説明

ヘアトリートメント組成物

【課題】傷んだ毛髪の治療及び回復の目的で毛髪に塗布(application)するのに適している、特定の組合せの有効物質を含むヘアトリートメント組成物を提供する
【解決手段】(i)トレハロース、セロビオースまたはそれらの混合物から選択された0.2から3重量%の二糖と(ii)式:HOOC−(CH2)n−COOH[式中のnは2−8の整数である]を有する二酸と(iii)グアニジニウム塩とを含むpH3〜5のヘアトリートメント組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘアトリートメント組成物に関する。より特定的には本発明は、特定の組合せの有効物質を含むヘアトリートメント組成物に関する。この組成物は特に、傷んだ毛髪の治療及び回復の目的で毛髪に塗布(application)するのに適している。
【背景技術】
【0002】
毛髪は、紫外線及び塩素との接触、漂白剤及びパーマネント剤のような化学物質の影響、刺激の強い界面活性剤基剤の洗浄用シャンプー組成物による過度に頻繁な洗髪、高温のスタイリング器具の長時間使用のような機械的影響、などの多くの原因によって損傷を受ける。
【0003】
毛髪の損傷は典型的には、毛髪繊維からクチクラ及びタンパク質が失われ、毛髪繊維が脆く切れ易くなり、毛先のささくれまたは枝毛が生じることによって示される。
【0004】
消費者は更に、自身の毛髪が扱い易くなることを望んでいる。即ち、毛髪をスタイリングした後、高湿度のような一連の不利な環境条件でも髪型が長時間維持されることを望んでいる。
【0005】
国際特許WO97/14401(Kao Corporation)は、皮膚及び毛髪の手入れ組成物に使用される広範囲の有機酸を記載している。
【0006】
ケラチン様組織を保護するために糖及び植物エキスを使用することは、国際特許WO01/68040(L′Oreal)に開示されている。国際特許WO01/01948に開示されているように皮膚の弾力性を改善し及び/または老化を防止するためにトレハロースが使用されてきた。
【0007】
本発明はここに、いくつかの特定の組合せで糖と酸とを含む組成物が、毛髪の主要な損傷症状を治療及び予防するために有効であり、また、これらの組合せは更に毛髪をより扱い易くするために役立つという利点も有することを知見した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第97/14401号
【特許文献2】国際公開第01/68040号
【特許文献3】国際公開第01/01948号
【発明の概要】
【0009】
第一の目的によれば、本発明は、(i)0.05−49重量%の二糖と(ii)二酸とを含むヘアトリートメント組成物を提供する。
【0010】
本発明の別の目的は、毛髪を滑らかにするため、毛髪を整えるため、及び、毛髪の傷みを防ぐために上記の組成物を使用することである。
【0011】
本発明はまた、上記の組成物を毛髪に塗布することによって毛髪をトリートメントする方法に関する。
【0012】
二糖
本発明は本発明の必須要素として二糖を含む。好ましくは二糖がペントース糖またはヘキソース糖を含み、より好ましくは二糖が2つのヘキソース単位を含む。
【0013】
二糖は還元性糖または非還元性糖のいずれでもよい。非還元性糖が好ましい。
【0014】
糖のD(+)形が好ましい。トレハロース、セロビオースまたはそれらの混合物が特に好ましい。トレハロースが最も好ましい二糖である。
【0015】
全配合物中に存在する二糖のレベルは、0.05−49重量%、より好ましくは0.2−3重量%、最も好ましくは0.5−2重量%である。
【0016】
二酸
本発明の組成物中には二酸が存在する。特に適当な二酸は、式:
HOOC−(CH−COOH
を有しており、式中のnは2−8の整数であり、より好ましくはnが2または4に等しい(それぞれ、コハク酸及びアジピン酸)。
【0017】
有機酸は全配合物中で0.01−5重量%、より好ましくは0.1−2重量%のレベルで使用されるのが最良である。
【0018】
二酸対二糖の重量比は1:10−20:1、より好ましくは1:5−5:1である。
【0019】
更に、酸は二酸:二糖のモル比が0.1:1から10:1までの範囲、好ましくは0.1:1から2:1までの範囲で使用されるのが最良である。
【0020】
本発明の配合物のpHはpH3−pH6の範囲であり、より好ましくはpH3−5で使用される。
【0021】
グアニジニウム塩
場合によってはグアニジニウム塩が存在する。例えば、炭酸グアニジニウム、硫酸グアニジニウム及びリン酸グアニジニウムが存在する。炭酸グアニジニウムが特に好ましい。グアニジニウム塩は全配合物の0.01−5重量%、より好ましくは0.1−2重量%のレベルで使用されるのが最良である。
【0022】
グアニジニウム塩対二糖の好ましい重量比は1:10から4:1まで、より好ましくは2:1から1:2までの範囲である。
【0023】
更に、グアニジニウム塩:二糖の好ましいモル比は0.1:1から10:1まで、より好ましくは0.1:1から2:1までの範囲である。
【0024】
製品形態
本発明のヘアトリートメント組成物の最終製品形態は例えば、シャンプー、コンディショナー、スプレー、ムース、ジェル、ワックスまたはローションが適当であろう。特に好ましい製品形態は、シャンプー、洗髪後コンディショナー(リーブイン型及びリンスオフ型)、並びに、ヘアエッセンスのようなヘアトリートメント製品である。
【0025】
シャンプー組成物は好ましくは、化粧品に許容されかつ毛髪に外用塗布するために適当な1種類または複数の洗浄用界面活性剤を含んでいる。また別の界面活性剤が乳化剤として存在してもよい。
【0026】
適当な洗浄用界面活性剤は、アニオン性、両性及び双イオン性の界面活性剤及びそれらの混合物から選択される。洗浄用界面活性剤は乳化剤と同じ界面活性剤でもよくまたは異なる界面活性剤でもよい。
【0027】
アニオン性洗浄用界面活性剤
本発明のシャンプー組成物は典型的には、化粧品に許容されかつ毛髪に外用塗布するために適当な1種類または複数のアニオン性洗浄用界面活性剤を含んでいる。
【0028】
適当なアニオン性洗浄用界面活性剤の例は、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルカリールスルホネート、アルカノイルイセチオネート、アルキルスクシネート、アルキルスルホスクシネート、N−アルキルサルコシネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、及び、アルファ−オレフィンスルホネート、特に、それらのナトリウム、マグネシウム、アンモニウム、並びに、モノ−、ジ−及びトリエタノールアミン塩である。アルキル基及びアシル基は一般に8−18個の炭素原子を含有しており、不飽和でもよい。アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルホスフェート及びアルキルエーテルカルボキシレートは1分子あたり1−10個のエチレンオキシド単位またはプロピレンオキシド単位を含有し得る。
【0029】
本発明のシャンプー組成物に使用するための典型的なアニオン性洗浄用界面活性剤は、オレイルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウリルイセチオン酸ナトリウム及びN−ラウリルサルコシン酸ナトリウムなどである。最も好ましいアニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(n)EO(ここにnは1−3の範囲)、ラウリル硫酸アンモニウム及びラウリルエーテル硫酸アンモニウム(n)EO(ここにnは1−3の範囲)である。
【0030】
本発明のシャンプー組成物中のアニオン性洗浄用界面活性剤の総量は一般に5−30重量%、好ましくは6−20重量%、より好ましくは8−16重量%である。
【0031】
補助界面活性剤
シャンプー組成物は場合によっては、好ましくは両性または双イオン性の界面活性剤を補助界面活性剤として含有し得る。該補助界面活性剤は0−約8重量%、好ましくは1−4重量%の量で含有され得る。
【0032】
両性及び双イオン性の界面活性剤の例は、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン(スルタイン)、アルキルグリシネート、アルキルカルボキシグリシネート、アルキルアムホプロピオネート、アルキルアムホグリシネート、アルキルアミドプロピルヒドロキシスルタイン、アシルタウレート及びアシルグルタメートであり、これらに含まれるアルキル基及びアシル基は8−19個の炭素原子を有している。本発明のシャンプーに使用するための典型的な両性及び双イオン性の界面活性剤は、ラウリルアミンオキシド、ココジメチルスルホプロピルベタイン、好ましくはラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン及びコカムホプロピオン酸ナトリウム、などである。
【0033】
別の好ましい補助界面活性剤は、非イオン性界面活性剤であり、これらは0−8重量%、好ましくは2−5重量%の範囲の量で含有され得る。
【0034】
例えば、本発明のシャンプー組成物に含有させ得る代表的な非イオン性界面活性剤は、脂肪族(C−C18)の第一級または第二級の直鎖状または分枝状のアルコールまたはフェノールと、アルキレンオキシド、通常はエチレンオキシドとの縮合物であり、通常は6−30個のエチレンオキシド基を有している。
【0035】
本発明のシャンプー組成物に含有させ得る別の非イオン性界面活性剤はアルキルポリグリコシド(APG)類である。典型的には、APGは、1つまたは複数のグリコシル基のブロックに(場合によっては架橋基を介して)結合されたアルキル基を含むものである。好ましいAPGは以下の式:
RO−(G)
によって表され、式中のRは分枝状または直鎖状のC−C20のアルキルまたはアルケニル基であり、Gは糖基であり、nは1−10である。
【0036】
本発明のシャンプー組成物に含有させ得る別の糖由来の非イオン性界面活性剤としては、例えば国際特許WO92 06154及び米国特許US 5 194 639に記載されたC12−C18のN−メチルグルカミドのようなC10−C18のN−アルキル(C−C)ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、及び、C10−C18のN−(3−メトキシプロピル)グルカミドのようなN−アルコキシポリヒドロキシ脂肪酸アミドがある。
【0037】
シャンプー組成物はまた場合によっては、1種または複数のカチオン性補助界面活性剤を含むことができ、これらは、0.01−10重量%、より好ましくは0.05−5重量%、最も好ましくは0.05−2重量%の範囲の量で含有され得る。有用なカチオン性界面活性剤についてはコンディショナー組成物に関する項で後述する。
【0038】
本発明のシャンプー組成物中の界面活性剤の総量(補助界面活性剤及び/または乳化剤が存在する場合にはそれらも含める)は一般には5−50重量%、好ましくは5−30重量%、より好ましくは10−25重量%である。
【0039】
カチオン性ポリマー
カチオン性ポリマーも存在し得る。カチオン性ポリマーはホモポリマーでもよくまたは2種類以上のモノマーから形成されてもよい。ポリマーの分子量は、一般には5,000−10,000,000の範囲、典型的には少なくとも10,000、好ましくは100,000−約2,000,000の範囲であろう。ポリマーは、第四アンモニウムまたはプロトン付加アミノ基またはそれらの混合物のようなカチオン性窒素含有基を有するであろう。
【0040】
適当なカチオン性窒素含有ポリマーはCTFA Cosmetic Ingredient Directory, 3rd editionに記載されている。
【0041】
カチオン性コンディショニングポリマーは、アミン−及び/または第四アンモニウム−置換モノマー及び/または相溶性スペーサーモノマーに由来のモノマー単位の混合物を含み得る。
【0042】
適当なカチオン性コンディショニングポリマーとしては、1−ビニル−2−ピロリジンと1−ビニル−3−メチル−イミダゾリウム塩とのコポリマー(CTFA名称はポリクオタニウム−16);1−ビニル−2−ピロリジンとジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー(CTFA名称はポリクオタニウム−11);カチオン性ジアリル第四アンモニウム含有ポリマー(特に、CTFA名称でポリクオタニウム−6及びポリクオタニウム−7);米国特許第4,009,256号に記載されているような不飽和カルボン酸のホモ−及びコ−ポリマーのアミノ−アルキルエステルの無機酸塩;カチオン性ポリアクリルアミド(例えば国際特許WO95/22311に記載されたもの)がある。
【0043】
本発明の組成物に使用するための適当なカチオン性多糖ポリマーとしては、デンプンまたはセルロースのような無水グルコース残基をもつポリマーがある。カチオン性セルロースは、Amerchol Corp.(Edison,NJ.USA)からPolymer JR(商標)及びLR(商標)のポリマーシリーズで、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの塩として入手可能であり、これは業界(CTFA)でポリクオタニウム10と呼ばれている。別の種類のカチオン性セルロースは、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの高分子第四アンモニウム塩であり、これは業界(CTFA)でポリクオタニウム24と呼ばれている。これらの材料は、Amerchol Corp.(Edison,NJ,USA)から商品名Polymer LM−200として入手可能である。
【0044】
その他の適当なカチオン性多糖ポリマーとしては、第四窒素含有セルロースエーテル(例えば、米国特許第3,962,418号に記載されているもの)、及び、エーテル化セルロースとデンプンとのコポリマー(例えば、米国特許第3,958,581号に記載されているもの)がある。
【0045】
使用できる特に適当な種類のカチオン性多糖ポリマーは、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド(Rhone−PoulencからJAGUAR商標シリーズ市販されている)のようなカチオン性グアーガム誘導体である。特に好ましいカチオン性ポリマーは、JAGUAR C13S、JAGUAR C14、JAGUAR C15、JAGUAR C17及びJAGUAR C16 Jaguar CHT及びJAGUAR C162である。
【0046】
カチオン性コンディショニングポリマーは、一般には0.01−5重量%、好ましくは0.05−1重量%、より好ましくは0.08−0.5重量%のレベルで本発明の組成物中に存在するであろう。
【0047】
コンディショニング用界面活性剤
コンディショナー組成物は通常は、化粧品に許容されかつ毛髪に外用塗布するために適当な1種類または複数のコンディショニング界面活性剤を含んでいる。
【0048】
適当なコンディショニング界面活性剤はカチオン性界面活性剤から選択され、単独で使用されるかまたは混用される。
【0049】
本発明の組成物に有用なカチオン性界面活性剤は、本発明の水性組成物に溶解したときに正電荷を帯びるアミノまたは第四アンモニウム親水性部分を含有している。
【0050】
適当なカチオン性界面活性剤の例は一般式:
[N(R)(R)(R)(R)](X)
で表され、式中の、R、R、R及びRは独立に、(a)炭素原子数1−22の脂肪族基、または、(b)22個以下の炭素原子を有している芳香族、アルコキシ、ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリールまたはアルキルアリール基から選択され、Xは、ハロゲン(例えば、塩素、臭素)、アセテート、シトレート、ラクテート、グリコレート、ホスフェート、ニトレート、スルフェート及びアルキルスルフェートラジカルから選択されるような塩形成アニオンである。
【0051】
脂肪族基は、炭素原子及び水素原子に加えて、エーテル結合、及び、アミノ基のような別の基を含有できる。より長い鎖長の脂肪族基、例えば炭素数約12またはそれ以上の基は飽和でも不飽和でもよい。
【0052】
本発明のコンディショナー組成物に最も好ましいカチオン性界面活性剤は、C16−C22のアルキル鎖長を有しているモノアルキル第四アンモニウム化合物である。
【0053】
適当なカチオン性界面活性剤の例は、第四アンモニウム化合物、特にトリメチル第四化合物である。
【0054】
好ましい第四アンモニウム化合物としては、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(BTAC)、セチルピリジニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、タロウトリメチルアンモニウムクロリド、ココトリメチルアンモニウムクロリド、PEG−2オレイルアンモニウムクロリド、及び、クロリドがハロゲン(例えば、ブロミド)、アセテート、シトレート、ラクテート、グリコレート、ホスフェート、ニトレート、スルフェートまたはアルキルスルフェートによって置換されたこれらの塩がある。別の適当なカチオン性界面活性剤としては、CTFA名称でクオタニウム−5、クオタニウム−31及びクオタニウム−18と呼ばれている材料がある。上記材料のいずれかの混合物も適当であろう。本発明のヘアコンディショナーに使用するための特に有用なカチオン性界面活性剤は、例えば、GENAMIN CTACとしてHoechst Celaneseから市販されているようなセチルトリメチルアンモニウムクロリドである。
【0055】
第一級、第二級及び第三級の脂肪アミンの塩もまた適当なカチオン性界面活性剤である。このようなアミンのアルキル基は好ましくは12−22個の炭素原子を有しており、置換または未置換でよい。
【0056】
アミド置換第三級脂肪アミン、特にC12−C22の1つのアルキル鎖またはアルケニル鎖を有している第三級アミンが特に有用である。本発明に有用なこのようなアミンとしては、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、ステアラミドエチルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジエチルアミン、パルミタミドエチルジエチルアミン、パルミタミドエチルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジメチルアミン、アラキダミドプロピルジメチルアミン、アラキダミドプロピルジエチルアミン、アラキダミドエチルジエチルアミン、アラキダミドエチルジメチルアミン、ジエチルアミドエチルステアラミドがある。
【0057】
また、ジメチルステアラミン、ジメチルソイアミン、ソイアミン、ミリスチルアミン、トリデシルアミン、エチルステアリルアミン、N−タロウプロパンジアミン、(5モルのエチレンオキシドで)エトキシル化したステアリルアミン、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、及び、アラキジルベヘニルアミンも有用である。
【0058】
これらのアミンは典型的には、カチオン種を提供するために酸と組合せて使用される。本発明に有用な好ましい酸は、L−グルタミン酸、乳酸、塩酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、L−グルタミン塩酸塩及びそれらの混合物であり、L−グルタミン酸、乳酸、クエン酸がより好ましい。本発明に有用なカチオン性アミン界面活性剤に包含される界面活性剤は1981年6月23日付けで許諾されたNachtigalらの米国特許第4,275,055号に開示されている。
【0059】
プロトン付加可能なアミンと酸から遊離するHとのモル比は好ましくは約1:0.3から1:1.2まで、より好ましくは約1:0.5から約1:1.1までの範囲である。
【0060】
本発明のコンディショナー中で、カチオン性界面活性剤のレベルは好ましくは全組成物の0.01−10重量%、より好ましくは0.05−5重量%、最も好ましくは0.1−2重量%である。
【0061】
この項で詳細に記載したカチオン性界面活性剤はまた、カチオン性界面活性剤を熱互変性メソ生成(mesogenic)材料及び油性コンディショニング材料と均質混合した後でコンディショニング材料を最終ヘアコンディショニング組成物に混和する本発明の方法に使用するのに適している。
【0062】
脂肪質材料
本発明のコンディショナー組成物は好ましくは更に脂肪質材料を含む。コンディショニング組成物中で脂肪質材料とカチオン性界面活性剤とを併用するのが特に有利であると考えられる。その理由は、このような組合せによって、カチオン性界面活性剤を分散させている構造化相が形成されるからである。
【0063】
“脂肪質材料”という用語は、脂肪アルコール、アルコキシル化脂肪アルコール、脂肪酸またはそれらの混合物を意味する。
【0064】
好ましくは、脂肪質材料のアルキル鎖が完全に飽和している。
【0065】
代表的な脂肪質材料は8−22個、より好ましくは16−22個の炭素原子を含んでいる。適当な脂肪アルコールの例は、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びそれらの混合物である。これらの材料の使用はまた、本発明の組成物の総合的コンディショニング特性に寄与するという利点も与える。
【0066】
脂肪アルコール自体に代替または付加して、アルキル鎖に約12−約16個の炭素原子を有しているアルコキシル化(例えば、エトキシル化またはプロポキシル化)脂肪アルコールを使用できる。好適例は、エチレングリコールセチルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(4)セチルエーテル及びそれらの混合物である。
【0067】
本発明のコンディショナー中の脂肪アルコール材料のレベルは、適正には0.01−15重量%、好ましくは0.1−10重量%、より好ましくは0.1−5重量%である。カチオン性界面活性剤対脂肪アルコールの重量比は、適正には10:1−1:10、好ましくは4:1−1:8、最適には1:1−1:7、例えば1:3である。
【0068】
懸濁化剤
好ましい実施態様では、ヘアトリートメント組成物が、特にシャンプー組成物である場合には、更に0.1−5重量%の懸濁化剤を含んでいる。適当な懸濁化剤は、ポリアクリル酸、アクリル酸の架橋ポリマー、アクリル酸と疎水性モノマーとのコポリマー、カルボン酸含有モノマーとアクリルエステルとのコポリマー、アクリル酸とアクリレートエステルとの架橋コポリマー、ヘテロ多糖ガム、及び、結晶質長鎖アシル誘導体から選択される。長鎖アシル誘導体は、エチレングリコールステアレート、16−22個の炭素原子を有している脂肪酸のアルカノールアミド及びそれらの混合物から選択されるのが望ましい。エチレングリコールジステアレート及びポリエチレングリコール3ジステアレートが好ましい長鎖アシル誘導体である。ポリアクリル酸は、Carbopol 420、Carbopol 488またはCarbopol 493として市販されている。多官能剤で架橋されたアクリル酸のポリマーを使用してもよい。これらはCarbopol 910、Carbopol 934、Carbopol 941及びCarbopol 980として市販されている。カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステルとのコポリマーの好適例の1つはCarbopol 1342である。Carbopol(商標)材料はいずれもGoodrichから入手できる。
【0069】
アクリル酸とアクリレートエステルとの架橋ポリマーの好適例はPemulen TR1またはPemulen TR2である。適当なヘテロ多糖ガムはキサンタンガムであり、例えばKelzan muとして入手できる。
【0070】
コンディショニング剤
シリコーンコンディショニング剤
本発明の組成物は、例えばコンディショニング性能を強化するためにシリコーンコンディショニング剤の乳化液滴を含有し得る。
【0071】
適当なシリコーンとしてはポリジオルガノシロキサン、より特定的には、CTFA名称でジメチコーンと呼ばれているポリジメチルシロキサンがある。また、CTFA名称でジメチコノールと呼ばれているヒドロキシル末端基をもつポリジメチルシロキサンも本発明の組成物(特にシャンプー及びコンディショナー)に使用するのに適している。例えば国際特許WO96/31188に記載されているような軽度に架橋したシリコーンガムも本発明の組成物に使用するのに適している。
【0072】
乳化シリコーン自体(エマルジョンでもなくまたは最終ヘアコンディショニング組成物でもない)の粘度は典型的には25℃で少なくとも10,000cstである。シリコーン自体の粘度は、好ましくは少なくとも60,000cst、最も好ましくは少なくとも500,000cst、理想的には少なくとも1,000,000cstである。配合が容易であるためには粘度が10cstを超過しないのが好ましい。
【0073】
本発明のシャンプー組成物に使用するための乳化シリコーンは組成物中で、典型的には30μm未満、好ましくは20μm未満、より好ましくは10μm未満、理想的には0.01−1μmの平均シリコーン液滴サイズを有しているであろう。0.15μm以下の平均シリコーン液滴サイズを有しているシリコーンエマルジョンを一般にマイクロエマルジョンと呼ぶ。
【0074】
適当なプレフォームドエマルジョンの具体例としては、エマルジョンDC2−1766、DC2−1784、DC−1785、DC−1786、並びに、マイクロエマルジョンDC2−1865及びDC2−1870があり、これらはいずれもDow Corningから入手できる。これらはいずれもジメチコノールのエマルジョン/マイクロエマルジョンである。架橋シリコーンガムもプレ乳化形態で入手でき、これらは配合が容易であるという利点を有している。好ましい例は、Dow CorningからDC X2−1787として入手可能な材料であり、これは架橋ジメチコノールガムのエマルジョンである。別の好ましい例は、Dow CorningからDC X2−1391として入手可能な材料であり、これは架橋ジメチコノールガムのマイクロエマルジョンである。
【0075】
本発明のシャンプー及びコンディショナーに含有させ得るシリコーンの別の好ましいクラスは、アミノ官能シリコーンである。“アミノ官能シリコーン”という用語は、第一級、第二級もしくは第三級のアミン基または第四アンモニウム基を少なくとも1個は含有するシリコーンを意味する。適当なアミノ官能シリコーンの例としては、CTFA名称で“アモジメチコーン”と呼ばれているポリシロキサンがある。
【0076】
本発明に使用するための適当なアミノ官能シリコーンの特定例は、アミノシリコーン油DC2−8220、DC2−8166、DC2−8466及びDC2−8950−114(すべてDow Corningの製品)、並びに、GE 1149−75(General Electric Siliconesの製品)である。適当な第四シリコーンポリマーは、欧州特許EP−A−0 530 974に記載されている。好ましい第四シリコーンポリマーはGoldschmidt社のK3474である。
【0077】
アミノ官能シリコーン油と非イオン性及び/またはカチオン性の界面活性剤とのエマルジョンも適当である。アミノ官能シリコーンのプレフォームドエマルジョンもDow Corning及びGeneral Electricのようなシリコーン油の供給業者から入手できる。特定例は、DC929カチオン性エマルジョン、DC939カチオン性エマルジョン、並びに、非イオン性エマルジョンDC2−7224、DC2−8467、DC2−8177及びDC2−8154などである(いずれもDow Corningの製品)。
【0078】
ある種のシャンプーにはアミノ官能シリコーンと非アミノ官能シリコーンとを併用するのが特に好ましい。
【0079】
シリコーンの総量は全組成物の好ましくは0.01−10重量%、より好ましくは0.3−5重量%であり、最も好ましくは0.5−3重量%が好適レベルである。
【0080】
(ii)非シリコーン油性コンディショニング成分
本発明の組成物はまた、分散した不揮発性、水不溶性の油性コンディショニング剤を含んでもよい。
【0081】
“不溶性”という用語は、材料が25℃、0.1%(w/w)の濃度で水(蒸留水または等価の水)に可溶でないことを意味する。
【0082】
適当な油性または脂肪質の材料は、炭化水素油、脂肪エステル及びそれらの混合物から選択される。直鎖状炭化水素油は好ましくは約12−約20個の炭素原子を含有するであろう。C−Cアルケニルモノマーのようなアルケニルモノマーの高分子炭化水素も適当である。
【0083】
適当な炭化水素油の特定例は、パラフィン油、鉱油、飽和及び不飽和のドデカン、飽和及び不飽和のトリデカン、飽和及び不飽和のテトラデカン、飽和及び不飽和のペンタデカン、飽和及び不飽和のヘキサデカン並びにそれらの混合物などである。これらの化合物及びより長い鎖長の炭化水素の分枝鎖異性体も使用できる。
【0084】
適正な脂肪エステルの特徴は、少なくとも10個の炭素原子を有していることであり、このような脂肪エステルとしては、脂肪酸または脂肪アルコールに由来のヒドロカルビル鎖をもつエステルがある。モノカルボン酸エステルとしては、式R′COORのアルコール及び/または酸のエステルがあり、式中のR′及びRは独立に、アルキルまたはアルケニルラジカルを表し、R′とRとに存在する炭素原子の和は少なくとも10、好ましくは少なくとも20である。カルボン酸のジ−及びトリアルキル及びアルケニルエステルも使用できる。
【0085】
特に好ましい脂肪エステルは、モノ−、ジ−及びトリグリセリド、より特定的には、グリセロールとC−C22カルボン酸のような長鎖脂肪酸とのモノ−、ジ−及びトリ−エステルである。好ましい材料は、カカオ脂、パームステアリン、ヒマワリ油、ダイズ油及びココヤシ油などである。
【0086】
油性または脂肪質の材料は、適正には0.05−10重量%、好ましくは0.2−5重量%、より好ましくは約0.5−3重量%のレベルで存在する。
【0087】
コンディショニング剤を含有するヘアトリートメント組成物には更にカチオン性ポリマーが存在するのが好ましい。
【0088】
スタイリングポリマー
製品がスタイリング用製品である場合には、スタイリングポリマーが存在するのが好ましい。
【0089】
ヘアスタイリングポリマーが存在する場合、該ポリマーは本発明の組成物中に好ましくは0.001−10重量%、より好ましくは0.1−10重量%、例えば1−8重量%のレベルで存在する。
【0090】
ヘアスタイリングポリマーは公知である。適当なヘアスタイリングポリマーは、ポリマーをカチオン性、アニオン性、両性または非イオン性にする部分を含有する市販のポリマーを包含する。適当なヘアスタイリングポリマーとしては例えば、ブロック及びグラフトコポリマーがある。ポリマーは合成でもよくまたは天然に得られたものでもよい。
【0091】
補佐剤
本発明の組成物は更に、ヘアケア用の適当な補佐剤を含有し得る。一般にこのような成分は各々が全組成物の2重量%以下、好ましくは1重量%以下のレベルで含有される。
【0092】
適当なヘアケア補佐剤はアミノ酸及びセラミドなどである。
【0093】
次に以下の非限定実施例によって本発明を更に説明する。
【0094】
数字は本発明の実施例を表す。文字は比較実施例を表す。
【0095】
記載されたすべてのパーセンテージは異なる指定がない限り、全重量を基準とする重量%である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明のヘアトリートメント組成物を消費者のパネルが評価した結果を示す。
【図2】本発明のヘアトリートメント組成物を消費者のパネルが評価した結果を示す。
【実施例】
【0097】
以下の実施例を調製した:
【0098】
【表1】

【0099】
60名の消費者のパネルから結果を回収した。各製品を順次に4日間ずつ試験した。各試験の間に3日間の間隔をあけ、この期間は有効成分非含有の製品を使用した。結果を、比較実施例に比較して消費者が評価した実施例のスコアで示す。
【0100】
結果を図1及び図2に示す。実施例1及び2の双方が比較実施例(実施例A)よりも有意に優れた結果を与えることが明らかに示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)トレハロース、セロビオースまたはそれらの混合物から選択された0.2から3重量%の二糖と(ii)式:HOOC−(CH−COOH[式中のnは2−8の整数である]を有する二酸と(iii)グアニジニウム塩とを含むpH3〜5のヘアトリートメント組成物。
【請求項2】
二糖がトレハロースである請求項1に記載のヘアトリートメント組成物。
【請求項3】
nが2または4に等しい数である請求項1に記載のヘアトリートメント組成物。
【請求項4】
グアニジニウム塩が炭酸塩である請求項1に記載のヘアトリートメント組成物。
【請求項5】
界面活性剤を更に含む請求項1から4のいずれか一項に記載のヘアトリートメント組成物。
【請求項6】
水性基剤を含む請求項1から5のいずれか一項に記載のヘアトリートメント組成物。
【請求項7】
毛髪を滑らかにするための請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項8】
毛髪を整え易くするための請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項9】
毛髪の傷みを防ぐための請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項10】
請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物を塗布することによって毛髪をトリートメントする方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−77138(P2010−77138A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256715(P2009−256715)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【分割の表示】特願2004−559755(P2004−559755)の分割
【原出願日】平成15年11月26日(2003.11.26)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】