ヘアピンコンフォメーションを有するキメラプライマーおよびその使用法
核酸の増幅、検出、および遺伝子型決定の技術のための方法および組成物を開示する。一つの態様において、標的特異的プライマー配列;標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;およびアンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカーを有する核酸分子を開示する。そのような核酸分子を含有している組成物、およびそのような核酸分子を使用する方法も、開示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、その全体が参照により組み入れられる、2009年6月29日出願の米国仮出願第61/221,271号に基づく優先権を主張する。
【0002】
1. 発明の領域
本発明は、一般に、遺伝学および分子生物学の領域に関する。より具体的には、核酸の増幅および検出のための方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
2. 関連技術分野の説明
核酸の増幅および検出の技術は、変異および多形についてのDNA試料の分析において高頻度に利用されている。それらは、DNAまたはRNAの分析による、感染性病原体であるものを含む細菌、ウイルス、および真菌の検出およびタイピングにおいても利用されている。対立遺伝子特異的PCR(AS-PCR)および対立遺伝子特異的プライマー伸長(ASPE)のようなアプローチは、異型ヌクレオチドを含有している配列または野生型ヌクレオチドを含有している対応する配列のいずれかのプライマー伸長を選択的に達成するよう選択されたオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、変異および多形を検出する。そのようなアプローチは、例えば、米国第5,595,890号(特許文献1)、第5,639,611号(特許文献2)、および第5,137,806号(特許文献3)に記載されており、それらの開示は参照により組み入れられる。
【0004】
参照により組み入れられる米国出願第12/262,842号(特許文献4)は、上述の対立遺伝子特異的プライマー伸長(ASPE)法および対立遺伝子特異的PCR(AS-PCR)法のような方法による遺伝子分析を単純化することができる方法および組成物を記載している。ある種の態様において、'842号出願は、「一工程」アッセイのための方法において、標的特異的配列の5'にタグ配列を有するプライマー、およびプライマーのタグ配列に相補的なアンチタグ配列を含む捕獲複合体を利用する。'842号出願は、その一工程増幅検出法が、現在市販されているLuminex Tag-It(登録商標)テクノロジープラットフォームにおける複数のアッセイ工程を、一工程に低下させ得ることを開示している。
【0005】
上述の技術の有用性にも関わらず、プライマー濃度のより少ない最適化を必要とし;より迅速な結果を提供し;DNA結合色素を使用した時、より低い非特異的バックグラウンドおよびより高い特異的シグナルを有し;一般に、より高感度の検出を提供し;産物/標的濃度のより完璧な表示を提供し;かつプライマーセットのより高度の多重化を可能にするアッセイを提供することができる、より優れた核酸の増幅および検出の方法が、必要とされている。本発明の方法および組成物は、下記のように、これらの必要性を満たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国第5,595,890号
【特許文献2】米国第5,639,611号
【特許文献3】米国第5,137,806号
【特許文献4】米国出願第12/262,842号
【発明の概要】
【0007】
本発明の方法および組成物は、核酸の増幅、検出、および遺伝子型決定の技術を提供する。一つの態様において、本発明は、標的特異的プライマー配列;標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;およびアンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー:を含む核酸分子を提供する。
【0008】
もう一つの態様において、本発明は、マイクロスフェア;マイクロスフェアに共有結合で付着した第一のアンチタグ核酸;第一のアンチタグ核酸とハイブリダイズしたタグ核酸;タグ配列の3'に共有結合で付着したブロッカー;ブロッカーの3'に共有結合で付着した、第一のアンチタグ核酸と同一の配列を有する第二のアンチタグ核酸;第二のアンチタグ核酸の3'に共有結合で付着した標的特異的核酸;ならびにアンチタグ核酸および標的特異的核酸の配列に相補的な配列を含む、第二のアンチタグ核酸および標的特異的核酸とハイブリダイズした核酸分子:を含む組成物を提供する。
【0009】
もう一つの態様において、本発明は、(a)(i)第一の標的特異的プライマー配列;(ii)標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;(iii)アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;および(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー:を含む、プライマー対の第一のメンバーである第一の核酸分子と;(b)(i)第二の標的特異的プライマー配列;(ii)標的特異的プライマー配列の5'にあるユニバーサルアンチタグ配列;(iii)アンチタグ配列の5'にあるユニバーサルタグ配列;および(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー:を含む、プライマー対の第二のメンバーである第二の核酸分子と;(c)(i)ユニバーサルタグ配列に相補的なユニバーサルアンチタグ配列;および(ii)標識:を含む第三の核酸分子と:を含む組成物を提供する。
【0010】
他の態様において、本発明は、各プライマー対が、(a)(i)第一の標的特異的プライマー配列;(ii)標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;(iii)アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;および(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー:を含む第一の核酸分子と;(b)(i)第二の標的特異的プライマー配列;(ii)標的特異的プライマー配列の5'にあるユニバーサルアンチタグ配列;(iii)アンチタグ配列の5'にあるユニバーサルタグ配列;および(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー:を含む第二の核酸分子と;(c)(i)ユニバーサルタグ配列に相補的なユニバーサルアンチタグ配列;および(ii)標識:を含む標識されたユニバーサルアンチタグ分子と:を含む、複数の異なる標的配列の増幅のための複数のプライマー対を含む組成物を提供する。
【0011】
(a)(i)第一の標的特異的プライマー配列;(ii)標的特異的プライマー配列の5'にあるユニバーサルアンチタグ配列;(iii)アンチタグ配列の5'にあるユニバーサルタグ配列;および(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー:を含む、プライマー対の第一のメンバーである第一の核酸分子と;(b)(i)第二の標的特異的プライマー配列;(ii)標的特異的プライマー配列の5'にあるユニバーサルアンチタグ配列;(iii)アンチタグ配列の5'にあるユニバーサルタグ配列;および(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー:を含む、プライマー対の第二のメンバーである第二の核酸分子と;(c)(i)第一および第二の核酸分子のユニバーサルタグ配列に相補的なユニバーサルアンチタグ配列;ならびに(ii)標識:を含む第三の核酸分子と:を含む組成物。
【0012】
一つの態様において、本発明は、5'から3'へ、24ヌクレオチド塩基のタグ領域、内部C18ブロッカー、タグ領域の一部に相補的な可変長配列、および可変長であり得る標的特異的プライマー領域を含む核酸分子を提供する。タグ領域の一部に相補的な配列の長さおよび組成は、緩衝液組成、ハイブリダイゼーション条件、およびタグ領域の配列に応じて最適化され得る。最適には、タグ領域の相補配列への結合によって、増幅中の第二鎖合成の前には、閉じたヘアピンフォーメーションを維持するために十分な熱力学的安定性を有するヘアピン構造が形成されるべきであるが、エネルギーバリアは、第二鎖合成中のヘアピン構造の破壊を可能にするために十分に低くあるべきである。
【0013】
本明細書に記載されるヘアピン形成核酸分子のタグ領域およびアンチタグ領域は、同一の長さであってもよいし、または異なる長さであってもよい。例えば、タグ領域およびアンチタグ領域が両方とも24ヌクレオチド長であってもよいし、または一方の領域が24ヌクレオチド長であって、もう一方の領域がより短くてもよい(例えば、8〜16ヌクレオチド)。ヘアピン形成核酸分子のハイブリダイゼーション特性を改変するためには、異なる長さのタグ領域およびアンチタグ領域を使用することが有利であり得る。好ましくは、分子のヘアピン領域は、二本鎖アンプリコン産物の形成によってヘアピン領域が開くまでは、閉じた状態を維持するために十分に強く、かつ二本鎖産物の存在下では開いた状態を維持するために十分に弱い結合エネルギーを有するよう、設計される。もう一つの考慮すべき点は、プライマーのタグ領域と、プライマーから合成されたアンプリコンを捕獲しかつ/または標識するために使用されるアンチタグ領域(例えば、ビーズ上に固定化されたアンチタグ配列)との間の結合の強度である。当業者は、配列長およびG+C含量のような、DNAハイブリダイゼーションに影響を与える因子に精通しており、特定の適用のために上述の特性を達成するため、ヘアピン形成核酸分子のタグ領域およびアンチタグ領域の適切な長さを決定することができるであろう。
【0014】
一つの態様において、5'から3'へ、24ヌクレオチド塩基のタグ領域、内部C18ブロッカー、反応物中の他の核酸に相補的でない12塩基、タグ領域の最初の12塩基に相補的な12塩基、可変長であり得る標的特異的プライマー領域を含む核酸分子が提供される。
【0015】
一つの態様において、5'から3'へ、24ヌクレオチド塩基のタグ領域、内部C18ブロッカー、タグ領域の最初の12塩基に相補的な12塩基、可変長であり得る標的特異的プライマー領域を含む核酸分子が提供される。
【0016】
標的核酸は任意の関心対象の核酸であり得、標的核酸を含有している試料は、核酸を含有しているかまたは含有していると推測される任意の試料であり得る。本発明のある種の局面において、試料は、例えば、一つまたは複数の遺伝学的な変異または多形の存在または欠如についてスクリーニングされている対象に由来する。本発明のもう一つの局面において、試料は、病原体の存在または欠如について試験されている対象に由来し得る。試料が対象から入手される場合、それは、吸引、生検、拭き取り、静脈穿刺、脊椎穿刺、排泄物試料、または尿試料のような、当業者に公知の方法により入手され得る。ある種の態様において、対象は、哺乳動物、トリ、または魚である。哺乳動物は、例えば、ヒト、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ブタ、ウサギ、ラット、またはマウスであり得る。本発明のいくつかの局面において、試料は、水試料、土壌試料、または空気試料のような環境試料である。本発明の他の局面において、試料は、植物、細菌、ウイルス、真菌、原生動物、または後生動物に由来する。
【0017】
プライマーとは、鋳型依存性の過程において新生核酸の合成をプライムすることができる核酸である。標的特異的プライマーとは、特定の標的核酸の合成をプライムするよう設計されたプライマーをさす。プライマー対とは、鋳型核酸分子上の二つのプライマーの結合部位の間の標的配列を増幅するよう設計された、順方向プライマーおよび逆方向プライマーまたは上流プライマーおよび下流プライマーとして一般的に公知の二つのプライマーをさす。ある種の態様において、プライマーは、10〜40、15〜30、または18〜26ヌクレオチド長である標的特異的配列を有する。
【0018】
本発明の様々な局面は、相補的なタグ配列およびアンチタグ配列のセットを使用する。タグおよびアンチタグは、好ましくは、クロスハイブリダイズしない、即ち、タグおよびアンチタグは、各々、相補パートナーとのみハイブリダイズし、同一反応物中の他のタグまたはアンチタグとはハイブリダイズしないべきである。好ましくは、タグおよびアンチタグは、反応中に試料中の他の核酸ともハイブリダイズしないであろう。クロスハイブリダイズしないタグ配列およびアンチタグ配列の適切な選択は、アッセイ、特に、ストリンジェントなクロスハイブリダイズしない挙動を必要とする、高度にパラレルなハイブリダイゼーション環境におけるアッセイにおいて有用である。ある種の態様において、タグ配列およびアンチタグ配列は、6〜60、8〜50、10〜40、10〜20、12〜24、または20〜30ヌクレオチド長である。いくつかの態様において、タグ配列およびアンチタグ配列は、12、14、16、または24ヌクレオチド長である。多数のタグおよびタグ相補鎖(即ち、アンチタグ)の配列が、当技術分野において公知であり、本発明において使用され得る。例えば、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第7,226,737号は、210種のクロスハイブリダイズしないタグおよびアンチタグのセットを記載している。さらに、参照により本明細書に組み入れられる、公開された米国出願第2005/0191625号は、最小限のクロスハイブリダイゼーションで、相補配列と正確にハイブリダイズする証明された能力を有する1168種のタグ配列のファミリーを開示している。「ユニバーサル」なタグまたはアンチタグとは、多重反応物中の全ての反応について同一の配列を有するタグまたはアンチタグをさす。
【0019】
ブロッカーとは、第二鎖合成中の新生核酸配列の伸長を阻害するモエティである。ブロッカーモエティの非限定的な例には、C6〜20直鎖型アルキレン、(18原子ヘキサエチレングリコールである)iSp18、iMe-isodC、ヘキサエチレングリコールモノマー、合成核酸塩基、2-O-アルキルRNA、または標的特異的配列と比較して逆方向のオリゴヌクレオチド配列が含まれる。
【0020】
本発明のある種の局面において、固体支持体が使用される。生体分子の固定化のための多様な固体支持体が公知である。例えば、固体支持体は、ニトロセルロース、ナイロン膜、ガラス、活性化された石英、活性化されたガラス、フッ化ポリビニリデン(PVDF)膜、ポリスチレン基質、ポリアクリルアミドに基づく基質、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(ジメチルシロキサン)、(標的分子と共有結合を形成することができるニトレン、カルベン、およびケチルラジカルのような光反応性種を含有している)フォトポリマーのような、その他のポリマー、コポリマー、または架橋されたポリマーであり得る。固体支持体は、例えば、ビーズ(マイクロスフェア)、カラム、またはチップの形態をとり得る。平面の固体支持体上に固定化された分子は、典型的には、支持体における空間的な位置により同定される。ビーズのような非平面の固体支持体上に固定化された分子は、しばしば、下記のように、支持体の何らかの型のコード化により同定される。
【0021】
ビーズは、ビーズのある亜集団がもう一つの亜集団から識別され得るようコード化され得る。コード化は、多様な技術によりなされ得る。例えば、ビーズは、異なる発光スペクトルおよび/または異なるシグナル強度を有する蛍光色素により蛍光標識され得る。ある種の態様において、ビーズはLuminex FlexMAP(商標)マイクロスフェアまたはLuminex xMAP(登録商標)マイクロスフェアである。亜集団内のビーズのサイズも、ある亜集団をもう一つの亜集団から識別するために使用され得る。ビーズを修飾するもう一つの方法は、Fe3O4のような磁気応答性の物質を構造へ組み入れることである。常磁性マイクロスフェアおよび超常磁性マイクロスフェアは、磁場の非存在下では無視し得る程度の磁気を有するが、磁場の適用によって、マイクロスフェア内の磁区の整列が誘導され、マイクロスフェアが磁場源へと誘引される。蛍光色素、ビーズサイズ、および/または磁気応答性の物質をビーズへと組み合わせることにより、作出され得るビーズの異なる亜集団の数をさらに増加させることができる。
【0022】
本発明のある種の局面において、組成物は、複数のコード化されたマイクロスフェアに共有結合で付着した複数のアンチタグ核酸分子を含み、複数のアンチタグ分子は、複数のプライマー対のタグ配列に相補的なアンチタグ配列を含み、アンチタグ核酸分子の各々の同一性は、それが共有結合で付着しているコード化されたマイクロスフェアのコード化から決定され得る。
【0023】
本明細書に記載された方法および組成物における核酸は、レポーターにより標識され得る。レポーターとは、それが付着している分子の検出を容易にする分子である。核酸を標識するために使用され得る多数のレポーター分子が公知である。直接レポーター分子には、フルオロフォア、発色団、およびラジオフォア(radiophores)が含まれる。フルオロフォアの非限定的な例には、2,4-ビス[1,3,3-トリメチル-2-インドリニリデンメチル]シクロブテンジイリウム-1,3-ジオキソレート(dioxolate)のような赤色蛍光スクアリン(squarine)色素、2,4ビス[3,3-ジメチル-2-(1H-ベンズ[e]インドリニリデンメチル)]シクロブテンジイリウム-1,3-ジオキソレートのような赤外色素、または2,4-ビス[3,5-ジメチル-2-ピロリル]シクロブテンジイリウム-1,3-ジオロレート(diololate)のような橙色蛍光スクアリン色素が含まれる。フルオロフォアの付加的な非限定的な例には、量子ドット、Alexa Fluor(登録商標)色素、AMCA、BODIPY(登録商標)630/650、BODIPY(登録商標)650/665、BODIPY(登録商標)-FL、BODIPY(登録商標)-R6G、BODIPY(登録商標)-TMR、BODIPY(登録商標)-TRX、Cascade Blue(登録商標)、Cy2(商標)、Cy3(商標)、およびCy5(商標)を含むが、これらに限定されないCyDye(商標)、DNAインターカレーティング色素、6-FAM(商標)、フルオレセイン、HEX(商標)、6-JOE、Oregon Green(登録商標)488、Oregon Green(登録商標)500、Oregon Green(登録商標)514、Pacific Blue(商標)、REG、フィコエリトリンおよびアロフィコシアニンを含むが、これらに限定されないフィコビリンタンパク質、Rhodamine Green(商標)、Rhodamine Red(商標)、ROX(商標)、TAMRA(商標)、TET(商標)、テトラメチルローダミン、またはTexas Red(登録商標)が含まれる。チラミド(PerkinElmer)のようなシグナル増幅試薬が、蛍光シグナルを増強するために使用されてもよい。間接レポーター分子には、検出のためにはストレプトアビジン-フィコエリトリンのようなもう一つの分子に結合していなければならないビオチンが含まれる。多重反応において、増幅産物の同一性が、それらがハイブリダイズする固体支持体の特異的な位置または同一性に基づき決定され得るのであれば、プライマーまたはdNTPに付着したレポーターは、多重反応物中の全ての反応について同一であってもよい。
【0024】
他の態様において、(a)(i)第一の標的特異的プライマー配列;標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;およびアンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー:を含む第一のプライマーと;(ii)第二の標的特異的プライマー配列:を含む第二のプライマーと:を含む第一のプライマー対を準備する工程;(b)レポーターを準備する工程;(c)固体支持体に付着したアンチタグ配列を含む捕獲複合体を準備する工程;(d)標的核酸の増幅に適した条件の下で、第一のプライマー対、レポーター、捕獲複合体、および標的核酸を含む試料を組み合わせることにより、標的核酸を増幅する工程:を含む、標的核酸を増幅する方法が提供される。ある種の局面において、レポーターは第二のプライマーに付着している。他の局面において、レポーターはdNTPに付着している。さらに他の態様において、レポーターはDNAインターカレーターである。いくつかの態様において、方法は、増幅された標的核酸を捕獲複合体のアンチタグ配列とハイブリダイズさせる工程をさらに含む。さらなる態様において、方法は、ハイブリダイズした増幅された標的核酸を検出する工程をさらに含む。増幅された核酸の検出は、例えば、捕獲複合体に結合した増幅された標的核酸配列の画像化を含み得る。いくつかの態様において、試料は少なくとも一つの第二の標的核酸を含み、少なくとも一つの第二のプライマー対が、標的核酸の増幅に適した条件の下で、第一のプライマー対、レポーター、捕獲複合体、および標的核酸を含む試料と組み合わせられる。異なる増幅された標的核酸は、識別可能な捕獲複合体の異なるアンチタグ配列とハイブリダイズさせられ得る。捕獲複合体は、例えば、空間的に識別可能かつ/または光学的に識別可能であり得る。
【0025】
本明細書に開示されたヘアピン形成プライマーは、捕獲複合体を使用せずに、標的核酸配列を増幅し検出するためにも使用され得る。例えば、一つの態様において、標的核酸は、(a)(i)第一の標的特異的プライマー配列;標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー:およびタグ配列に付着した発色団と;(ii)第二の標的特異的プライマー配列;標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー:およびタグ配列に付着した発色団:を含む第二のプライマーと:を含む第一のプライマー対を準備する工程;ならびに(b)(i)第一のプライマー対のユニバーサルタグ配列に相補的なアンチタグ配列;および(ii)第一のプライマー対の発色団とのフェルスター共鳴エネルギー転移が可能な発色団:を含む標識核酸分子;ならびに(d)標的核酸の増幅に適した条件の下で、第一のプライマー対、ユニバーサル標識核酸分子、および標的核酸を含む試料を組み合わせることにより、標的核酸を増幅する工程:を含む方法により増幅され得る。方法は、増幅された核酸を検出する工程をさらに含み得る。検出は、第一のプライマー対の発色団とユニバーサル標識の発色団との間のFRETを検出する工程を含み得る。ある種の態様において、検出は、リアルタイムで実施される(即ち、方法は、リアルタイムPCRを提供する)。この増幅法は多重化されてもよく、その場合、試料は、第二の標的核酸および第二のプライマー対を少なくとも含む。多重適用のため、プライマー対および対応する標識核酸分子は、各々、反応物中の他のプライマー対および標識核酸分子とは異なるタグ配列およびアンチタグ配列を有する必要がある。さらに、異なる放出波長を有する標識が、反応物中の異なるプライマー対の各々について使用される必要がある。いくつかの態様において、プライマー対はネステッドプライマー対であり、標的核酸はそれ自体アンプリコンである。
【0026】
本明細書に開示されたヘアピン形成プローブは、切断反応の産物を検出するためにも使用され得る。核酸配列の検出のためのいくつかの切断に基づくアッセイが、当技術分野において公知である。例えば、対立遺伝子特異的なオーバーラップしているオリゴヌクレオチドの、一塩基多型(SNP)(一塩基多型)部位を含有している標的DNAとのハイブリダイゼーションにより形成された三次元複合体を切断するため、構造特異的フラップエンドヌクレアーゼ(FEN)を使用するインベーダー(Invader)技術が、SNP区別において使用されることが周知である。マングビーンヌクレアーゼおよびS1ヌクレアーゼも、一塩基ミスマッチを切断する能力のため、SNP区別において使用されることが公知である。一つの態様において、本発明は、(a)(i)切断産物特異的配列;(ii)切断産物特異的配列の5'にあるアンチタグ配列;(iii)アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー;および(v)標識:を含むオリゴヌクレオチドプローブを準備する工程;(b)オリゴヌクレオチドプローブを切断産物とハイブリダイズさせる工程;(c)アンチタグ配列とのハイブリダイゼーションからタグ配列を置換するため、切断産物を伸長させる工程;(d)標識されたアンチタグプローブを置換されたタグ配列とハイブリダイズさせる工程、ならびに(e)オリゴヌクレオチドプローブの切断産物とのハイブリダイゼーションおよび伸長を検出する工程:を含む、核酸切断反応の切断産物を検出する方法を提供する。標識は、例えば、FRETドナー分子またはFRETアクセプター分子であり得る。この方法は、オリゴヌクレオチドプローブを固体支持体上に固定化することにより実施されてもよいし、または固定化することなく実施されてもよい。プローブが固定化される態様において、固定化は、固体支持体(例えば、ビーズまたは平面アレイ)に連結された相補アンチタグ配列との、プローブのタグ配列のハイブリダイゼーションにより達成され得る。上述のように、切断産物は、非限定的に、構造特異的フラップエンドヌクレアーゼ、マングビーンヌクレアーゼ、またはS1ヌクレアーゼを利用するものを含む、多様なテクノロジーにより作出され得る。当業者は、特定の標的配列とハイブリダイズした時、切断に対して感受性となるプローブを設計することができるであろう。
【0027】
さらに、本明細書に開示されたヘアピン形成プローブは、ライゲーション産物の形成を検出するために使用され得る。ライゲーション産物は、二つのオリゴヌクレオチドプローブが標的核酸上で相互に隣接して結合した時に形成され得る。典型的には、ライゲーションは、リガーゼ酵素を使用して達成される。一つの態様において、本発明は、(a)(i)ライゲーション産物特異的配列;(ii)ライゲーション産物特異的配列の5'にあるアンチタグ配列;(iii)アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー;および(v)標識:を含むオリゴヌクレオチドプローブを準備する工程;(b)ライゲーション産物はオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズするが、ライゲーション産物のライゲートされていないサブユニットはオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズしない温度で、オリゴヌクレオチドプローブをライゲーション産物とハイブリダイズさせる工程;(c)アンチタグ配列とのハイブリダイゼーションからタグ配列を置換するため、ライゲーション産物を伸長させる工程;(d)標識されたアンチタグプローブを置換されたタグ配列とハイブリダイズさせる工程、ならびに(e)オリゴヌクレオチドプローブのライゲーション産物とのハイブリダイゼーションおよび伸長を検出する工程:を含む、ライゲーション産物を検出する方法を提供する。標識は、例えば、FRETドナー分子またはFRETアクセプター分子であり得る。この方法は、オリゴヌクレオチドプローブを固体支持体上に固定化することにより実施されてもよいし、または固定化することなく実施されてもよい。プローブが固定化される態様において、固定化は、固体支持体(例えば、ビーズまたは平面アレイ)に連結された相補アンチタグ配列との、プローブのタグ配列のハイブリダイゼーションにより達成され得る。当業者は、特定の標的配列とハイブリダイズした時に、共にライゲートされライゲーション産物を作出するプローブを設計することができるであろう。
【0028】
一つの態様において、本発明は、標的遺伝子からのmRNAを逆転写してcDNAを形成させる工程;cDNAに、ユニバーサルプライマー結合配列およびcDNA特異的配列を含む第一のオリゴヌクレオチドと、ユニークプライマー結合配列およびcDNA特異的配列を含む第二のオリゴヌクレオチドとをハイブリダイズさせる工程;第一のオリゴヌクレオチドを第二のオリゴヌクレオチドとライゲートし、ライゲートされたオリゴヌクレオチドを形成させる工程;ユニバーサルプライマーと、ユニークプライマー配列、ユニークプライマー配列の5'にあるアンチタグ配列、アンチタグ配列の5'にあるタグ配列、およびアンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカーを含むユニークプライマーとを使用して、ライゲートされたオリゴヌクレオチドを増幅する工程;アンプリコンのタグ配列を、捕獲複合体のアンチタグ配列とハイブリダイズさせることにより、アンプリコンを捕獲する工程;捕獲されたアンプリコンを標識する工程:ならびに標識された捕獲されたアンプリコンを検出し定量化する工程:を含む、遺伝子発現を定量化する方法を提供する。洗浄工程が逆転写反応の後に実行される場合、cDNAは任意で固定化されてもよい。ライゲーションにより媒介される増幅のための方法は、当技術分野において公知であり、例えば、参照により本明細書に組み入れられるPeck et al.,Genome Biology,7:R61 (2006)に記載されている。複数の標的遺伝子の発現が分析される多重反応の情況において、「ユニバーサルプライマー」および「ユニバーサルプライマー結合配列」とは、反応物中の全ての標的を分析するために使用される共通のプライマーおよびそれに相補的な配列をさす。ある種の態様において、ユニバーサルプライマーはT3プライマーである。対照的に、「ユニークプライマー」および「ユニークプライマー結合配列」とは、分析されている異なる標的遺伝子の各々に特異的であるプライマーおよびそれに相補的な配列をさす。しかしながら、「ユニークプライマー」および「ユニークプライマー結合配列」は、標的遺伝子自体の中の配列に相補的ではない。「ユニークプライマー」および「ユニークプライマー結合配列」は、タグ/アンチタグセットであり得るが、多重反応物中の他のタグ配列またはアンチタグ配列に相補的であるべきでない。多重反応においては、アッセイされている複数の異なる標的の各々について、各標的についてのアンプリコンが他の全ての標的のものから識別されることを可能にするであろう、タグ配列、アンチタグ配列、および捕獲複合体の独特の組み合わせが存在する。
【0029】
cDNAは、当業者に公知の方法により固定化され得る。特定の態様において、cDNAは、オリゴdTによりコーティングされたウェルまたはビーズにおけるmRNAの捕獲および逆転写により固定化される。
【0030】
他の態様において、本発明は、(a)各プライマー対が、(i)第一の標的特異的プライマー配列;標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;およびアンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー:を含む第一のプライマーと;(ii)第二の標的特異的プライマー配列;標的特異的プライマー配列の5'にあるユニバーサルアンチタグ配列;アンチタグ配列の5'にあるユニバーサルタグ配列;およびアンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー:を含む第二のプライマーと:を含む、複数の異なる微生物からの複数の異なる標的核酸配列の増幅のための複数のプライマー対を準備する工程;(b)(i)ユニバーサルタグ配列に相補的なユニバーサルアンチタグ配列;および(ii)標識:を含む標識されたユニバーサルアンチタグ分子を準備する工程;(c)固体支持体に付着したアンチタグ配列を含む複数の捕獲複合体を準備する工程;(d)標的核酸配列の増幅に適した条件の下で、複数のプライマー対、標識されたユニバーサルアンチタグ分子、捕獲複合体、および試料を組み合わせることにより、微生物が試料中に存在する場合に、異なる微生物からの標的核酸配列を増幅する工程;(e)増幅された標的核酸配列を、それぞれの捕獲複合体のそれぞれのアンチタグ配列とハイブリダイズさせる工程;ならびに(f)それぞれの捕獲複合体に結合した増幅された標的核酸配列を検出することにより、試料中に存在する微生物を検出する工程:を含む、試料中の微生物を検出する方法を提供する。
【0031】
微生物は、例えば、細菌、ウイルス、レトロウイルス、または真菌であり得る。ある種の態様において、微生物は病原体である。微生物を含有しているかまたは含有している可能性のある試料は、血液試料、血清試料、脳脊髄液試料、大便試料、気管支肺胞洗浄試料、痰、心膜液、腹水、胸水、尿、胃吸引液、膿瘍、気管吸引液、気管支洗浄、骨髄、組織等のような患者の試料であり得る。他の態様において、試料は、水試料または土壌試料のような環境試料である。ある種の態様において、2〜100種のプライマー対が、2〜100種の異なる微生物を検出するために提供される。各プライマー対は、異なる微生物を検出するために設計されてもよいし、または2種以上のプライマー対が同一の微生物を検出するために設計される何らかの重複が存在してもよい。典型的には、臨床/診断的設定または環境的設定において、スクリーニングされている微生物のサブセットのみが、患者の試料または環境試料の中に存在すると予想される。例えば、患者の試料は30種の異なる微生物についてスクリーニングされ得るが、多数の異なる微生物が同時に感染することは稀であるため、患者の試料は、これらの微生物のうちの約0〜2種のみを含有している可能性が高い。本発明のある種の局面において、0〜10、1〜10、1〜5、または1〜3種の異なる微生物が検出される。
【0032】
増幅は、定性的であってもよいし、半定量的であってもよいし、または定量的であってもよいし。ある種の態様において、増幅は、リアルタイム(例えば、リアルタイムPCR)でモニタリングされ得る。増幅がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による場合、鎖交換活性を保有するポリメラーゼが使用されるべきであるが、それは、そのようなポリメラーゼが、プライマーのタグ領域およびアンチタグ領域のハイブリダイゼーションにより形成されたヘアピン構造を開くことができるためである。いくつかの態様において、ポリメラーゼはエキソ(-)ポリメラーゼである。
【0033】
本発明のある種の態様は、増幅された標的核酸の検出を含む。増幅された標的核酸の検出は、多様な技術によることができる。本発明の一つの局面において、増幅された標的核酸はフローサイトメーターを使用して検出される。フローサイトメトリーは、捕獲複合体の固体支持体がビーズまたはその他の粒子である場合に、特に好適である。本発明の他の局面において、増幅された標的核酸の検出は、捕獲複合体と結合した増幅された標的核酸配列の画像化を含む。画像化は、例えば、ビーズアレイプラットフォームまたはチップアレイプラットフォームで行われ得る。
【0034】
本発明の方法は、多重アッセイにおいて使用されてもよい。そのような多重アッセイにおいて、試料は、典型的には、少なくとも一つの第二の標的核酸配列を含むであろう。本発明のある種の局面において、試料中には、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、120、140、160、180、200、220、240、260、280、300、400、500、600、700、800、900、1000種、またはその中の任意の推論可能な範囲の標的核酸配列が存在する。上述のように、標的核酸配列は、任意の関心対象の配列であり得る。一つの標的核酸配列が、もう一つの標的核酸配列と同一の遺伝子内にあってもよいし、または異なる遺伝子内にあってもよく、標的核酸配列はオーバーラップしていてもよいし、またはオーバーラップしていなくてもよい。当然、標的核酸配列は、遺伝子内にある必要はなく、例えば、DNAの非コーディング領域内にあってもよい。増幅される少なくとも一つの第二の標的核酸が試料中に存在する多重アッセイにおいて、少なくとも一つの第二の区別プライマーまたは第二のプライマー対が、第一のプライマー対と組み合わせられる。
【0035】
本明細書に記載された方法の利点は、「閉管」フォーマットで実施可能であるという点である。「閉管」アッセイにおいては、全ての試薬および試料が反応の開始時に添加され、従って、反応が開始した後、試薬を添加するために反応容器を開ける必要が排除される。これは、典型的には、より高速の所要時間をもたらし、混入および人為的ミスの機会を低下させる。そのような「閉管」アッセイは、迅速な結果、アッセイの最小限の人為的操作、および無菌環境が望ましいポイントオブケア(Point-of-Care)適用のために特に好適である。
【0036】
本明細書に記載された任意の方法または組成物が、本明細書に記載された他の任意の方法または組成物に関して実行され得ることが企図される。
【0037】
特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、選択肢のみをさすか、または選択肢が相互に排他的であると明示されない限り、「および/または」を意味するために使用されるが、開示が、選択肢のみおよび「および/または」をさす定義を支持する。
【0038】
本願の全体にわたって、「約」という用語は、値が、その値を決定するために利用された装置または方法についての誤差の標準偏差を含むことを示すために使用される。
【0039】
長年の特許法に従い、特許請求の範囲または明細書において「含む」という単語と共に使用された時、「(a)」および「(an)」という単語は、特記されない限り、一つまたは複数を意味する。
【0040】
本発明のその他の目的、特色、および利点は、以下の詳細な説明から明白になるであろう。しかしながら、本発明の本旨および範囲に含まれる様々な変化および修飾が、この詳細な説明から当業者には明白になるため、本発明の具体的な態様を示している詳細な説明および具体例は、例示として与えられているに過ぎないことが、理解されるべきである。
【0041】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明のある種の局面をさらに示すために含まれる。本発明は、本明細書に提示された具体的な態様の詳細な説明と組み合わせて、これらの図面のうちの一つまたは複数を参照することにより、よりよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1Aは、ヘアピン形成プライマーおよび捕獲複合体の例示を示す。図1Bは、プライマーのタグ領域が捕獲複合体のアンチタグ領域とハイブリダイズすることができるよう、増幅によってヘアピン形成プライマーの構造が開いた増幅産物を示す。
【図2】図2は、非ヘアピン形成プライマーが使用された場合、未伸長プライマーのタグ領域が、捕獲複合体のアンチタグ領域とのハイブリダイゼーションについて、伸長したプライマーのタグ領域と競合し得る様子を例示する。
【図3】図3Aおよび3Bは、増幅産物が産生される前(図3A)、および増幅産物が産生された後(図3B)の、ヘアピン形成順方向プライマー、ヘアピン形成逆方向プライマー、標識されたユニバーサルアンチタグ分子、および捕獲複合体を示す。
【図4】図4A〜4Eは、FRETに基づく標識系におけるドナー発色団およびアクセプター発色団の様々な配置を示す。
【図5】図5A〜5Bは、フルオロフォア/消光剤に基づく標識系におけるフルオロフォアおよび消光剤の様々な配置を示す。
【図6】図6は、ヘアピンプライマーが、過剰の未伸長プライマーの存在下で、ヘアピンを形成しないプライマーより効果的であることを示すグラフである。
【図7】図7は、Qiagen HotStartポリメラーゼを用いたPCRにおける、12残基ステム、14残基ステム、および16残基ステムのヘアピンプライマー、ならびに非ヘアピン形成プライマー(TIF)の比較を示すグラフである。
【図8】図8は、aptaTaqエキソ(-)ポリメラーゼを用いたPCRにおける、12残基ステム、14残基ステム、および16残基ステムのヘアピンプライマー、ならびに非ヘアピン形成プライマー(TIF)の比較を示すグラフである。
【図9】図9は、ヘアピン形成順方向プライマーまたは非ヘアピン形成順方向プライマーのいずれかを用いた偽リアルタイムPCRにおける様々なPCRサイクルにおけるMFIのグラフである。
【図10】図10は、リアルタイムPCRにおける様々なPCRサイクルにおけるMFIのグラフである。
【図11】図11は、リアルタイム定量的PCRにおける髄膜炎菌(Neiseria Meningitidis)DNAの希釈系列を表すグラフである。
【図12】図12はリアルタイムPCRアッセイ化学を例示する。プライマーの伸長により、ヘアピン部分が開き、標識されたプローブへの結合が可能となるため、標準的なリアルタイムサーマルサイクラーにおけるリアルタイム検出を可能にするフェルスター共鳴エネルギー転移(FRET)が起こる。この化学の利点は、バリデートされたヘアピン配列が提供されたなら、エンドユーザはプライマーを設計しさえすればよく、極めてデザインフレンドリーであるという点である。このアッセイにおいて、ビーズは必要とされない。
【図13】図13は、ヘアピン形成プローブがインベーダーアッセイで使用されるアッセイフォーマットを例示する。インベーダーアッセイにおいては、プローブのフラップ部分(B)が切断される。次いで、フラップ部分(B)が、ポリメラーゼ伸長によりヘアピン配列を開くことができるプライマーとして機能することができる。ヘアピン配列のタグ領域が結合に利用可能となることにより、それは、ビーズなしのリアルタイム検出のため、FRET対の中の標識されたプローブに結合することもできるし、または高度多重検出のため、ビーズに結合することもできる。
【図14】図14は、プローブAおよびBが、ライゲートされない限り、ヘアピンプライマー/プローブとハイブリダイズし得ないよう、十分に高い温度でアッセイが保持される、ライゲーション機序の使用が組み入れられたアッセイを図示する。それらは、ライゲートされると、プローブ/プライマーに結合するのに十分な結合強度を有するようになり、鎖交換ポリメラーゼの存在下で伸長する。ヘアピン配列のタグ領域が結合に利用可能となることにより、それは、ビーズなしのリアルタイム検出のため、FRET対の中の標識されたプローブに結合することもできるし、または高度多重検出のため、ビーズに結合することもできる。
【図15】図15は、一塩基ミスマッチを切断する能力を有するマングビーンヌクレアーゼまたはS1ヌクレアーゼの使用が組み入れられたアッセイを図示する。ミスマッチが切断されると、Bはヘアピンを交換することができるプライマーとして機能できるようになり、固体表面に付着していてもよいしまたは付着していなくてもよいプローブとの結合のためタグが露出される。
【図16】図16は、ネステッドリアルタイムPCRアッセイ化学として使用するため、ユニバーサルヘアピンプライマーが標的特異的ヘアピンプライマーと組み合わせられたアッセイを例示する。プライマーの伸長により、ヘアピン部分が開き、標識されたプローブへの結合が可能となるため、標準的なリアルタイムサーマルサイクラーにおけるリアルタイム検出を可能にするFRETが起こる。この溶液の利点は、エンドユーザはプライマーを設計しさえすればよく、極めてデザインフレンドリーであるという点である。この態様において、ビーズは必要とされない。
【発明を実施するための形態】
【0043】
例示的な態様の説明
I. 核酸
A. プライマー
本明細書に記載された方法および組成物において使用されるプライマーは、従来入手可能であったより優れた核酸の増幅および検出を提供するために設計されている。これらのプライマーを使用するアッセイは、プライマー濃度のより少ない最適化を必要とし;より迅速に結果を与え;DNA結合色素を使用した時、より低いバックグラウンドおよびより高い特異的シグナルをもたらし;より高い感度を提供し;産物/標的濃度のより正確な測定を提供し;かつプライマーセットのより高度の多重化を可能にする。「プライマー」という用語は、本明細書において使用されるように、鋳型依存性の過程で新生核酸の合成をプライムすることができる核酸を包含するものである。プライマーは、二本鎖型および/または一本鎖型で提供され得るが、一本鎖型が好ましい。
【0044】
ある種の態様において、本明細書に開示された方法および組成物は、標的特異的プライマー配列に加えて、タグ領域、およびタグ領域に相補的な領域(アンチタグ)を含む、ヘアピン形成プライマーを利用する。タグ領域およびアンチタグ領域は、(タグ領域へのポリメラーゼ伸長を防止するため)ブロッカーにより分離されている。これらのプライマーは、異なる目的を果たす領域から構成されているため、「キメラ」であるとも呼ばれ得る。増幅前には、タグ領域とアンチタグ領域とがハイブリダイズし、ヘアピン構造を形成しており、従って、タグ領域を隔離している。二本鎖増幅産物が形成されると、ヘアピンステム構造が破壊され、タグ領域が、基質(例えば、ビーズ)上に固定化されたアンチタグプローブのような、もう一つのアンチタグプローブとの結合に利用可能となる。ヘアピン形成プライマーが順方向プライマーである例は、図1Aおよび1Bに例示される。別の態様において、逆方向プライマーがヘアピン形成プライマーであってもよいことが、当業者により理解されるであろう。
【0045】
図1Aに示されるように、ヘアピン形成順方向プライマーは、標的特異的プライマー領域、アンチタグ領域、ブロッカー領域(この図面においてはC18スペーサー)、およびタグ領域を含む。プライマーのアンチタグ領域は、タグ領域と同一の長さであってもよいし、または異なる長さであってもよい。図1Aにおいて、アンチタグ領域はその相補タグ領域より短い;従って、それは部分アンチタグ領域と呼ばれる。ポリメラーゼ伸長および二本鎖増幅産物の作出の前には、アンチタグ領域がタグ領域とハイブリダイズし、ヘアピン構造を形成しており、それによって、プライマー上のタグ領域が、ビーズに連結されているアンチタグ領域とハイブリダイズすることが防止されている。図1Bに示されるように、逆方向プライマーの伸長により、鎖交換活性を有するポリメラーゼが、ヘアピンステムを破壊し、ブロッカーで停止し、タグ領域がビーズ上のアンチタグ領域とハイブリダイズすることを可能にするであろう。
【0046】
未伸長順方向プライマーは、タグ領域のヘアピン構造への隔離のため、固定化されたアンチタグプローブとの結合から阻害されるであろう。未伸長プライマーによる捕獲複合体上のハイブリダイゼーション部位の占有は、標識された増幅産物のための捕獲プローブの利用可能性を限定し、従って、アッセイ感度を減少させ得るため、これは有利である。これは、増幅反応の初期に特に問題となるが、それは、この段階においては、伸長したプライマーに対する未伸長プライマーの比率が高いためである。増幅された産物の蓄積をリアルタイムで測定しようとする時、この効果は最も顕著である。図2Aに例示されるように、ヘアピンを形成しない過剰の未伸長タグ付きプライマーは、捕獲複合体上のハイブリダイゼーション部位について、増幅産物と競合することができる。さらに、インターカレーティング色素またはDNA結合色素が使用される場合、それらは、未伸長プライマーのプローブとのハイブリダイゼーションにより作出された二本鎖核酸に結合し、バックグラウンドシグナルの増加を引き起こすであろう。対照的に、ヘアピン構造を有するプライマーを使用する場合には、プライマーおよびプローブは、PCR増幅産物が形成されるまでハイブリダイズしないであろう。
【0047】
上記のプライマーの使用は、非ヘアピン形成プライマーの使用と比較して、少なくとも以下の利益を提供することができる:(1)プライマー濃度のより少ない最適化を必要とする;(2)検出可能なシグナルを達成するために、より少ないPCRサイクルが必要とされるため、より迅速な結果を生じる;(3)DNA結合色素を使用する時、より低いバックグラウンドおよびより高い特異的シグナルを生じる;(4)一般に、より高感度の検出を提供する;そして(5)産物/標的濃度のより正確な表示を提供する。
【0048】
ある種の態様において、プライマー対の順方向プライマーおよび逆方向プライマーの両方が、ヘアピン形成プライマーである。これは、多重反応において特に有利であり得る。この場合、プライマー対のプライマーのうちの一方は、ユニバーサルタグ配列およびユニバーサルアンチタグ配列を含む。標的特異的プライマー配列は多重増幅反応物中の異なる標的の各々について変動するが、同一の(即ち、「ユニバーサル」な)タグ配列およびアンチタグ配列が使用されるため、タグ配列およびアンチタグ配列は「ユニバーサル」である。図3Aおよび3Bに例示された例は、標的特異的プライマー領域、ならびにブロッカー領域により分離された相補的なアンチタグ領域およびタグ領域を含む、ヘアピン形成順方向プライマーを示す。標的特異的プライマー領域、ならびにブロッカー領域により分離されたユニバーサルアンチタグ領域およびユニバーサルタグ領域を含む、ヘアピン形成逆方向プライマーも示されている。順方向プライマーおよび逆方向プライマーは、ポリメラーゼ連鎖反応中に二本鎖核酸の合成をプライムするよう設計されている。多重反応において、順方向プライマーのアンチタグ領域およびタグ領域は、反応物中の異なる順方向プライマーの各々について独特である。このように、伸長した順方向プライマーの増幅産物は、プローブ配列とのハイブリダイゼーションにより同定され得る。しかしながら、ユニバーサルアンチタグ領域およびユニバーサルタグ領域は、反応物中の全ての逆方向プライマーについて同一である。これは、標識されたユニバーサルアンチタグプローブが、反応物中の全ての伸長した逆方向プライマーを標識することを可能にする。これは、必要とされる標識(例えば、フルオロフォア)の量を大きく低下させる。例えば、30種の異なる逆方向プライマーが直接標識される感染性疾患についての30重PCRパネルにおいては、6,000nMのフルオロフォアが必要とされるであろうが、標識されたユニバーサルアンチタグによれば、わずか200nMのフルオロフォアが必要とされるであろう。これは必要とされるレポーターの量の30倍の低下である。これらの計算は、ある試料が0〜2種の感染因子について陽性であると予想される、30重パネルに基づく。より少ない標識を使用する能力は、アッセイのバックグラウンドを低下させ、必要とされる試薬の量を低下させ、アッセイから過剰の標識を除去するための洗浄工程の必要を排除することができる。
【0049】
B. 核酸の調製
本明細書に開示された核酸は、例えば、化学合成、酵素的作製、または生物学的作製のような、当業者に公知の任意の技術により調製され得る。合成核酸(例えば、合成オリゴヌクレオチド)の非限定的な例には、ホスホトリエステル化学、ホスファイト化学、またはホスホラミダイト化学を使用したインビトロ化学合成、および参照により本明細書に組み入れられるEP266,032に記載されたような固相技術により、または各々参照により本明細書に組み入れられる、Froehler et al.,1986および米国特許第5,705,629号により記載されたようなデオキシヌクレオシドH-ホスホネート中間体を介して作成された核酸が含まれる。オリゴヌクレオチド合成の様々な異なる機序は、例えば、各々参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第4,659,774号、第4,816,571号、第5,141,813号、第5,264,566号、第4,959,463号、第5,428,148号、第5,554,744号、第5,574,146号、第5,602,244号に開示されている。
【0050】
酵素的に作製された核酸の非限定的な例には、PCR(商標)(例えば、各々参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第4,683,202号および米国特許第4,682,195号を参照のこと)のような増幅反応において酵素により作製されたもの、または参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,645,897号に記載されたオリゴヌクレオチドの合成により作製されたものが含まれる。生物学的に作製された核酸の非限定的な例には、細菌において複製された組換えDNAベクターのような、生細胞において作製された(即ち、複製された)組換え核酸が含まれる(例えば、参照により本明細書に組み入れられるSambrook et al.,2001を参照のこと)。
【0051】
増幅のための鋳型として使用される核酸は、標準的な方法論(Sambrook et al.,2001)に従い、細胞、組織、またはその他の試料から単離され得る。ある種の態様において、分析は、鋳型核酸の実質的な精製なしに、全細胞または組織ホモジネートまたは生物学的液体試料に対して実施される。核酸は、ゲノムDNAであってもよいし、または分画されたもしくは完全な細胞RNAであってもよい。RNAが使用される場合には、まずRNAを相補DNA(cDNA)へと変換することが望まれるかもしれない。
【0052】
所望の適用に依って、完全に相補的な配列の間のハイブリダイゼーションのみを可能にするであろう高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件が選択され得る。他の態様において、プライマー配列に対して1個または複数個のミスマッチを含有している核酸の増幅を可能にする低ストリンジェンシーの下で、ハイブリダイゼーションが行われてもよい。ハイブリダイズした後、鋳型-プライマー複合体は、鋳型依存性の核酸合成を容易にする、一種または複数種の酵素と接触させられる。十分な量の増幅産物が作製されるまで、「サイクル」とも呼ばれる増幅ラウンドが複数回実施される。
【0053】
逆転写酵素PCR(商標)増幅法は、mRNAをcDNAへと逆転写するために実施され得る。RT-PCRの方法は、当技術分野において周知である(Sambrook et al.,2001を参照のこと)。RT-PCRのための別の方法は、熱安定DNAポリメラーゼを利用する。これらの方法は、WO90/07641に記載されている。ポリメラーゼ連鎖反応方法論は、当技術分野において周知である。RT-PCRの代表的な方法は、米国特許第5,882,864号に記載されている。
【0054】
増幅のためのもう一つの方法は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、欧州出願第320308号に開示されたリガーゼ連鎖反応(「LCR」)である。米国特許第4,883,750号は、プローブ対を標的配列と結合させるためのLCRに類似した方法を記載している。米国特許第5,912,148号に開示された、PCR(商標)およびオリゴヌクレオチドリガーゼアッセイ(OLA)に基づく方法も、使用され得る。
【0055】
本発明のある種の局面の実施において使用され得る核酸配列の増幅のための別の方法は、各々参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、米国番号第5,843,650号、第5,846,709号、第5,846,783号、第5,849,546号、第5,849,497号、第5,849,547号、第5,858,652号、第5,866,366号、第5,916,776号、第5,922,574号、第5,928,905号、第5,928,906号、第5,932,451号、第5,935,825号、第5,939,291号、および第5,942,391号、GB出願第2202328号、ならびにPCT出願PCT/US89/01025に開示されている。
【0056】
PCT出願PCT/US87/00880に記載されたQβレプリカーゼも、本発明において増幅法として使用され得る。この方法においては、標的のものに相補的な領域を有するRNAの複製配列が、RNAポリメラーゼの存在下で、試料に添加される。ポリメラーゼが複製配列をコピーし、次いで、それが検出され得る。
【0057】
制限部位の一方の鎖にヌクレオチド5'-[α-チオ]-三リン酸を含有している標的分子の増幅を達成するために、制限エンドヌクレアーゼおよびリガーゼが使用される等温増幅法も、本発明における核酸の増幅において有用であり得る(Walker et al.,1992)。鎖交換および合成、即ち、ニックトランスレーションの複数のラウンドを含む、米国特許第5,916,779号に開示された鎖交換増幅(SDA)は、核酸の等温増幅を実施するもう一つの方法である。
【0058】
他の核酸増幅法には、核酸配列に基づく増幅(NASBA)および3SRを含む、転写に基づく増幅系(TAS)が含まれる(参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、Kwoh et al.,1989;GingerasらのPCT出願WO88/10315)。欧州出願第329822号は、一本鎖RNA(「ssRNA」)、ssDNA、および二本鎖DNA(dsDNA)を周期的に合成することを含む核酸増幅過程を開示している。
【0059】
(参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)PCT出願WO89/06700は、プロモーター領域/プライマー配列の標的一本鎖DNA(「ssDNA」)とのハイブリダイゼーション、それに続く、配列の多くのRNAコピーの転写に基づく核酸配列増幅スキームを開示している。このスキームは周期的ではない。即ち、得られたRNA転写物から、新たな鋳型は作製されない。その他の増幅法には、「race」および「one-sided PCR(商標)」(Frohman,1990;Ohara et al.,1989)が含まれる。
【0060】
増幅産物は可視化され得る。増幅産物が放射標識または蛍光標識されたヌクレオチドにより内在的に標識される場合、増幅産物はX線フィルムに曝されるか、または適切な励起スペクトルの下で可視化され得る。もう一つのアプローチにおいて、標識された核酸プローブが、増幅産物とハイブリダイズさせられる。プローブは、例えば、発色団、フルオロフォア、もしくは放射標識と接合されていてもよいし、または抗体もしくはビオチンのような結合パートナーと接合されていてもよい。
【0061】
当技術分野において公知の様々な核酸検出法は、各々参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,840,873号、第5,843,640号、第5,843,651号、第5,846,708号、5,846,717号、第5,846,726号、第5,846,729号、第5,849,487号、第5,853,990号、第5,853,992号、第5,853,993号、第5,856,092号、第5,861,244号、第5,863,732号、第5,863,753号、第5,866,331号、第5,905,024号、第5,910,407号、第5,912,124号、第5,912,145号、第5,919,630号、第5,925,517号、第5,928,862号、第5,928,869号、第5,929,227号、第5,932,413号、および第5,935,791号に開示されている。
【0062】
C. ハイブリダイゼーション
配列特異的核酸ハイブリダイゼーションアッセイは、遺伝学的異常、変異、および疾患傾向の指標としての特定の遺伝子配列の検出のために使用される。さらに、それらは、様々な生物学的媒介物および感染性病原体の検出のために使用される。本明細書において使用されるように、「ハイブリダイゼーション」、「ハイブリダイズする」、または「ハイブリダイズすることができる」とは、二本鎖もしくは三本鎖の分子、または部分的な二本鎖もしくは三本鎖の性質を有する分子の形成を意味するものと理解される。「アニールする」という用語は、本明細書において使用されるように、「ハイブリダイズする」と同義である。「ハイブリダイゼーション」、「ハイブリダイズする」、または「ハイブリダイズすることができる」という用語には、「ストリンジェントな条件」または「高ストリンジェンシー」という用語、および「低ストリンジェンシー」または「低ストリンジェンシー条件」という用語が包含される。
【0063】
本明細書において使用されるように、「ストリンジェントな条件」または「高ストリンジェンシー」とは、相補配列を含有している一つまたは複数の核酸鎖の間の、または核酸鎖内のハイブリダイゼーションを可能にするが、非相補配列のハイブリダイゼーションは妨げる条件である。そのような条件は、当業者に周知であり、高度の選択性を必要とする適用のために好ましい。ストリンジェントな条件には、約50℃〜約70℃の温度での約0.02M〜約0.15M NaClにより提供される、低塩および/または高温の条件が含まれ得る。所望のストリンジェンシーの温度およびイオン強度は、一部分、特定の核酸の長さ、標的配列の長さおよび核酸塩基含量、核酸の電荷組成、ならびにハイブリダイゼーション混合物中のホルムアミド、塩化テトラメチルアンモニウム、またはその他の溶媒の存在および濃度により決定されることが理解される。
【0064】
ハイブリダイゼーションのためのこれらの範囲、組成、および条件は、非限定的な例として述べられているに過ぎないこと、そして特定のハイブリダイゼーション反応のための所望のストリンジェンシーが、しばしば、一つまたは複数の陽性対照または陰性対照との比較により経験的に決定されることも、理解される。低ストリンジェンシー条件の非限定的な例には、約20℃〜約50℃の温度範囲で約0.15M〜約0.9M NaClで実施されるハイブリダイゼーションが含まれる。当然、特定の適用に適合させるため、低ストリンジェンシーまたは高ストリンジェンシーの条件をさらに修飾することは、当業者の技術の範囲内である。
【0065】
II. 核酸の検出
A. 標識
核酸を検出するためには、適切な検出系と組み合わせて核酸を利用することが有利であろう。プライマーへ組み入れられた認識モエティ、増幅中に増幅された産物へ組み入れられた認識モエティ、またはプローブに付着させられた認識モエティは、核酸分子の同定において有用である。フルオロフォア、発色団、ラジオフォア、酵素タグ、抗体、化学発光/電気発光標識、アフィニティ標識等のような、「レポーター」とも呼ばれる、多数の異なる標識が、この目的のために使用され得る。当業者は、これらの標識および本明細書中に述べられないその他の標識が、本発明において成功裡に使用され得ることを認識するであろう。アフィニティ標識の例には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:抗体、抗体断片、受容体タンパク質、ホルモン、ビオチン、ジゴキシゲン(digoxigen)、DNP、またはアフィニティ標識に結合する任意のポリペプチド/タンパク質分子。
【0066】
酵素タグの例には、少数を挙げるとすれば、ウレアーゼ、アルカリホスファターゼ、またはペルオキシダーゼのような酵素が含まれる。比色定量指標基質は、相補核酸含有試料との特異的なハイブリダイゼーションを同定するための、ヒトの眼に可視の、または分光測光的に可視の検出手段を提供するために利用され得る。これらの例は、全て、当技術分野において一般に公知であり、熟練した当業者は、本発明が上記の例に限定されないことを認識するであろう。
【0067】
フルオロフォアの例には、2,4-ビス[1,3,3-トリメチル-2-インドリニリデンメチル]シクロブテンジイリウム-1,3-ジオキソレートのような赤色蛍光スクアリン色素、2,4ビス[3,3-ジメチル-2-(1H-ベンズ[e]インドリニリデンメチル)]シクロブテンジイリウム-1,3-ジオキソレートのような赤外色素、または2,4-ビス[3,5-ジメチル-2-ピロリル]シクロブテンジイリウム-1,3-ジオロレートのような橙色蛍光スクアリン色素が含まれる。フルオロフォアの付加的な非限定的な例には、量子ドット、Alexa Fluor(登録商標)色素、AMCA、BODIPY(登録商標)630/650、BODIPY(登録商標)650/665、BODIPY(登録商標)-FL、BODIPY(登録商標)-R6G、BODIPY(登録商標)-TMR、BODIPY(登録商標)-TRX、Cascade Blue(登録商標)、Cy2(商標)、Cy3(商標)、およびCy5(商標)を含むが、これらに限定されないCyDye(商標)、DNAインターカレーティング色素、6-FAM(商標)、フルオレセイン、HEX(商標)、6-JOE、Oregon Green(登録商標)488、Oregon Green(登録商標)500、Oregon Green(登録商標)514、Pacific Blue(商標)、REG、フィコエリトリンおよびアロフィコシアニンを含むが、これらに限定されないフィコビリンタンパク質、Rhodamine Green(商標)、Rhodamine Red(商標)、ROX(商標)、TAMRA(商標)、TET(商標)、テトラメチルローダミン、またはTexas Red(登録商標)が含まれる。チラミド(PerkinElmer)のようなシグナル増幅試薬が、蛍光シグナルを増強するために使用されてもよい。
【0068】
FRETに基づく検出系は、本明細書に開示された方法および組成物で使用され得ることが企図される。FRET(蛍光共鳴エネルギー転移またはフェルスター共鳴エネルギー転移)は、ドナー発色団とアクセプター発色団との間のエネルギー転移を利用する。ある種の態様において、プライマーの捕獲複合体への付着により、ドナー発色団とアクセプター発色団との間のエネルギー転移によって、シグナルの増加が観察されるよう、一つの発色団はヘアピン配列またはブロッカーに付着させられ、もう一つの発色団は捕獲複合体に付着させられる。ドナー発色団およびアクセプター発色団の配置の様々な非限定的な例は、図4A〜4Eに示される。FRETに基づく検出は、特に、閉管リアルタイム検出系において、浮動型(free floating)発色団法と比較して、バックグラウンドを低下させ、従って、プライマーセットのより高度の多重化を可能にする。
【0069】
フルオロフォア/消光剤に基づく検出系も、本明細書に開示された方法および組成物で使用され得ることが企図される。消光剤およびフルオロフォアが相互に近接している時には、消光剤が、フルオロフォアにより生成されるシグナルを消光する。核酸分子のコンフォメーション変化により、フルオロフォアと消光剤とが分離され、フルオロフォアが蛍光シグナルを放射することが可能になる。フルオロフォアおよび消光剤の配置の様々な非限定的な例は、図5A〜5Bに示される。FRETに基づく検出と同様に、フルオロフォア/消光剤に基づく検出系は、特に、閉管リアルタイム検出系において、浮動型フルオロフォア法と比較して、バックグラウンドを低下させ、従って、プライマーセットのより高度の多重化を可能にする。
【0070】
B. 遺伝子チップおよびマイクロアレイ
本発明のある種の態様は固体支持体を含む。固体支持体は遺伝子チップまたはマイクロアレイのような平面アレイであり得る。アレイおよび遺伝子チップテクノロジーは、固体基質上に固定化された多様な一本鎖オリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズする能力について、多数の核酸試料を迅速にスクリーニングする手段を提供する。これらの技術には、多数の遺伝子を迅速かつ正確に分析するための定量的な方法が含まれる。そのテクノロジーは、ハイブリダイゼーションによりDNA試料をスクリーニングするために一本鎖DNAの相補結合特性を利用する(Pease et al.,1994;Fodor et al.,1991)。基本的に、アレイまたは遺伝子チップは、一本鎖のDNA分子またはRNA分子のアレイが付着させられた固体基質からなる。スクリーニングのためには、チップまたはアレイを、一本鎖のDNA試料またはRNA試料と接触させ、それを、ストリンジェントな条件の下でハイブリダイズさせる。次いで、どのプローブがハイブリダイズしたかを決定するため、チップまたはアレイをスキャンする。チップまたは平面アレイの上のプローブの同一性は、チップまたは平面アレイにおける空間的な位置(即ち、x座標、y座標)により既知となる。
【0071】
ポリヌクレオチドプローブを固体基質上で直接合成するか、またはポリヌクレオチドプローブを固体基質へ付着させる能力は、当技術分野において周知である。いずれも参照により明示的に組み入れられる、米国特許第5,837,832号および第5,837,860号を参照のこと。多様な方法が、プローブを基質に永久にまたは除去可能に付着させるために利用されている。例示的な方法には、以下のものが含まれる:ビオチン化された核酸分子の、アビジン/ストレプトアビジンによりコーティングされた支持体への固定化(Holmstrom,1993)、短い5'リン酸化されたプライマーの、化学的に修飾されたポリスチレンプレートへの直接の共有結合性の付着(Rasmussen et al.,1991)、またはポリL-LysもしくはポリL-Lys,Pheによるポリスチレン固相もしくはガラス固相のプレコーティング、それに続く、二官能性架橋試薬を使用した、アミノもしくはスルフヒドリルにより修飾されたオリゴヌクレオチドの共有結合性の付着(Running et al.,1990;Newton et al.,1993)。基質へ固定化された時、プローブは安定化され、従って、繰り返し使用され得る。一般に、ハイブリダイゼーションは、ニトロセルロース、ナイロン膜、またはガラスのような固体表面に付着させられた固定化された核酸標的またはプローブ分子に対して実施される。補強されたニトロセルロース膜、活性化された石英、活性化されたガラス、フッ化ポリビニリデン(PVDF)膜、ポリスチレン基質、ポリアクリルアミドに基づく基質、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(ジメチルシロキサン)、(標的分子との共有結合を形成することができるニトレン、カルベン、およびケチルラジカルのような光反応性種を含有している)フォトポリマーのようなその他のポリマーを含む、多数のその他のマトリックス材料が使用されてもよい。
【0072】
C. ビーズアレイ
いくつかの態様において、固体支持体はマイクロスフェアであり得る。マイクロスフェアに基づくアッセイも、当業者に公知のテクノロジーにより分析され得る。例えば、ある種の態様において、Luminex xMAP(登録商標)テクノロジーが使用され得る。Luminexテクノロジーは、蛍光的にコード化されたマイクロスフェアに固定化された核酸産物の検出を可能にする。二つのスペクトル的に区別される蛍光色素により、各々10の異なる強度で、マイクロスフェアを染色することにより、100の蛍光的に区別されるマイクロスフェアの集団が生成される。これらの個々の集団(セット)は、個々の検出配列を表すことができ、各セット上のハイブリダイゼーションの大きさが個々に検出され得る。ハイブリダイゼーション反応の大きさは、典型的には、第三のスペクトル的に区別されるフルオロフォアである、第三のレポーターを使用して測定される。レポーター分子は、マイクロスフェア上の分子に付着することにより反応の程度についてのシグナルを発する。マイクロスフェアおよびレポーター分子の両方が標識されているため、デジタルシグナル処理は、各反応について、シグナルの定量的データへのリアルタイムの翻訳を可能にする。Luminexテクノロジーは、例えば、全て参照により具体的に組み入れられる、米国特許第5,736,330号、第5,981,180号、および第6,057,107号に記載されている。
【0073】
フローサイトメトリーは、マイクロスフェアに基づくアッセイにおいて、同時の配列同定およびハイブリダイゼーション定量化のために使用され得る。マイクロスフェア内の内部色素が、フローサイトメトリーにより検出され、マイクロスフェアが連結されている特定の核酸配列を同定するために使用される。標的核酸分子上の標識も、フローサイトメトリーにより検出され、標的のマイクロスフェアとのハイブリダイゼーションを定量化するために使用される。フローサイトメトリーの方法は、当技術分野において周知であり、例えば、全て参照により具体的に組み入れられる、米国特許第5,981,180号、第4,284,412号;第4,989,977号;第4,498,766号;第5,478,722号;第4,857,451号;第4,774,189号;第4,767,206号;第4,714,682号;第5,160,974号;および第4,661,913号に記載されている。
【0074】
マイクロスフェアは、実質的に平面のアレイの上に分布したビーズおよびアナライトを画像化するアレイプラットフォームで分析されてもよい。この方式において、ビーズアレイの画像化は、上述の遺伝子チップに類似している。しかしながら、アナライトがアレイにおける空間的な位置により同定される遺伝子チップとは対照的に、ビーズアレイは、典型的には、それが結合しているコード化されたマイクロスフェアによりアナライトを同定する。市販されているビーズアレイ系の例には、IlluminaのBeadXpress(商標)ReaderおよびBeadStation 500(商標)が含まれる。
【0075】
D. 競合結合アッセイ
本発明の態様は、競合結合アッセイフォーマットと併せて使用されてもよい。一般に、このフォーマットは、固体表面に連結された配列と、溶液中の、固体表面に連結された配列に相補的な標識された配列とを含む。このフォーマットでは、アッセイされる試料の中の標的配列を標識する必要はない。むしろ、標的配列の試料中の存在は、それが、固定化された検出配列とのハイブリダイゼーションについて、標識された相補鎖と競合するため、検出される。従って、標的配列が試料中に存在する場合、標的配列を欠く試料と比較して、シグナルは減少する。上記のLuminex xMAPテクノロジーは、競合結合アッセイフォーマットにおいて使用され得る。競合結合アッセイフォーマットにおけるLuminexテクノロジーの使用は、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,736,330号および第6,057,107号に記載されている。
【0076】
E.タグ配列
上述のように、本発明の様々な局面は、相補的なタグ配列(即ち、タグおよびアンチタグ)を使用する。プライマー、プローブ配列、標的配列等に連結されているタグ相補鎖と特異的にハイブリダイズさせるために使用され得る、固体支持体に付着させられたオリゴヌクレオチドタグの使用を含む、多数のアプローチが開発されている。クロスハイブリダイズしないタグ配列およびアンチタグ配列の適切な選択は、アッセイ、特に、ストリンジェントなクロスハイブリダイズしない挙動を必要とする、高度にパラレルなハイブリダイゼーション環境におけるアッセイにおいて有用である。
【0077】
核酸ハイブリッド形成のある種の熱力学的特性が、タグ配列およびアンチタグ配列の設計において考慮される。Tmとして公知の、オリゴヌクレオチドが相補配列と二重鎖を形成する温度(核酸二重鎖の50%が解離する温度)は、正準対A-TおよびG-Cの水素結合エネルギー(GCまたは塩基組成に反映される)、スタッキングの自由エネルギーを含み、より少ない程度に、最近接相互作用を含む、多数の配列依存的な特性によって変動する。これらのエネルギーは、ハイブリダイゼーションアッセイにおいて典型的に使用されるオリゴヌクレオチドの間で広く変動する。例えば、標準的な条件の下での、24ヌクレオチドから構成された二つのプローブ配列(一方は40%GC含量、他方は60%GC含量)の相補的な標的とのハイブリダイゼーションは、理論的には、融解温度の10℃の差を有し得る(Mueller et al,1993)。ハイブリダイゼーションにおける問題は、セットのオリゴヌクレオチド配列全ての正確なハイブリダイゼーションにとって最適でない、単一のハイブリダイゼーション温度を含むハイブリダイゼーション条件の下でハイブリッドが形成させられる時に起こる。非相補プローブのミスマッチハイブリダイゼーションが起こり、測定可能なミスマッチ安定性を有する二重鎖が形成され得る(Santalucia et al.,1999)。オリゴヌクレオチドの特定のセットにおける二重鎖のミスマッチングは、ミスマッチが、その特定のセットの最も不安定な正確な二重鎖より高いTmをもたらす、二重鎖安定性の減少をもたらすハイブリダイゼーション条件の下で起こり得る。例えば、ハイブリダイゼーションが、ATリッチな完全マッチ二重鎖配列にとって好都合な条件の下で実施される場合、正確に形成されたATリッチ二重鎖よりさらに高い融解温度を有するミスマッチ塩基を含有しているGCリッチ二重鎖配列がハイブリダイズする可能性が存在する。従って、多重ハイブリダイゼーション反応において使用され得るオリゴヌクレオチド配列のファミリーの設計は、設計されたオリゴヌクレオチドセットにおけるクロスハイブリダイゼーション挙動を低下させるかまたは排除するであろうオリゴヌクレオチドおよび二重鎖形成の熱力学的特性についての考慮を含んでいなければならない。
【0078】
多重ハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用するためのタグ配列およびアンチタグ配列を選択するためには、多数の異なるアプローチが存在する。アドレス可能なアレイにおいてジップコードまたはタグとして使用され得る配列の選択は、Brennerらにより採用されたアプローチにおいて特許文献に記載されている(参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,654,413号)。Chetverinら(参照により本明細書に組み入れられる、WO93/17126、米国特許第6,103,463号および第6,322,971号)は、核酸を分取し調査するための、区分されたバイナリーオリゴヌクレオチドアレイを開示している。これらのアレイは、いずれも共有結合性の結合モエティにより固体支持体に結合している、隣接した可変ヌクレオチド配列に付着した不変ヌクレオチド配列を有する。サブユニットに基づくタグの設計において使用されるパラメーターは、Baranyら(参照により本明細書に組み入れられるWO9731256)に記述されている。多重配列決定法は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,942,124号に記載されている。この方法は、タグ配列が相互に異なる少なくとも2種のベクターを使用する。
【0079】
参照により本明細書に組み入れられる米国特許第7,226,737号は、210種のクロスハイブリダイズしないタグおよびアンチタグのセットを記載している。参照により本明細書に組み入れられる、公開された米国出願第2005/0191625号は、最小限のクロスハイブリダイゼーションで、相補配列と正確にハイブリダイズする証明された能力を有する1168種のタグ配列のファミリーを開示している。
【0080】
オリゴヌクレオチドタグ配列またはアンチタグ配列の集団は、直接化学合成、化学的連結、ライゲーション、増幅等を含むが、これらに限定されない、いくつかの異なる方式で、プライマーまたはその他のポリヌクレオチド配列の集団に接合され得る。プライマー配列を含んで合成された配列タグは、例えば、PCR増幅において、標的上のプライマーの酵素的伸長のために使用され得る。オリゴヌクレオチドタグ配列またはアンチタグ配列の集団は、例えば、支持体の表面上の界面化学により、固体支持体に接合され得る。
【0081】
F. ブロッカーモエティ
ブロッカーモエティは、第二鎖合成中にポリメラーゼがタグ配列領域を通って伸長するのを防止し、従って、タグ配列が、増幅中に一本鎖であり続け、従って、捕獲複合体内の相補アンチタグ配列に自由にハイブリダイズし得ることを可能にする。
【0082】
ブロッカーモエティとは、第一のヌクレオチド配列と第二のヌクレオチド配列との間に結合(例えば、共有結合)した時に、第一のヌクレオチド配列および第二のヌクレオチド配列の両方ではなく、第一のヌクレオチド配列または第二のヌクレオチド配列のいずれかの伸長を阻害し、好ましくは、防止するのに効果的である任意のモエティをさす。ブロッカーモエティとして使用され得る多数の分子が存在する。ブロッカーモエティの非限定的な例には、C6〜20直鎖型アルキレンおよび(18原子ヘキサエチレングリコールである)iSp18が含まれる。ブロッカーモエティには、例えば、3'-フラノシル結合を介して、または、好ましくは、2'-フラノシル結合を介して、隣接ヌクレオチドと結合していてもよい、少なくとも一つのデオキシリボフラノシルナフタレンモエティまたはリボフラノシルナフタレンモエティが含まれ得る。ブロッカーモエティは、標的特異的配列と反対方向のオリゴヌクレオチド配列であってもよい。様々なブロッカーモエティおよびそれらの使用が、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,525,494号に記載されている。
【実施例】
【0083】
III. 実施例
以下の実施例は、本発明のある種の態様を示すために含まれる。当業者は、当開示を考慮すれば、開示された具体的な態様に多くの変化を施しても、本発明の本旨および範囲を逸脱することなく、同様のまたは類似の結果を入手し得ることを認識するべきである。
【0084】
A. 実施例1
タグ領域およびアンチタグ領域を含むヘアピン形成プライマーを、タグ領域を含むがアンチタグ領域は含まない非ヘアピン形成プライマーと比較するため、並行研究を実施した。これらの「タグ付き」プライマーを、順方向プライマーとして使用した。Cy3標識された逆方向プライマー(400nM)を、それぞれの順方向プライマー(ヘアピン形成または非ヘアピン形成)および検出ビーズと共に添加した後、PCR増幅を行った。標的は、血栓形成傾向遺伝子MTHFRエキソン7であった。27サイクルの後、試料を、緩衝液またはレポーターを他に添加することなく(従って、模擬閉管検出フォーマットを表す)、室温においてLX200(Luminex Corp.)で分析した。
【0085】
順方向プライマーは以下の通りであった:
Cy3標識された逆方向プライマーの配列は以下の通りであった:
【0086】
12snapおよび12isoSNAPは、12snapはiSp18ブロッカーを含有し、12isoSNAPはisodCブロッカーを含有している点で相互に異なった。12snapおよび12isoSNAPは、Visual OMPソフトウェアにより、溶液(37℃;[一価]=0.0500モル/L;[Mg2+]=0.0015モル/L;[ベタイン]=1.00モル/L)中で99.9%の時間、ヘアピンコンフォメーションにあると計算された。Snap1は、12snapのように12塩基ではなく、ヘアピン内の相補アンチタグとハイブリダイズする24塩基のタグを有していた点を除き、12snapに類似していた。NoSnapは、12snapと同じ長さであったが、ヘアピン構造を有しなかった。TIFプライマーは、タグ配列を含んでいたが、相補アンチタグ配列を含んでいなかった。
【0087】
全てのPCR反応を同一のカクテルにおいて実施した。これらを、27サイクルの増幅および36サイクルの増幅の後に分析した。PCRカクテルは、以下の濃度および試薬を使用して調製された:
(表1)
【0088】
これらの製剤を、下流プライマー:
と共に使用した。
【0089】
プライマーは各々400nM濃度であった。この反応のためのサイクリング条件は以下の通りであった:
熱変性工程;95℃5分。
サイクリング工程(36サイクル):94℃30秒、55℃30秒、72℃30秒。
【0090】
増幅後、全ての反応が完了するまで、反応物を保管し、次いで、v底プレートに置き、96℃3分および37℃12分の後、Luminex 200アナライザーで分析した。
【0091】
結果は、下記表2に示される。アナライト27は、ビーズに連結されたアンチタグ領域を有する陽性ビーズセットである。アナライト33は、ビーズに連結された非特異的配列を有する陰性対照である。中央値が示される。
【0092】
(表2)
【0093】
27サイクル目における、12snapプライマーからのシグナル(58および53のMFI)が、NoSnapプライマーからのシグナル(20および26.5のMFI)と比較して高いことは、12snapプライマーが、折り畳まれていると想定されている時に折り畳まれており、過剰のプライマーが予想される反応段階において、ハイブリダイゼーションに干渉していないことを示す。
【0094】
B. 実施例2
実施例1に記載された27サイクルまでの増幅の後、最初の増幅に用いたのと同じ順方向プライマー(400nM)をさらに試料に追加する、もう一つの研究を実施した。未伸長ヘアピンプライマーが、ビーズとのハイブリダイゼーションに干渉するか否か、およびTIFプライマーが、ハイブリダイゼーションに干渉するか否かを試験するため、ハイブリダイゼーション前、増幅後に、過剰のプライマーの添加を行った。干渉が存在するのであれば、追加されたプライマーが、MFI値を減少させるであろうと予想される。
【0095】
(表3)
【0096】
表3および図6に示されるように、過剰のTIFプライマーが添加された時、TIFプライマー試料についてのMFIは最初の値の68%まで低下したが、過剰の12snapプライマーが添加された時、12snapプライマーは最初の値の92%までしか低下しなかった。12snapプライマーにより観察されたシグナルのわずかな低下は、12塩基対しかヘアピン形成に利用可能でないため、これらのプライマーによるヘアピン構造形成が不完全であるためであり得る。
【0097】
C. 実施例3
付加的な量のTIFプライマーまたは12snapプライマーによりシグナルが増加または減少するか否かを決定するため、27サイクルで中止させたPCR反応において、変動する量のプライマー濃度を試験した。結果は、下記表4および5に示される。
【0098】
(表4)12snapプライマー
【0099】
(表5)TIFプライマー
【0100】
データは、ヘアピンプライマーでは、濃度を増加させることにより、より高いシグナルを獲得することができるが、TIFプライマーを増加させても、より高いシグナルは入手され得ないことを示す。これは、ヘアピンプライマーが、TIFプライマー程、ビーズとのハイブリダイゼーションに干渉しないことを示す。
【0101】
D. 実施例4
(1)Cy3標識された逆方向プライマーが順方向プライマーとハイブリダイズしないこと;および(2)プライマーダイマーが形成されないこと:を確認するため、二つの付加的な研究を実施した。
【0102】
プライマー(Cy3標識された逆方向プライマーおよび12snapまたはTIFのいずれか)を、PCR溶液中でアンチタグ付きビーズと混合し、96℃で3分間、続いて37℃で12分間、加熱した。表6に示されるように、いずれの順方向プライマーに対しても逆方向プライマーの非特異的な結合は検出されなかった。
【0103】
(表6)
【0104】
プライマーダイマーの形成についてチェックするため、上流プライマー12snapおよびTIF、ならびにCy3標識された逆方向プライマーを用いたPCR反応を、鋳型の非存在下で実施した。反応は、96℃3分および37℃12分のハイブリダイゼーションプロトコルの後、RD18でデュプリケートで実行された。表7に示される結果は、プライマーダイマーが形成されビーズとハイブリダイズすることはなかったことを示す。
【0105】
(表7)
【0106】
E.実施例5
ヘアピン内に16残基ステムおよび14残基ステムの構造を形成する順方向プライマーも、研究した。付加的なタグ付き非ヘアピン形成プライマーTIFも、これらの研究に含めた。
【0107】
16snapおよび14snapを、プライマー領域に相補的なオリゴを使用したPCR反応およびPCR溶液において試験した。以下のPCRセットアップを、追加のMgCl2が添加されないQiagen Hotstartマスターミックスにおいてオリゴを試験するために設計した。
【0108】
(表8)
【0109】
反応を27サイクルで中止させ、96℃で2分間、続いて、37℃で12分間、ハイブリダイズさせた。結果は以下の通りであった:
【0110】
(表9)
【0111】
表9からのデータは、図7にグラフでも表される。16snapプライマーおよび14snapプライマーは、12snapより低いシグナルを生じた。それらは、TIFよりも低いシグナルを生じた。Qiagen Hotstartマスターミックス中のポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性が、16snapプライマーおよび14snapプライマーのステム構造を分解したと仮定された。従って、27サイクルで中止させたもう一つのPCRを、exo(-)ポリメラーゼapta taqを使用して実施した。このPCRのためのカクテルは以下の通りであった:
【0112】
(表10)
【0113】
apta taqを用いた反応の結果は以下の通りであった:
(表11)
【0114】
表11からのデータは、図8にグラフでも表される。ヘアピン形成プライマー(16snap、14snap、および12snap)は、全て、非ヘアピン形成プライマー(TIF)より有意に高性能であった。
【0115】
F. 実施例6
apta taq PCRにおける上記のPCRカクテルを、16snapプライマー、14snapプライマー、12snapプライマー、およびTIFプライマーの各々について、プライマー領域に相補的な標識されたオリゴをハイブリダイズさせるためのハイブリダイゼーション緩衝液として使用した。表12に示されるように、16snapプライマー、14snapプライマー、および12snapプライマーのヘアピン構造は、ビーズとハイブリダイズする能力を大きく阻害した。
【0116】
(表12)
【0117】
G. 実施例7
プロトロンビン遺伝子の増幅のためのオリゴも作成した。これらのオリゴは以下の通りであった:
【0118】
ビーズPTオリゴをビーズセット29に連結させた。上記MTHFR研究からのアナライト33およびアナライト27のビーズセットを、陰性対照として使用した。
【0119】
順方向プライマー(PT TIFおよび12SNAP/ptu)を除き、全て同じ試薬を共有している2種のPCRカクテルを調製した。各条件について、鋳型なしの対照、および三つの鋳型が添加された試料を添加した。PCRカクテルは表13に示される。結果は表14に示される。
【0120】
(表13)
【0121】
(表14)
【0122】
表14の結果から、以下のPCRプロトコルを用いた400nMプライマー濃度を使用した27サイクルの後、12SNAP/ptuプライマーのシグナルの差が、PT TIFプライマーの約2倍であることが分かる:97℃5分;(97℃30秒;55℃30秒;72℃30秒)×27サイクル;続いて、72℃7分。これらの結果は、多重反応へと組み合わせられた場合、PTプライマーがMHFTRプライマーセットとクロスハイブリダイズしないであろうことも証明した。
【0123】
H. 実施例8
(DeepVentエキソ(-)ポリメラーゼを含む)PCRカクテルを、各プライマーセットについて16のアリコートへ分割する、偽リアルタイムPCRを実施した。各サイクルにおけるシグナルレベルを測定するため、各アリコートを進行的なサイクルでサーマルサイクラーから取り出した。これを高速2段階PCR反応を使用して行い、全部で36サイクルのPCRプロトコルの終了時に室温でLX200(Luminex)でアリコートを測定した。
【0124】
図9に示されるように、PT TIFプライマーについての29サイクル(58分)と比較して、12SNAP/ptuプライマーについては、わずか22サイクル(44分)でシグナルが観察可能となった。観察可能なシグナルをより早く生じることに加えて、ヘアピン形成プライマーはより高感度でもあったことが、図9から分かる。サイクル22で、PT TIFプライマーのシグナルは、12SNAP/ptuプライマーと比較してわずか16%であり、ピークサイクル33でもわずか75%であった。
【0125】
I. 実施例9
実験の期間中、スライド上に直接レンズおよびhex-イルミネーターを有するガラススライドで、リアルタイムPCR実験を実施した。ガラススライドチャンバーを構築し、ガラスをDMDCSを使用して化学的に修飾した後、ポリアデニル酸カリウム塩へ浸漬した。ガラススライドおよびカバーガラスを、インサイチューPCRキットを使用して、粘着性ガスケット(BioRad)とつなぎ合わせた。これらを、スライドグリドル(griddle)が装備されたBioRad DNA Engineサーマルサイクラーに置いた。この特定のスライドグリドルは、96ウェルのうちの1ウェルの上で直接、それに空けられた孔を有していた。露出したウェルは黒く塗られた。バックグラウンド反射光を低下させるため、ガラスチャンバーを、グリドル内の孔の上に直接置いた。CCDカメラおよび光源をDNA Engineサーマルサイクラーに連結することにより、リアルタイムPCRユニットを構築した。hex-イルミネーターを、ガラススライドの上に直接置き、PCR反応の期間中、そこに残した。以下のカクテルを、25μL容量ガラスチャンバーに置いた:
(表15)
【0126】
以下のPCRサイクリング条件を実行した:(1)97℃5分;(2)105℃15秒;(3)96℃30秒;(4)50℃5秒;(5)68℃30秒;(6)5回2に戻る;(7)15℃10秒;(8)24℃5分;(9)6回2に戻る;(10)終了。これらの条件は、グリドルの加熱遅延を考慮した追加の勾配時間を含んでいた。
【0127】
24℃で、5サイクル毎の間隔で、正確に4分目に、ビーズの画像を取得した。ガラスチャンバーはランの間に撹拌されなかった。データは表16および図10に示される。
(表16)
【0128】
J. 実施例10
反対鎖の伸長により、標識されたユニバーサルプローブに結合するユニバーサルタグ配列を含有しているプライマーにおいて使用される、ヘアピンのステム領域の長さの最適化を評価した。逆方向プライマーヘアピンステム領域の長さ、およびユニバーサルレポータープローブの長さの最適の長さを見出すため、異なるステム長を有する一連のプライマー、および異なる長さを有するユニバーサルレポータープローブを、比較のために反応させた。
【0129】
これらの反応において、11残基、14残基、16残基、および0残基のステム長を有する逆方向ヘアピンプライマーを使用した。これらを、これらのヘアピンプライマーの各々の標的特異的プライマー領域に相補的なプローブに連結されたビーズとハイブリダイズさせた。各50uL反応物は、以下のものを含有していた:
8mM MgCl2
1×Qiagen PCR緩衝液
5000個のビーズ
200nMのプライマー
200nMのユニバーサルレポータープローブ
【0130】
全ての試薬を95℃で5分間、続いて37℃で15分間、ハイブリダイズさせた。次いで、Luminex磁性ビーズを、Luminex Lx200アナライザーで分析した。
【0131】
以下のオリゴをこの反応において使用した:
【0132】
(表17)
【0133】
この研究の目標は、プライマーのヘアピン領域が、標識されたユニバーサルプローブの存在下で、閉じた状態を維持するが、標識されたユニバーサルプローブの存在下で、二本鎖アンプリコン産物が形成された後は、開いた状態を維持するような、プライマー/プローブ対を見出すことであった。ヘアピンが二本鎖産物の形成後に開いた状態を維持することを確実にするため、本発明者らは、ヘアピンモノマーが、閉じた状態を維持するよう十分に強く、二本鎖産物および標識されたユニバーサルプローブの存在下では開いた状態を維持するよう十分に弱い結合エネルギーを有するようなプライマー/プローブ対を選んだ。そのような対は、この研究において、開いた状態の点に近づかなければならないであろう。最適な対は、Snap11revNei/Univlabeled13対と同定された。低いMFIは、それが閉じた状態にあることを示すが、より長い標識されたユニバーサルプローブが使用された場合、40〜43 MFIにより示されるように、ヘアピンのうちのいくつかは開くため、この対を、その後のPCR反応において使用するために選んだ。これは、Snap11revNei/Univlabeled13が、閉じているが、いくつかは開くであろう点に近いことを示す。
【0134】
K. 実施例11
リアルタイム定量的PCRにおける髄膜炎菌DNA(ATCC700532D-5)の希釈系列を、閉管において実施した。この実験は、鋳型DNAの変動するインプット濃度を区別するために、定量的リアルタイムPCRを実施する能力を証明した。PCRカクテルは、各25uL反応物が以下のものを含有するよう調製された:
8mM MgCl2
1×Qiagen PCR緩衝液
各領域の5000個のビーズ
200nMのプライマー
200nMのユニバーサルレポータープローブ
【0135】
髄膜炎菌DNAの試料を、密封されたガラスチャンバーを使用してリアルタイムで増幅し、スライドグリドルが取り付けられたサーマルサイクラーに置いた。これらの反応は、実施例11と同様に実施された。第一の密封されたチャンバーは100万コピー、第二のチャンバーは100,000コピー、第三のチャンバーは10,000コピーの髄膜炎菌DNAを含有していた。
【0136】
二つのビーズセットを、この実験において使用した。一方のビーズセット(セット2)は、順方向プライマー(Snap12fwdShrtNei)のタグ領域に相補的なプローブ(BeadTag Nei)に連結されていた。もう一方のビーズセット(セット1)は、反応物中のいずれに対してもハイブリダイズする特異性を有しないプローブ(BeadTag antiList)に連結されていた。セット1は、反応物中の非特異的シグナルをモニタリングし、かつ取得された各画像についての光強度の差を考慮するための、ノーマライゼーションおよびバックグラウンド差し引きのツールとして作用するよう使用された。
【0137】
各サイクルについての各ビーズセットについてのデータが以下に与えられる。三つ全ての反応において、各時点についての各ビーズセット1についての平均MFIは、3931 MFIであった。非特異的ビーズセット(セット1)を3931 MFIにより割ることにより、ノーマライゼーション係数を作出するため、この平均値を使用した。各生データポイントを、各時点に特異的なこのノーマライゼーション係数により割った。ノーマライゼーションの後、髄膜炎菌を検出するための特異的ビーズセット(セット2)のノーマライズされたMFIから、セット1のノーマライズされたMFIを差し引いた。この計算は、各時点についてのセット2についての正味のノーマライズされたMFIをもたらした。データは、下記表に与えられる。
【0138】
(表18)
【0139】
このデータのグラフ(図11)は、定量化を可能にする、髄膜炎菌のインプット濃度の各々の明瞭な鑑別を示す。
【0140】
L. 実施例12
以下の結果は、病原体の検出のためのヘアピン形成プライマーを多重化する能力を証明する。髄膜炎菌、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、およびインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)を検出するための三重髄膜炎アッセイを設計した。3種のプライマーセットを同一反応物中に多重化した。アッセイの特異性を証明するため、別々の細菌種からのゲノムDNAを、個々の反応物中に置いた。
【0141】
以下のプライマー配列およびプローブ配列を、IDTに注文し使用した。
プライマーセット1:
プライマーセット2:
プライマーセット3:
ビーズに連結されたプローブ:
【0142】
以下の容量(μL)を各PCRカクテルにおいて使用した:
(表19)
【0143】
PCR材料:(Roche)Apta Taq delta exo DNAポリメラーゼ、グリセロール不含、50U/ul−試料2、5KU(100ul);(Roche PN:13409500)MgCl2不含PCR緩衝液、10×濃度;(Invitrogen PN:18427-088)10mM dNTPミックス。
【0144】
サーマルサイクリングパラメーター:97℃4分;次いで、(97℃30秒、62℃30秒)を35サイクル;次いで、72℃7分。
【0145】
各ビーズセットは、Luminexの推奨するEDC連結法を使用して、それぞれのプローブ配列を連結することにより、Luminex MagPlex-C磁性マイクロスフェアを使用して、予め調製された。
【0146】
以下のゲノムDNA試料を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)(ATCC)から入手した:
【0147】
(表20)
【0148】
PCR反応の後、試料を2分間95℃に加熱し、8分間室温に置いた後、Luminex 200アナライザーで分析した。各ビーズセットについて100のビーズ事象を収集し、各反応における各ビーズセットについて中央蛍光強度(MFI)値を導き出した。以下のMFI値が各試料について入手された:
【0149】
(表21)
【0150】
これらの結果は、ヘアピンプライマーの多重の能力を証明する。
【0151】
異なる細菌種に特異的な標的であるプライマーセットの部分は、以下の公に入手可能な参照から入手された:
髄膜炎菌:
リステリア菌:
インフルエンザ菌:
【0152】
本明細書および特許請求の範囲に開示された組成物および方法は、全て、当開示を考慮すれば、過度の実験なしに作成され実行され得る。本発明の組成物および方法が好ましい態様に関して記載されたが、本発明の概念、本旨、および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された組成物および方法ならびに方法の工程または工程の順序に変動が施されてもよいことは、当業者には明白であろう。より具体的には、化学的にも生理学的にも関連しているある種の薬剤が、本明細書に記載された薬剤の代わりに用いられても、同一または類似の結果が達成され得ることが明白であろう。当業者に明白なそのような類似の代替物および修飾は、全て、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の本旨、範囲、および概念に含まれるものと見なされる。
【0153】
参照
以下の参照は、それらが本明細書に示されたものを補足する例示的な手順またはその他の詳細を提供するという程度に、参照により具体的に本明細書に組み入れられる。
【図1A】
【図1B】
【技術分野】
【0001】
本願は、その全体が参照により組み入れられる、2009年6月29日出願の米国仮出願第61/221,271号に基づく優先権を主張する。
【0002】
1. 発明の領域
本発明は、一般に、遺伝学および分子生物学の領域に関する。より具体的には、核酸の増幅および検出のための方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
2. 関連技術分野の説明
核酸の増幅および検出の技術は、変異および多形についてのDNA試料の分析において高頻度に利用されている。それらは、DNAまたはRNAの分析による、感染性病原体であるものを含む細菌、ウイルス、および真菌の検出およびタイピングにおいても利用されている。対立遺伝子特異的PCR(AS-PCR)および対立遺伝子特異的プライマー伸長(ASPE)のようなアプローチは、異型ヌクレオチドを含有している配列または野生型ヌクレオチドを含有している対応する配列のいずれかのプライマー伸長を選択的に達成するよう選択されたオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、変異および多形を検出する。そのようなアプローチは、例えば、米国第5,595,890号(特許文献1)、第5,639,611号(特許文献2)、および第5,137,806号(特許文献3)に記載されており、それらの開示は参照により組み入れられる。
【0004】
参照により組み入れられる米国出願第12/262,842号(特許文献4)は、上述の対立遺伝子特異的プライマー伸長(ASPE)法および対立遺伝子特異的PCR(AS-PCR)法のような方法による遺伝子分析を単純化することができる方法および組成物を記載している。ある種の態様において、'842号出願は、「一工程」アッセイのための方法において、標的特異的配列の5'にタグ配列を有するプライマー、およびプライマーのタグ配列に相補的なアンチタグ配列を含む捕獲複合体を利用する。'842号出願は、その一工程増幅検出法が、現在市販されているLuminex Tag-It(登録商標)テクノロジープラットフォームにおける複数のアッセイ工程を、一工程に低下させ得ることを開示している。
【0005】
上述の技術の有用性にも関わらず、プライマー濃度のより少ない最適化を必要とし;より迅速な結果を提供し;DNA結合色素を使用した時、より低い非特異的バックグラウンドおよびより高い特異的シグナルを有し;一般に、より高感度の検出を提供し;産物/標的濃度のより完璧な表示を提供し;かつプライマーセットのより高度の多重化を可能にするアッセイを提供することができる、より優れた核酸の増幅および検出の方法が、必要とされている。本発明の方法および組成物は、下記のように、これらの必要性を満たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国第5,595,890号
【特許文献2】米国第5,639,611号
【特許文献3】米国第5,137,806号
【特許文献4】米国出願第12/262,842号
【発明の概要】
【0007】
本発明の方法および組成物は、核酸の増幅、検出、および遺伝子型決定の技術を提供する。一つの態様において、本発明は、標的特異的プライマー配列;標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;およびアンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー:を含む核酸分子を提供する。
【0008】
もう一つの態様において、本発明は、マイクロスフェア;マイクロスフェアに共有結合で付着した第一のアンチタグ核酸;第一のアンチタグ核酸とハイブリダイズしたタグ核酸;タグ配列の3'に共有結合で付着したブロッカー;ブロッカーの3'に共有結合で付着した、第一のアンチタグ核酸と同一の配列を有する第二のアンチタグ核酸;第二のアンチタグ核酸の3'に共有結合で付着した標的特異的核酸;ならびにアンチタグ核酸および標的特異的核酸の配列に相補的な配列を含む、第二のアンチタグ核酸および標的特異的核酸とハイブリダイズした核酸分子:を含む組成物を提供する。
【0009】
もう一つの態様において、本発明は、(a)(i)第一の標的特異的プライマー配列;(ii)標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;(iii)アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;および(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー:を含む、プライマー対の第一のメンバーである第一の核酸分子と;(b)(i)第二の標的特異的プライマー配列;(ii)標的特異的プライマー配列の5'にあるユニバーサルアンチタグ配列;(iii)アンチタグ配列の5'にあるユニバーサルタグ配列;および(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー:を含む、プライマー対の第二のメンバーである第二の核酸分子と;(c)(i)ユニバーサルタグ配列に相補的なユニバーサルアンチタグ配列;および(ii)標識:を含む第三の核酸分子と:を含む組成物を提供する。
【0010】
他の態様において、本発明は、各プライマー対が、(a)(i)第一の標的特異的プライマー配列;(ii)標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;(iii)アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;および(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー:を含む第一の核酸分子と;(b)(i)第二の標的特異的プライマー配列;(ii)標的特異的プライマー配列の5'にあるユニバーサルアンチタグ配列;(iii)アンチタグ配列の5'にあるユニバーサルタグ配列;および(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー:を含む第二の核酸分子と;(c)(i)ユニバーサルタグ配列に相補的なユニバーサルアンチタグ配列;および(ii)標識:を含む標識されたユニバーサルアンチタグ分子と:を含む、複数の異なる標的配列の増幅のための複数のプライマー対を含む組成物を提供する。
【0011】
(a)(i)第一の標的特異的プライマー配列;(ii)標的特異的プライマー配列の5'にあるユニバーサルアンチタグ配列;(iii)アンチタグ配列の5'にあるユニバーサルタグ配列;および(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー:を含む、プライマー対の第一のメンバーである第一の核酸分子と;(b)(i)第二の標的特異的プライマー配列;(ii)標的特異的プライマー配列の5'にあるユニバーサルアンチタグ配列;(iii)アンチタグ配列の5'にあるユニバーサルタグ配列;および(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー:を含む、プライマー対の第二のメンバーである第二の核酸分子と;(c)(i)第一および第二の核酸分子のユニバーサルタグ配列に相補的なユニバーサルアンチタグ配列;ならびに(ii)標識:を含む第三の核酸分子と:を含む組成物。
【0012】
一つの態様において、本発明は、5'から3'へ、24ヌクレオチド塩基のタグ領域、内部C18ブロッカー、タグ領域の一部に相補的な可変長配列、および可変長であり得る標的特異的プライマー領域を含む核酸分子を提供する。タグ領域の一部に相補的な配列の長さおよび組成は、緩衝液組成、ハイブリダイゼーション条件、およびタグ領域の配列に応じて最適化され得る。最適には、タグ領域の相補配列への結合によって、増幅中の第二鎖合成の前には、閉じたヘアピンフォーメーションを維持するために十分な熱力学的安定性を有するヘアピン構造が形成されるべきであるが、エネルギーバリアは、第二鎖合成中のヘアピン構造の破壊を可能にするために十分に低くあるべきである。
【0013】
本明細書に記載されるヘアピン形成核酸分子のタグ領域およびアンチタグ領域は、同一の長さであってもよいし、または異なる長さであってもよい。例えば、タグ領域およびアンチタグ領域が両方とも24ヌクレオチド長であってもよいし、または一方の領域が24ヌクレオチド長であって、もう一方の領域がより短くてもよい(例えば、8〜16ヌクレオチド)。ヘアピン形成核酸分子のハイブリダイゼーション特性を改変するためには、異なる長さのタグ領域およびアンチタグ領域を使用することが有利であり得る。好ましくは、分子のヘアピン領域は、二本鎖アンプリコン産物の形成によってヘアピン領域が開くまでは、閉じた状態を維持するために十分に強く、かつ二本鎖産物の存在下では開いた状態を維持するために十分に弱い結合エネルギーを有するよう、設計される。もう一つの考慮すべき点は、プライマーのタグ領域と、プライマーから合成されたアンプリコンを捕獲しかつ/または標識するために使用されるアンチタグ領域(例えば、ビーズ上に固定化されたアンチタグ配列)との間の結合の強度である。当業者は、配列長およびG+C含量のような、DNAハイブリダイゼーションに影響を与える因子に精通しており、特定の適用のために上述の特性を達成するため、ヘアピン形成核酸分子のタグ領域およびアンチタグ領域の適切な長さを決定することができるであろう。
【0014】
一つの態様において、5'から3'へ、24ヌクレオチド塩基のタグ領域、内部C18ブロッカー、反応物中の他の核酸に相補的でない12塩基、タグ領域の最初の12塩基に相補的な12塩基、可変長であり得る標的特異的プライマー領域を含む核酸分子が提供される。
【0015】
一つの態様において、5'から3'へ、24ヌクレオチド塩基のタグ領域、内部C18ブロッカー、タグ領域の最初の12塩基に相補的な12塩基、可変長であり得る標的特異的プライマー領域を含む核酸分子が提供される。
【0016】
標的核酸は任意の関心対象の核酸であり得、標的核酸を含有している試料は、核酸を含有しているかまたは含有していると推測される任意の試料であり得る。本発明のある種の局面において、試料は、例えば、一つまたは複数の遺伝学的な変異または多形の存在または欠如についてスクリーニングされている対象に由来する。本発明のもう一つの局面において、試料は、病原体の存在または欠如について試験されている対象に由来し得る。試料が対象から入手される場合、それは、吸引、生検、拭き取り、静脈穿刺、脊椎穿刺、排泄物試料、または尿試料のような、当業者に公知の方法により入手され得る。ある種の態様において、対象は、哺乳動物、トリ、または魚である。哺乳動物は、例えば、ヒト、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ブタ、ウサギ、ラット、またはマウスであり得る。本発明のいくつかの局面において、試料は、水試料、土壌試料、または空気試料のような環境試料である。本発明の他の局面において、試料は、植物、細菌、ウイルス、真菌、原生動物、または後生動物に由来する。
【0017】
プライマーとは、鋳型依存性の過程において新生核酸の合成をプライムすることができる核酸である。標的特異的プライマーとは、特定の標的核酸の合成をプライムするよう設計されたプライマーをさす。プライマー対とは、鋳型核酸分子上の二つのプライマーの結合部位の間の標的配列を増幅するよう設計された、順方向プライマーおよび逆方向プライマーまたは上流プライマーおよび下流プライマーとして一般的に公知の二つのプライマーをさす。ある種の態様において、プライマーは、10〜40、15〜30、または18〜26ヌクレオチド長である標的特異的配列を有する。
【0018】
本発明の様々な局面は、相補的なタグ配列およびアンチタグ配列のセットを使用する。タグおよびアンチタグは、好ましくは、クロスハイブリダイズしない、即ち、タグおよびアンチタグは、各々、相補パートナーとのみハイブリダイズし、同一反応物中の他のタグまたはアンチタグとはハイブリダイズしないべきである。好ましくは、タグおよびアンチタグは、反応中に試料中の他の核酸ともハイブリダイズしないであろう。クロスハイブリダイズしないタグ配列およびアンチタグ配列の適切な選択は、アッセイ、特に、ストリンジェントなクロスハイブリダイズしない挙動を必要とする、高度にパラレルなハイブリダイゼーション環境におけるアッセイにおいて有用である。ある種の態様において、タグ配列およびアンチタグ配列は、6〜60、8〜50、10〜40、10〜20、12〜24、または20〜30ヌクレオチド長である。いくつかの態様において、タグ配列およびアンチタグ配列は、12、14、16、または24ヌクレオチド長である。多数のタグおよびタグ相補鎖(即ち、アンチタグ)の配列が、当技術分野において公知であり、本発明において使用され得る。例えば、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第7,226,737号は、210種のクロスハイブリダイズしないタグおよびアンチタグのセットを記載している。さらに、参照により本明細書に組み入れられる、公開された米国出願第2005/0191625号は、最小限のクロスハイブリダイゼーションで、相補配列と正確にハイブリダイズする証明された能力を有する1168種のタグ配列のファミリーを開示している。「ユニバーサル」なタグまたはアンチタグとは、多重反応物中の全ての反応について同一の配列を有するタグまたはアンチタグをさす。
【0019】
ブロッカーとは、第二鎖合成中の新生核酸配列の伸長を阻害するモエティである。ブロッカーモエティの非限定的な例には、C6〜20直鎖型アルキレン、(18原子ヘキサエチレングリコールである)iSp18、iMe-isodC、ヘキサエチレングリコールモノマー、合成核酸塩基、2-O-アルキルRNA、または標的特異的配列と比較して逆方向のオリゴヌクレオチド配列が含まれる。
【0020】
本発明のある種の局面において、固体支持体が使用される。生体分子の固定化のための多様な固体支持体が公知である。例えば、固体支持体は、ニトロセルロース、ナイロン膜、ガラス、活性化された石英、活性化されたガラス、フッ化ポリビニリデン(PVDF)膜、ポリスチレン基質、ポリアクリルアミドに基づく基質、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(ジメチルシロキサン)、(標的分子と共有結合を形成することができるニトレン、カルベン、およびケチルラジカルのような光反応性種を含有している)フォトポリマーのような、その他のポリマー、コポリマー、または架橋されたポリマーであり得る。固体支持体は、例えば、ビーズ(マイクロスフェア)、カラム、またはチップの形態をとり得る。平面の固体支持体上に固定化された分子は、典型的には、支持体における空間的な位置により同定される。ビーズのような非平面の固体支持体上に固定化された分子は、しばしば、下記のように、支持体の何らかの型のコード化により同定される。
【0021】
ビーズは、ビーズのある亜集団がもう一つの亜集団から識別され得るようコード化され得る。コード化は、多様な技術によりなされ得る。例えば、ビーズは、異なる発光スペクトルおよび/または異なるシグナル強度を有する蛍光色素により蛍光標識され得る。ある種の態様において、ビーズはLuminex FlexMAP(商標)マイクロスフェアまたはLuminex xMAP(登録商標)マイクロスフェアである。亜集団内のビーズのサイズも、ある亜集団をもう一つの亜集団から識別するために使用され得る。ビーズを修飾するもう一つの方法は、Fe3O4のような磁気応答性の物質を構造へ組み入れることである。常磁性マイクロスフェアおよび超常磁性マイクロスフェアは、磁場の非存在下では無視し得る程度の磁気を有するが、磁場の適用によって、マイクロスフェア内の磁区の整列が誘導され、マイクロスフェアが磁場源へと誘引される。蛍光色素、ビーズサイズ、および/または磁気応答性の物質をビーズへと組み合わせることにより、作出され得るビーズの異なる亜集団の数をさらに増加させることができる。
【0022】
本発明のある種の局面において、組成物は、複数のコード化されたマイクロスフェアに共有結合で付着した複数のアンチタグ核酸分子を含み、複数のアンチタグ分子は、複数のプライマー対のタグ配列に相補的なアンチタグ配列を含み、アンチタグ核酸分子の各々の同一性は、それが共有結合で付着しているコード化されたマイクロスフェアのコード化から決定され得る。
【0023】
本明細書に記載された方法および組成物における核酸は、レポーターにより標識され得る。レポーターとは、それが付着している分子の検出を容易にする分子である。核酸を標識するために使用され得る多数のレポーター分子が公知である。直接レポーター分子には、フルオロフォア、発色団、およびラジオフォア(radiophores)が含まれる。フルオロフォアの非限定的な例には、2,4-ビス[1,3,3-トリメチル-2-インドリニリデンメチル]シクロブテンジイリウム-1,3-ジオキソレート(dioxolate)のような赤色蛍光スクアリン(squarine)色素、2,4ビス[3,3-ジメチル-2-(1H-ベンズ[e]インドリニリデンメチル)]シクロブテンジイリウム-1,3-ジオキソレートのような赤外色素、または2,4-ビス[3,5-ジメチル-2-ピロリル]シクロブテンジイリウム-1,3-ジオロレート(diololate)のような橙色蛍光スクアリン色素が含まれる。フルオロフォアの付加的な非限定的な例には、量子ドット、Alexa Fluor(登録商標)色素、AMCA、BODIPY(登録商標)630/650、BODIPY(登録商標)650/665、BODIPY(登録商標)-FL、BODIPY(登録商標)-R6G、BODIPY(登録商標)-TMR、BODIPY(登録商標)-TRX、Cascade Blue(登録商標)、Cy2(商標)、Cy3(商標)、およびCy5(商標)を含むが、これらに限定されないCyDye(商標)、DNAインターカレーティング色素、6-FAM(商標)、フルオレセイン、HEX(商標)、6-JOE、Oregon Green(登録商標)488、Oregon Green(登録商標)500、Oregon Green(登録商標)514、Pacific Blue(商標)、REG、フィコエリトリンおよびアロフィコシアニンを含むが、これらに限定されないフィコビリンタンパク質、Rhodamine Green(商標)、Rhodamine Red(商標)、ROX(商標)、TAMRA(商標)、TET(商標)、テトラメチルローダミン、またはTexas Red(登録商標)が含まれる。チラミド(PerkinElmer)のようなシグナル増幅試薬が、蛍光シグナルを増強するために使用されてもよい。間接レポーター分子には、検出のためにはストレプトアビジン-フィコエリトリンのようなもう一つの分子に結合していなければならないビオチンが含まれる。多重反応において、増幅産物の同一性が、それらがハイブリダイズする固体支持体の特異的な位置または同一性に基づき決定され得るのであれば、プライマーまたはdNTPに付着したレポーターは、多重反応物中の全ての反応について同一であってもよい。
【0024】
他の態様において、(a)(i)第一の標的特異的プライマー配列;標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;およびアンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー:を含む第一のプライマーと;(ii)第二の標的特異的プライマー配列:を含む第二のプライマーと:を含む第一のプライマー対を準備する工程;(b)レポーターを準備する工程;(c)固体支持体に付着したアンチタグ配列を含む捕獲複合体を準備する工程;(d)標的核酸の増幅に適した条件の下で、第一のプライマー対、レポーター、捕獲複合体、および標的核酸を含む試料を組み合わせることにより、標的核酸を増幅する工程:を含む、標的核酸を増幅する方法が提供される。ある種の局面において、レポーターは第二のプライマーに付着している。他の局面において、レポーターはdNTPに付着している。さらに他の態様において、レポーターはDNAインターカレーターである。いくつかの態様において、方法は、増幅された標的核酸を捕獲複合体のアンチタグ配列とハイブリダイズさせる工程をさらに含む。さらなる態様において、方法は、ハイブリダイズした増幅された標的核酸を検出する工程をさらに含む。増幅された核酸の検出は、例えば、捕獲複合体に結合した増幅された標的核酸配列の画像化を含み得る。いくつかの態様において、試料は少なくとも一つの第二の標的核酸を含み、少なくとも一つの第二のプライマー対が、標的核酸の増幅に適した条件の下で、第一のプライマー対、レポーター、捕獲複合体、および標的核酸を含む試料と組み合わせられる。異なる増幅された標的核酸は、識別可能な捕獲複合体の異なるアンチタグ配列とハイブリダイズさせられ得る。捕獲複合体は、例えば、空間的に識別可能かつ/または光学的に識別可能であり得る。
【0025】
本明細書に開示されたヘアピン形成プライマーは、捕獲複合体を使用せずに、標的核酸配列を増幅し検出するためにも使用され得る。例えば、一つの態様において、標的核酸は、(a)(i)第一の標的特異的プライマー配列;標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー:およびタグ配列に付着した発色団と;(ii)第二の標的特異的プライマー配列;標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー:およびタグ配列に付着した発色団:を含む第二のプライマーと:を含む第一のプライマー対を準備する工程;ならびに(b)(i)第一のプライマー対のユニバーサルタグ配列に相補的なアンチタグ配列;および(ii)第一のプライマー対の発色団とのフェルスター共鳴エネルギー転移が可能な発色団:を含む標識核酸分子;ならびに(d)標的核酸の増幅に適した条件の下で、第一のプライマー対、ユニバーサル標識核酸分子、および標的核酸を含む試料を組み合わせることにより、標的核酸を増幅する工程:を含む方法により増幅され得る。方法は、増幅された核酸を検出する工程をさらに含み得る。検出は、第一のプライマー対の発色団とユニバーサル標識の発色団との間のFRETを検出する工程を含み得る。ある種の態様において、検出は、リアルタイムで実施される(即ち、方法は、リアルタイムPCRを提供する)。この増幅法は多重化されてもよく、その場合、試料は、第二の標的核酸および第二のプライマー対を少なくとも含む。多重適用のため、プライマー対および対応する標識核酸分子は、各々、反応物中の他のプライマー対および標識核酸分子とは異なるタグ配列およびアンチタグ配列を有する必要がある。さらに、異なる放出波長を有する標識が、反応物中の異なるプライマー対の各々について使用される必要がある。いくつかの態様において、プライマー対はネステッドプライマー対であり、標的核酸はそれ自体アンプリコンである。
【0026】
本明細書に開示されたヘアピン形成プローブは、切断反応の産物を検出するためにも使用され得る。核酸配列の検出のためのいくつかの切断に基づくアッセイが、当技術分野において公知である。例えば、対立遺伝子特異的なオーバーラップしているオリゴヌクレオチドの、一塩基多型(SNP)(一塩基多型)部位を含有している標的DNAとのハイブリダイゼーションにより形成された三次元複合体を切断するため、構造特異的フラップエンドヌクレアーゼ(FEN)を使用するインベーダー(Invader)技術が、SNP区別において使用されることが周知である。マングビーンヌクレアーゼおよびS1ヌクレアーゼも、一塩基ミスマッチを切断する能力のため、SNP区別において使用されることが公知である。一つの態様において、本発明は、(a)(i)切断産物特異的配列;(ii)切断産物特異的配列の5'にあるアンチタグ配列;(iii)アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー;および(v)標識:を含むオリゴヌクレオチドプローブを準備する工程;(b)オリゴヌクレオチドプローブを切断産物とハイブリダイズさせる工程;(c)アンチタグ配列とのハイブリダイゼーションからタグ配列を置換するため、切断産物を伸長させる工程;(d)標識されたアンチタグプローブを置換されたタグ配列とハイブリダイズさせる工程、ならびに(e)オリゴヌクレオチドプローブの切断産物とのハイブリダイゼーションおよび伸長を検出する工程:を含む、核酸切断反応の切断産物を検出する方法を提供する。標識は、例えば、FRETドナー分子またはFRETアクセプター分子であり得る。この方法は、オリゴヌクレオチドプローブを固体支持体上に固定化することにより実施されてもよいし、または固定化することなく実施されてもよい。プローブが固定化される態様において、固定化は、固体支持体(例えば、ビーズまたは平面アレイ)に連結された相補アンチタグ配列との、プローブのタグ配列のハイブリダイゼーションにより達成され得る。上述のように、切断産物は、非限定的に、構造特異的フラップエンドヌクレアーゼ、マングビーンヌクレアーゼ、またはS1ヌクレアーゼを利用するものを含む、多様なテクノロジーにより作出され得る。当業者は、特定の標的配列とハイブリダイズした時、切断に対して感受性となるプローブを設計することができるであろう。
【0027】
さらに、本明細書に開示されたヘアピン形成プローブは、ライゲーション産物の形成を検出するために使用され得る。ライゲーション産物は、二つのオリゴヌクレオチドプローブが標的核酸上で相互に隣接して結合した時に形成され得る。典型的には、ライゲーションは、リガーゼ酵素を使用して達成される。一つの態様において、本発明は、(a)(i)ライゲーション産物特異的配列;(ii)ライゲーション産物特異的配列の5'にあるアンチタグ配列;(iii)アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー;および(v)標識:を含むオリゴヌクレオチドプローブを準備する工程;(b)ライゲーション産物はオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズするが、ライゲーション産物のライゲートされていないサブユニットはオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズしない温度で、オリゴヌクレオチドプローブをライゲーション産物とハイブリダイズさせる工程;(c)アンチタグ配列とのハイブリダイゼーションからタグ配列を置換するため、ライゲーション産物を伸長させる工程;(d)標識されたアンチタグプローブを置換されたタグ配列とハイブリダイズさせる工程、ならびに(e)オリゴヌクレオチドプローブのライゲーション産物とのハイブリダイゼーションおよび伸長を検出する工程:を含む、ライゲーション産物を検出する方法を提供する。標識は、例えば、FRETドナー分子またはFRETアクセプター分子であり得る。この方法は、オリゴヌクレオチドプローブを固体支持体上に固定化することにより実施されてもよいし、または固定化することなく実施されてもよい。プローブが固定化される態様において、固定化は、固体支持体(例えば、ビーズまたは平面アレイ)に連結された相補アンチタグ配列との、プローブのタグ配列のハイブリダイゼーションにより達成され得る。当業者は、特定の標的配列とハイブリダイズした時に、共にライゲートされライゲーション産物を作出するプローブを設計することができるであろう。
【0028】
一つの態様において、本発明は、標的遺伝子からのmRNAを逆転写してcDNAを形成させる工程;cDNAに、ユニバーサルプライマー結合配列およびcDNA特異的配列を含む第一のオリゴヌクレオチドと、ユニークプライマー結合配列およびcDNA特異的配列を含む第二のオリゴヌクレオチドとをハイブリダイズさせる工程;第一のオリゴヌクレオチドを第二のオリゴヌクレオチドとライゲートし、ライゲートされたオリゴヌクレオチドを形成させる工程;ユニバーサルプライマーと、ユニークプライマー配列、ユニークプライマー配列の5'にあるアンチタグ配列、アンチタグ配列の5'にあるタグ配列、およびアンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカーを含むユニークプライマーとを使用して、ライゲートされたオリゴヌクレオチドを増幅する工程;アンプリコンのタグ配列を、捕獲複合体のアンチタグ配列とハイブリダイズさせることにより、アンプリコンを捕獲する工程;捕獲されたアンプリコンを標識する工程:ならびに標識された捕獲されたアンプリコンを検出し定量化する工程:を含む、遺伝子発現を定量化する方法を提供する。洗浄工程が逆転写反応の後に実行される場合、cDNAは任意で固定化されてもよい。ライゲーションにより媒介される増幅のための方法は、当技術分野において公知であり、例えば、参照により本明細書に組み入れられるPeck et al.,Genome Biology,7:R61 (2006)に記載されている。複数の標的遺伝子の発現が分析される多重反応の情況において、「ユニバーサルプライマー」および「ユニバーサルプライマー結合配列」とは、反応物中の全ての標的を分析するために使用される共通のプライマーおよびそれに相補的な配列をさす。ある種の態様において、ユニバーサルプライマーはT3プライマーである。対照的に、「ユニークプライマー」および「ユニークプライマー結合配列」とは、分析されている異なる標的遺伝子の各々に特異的であるプライマーおよびそれに相補的な配列をさす。しかしながら、「ユニークプライマー」および「ユニークプライマー結合配列」は、標的遺伝子自体の中の配列に相補的ではない。「ユニークプライマー」および「ユニークプライマー結合配列」は、タグ/アンチタグセットであり得るが、多重反応物中の他のタグ配列またはアンチタグ配列に相補的であるべきでない。多重反応においては、アッセイされている複数の異なる標的の各々について、各標的についてのアンプリコンが他の全ての標的のものから識別されることを可能にするであろう、タグ配列、アンチタグ配列、および捕獲複合体の独特の組み合わせが存在する。
【0029】
cDNAは、当業者に公知の方法により固定化され得る。特定の態様において、cDNAは、オリゴdTによりコーティングされたウェルまたはビーズにおけるmRNAの捕獲および逆転写により固定化される。
【0030】
他の態様において、本発明は、(a)各プライマー対が、(i)第一の標的特異的プライマー配列;標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;およびアンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー:を含む第一のプライマーと;(ii)第二の標的特異的プライマー配列;標的特異的プライマー配列の5'にあるユニバーサルアンチタグ配列;アンチタグ配列の5'にあるユニバーサルタグ配列;およびアンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー:を含む第二のプライマーと:を含む、複数の異なる微生物からの複数の異なる標的核酸配列の増幅のための複数のプライマー対を準備する工程;(b)(i)ユニバーサルタグ配列に相補的なユニバーサルアンチタグ配列;および(ii)標識:を含む標識されたユニバーサルアンチタグ分子を準備する工程;(c)固体支持体に付着したアンチタグ配列を含む複数の捕獲複合体を準備する工程;(d)標的核酸配列の増幅に適した条件の下で、複数のプライマー対、標識されたユニバーサルアンチタグ分子、捕獲複合体、および試料を組み合わせることにより、微生物が試料中に存在する場合に、異なる微生物からの標的核酸配列を増幅する工程;(e)増幅された標的核酸配列を、それぞれの捕獲複合体のそれぞれのアンチタグ配列とハイブリダイズさせる工程;ならびに(f)それぞれの捕獲複合体に結合した増幅された標的核酸配列を検出することにより、試料中に存在する微生物を検出する工程:を含む、試料中の微生物を検出する方法を提供する。
【0031】
微生物は、例えば、細菌、ウイルス、レトロウイルス、または真菌であり得る。ある種の態様において、微生物は病原体である。微生物を含有しているかまたは含有している可能性のある試料は、血液試料、血清試料、脳脊髄液試料、大便試料、気管支肺胞洗浄試料、痰、心膜液、腹水、胸水、尿、胃吸引液、膿瘍、気管吸引液、気管支洗浄、骨髄、組織等のような患者の試料であり得る。他の態様において、試料は、水試料または土壌試料のような環境試料である。ある種の態様において、2〜100種のプライマー対が、2〜100種の異なる微生物を検出するために提供される。各プライマー対は、異なる微生物を検出するために設計されてもよいし、または2種以上のプライマー対が同一の微生物を検出するために設計される何らかの重複が存在してもよい。典型的には、臨床/診断的設定または環境的設定において、スクリーニングされている微生物のサブセットのみが、患者の試料または環境試料の中に存在すると予想される。例えば、患者の試料は30種の異なる微生物についてスクリーニングされ得るが、多数の異なる微生物が同時に感染することは稀であるため、患者の試料は、これらの微生物のうちの約0〜2種のみを含有している可能性が高い。本発明のある種の局面において、0〜10、1〜10、1〜5、または1〜3種の異なる微生物が検出される。
【0032】
増幅は、定性的であってもよいし、半定量的であってもよいし、または定量的であってもよいし。ある種の態様において、増幅は、リアルタイム(例えば、リアルタイムPCR)でモニタリングされ得る。増幅がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による場合、鎖交換活性を保有するポリメラーゼが使用されるべきであるが、それは、そのようなポリメラーゼが、プライマーのタグ領域およびアンチタグ領域のハイブリダイゼーションにより形成されたヘアピン構造を開くことができるためである。いくつかの態様において、ポリメラーゼはエキソ(-)ポリメラーゼである。
【0033】
本発明のある種の態様は、増幅された標的核酸の検出を含む。増幅された標的核酸の検出は、多様な技術によることができる。本発明の一つの局面において、増幅された標的核酸はフローサイトメーターを使用して検出される。フローサイトメトリーは、捕獲複合体の固体支持体がビーズまたはその他の粒子である場合に、特に好適である。本発明の他の局面において、増幅された標的核酸の検出は、捕獲複合体と結合した増幅された標的核酸配列の画像化を含む。画像化は、例えば、ビーズアレイプラットフォームまたはチップアレイプラットフォームで行われ得る。
【0034】
本発明の方法は、多重アッセイにおいて使用されてもよい。そのような多重アッセイにおいて、試料は、典型的には、少なくとも一つの第二の標的核酸配列を含むであろう。本発明のある種の局面において、試料中には、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、120、140、160、180、200、220、240、260、280、300、400、500、600、700、800、900、1000種、またはその中の任意の推論可能な範囲の標的核酸配列が存在する。上述のように、標的核酸配列は、任意の関心対象の配列であり得る。一つの標的核酸配列が、もう一つの標的核酸配列と同一の遺伝子内にあってもよいし、または異なる遺伝子内にあってもよく、標的核酸配列はオーバーラップしていてもよいし、またはオーバーラップしていなくてもよい。当然、標的核酸配列は、遺伝子内にある必要はなく、例えば、DNAの非コーディング領域内にあってもよい。増幅される少なくとも一つの第二の標的核酸が試料中に存在する多重アッセイにおいて、少なくとも一つの第二の区別プライマーまたは第二のプライマー対が、第一のプライマー対と組み合わせられる。
【0035】
本明細書に記載された方法の利点は、「閉管」フォーマットで実施可能であるという点である。「閉管」アッセイにおいては、全ての試薬および試料が反応の開始時に添加され、従って、反応が開始した後、試薬を添加するために反応容器を開ける必要が排除される。これは、典型的には、より高速の所要時間をもたらし、混入および人為的ミスの機会を低下させる。そのような「閉管」アッセイは、迅速な結果、アッセイの最小限の人為的操作、および無菌環境が望ましいポイントオブケア(Point-of-Care)適用のために特に好適である。
【0036】
本明細書に記載された任意の方法または組成物が、本明細書に記載された他の任意の方法または組成物に関して実行され得ることが企図される。
【0037】
特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、選択肢のみをさすか、または選択肢が相互に排他的であると明示されない限り、「および/または」を意味するために使用されるが、開示が、選択肢のみおよび「および/または」をさす定義を支持する。
【0038】
本願の全体にわたって、「約」という用語は、値が、その値を決定するために利用された装置または方法についての誤差の標準偏差を含むことを示すために使用される。
【0039】
長年の特許法に従い、特許請求の範囲または明細書において「含む」という単語と共に使用された時、「(a)」および「(an)」という単語は、特記されない限り、一つまたは複数を意味する。
【0040】
本発明のその他の目的、特色、および利点は、以下の詳細な説明から明白になるであろう。しかしながら、本発明の本旨および範囲に含まれる様々な変化および修飾が、この詳細な説明から当業者には明白になるため、本発明の具体的な態様を示している詳細な説明および具体例は、例示として与えられているに過ぎないことが、理解されるべきである。
【0041】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明のある種の局面をさらに示すために含まれる。本発明は、本明細書に提示された具体的な態様の詳細な説明と組み合わせて、これらの図面のうちの一つまたは複数を参照することにより、よりよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1Aは、ヘアピン形成プライマーおよび捕獲複合体の例示を示す。図1Bは、プライマーのタグ領域が捕獲複合体のアンチタグ領域とハイブリダイズすることができるよう、増幅によってヘアピン形成プライマーの構造が開いた増幅産物を示す。
【図2】図2は、非ヘアピン形成プライマーが使用された場合、未伸長プライマーのタグ領域が、捕獲複合体のアンチタグ領域とのハイブリダイゼーションについて、伸長したプライマーのタグ領域と競合し得る様子を例示する。
【図3】図3Aおよび3Bは、増幅産物が産生される前(図3A)、および増幅産物が産生された後(図3B)の、ヘアピン形成順方向プライマー、ヘアピン形成逆方向プライマー、標識されたユニバーサルアンチタグ分子、および捕獲複合体を示す。
【図4】図4A〜4Eは、FRETに基づく標識系におけるドナー発色団およびアクセプター発色団の様々な配置を示す。
【図5】図5A〜5Bは、フルオロフォア/消光剤に基づく標識系におけるフルオロフォアおよび消光剤の様々な配置を示す。
【図6】図6は、ヘアピンプライマーが、過剰の未伸長プライマーの存在下で、ヘアピンを形成しないプライマーより効果的であることを示すグラフである。
【図7】図7は、Qiagen HotStartポリメラーゼを用いたPCRにおける、12残基ステム、14残基ステム、および16残基ステムのヘアピンプライマー、ならびに非ヘアピン形成プライマー(TIF)の比較を示すグラフである。
【図8】図8は、aptaTaqエキソ(-)ポリメラーゼを用いたPCRにおける、12残基ステム、14残基ステム、および16残基ステムのヘアピンプライマー、ならびに非ヘアピン形成プライマー(TIF)の比較を示すグラフである。
【図9】図9は、ヘアピン形成順方向プライマーまたは非ヘアピン形成順方向プライマーのいずれかを用いた偽リアルタイムPCRにおける様々なPCRサイクルにおけるMFIのグラフである。
【図10】図10は、リアルタイムPCRにおける様々なPCRサイクルにおけるMFIのグラフである。
【図11】図11は、リアルタイム定量的PCRにおける髄膜炎菌(Neiseria Meningitidis)DNAの希釈系列を表すグラフである。
【図12】図12はリアルタイムPCRアッセイ化学を例示する。プライマーの伸長により、ヘアピン部分が開き、標識されたプローブへの結合が可能となるため、標準的なリアルタイムサーマルサイクラーにおけるリアルタイム検出を可能にするフェルスター共鳴エネルギー転移(FRET)が起こる。この化学の利点は、バリデートされたヘアピン配列が提供されたなら、エンドユーザはプライマーを設計しさえすればよく、極めてデザインフレンドリーであるという点である。このアッセイにおいて、ビーズは必要とされない。
【図13】図13は、ヘアピン形成プローブがインベーダーアッセイで使用されるアッセイフォーマットを例示する。インベーダーアッセイにおいては、プローブのフラップ部分(B)が切断される。次いで、フラップ部分(B)が、ポリメラーゼ伸長によりヘアピン配列を開くことができるプライマーとして機能することができる。ヘアピン配列のタグ領域が結合に利用可能となることにより、それは、ビーズなしのリアルタイム検出のため、FRET対の中の標識されたプローブに結合することもできるし、または高度多重検出のため、ビーズに結合することもできる。
【図14】図14は、プローブAおよびBが、ライゲートされない限り、ヘアピンプライマー/プローブとハイブリダイズし得ないよう、十分に高い温度でアッセイが保持される、ライゲーション機序の使用が組み入れられたアッセイを図示する。それらは、ライゲートされると、プローブ/プライマーに結合するのに十分な結合強度を有するようになり、鎖交換ポリメラーゼの存在下で伸長する。ヘアピン配列のタグ領域が結合に利用可能となることにより、それは、ビーズなしのリアルタイム検出のため、FRET対の中の標識されたプローブに結合することもできるし、または高度多重検出のため、ビーズに結合することもできる。
【図15】図15は、一塩基ミスマッチを切断する能力を有するマングビーンヌクレアーゼまたはS1ヌクレアーゼの使用が組み入れられたアッセイを図示する。ミスマッチが切断されると、Bはヘアピンを交換することができるプライマーとして機能できるようになり、固体表面に付着していてもよいしまたは付着していなくてもよいプローブとの結合のためタグが露出される。
【図16】図16は、ネステッドリアルタイムPCRアッセイ化学として使用するため、ユニバーサルヘアピンプライマーが標的特異的ヘアピンプライマーと組み合わせられたアッセイを例示する。プライマーの伸長により、ヘアピン部分が開き、標識されたプローブへの結合が可能となるため、標準的なリアルタイムサーマルサイクラーにおけるリアルタイム検出を可能にするFRETが起こる。この溶液の利点は、エンドユーザはプライマーを設計しさえすればよく、極めてデザインフレンドリーであるという点である。この態様において、ビーズは必要とされない。
【発明を実施するための形態】
【0043】
例示的な態様の説明
I. 核酸
A. プライマー
本明細書に記載された方法および組成物において使用されるプライマーは、従来入手可能であったより優れた核酸の増幅および検出を提供するために設計されている。これらのプライマーを使用するアッセイは、プライマー濃度のより少ない最適化を必要とし;より迅速に結果を与え;DNA結合色素を使用した時、より低いバックグラウンドおよびより高い特異的シグナルをもたらし;より高い感度を提供し;産物/標的濃度のより正確な測定を提供し;かつプライマーセットのより高度の多重化を可能にする。「プライマー」という用語は、本明細書において使用されるように、鋳型依存性の過程で新生核酸の合成をプライムすることができる核酸を包含するものである。プライマーは、二本鎖型および/または一本鎖型で提供され得るが、一本鎖型が好ましい。
【0044】
ある種の態様において、本明細書に開示された方法および組成物は、標的特異的プライマー配列に加えて、タグ領域、およびタグ領域に相補的な領域(アンチタグ)を含む、ヘアピン形成プライマーを利用する。タグ領域およびアンチタグ領域は、(タグ領域へのポリメラーゼ伸長を防止するため)ブロッカーにより分離されている。これらのプライマーは、異なる目的を果たす領域から構成されているため、「キメラ」であるとも呼ばれ得る。増幅前には、タグ領域とアンチタグ領域とがハイブリダイズし、ヘアピン構造を形成しており、従って、タグ領域を隔離している。二本鎖増幅産物が形成されると、ヘアピンステム構造が破壊され、タグ領域が、基質(例えば、ビーズ)上に固定化されたアンチタグプローブのような、もう一つのアンチタグプローブとの結合に利用可能となる。ヘアピン形成プライマーが順方向プライマーである例は、図1Aおよび1Bに例示される。別の態様において、逆方向プライマーがヘアピン形成プライマーであってもよいことが、当業者により理解されるであろう。
【0045】
図1Aに示されるように、ヘアピン形成順方向プライマーは、標的特異的プライマー領域、アンチタグ領域、ブロッカー領域(この図面においてはC18スペーサー)、およびタグ領域を含む。プライマーのアンチタグ領域は、タグ領域と同一の長さであってもよいし、または異なる長さであってもよい。図1Aにおいて、アンチタグ領域はその相補タグ領域より短い;従って、それは部分アンチタグ領域と呼ばれる。ポリメラーゼ伸長および二本鎖増幅産物の作出の前には、アンチタグ領域がタグ領域とハイブリダイズし、ヘアピン構造を形成しており、それによって、プライマー上のタグ領域が、ビーズに連結されているアンチタグ領域とハイブリダイズすることが防止されている。図1Bに示されるように、逆方向プライマーの伸長により、鎖交換活性を有するポリメラーゼが、ヘアピンステムを破壊し、ブロッカーで停止し、タグ領域がビーズ上のアンチタグ領域とハイブリダイズすることを可能にするであろう。
【0046】
未伸長順方向プライマーは、タグ領域のヘアピン構造への隔離のため、固定化されたアンチタグプローブとの結合から阻害されるであろう。未伸長プライマーによる捕獲複合体上のハイブリダイゼーション部位の占有は、標識された増幅産物のための捕獲プローブの利用可能性を限定し、従って、アッセイ感度を減少させ得るため、これは有利である。これは、増幅反応の初期に特に問題となるが、それは、この段階においては、伸長したプライマーに対する未伸長プライマーの比率が高いためである。増幅された産物の蓄積をリアルタイムで測定しようとする時、この効果は最も顕著である。図2Aに例示されるように、ヘアピンを形成しない過剰の未伸長タグ付きプライマーは、捕獲複合体上のハイブリダイゼーション部位について、増幅産物と競合することができる。さらに、インターカレーティング色素またはDNA結合色素が使用される場合、それらは、未伸長プライマーのプローブとのハイブリダイゼーションにより作出された二本鎖核酸に結合し、バックグラウンドシグナルの増加を引き起こすであろう。対照的に、ヘアピン構造を有するプライマーを使用する場合には、プライマーおよびプローブは、PCR増幅産物が形成されるまでハイブリダイズしないであろう。
【0047】
上記のプライマーの使用は、非ヘアピン形成プライマーの使用と比較して、少なくとも以下の利益を提供することができる:(1)プライマー濃度のより少ない最適化を必要とする;(2)検出可能なシグナルを達成するために、より少ないPCRサイクルが必要とされるため、より迅速な結果を生じる;(3)DNA結合色素を使用する時、より低いバックグラウンドおよびより高い特異的シグナルを生じる;(4)一般に、より高感度の検出を提供する;そして(5)産物/標的濃度のより正確な表示を提供する。
【0048】
ある種の態様において、プライマー対の順方向プライマーおよび逆方向プライマーの両方が、ヘアピン形成プライマーである。これは、多重反応において特に有利であり得る。この場合、プライマー対のプライマーのうちの一方は、ユニバーサルタグ配列およびユニバーサルアンチタグ配列を含む。標的特異的プライマー配列は多重増幅反応物中の異なる標的の各々について変動するが、同一の(即ち、「ユニバーサル」な)タグ配列およびアンチタグ配列が使用されるため、タグ配列およびアンチタグ配列は「ユニバーサル」である。図3Aおよび3Bに例示された例は、標的特異的プライマー領域、ならびにブロッカー領域により分離された相補的なアンチタグ領域およびタグ領域を含む、ヘアピン形成順方向プライマーを示す。標的特異的プライマー領域、ならびにブロッカー領域により分離されたユニバーサルアンチタグ領域およびユニバーサルタグ領域を含む、ヘアピン形成逆方向プライマーも示されている。順方向プライマーおよび逆方向プライマーは、ポリメラーゼ連鎖反応中に二本鎖核酸の合成をプライムするよう設計されている。多重反応において、順方向プライマーのアンチタグ領域およびタグ領域は、反応物中の異なる順方向プライマーの各々について独特である。このように、伸長した順方向プライマーの増幅産物は、プローブ配列とのハイブリダイゼーションにより同定され得る。しかしながら、ユニバーサルアンチタグ領域およびユニバーサルタグ領域は、反応物中の全ての逆方向プライマーについて同一である。これは、標識されたユニバーサルアンチタグプローブが、反応物中の全ての伸長した逆方向プライマーを標識することを可能にする。これは、必要とされる標識(例えば、フルオロフォア)の量を大きく低下させる。例えば、30種の異なる逆方向プライマーが直接標識される感染性疾患についての30重PCRパネルにおいては、6,000nMのフルオロフォアが必要とされるであろうが、標識されたユニバーサルアンチタグによれば、わずか200nMのフルオロフォアが必要とされるであろう。これは必要とされるレポーターの量の30倍の低下である。これらの計算は、ある試料が0〜2種の感染因子について陽性であると予想される、30重パネルに基づく。より少ない標識を使用する能力は、アッセイのバックグラウンドを低下させ、必要とされる試薬の量を低下させ、アッセイから過剰の標識を除去するための洗浄工程の必要を排除することができる。
【0049】
B. 核酸の調製
本明細書に開示された核酸は、例えば、化学合成、酵素的作製、または生物学的作製のような、当業者に公知の任意の技術により調製され得る。合成核酸(例えば、合成オリゴヌクレオチド)の非限定的な例には、ホスホトリエステル化学、ホスファイト化学、またはホスホラミダイト化学を使用したインビトロ化学合成、および参照により本明細書に組み入れられるEP266,032に記載されたような固相技術により、または各々参照により本明細書に組み入れられる、Froehler et al.,1986および米国特許第5,705,629号により記載されたようなデオキシヌクレオシドH-ホスホネート中間体を介して作成された核酸が含まれる。オリゴヌクレオチド合成の様々な異なる機序は、例えば、各々参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第4,659,774号、第4,816,571号、第5,141,813号、第5,264,566号、第4,959,463号、第5,428,148号、第5,554,744号、第5,574,146号、第5,602,244号に開示されている。
【0050】
酵素的に作製された核酸の非限定的な例には、PCR(商標)(例えば、各々参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第4,683,202号および米国特許第4,682,195号を参照のこと)のような増幅反応において酵素により作製されたもの、または参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,645,897号に記載されたオリゴヌクレオチドの合成により作製されたものが含まれる。生物学的に作製された核酸の非限定的な例には、細菌において複製された組換えDNAベクターのような、生細胞において作製された(即ち、複製された)組換え核酸が含まれる(例えば、参照により本明細書に組み入れられるSambrook et al.,2001を参照のこと)。
【0051】
増幅のための鋳型として使用される核酸は、標準的な方法論(Sambrook et al.,2001)に従い、細胞、組織、またはその他の試料から単離され得る。ある種の態様において、分析は、鋳型核酸の実質的な精製なしに、全細胞または組織ホモジネートまたは生物学的液体試料に対して実施される。核酸は、ゲノムDNAであってもよいし、または分画されたもしくは完全な細胞RNAであってもよい。RNAが使用される場合には、まずRNAを相補DNA(cDNA)へと変換することが望まれるかもしれない。
【0052】
所望の適用に依って、完全に相補的な配列の間のハイブリダイゼーションのみを可能にするであろう高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件が選択され得る。他の態様において、プライマー配列に対して1個または複数個のミスマッチを含有している核酸の増幅を可能にする低ストリンジェンシーの下で、ハイブリダイゼーションが行われてもよい。ハイブリダイズした後、鋳型-プライマー複合体は、鋳型依存性の核酸合成を容易にする、一種または複数種の酵素と接触させられる。十分な量の増幅産物が作製されるまで、「サイクル」とも呼ばれる増幅ラウンドが複数回実施される。
【0053】
逆転写酵素PCR(商標)増幅法は、mRNAをcDNAへと逆転写するために実施され得る。RT-PCRの方法は、当技術分野において周知である(Sambrook et al.,2001を参照のこと)。RT-PCRのための別の方法は、熱安定DNAポリメラーゼを利用する。これらの方法は、WO90/07641に記載されている。ポリメラーゼ連鎖反応方法論は、当技術分野において周知である。RT-PCRの代表的な方法は、米国特許第5,882,864号に記載されている。
【0054】
増幅のためのもう一つの方法は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、欧州出願第320308号に開示されたリガーゼ連鎖反応(「LCR」)である。米国特許第4,883,750号は、プローブ対を標的配列と結合させるためのLCRに類似した方法を記載している。米国特許第5,912,148号に開示された、PCR(商標)およびオリゴヌクレオチドリガーゼアッセイ(OLA)に基づく方法も、使用され得る。
【0055】
本発明のある種の局面の実施において使用され得る核酸配列の増幅のための別の方法は、各々参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、米国番号第5,843,650号、第5,846,709号、第5,846,783号、第5,849,546号、第5,849,497号、第5,849,547号、第5,858,652号、第5,866,366号、第5,916,776号、第5,922,574号、第5,928,905号、第5,928,906号、第5,932,451号、第5,935,825号、第5,939,291号、および第5,942,391号、GB出願第2202328号、ならびにPCT出願PCT/US89/01025に開示されている。
【0056】
PCT出願PCT/US87/00880に記載されたQβレプリカーゼも、本発明において増幅法として使用され得る。この方法においては、標的のものに相補的な領域を有するRNAの複製配列が、RNAポリメラーゼの存在下で、試料に添加される。ポリメラーゼが複製配列をコピーし、次いで、それが検出され得る。
【0057】
制限部位の一方の鎖にヌクレオチド5'-[α-チオ]-三リン酸を含有している標的分子の増幅を達成するために、制限エンドヌクレアーゼおよびリガーゼが使用される等温増幅法も、本発明における核酸の増幅において有用であり得る(Walker et al.,1992)。鎖交換および合成、即ち、ニックトランスレーションの複数のラウンドを含む、米国特許第5,916,779号に開示された鎖交換増幅(SDA)は、核酸の等温増幅を実施するもう一つの方法である。
【0058】
他の核酸増幅法には、核酸配列に基づく増幅(NASBA)および3SRを含む、転写に基づく増幅系(TAS)が含まれる(参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、Kwoh et al.,1989;GingerasらのPCT出願WO88/10315)。欧州出願第329822号は、一本鎖RNA(「ssRNA」)、ssDNA、および二本鎖DNA(dsDNA)を周期的に合成することを含む核酸増幅過程を開示している。
【0059】
(参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)PCT出願WO89/06700は、プロモーター領域/プライマー配列の標的一本鎖DNA(「ssDNA」)とのハイブリダイゼーション、それに続く、配列の多くのRNAコピーの転写に基づく核酸配列増幅スキームを開示している。このスキームは周期的ではない。即ち、得られたRNA転写物から、新たな鋳型は作製されない。その他の増幅法には、「race」および「one-sided PCR(商標)」(Frohman,1990;Ohara et al.,1989)が含まれる。
【0060】
増幅産物は可視化され得る。増幅産物が放射標識または蛍光標識されたヌクレオチドにより内在的に標識される場合、増幅産物はX線フィルムに曝されるか、または適切な励起スペクトルの下で可視化され得る。もう一つのアプローチにおいて、標識された核酸プローブが、増幅産物とハイブリダイズさせられる。プローブは、例えば、発色団、フルオロフォア、もしくは放射標識と接合されていてもよいし、または抗体もしくはビオチンのような結合パートナーと接合されていてもよい。
【0061】
当技術分野において公知の様々な核酸検出法は、各々参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,840,873号、第5,843,640号、第5,843,651号、第5,846,708号、5,846,717号、第5,846,726号、第5,846,729号、第5,849,487号、第5,853,990号、第5,853,992号、第5,853,993号、第5,856,092号、第5,861,244号、第5,863,732号、第5,863,753号、第5,866,331号、第5,905,024号、第5,910,407号、第5,912,124号、第5,912,145号、第5,919,630号、第5,925,517号、第5,928,862号、第5,928,869号、第5,929,227号、第5,932,413号、および第5,935,791号に開示されている。
【0062】
C. ハイブリダイゼーション
配列特異的核酸ハイブリダイゼーションアッセイは、遺伝学的異常、変異、および疾患傾向の指標としての特定の遺伝子配列の検出のために使用される。さらに、それらは、様々な生物学的媒介物および感染性病原体の検出のために使用される。本明細書において使用されるように、「ハイブリダイゼーション」、「ハイブリダイズする」、または「ハイブリダイズすることができる」とは、二本鎖もしくは三本鎖の分子、または部分的な二本鎖もしくは三本鎖の性質を有する分子の形成を意味するものと理解される。「アニールする」という用語は、本明細書において使用されるように、「ハイブリダイズする」と同義である。「ハイブリダイゼーション」、「ハイブリダイズする」、または「ハイブリダイズすることができる」という用語には、「ストリンジェントな条件」または「高ストリンジェンシー」という用語、および「低ストリンジェンシー」または「低ストリンジェンシー条件」という用語が包含される。
【0063】
本明細書において使用されるように、「ストリンジェントな条件」または「高ストリンジェンシー」とは、相補配列を含有している一つまたは複数の核酸鎖の間の、または核酸鎖内のハイブリダイゼーションを可能にするが、非相補配列のハイブリダイゼーションは妨げる条件である。そのような条件は、当業者に周知であり、高度の選択性を必要とする適用のために好ましい。ストリンジェントな条件には、約50℃〜約70℃の温度での約0.02M〜約0.15M NaClにより提供される、低塩および/または高温の条件が含まれ得る。所望のストリンジェンシーの温度およびイオン強度は、一部分、特定の核酸の長さ、標的配列の長さおよび核酸塩基含量、核酸の電荷組成、ならびにハイブリダイゼーション混合物中のホルムアミド、塩化テトラメチルアンモニウム、またはその他の溶媒の存在および濃度により決定されることが理解される。
【0064】
ハイブリダイゼーションのためのこれらの範囲、組成、および条件は、非限定的な例として述べられているに過ぎないこと、そして特定のハイブリダイゼーション反応のための所望のストリンジェンシーが、しばしば、一つまたは複数の陽性対照または陰性対照との比較により経験的に決定されることも、理解される。低ストリンジェンシー条件の非限定的な例には、約20℃〜約50℃の温度範囲で約0.15M〜約0.9M NaClで実施されるハイブリダイゼーションが含まれる。当然、特定の適用に適合させるため、低ストリンジェンシーまたは高ストリンジェンシーの条件をさらに修飾することは、当業者の技術の範囲内である。
【0065】
II. 核酸の検出
A. 標識
核酸を検出するためには、適切な検出系と組み合わせて核酸を利用することが有利であろう。プライマーへ組み入れられた認識モエティ、増幅中に増幅された産物へ組み入れられた認識モエティ、またはプローブに付着させられた認識モエティは、核酸分子の同定において有用である。フルオロフォア、発色団、ラジオフォア、酵素タグ、抗体、化学発光/電気発光標識、アフィニティ標識等のような、「レポーター」とも呼ばれる、多数の異なる標識が、この目的のために使用され得る。当業者は、これらの標識および本明細書中に述べられないその他の標識が、本発明において成功裡に使用され得ることを認識するであろう。アフィニティ標識の例には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:抗体、抗体断片、受容体タンパク質、ホルモン、ビオチン、ジゴキシゲン(digoxigen)、DNP、またはアフィニティ標識に結合する任意のポリペプチド/タンパク質分子。
【0066】
酵素タグの例には、少数を挙げるとすれば、ウレアーゼ、アルカリホスファターゼ、またはペルオキシダーゼのような酵素が含まれる。比色定量指標基質は、相補核酸含有試料との特異的なハイブリダイゼーションを同定するための、ヒトの眼に可視の、または分光測光的に可視の検出手段を提供するために利用され得る。これらの例は、全て、当技術分野において一般に公知であり、熟練した当業者は、本発明が上記の例に限定されないことを認識するであろう。
【0067】
フルオロフォアの例には、2,4-ビス[1,3,3-トリメチル-2-インドリニリデンメチル]シクロブテンジイリウム-1,3-ジオキソレートのような赤色蛍光スクアリン色素、2,4ビス[3,3-ジメチル-2-(1H-ベンズ[e]インドリニリデンメチル)]シクロブテンジイリウム-1,3-ジオキソレートのような赤外色素、または2,4-ビス[3,5-ジメチル-2-ピロリル]シクロブテンジイリウム-1,3-ジオロレートのような橙色蛍光スクアリン色素が含まれる。フルオロフォアの付加的な非限定的な例には、量子ドット、Alexa Fluor(登録商標)色素、AMCA、BODIPY(登録商標)630/650、BODIPY(登録商標)650/665、BODIPY(登録商標)-FL、BODIPY(登録商標)-R6G、BODIPY(登録商標)-TMR、BODIPY(登録商標)-TRX、Cascade Blue(登録商標)、Cy2(商標)、Cy3(商標)、およびCy5(商標)を含むが、これらに限定されないCyDye(商標)、DNAインターカレーティング色素、6-FAM(商標)、フルオレセイン、HEX(商標)、6-JOE、Oregon Green(登録商標)488、Oregon Green(登録商標)500、Oregon Green(登録商標)514、Pacific Blue(商標)、REG、フィコエリトリンおよびアロフィコシアニンを含むが、これらに限定されないフィコビリンタンパク質、Rhodamine Green(商標)、Rhodamine Red(商標)、ROX(商標)、TAMRA(商標)、TET(商標)、テトラメチルローダミン、またはTexas Red(登録商標)が含まれる。チラミド(PerkinElmer)のようなシグナル増幅試薬が、蛍光シグナルを増強するために使用されてもよい。
【0068】
FRETに基づく検出系は、本明細書に開示された方法および組成物で使用され得ることが企図される。FRET(蛍光共鳴エネルギー転移またはフェルスター共鳴エネルギー転移)は、ドナー発色団とアクセプター発色団との間のエネルギー転移を利用する。ある種の態様において、プライマーの捕獲複合体への付着により、ドナー発色団とアクセプター発色団との間のエネルギー転移によって、シグナルの増加が観察されるよう、一つの発色団はヘアピン配列またはブロッカーに付着させられ、もう一つの発色団は捕獲複合体に付着させられる。ドナー発色団およびアクセプター発色団の配置の様々な非限定的な例は、図4A〜4Eに示される。FRETに基づく検出は、特に、閉管リアルタイム検出系において、浮動型(free floating)発色団法と比較して、バックグラウンドを低下させ、従って、プライマーセットのより高度の多重化を可能にする。
【0069】
フルオロフォア/消光剤に基づく検出系も、本明細書に開示された方法および組成物で使用され得ることが企図される。消光剤およびフルオロフォアが相互に近接している時には、消光剤が、フルオロフォアにより生成されるシグナルを消光する。核酸分子のコンフォメーション変化により、フルオロフォアと消光剤とが分離され、フルオロフォアが蛍光シグナルを放射することが可能になる。フルオロフォアおよび消光剤の配置の様々な非限定的な例は、図5A〜5Bに示される。FRETに基づく検出と同様に、フルオロフォア/消光剤に基づく検出系は、特に、閉管リアルタイム検出系において、浮動型フルオロフォア法と比較して、バックグラウンドを低下させ、従って、プライマーセットのより高度の多重化を可能にする。
【0070】
B. 遺伝子チップおよびマイクロアレイ
本発明のある種の態様は固体支持体を含む。固体支持体は遺伝子チップまたはマイクロアレイのような平面アレイであり得る。アレイおよび遺伝子チップテクノロジーは、固体基質上に固定化された多様な一本鎖オリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズする能力について、多数の核酸試料を迅速にスクリーニングする手段を提供する。これらの技術には、多数の遺伝子を迅速かつ正確に分析するための定量的な方法が含まれる。そのテクノロジーは、ハイブリダイゼーションによりDNA試料をスクリーニングするために一本鎖DNAの相補結合特性を利用する(Pease et al.,1994;Fodor et al.,1991)。基本的に、アレイまたは遺伝子チップは、一本鎖のDNA分子またはRNA分子のアレイが付着させられた固体基質からなる。スクリーニングのためには、チップまたはアレイを、一本鎖のDNA試料またはRNA試料と接触させ、それを、ストリンジェントな条件の下でハイブリダイズさせる。次いで、どのプローブがハイブリダイズしたかを決定するため、チップまたはアレイをスキャンする。チップまたは平面アレイの上のプローブの同一性は、チップまたは平面アレイにおける空間的な位置(即ち、x座標、y座標)により既知となる。
【0071】
ポリヌクレオチドプローブを固体基質上で直接合成するか、またはポリヌクレオチドプローブを固体基質へ付着させる能力は、当技術分野において周知である。いずれも参照により明示的に組み入れられる、米国特許第5,837,832号および第5,837,860号を参照のこと。多様な方法が、プローブを基質に永久にまたは除去可能に付着させるために利用されている。例示的な方法には、以下のものが含まれる:ビオチン化された核酸分子の、アビジン/ストレプトアビジンによりコーティングされた支持体への固定化(Holmstrom,1993)、短い5'リン酸化されたプライマーの、化学的に修飾されたポリスチレンプレートへの直接の共有結合性の付着(Rasmussen et al.,1991)、またはポリL-LysもしくはポリL-Lys,Pheによるポリスチレン固相もしくはガラス固相のプレコーティング、それに続く、二官能性架橋試薬を使用した、アミノもしくはスルフヒドリルにより修飾されたオリゴヌクレオチドの共有結合性の付着(Running et al.,1990;Newton et al.,1993)。基質へ固定化された時、プローブは安定化され、従って、繰り返し使用され得る。一般に、ハイブリダイゼーションは、ニトロセルロース、ナイロン膜、またはガラスのような固体表面に付着させられた固定化された核酸標的またはプローブ分子に対して実施される。補強されたニトロセルロース膜、活性化された石英、活性化されたガラス、フッ化ポリビニリデン(PVDF)膜、ポリスチレン基質、ポリアクリルアミドに基づく基質、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(ジメチルシロキサン)、(標的分子との共有結合を形成することができるニトレン、カルベン、およびケチルラジカルのような光反応性種を含有している)フォトポリマーのようなその他のポリマーを含む、多数のその他のマトリックス材料が使用されてもよい。
【0072】
C. ビーズアレイ
いくつかの態様において、固体支持体はマイクロスフェアであり得る。マイクロスフェアに基づくアッセイも、当業者に公知のテクノロジーにより分析され得る。例えば、ある種の態様において、Luminex xMAP(登録商標)テクノロジーが使用され得る。Luminexテクノロジーは、蛍光的にコード化されたマイクロスフェアに固定化された核酸産物の検出を可能にする。二つのスペクトル的に区別される蛍光色素により、各々10の異なる強度で、マイクロスフェアを染色することにより、100の蛍光的に区別されるマイクロスフェアの集団が生成される。これらの個々の集団(セット)は、個々の検出配列を表すことができ、各セット上のハイブリダイゼーションの大きさが個々に検出され得る。ハイブリダイゼーション反応の大きさは、典型的には、第三のスペクトル的に区別されるフルオロフォアである、第三のレポーターを使用して測定される。レポーター分子は、マイクロスフェア上の分子に付着することにより反応の程度についてのシグナルを発する。マイクロスフェアおよびレポーター分子の両方が標識されているため、デジタルシグナル処理は、各反応について、シグナルの定量的データへのリアルタイムの翻訳を可能にする。Luminexテクノロジーは、例えば、全て参照により具体的に組み入れられる、米国特許第5,736,330号、第5,981,180号、および第6,057,107号に記載されている。
【0073】
フローサイトメトリーは、マイクロスフェアに基づくアッセイにおいて、同時の配列同定およびハイブリダイゼーション定量化のために使用され得る。マイクロスフェア内の内部色素が、フローサイトメトリーにより検出され、マイクロスフェアが連結されている特定の核酸配列を同定するために使用される。標的核酸分子上の標識も、フローサイトメトリーにより検出され、標的のマイクロスフェアとのハイブリダイゼーションを定量化するために使用される。フローサイトメトリーの方法は、当技術分野において周知であり、例えば、全て参照により具体的に組み入れられる、米国特許第5,981,180号、第4,284,412号;第4,989,977号;第4,498,766号;第5,478,722号;第4,857,451号;第4,774,189号;第4,767,206号;第4,714,682号;第5,160,974号;および第4,661,913号に記載されている。
【0074】
マイクロスフェアは、実質的に平面のアレイの上に分布したビーズおよびアナライトを画像化するアレイプラットフォームで分析されてもよい。この方式において、ビーズアレイの画像化は、上述の遺伝子チップに類似している。しかしながら、アナライトがアレイにおける空間的な位置により同定される遺伝子チップとは対照的に、ビーズアレイは、典型的には、それが結合しているコード化されたマイクロスフェアによりアナライトを同定する。市販されているビーズアレイ系の例には、IlluminaのBeadXpress(商標)ReaderおよびBeadStation 500(商標)が含まれる。
【0075】
D. 競合結合アッセイ
本発明の態様は、競合結合アッセイフォーマットと併せて使用されてもよい。一般に、このフォーマットは、固体表面に連結された配列と、溶液中の、固体表面に連結された配列に相補的な標識された配列とを含む。このフォーマットでは、アッセイされる試料の中の標的配列を標識する必要はない。むしろ、標的配列の試料中の存在は、それが、固定化された検出配列とのハイブリダイゼーションについて、標識された相補鎖と競合するため、検出される。従って、標的配列が試料中に存在する場合、標的配列を欠く試料と比較して、シグナルは減少する。上記のLuminex xMAPテクノロジーは、競合結合アッセイフォーマットにおいて使用され得る。競合結合アッセイフォーマットにおけるLuminexテクノロジーの使用は、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,736,330号および第6,057,107号に記載されている。
【0076】
E.タグ配列
上述のように、本発明の様々な局面は、相補的なタグ配列(即ち、タグおよびアンチタグ)を使用する。プライマー、プローブ配列、標的配列等に連結されているタグ相補鎖と特異的にハイブリダイズさせるために使用され得る、固体支持体に付着させられたオリゴヌクレオチドタグの使用を含む、多数のアプローチが開発されている。クロスハイブリダイズしないタグ配列およびアンチタグ配列の適切な選択は、アッセイ、特に、ストリンジェントなクロスハイブリダイズしない挙動を必要とする、高度にパラレルなハイブリダイゼーション環境におけるアッセイにおいて有用である。
【0077】
核酸ハイブリッド形成のある種の熱力学的特性が、タグ配列およびアンチタグ配列の設計において考慮される。Tmとして公知の、オリゴヌクレオチドが相補配列と二重鎖を形成する温度(核酸二重鎖の50%が解離する温度)は、正準対A-TおよびG-Cの水素結合エネルギー(GCまたは塩基組成に反映される)、スタッキングの自由エネルギーを含み、より少ない程度に、最近接相互作用を含む、多数の配列依存的な特性によって変動する。これらのエネルギーは、ハイブリダイゼーションアッセイにおいて典型的に使用されるオリゴヌクレオチドの間で広く変動する。例えば、標準的な条件の下での、24ヌクレオチドから構成された二つのプローブ配列(一方は40%GC含量、他方は60%GC含量)の相補的な標的とのハイブリダイゼーションは、理論的には、融解温度の10℃の差を有し得る(Mueller et al,1993)。ハイブリダイゼーションにおける問題は、セットのオリゴヌクレオチド配列全ての正確なハイブリダイゼーションにとって最適でない、単一のハイブリダイゼーション温度を含むハイブリダイゼーション条件の下でハイブリッドが形成させられる時に起こる。非相補プローブのミスマッチハイブリダイゼーションが起こり、測定可能なミスマッチ安定性を有する二重鎖が形成され得る(Santalucia et al.,1999)。オリゴヌクレオチドの特定のセットにおける二重鎖のミスマッチングは、ミスマッチが、その特定のセットの最も不安定な正確な二重鎖より高いTmをもたらす、二重鎖安定性の減少をもたらすハイブリダイゼーション条件の下で起こり得る。例えば、ハイブリダイゼーションが、ATリッチな完全マッチ二重鎖配列にとって好都合な条件の下で実施される場合、正確に形成されたATリッチ二重鎖よりさらに高い融解温度を有するミスマッチ塩基を含有しているGCリッチ二重鎖配列がハイブリダイズする可能性が存在する。従って、多重ハイブリダイゼーション反応において使用され得るオリゴヌクレオチド配列のファミリーの設計は、設計されたオリゴヌクレオチドセットにおけるクロスハイブリダイゼーション挙動を低下させるかまたは排除するであろうオリゴヌクレオチドおよび二重鎖形成の熱力学的特性についての考慮を含んでいなければならない。
【0078】
多重ハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用するためのタグ配列およびアンチタグ配列を選択するためには、多数の異なるアプローチが存在する。アドレス可能なアレイにおいてジップコードまたはタグとして使用され得る配列の選択は、Brennerらにより採用されたアプローチにおいて特許文献に記載されている(参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,654,413号)。Chetverinら(参照により本明細書に組み入れられる、WO93/17126、米国特許第6,103,463号および第6,322,971号)は、核酸を分取し調査するための、区分されたバイナリーオリゴヌクレオチドアレイを開示している。これらのアレイは、いずれも共有結合性の結合モエティにより固体支持体に結合している、隣接した可変ヌクレオチド配列に付着した不変ヌクレオチド配列を有する。サブユニットに基づくタグの設計において使用されるパラメーターは、Baranyら(参照により本明細書に組み入れられるWO9731256)に記述されている。多重配列決定法は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,942,124号に記載されている。この方法は、タグ配列が相互に異なる少なくとも2種のベクターを使用する。
【0079】
参照により本明細書に組み入れられる米国特許第7,226,737号は、210種のクロスハイブリダイズしないタグおよびアンチタグのセットを記載している。参照により本明細書に組み入れられる、公開された米国出願第2005/0191625号は、最小限のクロスハイブリダイゼーションで、相補配列と正確にハイブリダイズする証明された能力を有する1168種のタグ配列のファミリーを開示している。
【0080】
オリゴヌクレオチドタグ配列またはアンチタグ配列の集団は、直接化学合成、化学的連結、ライゲーション、増幅等を含むが、これらに限定されない、いくつかの異なる方式で、プライマーまたはその他のポリヌクレオチド配列の集団に接合され得る。プライマー配列を含んで合成された配列タグは、例えば、PCR増幅において、標的上のプライマーの酵素的伸長のために使用され得る。オリゴヌクレオチドタグ配列またはアンチタグ配列の集団は、例えば、支持体の表面上の界面化学により、固体支持体に接合され得る。
【0081】
F. ブロッカーモエティ
ブロッカーモエティは、第二鎖合成中にポリメラーゼがタグ配列領域を通って伸長するのを防止し、従って、タグ配列が、増幅中に一本鎖であり続け、従って、捕獲複合体内の相補アンチタグ配列に自由にハイブリダイズし得ることを可能にする。
【0082】
ブロッカーモエティとは、第一のヌクレオチド配列と第二のヌクレオチド配列との間に結合(例えば、共有結合)した時に、第一のヌクレオチド配列および第二のヌクレオチド配列の両方ではなく、第一のヌクレオチド配列または第二のヌクレオチド配列のいずれかの伸長を阻害し、好ましくは、防止するのに効果的である任意のモエティをさす。ブロッカーモエティとして使用され得る多数の分子が存在する。ブロッカーモエティの非限定的な例には、C6〜20直鎖型アルキレンおよび(18原子ヘキサエチレングリコールである)iSp18が含まれる。ブロッカーモエティには、例えば、3'-フラノシル結合を介して、または、好ましくは、2'-フラノシル結合を介して、隣接ヌクレオチドと結合していてもよい、少なくとも一つのデオキシリボフラノシルナフタレンモエティまたはリボフラノシルナフタレンモエティが含まれ得る。ブロッカーモエティは、標的特異的配列と反対方向のオリゴヌクレオチド配列であってもよい。様々なブロッカーモエティおよびそれらの使用が、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,525,494号に記載されている。
【実施例】
【0083】
III. 実施例
以下の実施例は、本発明のある種の態様を示すために含まれる。当業者は、当開示を考慮すれば、開示された具体的な態様に多くの変化を施しても、本発明の本旨および範囲を逸脱することなく、同様のまたは類似の結果を入手し得ることを認識するべきである。
【0084】
A. 実施例1
タグ領域およびアンチタグ領域を含むヘアピン形成プライマーを、タグ領域を含むがアンチタグ領域は含まない非ヘアピン形成プライマーと比較するため、並行研究を実施した。これらの「タグ付き」プライマーを、順方向プライマーとして使用した。Cy3標識された逆方向プライマー(400nM)を、それぞれの順方向プライマー(ヘアピン形成または非ヘアピン形成)および検出ビーズと共に添加した後、PCR増幅を行った。標的は、血栓形成傾向遺伝子MTHFRエキソン7であった。27サイクルの後、試料を、緩衝液またはレポーターを他に添加することなく(従って、模擬閉管検出フォーマットを表す)、室温においてLX200(Luminex Corp.)で分析した。
【0085】
順方向プライマーは以下の通りであった:
Cy3標識された逆方向プライマーの配列は以下の通りであった:
【0086】
12snapおよび12isoSNAPは、12snapはiSp18ブロッカーを含有し、12isoSNAPはisodCブロッカーを含有している点で相互に異なった。12snapおよび12isoSNAPは、Visual OMPソフトウェアにより、溶液(37℃;[一価]=0.0500モル/L;[Mg2+]=0.0015モル/L;[ベタイン]=1.00モル/L)中で99.9%の時間、ヘアピンコンフォメーションにあると計算された。Snap1は、12snapのように12塩基ではなく、ヘアピン内の相補アンチタグとハイブリダイズする24塩基のタグを有していた点を除き、12snapに類似していた。NoSnapは、12snapと同じ長さであったが、ヘアピン構造を有しなかった。TIFプライマーは、タグ配列を含んでいたが、相補アンチタグ配列を含んでいなかった。
【0087】
全てのPCR反応を同一のカクテルにおいて実施した。これらを、27サイクルの増幅および36サイクルの増幅の後に分析した。PCRカクテルは、以下の濃度および試薬を使用して調製された:
(表1)
【0088】
これらの製剤を、下流プライマー:
と共に使用した。
【0089】
プライマーは各々400nM濃度であった。この反応のためのサイクリング条件は以下の通りであった:
熱変性工程;95℃5分。
サイクリング工程(36サイクル):94℃30秒、55℃30秒、72℃30秒。
【0090】
増幅後、全ての反応が完了するまで、反応物を保管し、次いで、v底プレートに置き、96℃3分および37℃12分の後、Luminex 200アナライザーで分析した。
【0091】
結果は、下記表2に示される。アナライト27は、ビーズに連結されたアンチタグ領域を有する陽性ビーズセットである。アナライト33は、ビーズに連結された非特異的配列を有する陰性対照である。中央値が示される。
【0092】
(表2)
【0093】
27サイクル目における、12snapプライマーからのシグナル(58および53のMFI)が、NoSnapプライマーからのシグナル(20および26.5のMFI)と比較して高いことは、12snapプライマーが、折り畳まれていると想定されている時に折り畳まれており、過剰のプライマーが予想される反応段階において、ハイブリダイゼーションに干渉していないことを示す。
【0094】
B. 実施例2
実施例1に記載された27サイクルまでの増幅の後、最初の増幅に用いたのと同じ順方向プライマー(400nM)をさらに試料に追加する、もう一つの研究を実施した。未伸長ヘアピンプライマーが、ビーズとのハイブリダイゼーションに干渉するか否か、およびTIFプライマーが、ハイブリダイゼーションに干渉するか否かを試験するため、ハイブリダイゼーション前、増幅後に、過剰のプライマーの添加を行った。干渉が存在するのであれば、追加されたプライマーが、MFI値を減少させるであろうと予想される。
【0095】
(表3)
【0096】
表3および図6に示されるように、過剰のTIFプライマーが添加された時、TIFプライマー試料についてのMFIは最初の値の68%まで低下したが、過剰の12snapプライマーが添加された時、12snapプライマーは最初の値の92%までしか低下しなかった。12snapプライマーにより観察されたシグナルのわずかな低下は、12塩基対しかヘアピン形成に利用可能でないため、これらのプライマーによるヘアピン構造形成が不完全であるためであり得る。
【0097】
C. 実施例3
付加的な量のTIFプライマーまたは12snapプライマーによりシグナルが増加または減少するか否かを決定するため、27サイクルで中止させたPCR反応において、変動する量のプライマー濃度を試験した。結果は、下記表4および5に示される。
【0098】
(表4)12snapプライマー
【0099】
(表5)TIFプライマー
【0100】
データは、ヘアピンプライマーでは、濃度を増加させることにより、より高いシグナルを獲得することができるが、TIFプライマーを増加させても、より高いシグナルは入手され得ないことを示す。これは、ヘアピンプライマーが、TIFプライマー程、ビーズとのハイブリダイゼーションに干渉しないことを示す。
【0101】
D. 実施例4
(1)Cy3標識された逆方向プライマーが順方向プライマーとハイブリダイズしないこと;および(2)プライマーダイマーが形成されないこと:を確認するため、二つの付加的な研究を実施した。
【0102】
プライマー(Cy3標識された逆方向プライマーおよび12snapまたはTIFのいずれか)を、PCR溶液中でアンチタグ付きビーズと混合し、96℃で3分間、続いて37℃で12分間、加熱した。表6に示されるように、いずれの順方向プライマーに対しても逆方向プライマーの非特異的な結合は検出されなかった。
【0103】
(表6)
【0104】
プライマーダイマーの形成についてチェックするため、上流プライマー12snapおよびTIF、ならびにCy3標識された逆方向プライマーを用いたPCR反応を、鋳型の非存在下で実施した。反応は、96℃3分および37℃12分のハイブリダイゼーションプロトコルの後、RD18でデュプリケートで実行された。表7に示される結果は、プライマーダイマーが形成されビーズとハイブリダイズすることはなかったことを示す。
【0105】
(表7)
【0106】
E.実施例5
ヘアピン内に16残基ステムおよび14残基ステムの構造を形成する順方向プライマーも、研究した。付加的なタグ付き非ヘアピン形成プライマーTIFも、これらの研究に含めた。
【0107】
16snapおよび14snapを、プライマー領域に相補的なオリゴを使用したPCR反応およびPCR溶液において試験した。以下のPCRセットアップを、追加のMgCl2が添加されないQiagen Hotstartマスターミックスにおいてオリゴを試験するために設計した。
【0108】
(表8)
【0109】
反応を27サイクルで中止させ、96℃で2分間、続いて、37℃で12分間、ハイブリダイズさせた。結果は以下の通りであった:
【0110】
(表9)
【0111】
表9からのデータは、図7にグラフでも表される。16snapプライマーおよび14snapプライマーは、12snapより低いシグナルを生じた。それらは、TIFよりも低いシグナルを生じた。Qiagen Hotstartマスターミックス中のポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性が、16snapプライマーおよび14snapプライマーのステム構造を分解したと仮定された。従って、27サイクルで中止させたもう一つのPCRを、exo(-)ポリメラーゼapta taqを使用して実施した。このPCRのためのカクテルは以下の通りであった:
【0112】
(表10)
【0113】
apta taqを用いた反応の結果は以下の通りであった:
(表11)
【0114】
表11からのデータは、図8にグラフでも表される。ヘアピン形成プライマー(16snap、14snap、および12snap)は、全て、非ヘアピン形成プライマー(TIF)より有意に高性能であった。
【0115】
F. 実施例6
apta taq PCRにおける上記のPCRカクテルを、16snapプライマー、14snapプライマー、12snapプライマー、およびTIFプライマーの各々について、プライマー領域に相補的な標識されたオリゴをハイブリダイズさせるためのハイブリダイゼーション緩衝液として使用した。表12に示されるように、16snapプライマー、14snapプライマー、および12snapプライマーのヘアピン構造は、ビーズとハイブリダイズする能力を大きく阻害した。
【0116】
(表12)
【0117】
G. 実施例7
プロトロンビン遺伝子の増幅のためのオリゴも作成した。これらのオリゴは以下の通りであった:
【0118】
ビーズPTオリゴをビーズセット29に連結させた。上記MTHFR研究からのアナライト33およびアナライト27のビーズセットを、陰性対照として使用した。
【0119】
順方向プライマー(PT TIFおよび12SNAP/ptu)を除き、全て同じ試薬を共有している2種のPCRカクテルを調製した。各条件について、鋳型なしの対照、および三つの鋳型が添加された試料を添加した。PCRカクテルは表13に示される。結果は表14に示される。
【0120】
(表13)
【0121】
(表14)
【0122】
表14の結果から、以下のPCRプロトコルを用いた400nMプライマー濃度を使用した27サイクルの後、12SNAP/ptuプライマーのシグナルの差が、PT TIFプライマーの約2倍であることが分かる:97℃5分;(97℃30秒;55℃30秒;72℃30秒)×27サイクル;続いて、72℃7分。これらの結果は、多重反応へと組み合わせられた場合、PTプライマーがMHFTRプライマーセットとクロスハイブリダイズしないであろうことも証明した。
【0123】
H. 実施例8
(DeepVentエキソ(-)ポリメラーゼを含む)PCRカクテルを、各プライマーセットについて16のアリコートへ分割する、偽リアルタイムPCRを実施した。各サイクルにおけるシグナルレベルを測定するため、各アリコートを進行的なサイクルでサーマルサイクラーから取り出した。これを高速2段階PCR反応を使用して行い、全部で36サイクルのPCRプロトコルの終了時に室温でLX200(Luminex)でアリコートを測定した。
【0124】
図9に示されるように、PT TIFプライマーについての29サイクル(58分)と比較して、12SNAP/ptuプライマーについては、わずか22サイクル(44分)でシグナルが観察可能となった。観察可能なシグナルをより早く生じることに加えて、ヘアピン形成プライマーはより高感度でもあったことが、図9から分かる。サイクル22で、PT TIFプライマーのシグナルは、12SNAP/ptuプライマーと比較してわずか16%であり、ピークサイクル33でもわずか75%であった。
【0125】
I. 実施例9
実験の期間中、スライド上に直接レンズおよびhex-イルミネーターを有するガラススライドで、リアルタイムPCR実験を実施した。ガラススライドチャンバーを構築し、ガラスをDMDCSを使用して化学的に修飾した後、ポリアデニル酸カリウム塩へ浸漬した。ガラススライドおよびカバーガラスを、インサイチューPCRキットを使用して、粘着性ガスケット(BioRad)とつなぎ合わせた。これらを、スライドグリドル(griddle)が装備されたBioRad DNA Engineサーマルサイクラーに置いた。この特定のスライドグリドルは、96ウェルのうちの1ウェルの上で直接、それに空けられた孔を有していた。露出したウェルは黒く塗られた。バックグラウンド反射光を低下させるため、ガラスチャンバーを、グリドル内の孔の上に直接置いた。CCDカメラおよび光源をDNA Engineサーマルサイクラーに連結することにより、リアルタイムPCRユニットを構築した。hex-イルミネーターを、ガラススライドの上に直接置き、PCR反応の期間中、そこに残した。以下のカクテルを、25μL容量ガラスチャンバーに置いた:
(表15)
【0126】
以下のPCRサイクリング条件を実行した:(1)97℃5分;(2)105℃15秒;(3)96℃30秒;(4)50℃5秒;(5)68℃30秒;(6)5回2に戻る;(7)15℃10秒;(8)24℃5分;(9)6回2に戻る;(10)終了。これらの条件は、グリドルの加熱遅延を考慮した追加の勾配時間を含んでいた。
【0127】
24℃で、5サイクル毎の間隔で、正確に4分目に、ビーズの画像を取得した。ガラスチャンバーはランの間に撹拌されなかった。データは表16および図10に示される。
(表16)
【0128】
J. 実施例10
反対鎖の伸長により、標識されたユニバーサルプローブに結合するユニバーサルタグ配列を含有しているプライマーにおいて使用される、ヘアピンのステム領域の長さの最適化を評価した。逆方向プライマーヘアピンステム領域の長さ、およびユニバーサルレポータープローブの長さの最適の長さを見出すため、異なるステム長を有する一連のプライマー、および異なる長さを有するユニバーサルレポータープローブを、比較のために反応させた。
【0129】
これらの反応において、11残基、14残基、16残基、および0残基のステム長を有する逆方向ヘアピンプライマーを使用した。これらを、これらのヘアピンプライマーの各々の標的特異的プライマー領域に相補的なプローブに連結されたビーズとハイブリダイズさせた。各50uL反応物は、以下のものを含有していた:
8mM MgCl2
1×Qiagen PCR緩衝液
5000個のビーズ
200nMのプライマー
200nMのユニバーサルレポータープローブ
【0130】
全ての試薬を95℃で5分間、続いて37℃で15分間、ハイブリダイズさせた。次いで、Luminex磁性ビーズを、Luminex Lx200アナライザーで分析した。
【0131】
以下のオリゴをこの反応において使用した:
【0132】
(表17)
【0133】
この研究の目標は、プライマーのヘアピン領域が、標識されたユニバーサルプローブの存在下で、閉じた状態を維持するが、標識されたユニバーサルプローブの存在下で、二本鎖アンプリコン産物が形成された後は、開いた状態を維持するような、プライマー/プローブ対を見出すことであった。ヘアピンが二本鎖産物の形成後に開いた状態を維持することを確実にするため、本発明者らは、ヘアピンモノマーが、閉じた状態を維持するよう十分に強く、二本鎖産物および標識されたユニバーサルプローブの存在下では開いた状態を維持するよう十分に弱い結合エネルギーを有するようなプライマー/プローブ対を選んだ。そのような対は、この研究において、開いた状態の点に近づかなければならないであろう。最適な対は、Snap11revNei/Univlabeled13対と同定された。低いMFIは、それが閉じた状態にあることを示すが、より長い標識されたユニバーサルプローブが使用された場合、40〜43 MFIにより示されるように、ヘアピンのうちのいくつかは開くため、この対を、その後のPCR反応において使用するために選んだ。これは、Snap11revNei/Univlabeled13が、閉じているが、いくつかは開くであろう点に近いことを示す。
【0134】
K. 実施例11
リアルタイム定量的PCRにおける髄膜炎菌DNA(ATCC700532D-5)の希釈系列を、閉管において実施した。この実験は、鋳型DNAの変動するインプット濃度を区別するために、定量的リアルタイムPCRを実施する能力を証明した。PCRカクテルは、各25uL反応物が以下のものを含有するよう調製された:
8mM MgCl2
1×Qiagen PCR緩衝液
各領域の5000個のビーズ
200nMのプライマー
200nMのユニバーサルレポータープローブ
【0135】
髄膜炎菌DNAの試料を、密封されたガラスチャンバーを使用してリアルタイムで増幅し、スライドグリドルが取り付けられたサーマルサイクラーに置いた。これらの反応は、実施例11と同様に実施された。第一の密封されたチャンバーは100万コピー、第二のチャンバーは100,000コピー、第三のチャンバーは10,000コピーの髄膜炎菌DNAを含有していた。
【0136】
二つのビーズセットを、この実験において使用した。一方のビーズセット(セット2)は、順方向プライマー(Snap12fwdShrtNei)のタグ領域に相補的なプローブ(BeadTag Nei)に連結されていた。もう一方のビーズセット(セット1)は、反応物中のいずれに対してもハイブリダイズする特異性を有しないプローブ(BeadTag antiList)に連結されていた。セット1は、反応物中の非特異的シグナルをモニタリングし、かつ取得された各画像についての光強度の差を考慮するための、ノーマライゼーションおよびバックグラウンド差し引きのツールとして作用するよう使用された。
【0137】
各サイクルについての各ビーズセットについてのデータが以下に与えられる。三つ全ての反応において、各時点についての各ビーズセット1についての平均MFIは、3931 MFIであった。非特異的ビーズセット(セット1)を3931 MFIにより割ることにより、ノーマライゼーション係数を作出するため、この平均値を使用した。各生データポイントを、各時点に特異的なこのノーマライゼーション係数により割った。ノーマライゼーションの後、髄膜炎菌を検出するための特異的ビーズセット(セット2)のノーマライズされたMFIから、セット1のノーマライズされたMFIを差し引いた。この計算は、各時点についてのセット2についての正味のノーマライズされたMFIをもたらした。データは、下記表に与えられる。
【0138】
(表18)
【0139】
このデータのグラフ(図11)は、定量化を可能にする、髄膜炎菌のインプット濃度の各々の明瞭な鑑別を示す。
【0140】
L. 実施例12
以下の結果は、病原体の検出のためのヘアピン形成プライマーを多重化する能力を証明する。髄膜炎菌、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、およびインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)を検出するための三重髄膜炎アッセイを設計した。3種のプライマーセットを同一反応物中に多重化した。アッセイの特異性を証明するため、別々の細菌種からのゲノムDNAを、個々の反応物中に置いた。
【0141】
以下のプライマー配列およびプローブ配列を、IDTに注文し使用した。
プライマーセット1:
プライマーセット2:
プライマーセット3:
ビーズに連結されたプローブ:
【0142】
以下の容量(μL)を各PCRカクテルにおいて使用した:
(表19)
【0143】
PCR材料:(Roche)Apta Taq delta exo DNAポリメラーゼ、グリセロール不含、50U/ul−試料2、5KU(100ul);(Roche PN:13409500)MgCl2不含PCR緩衝液、10×濃度;(Invitrogen PN:18427-088)10mM dNTPミックス。
【0144】
サーマルサイクリングパラメーター:97℃4分;次いで、(97℃30秒、62℃30秒)を35サイクル;次いで、72℃7分。
【0145】
各ビーズセットは、Luminexの推奨するEDC連結法を使用して、それぞれのプローブ配列を連結することにより、Luminex MagPlex-C磁性マイクロスフェアを使用して、予め調製された。
【0146】
以下のゲノムDNA試料を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)(ATCC)から入手した:
【0147】
(表20)
【0148】
PCR反応の後、試料を2分間95℃に加熱し、8分間室温に置いた後、Luminex 200アナライザーで分析した。各ビーズセットについて100のビーズ事象を収集し、各反応における各ビーズセットについて中央蛍光強度(MFI)値を導き出した。以下のMFI値が各試料について入手された:
【0149】
(表21)
【0150】
これらの結果は、ヘアピンプライマーの多重の能力を証明する。
【0151】
異なる細菌種に特異的な標的であるプライマーセットの部分は、以下の公に入手可能な参照から入手された:
髄膜炎菌:
リステリア菌:
インフルエンザ菌:
【0152】
本明細書および特許請求の範囲に開示された組成物および方法は、全て、当開示を考慮すれば、過度の実験なしに作成され実行され得る。本発明の組成物および方法が好ましい態様に関して記載されたが、本発明の概念、本旨、および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された組成物および方法ならびに方法の工程または工程の順序に変動が施されてもよいことは、当業者には明白であろう。より具体的には、化学的にも生理学的にも関連しているある種の薬剤が、本明細書に記載された薬剤の代わりに用いられても、同一または類似の結果が達成され得ることが明白であろう。当業者に明白なそのような類似の代替物および修飾は、全て、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の本旨、範囲、および概念に含まれるものと見なされる。
【0153】
参照
以下の参照は、それらが本明細書に示されたものを補足する例示的な手順またはその他の詳細を提供するという程度に、参照により具体的に本明細書に組み入れられる。
【図1A】
【図1B】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)標的特異的プライマー配列;
(b)標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;
(c)アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;および
(d)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー
を含む核酸分子。
【請求項2】
アンチタグ配列およびタグ配列が各々8〜30ヌクレオチド長である、請求項1記載の核酸分子。
【請求項3】
アンチタグ配列が12ヌクレオチド長である、請求項2記載の核酸分子。
【請求項4】
アンチタグ配列およびタグ配列が各々24ヌクレオチド長である、請求項2記載の核酸分子。
【請求項5】
ブロッカーがiSp18モエティまたはiMe-isodCモエティである、請求項1記載の核酸分子。
【請求項6】
(a)マイクロスフェア;
(b)マイクロスフェアに共有結合で付着した第一のアンチタグ核酸;
(c)第一のアンチタグ核酸とハイブリダイズしたタグ核酸;
(d)タグ配列の3'に共有結合で付着したブロッカー;
(e)ブロッカーの3'に共有結合で付着した、第一のアンチタグ核酸の少なくとも8個の連続するヌクレオチドと同一の配列を有する第二のアンチタグ核酸;
(f)第二のアンチタグ核酸の3'に共有結合で付着した標的特異的核酸;ならびに
(g)アンチタグ核酸および標的特異的核酸の配列に相補的な配列を含む、第二のアンチタグ核酸および標的特異的核酸とハイブリダイズした核酸分子
を含む組成物。
【請求項7】
マイクロスフェアが蛍光標識されている、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
マイクロスフェアが磁性である、請求項6記載の組成物。
【請求項9】
第二のアンチタグ核酸および標的特異的核酸とハイブリダイズした核酸分子が、レポーター分子に共有結合で連結されている、請求項6記載の組成物。
【請求項10】
(a)(i)第一の標的特異的プライマー配列;
(ii)標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;
(iii)アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;および
(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー
を含む、プライマー対の第一のメンバーである第一の核酸分子と;
(b)(i)第二の標的特異的プライマー配列;
(ii)標的特異的プライマー配列の5'にあるユニバーサルアンチタグ配列;
(iii)アンチタグ配列の5'にあるユニバーサルタグ配列;および
(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー
を含む、プライマー対の第二のメンバーである第二の核酸分子と;
(c)(i)ユニバーサルタグ配列に相補的なユニバーサルアンチタグ配列;および
(ii)標識
を含む第三の核酸分子と
を含む組成物。
【請求項11】
標識が蛍光標識である、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
蛍光標識がCy3標識である、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
複数の異なる標的配列の増幅のための複数のプライマー対を含む組成物であって、各プライマー対が、
(a)(i)第一の標的特異的プライマー配列;
(ii)標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;
(iii)アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;および
(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー
を含む第一の核酸分子と;
(b)(i)第二の標的特異的プライマー配列;
(ii)標的特異的プライマー配列の5'にあるユニバーサルアンチタグ配列;
(iii)アンチタグ配列の5'にあるユニバーサルタグ配列;および
(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー
を含む第二の核酸分子と;
(c)(i)ユニバーサルタグ配列に相補的なユニバーサルアンチタグ配列;および
(ii)標識
を含む標識されたユニバーサルアンチタグ分子と
を含む、前記組成物。
【請求項14】
複数のコード化されたマイクロスフェアに共有結合で付着した複数のアンチタグ核酸分子をさらに含み、複数のアンチタグ分子が、複数のプライマー対のタグ配列に相補的なアンチタグ配列を含み、かつアンチタグ核酸分子の各々の同一性が、それが共有結合で付着しているコード化されたマイクロスフェアのコード化から決定され得る、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
標的核酸を増幅する方法であって、
(a)(i)第一の標的特異的プライマー配列;標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;およびアンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー、を含む第一のプライマーと;
(ii)第二の標的特異的プライマー配列を含む第二のプライマーと
を含む第一のプライマー対を準備する工程;
(b)レポーターを準備する工程;
(c)固体支持体に付着したアンチタグ配列を含む捕獲複合体を準備する工程;ならびに
(d)標的核酸の増幅に適した条件の下で、第一のプライマー対、レポーター、捕獲複合体、および標的核酸を含む試料を組み合わせることにより、標的核酸を増幅する工程
を含む、前記方法。
【請求項16】
増幅された核酸を捕獲複合体のアンチタグ配列とハイブリダイズさせる工程をさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
レポーターが第二のプライマーに付着している、請求項15記載の方法。
【請求項18】
レポーターがdNTPに付着している、請求項15記載の方法。
【請求項19】
レポーターがDNAインターカレーターである、請求項15記載の方法。
【請求項20】
固体支持体がマイクロスフェアである、請求項15記載の方法。
【請求項21】
ビーズが磁性であり、かつ蛍光標識されている、請求項20記載の方法。
【請求項22】
標的核酸の増幅が、鎖交換活性を有するがエキソヌクレアーゼ活性は有しないポリメラーゼにより触媒される、請求項15記載の方法。
【請求項23】
増幅された核酸を検出する工程をさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項24】
増幅された核酸の検出が、捕獲複合体に結合した増幅された核酸配列の画像化を含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
試料が少なくとも一つの第二の標的核酸を含む、請求項15記載の方法。
【請求項26】
少なくとも一つの第二のプライマー対が、標的核酸の増幅に適した条件の下で、第一のプライマー対、レポーター、捕獲複合体、および標的核酸を含む試料と組み合わせられる、請求項25記載の方法。
【請求項27】
異なる増幅された標的核酸を、識別可能な捕獲複合体の異なるアンチタグ配列とハイブリダイズさせる工程をさらに含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
捕獲複合体が空間的に識別可能である、請求項27記載の方法。
【請求項29】
捕獲複合体が光学的に識別可能である、請求項27記載の方法。
【請求項30】
試料中の微生物を検出する方法であって、
(a)各プライマー対が、
(i)第一の標的特異的プライマー配列;標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;およびアンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー、を含む第一のプライマーと;
(ii)第二の標的特異的プライマー配列;標的特異的プライマー配列の5'にあるユニバーサルアンチタグ配列;アンチタグ配列の5'にあるユニバーサルタグ配列;およびアンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー、を含む第二のプライマーと
を含む、複数の異なる微生物からの複数の異なる標的核酸配列の増幅のための複数のプライマー対を準備する工程;
(b)(i)ユニバーサルタグ配列に相補的なユニバーサルアンチタグ配列;および
(ii)標識
を含む標識されたユニバーサルアンチタグ分子を準備する工程;
(c)固体支持体に付着したアンチタグ配列を含む複数の捕獲複合体を準備する工程;ならびに
(d)標的核酸配列の増幅に適した条件の下で、複数のプライマー対、標識されたユニバーサルアンチタグ分子、捕獲複合体、および試料を組み合わせることにより、微生物が試料中に存在する場合に、異なる微生物からの標的核酸配列を増幅する工程;
(e)増幅された標的核酸配列を、それぞれの捕獲複合体のそれぞれのアンチタグ配列とハイブリダイズさせる工程;ならびに
(f)それぞれの捕獲複合体に結合した増幅された標的核酸配列を検出することにより、試料中に存在する微生物を検出する工程
を含む、前記方法。
【請求項31】
微生物が細菌である、請求項30記載の方法。
【請求項32】
微生物が病原体である、請求項30記載の方法。
【請求項33】
微生物がレトロウイルス、ウイルス、または真菌である、請求項30記載の方法。
【請求項34】
試料が患者の試料である、請求項30記載の方法。
【請求項35】
患者の試料が、血液試料、血清試料、または脳脊髄液試料である、請求項34記載の方法。
【請求項36】
試料が環境試料である、請求項30記載の方法。
【請求項37】
環境試料が、水試料または土壌試料である、請求項36記載の方法。
【請求項38】
複数の異なる標的核酸配列が、RNA配列の逆転写により入手されたcDNA配列である、請求項30記載の方法。
【請求項39】
5〜30種のプライマー対を準備する工程を含む、請求項30記載の方法。
【請求項40】
1〜10種の異なる微生物が検出される、請求項30記載の方法。
【請求項41】
遺伝子発現を定量化する方法であって、
(a)mRNAから逆転写されたcDNAを固定化する工程;
(b)固定化されたcDNAに、ユニバーサルプライマー結合配列およびcDNA特異的配列を含む第一のオリゴヌクレオチドと、ユニークプライマー結合配列およびcDNA特異的配列を含む第二のオリゴヌクレオチドとをハイブリダイズさせる工程;
(c)ライゲートされたオリゴヌクレオチドを形成させるために、第一のオリゴヌクレオチドを第二のオリゴヌクレオチドとライゲートする工程;
(d)ユニバーサルプライマーと、ユニークプライマー配列、ユニークプライマー配列の5'にあるアンチタグ配列、アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;およびアンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー、を含むユニークプライマーとを使用して、ライゲートされたオリゴヌクレオチドを増幅する工程;
(e)アンプリコンのタグ配列を、捕獲複合体のアンチタグ配列とハイブリダイズさせることにより、アンプリコンを捕獲する工程;
(f)アンプリコンを標識する工程;ならびに
(g)標識された捕獲されたアンプリコンを検出し定量化する工程
を含む、前記方法。
【請求項42】
オリゴdTによりコーティングされたウェルまたはビーズの上でmRNAを捕獲し逆転写する工程を含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
ユニバーサルプライマーがT3プライマーである、請求項41記載の方法。
【請求項44】
捕獲されたアンプリコンの標識がDNA結合色素による、請求項41記載の方法。
【請求項45】
発現が複数の異なる遺伝子について定量化され、異なる遺伝子の各々について、異なるタグ、アンチタグ、および捕獲複合体が存在する、請求項41記載の方法。
【請求項46】
アンプリコンが捕獲の前に標識される、請求項41記載の方法。
【請求項47】
アンプリコンが捕獲の後に標識される、請求項41記載の方法。
【請求項48】
(a)(i)第一の標的特異的プライマー配列;
(ii)標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;
(iii)アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;および
(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー
を含む、プライマー対の第一のメンバーである第一の核酸分子と;
(b)(i)第二の標的特異的プライマー配列;
(ii)標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;
(iii)アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;および
(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー
を含む、プライマー対の第二のメンバーである第二の核酸分子と;
(c)(i)第一および第二の核酸分子のタグ配列に相補的なアンチタグ配列;ならびに
(ii)標識
を含む第三の核酸分子と
を含む組成物。
【請求項49】
標的核酸を増幅する方法であって、
(a)(i)第一の標的特異的プライマー配列;標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー;およびユニバーサルタグ配列に付着した発色団と;
(ii)第二の標的特異的プライマー配列;標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー;およびユニバーサルタグ配列に付着した発色団を含む、第二のプライマーと
を含む第一のプライマー対を準備する工程;
(b)(i)第一のプライマー対のタグ配列に相補的なアンチタグ配列;および
(ii)第一のプライマー対の発色団とのフェルスター共鳴エネルギー転移が可能な発色団
を含む標識核酸分子;ならびに
(d)標的核酸の増幅に適した条件の下で、第一のプライマー対、標識核酸分子、および標的核酸を含む試料、を組み合わせることにより、標的核酸を増幅する工程
を含む、前記方法。
【請求項50】
標的核酸の増幅が、鎖交換活性を有するがエキソヌクレアーゼ活性は有しないポリメラーゼにより触媒される、請求項49記載の方法。
【請求項51】
増幅された核酸を検出する工程をさらに含む、請求項49記載の方法。
【請求項52】
検出がリアルタイムである、請求項51記載の方法。
【請求項53】
試料が少なくとも一つの第二の標的核酸を含む、請求項49記載の方法。
【請求項54】
標的核酸がアンプリコンである、請求項49記載の方法。
【請求項55】
核酸切断反応の切断産物を検出する方法であって、
(a)(i)切断産物特異的配列;
(ii)切断産物特異的配列の5'にあるアンチタグ配列;
(iii)アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;
(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー;および
(v)標識
を含むオリゴヌクレオチドプローブを準備する工程;
(b)オリゴヌクレオチドプローブを切断産物とハイブリダイズさせる工程;ならびに
(c)オリゴヌクレオチドプローブの切断産物とのハイブリダイゼーションを検出する工程
を含む、前記方法。
【請求項56】
標識がFRETドナー分子またはFRETアクセプター分子である、請求項55記載の方法。
【請求項57】
オリゴヌクレオチドプローブを固体支持体上に固定化する工程をさらに含む、請求項55記載の方法。
【請求項58】
固体支持体に連結された相補アンチタグ配列とのタグ配列のハイブリダイゼーションにより、オリゴヌクレオチドプローブが固体支持体上に固定化される、請求項57記載の方法。
【請求項59】
固体支持体がビーズである、請求項57記載の方法。
【請求項60】
切断産物が構造特異的フラップエンドヌクレアーゼにより作成される、請求項55記載の方法。
【請求項61】
切断産物がマングビーンヌクレアーゼまたはS1ヌクレアーゼにより作成される、請求項55記載の方法。
【請求項62】
ライゲーション産物を検出する方法であって、
(a)(i)ライゲーション産物特異的配列;
(ii)ライゲーション産物特異的配列の5'にあるアンチタグ配列;
(iii)アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;
(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー;および
(v)標識
を含むオリゴヌクレオチドプローブを準備する工程;
(b)ライゲーション産物はオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズするが、ライゲーション産物のライゲートされていないサブユニットはオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズしない温度で、オリゴヌクレオチドプローブをライゲーション産物とハイブリダイズさせる工程;ならびに
(c)オリゴヌクレオチドプローブのライゲーション産物とのハイブリダイゼーションを検出する工程
を含む、前記方法。
【請求項63】
標識がFRETドナー分子またはFRETアクセプター分子である、請求項62記載の方法。
【請求項64】
オリゴヌクレオチドプローブを固体支持体上に固定化する工程をさらに含む、請求項62記載の方法。
【請求項65】
固体支持体に連結された相補アンチタグ配列とのタグ配列のハイブリダイゼーションにより、オリゴヌクレオチドプローブが固体支持体上に固定化される、請求項64記載の方法。
【請求項66】
固体支持体がビーズである、請求項64記載の方法。
【請求項1】
(a)標的特異的プライマー配列;
(b)標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;
(c)アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;および
(d)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー
を含む核酸分子。
【請求項2】
アンチタグ配列およびタグ配列が各々8〜30ヌクレオチド長である、請求項1記載の核酸分子。
【請求項3】
アンチタグ配列が12ヌクレオチド長である、請求項2記載の核酸分子。
【請求項4】
アンチタグ配列およびタグ配列が各々24ヌクレオチド長である、請求項2記載の核酸分子。
【請求項5】
ブロッカーがiSp18モエティまたはiMe-isodCモエティである、請求項1記載の核酸分子。
【請求項6】
(a)マイクロスフェア;
(b)マイクロスフェアに共有結合で付着した第一のアンチタグ核酸;
(c)第一のアンチタグ核酸とハイブリダイズしたタグ核酸;
(d)タグ配列の3'に共有結合で付着したブロッカー;
(e)ブロッカーの3'に共有結合で付着した、第一のアンチタグ核酸の少なくとも8個の連続するヌクレオチドと同一の配列を有する第二のアンチタグ核酸;
(f)第二のアンチタグ核酸の3'に共有結合で付着した標的特異的核酸;ならびに
(g)アンチタグ核酸および標的特異的核酸の配列に相補的な配列を含む、第二のアンチタグ核酸および標的特異的核酸とハイブリダイズした核酸分子
を含む組成物。
【請求項7】
マイクロスフェアが蛍光標識されている、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
マイクロスフェアが磁性である、請求項6記載の組成物。
【請求項9】
第二のアンチタグ核酸および標的特異的核酸とハイブリダイズした核酸分子が、レポーター分子に共有結合で連結されている、請求項6記載の組成物。
【請求項10】
(a)(i)第一の標的特異的プライマー配列;
(ii)標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;
(iii)アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;および
(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー
を含む、プライマー対の第一のメンバーである第一の核酸分子と;
(b)(i)第二の標的特異的プライマー配列;
(ii)標的特異的プライマー配列の5'にあるユニバーサルアンチタグ配列;
(iii)アンチタグ配列の5'にあるユニバーサルタグ配列;および
(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー
を含む、プライマー対の第二のメンバーである第二の核酸分子と;
(c)(i)ユニバーサルタグ配列に相補的なユニバーサルアンチタグ配列;および
(ii)標識
を含む第三の核酸分子と
を含む組成物。
【請求項11】
標識が蛍光標識である、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
蛍光標識がCy3標識である、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
複数の異なる標的配列の増幅のための複数のプライマー対を含む組成物であって、各プライマー対が、
(a)(i)第一の標的特異的プライマー配列;
(ii)標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;
(iii)アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;および
(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー
を含む第一の核酸分子と;
(b)(i)第二の標的特異的プライマー配列;
(ii)標的特異的プライマー配列の5'にあるユニバーサルアンチタグ配列;
(iii)アンチタグ配列の5'にあるユニバーサルタグ配列;および
(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー
を含む第二の核酸分子と;
(c)(i)ユニバーサルタグ配列に相補的なユニバーサルアンチタグ配列;および
(ii)標識
を含む標識されたユニバーサルアンチタグ分子と
を含む、前記組成物。
【請求項14】
複数のコード化されたマイクロスフェアに共有結合で付着した複数のアンチタグ核酸分子をさらに含み、複数のアンチタグ分子が、複数のプライマー対のタグ配列に相補的なアンチタグ配列を含み、かつアンチタグ核酸分子の各々の同一性が、それが共有結合で付着しているコード化されたマイクロスフェアのコード化から決定され得る、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
標的核酸を増幅する方法であって、
(a)(i)第一の標的特異的プライマー配列;標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;およびアンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー、を含む第一のプライマーと;
(ii)第二の標的特異的プライマー配列を含む第二のプライマーと
を含む第一のプライマー対を準備する工程;
(b)レポーターを準備する工程;
(c)固体支持体に付着したアンチタグ配列を含む捕獲複合体を準備する工程;ならびに
(d)標的核酸の増幅に適した条件の下で、第一のプライマー対、レポーター、捕獲複合体、および標的核酸を含む試料を組み合わせることにより、標的核酸を増幅する工程
を含む、前記方法。
【請求項16】
増幅された核酸を捕獲複合体のアンチタグ配列とハイブリダイズさせる工程をさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
レポーターが第二のプライマーに付着している、請求項15記載の方法。
【請求項18】
レポーターがdNTPに付着している、請求項15記載の方法。
【請求項19】
レポーターがDNAインターカレーターである、請求項15記載の方法。
【請求項20】
固体支持体がマイクロスフェアである、請求項15記載の方法。
【請求項21】
ビーズが磁性であり、かつ蛍光標識されている、請求項20記載の方法。
【請求項22】
標的核酸の増幅が、鎖交換活性を有するがエキソヌクレアーゼ活性は有しないポリメラーゼにより触媒される、請求項15記載の方法。
【請求項23】
増幅された核酸を検出する工程をさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項24】
増幅された核酸の検出が、捕獲複合体に結合した増幅された核酸配列の画像化を含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
試料が少なくとも一つの第二の標的核酸を含む、請求項15記載の方法。
【請求項26】
少なくとも一つの第二のプライマー対が、標的核酸の増幅に適した条件の下で、第一のプライマー対、レポーター、捕獲複合体、および標的核酸を含む試料と組み合わせられる、請求項25記載の方法。
【請求項27】
異なる増幅された標的核酸を、識別可能な捕獲複合体の異なるアンチタグ配列とハイブリダイズさせる工程をさらに含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
捕獲複合体が空間的に識別可能である、請求項27記載の方法。
【請求項29】
捕獲複合体が光学的に識別可能である、請求項27記載の方法。
【請求項30】
試料中の微生物を検出する方法であって、
(a)各プライマー対が、
(i)第一の標的特異的プライマー配列;標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;およびアンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー、を含む第一のプライマーと;
(ii)第二の標的特異的プライマー配列;標的特異的プライマー配列の5'にあるユニバーサルアンチタグ配列;アンチタグ配列の5'にあるユニバーサルタグ配列;およびアンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー、を含む第二のプライマーと
を含む、複数の異なる微生物からの複数の異なる標的核酸配列の増幅のための複数のプライマー対を準備する工程;
(b)(i)ユニバーサルタグ配列に相補的なユニバーサルアンチタグ配列;および
(ii)標識
を含む標識されたユニバーサルアンチタグ分子を準備する工程;
(c)固体支持体に付着したアンチタグ配列を含む複数の捕獲複合体を準備する工程;ならびに
(d)標的核酸配列の増幅に適した条件の下で、複数のプライマー対、標識されたユニバーサルアンチタグ分子、捕獲複合体、および試料を組み合わせることにより、微生物が試料中に存在する場合に、異なる微生物からの標的核酸配列を増幅する工程;
(e)増幅された標的核酸配列を、それぞれの捕獲複合体のそれぞれのアンチタグ配列とハイブリダイズさせる工程;ならびに
(f)それぞれの捕獲複合体に結合した増幅された標的核酸配列を検出することにより、試料中に存在する微生物を検出する工程
を含む、前記方法。
【請求項31】
微生物が細菌である、請求項30記載の方法。
【請求項32】
微生物が病原体である、請求項30記載の方法。
【請求項33】
微生物がレトロウイルス、ウイルス、または真菌である、請求項30記載の方法。
【請求項34】
試料が患者の試料である、請求項30記載の方法。
【請求項35】
患者の試料が、血液試料、血清試料、または脳脊髄液試料である、請求項34記載の方法。
【請求項36】
試料が環境試料である、請求項30記載の方法。
【請求項37】
環境試料が、水試料または土壌試料である、請求項36記載の方法。
【請求項38】
複数の異なる標的核酸配列が、RNA配列の逆転写により入手されたcDNA配列である、請求項30記載の方法。
【請求項39】
5〜30種のプライマー対を準備する工程を含む、請求項30記載の方法。
【請求項40】
1〜10種の異なる微生物が検出される、請求項30記載の方法。
【請求項41】
遺伝子発現を定量化する方法であって、
(a)mRNAから逆転写されたcDNAを固定化する工程;
(b)固定化されたcDNAに、ユニバーサルプライマー結合配列およびcDNA特異的配列を含む第一のオリゴヌクレオチドと、ユニークプライマー結合配列およびcDNA特異的配列を含む第二のオリゴヌクレオチドとをハイブリダイズさせる工程;
(c)ライゲートされたオリゴヌクレオチドを形成させるために、第一のオリゴヌクレオチドを第二のオリゴヌクレオチドとライゲートする工程;
(d)ユニバーサルプライマーと、ユニークプライマー配列、ユニークプライマー配列の5'にあるアンチタグ配列、アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;およびアンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー、を含むユニークプライマーとを使用して、ライゲートされたオリゴヌクレオチドを増幅する工程;
(e)アンプリコンのタグ配列を、捕獲複合体のアンチタグ配列とハイブリダイズさせることにより、アンプリコンを捕獲する工程;
(f)アンプリコンを標識する工程;ならびに
(g)標識された捕獲されたアンプリコンを検出し定量化する工程
を含む、前記方法。
【請求項42】
オリゴdTによりコーティングされたウェルまたはビーズの上でmRNAを捕獲し逆転写する工程を含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
ユニバーサルプライマーがT3プライマーである、請求項41記載の方法。
【請求項44】
捕獲されたアンプリコンの標識がDNA結合色素による、請求項41記載の方法。
【請求項45】
発現が複数の異なる遺伝子について定量化され、異なる遺伝子の各々について、異なるタグ、アンチタグ、および捕獲複合体が存在する、請求項41記載の方法。
【請求項46】
アンプリコンが捕獲の前に標識される、請求項41記載の方法。
【請求項47】
アンプリコンが捕獲の後に標識される、請求項41記載の方法。
【請求項48】
(a)(i)第一の標的特異的プライマー配列;
(ii)標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;
(iii)アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;および
(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー
を含む、プライマー対の第一のメンバーである第一の核酸分子と;
(b)(i)第二の標的特異的プライマー配列;
(ii)標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;
(iii)アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;および
(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー
を含む、プライマー対の第二のメンバーである第二の核酸分子と;
(c)(i)第一および第二の核酸分子のタグ配列に相補的なアンチタグ配列;ならびに
(ii)標識
を含む第三の核酸分子と
を含む組成物。
【請求項49】
標的核酸を増幅する方法であって、
(a)(i)第一の標的特異的プライマー配列;標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー;およびユニバーサルタグ配列に付着した発色団と;
(ii)第二の標的特異的プライマー配列;標的特異的プライマー配列の5'にあるアンチタグ配列;アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー;およびユニバーサルタグ配列に付着した発色団を含む、第二のプライマーと
を含む第一のプライマー対を準備する工程;
(b)(i)第一のプライマー対のタグ配列に相補的なアンチタグ配列;および
(ii)第一のプライマー対の発色団とのフェルスター共鳴エネルギー転移が可能な発色団
を含む標識核酸分子;ならびに
(d)標的核酸の増幅に適した条件の下で、第一のプライマー対、標識核酸分子、および標的核酸を含む試料、を組み合わせることにより、標的核酸を増幅する工程
を含む、前記方法。
【請求項50】
標的核酸の増幅が、鎖交換活性を有するがエキソヌクレアーゼ活性は有しないポリメラーゼにより触媒される、請求項49記載の方法。
【請求項51】
増幅された核酸を検出する工程をさらに含む、請求項49記載の方法。
【請求項52】
検出がリアルタイムである、請求項51記載の方法。
【請求項53】
試料が少なくとも一つの第二の標的核酸を含む、請求項49記載の方法。
【請求項54】
標的核酸がアンプリコンである、請求項49記載の方法。
【請求項55】
核酸切断反応の切断産物を検出する方法であって、
(a)(i)切断産物特異的配列;
(ii)切断産物特異的配列の5'にあるアンチタグ配列;
(iii)アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;
(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー;および
(v)標識
を含むオリゴヌクレオチドプローブを準備する工程;
(b)オリゴヌクレオチドプローブを切断産物とハイブリダイズさせる工程;ならびに
(c)オリゴヌクレオチドプローブの切断産物とのハイブリダイゼーションを検出する工程
を含む、前記方法。
【請求項56】
標識がFRETドナー分子またはFRETアクセプター分子である、請求項55記載の方法。
【請求項57】
オリゴヌクレオチドプローブを固体支持体上に固定化する工程をさらに含む、請求項55記載の方法。
【請求項58】
固体支持体に連結された相補アンチタグ配列とのタグ配列のハイブリダイゼーションにより、オリゴヌクレオチドプローブが固体支持体上に固定化される、請求項57記載の方法。
【請求項59】
固体支持体がビーズである、請求項57記載の方法。
【請求項60】
切断産物が構造特異的フラップエンドヌクレアーゼにより作成される、請求項55記載の方法。
【請求項61】
切断産物がマングビーンヌクレアーゼまたはS1ヌクレアーゼにより作成される、請求項55記載の方法。
【請求項62】
ライゲーション産物を検出する方法であって、
(a)(i)ライゲーション産物特異的配列;
(ii)ライゲーション産物特異的配列の5'にあるアンチタグ配列;
(iii)アンチタグ配列の5'にあるタグ配列;
(iv)アンチタグ配列とタグ配列との間にあるブロッカー;および
(v)標識
を含むオリゴヌクレオチドプローブを準備する工程;
(b)ライゲーション産物はオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズするが、ライゲーション産物のライゲートされていないサブユニットはオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズしない温度で、オリゴヌクレオチドプローブをライゲーション産物とハイブリダイズさせる工程;ならびに
(c)オリゴヌクレオチドプローブのライゲーション産物とのハイブリダイゼーションを検出する工程
を含む、前記方法。
【請求項63】
標識がFRETドナー分子またはFRETアクセプター分子である、請求項62記載の方法。
【請求項64】
オリゴヌクレオチドプローブを固体支持体上に固定化する工程をさらに含む、請求項62記載の方法。
【請求項65】
固体支持体に連結された相補アンチタグ配列とのタグ配列のハイブリダイゼーションにより、オリゴヌクレオチドプローブが固体支持体上に固定化される、請求項64記載の方法。
【請求項66】
固体支持体がビーズである、請求項64記載の方法。
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2012−531913(P2012−531913A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518572(P2012−518572)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/040354
【国際公開番号】WO2011/008530
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(500174502)ルミネックス コーポレーション (15)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/040354
【国際公開番号】WO2011/008530
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(500174502)ルミネックス コーポレーション (15)
【Fターム(参考)】
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