説明

ヘアスプレー用組成物

【課題】ヘアスプレー塗布後の手触り感を向上させることは勿論のこと、パーマネントウェーブ施術後の諸問題を解決でき、且つ紫外線防止効果の高いヘアスプレーの素材として有用なヘアスプレー用組成物を提供する。
【解決手段】本発明のヘアスプレー用組成物は、少なくともセリシンまたは溶液中において加熱処理を施したセリシンと、紫外線吸収剤を配合したものであり、必要によって更に(a)(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)共重合体アミノメチルプロパノールと、(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)共重合体、(b)プラチナと結合した加水分解蛋白質、(c)2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/メタクリル酸ブチル共重合体と、(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ステアリルメタクリレート)共重合体、等を配合することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーマネントウェーブ処理後のヘアスタイルを維持するために用いるヘアスプレー用組成物に関するものであり、特に(1)紫外線曝露により発生するフリーラジカルの消去能や、(2)パーマネントウェーブ施術後の特異臭とカラー施術後の刺激臭抑制能、(3)カラー処理やパーマネントウェーブ処理を受けた毛髪表面のツヤ感やコンディション(手触り感、指通り)等の特性を向上させるために使用されるヘアスプレー用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パーマネントウェーブ処理を繰り返し楽しむ人の多くは、作ることのできたウェーブスタイルを長時間維持したいという願望がある。そのためには、ヘアフォームやヘアスプレーを用いるのが一般的であるが、パーマネントウェーブ処理後のヘアスタイルをそのまま形に残せるという点では、ヘアスプレーの方が好まれている。
【0003】
パーマネントウェーブ施術により形成されたウェーブスタイルに、こうしたヘアスプレー用組成物を用いると、ウェーブスタイルを長時間効果的に楽しめるという効果がある。従って、パーマネントウェーブ後に使用するヘアスプレー用組成物もこれまで数多く開発されてきている(例えば、非特許文献1、2)。ところが、これらのヘアスプレー用組成物の多くは、パーマネントウェーブ処理後、すぐに使用すると、パーマネントウェーブ処理の特異臭が毛髪に残るという問題があり、特異臭が低減できていないという課題がある。
【0004】
また、若い女性や男性の多くは、ヘアカラーを楽しんでいる。ヘアカラーを繰り返すと、毛髪が損傷する。その結果、「ヘアカラー用ヘアスプレー用組成物」や「傷んだ毛髪をケアするためのヘアスプレー用組成物」もこれまで多々開発されている(非特許文献3)。ヘアカラーは、メラニン色素を過酸化水素とアルカリ剤により破壊することで、脱色を誘発する機能を有し、それにより毛髪の明度が上がる(毛髪の黒味がなくなる)。つまり、過酸化水素のような反応性の高い物質が毛髪の内部に残留することが考えられる。そして、その残留が毛髪損傷につながることも判明している。しかしながら、毛髪中の過酸化水素を除去するようなヘアスプレー用組成物を開発するヘアケア技術にまで至っていないのが現状である。
【0005】
アルカリ剤を含有したヘアカラーでは毛髪損傷が起こりやすく、これらの問題を解決するべく、平均分子量25000〜35000の加水分解ケラチンや、羊毛またはヒト毛髪から分離・精製されるゲル濾過カラムクロマトグラフィによる平均分子量測定値が11000の蛋白質および9700の蛋白質を含有する分子量8000〜12000の蛋白質組成物を配合したものであることを特徴とする化粧料も開発されている(例えば、特許文献1)。
【0006】
この化粧料を用いれば、ダメージを受けたヒト毛髪の損傷を修復・回復させ、またまとまり感を向上することもできる。しかしながら、この化粧料は、紫外線の影響に関して言及しておらず、フリーラジカルによる毛髪損傷を抑制することができないという僅かな問題を有している。昨今、様々なライフスタイルを楽しむ女性は、行動的であり、帽子等を被らず、屋外での時間を楽しむ機会が多く、これまでのヘアスプレー用組成物よりも優れた紫外線防止効果(フリーラジカル消去能)が望まれている。
【0007】
シルクの構成物であるフィブロインやセリシン等の蛋白質を加熱することによる手法に関しては既に報告されている(例えば、特許文献2、3)。このうち特許文献2では、絹フィブロインの高熱処理に関して記載されているが、セリシンについては記載されていない。また、特許文献3で示しているセリシンの加熱処理に関しては、工程の中にアルカリ処理を含んでいるため、製造上の簡便性が悪く、広範囲に分布する分子量が起因して、効率よく毛髪内部へ浸透しにくいものと考えられていた。
【0008】
ヘアスプレー用組成物に関しては、これまでも多数開発されている(例えば、特許文献4〜6)。このうち特許文献4には、霧が細かく均一に塗布でき、且つ毛髪にきしみ感を与えずなめらかな感触に仕上げ、ぱさつき感のないエアゾールスプレー組成物が提案されている。また特許文献5には、毛髪に対してベタつき感や油っぽい不自然な光沢を与えることなく手触りのよりソフトな仕上がりが得られ、且つ一旦整えたヘスタイルを長時間保持できる整髪力を有する毛髪エアゾールスプレー組成物が提案されている。更に、特許文献6には、加温式ヘアアイロンで巻き髪スタイルを作り、そのスタイルを維持できるための技術が記載されている。
【0009】
しかしながら、これらの従来技術は、パーマネントウェーブ処理後に使用しても、毛髪中のフリーラジカルを消去することや、パーマネントウェーブ特有の特異臭を抑制することができないという課題を有していた。更には、ヘアカラー処理直後に使用しても、毛髪に残留した過酸化水素を除去できないという課題も有していた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「springヘア&ビューティー’10年春号」株式会社宝島社発刊、2010年3月23日発行、第96〜103頁
【非特許文献2】「SweetMyベストヘア2009年春号」株式会社宝島社発行、2009年2月23日発行、第106〜113頁
【非特許文献3】「大人の愛されヘアカタログvol.10」株式会社ネコパブリック発刊、2010年2月23日発行、第78〜83頁
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−248986号公報
【特許文献2】特開平08−27186号公報
【特許文献3】特許第4112291号公報
【特許文献4】特許第4244192号公報
【特許文献5】特許第4392969号公報
【特許文献6】特開2009−91269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のように、紫外線防止効果が高く、パーマネントウェーブスタイルに適したヘアスプレーが求められているが、これらの諸課題を解決するようなヘアスプレーは実現されていないのが実情である。即ち、フィブロインやセリシンの加熱処理により抗酸化力を上げる技術(前記特許文献2,3)や、ヘアスプレーの開発に関する技術(前記特許文献4、5、6)については、これまで様々な技術が提案されているが、抗酸化力が高く、且つ、パーマネントウェーブスタイルに適したヘアスプレーについては、実現されていない。
【0013】
本発明はこうした状況の下でなされたものであり、その目的は、ヘアスプレー塗布後の手触り感を向上させることは勿論のこと、パーマネントウェーブ施術後の諸問題を解決でき、且つ紫外線防止効果の高いヘアスプレーの素材として有用なヘアスプレー用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成することができた本発明のヘアスプレー用組成物とは、少なくともセリシンまたは溶液中において加熱処理を施したセリシンと、紫外線吸収剤を配合したものである点に要旨を有するものである。
【0015】
本発明のヘアスプレー用組成物においては、前記溶液中において加熱処理を施したセリシンと、紫外線吸収剤の配合比が1:20〜2:1(質量割合)であることが好ましい。また、前記溶液中において加熱処理を施したセリシンの配合量と、紫外線吸収剤の配合量の合計が、ヘアスプレー用組成物全体に占める割合で0.0055〜1.11質量%であることが好ましい。
【0016】
本発明のヘアスプレー用組成物には、必要によって、更に、アクリル樹脂アルカノールアミンの一種である(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)共重合体アミノメチルプロパノール(ここで「アミノメチルプロパノール」は、「2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールのことであり、以下では「AMP」と略記することがある)と、(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)共重合体を配合することも好ましく、配合される成分に応じてヘアスプレー用組成物の特性が更に改善される。
【0017】
(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)共重合体AMPと、(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)共重合体を配合する場合には、これらの配合比[(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)共重合体AMP:(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)共重合体]は、1:20〜5:1(質量割合)であることや、これらの合計配合量が、ヘアスプレー用組成物に占める割合で2.0〜15.0質量%であること、等の要件を満足することが好ましく、こうした要件を満足させることによって、パーマネントウェーブスタイルをゴワつき感、きしみ感無く、仕上げることができる。
【0018】
本発明のヘアスプレー用組成物には、プラチナと結合した加水分解蛋白質を配合することもでき、その配合量は、ヘアスプレー用組成物全体に占める割合で0.0001〜1.0質量%であることが好ましい。こうした要件を満足させることによって、パーマネントウェーブ施術後の特異臭の抑制効果を更に高めることができる。
【0019】
本発明のヘアスプレー用組成物には、必要によって、更に2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/メタクリル酸ブチル共重合体と、(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ステアリルメタクリレート)共重合体を配合することも好ましく、これによって、毛髪の良好なツヤ感やコンディションが達成されることになる。
【0020】
上記2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/メタクリル酸ブチル共重合体と、(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ステアリルメタクリレート)共重合体を配合する場合には、これらの配合比[2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体:(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ステアリルメタクリレート)共重合体]は、1:1〜5:1(質量割合)であること、これらの合計配合量が、ヘアスプレー用組成物に占める割合で0.002〜0.2質量%であることが好ましい。
【0021】
本発明のヘアスプレー組成物は、パーマスタイルを維持するために用いるものを想定したものであるが、必要により、噴射剤を配合することによって、エアゾール式のヘアスプレー用組成物とすることも有用である。こうしたエアゾール式のヘアスプレー用組成物として用いる場合の形態として、前記噴射剤は、液化石油ガスおよび/またはジメチルエーテル等が挙げられる。また噴射剤の配合割合は、ヘアスプレー用組成物全体に対して占める割合で10〜90質量%であることが好ましい。この配合割合は、より好ましくは40〜80質量%程度であり、更に好ましくは50〜70質量%程度である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、セリシンまたは溶液中において加熱処理を施したセリシンと、紫外線吸収剤を配合することによって、優れた抗酸化力向上効果が発揮されると共に、必要によって、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)共重合体AMPと、(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)共重合体を配合することで、パーマネントウェーブスタイルをゴワつき感、きしみ感無く、仕上げることができ、更にはプラチナと結合した加水分解蛋白質を配合することによって、パーマネントウェーブ施術後の特異臭の抑制効果を高めることができ、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/メタクリル酸ブチル共重合体と、(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ステアリルメタクリレート)共重合体を配合することによって、毛髪の良好なツヤ感やコンディションが達成される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明者らは、上記の課題を解決するために、様々な角度から検討を加えた。その結果、セリシンまたは溶液中において加熱処理を施したセリシン(以下、これらを総括して「セリシン」と呼ぶことがある)と紫外線吸収剤を含有するヘアスプレー用組成物を毛髪へ塗布して使用することにより、優れた「抗酸化力」が付与できることを見出し、本発明を完成した。
【0024】
セリシンは、生繭からシルクを製造する際に得られる副産物であり、シルク生産時には廃棄されていたが、現在ではその保湿感等により有効利用され始めている原料である。セリシンは、特殊な加圧器具により加工する技術が報告されているが、産業上簡易的な手法により加工される技術は未だ開発されていなかった。また、理・美容施術中での抗酸化力向上効果に着目した技術は、未だ見出されていなかった。
【0025】
この様なセリシンについて、本発明者らが検討したところによれば、市販されているセリシン溶液を用い、化粧品の製造段階における加温工程(溶液中で加熱処理する工程)と、理・美容施術中での抗酸化力を向上させる方法を発見した。特に、理・美容施術では、ドライヤーを用いることがあり、これらの使用で大きく抗酸化力が向上することを見出し、その技術的意義が認められたので先に出願している(特願2009−61803号、同2009−61804号)。これらの技術では、加温式ヘアアイロン等を用いて熱処理することによって、抗酸化力を向上させるものであり、こうした処理においてはその抗酸化力が有効に発揮されたものである。
【0026】
本発明者らは、上記のような技術が完成された後においても、加温式ヘアアイロンを使用しないヘアスプレー用組成物への適用可能性について検討した。その結果、加温式ヘアアイロン等を用いて熱処理しない場合であっても(即ち、加温式ヘアアイロンを使用しないヘアスプレー用組成物に適用した場合であっても)、抗酸化力を向上させるためにセリシンが有用であることを見出し、本発明を完成した。
【0027】
尚、「溶液中において加熱処理を施したセリシン」とは、水やブチレングリコール等の溶液でセリシンを常圧若しくは加圧下で70〜90℃程度の温度により加熱処理したものであり、こうした処理を施すことによって、セリシンが低分子化し、毛髪へ浸透しやすくなったものと考えられる。加熱処理前のセリシンの分子量の範囲は5500〜40000であり、加熱処理によって、分子量が5500〜40000以下になっているものと考えられる。
【0028】
上記のような効果を有効に発揮させるためには、溶液中において加熱処理を施したセリシンと紫外線吸収剤との配合比が1:20〜2:1(質量割合)であることや、それらの合計配合量が0.0055質量%以上(ヘアスプレー用組成物全体に占める割合)であることが好ましい。しかしながら、セリシンや紫外線吸収剤の合計配合量が過剰になると、ベタついてしまうため、1.11質量%以下(ヘアスプレー用組成物全体に占める割合)とすることが好ましい。尚、上記配合比は1:20〜1:1(質量割合)であることがより好ましい。
【0029】
溶液中において加熱処理を施したセリシン中には、完全に分解できていないセリシンを含むことから、適宜、適切な量を配合すれば良い。尚、市販されているセリシン溶液そのものは、溶液中において加熱処理を施したセリシンに比べて、その効果は若干劣るものとなるが、その後のドライヤー等などの加熱処理によって、同等の効果を発揮するものとなる。
【0030】
本発明のヘアスプレー用組成物で用いる紫外線吸収剤は、紫外線を毛髪内部にまで透過させないように働く化合物を意味し、例えばパラジメチルアミノ安息香酸2−エチルエキシルや、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸、オキシベンゾン等が該当する化合物として挙げられる。
【0031】
本発明のヘアスプレー用組成物に、セリシンまたは溶液中において加熱処理を施したセリシンと、紫外線吸収剤とを含有させることによって、抗酸化力が向上する理由としては、紫外線吸収剤により毛髪に作用する紫外線量が減少し、且つ通常の照射量より少なくなった紫外線により発生したフリーラジカルをセリシンが効果的に消去するということが考えられる。
【0032】
本発明のヘアスプレー組成物には、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)共重合体AMPと、(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)共重合体を配合することも好ましく、これによって、毛髪の良好なツヤ感やコンディションが達成されることになる。これらを配合するときの配合比[(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)共重合体AMP:(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)共重合体]は、1:20〜5:1(質量割合)であることが好ましく、またそれらの合計配合量は、2.0〜15.0質量%であることが好ましい。配合比が上記の範囲を外れると、パーマネントウェーブスタイルを保つことができなくなる。また、これらの合計配合量が2.0質量%未満であると上記効果が発揮されにくくなる。15.0質量%を超えて過剰になると、毛髪にゴワつき感やきしみ感が発生しやすくなる。尚、上記配合比は2:21〜5:1(質量割合)であることがより好ましく、合計配合量は4.0質量%以上、10.0質量%以下であることがより好ましい。
【0033】
ヘアスプレー用組成物に、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)共重合体AMPと(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)共重合体を配合することにより、パーマネントウェーブスタイルを「ゴワつき感」や「きしみ感」なく良好なコンディションを維持できる理由は、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)共重合体AMPがスタイルをキープするとともに、(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)共重合体が良好な手触り感を付与することによると考えられる。
【0034】
本発明のヘアスプレー用組成物には、プラチナと結合した加水分解蛋白質を配合することも有用である。プラチナと結合した加水分解蛋白質を配合することによって、パーマネントウェーブ施術後の特異臭の抑制効果を高めることができる。こうした効果を発揮させるためには、その配合量は、ヘアスプレー用組成物全体に占める割合で0.0001質量%以上であることが好ましいが、1.0質量%を超えると、ゴワつき感が生じ良好なコンディションが得られなくなる。尚、この配合量は0.001質量%以上、1.0質量%以下であることがより好ましい。
【0035】
プラチナと結合した加水分解蛋白質を配合することによって、上記の効果が得られる理由については、その全てを解明し得た訳ではないが、プラチナと結合した加水分解蛋白質は、毛髪蛋白質との親和性が強く、不快感を与えるニオイ成分を効果的に空気中で分散させることができるものと推察される。
【0036】
本発明のヘアスプレー用組成物には、上記成分の他、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/メタクリル酸ブチル共重合体と、(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ステアリルメタクリレート)共重合体を配合することも有用であり、これによって、毛髪の良好なツヤ感やコンディションが達成されることになる。
【0037】
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/メタクリル酸ブチル共重合体と、(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ステアリルメタクリレート)共重合体を配合する場合には、これらの質量割合[2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体:(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ステアリルメタクリレート)共重合体]は、1:1(5:5)〜5:1であることが好ましい。配合割合がこの範囲を外れると、良好なツヤ感やコンディションが達成され難くなる。
【0038】
また上記の効果を有効に発揮させるためには、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/メタクリル酸ブチル共重合体と、(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ステアリルメタクリレート)共重合体の合計配合量は、ヘアスプレー用組成物全体に占める割合で0.002〜0.2質量%であることが好ましい。即ち、この含有量が0.002質量%未満では、上記した効果が発揮されにくくなり、0.2質量%を超えると、付着感が増し、ベタつき感が発生することによってコンディションが低下することとなる。
【0039】
ヘアスプレー用組成物に、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/メタクリル酸ブチル共重合体と、(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ステアリルメタクリレート)共重合体を含有させることによって、上記のような効果が得られる理由については、その全てを解明し得た訳ではないがおそらく、次のように考えることができた。即ち、毛髪表面の損傷部位には、凹凸が発生し、ツヤ感やコンディションが低下することになる。上記の2成分がリン脂質構造を持っているため、毛髪表面に付着して毛髪の保湿性を高め、柔らかさを付与できると同時に、凹凸を平滑にすることでツヤ感やコンディションを回復させると考えられる。
【0040】
本発明のヘアスプレー用組成物は、セリシンまたは溶液中において加熱処理を施したセリシンと、紫外線吸収剤を必須成分として含み、必要によって(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)共重合体AMP、(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)共重合体、プラチナと結合した加水分解蛋白質、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/メタクリル酸ブチル共重合体、(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ステアリルメタクリレート)共重合体を配合するものであるが、その他各種の添加剤を含むものであっても良い。
【0041】
本発明のヘアスプレー用組成物に含有されることのある添加剤としては、保湿剤類、油脂類、ラノリン類、高級アルコール類、フッ素系化合物類、シリコーン類、カチオン化ポリマー類、界面活性剤類(陽イオン界面活性剤類・陰イオン界面活性剤類・非イオン界面活性剤類・両性界面活性剤類)、増粘・ゲル化剤類、防腐剤類、キレート剤類、pH調整剤・酸・アルカリ類、溶剤類、抗炎症剤類、香料、色素等を挙げることができ、これらを適宜配合することができる。
【0042】
これらの添加剤を例示すると、保湿剤類としては、1,3−ブチレングリコ−ル、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、コラーゲン、ゼラチン、エラスチン、コラーゲン分解ペプチド、エラスチン分解ペプチド、ケラチン分解ペプチド、シルク蛋白分解ペプチド、大豆蛋白分解ペプチド、小麦蛋白分解ペプチド、カゼイン分解ペプチド等の蛋白質・ペプチド類およびその誘導体、アルギニン、セリン、グリシン、グルタミン酸、トリメチルグリシン等のアミノ酸類、アロエ抽出物、ハマメリス水、ヘチマ水、カモミラエキス、カンゾウエキス等の植物抽出成分類、ヒアルロン酸ナトリウム、クエン酸塩、コンドロイチン硫酸、乳酸ナトリウム、2−ピロリドン−5−カルボン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0043】
油脂類としては、ヒマシ油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、オリーブ油、アボカド油、ゴマ油、月見草油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ローズヒップ油、メドウフォーム油、ティーツリー油、ハッカ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、綿実油、大豆油、落花生油、コメヌカ油、液状シア脂、ホホバ油等の植物油脂類、流動パラフィン、スクワラン、軽質流動パラフィン、セレシン、パラフィンロウ、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等の炭化水素等、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル等のエステル類、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナバロウ、ライスワックス、鯨ロウ、セラック、綿ロウ、モクロウ、水添ホホバ油等のロウ類が挙げられる。
【0044】
ラノリン類としては、液状ラノリン、還元ラノリン、吸着精製ラノリン等が挙げられる。高級アルコール類としては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール類、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等が挙げられる。
【0045】
フッ素系化合物類としては、パーフルオロポリエーテル、ポリパーフルオロエトキシメトキシジフルオロヒドロキシエチル、ポリパーフルオロエトキシメトキシジフルオロメチルジステアリルアミド、ポリパーフルオロエトキシメトキシジフルオロエチルポリエチレングリコールリン酸等のフッ素化合物誘導体類が挙げられる。
【0046】
シリコーン類としては、低粘度ジメチルポリシロキサン、高粘度ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルシロキサン(デカメチルシクロペンタシロキサン)、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、カチオン変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等が挙げられる。
【0047】
カチオン化ポリマー類としては、カチオン化セルロース誘導体、カチオン化デンプン、カチオン化グアーガム、ジアシル4級アンモニウムの重合体または共重合体、4級化ポリビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。
【0048】
陽イオン界面活性剤類としては、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0049】
陰イオン界面活性剤類としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩、アシルN−メチルタウリン塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、N−アシルアミノ酸塩等が挙げられる。
【0050】
非イオン界面活性剤類としては、多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルポリグリコシド、アルキルグリコシド等が挙げられる。
【0051】
両性界面活性剤類としては、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシ−N−ヒドロキシイミダゾリニウムベタイン等を挙げることができる。
【0052】
増粘・ゲル化剤類としては、グアーガム、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸、トラガントガム、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタアクリル酸アルキル共重合体、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂アルカノールアミン液等を挙げることができる。
【0053】
防腐剤類としては、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類、安息香酸塩類、フェノキシエタノール、4級アンモニウム塩類等を挙げることができる。
【0054】
キレート剤類としては、エデト酸塩、ホスホン酸類、ポリアミノ酸類等を挙げることができる。pH調整剤・酸・アルカリ類としては、リン酸、リンゴ酸、酒石酸、炭酸、フマル酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸、コハク酸、塩酸、硫酸、硝酸若しくはそれらの塩類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素二ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アルギニン、アンモニア水、アミノメチルプロパノール若しくはそれらの塩類等を挙げることができる。
【0055】
溶剤類としては、水、エタノールやデカメチルシクロペンタシロキサンの他にも、2−プロパノール等の低級アルコール類等を例示することができる。抗炎症剤類としては、グリチルリチン酸、カルベノキソロン二ナトリウムをはじめとする甘草誘導体、アラントイン、グアイアズレン、アロエ、α−ビサボロール等が挙げられる。
【0056】
本発明のヘアスプレー用組成物は、その剤型として、エアゾール状が最適であるが、その他、溶液状、ジェル状等、種々のタイプへの技術的応用は可能であり、特に限定されるものではない。
【0057】
エアゾール式のヘアスプレー用組成物として用いる場合には、液化石油ガス(LPG)やジメチルエーテル(DME)のガス(ヘアスプレー用のガスとして、圧力を加えることによって液体状となるものも含む)を、上記ヘアスプレー用組成物に配合して用いられることになるが、これら以外にも炭酸ガス、窒素ガス、イソペンタン等のガスを用いても良い。尚、樹脂との相溶性や適度な噴霧感を考慮すると、液化石油ガス(LPG)やジメチルエーテル(DME)が好ましい。また、いずれのガスを用いるにしても、噴射剤としてのガスの配合割合は、ヘアスプレー用組成物全体に対して10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは40〜80質量%であり、更に好ましくは50〜70質量%程度である。
【実施例】
【0058】
次に、実施例によって本発明をより具体的に示すが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは、全て本発明の技術的範囲に包含される。
【0059】
[実施例1]
(セリシン溶液の抗酸化力向上効果の検討)
この実施例で用いたセリシン溶液は、頭髪用医薬部外品および化粧品用原料として市販されているものとして、一丸ファルコス(株)製の「シルクゲンGソルブルS」(商品名:純分5.5%含有、平均分子量15000)である。
【0060】
上記セリシン溶液を用い、下記表1に示す実験No.2〜5の方法により、抗酸化力の向上効果を検討した。尚、実験No.2〜5は、夫々下記の加熱処理1〜4の工程を含んでいる。
加熱処理1…常圧下(0.1MPa)で80℃の熱を1時間加えた。
加熱処理2…耐熱瓶(メディウム瓶)にセリシン溶液を入れ、オートクレーブを用い、
加熱処理を行なった(0.2MPa、121℃、20分間)。
加熱処理3…密閉式高温高圧瓶にセリシン溶液を入れ、オートクレーブを用い、加熱処
理を行なった(0.6MPa、160℃、20分間)。
加熱処理4…密閉式高温高圧瓶にセリシン溶液を入れ、オートクレーブを用い、加熱処
理を行なった(1.5MPa、200℃、20分間)。
【0061】
実験No.1に関しては、加熱処理を行なわずに、下記のDPPH消去力(抗酸化力)の測定を行なった。上記4種類の加熱処理を含む実験No.2〜5の加熱処理を行い、夫々について下記のDPPH消去力(抗酸化力)の測定を行なった。
【0062】
(抗酸化力の測定:DPPH−VIS法)
DPPH(1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル)は、それ自体が安定な紫色(520nm付近に最大吸収をもつ)のラジカル物質であり、抗酸化物質(水素供与体)が存在すると、水素を奪って非ラジカル体(淡黄色)に変化し、紫色が次第に退色する。その退色度合いを分光光度計で測定し、ラジカル消去能を評価する方法がDPPH−VIS法である。DPPH−VIS法は、スーパーオキシド消去能(活性酸素消去能)と高い相関が認められる。
・A:各試料(実験No.1〜5で得られた各セリシン溶液)2mL(ミリリットル)と150μM・DPPHエタノール溶液2mLを混合し、30分反応後の吸光度を測定した(測定波長:520nm)。
・B:各試料(実験No.1〜5で得られた各セリシン溶液)2mLと溶媒であるエタノール2mLを混合し、30分反応後の吸光度を測定した(測定波長:520nm)。
・C:150μM・DPPHエタノール溶液2mLと超純水2mLを混合し、30分反応後の吸光度を測定した(測定波長:520nm)。
【0063】
吸光度の測定には、分光光度計「UV−2550」(商品名:(株)島津製作所製)を用いた。そして下記(1)式によって、DPPHに対するラジカル消去力を求めた。
DPPH消去力={C−(A−B)}/C×100 …(1)
但し、A:分析試料溶液の吸光度
B:分析試料溶液のブランクの吸光度
C:コントロール溶液の吸光度
【0064】
実験No.1(セリシン溶液)のDPPH消去力の実測値を100に換算し、各試料との比較を行なった。つまり、セリシン溶液のみのDPPH消去力をE(実測値)として、下記(2)式により各実験(試料)におけるDPPH消去力を算出した。
各試料のDPPH消去力=〔{C−(A−B)}/C×100〕/E×100…(2)
【0065】
(DPPH消去力の評価基準)
◎:120以上
○:110以上、120未満
△:100以上、110未満
×:100未満
【0066】
(加熱処理工程における簡便性の評価)
下記表1に示した「加熱処理工程の簡便性」とは、化粧品の製造レベルにおいて、応用できるかどうかを示している。設備投資の必要性も判断材料に下記の基準で評価したものである。
【0067】
(簡便性の評価基準)
○:生産設備への投資が必要なく、工程も簡易であり、非常に簡便性が良い。
×:生産設備への投資等が必要であり、また、各工程の処理が複雑で、非常に簡便性が悪い。
【0068】
これらの結果を、下記表1に示す。
【0069】
【表1】

【0070】
この結果から、次のように考察できる。セリシン溶液に各種加熱処理を加えることによって、抗酸化力が向上することが分かる(実験No.2〜5)。但し、実際の化粧品の製造現場を考慮すると、オートクレーブを用いた高温高圧下での加熱処理を含む工程では、いずれも簡便性に欠けることになる(実験No.3〜5)。従って、セリシン溶液の抗酸化力向上効果と、製造工程の簡便性の両者を考慮すると、上記「加熱処理1」(実験No.2)が最も現実的である。
【0071】
[実施例2]
(セリシン溶液と紫外線吸収剤による抗酸化力向上効果の検討)
実施例1で得られた実験No.2のセリシン溶液(以下、「試料A」とする)を毛髪に塗布し、抗酸化力向上の検討を行なった。化学的処理(ヘアカラー処理やパーマネントウェーブ処理等)を施していない毛髪0.2gに試料A:0.2gを塗布し、下記表2の実験No.6に示す工程を実施した。また、実験No.6に示す室温乾燥を以下に示す。
【0072】
室温乾燥…室温(20℃)で24時間放置
【0073】
上記の加熱処理を含む工程を実施し、DPPH消去力を下記の方法によって測定すると共に、「加熱処理工程における簡便性」について実施例1と同様に評価した。その結果を、下記表2に示す。
【0074】
(DPPH−VIS法:毛髪を測定する場合)
実験No.6で得られた毛髪を以下の工程により測定した。
・G:処理毛髪と150μM・DPPHエタノール溶液2mLと超純水2mLを混合し、30分反応後の吸光度を測定した(測定波長:520nm)。
・H:処理毛髪と溶媒であるエタノール2mLと超純水2mLを混合し、30分反応後の吸光度を測定した(測定波長:520nm)。
・C:150μM・DPPHエタノール溶液2mLと超純水2mLを混合し、30分反応後の吸光度を測定した(測定波長:520nm)。
このとき吸光度の測定には、分光光度計「UV−2550」(商品名:(株)島津製作所製)を用いた。
【0075】
下記(3)式より、DPPHに対するラジカル消去力を求めた。
DPPH消去力={C−(G−H)}/C×100 …(3)
但し、G:試料溶液の吸光度
H:試料溶液のブランクの吸光度
C:コントロール溶液の吸光度
【0076】
実験No.1(セリシン溶液)のDPPH消去力の実測値を100に換算し、試料との比較を行なった。つまり、セリシン溶液のみのDPPH消去力をE(実測値)として、下記(4)式により実験(試料)におけるDPPH消去力を算出した。DPPH消去力の評価基準は上記と同じである。
試料のDPPH消去力=〔{C−(G−H)}/C×100〕/E×100…(4)
尚、未処理毛の抗酸化力(DPPH消去力)は70であった。
【0077】
【表2】

【0078】
この結果から、次のように考察できる。加熱処理を施したセリシン溶液を毛髪に塗布し、室温乾燥して使用することによって、毛髪に抗酸化力を付与できることが分かる。
【0079】
[実施例3]
(ブリーチ処理毛の作製)
化学的処理を全く受けていない毛髪に下記のブリーチ処理を施して処理毛を作製し、その毛髪について、下記表3に示すヘアスプレー用組成物(処方例1〜7)を用いて処理したときの毛髪の抗酸化力(DPPH消去力)を評価した。
【0080】
(ブリーチ処理)
トーナーブリーチパウダーEX(粉末ブリーチ剤:中野製薬株式会社製)とキャラデコオキサイドEX06(過酸化水素系酸化剤:中野製薬株式会社製)を1:3(質量比)となるように混合したブリーチ剤を、毛髪に質量比1:1の割合で塗布し、30℃、30分間の条件で処理した後、10質量%のSDS溶液(ドデシル硫酸ナトリウム溶液)によって洗浄し、その後、乾燥した。この工程を3回実施した試料を以下の実験に用いた。
【0081】
下記表3において、試料Bはパラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル[100質量%含有物:「ESCALOL 507」 ISPジャパン(株)製]、試料Cは(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)共重合体アミノメチルプロパノール[40質量%含有物:「プラスサイズ L−9453B」 互応化学工業(株)製]、試料Dは(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)共重合体[70質量%含有物:「プラスサイズ L−2700」 互応化学工業(株)製]である(後述する表4〜12においても同じ)。
【0082】
(DPPH−VIS法:毛髪を測定する場合)
下記表3に示す処方例1〜7の各試料0.2gを上記ブリーチ処理毛0.2gに塗布し、ドライヤーで乾燥後に実施例2と同様に毛髪の抗酸化力(DPPH消去力)を評価した。その結果を下記表3に併記する。
【0083】
【表3】

【0084】
この結果から明らかな様に、加熱処理を施したセリシン溶液(試料A)とパラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル(試料B)を配合したヘアスプレー用組成物(処方例3)を毛髪に塗布することによって、毛髪に抗酸化力を付与できることが分かる。これに対して、試料A、試料Bを配合しないヘアスプレー用組成物(処方例1)、試料Aのみ(処方例2)や、試料Bのみ(処方例4)を配合したヘアスプレー用組成物では、抗酸化力は有意に向上しなかった。また、試料Aとその他の紫外線吸収剤を組み合わせて配合したヘアスプレー用組成物(処方例5〜7)においても、抗酸化力は向上したが、試料Aと試料Bの組み合わせにおいて、最も抗酸化力が向上した。
【0085】
試料Aは毛髪内部で発生したフリーラジカルを消去する働きがあり、試料Bは毛髪表面で紫外線の照射量を減らす働きがある。そして、これらの相乗効果によって、抗酸化力の向上が認められた。また、試料Bと同様の紫外線吸収剤であるt−ブチルメトキシジベンゾイルメタンとヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸(三水塩)、オキシベンゾンに関してもある程度の効果は認められたが、試料Bが最も向上させる効果が顕著であった。
【0086】
[実施例4]
(セリシン溶液と紫外線吸収剤によるコンディションへの影響)
(コンディションの官能評価方法)
実施例2と同様にブリーチ処理を施した毛髪0.2gに、下記表4、5に示した各ヘアスプレー用組成物(処方例3、8〜17)を0.2g塗布し、室温で乾燥後に毛髪表面のコンディションを評価すると共に、毛髪の抗酸化力を実施例2と同様に評価した。コンディションを評価するに際し、毛髪表面のコンディション(ベタつき感、ゴワつき感、手触り感、指通り感、すべり感等の総合)を、専門のパネラー10名で以下の3段階(評価点:1〜3点)で官能評価し、その合計を求め下記の基準で評価した。その結果を下記表4、5に併記する。
【0087】
3点…処理前と比較し、明らかにコンディションが良くなった。
2点…処理前と比較し、コンディションが変わらなかった。
1点…処理前と比較し、コンディションが悪くなった。
【0088】
[コンディションの評価基準]
◎:26〜30点
○:21〜25点
△:16〜20点
×:10〜15点
【0089】
【表4】

【0090】
【表5】

【0091】
表4の結果から、試料Aと試料Bの質量比(純分配合比率)で1:20よりも試料Bが多くなると(処方例8)、十分な抗酸化力が得られず、2:1よりも試料Aが多くなると(処方例12)、良好なコンディションが得られないことが分かる。
【0092】
表5の結果から、試料Aと試料Bの合計(純分の総質量)で0.0055〜1.11質量%配合した場合(処方例3、14〜16)に、毛髪への抗酸化力付与効果が高く、且つ良好なコンディションを付与することができることが分かる。試料Aと試料Bの合計が少なすぎると抗酸化力付与効果が不十分であり(処方例13)、逆に多すぎると良好なコンディションが得られないことが分かる(処方例17)。
【0093】
[実施例5]
(樹脂によるカール保持力の検討)
実施例3と同様にブリーチ処理を施した毛髪0.2gに、下記表6〜9の各ヘアスプレー用組成物(処方例3、18〜42)を0.2g塗布し、ロッドに巻き付けた。その後、室温(20℃、湿度60%)で乾燥させ、ロッドを外し、カールを形成した毛髪のカール保持力を以下の方法により評価した。また毛髪の抗酸化力を実施例2と同様に評価すると共に、毛髪表面のコンディションを実施例4と同様にして評価した。
【0094】
下記表6、7において、試料Eは(アクリレール/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)共重合体アミノメチルプロパノール[40質量%含有物:「プラスサイズ L−9909B」 互応化学工業(株)製]であり、試料Fはアクリル酸アルキル共重合体アミノメチルプロパノール[40質量%含有物:「プラスサイズ L−8011」 互応化学工業(株)製]であり、試料Gは(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)共重合体アミノメチルジプロパノール[40質量%含有物:「プラスサイズ L−1260」 互応化学工業(株)製]である。
【0095】
(カール保持力の評価方法)
上記処理毛髪を温度20℃、湿度60%で30分間放置した後、その自然長を比較することによって、カール保持力について評価した。このとき、カール形成直後の長さ(自然長:吊した状態での長さ)を100%とし、30分間放置後の自然長が長くなるにつれて、カール保持力が低くなると評価できるものである。このときの評価基準は下記の通りである。
【0096】
[カール保持力の評価基準]
◎:100%以上、110%未満
○:110%以上、120%未満
△:120%以上、130%未満
×:130%以上
【0097】
その結果を、表6〜9に併記する。
【0098】
【表6】

【0099】
【表7】

【0100】
【表8】

【0101】
【表9】

【0102】
表6から次の様に考察できる。試料C、試料E、試料Fおよび試料Gを夫々単独で配合した場合(処方例19、21〜23)には、良好なコンディションが得られず、試料Dを単独で配合した場合(処方例20)、十分なカール保持力が得られないことが分かる。
【0103】
表7から明らかなように、試料Cと試料Dを配合した場合(処方例3)、十分なカール保持力と良好なコンディションが得られ、その他のアクリル樹脂を組み合わせて配合した場合(処方例24〜32)、毛髪を触診することによる評価の結果、樹脂によるゴワつき感やきしみ感を生じ、良好なコンディションが得られないことが多く、カール保持力が不足することもあることが分かる。
【0104】
また表8の結果から、試料Cと試料Dの質量比(純分配合比率)が1:20よりも試料Dが多いとベタつきが生じ(処方例33)、5:1よりも試料Cが多いとゴワつきやきしみが生じ(処方例37)、どちらも良好なコンディションが得られないことが分かる。
【0105】
表9の結果から、試料Cと試料Dの合計(純分の総質量)が2.0質量%未満の場合(処方例38)、十分なカール保持力が得られず、15質量%を超える場合(処方例42)、ゴワつき感やきしみ感を生じ、良好なコンディションが得られないことが分かる。
【0106】
[実施例6]
(パーマ特異臭、カラー刺激臭の抑制)
下記に示す方法により、プラチナ結合加水分解蛋白質によるパーマ特異臭、カラー刺激臭の抑制能について評価した。また、その際の毛髪表面のコンディションを実施例3と同様にして評価した。尚、プラチナ結合加水分解蛋白質としては、「プラチナケラチン」[(株)ジョーゼン製:20質量%含有物]を用いた(下記表10)。この「プラチナケラチン」は、ナノ粒子のプラチナ(配合濃度50ppm)の周りに低濃度のケラチン(配合量20%)が局在し、毛髪への浸透性が非常に高い成分である。
【0107】
(パーマ特異臭抑制能の評価方法)
化学的処理を施していない毛髪(0.2g)を直径12mmのロッドに巻き付けて、輪ゴムで固定した。カールエックス チオポジットノーマル第1剤(チオグリコール酸系還元剤:中野製薬株式会社製)に30秒間塗布(浴比1:1)し、その溶液から取り出した後、30℃で15分間放置した。その後、十分に水洗した後、カールエックス チオポジットノーマル第2剤(臭素酸系酸化剤:中野製薬株式会社製)に30秒間塗布(浴比1:1)し、その溶液から取り出し、30℃で10分間放置した。引き続き、水洗し、ロッドから毛髪を外し、乾燥後、下記表10の各ヘアスプレー用組成物(処方例3、43〜46)を0.2g塗布し、臭気箱に処理した毛髪を入れ、特異臭を測定し、パーマ特異臭抑制能の評価を実施した。特異臭測定に際しては、(株)ガステック製の検知管(GASTEC 気体検知管H2S用)を使用し、下記の基準で評価した。
【0108】
[評価基準]
◎:検知管の値が0.5未満
○:検知管の値が0.5以上、1.0未満
△:検知管の値が1.0以上、2.0未満
×:検知管の値が2.0以上
【0109】
また、パーマ特異臭抑制能については、専門のパネラー10名により下記の評価基準でも判断した(パネラー評価)。
[パネラーによるパーマ特異臭抑制能]
3点…特異臭を感じなかった。
2点…特異臭を少し感じた。
1点…特異臭を感じた。
【0110】
[パーマ特異臭抑制能の評価基準]
◎:26〜30点
○:21〜25点
△:16〜20点
×:10〜15点
【0111】
(カラー刺激臭抑制能の評価結果)
キャラデコ TN−UP−High(クリーム状脱色剤:中野製薬株式会社製)とキャラデコ オキサイド 06(過酸化水素系酸化剤:中野製薬株式会社製)を1:3(質量比)となるように混合したブリーチ剤を、化学的処理を施していない毛髪に質量比1:1の割合で塗布し、30℃、30分間の条件で処理した後、10質量%のSDS溶液(ドデシル硫酸ナトリウム溶液)によって洗浄し、乾燥した処理毛髪0.2gに下記表10の各ヘアスプレー用組成物(処方例3、43〜46)を0.2g塗布し、臭気箱に入れ、刺激臭を測定し、カラー刺激臭抑制能の評価を実施した。刺激臭測定に際しては、(株)ガステック製の検知管(GASTEC 気体検知管、NH3用)を使用し、下記の基準で評価した。
【0112】
[評価基準]
◎:検知管の値が5未満
○:検知管の値が5以上、10未満
△:検知管の値が10以上、20未満
×:検知管の値が20以上
【0113】
また、カラー刺激臭抑制能についても、専門のパネラー10名により下記の評価基準でも判断した(パネラー評価)。
[パネラーによるカラー刺激臭抑制能]
3点…刺激臭を感じなかった。
2点…刺激臭を少し感じた。
1点…刺激臭を感じた。
【0114】
[カラー刺激臭抑制能の評価基準]
◎:26〜30点
○:21〜25点
△:16〜20点
×:10〜15点
【0115】
その結果を、表10に併記する。
【0116】
【表10】

【0117】
表10から次のように考察できる。プラチナケラチンを0.0005〜5.0質量%[純分換算濃度:0.0001〜1.0質量%]配合した場合(処方例43〜45)、パーマ特異臭およびカラー刺激臭が抑制できて、且つ良好なコンディションが得られることが分かる。これに対し、プラチナケラチンを配合しない場合(処方例3)は、パーマ特異臭およびカラー刺激臭が十分に抑制できず、配合量が多い場合(処方例46)は、ベタつきが生じ、良好なコンディションが得られない傾向にある。
【0118】
[実施例7]
ヘアスプレー用組成物が持つ過酸化水素消去力に関する影響を調査した。上記実施例6のカラー処理により得られた毛束0.2gに、処方例3および処方例44のヘアスプレー用組成物を0.2g塗布し、30分後に10質量%のSDS溶液にて洗浄した後、水洗、乾燥するという工程を1工程(1日相当分)とし、下記測定を実施した。
【0119】
(過酸化水素測定方法)
1工程(1日相当分)毎に毛髪を100mLのイオン交換水に1時間浸漬させ、その浸漬溶液に1.0gヨウ化カリウムを加え、密栓し、暗所に30分放置した。その後、デンプン溶液3mLを添加し、0.1N−Na2SO3で透明になるまで滴定した。
a:0.1N−Na2SO3の滴定量(mL)
f:0.1N−Na2SO3のファクター
M:過酸化水素の分子量
過酸化水素濃度(ppm)=[(M×a×f)/0.2]×100
X:カラー処理直後の毛髪の過酸化水素濃度(ppm)
Y:各ヘアスプレー用組成物を処理した毛髪の過酸化水素濃度(ppm)
過酸化水素残存率(%)=Y/X×100
【0120】
[過酸化水素消去力の評価基準]
◎:7工程(7日相当分)までに、過酸化水素を全て消去できた。
×:7工程(7日相当分)までに、過酸化水素を全て消去できなかった。
【0121】
その結果を、下記表11に示すが、プラチナケラチンを0.005質量%[純分換算濃度:0.001質量%]配合した場合(処方例44)、過酸化水素消去力が発揮できていることが分かる。
【0122】
【表11】

【0123】
[実施例8]
(ツヤ感とコンディションの向上)
実施例3と同様にブリーチ処理を施した毛髪0.2gに、下記表12、13の各ヘアスプレー用組成物(処方例44、47〜59)を0.2g塗布し、室温(20℃)で乾燥し、下記の方法により毛髪のツヤ感を評価した。その際の毛髪表面のコンディションを実施例2と同様にして評価した。
【0124】
下記表12、13において、試料Hは2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/メタクリル酸ブチル共重合体[5質量%含有物:「Lipidure−PMB(Ph10)」日油(株)製]であり、試料Iは(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ステアリルメタクリレート)共重合体[1質量%含有物:「Lipidure−NA」日油(株)製]である。
【0125】
(毛髪表面のツヤ感の評価方法)
上記の方法により処理した毛髪のツヤ感を、専門のパネラー10名により、以下の3段階(評価点:1〜3点)で評価し、その合計を求め下記の評価基準で評価した。
3点…処理前と比較し、明らかにツヤ感がでた。
2点…処理前と比較し、少しツヤ感がでた。
1点…処理前と比較し、ツヤ感が変らなかった。
【0126】
[ツヤ感の評価基準]
◎:26〜30点
○:21〜25点
△:16〜20点
×:10〜15点
【0127】
その結果を、表12、13に併記する。
【0128】
【表12】

【0129】
【表13】

【0130】
これらの結果から、次のように考察できる。表12から、試料Hと試料Iの質量比(純分配合比率)が、1:1〜5:1(処方例49〜52)の範囲において、ツヤ感とコンディションが良好になっていることが分かる。また表13から、試料Hと試料Iの合計(純分の総質量)が0.002〜0.2質量%の範囲(処方例49、56〜58)において、ツヤ感とコンディションが向上していることが分かる。
【0131】
[実施例9]
上記実施例に示したヘアスプレー用組成物は、ヘアスプレー用組成物の原液そのものであるが、このヘアスプレー用組成物に噴射剤を配合することによってエアゾール状にした場合に、その配合割合が噴射適性に与える影響について調査した。このとき、ヘアスプレー用組成物の処方例として前記表12に示した処方例49を用いて、ヘアスプレー用組成物(原液):ガス(DME、LPG)の配合割合を変え、毛髪をセットし、下記の方法によって、スプレーの噴射適性(適度な噴霧状態の有無)を評価した。
【0132】
(スプレーの噴射適性に関する評価方法)
上記実施例3と同様にブリーチ処理を施した毛髪に、パーマスタイルをセットし、各ヘアスプレー用組成物の噴射適性を専門のパネラー10名により、下記に示す3段階(評価点:1〜3点)で評価し、その合計点によって下記の基準で評価した。
3点…カールをしっかりと包み込み、ほどよい噴霧状態であった。
2点…カールを包み込むが、ややスタイルが崩れてしまう噴霧状態であった。
1点…カールを包み込むことができず、スタイルが崩れてしまう噴霧状態であった。
【0133】
[スプレーの噴射適性の評価基準]
◎:26〜30点
○:21〜25点
△:16〜20点
×:10〜15点
【0134】
その結果を、用いた各ヘアスプレー用組成物と共に下記表14(処方例60〜70)に示すが、これらの結果から、次のように考察できる。まず、ガスの配合量が少なくなると、噴射力が不足し、原液を拡散して噴霧することができないことが分かる(処方例60)。また、DMEの配合割合が多くなると、噴射力が強くなり過ぎ、作ったパーマスタイルを崩してしまう結果となった(処方例68)。これに対して、原液:ガスの配合割合が、90:10〜10:90の範囲(処方例61〜67)において、好ましくは60:40〜20:80の範囲(処方例62〜66)において、更に好ましくは50:50〜30:70の範囲(処方例63〜65、69、70)において、良好な噴射適性が得られていることが分かる。
【0135】
【表14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともセリシンまたは溶液中において加熱処理を施したセリシンと、紫外線吸収剤を配合したものであることを特徴とするヘアスプレー用組成物。
【請求項2】
前記溶液中において加熱処理を施したセリシンと、紫外線吸収剤の配合比が1:20〜2:1(質量割合)である請求項1に記載のヘアスプレー用組成物。
【請求項3】
前記溶液中において加熱処理を施したセリシンの配合量と、紫外線吸収剤の配合量の合計が、ヘアスプレー用組成物全体に占める割合で0.0055〜1.11質量%である請求項1または2に記載のヘアスプレー用組成物。
【請求項4】
更に、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)共重合体アミノメチルプロパノールと、(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)共重合体を配合したものである請求項1〜3のいずれかに記載のヘアスプレー用組成物。
【請求項5】
前記(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)共重合体アミノメチルプロパノールと、(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)共重合体の配合比が、1:20〜5:1(質量割合)である請求項4に記載のヘアスプレー用組成物。
【請求項6】
前記(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)共重合体アミノメチルプロパノールと、(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)共重合体の合計配合量が、ヘアスプレー用組成物に占める割合で2.0〜15.0質量%である請求項4または5に記載のヘアスプレー用組成物。
【請求項7】
更に、プラチナと結合した加水分解蛋白質を配合したものである請求項1〜6のいずれかに記載のヘアスプレー用組成物。
【請求項8】
前記プラチナと結合した加水分解蛋白質の配合量が、ヘアスプレー用組成物全体に占める割合で0.0001〜1.0質量%である請求項7に記載のヘアスプレー用組成物。
【請求項9】
更に、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/メタクリル酸ブチル共重合体と、(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ステアリルメタクリレート)共重合体を配合したものである請求項1〜8のいずれかに記載のヘアスプレー用組成物。
【請求項10】
前記2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/メタクリル酸ブチル共重合体と、(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ステアリルメタクリレート)共重合体の配合比が、1:1〜5:1(質量割合)である請求項9に記載のヘアスプレー用組成物。
【請求項11】
前記2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/メタクリル酸ブチル共重合体と、(2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ステアリルメタクリレート)共重合体の合計配合量が、ヘアスプレー用組成物全体に占める割合で0.002〜0.2質量%である請求項9または10に記載のヘアスプレー用組成物。
【請求項12】
パーマスタイルを維持するために用いるものである請求項1〜11のいずれかに記載のヘアスプレー用組成物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載のヘアスプレー用組成物に、噴射剤として液化石油ガスおよび/またはジメチルエーテルを配合したもので、前記噴射剤の配合割合が、ヘアスプレー用組成物全体に対して占める割合で10〜90質量%であることを特徴とするエアゾール式のヘアスプレー用組成物。


【公開番号】特開2012−56848(P2012−56848A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198331(P2010−198331)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000213482)中野製薬株式会社 (57)
【Fターム(参考)】