置で反射され、近接場光30は、光学的細孔21hから滲み出る。このとき、プローブ21の先端が試料10の表面に充分近接されていることによって、この微小スポットの近接場光30が試料10の表面に照射される。
【0045】
そして、この試料10に照射された近接場光30が、試料10の表面の例えば光学的特性、すなわち反射率、透過率によって変調される。この変調されたレーザ光は、戻り光として、対物レンズ14に導入され、波長選択素子132のダイクロイックミラー、ハーフミラー86、ミラー88によって情報検出装置19に導入され、これによって試料情報が検出される。
このとき、プローブ21において、λ≫dの領域からの不要反射光もまた、上述した経路を辿って情報検出装置19に向かうが、これは、共焦点レンズ91による共焦点関係にないことから、その共焦点位置にあるアパーチャ90によって遮断され、この不要反射光がカットされる。つまり、ノイズが改善される。
【0046】
一方、このとき、カンチレバーの変位検出光学系110のレーザ光源170からのレーザ光180が第1の波長選択素子131のダイクロイックミラーによって反射され、第2の波長選択素子132を透過し、対物レンズ14によってカンチレバー22の反射膜22Rで反射される。そして、この反射による戻り光が、上述した例えば2分割フォトダイオード、4分割フォトダイオード、PDS等によるカンチレバー変位検出装置190に導入される。この戻り光は、カンチレバー22の撓曲、すなわち変位に応じて、この変位検出装置への入射角の変化(すなわちスポット形状の変化、)あるいは位置が変化することから、この変位検出装置190における光電変換の各部の入射光量の変化が生じる。したがって、これらによる出力の演算によって、カンチレバー22における撓みの検出ひいては原子間力を検出することができる。つまり、プローブ21と、試料10の表面との間隔を検出することができる。
【0047】
この間隔を検出した信号が移動ステージの制御回路61に導入され、移動ステージ60のz軸方向の調整がなされ、常時、プローブ21と、試料10の表面とを微小間隙をもって一定に保持させることができる。すなわち、近接場光30を、常時試料表面に一定条件で照射させることができる。
【0048】
この実施形態例2のプローブ顕微鏡301の構成によれば、近接場光30による微小スポットで、試料10の観察を行なうことができる。そして、例えばプローブ21からの不要の戻り光は、共焦点レンズ等による不要反射光排除手段87によって排除することができることから、この不要反射光によるノイズの混入を効果的に排除することができ、高解像度、高精度の向上を図ることができる。
【0049】
そして、この実施形態例2においても、カンチレバー変位検出光学系110、情報検出光学系11、観察照明光学系12を共通の対物レンズ14によって構成したことから、カンチレバー22に対する対物レンズ(集光レンズ)の間隔を充分小とすることができる。
したがって、この構成においても、図6で説明した従来構成における集光レンズとカンチレバー22との距離が大となること、斜め照射によることのスポット径、スポット形状の問題を回避でき、カンチレバーに対するレーザスポットを微小にすることができる。
また、試料10からの情報検出を近接場光30として、微小スポットが得られるようにしたことから、解像度の向上がはかられ、試料上の微細情報の検出が可能となるものである。
【0050】
そして、照明光20としては、照明による観察に適した白色光を用い、カンチレバー22の変位検出のための照明光としては、その変位検出に適したレーザ光18を用いて、これら照明光20およびレーザ光18を共通の対物レンズ14に導入するものであるが、波長選択素子131および132によって、試料の情報検出光の例えば緑のレーザ光とカンチレバーの変位検出の分離を行ったことから、それぞれの戻り光による信号検出を正確に行うことができるものである。
【0051】
そして、上述の構成において、例えば情報検出装置19として分光器を有する構成とするとか、あるいは情報検出部への戻り光の光路に分光器を配置することにより、近接場光顕微分光構成とし、試料10の各種特性等の情報の検出を行うことができる。
なお、このように分光器を設ける構成とする場合、第2の波長選択素子132としては、必要に応じて上述したダイクロイックミラーと、例えば分光器で必要とする波長光を反射させて図示の例ではハーフミラー86に向かわせて、分光器の配置部に向かわせる反射ミラー例えば赤外線ミラーとの組み合わせ構成とすることができる。
【0052】
また、本発明によるプローブ顕微鏡は、試料10の磁区の検出を行うことができるものであり、次に、この場合の実施の形態例を例示する。
【0053】
[プローブ顕微鏡の第3の実施の形態例]
図3は、この実施の形態例によるプローブ顕微鏡302の模式的構成図である。
このプローブ顕微鏡302は、例えば試料10上の微小磁区の検出を、カー効果によって検出することができる構成とした場合である。
このプローブ顕微鏡302には、上述したプローブ顕微鏡301と同様に、試料10の試料情報を得る情報検出レーザ光照射がなされ情報検出光学系11と、レーザ光の照射状態を観察する観察照明光学系12と、カンチレバーの変位検出光学系110と、第1および第2の波長選択素子131および132とを有する。
そして、これら情報検出光学系11と、変位検出光学系110と、観察照明光学系12に関して共通の対物レンズ14が設けられる。
【0054】
また、この構成においても、情報検出光学系11による情報読み出しがなされるレーザ光のファーフィールド光を、カンチレバー22のプローブ21先端にフォーカスさせ、この先端の光学的細孔21hから発生させた近接場光30を試料10に照射することによって試料10からの情報読み出しを行なうものである。このように、近接場光による微小な照射スポット径とする。
したがって、この第3の実施の形態例において、第2の実施の形態例との重複構成に関しては、図3において図2のプローブ顕微鏡301と対応する部分に同一符号を付して重複説明を省略し、このプローブ顕微鏡302の特徴的構成と動作について主として説明する。
【0055】
この実施の形態例によるプローブ顕微鏡302は、不要反射光等の戻り光のいわば排除を、偏光面回転検出手段192によって構成した。この偏光面回転検出手段192は、1/4波長板143と、G−T(Glan-Thompson)アナライザ144とが配置された構成とし、これによって不要反射光の排除を行う構成とした場合である。
また、この場合レーザ光源17からプローブ21に向かうハーフミラー86との間に1/4波長板141と、必要に応じて1/2波長板142とを配置した。
情報検出装置19は、例えば光電子増倍管を用いることができる。
【0056】
この構成においては、レーザ光源17から発射した直線偏光もしくは1/2波長板142によって直線偏光とされたレーザ光が、1/4波長板141を通過することによって円偏光とされる。
そして、この円偏光のファーフィールド光は、プローブ顕微鏡301におけると同様にカンチレバー22のプローブ21の光学的細孔21hにフォーカシングされ、この細孔21hから、近接場光30が得られ、これが試料10に照射される。
この場合、対象となる試料10は、少なくとも表面が磁性体より成り、例えば光磁気記録による磁化パターンすなわち磁区が形成されていて、この磁化の向きに応じてカー効果によって、偏光面が回転される。このように偏光面の回転として変調されたレーザ光は、戻り光として、対物レンズ14、波長選択素子132、ハーフミラー86、ミラー88、1/4波長板143に導入され、直線偏光とされ、偏光角が調整されたG−T偏光板によるアナライザ144に導入される。
【0057】
このとき、例えばプローブ21の内周面等で反射して到来する不要のファーフィールド光の戻り光も、同様の光路をとって1/4波長板143に導入されるが、これら試料面からの戻り光の近接場光と、これによってプローブの内面で反射された不要のファーフィールド戻り光と、不要のファーフィールド光の戻り光は、1/4波長板143までの光路長が異なることから、この1/4波長板143によって直線偏光とされた両光の偏光面の角度が相違した状態でG−Tアナライザ144に導入される。
したがって、G−Tアナライザ144の偏光角を調整しておくことにより、試料面からの近接場光の戻り光のみを取り出すことができ、これを情報検出装置19における例えば光増倍管によって検出することができる。
このようにして、1/4波長板とG−Tアナライザ144によって、例えばプローブ内面からの不要な戻り光の排除を行なうことができ、磁区検出がなされた光のみを情報検出装置19に導入し、電気信号に変換した出力を取り出すことができる。すなわち、不要な戻り光によるノイズが効果的に排除された試料の磁気的情報の検出を行うことができる。
【0058】
また、実施の形態例においても、カンチレバー変位検出光学系110、情報検出光学系11、観察照明光学系12を共通の対物レンズ14によって構成したことから、前述の第2の実施の形態例と同様に、カンチレバーに対する変位検出のレーザスポットの微細化、これによるノイズの改善等が図られる。
【0059】
また、照明光20としては、照明による観察に適した白色光を用い、カンチレバー22の変位検出のための照明光としては、その変位検出に適したレーザ光18を用いて、これら照明光20およびレーザ光18を共通の対物レンズ14に導入するものであるが、波長選択素子131および132によって、試料の情報検出光の例えば緑のレーザ光とカンチレバーの変位検出の分離を行ったことから、それぞれの戻り光による信号検出を正確に行うことができるものである。
【0060】
[プローブ顕微鏡の第4の実施の形態例]
図4は、この実施の形態例によるプローブ顕微鏡303の模式的構成図である。
この実施の形態例においては、情報検出レーザ光18として直線偏光レーザ光を用いた場合である。
そして、この場合、情報検出を行うための不要ファーフィールド反射光の排除を行なう不要反射光除去手段87として、図2で説明したと同様の共焦点光学系191を用いた場合で、この場合、図3で説明したG−Tアナライザの前段に配置した1/4波長板143を省略することができる。
また、この例では、カンチレバー変位検出光学系110を外部に設けた構成とした。
そして、他の構成においては、例えば上述した第2実施の形態例もしくは第3の実施の形態例と同様の構成とすることができる。したがって、図4において、図2もしくは図3と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0061】
次に、本発明によるプローブ顕微鏡型光記録再生装置の実施の形態例について説明する。
本発明によるプローブ顕微鏡型光記録再生ヘッド装置は、上述した本発明によるプローブ顕微鏡を、光記録媒体からの記録信号の読み出しを行なう光ピックアップとして用いた構成による。
図5は、このプローブ顕微鏡型光記録再生ヘッド装置200の模式的構成図で、その本体201が、本発明によるプローブ顕微鏡によって構成される。そして、上述した本発明によるプローブ顕微鏡における試料10に換えて例えば回転支持されたディスク型の光記録媒体202上の例えば凹凸ピットによる記録、相変化記録、光磁気記録を読み出す。
【0062】
そして、近接場光30を用いる各プローブ顕微鏡302,303においても、第2の実施の形態例プローブ顕微鏡301で説明したと同様に、試料の情報検出に分光器を用い、例えば第2の波長選択素子132としてダイクロイックミラーと共に、分光器に用いる波長の例えば赤外線反射ミラーを用いることによって、試料10の物性等の解析を行なうことができる、近接場光ラマン顕微鏡構成によるプローブ顕微鏡を構成することができる。
【0063】
[プローブ顕微鏡型光記録再生ヘッド装置の第1の実施の形態例]
図5において、その光記録再生ヘッド本体201が、上述したプローブ顕微鏡の第1の実施の形態例によるプローブ顕微鏡300によって構成した場合である。この場合、例えばCD(Compact Disc)等の光記録媒体202に対する光記録再生ヘッド装置として有益である。
【0064】
[プローブ顕微鏡型光記録再生ヘッド装置の第2の実施の形態例]
図5において、その光記録再生ヘッド本体201が、上述したプローブ顕微鏡の第2の実施の形態例によるプローブ顕微鏡301によって構成した場合である。
【0065】
[プローブ顕微鏡型光記録再生ヘッド装置の第3の実施の形態例]
図5において、その光記録再生ヘッド本体201が、上述したプローブ顕微鏡の第3の実施の形態例によるプローブ顕微鏡302によって構成した場合である。この場合、例えば光磁気記録媒体等の光記録媒体202に対する光記録再生ヘッド装置として有益である。
【0066】
[プローブ顕微鏡型光記録再生ヘッド装置の第4の実施の形態例]
図5において、その光記録再生ヘッド本体201が、上述したプローブ顕微鏡の第4の実施の形態例によるプローブ顕微鏡303によって構成した場合である。この場合においても、光磁気記録媒体による光記録媒体202の光記録再生ヘッド装置とすることが有益である。
【0067】
上述した本発明による光記録再生ヘッド装置200は、その光ピックアップ本体201において、上述したプローブ顕微鏡300,301,302および303で説明したと同様の効果、利点を奏するものである。
【0068】
上述した本発明によるプローブ顕微鏡およびプローブ顕微鏡型光記録再生ヘッド装置においては、試料もしくは光記録媒体に対する少なくともプローブ位置の観察がなされる観察照明光学系と、試料もしくは光記録媒体から情報取り出す情報検出光学系とに対する対物レンズを共通の対物レンズ構成としたことによって構成の簡潔化が図られる。
また、このように、プローブ位置の観察および試料情報の取り出しを共通の対物レンズによって行う構成とし、これらプローブ位置の検出および試料情報の検出を、相互に少なくとも近軸位置で行うことができることから、正確に試料情報もしくは光記録媒体の記録情報を取り出すことができるものである。
また、プローブ位置の検出および試料情報の検出を、対物レンズの近軸光とすることができることから、光学的に、ひずみ、収差の小さい検出を行うことができる。したがって、高感度、高解像度化が図られる。
【0069】
また、カンチレバーによって近接場光を得る構成とした本発明によるプローブ顕微鏡および光記録再生ヘッド装置にあっては、近接場光をカンチレバーのプローブから得て、このカンチレバーによって位置検出を行うことから、正確に近接場光を試料に照射する構成とされるものであり、同時に、その試料もしくは光記録媒体に対する少なくともプローブ位置の観察がなされる観察照明光学系と、情報検出光学系とに対する対物レンズを共通の対物レンズ構成としたにことによって構成の簡潔化が図られる。
そして、このように、プローブ位置の観察および試料情報の取り出しを共通の対物レンズによって行うにも拘わらず、波長選択素子を光路に設けたことによって観察情報の取り出しにおいて照明光によって、情報取り出しが阻害されることがなく、また、照明光によってプローブ位置検出等が阻害されることがないものであり、それぞれの機能が確実になされた構成とされるものである。
【0070】
上述したプローブ顕微鏡およびプローブ顕微鏡型光記録再生ヘッドにおいては、波長選択素子13,131,132としてダイクロイックミラーを用いた場合であるが、他の素子例えば所要の波長をカットするカットフィルタ等を用いることができる。
そのほか、例えば図4で説明した第4の実施の形態例における情報光学検出系11において、不要反射光排除手段87としての共焦点光学系191、偏光面回転検出手段192による構成を、例えば第3の実施の形態例において適用するなど、また、カンチレバーの形状、構成、また、光路構成を使用態様に応じて変更させ得ることはいうまでもないところである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明によるプローブ顕微鏡の一例の模式的構成図である。
【図2】本発明によるプローブ顕微鏡の一例の模式的構成図である。
【図3】本発明によるプローブ顕微鏡の一例の模式的構成図である。
【図4】本発明によるプローブ顕微鏡の一例の模式的構成図である。
【図5】本発明によるプローブ顕微鏡型光記録再生ヘッドの説明図である。
【図6】従来の原子間力顕微鏡の一部の概略構成図である。
【符号の説明】
【0072】
10……試料、11……情報検出光学系、12……観察照明光学系、13……波長選択素子、14……対物レンズ、15……照明光源と、16……観察装置、17……レーザ光源、18……レーザ光、19……情報検出装置、20……照明光、21……プローブ、22……カンチレバー、22R……反射膜、30……近接場光、41……共焦点光学系、42……円偏光検出光学系、43……直線偏光検出光学系、51……情報検出光学系、52……変位検出装置、60……移動ステージ、80,86……ハーフミラー、81,88……ミラー、82,85,180……光学レンズ、83……撮像装置、84……モニター、87……不要反射光排除手段、90……アパーチャ、91……共焦点光学レンズ、110……カンチレバー変位検出光学系、131……第1の波長選択素子、132……第2の波長選択素子、141,143……1/4波長板、142……1/2波長板、144……G−Tアナライザ、191……共焦点光学系、192……偏光面回転検出手段、200……光記録再生ヘッド装置、201……光記録再生ヘッド本体、202……光記録媒体、300,301,302,303……プローブ顕微鏡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の表面との原子間力が作用されるプローブが設けられたカンチレバーを有し、該カンチレバーを介して上記試料の試料情報の検出がなされるプローブ顕微鏡であって、
上記試料の試料情報を得る情報検出レーザ光照射がなされる情報検出光学系と、
上記情報検出レーザ光の照射状態を観察する観察照明光学系と、
波長選択素子と、
上記情報検出光学系と上記観察照明光学系との両光学系に対する共通の対物レンズとを有し、
上記情報検出光学系は、上記カンチレバーへの上記情報検出レーザ光のレーザ光源と、上記情報検出レーザ光の上記カンチレバーからの上記試料の試料情報を含む戻り光により上記カンチレバーの変位の検出によって試料情報を検出する情報検出光学系であり、
上記観察照明光学系は、照明光源と、該照明光源からの照明光の上記観察情報を有する戻り光の光学像の観察装置とを有し、
上記照明光源は、少なくとも上記情報検出レーザ光の波長以外の波長帯を有する照明光の光源であり、
上記波長選択素子は、上記照明光源からの照明光から上記情報検出レーザ光の波長の光成分を排除し、該照明光を上記情報検出レーザ光とともに上記対物レンズに向かわせる波長選択性を有する光学素子より成る
ことを特徴とするプローブ顕微鏡。
【請求項2】
試料の表面との原子間力が作用されるプローブが設けられたカンチレバーを有し、該カンチレバーを介して上記試料の試料情報の検出がなされるプローブ顕微鏡であって、
上記試料の試料情報を得る情報検出レーザ光照射がなされる情報検出光学系と、
上記レーザ光の照射状態を観察する観察照明光学系と、
上記カンチレバーの変位検出光学系と、
第1および第2の波長選択素子と、
上記情報検出光学系と上記観察照明光学系と上記カンチレバーの変位検出光学系とに対する共通の対物レンズとを有し、
上記情報検出光学系は、情報検出レーザ光の情報検出レーザ光源を有し、上記プローブに、上記情報検出レーザ光を照射して、近接場光を発生させ、該近接場光の上記試料への照射による試料情報を含む戻り光により試料情報を検出する情報検出光学系であり、
上記観察照明光学系は、照明光源と、該照明光源からの照明光の上記観察情報を有する戻り光の光学像の観察装置とを有し、
上記カンチレバーの変位検出光学系は、上記カンチレバーの変位検出レーザ光のレーザ光源と、上記変位検出レーザ光の上記カンチレバーからの戻り光から上記カンチレバーの変位を検出するカンチレバーの変位検出装置とを有し、
上記情報検出レーザ光と上記カンチレバーの変位検出レーザ光とは互いに異なる波長のレーザ光であり、
上記照明光源は、少なくとも上記情報検出レーザ光の波長以外の波長帯を有する照明光の光源であり、
上記第1の波長選択素子は、上記照明光源からの照明光から上記カンチレバーの変位検出レーザ光の波長の光成分を排除し、該照明光を上記カンチレバーの変位検出レーザ光とともに上記対物レンズに向かわせる波長選択性を有する光学素子より成り、
上記第2の波長選択素子は、上記照明光源からの照明光から上記情報検出レーザ光の波長の光成分を排除し、該照明光を上記情報検出レーザ光とともに上記対物レンズに向かわせる波長選択性を有する光学素子より成る
ことを特徴とするプローブ顕微鏡。
【請求項3】
試料の表面との原子間力が作用されるプローブが設けられたカンチレバーを有し、該カンチレバーを介して上記試料の試料情報の検出がなされるプローブ顕微鏡であって、
上記試料の試料情報を得る情報検出レーザ光照射がなされる情報検出光学系と、
上記レーザ光の照射状態を観察する観察照明光学系と、
上記カンチレバーの変位検出光学系と、
波長選択素子と、
上記情報検出光学系と上記観察照明光学系とに対する共通の対物レンズとを有し、
上記情報検出光学系は、情報検出レーザ光の情報検出レーザ光源を有し、上記プローブに、上記情報検出レーザ光を照射して、近接場光を発生させ、該近接場光の上記試料への照射による試料情報を含む戻り光により試料情報を検出する情報検出光学系であり、
上記観察照明光学系は、照明光源と、該照明光源からの照明光の上記観察情報を有する戻り光の光学像の観察装置とを有し、
上記カンチレバーの変位検出光学系は、上記カンチレバーの変位検出レーザ光のレーザ光源と、上記変位検出レーザ光の上記カンチレバーからの戻り光から上記カンチレバーの変位を検出するカンチレバーの変位検出装置とを有し、上記カンチレバーの変位検出レーザ光は、上記共通の対物レンズとは異なる外部レンズ系を通じて上記カンチレバー照射され、上記変位検出装置によってカンチレバーの変位の検出がなされ、
上記試料情報検出レーザ光と上記カンチレバーの変位検出レーザ光とは互いに異なる波長のレーザ光であり、
上記情報検出レーザ光と上記カンチレバーの変位検出レーザ光とは互いに異なる波長のレーザ光であり、
上記照明光源は、少なくとも上記情報検出レーザ光の波長と上記変位検出レーザ光以外の波長帯を有する照明光の光源であり、
上記波長選択素子は、上記照明光源からの照明光から上記情報検出レーザ光の波長の光成分を排除し、該照明光を上記情報検出レーザ光とともに上記対物レンズに向かわせる波長選択性を有する光学素子より成る
ことを特徴とするプローブ顕微鏡。
【請求項4】
上記波長選択素子がダイクロイックミラーである
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載のプローブ顕微鏡。
【請求項5】
上記波長選択素子が所要の波長をカットするカットフィルタである
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載のプローブ顕微鏡。
【請求項6】
上記情報検出光学系の上記近接場光による上記試料情報を含む戻り光の情報検出への導入光路に共焦点光学系が配置された
ことを特徴とする請求項2または3に記載のプローブ顕微鏡。
【請求項7】
上記情報検出光学系の上記近接場光による上記試料情報を含む戻り光の情報検出への導入光路に円偏光検出光学系が配置された
ことを特徴とする請求項2または3に記載のプローブ顕微鏡。
【請求項8】
上記情報検出光学系の光路に直線偏光検出光学系が配置された
ことを特徴とする請求項2または3に記載のプローブ顕微鏡。
【請求項9】
上記情報検出光学系の上記近接場光による上記試料情報を含む戻り光の情報検出への導入光路もしくは情報検出部に分光器が配置された
ことを特徴とする請求項2または3に記載のプローブ顕微鏡。
【請求項10】
上記情報検出光学系の上記近接場光による上記試料情報を含む戻り光の情報検出への導入光路もしくは情報検出部に分光器が配置され、
上記照明光源からの照明光から、上記情報検出レーザ光の波長の光成分を排除し、該照明光を上記情報検出レーザ光とともに上記対物レンズに向かわせる波長選択性を有する光学素子より成る上記波長選択素子が、ダイクロイックミラーと、上記分光器によって分光させる波長光を反射させるミラーとを有して成り、上記試料情報を含む戻り光を上記分光器が配置された上記導入光路に反射導入させるようにした
ことを特徴とする請求項2または3に記載のプローブ顕微鏡。
【請求項11】
光記録媒体に情報の記録および再生の少なくともいずれかを行うプローブ顕微鏡型光記録再生ヘッド装置であって、
光記録媒体の表面との原子間力が作用されるプローブが設けられたカンチレバーを有し、該カンチレバーを介して上記光記録媒体の記録情報の検出がなされ、
上記光記録媒体の記録情報を得る情報検出レーザ光照射がなされる情報検出光学系と、
上記情報検出レーザ光の照射状態を観察する観察照明光学系と、
波長選択素子と、
上記情報検出光学系と上記観察照明光学系との両光学系に対する共通の対物レンズとを有し、
上記情報検出光学系は、上記カンチレバーへの上記情報検出レーザ光のレーザ光源と、上記情報検出レーザ光の上記カンチレバーからの上記光記録媒体の記録情報を含む戻り光により上記カンチレバーの変位の検出によって上記記録情報を検出する情報検出光学系であり、
上記観察照明光学系は、照明光源と、該照明光源からの照明光の上記観察情報を有する戻り光の光学像の観察装置とを有し、
上記照明光源は、少なくとも上記情報検出レーザ光の波長以外の波長帯を有する照明光の光源であり、
上記波長選択素子は、上記照明光源からの照明光から上記情報検出レーザ光の波長の光成分を排除し、該照明光を上記情報検出レーザ光とともに上記対物レンズに向かわせる波長選択性を有する光学素子より成る
ことを特徴とするプローブ顕微鏡型光記録再生ヘッド装置。
【請求項12】
光記録媒体に情報の記録および再生の少なくともいずれかを行うプローブ顕微鏡型光記録再生ヘッド装置であって、
光記録媒体の表面との原子間力が作用されるプローブが設けられたカンチレバーを有し、該カンチレバーを介して上記光記録媒体の記録情報の検出がなされ、
上記光記録媒体の記録情報を得る情報検出レーザ光照射がなされる情報検出光学系と、
上記レーザ光の照射状態を観察する観察照明光学系と、
上記カンチレバーの変位検出光学系と、
第1および第2の波長選択素子と、
上記情報検出光学系と上記観察照明光学系と上記カンチレバーの変位検出光学系とに対する共通の対物レンズとを有し、
上記情報検出光学系は、情報検出レーザ光の情報検出レーザ光源を有し、上記プローブに、上記情報検出レーザ光を照射して、近接場光を発生させ、該近接場光の上記光記録媒体への照射による記録情報を含む戻り光により上記光記録媒体の記録情報を検出する情報検出光学系であり、
上記観察照明光学系は、照明光源と、該照明光源からの照明光の上記観察情報を有する戻り光の光学像の観察装置とを有し、
上記カンチレバーの変位検出光学系は、上記カンチレバーの変位検出レーザ光のレーザ光源と、上記変位検出レーザ光の上記カンチレバーからの戻り光から上記カンチレバーの変位を検出するカンチレバーの変位検出装置とを有し、
上記情報検出レーザ光と上記カンチレバーの変位検出レーザ光とは互いに異なる波長のレーザ光であり、
上記照明光源は、少なくとも上記情報検出レーザ光の波長と上記変位検出レーザ光以外の波長帯を有する照明光の光源であり、
上記第1の波長選択素子は、上記照明光源からの照明光から上記カンチレバーの変位検出レーザ光の波長の光成分を排除し、該照明光を上記カンチレバーの変位検出レーザ光とともに上記対物レンズに向かわせる波長選択性を有する光学素子より成り、
上記第2の波長選択素子は、上記照明光源からの照明光から上記情報検出レーザ光の波長の光成分を排除し、該照明光を上記情報検出レーザ光とともに上記対物レンズに向かわせる波長選択性を有する光学素子より成る
ことを特徴とするプローブ顕微鏡型光記録再生ヘッド装置。
【請求項13】
光記録媒体に情報の記録および再生の少なくともいずれかを行うプローブ顕微鏡型光記録再生ヘッド装置であって、
上記光記録媒体の表面との原子間力が作用されるプローブが設けられたカンチレバーを有し、該カンチレバーを介して上記光記録媒体の記録情報の検出がなされ、
上記光記録媒体の記録情報を得る情報検出レーザ光照射がなされる情報検出光学系と、
上記レーザ光の照射状態を観察する観察照明光学系と、
上記カンチレバーの変位検出光学系と、
波長選択素子と、
上記情報検出光学系と上記観察照明光学系とに対する共通の対物レンズとを有し、
上記情報検出光学系は、情報検出レーザ光の情報検出レーザ光源を有し、上記プローブに、上記情報検出レーザ光を照射して、近接場光を発生させ、該近接場光の上記光記録媒体への照射による記録情報を含む戻り光により記録情報を検出する情報検出光学系であり、
上記観察照明光学系は、照明光源と、該照明光源からの照明光の上記観察情報を有する戻り光の光学像の観察装置とを有し、
上記カンチレバーの変位検出光学系は、上記カンチレバーの変位検出レーザ光のレーザ光源と、上記変位検出レーザ光の上記カンチレバーからの戻り光から上記カンチレバーの変位を検出するカンチレバーの変位検出装置とを有し、上記カンチレバーの変位検出レーザ光は、上記共通の対物レンズとは異なる外部レンズ系を通じて上記カンチレバー照射され、上記変位検出装置によってカンチレバーの変位の検出がなされ、
上記試料情報検出レーザ光と上記カンチレバーの変位検出レーザ光とは互いに異なる波長のレーザ光であり、
上記情報検出レーザ光と上記カンチレバーの変位検出レーザ光とは互いに異なる波長のレーザ光であり、
上記照明光源は、少なくとも上記情報検出レーザ光の波長と上記変位検出レーザ光以外の波長帯を有する照明光の光源であり、
上記波長選択素子は、上記照明光源からの照明光から上記情報検出レーザ光の波長の光成分を排除し、該照明光を上記情報検出レーザ光とともに上記対物レンズに向かわせる波長選択性を有する光学素子より成る
ことを特徴とするプローブ顕微鏡型光記録再生ヘッド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−192637(P2007−192637A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10175(P2006−10175)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 
【出願人】(504145364)国立大学法人群馬大学 (352)
【Fターム(参考)】