説明

ヘッダー

【課題】管継手の袋ナットと、ヘッダー本体の雄ネジへの螺進作業が確実に行われたか否かを、簡単に、かつ、確実に知り得るヘッダーを提供する。
【解決手段】袋ナット15が雄部の軸心L9 方向に螺進して最終正規締付状態で自動的に係止する係止手段Zを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘッダーに係り、特に、給湯・給水用配管に於て複数の枝管に分岐する分岐配管部に用いられるヘッダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の分岐配管部に使用されるヘッダーとしては多くのものが公知である。(例えば、特許文献1,2参照。)
【特許文献1】特開平8−60712号公報
【特許文献2】特開2006−17170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のヘッダーでは、ヘッダー本体から突設された分岐接続用雄部の雄ネジに、袋ナットを締付けて枝管(分岐管)を接続する作業に於て、多数個の袋ナットの内の1個乃至僅数個のものの締付けが不十分又は締め忘れることにより、建物・施設が水びたしになる等の事故が発生していた。
即ち、従来のヘッダーは多種多様の優れた機能・性能・構造のものが提案されてはいるが、配管作業に於て、ヘッダー本体の雄ネジへの袋ナットの締付けの不十分や締め忘れを、防ぐための提案はなされてこなかった。
【0004】
そこで、本発明は、簡素な構造をもって、配管作業に於て、ヘッダー本体の雄部(雄ネジ)に対して袋ナットを十分に締付けたか否かを簡単に、かつ、確実に、作業者が確認でき、これによって、建物・施設を水びたしにする等の事故を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、ヘッダー本体には、雄ネジを外周面に有すると共に中心に分岐孔を有する分岐接続用雄部が、複数個突設され、さらに、分岐配管用の各管継手には、上記雄部の上記雄ネジに螺進退自在に接続される袋ナットが、設けられたヘッダーに於て、上記袋ナットが上記雄部の軸心方向に螺進して最終正規締付状態で自動的に係止する締付確認用係止手段を具備するものである。
また、上記係止手段が締付確認用の弾発音を発するように構成した。
また、上記係止手段が、ヘッダー本体の上記雄部の基部寄りに設けられた弾性変形自在なバネ片と、該バネ片に一体形成された山型係止凸部と、上記袋ナットのヘッダー本体側端縁面に形成されて上記山型係止凸部に上記螺進に伴って係止する係止凹部とを、備えている。
【0006】
また、上記バネ片に設けられた係止凸部は、上記雄部の上記軸心方向から見て、放射方向の1本乃至複数本のラジアル線状に配設されている。そして、上記係止凹部は、袋ナットの軸心方向からみて、放射方向の複数個のラジアル線状に形成されている。
また、上記最終正規締付状態の上記係止凸部と上記係止凹部の係止状態下では、上記バネ片には弾性変形の無い自由状態であり、該バネ片がプラスチックから成る。
また、上記係止凸部の高さ寸法が、上記雄部の上記雄ネジのネジピッチの2分の1以下である。
【0007】
また、上記係止手段が、上記袋ナットの外周面にラジアル方向へ突設されると共に上記ヘッダー本体側にヘッダー本体側端縁面を越えて延伸した係止先端部を有するラジアル突出片と、ヘッダー本体の上記雄部の基端寄りからラジアル方向へ突設された2枚の小突片にて形成された小間隙部とを、備え、上記螺進に伴って上記ラジアル突出片が上記小間隙部に係止するよう構成した。
また、上記ラジアル突出片は、上記係止先端部が弾性変形しつつ2枚の上記小突片の内の一方を越えて上記小間隙部に差込状態で係止し、かつ、上記最終正規締付状態の上記係止先端部と上記小間隙部の係止状態下では、上記係止先端部には弾性変形の無い自由状態であるように構成した。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業者が、簡単容易に、最終締付状態まで袋ナットを螺進させたか否かを、確認できる。これによって、建物・施設を水びたしにする等の事故を確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1〜図10に示す第1の実施の形態に於て、(図1に例示の如く、)ヘッダー1は、プラスチック製ヘッダー本体2と、分岐配管3用の管継手4と、基管(メインパイプ)5用の管継手6等を備えている。図1(B)と図10に示すように、例えば、ヘッダー本体2は、円管部7と、その外周から突設された略矩形部8とから成ると共に、その略矩形部8から径(ラジアル)方向に分岐配管3用の雄部9が複数個所定ピッチにて突設される。また、基管(メインパイプ)5用の管継手6の取着される一端面10からも雄部11が突設される。
【0010】
分岐接続用雄部9は、雄ネジ12を外周面に有し、中心に分岐孔13を有する短円筒型であり、ヘッダー本体2の長手方向の一端が閉じられた主孔14と、分岐孔13とは、直交状に交差(合流)する。
分岐配管3用の各管継手4は袋ナット15を有する。この袋ナット15は、ヘッダー本体2の雄部9の雄ネジ12に、螺進退自在に接続される。
【0011】
この袋ナット15が雄部9の軸心L9 方向に螺進して、最終正規締付状態で自動的に係止する締付確認用係止手段Zを、本ヘッダー1は、備える。
この係止手段Zは、最終正規締付状態───即ち、袋ナット15が軸心L9 方向に螺進して、所定の回転トルクを加えても螺進しなくなる状態───で相互に係止する山型係止凸部16と係止凹部17とを、備えている。
上記係止手段Zは、ヘッダー本体2の雄部9の基部寄りに設けられる弾性変形自在なバネ片18と、このバネ片18に一体形成された上記山型係止凸部16と、袋ナット15のヘッダー本体側の端縁面15aに形成された係止凹部17とを、備えている。
【0012】
このバネ片18に一体の係止凸部16と、袋ナット15の係止凹部17とが係合し始める(図6の状態)と、バネ片18の弾発付勢力にて勢い良く係合して、締付確認用の弾発音───例えば、カチカチ等の音───を発する。つまり、最終正規締付状態となる直前に上記弾発音が作業者の耳で聴くことができて、配管接続作業(即ち締付作業)が確実に行われたか否かを、確認できる。
バネ片18に設けられた上記係止凸部16は、図8(A)に示すように、雄部9の軸心L9 方向から見て、1本乃至複数本(図例では2本)のラジアル線状に配設される。また、係止凹部17は、図5に示すように、袋ナット15の軸心L15───即ち、前記軸心L9 と一致する───の方向からみて、放射方向の複数個のラジアル線状に形成されている。図4〜図7では、係止凹部17は4個の場合を示す。
【0013】
バネ片18は、例えば、図8のような形状であって、図10に示すように雄ネジ12の外形寸法よりも僅かに大きい内径寸法の孔部19を有する略円形平板型であって、平行な2辺20, 20が円形外周縁に切欠形成されている。
図9と図2と図6等に示す如く、ヘッダー本体2の略矩形部8の上面に形成された浅い切欠凹部21の平行な内側壁面21a,21aに、上記2辺20, 20が近接乃至当接するように、バネ片18が切欠凹部21に嵌込まれ(落し込まれ)、上記軸心L9 廻りに回転しない。
【0014】
そして、この切欠凹部21の底面21cから、雄部9が突出状に形成される。また、22は逃げ凹部であって、図6のように、バネ片18が凸弯曲状に弾性変形しつつ逃げることを可能としている。
ヘッダー本体2の略矩形部8の上面の切欠凹部21の底面21cに於て、長手方向の左右側辺の一方に、逃げ凹部22が切欠形成される。
【0015】
図10の矢印B方向に、バネ片18を落し込めば、係止凸部16の存在する箇所が、逃げ凹部22に対応して、バネ片18は切欠凹部21に嵌着され、内側壁面21aと(図8の)辺20との対応にて、軸心L9 廻りには回転しない。
図7は袋ナット15の最終正規締付状態を示し、この最終正規締付状態下では、係止凸部16と係止凹部17とが係止して、バネ片18には弾性変形(歪)の無い自由状態となるように、各部位の寸法と形状を設定しておく、バネ片18はプラスチックや金属が用い得るが、特にプラスチックの場合に、上記の弾性変形の無い自由状態ならば、クリープ現象を避けることができて、好ましい。
【0016】
図3に示すように、係止凸部16の高さ寸法H16は、雄ネジ12のネジピッチPの2分の1以下とする。その理由は、図6に示すように形成凸部16が、螺進しつつある袋ナット15の端縁面15aに初めて接触する袋ナット回転位置から、 360°(一回転)を逆回転させる(螺退)させると、図4に示す如く、完全に係止凸部16と端縁面15aが分離するからである。
さらに詳しく説明する。雄部9に雄ネジ12を形成し、かつ、袋ナット15の雌ネジ12に対する係止凹部17の形成に於て、図7に示すように、係止凸部16と係止凹部17とが係止した袋ナット回転位置を、ちょうど最終正規締付状態となるように、設定しておく。ところで、図6の初接触を経て、図7の最終正規締付状態となる際に、“カチカチ”等のバネ片18の弾発力にて弾発音が発生するのであるが、この図6よりも一回転( 360°)前の状態では、図4のように、係止凸部16が袋ナット15の端縁面15a───つまり、係止凹部17を形成する山部17Z───から完全に分離していないと、 360°前の状態で弾発音を発して、最終正規締付状態と、誤った判断を行うからである。
【0017】
次に、図1〜図10に於て、他の構成を説明し、また、追加の説明を以下行う。図1に示すように、ヘッダー本体2には、複数個の分岐接続用雄部9が突設され、分岐配管3用の管継手4の各袋ナット15が螺着されるが、それ以外に、基管5用の雄部11が単数個突設され、管継手6の袋ナット6Aが螺着され、基管5がヘッダー本体2に接続されて、湯や水等の液体が送り込まれる。一般的に、この基管5用の管継手6及び雄部11は、分岐配管3用の管継手4及び雄部9よりも大型(大径用)であるが、この基管5用の管継手6の袋ナット6Aと雄部11の構成についても、前述の締付確認用係止手段Zを備えている。なお、図示省略したが、他のヘッダー本体を、図1に例示したようなヘッダー本体2に接続するために、連結用雄部をヘッダー本体2に(例えば図1の他端面23に)突設して、管継手の袋ナットをこの連結用雄部に螺着する構成とすることも可能であり、そのとき、連結用雄部と、それに螺着の管継手の袋ナットとの部位にも、前述の締付確認用係止手段Zを、設けるも好ましい。
【0018】
また、図1(B)に於て、横断面略矩形部8を 180°反対側にも形成して、横断面 180°反対側に雄部9を突出状に配設したり、あるいは、横断面形状を、角パイプ型のヘッダー本体2として、 120°毎や90°毎に、雄部9を配設するも、自由である(図示省略)。 袋ナット15を有する管継手4としては、例えば、図2に示すような構造のものが使用できる。つまり、図2のものでは、雄部9の雄ネジ12に螺合する雌ネジ24を有する袋ナット15は、継手本体部25と、分岐配管3が外嵌される内挿管部26とが、一体に形成され、例えば、プラスチックから成る。軸心L15に沿って、通路孔部27が貫設される。
【0019】
内挿管部26の外周面には、シール材28が嵌着される凹溝29が形成され、かつ、抜け止め用小凸条30が複数本突設されている。段付部31を介して、内挿管部26と継手本体部25との境界となし、継手本体部25の基部外周に凹周溝32を形成して、透明プラスチック製の円筒カバー33の基端が、嵌着される。34はC字型の締付けリングであり、強力な弾発的絞り力を発生するバネ鋼等の金属から成り、円周1個の切れ目には、パイプ未挿入状態で切れ目を拡大して締付けリング34を拡径するための拡径小片35が、切れ目に挾持されている。そして、図2の上方から下方へ、パイプ(図1の分岐配管3)の先端部分が挿入されると、そのパイプの先端面が拡径小片35に当たって、拡径小片35が締付けリング34から飛び出すので、締付けリング34が(それ自体の弾発力にて)強くパイプ(分岐配管3)の外周面を締付けて、内挿管部26の外周に対して、パイプ(配管3)の内周面を圧接させ、パイプ(配管3)が抜止めされる(接続配管作業が完了する)。シール材28の存在により、パイプ(配管3)の内面と内挿管部26の外面とが密封状となる。
【0020】
ところで、雄部9の先端面9Aには、シール溝36が凹設され、Oリング37が嵌着される。袋ナット15の奥底面がこのOリング37に圧接することによって、図2のように密封状態となる。
【0021】
図3、及び、図4〜図7に示すように、袋ナット15の矢印R方向への螺進回転に伴って、固定側の係止凸部16, 16と、移動側の山部17Zとが、相互軸心位置がしだいに接近し、ついに図6のように接触するが、その際、バネ片18が図6に示すように下方凸状に弯曲しつつ、係止凸部16と山部17Zが弾発的に接触(摺接)してゆくのであるが、係止凸部16と山部17Zを、略直角三角形に形成すると共に、その斜辺相互が摺接して、係止凸部16と山部17Zが、次々と、隣りのものに変化して、図7に示すように停止し、最終正規締付状態で自動的に係止する。略直角三角形状であるので、図4,図6の矢印Rと反対方向に袋ナット15を回転させようとしても、図7でも判るように、略直角三角形状の係止凸部16と山部17Zの軸心L9 と平行方向の一辺相互の当接によって、矢印Rと反対方向の回転は阻止される(廻り止めされる)。
【0022】
なお、図5と図8でも判るように、軸心L15,L9 方向から見て、係止凸部16,係止凹部17, 山部17Zは、軸心点(円中心点)から放射方向に引いた線によって描かれ、外径側へゆく程、僅かに幅が増加する形状(細扇型)である。
なお、係止凸部16を有するバネ片18の形状は、図8に限らず、変形可能である。例えば、閉環状に限らず、周囲の一部に切れ目のある平板環状としたり、または、環状以外の弾性平板片を、逃げ凹部22の位置に対応して、ヘッダー本体2に固着して、片バネ状にバネ片18を取着(固定)しても自由である。
【0023】
なお、本発明では、管継手4,6として、図示の実施の形態以外に、本発明者が既に多く提案している他の構造のもの、あるいは、さらに別の構成のものでも自由であり、要は、袋ナット15, 6Aを有すれば十分である。しかも袋ナット15, 6Aが継手本体部25とは、別部材で製作されて、独自で回転可能なものでも良い。
【0024】
次に、図11〜17は、本発明の第2の実施の形態を示す。全体の形状や構成は、図1等で既に述べた第1の実施の形態と同様であるので、重複する説明については省略するが、主たる構成上の特徴は、係止手段Z等が以下のように構成されている点にある。
つまり、図11の要部正面図と図12の一部断面要部側面図、及び、図13の袋ナット15の底面図、図14の最終正規締付状態を示す要部正面図、図15の要部拡大図、及び、図16の要部作用説明図に於て、係止手段Zが、袋ナット15の外周面15bにラジアル方向(径外方向)へ突設された、 180°対称の一対のラジアル突出片38, 38と、ヘッダー本体2の雄部9の基端寄り(基端近傍)からラジアル方向(径外方向)へ突設された2枚の小突片39,39にて形成された小間隙部40とを、具備している。
【0025】
ラジアル突出片38は、袋ナット15のヘッダー本体側の端縁面15aを越えて軸心L15と平行な方向に延伸した係止先端部38Aを有する。係止先端部38Aは図16(A)から図16(B)のように、最終正規締付状態直前に、(板バネの如く)弾性変形しつつ、小突片39, 39の一方を接触しつつ乗り越えて、小間隙部40に嵌り込んで差込状態で係止される。
さらに、具体的には、ヘッダー本体2には短円筒型のボス部41が円管部7から突設され、ボス部41の先端面41aから雄部9が(同一軸心状に)突設されており、このボス部41の先端外周縁に小突片39が突出状に配設されている。つまり、雄部9の基端寄りであって、ラジアル外方向位置に、2枚の小突片39, 39からなる対が、 180°反対側に、2対配設されている。
【0026】
ラジアル突出片38は、図17に示すように、袋ナット15の矢印R方向の螺進に伴って、最終正規締付状態の直前に、係止先端部38Aが2枚の小突片39, 39の内の上流側の一方を越える際に図16(B)のように弯曲状に弾性変形し、小間隙部40に差込状態で係止する。図16(B)のように弯曲状に弾性変形し易いように、スリット部42をラジアル突出片38と、袋ナット外周面15bとの間に、先端側から切欠状に形成するのが望ましい(図15, 図11等参照)。
【0027】
そして、図16(C)及び図14,図15に示す如く、最終正規締付状態の係止先端部38Aと小間隙部40の差込係止状態下では、係止先端部38Aには弾性変形(歪)の無い状態───つまり、自由状態───であるように、設定する。なお、図11と図12に於て、円筒状ボス部41の代わりに、図1と図10で説明した形状にヘッダー本体2に略矩形部8を形成して、その略矩形部8の左右各側面に、小突片39を配設してもよい。
【0028】
そして、図14と図15に示す最終正規締付状態で、係止先端部38Aが小間隙部40に差込状に係止されるように、雄ネジ12と、袋ナット15の雌ネジ24の螺合相対位置を予め設定しておく(そのようにネジを作製する)。また、図15に示す軸心方向の差込係止寸法H38は、ネジピッチP(図2参照)よりも小さく設定し、好ましくは、2分の1以下とする。このようにすれば、係止手段Zが確実に1回のみ弾発音を発して、締付完了を確認できる。
【0029】
本発明は上述したように、ヘッダー本体2には、雄ネジ12を外周面に有すると共に中心に分岐孔13を有する分岐接続用雄部9が、複数個突設され、さらに、分岐配管3用の各管継手4には、上記雄部9の上記雄ネジ12に螺進退自在に接続される袋ナット15が、設けられたヘッダーに於て、上記袋ナット15が上記雄部9の軸心L9 方向に螺進して最終正規締付状態で自動的に係止する締付確認用係止手段Zを具備するので、作業者は最終締付状態まで袋ナット15を螺進させたか否かを、簡単かつ確実に、確認できる。これによって、建物・施設を水びたしにする等の事故を防止できる。このように、ヘッダー本体2の雄ネジ12への袋ナット15の締付けが不十分であることを防止し、あるいは、締め忘れも防止できる。
【0030】
また、上記係止手段Zが締付確認用の弾発音を発するように構成すれば、作業者は耳でもって確実かつ容易に螺進が完了したことを知ることができる。
また、上記係止手段Zが、ヘッダー本体2の上記雄部9の基部寄りに設けられた弾性変形自在なバネ片18と、該バネ片18に一体形成された山型係止凸部16と、上記袋ナット15のヘッダー本体側端縁面15aに形成されて上記山型係止凸部16に上記螺進に伴って係止する係止凹部17とを、備えた構成であるので、十分に強い係止状態が得られて、確実に最終正規締付け状態を保ち、さらに、袋ナット15を緩める必要が生じた際に、バネ片18を指で逃げる方向に弾性変形させて、凸部16と凹部17の係合を離脱して、緩めることもできる。
【0031】
また、上記バネ片18に設けられた係止凸部16は、上記雄部9の上記軸心L9 方向から見て、放射方向の1本乃至複数本のラジアル線状に配設されているので、製作が容易で、簡素な構造となる。
また、上記係止凹部17は、袋ナット15の軸心L15方向からみて、放射方向の複数個のラジアル線状に形成されているので、製作が容易である。
また、上記最終正規締付状態の上記係止凸部16と上記係止凹部17の係止状態下では、上記バネ片18には弾性変形の無い自由状態であり、該バネ片18がプラスチックから成るので、錆びることがなく、しかも、バネ片18はクリープを発生せずに、長期間にわたって、係止(廻り止め)作用を発揮する。
また、上記係止凸部16の高さ寸法H16が、上記雄部9の上記雄ネジ12のネジピッチP の2分の1以下であることによって、袋ナット15を螺進してゆくと、凸部16が、係止凹部17を形成する山部17Zと、初めて接触した回転位置が、最終正規締付状態直前の位置であり、 360°手前の回転位置にて接触することが全くない。
【0032】
また、上記係止手段Zが、上記袋ナット15の外周面15bにラジアル方向へ突設されると共に上記ヘッダー本体2側にヘッダー本体側端縁面15aを越えて延伸した係止先端部38Aを有するラジアル突出片38と、ヘッダー本体2の上記雄部9の基端寄りからラジアル方向へ突設された2枚の小突片39,39にて形成された小間隙部40とを、備え、上記螺進に伴って上記ラジアル突出片38が上記小間隙部40に係止するよう構成したので、部品点数を低減可能であり、かつ、構造・構成を簡素化できて、作業者が確実に袋ナット15を十分に、かつ、最終締付状態まで締めたことを確認でき、建物・施設を水びたしにする等の事故を防止できる。
また、上記ラジアル突出片38は、上記係止先端部38Aが弾性変形しつつ2枚の上記小突片39,39の内の一方を越えて上記小間隙部40に差込状態で係止し、かつ、上記最終正規締付状態の上記係止先端部38Aと上記小間隙部40の係止状態下では、上記係止先端部38Aには弾性変形の無い自由状態であるので、ラジアル突出片38には、クリープ現象を生じないで、長期間にわたって係止状態を維持する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の一形態を示す図であって、(A)は正面図、(B)は要部横断面図である。
【図2】要部の断面正面図である。
【図3】作用と機能の説明図である。
【図4】螺進の途中の状態の説明図である。
【図5】袋ナットの一例を示す底面図である。
【図6】最終正規締付状態の直前を示す説明図である。
【図7】最終正規締付状態を示す説明図である。
【図8】バネ片の説明のための図である。
【図9】要部平面図である。
【図10】要部の断面説明図である。
【図11】他の実施の形態を示す要部の正面図である。
【図12】側面図である。
【図13】袋ナットの底面図である。
【図14】袋ナットの要部の正面図である。
【図15】要部拡大図である。
【図16】要部作用説明図である。
【図17】作用説明図である。
【符号の説明】
【0034】
2 ヘッダー本体
3 分岐配管
4 管継手
9 雄部
12 雄ネジ
13 分岐孔
15 袋ナット
15a 端縁面
15b 外周面
16 係止凸部
17 係止凹部
18 バネ片
38 ラジアル突出片
38A 係止先端部
39 小突片
40 小間隙部
16 高さ寸法
9 ,L15 軸心
P ネジピッチ
Z 締付確認用係止手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッダー本体(2)には、雄ネジ(12)を外周面に有すると共に中心に分岐孔(13)を有する分岐接続用雄部(9)が、複数個突設され、さらに、分岐配管(3)用の各管継手(4)には、上記雄部(9)の上記雄ネジ(12)に螺進退自在に接続される袋ナット(15)が、設けられたヘッダーに於て、
上記袋ナット(15)が上記雄部(9)の軸心(L9 )方向に螺進して最終正規締付状態で自動的に係止する締付確認用係止手段(Z)を具備することを特徴とするヘッダー。
【請求項2】
上記係止手段(Z)が締付確認用の弾発音を発する請求項1記載のヘッダー。
【請求項3】
上記係止手段(Z)が、ヘッダー本体(2)の上記雄部(9)の基部寄りに設けられた弾性変形自在なバネ片(18)と、該バネ片(18)に一体形成された山型係止凸部(16)と、上記袋ナット(15)のヘッダー本体側端縁面(15a)に形成されて上記山型係止凸部(16)に上記螺進に伴って係止する係止凹部(17)とを、備えた請求項1又は2記載のヘッダー。
【請求項4】
上記バネ片(18)に設けられた係止凸部(16)は、上記雄部(9)の上記軸心(L9 )方向から見て、放射方向の1本乃至複数本のラジアル線状に配設されている請求項3記載のヘッダー。
【請求項5】
上記係止凹部(17)は、袋ナット(15)の軸心(L15)方向からみて、放射方向の複数個のラジアル線状に形成されている請求項3又は4記載のヘッダー。
【請求項6】
上記最終正規締付状態の上記係止凸部(16)と上記係止凹部(17)の係止状態下では、上記バネ片(18)には弾性変形の無い自由状態であり、該バネ片(18)がプラスチックから成る請求項3,4又は5記載のヘッダー。
【請求項7】
上記係止凸部(16)の高さ寸法(H16)が、上記雄部(9)の上記雄ネジ(12)のネジピッチ(P)の2分の1以下である請求項3,4,5又は6記載のヘッダー。
【請求項8】
上記係止手段(Z)が、上記袋ナット(15)の外周面(15b)にラジアル方向へ突設されると共に上記ヘッダー本体(2)側にヘッダー本体側端縁面(15a)を越えて延伸した係止先端部(38A)を有するラジアル突出片(38)と、ヘッダー本体(2)の上記雄部(9)の基端寄りからラジアル方向へ突設された2枚の小突片(39)(39)にて形成された小間隙部(40)とを、備え、上記螺進に伴って上記ラジアル突出片(38)が上記小間隙部(40)に係止するよう構成した請求項1又は2記載のヘッダー。
【請求項9】
上記ラジアル突出片(38)は、上記係止先端部(38A)が弾性変形しつつ2枚の上記小突片(39)(39)の内の一方を越えて上記小間隙部(40)に差込状態で係止し、かつ、上記最終正規締付状態の上記係止先端部(38A)と上記小間隙部(40)の係止状態下では、上記係止先端部(38A)には弾性変形の無い自由状態である請求項8記載のヘッダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−85286(P2009−85286A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−254188(P2007−254188)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(390037774)井上スダレ株式会社 (34)
【Fターム(参考)】