説明

ヘプタアザフェナレン誘導体およびヘプタアザフェナレン誘導体の有機エレクトロルミネッセンス・デバイスでの使用

本発明は、アノードおよびカソードを形成する一対の電極、並びに一対の電極間に設けられた1又はそれ以上の有機化合物層を含んで成る有機エレクトロルミネッセンス・デバイスに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光ダイオード(OLED)と呼ばれる有機エレクトロルミネッセンス・デバイスに関する。有機エレクトロルミネッセンス・デバイスは、電場適用の下、有機化合物の1つの層又は複数の層(有機材料層)に対して光を発する。又、本発明は、そのようなデバイスでの使用に適した有機化合物にも関する。
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス・デバイスは一般的にアノードおよびカソードを形成する1対の電極、並びに正孔注入層、(蛍光性又はリン光性材料のいずれか一方を有した)発光層、および電子輸送層を含んで成る1つの層又は複数の層を含んで成る。かかる有機層に、正孔および電子がアノードおよびカソードから各々注入される。それによって、発光材料に励起子が生じる。励起子が基底状態に移行する際、有機ルミネッセンス・デバイスは光を発する。
【0003】
イーストマン・コダック社の最初の研究(“Appl.Phys.Lett”第51巻PP913,1987年)によれば、(電子輸送材料および発光材料としての)アルミニウム・キリノール錯体層および(正孔輸送材料としての)トリフェニルアミン誘導体層を含んだ有機エレクトロルミネッセンス・デバイスにより、電圧10V適用の下、約1,000cd/mの発光が生じた。米国特許に関連する例として、米国特許第4,539,507、第4,720,432、および第4,885,211号が挙げられる。
【0004】
更に、バルドらの研究により、ドーパントとしてリン光性材料を使用する期待できるOLEDが示された。リン光性OLEDの量子収率はかなり改善された。(米国特許第6830828号)
【0005】
上記のOLEDに加えて、共役ポリマー材料を使用するポリマー有機エレクトロルミネッセンス・デバイス(PLED)が、ケンブリッジ大学のグループによって報告されている。(ネイチャー第347巻P539〜(1990年)、米国特許第5247190号、5514878号、および5672678号)
【0006】
PLEDは、デバイス製造の観点から利点を有する。印刷技法に溶解性ポリマー材料が適応されるデバイス製造の観点から利点を有する。
【0007】
過去20年で、OLEDおよびPLEDはその性能に著しい進歩を見せてきたが、解決を要する問題が未だ残ったままである。
【0008】
例えば、上述の有機エレクトロルミネッセンス・デバイスは長い間使用されると、耐久性の観点で性能が低くなる。有機エレクトロルミネッセンス・デバイスの性能は、新しい材料を、例えば、正孔注入材料、正孔輸送材料、正孔材料、発光材料およびその他材料を研究することによって更に向上させ得る。更に、デバイス製造工程の改善が必要とされる。
【0009】
有機エレクトロルミネッセンス・デバイスの性能を向上させる上で重要な事は、デバイス内の駆動電流を更に低減させて、デバイス寿命を高めることである。例えば、この事に対処するいくつかの材料は、(米国特許第6436559号、本国特許第3571977号、本国特許第3614405号)に提案されている。そのような材料を使用することで、有機エレクトロルミネッセンス・デバイスにこれら利点をもたらせるにもかかわらず、安定性およびその性能に関する更なる向上がより要求されている。
【発明の概要】
【0010】
上記のとおり、本発明により、有機エレクトロルミネッセンス・デバイスで生じる問題が改善され、又は、有益な代替手段が供される。
【0011】
具体的な本発明の実施態様により、高効率で寿命のより長い有機エレクトロルミネッセンス・デバイスが供されてもよい。
【0012】
又、具体的な実施態様により、低電流範囲で電流のリークが低減される安定なデバイスが供されてもよい。
【0013】
本発明によれば、
アノードおよびカソードを含んで成る一対の電極、および
一対の電極間に配置された1又はそれ以上の有機化合物層を含んで成る有機エレクトロルミネッセンス・デバイスが供される。有機化合物層、又は、1若しくはそれ以上の有機化合物層は、下記の式(1)により示される化合物を含んで成る。



がNR、CR、Ar16およびシアノ基から選択され、
がNR、CR101112、Ar17およびシアノ基から選択され、
がNR、CR131415、Ar18およびシアノ基から選択され、
同じ又は異なっていてもよいR〜Rは、置換アリール基又は非置換アリール基、置換複素環基又は非置換複素環基、置換アルキル基又は非置換アルキル基およびシアノ基から成る基から各々独立して選択され、又は、一対の置換基RおよびR、RおよびR、並びに/又はRおよびRは、結合された窒素原子が含まれた置換複素環基又は非置換複素環基を共に形成してもよく、1又はそれ以上のR〜Rはモノマー又はポリマー鎖を含有する置換基を含んで成ってもよい。
同じ又は異なっていてもよいR〜R15は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ケトン基、アミド基、シアノ基、カルボキシレート基、スルホネート基、置換アリール基又は非置換アリール基、置換アルキル基又は非置換アルキル基、および置換複素環基又は非置換複素環基から成る基から各々独立して選択され、又は、一対の置換基RおよびR、R10およびR11、並びに/又はR13およびR14は、置換複素環基又は非置換複素環基を共に形成してもよく、R、R12およびR15の各々は上記のとおり、又は存在せず、又、R〜R15の任意の基にある置換基は、モノマー又はポリマー鎖を含んで成ってよく、および、Ar16〜Ar18は、各々置換アリール基および非置換アリール基から選択され、かかる置換基はモノマー又はポリマー鎖を含んで成ってよい、
【0014】
有機エレクトロルミネッセンス・デバイスに上記に示される式(1)によって表されるような有機化合物を使用することによって、かかるデバイスは、低電圧で駆動し、高発光で長期に渡る耐久性を有することができる。
【0015】
ある態様では、式(1)によって表されるような有機化合物を正孔注入層として又は正孔輸送層におけるドーパントとして使用することができ、又は、ドーパントでドープされて、正孔輸送層として機能してもよい。
【0016】
その上、式(1)によって示される有機化合物を含んで成る1つの層又はそれよりも多い層は、真空蒸着工程、湿式コーティング工程、および鋳造工程を含むがこれに限定されることなく、多様な技術により準備され得る。
【0017】
又、本発明は式(1)により示される範囲内で新規の化合物を供する。



がNR、CR、Ar16およびシアノ基から選択され、
がNR、CR101112、Ar17およびシアノ基から選択され、
がNR、CR131415、Ar18およびシアノ基から選択され、
同じ又は異なっていてもよいR〜Rは、置換アリール基又は非置換アリール基、置換複素環基又は非置換複素環基、置換アルキル基又は非置換アルキル基およびシアノ基から成る基から各々独立して選択され、又は、一対の置換基RおよびR、RおよびR、並びに/又はRおよびRは、結合された窒素原子が含まれた置換複素環基又は非置換複素環基を共に形成してもよく、1又はそれ以上のR〜Rはモノマー又はポリマー鎖を含有する置換基を含んで成ってもよい。
同じ又は異なっていてもよいR〜R15は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ケトン基、アミド基、シアノ基、カルボキシレート基、スルホネート基、置換アリール基又は非置換アリール基、置換アルキル基又は非置換アルキル基、および置換複素環基又は非置換複素環基から成る基から各々独立して選択され、又は、又は、一対の置換基RおよびR、R10およびR11、並びに/又はR13およびR14は、置換環基又は非置換環基を共に形成してもよく、R、R12およびR15の各々は上記のとおり、又は存在せず、又、R〜R15の任意の基にある任意の置換基は、モノマー又はポリマー鎖を含んで成ってよく、および、Ar16〜Ar18は、各々置換アリール基および非置換アリール基から選択され、置換基はモノマー又はポリマー鎖を含んで成ってよい。
【0018】
又、本発明は式(1a)により示される範囲内で新規の化合物を供する。



同じ又は異なっていてもよいR〜Rは、置換アリール基又は非置換アリール基、置換複素環基又は非置換複素環基、置換アルキル基又は非置換アルキル基およびシアノ基から成る基から各々独立して選択され、又は、一対の置換基RおよびR、RおよびR、並びに/又はRおよびRは、結合された窒素原子が含まれた置換複素環基又は非置換複素環基を共に形成してもよく、1又はそれ以上のR〜Rはモノマー又はポリマー鎖を含有する置換基を含んで成ってもよい。
【0019】
又、本発明は式(1b)により示される範囲内で新規の化合物を供する。



同じ又は異なっていてもよいR〜R15は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ケトン基、アミド基、シアノ基、カルボキシレート基、スルホネート基、置換アリール基又は非置換アリール基、置換アルキル基又は非置換アルキル基、および置換複素環基又は非置換複素環基から成る基から各々独立して選択され、又は、一対の置換基RおよびR、R10およびR11、並びに/又はR13およびR14は、置換環基又は非置換環基を共に形成してもよく、R、R12およびR15の各々は上記のとおり、又は存在せず、又、R〜R15の任意の基にある任意の置換基は、モノマー又はポリマー鎖を含んで成ってよい。
【0020】
又、本発明は式(1c)により示される範囲内で新規の化合物を供する。



Ar16〜Ar18は、置換アリール基および非置換アリール基から各々選択され、置換基はモノマー又はポリマー鎖を含んで成ってよい。
【0021】
又、本発明の有機エレクトロルミネッセンス・デバイスにおいて、式(1)の化合物が使用される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の第1態様に従った有機エレクトロルミネッセンス・デバイスの基本構造の模式図である。
【図2】図2は、本発明の第2態様に従った有機エレクトロルミネッセンス・デバイスの基本構造の模式図である。
【図3】図3は、本発明の第3態様に従った有機エレクトロルミネッセンス・デバイスの基本構造の模式図である。
【図4】図4は、本発明の第4態様に従った有機エレクトロルミネッセンス・デバイスの基本構造の模式図である。
【図5】図5は、化合物2および5の電圧対電流密度のグラフであり、化合物2および5の正孔注入能力の特性を示す。
【図6】図6は、低電流での本発明の化合物2と従来化合物であるヘキサシアノヘキサアザトリフェニレン(HAT)との間の出力効率比較データを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明によれば、有機エレクトロルミネッセンス・デバイスは、アノードおよびカソードとの間に配列された有機化合物層から成る。
【0024】
有機層は、式(1)の化合物でドープされた単層、又は
少なくとも1つの層が式(1)の化合物でドープされてもよく、又は少なくとも1つの層が分離ドーパントでドープされた式(1)の化合物を含んで成る層である複数の層、又は
少なくとも1つの層が式(1)の化合物全体を含んで成ってよい複数の層
によって構成されてよい。
【0025】
「化合物」という用語は、式(1)の化学物質を示すために広義の意味で使用され、ポリマー、モノマー等も含んで成る。式(1)の化合物のいくつかの形態は、ポリマー形態である。
【0026】
式(1)の化合物は3つのサブグループに分類されてもよく、それら全て同じ環状構造を共有している。下記に各々のサブグループの特徴を記載するが、定義および記載された態様は一般的な式(1)の化合物に適用する。
【0027】
式(1a)
式1aでは、1又はそれ以上のR〜Rはアリール基であって、置換されてなくてもよく、又は適当な置換基によって置換されていてもよい。用語「アリール」は化学分野で良く知られており、芳香族置換基を示すために使用される。好ましくは、芳香族置換基は、1〜4の結合芳香族環のような1又はそれ以上の環、および5〜50の環原子を含んで成る。芳香族置換基は、
通常交互の一重および二重結合の配置である、非局在化共役π系、
同一平面で全ての寄与原子を有する共平面構造、
1又はそれ以上の環に配列された非局在化共役π系の原子、および
多数の4π電子(すなわち、4n+2π電子、n=0又は正の整数)ではなく、更に多くのπ非局在化電子を有する一連の共有結合原子を含んで成る。
【0028】
この規則に従う芳香族基はアリールの定義内である。アリール基は、炭素環(すなわち、炭素および水素のみを含む)であってもよく、又は複素環芳香族(すなわち、炭素、水素、少なくとも1つの複素原子を含む)であってもよい。アリール基は、フェニル基のような一環、又はナフチル基又はアントリル基のような多環式アリール基であってよい。アリール基の例として、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基等が挙げられる。
【0029】
式(1a)では、1又はそれ以上のR〜Rはアルキル基であってよく、置換されてなくてもよく、適当な置換基によって置換されてもよい。式(1a)のアルキル基は、1〜20(等)の炭素原子を含んで成る、直鎖又は分岐したアルキル基、又は環状アルキル基であってよい。直鎖アルキル基は、例えばメチル基、プロピル基又はデシル基を含み、分岐したアルキル基は、例えばイソブチル基、第3ブチル基又は3-メチル-ヘキシル基を含む。環状アルキル基は、例えばモノシクロヘキシルおよび縮合アルキル環状環系を含んで成る。
【0030】
式(1a)では、1又はそれ以上のR〜Rはシアノ基であってよい。
【0031】
式(1a)では、1又はそれ以上のR〜Rは複素環基であってよく、置換されていないか、又は適当な置換基により置換されていてもよい。用語「複素環の」および同様の「複素環基」又は「複素環リング」は化学の分野で良く知られており、1又はそれ以上の環、例えば1〜4の環、および少なくとも1つの原子がヘテロ原子である5〜50(好ましくは5〜20)の環原子を含んで成る任意の複素環基を示すために使用されている。ヘテロ原子は、1又はそれ以上のO、N、SおよびSiから選択されてもよい。式(1)の複素環基は、炭素原子に1又はそれ以上の任意の次のような原子:窒素、酸素、硫黄、シリコンを含んで成る5又は6員環の複素環リング、例えば、ピロリル、チエニル、ピリジル、又はピリダジニルであってよい。複素環基は、単一の複素環リング、又は、ヘテロ原子を含んで成る少なくとも1環を有するそれよりも多い連結環又は縮合環を含んで成ってもよい。ある複素環基のサブクラスは、複素芳香族(又は複素アリール)基である。それは、1又はそれ以上のO、NおよびSから選択される1又はそれ以上のヘテロ原子を含んで成る芳香族基である。又、そのような複素芳香族基はアリール基の定義内である。複素環基のある特定の例として、ピロール、トリアゾール、イミダゾール、ピラゾール、1,2,5-オキサチアゾール、イソオキサゾール、オキサゾール、フラン、ピラン、ピロン、チアゾール、イソチアゾール、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリジン、ピラゾリジンが挙げられる。他の例として、ベンゾイミダゾール、チオフェン、ベンゾチオフェン、オキサジアゾリン、インドリン、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、ベンゾキノン、ピラゾリン、イミダゾリジン、ピペリジン等の部分を含む。
【0032】
ある態様では、各々一対の置換基RおよびR、RおよびR、並びに/又はRおよびRにより、結合された窒素原子が含まれた置換複素環基又は非置換複素環基が共に形成されてもよい。換言すれば、-NR又は-NR又はNRにより表わされる式(1a)の化合物の部分により、置換複素環基又は非置換複素環基が形成されてもよい。複素環基という用語は、上記に規定されている。-NR(又は-NR又はNR)の適当な基の例は、ピロリル基(-(NC))、1-インドリル基、1-ピラゾリジニル基、9-カルバゾール基又は10-フェノチアジニル基を含む。複素環基は単環式又は多環式であってもよい。ある態様によれば、複素環基は多環式である。この類内のポリ複素環基の例としてカルバゾールがある。この類のいくつかの基、例えばカルバゾール基は、RおよびR、又は(RおよびR、又はRおよびR)の各々が置換アリール基若しくは非置換アリール基又は複素環アリール基を含んで成り、2つのRおよびRの基が互いに結合されて、縮合環構造を形成する状態に対応していると考えてもよい。カルバゾールの場合、RおよびR基はアリール基(とりわけフェニル基)であって、又、2つの環原子間の直接結合を介して互いに結合されて、縮合環構造を形成する。RおよびRの基(又はRおよびR、又はRおよびR)は互いに2価の結合基又は縮合環構造を介して互いに択一的に結合される。
【0033】
式(1a)では、アリール基若しくはアルキル基又は複素環基は、当業者に知られている適当な置換基から選択される1又はそれ以上の置換基を有していてもよい。適当な置換基は、ハロゲン原子、ニトロ基、ケトン基、アミド基、シアノ基、カルボキシレート基、スルホネート基、アルコキシル基、アリーロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、モノマー又はポリマー鎖、および別のアリール基、アルキル基又は複素環基から成る基(又は)から選択されてもよい。アリール基、アルキル基又は複素環基は、更に1又はそれ以上の置換基により更に置換されてもよい。すなわち、アリール基、アルキル基又は複素環基の置換基にある更なる置換基は、1又はそれ以上のハロゲン原子、ニトロ基、ケトン基、アミド基、シアノ基、カルボキシレート基、スルホネート基、アルコキシル基、アリーロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、およびアリールアミノ基から選択されてもよい。
【0034】
置換基は、1つの原子によって直接アリール基、アルキル基又は複素環基に結合されてもよく、1つよりも多い原子又は窒素、酸素、硫黄およびシリコンのようなヘテロ原子を通じて結合されてもよい。2価のアルキル基又はエチレンジオキシ基(すなわち、-O-CHCH-O-)の場合と同様、ある場合では、置換基は2つ又はそれよりも多い連結ポイントにより結合されてもよい。
【0035】
用語「ハロゲン」又は「ハロ」はフッ素、塩素、臭素等を指す。ニトロは-NOを指す。ケトンは-C(=O)-アルキル基又は-C(=O)-アリール基を含んで成る化合物を指す。アルキルおよびアリールは上記に規定したとおりである。アセチル(-C(=O)-CHはある特定の例である。
【0036】
用語「アミド」は、-C(O)NR’R”基を含んで成る置換基を指す。R’およびR”は上記に規定しているH、アルキル、アリール又はアルキル-アリール基である。用語「イミド」は、-C(O)NR’C(O)R”基を含んで成る置換基を指す。R’およびR”は、H、アルキル、アリール又はアルキル-アリール基から選択される。用語「イミン」は、-C(=NR’)R”基を含んで成る置換基を指し、R’およびR”は、H、アルキル、アリール又はアルキル-アリール基から選択される。用語「アミジン」は-C(=NR’)NR”R基を含んで成る置換基を指し、R’、R”およびRは、H、アルキル、アリール又はアルキル-アリール基から選択される。
【0037】

【0038】
用語「アミノ」はアミノ基-NHを指す。用語「アルキルアミノ」は、窒素原子に1つ又は2つのアルキル基を含んで成る第2および第3アルキルアミノ基を指す。「アルキルアミノ基」の例は、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基等を含んで成る。用語「アリールアミノ」は、窒素原子に1つ又は2つのアリール基を含んで成る第2および第3アリールアミノ基を指す。
【0039】
「アリールアミノ基」の例は、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、イソプロピルジフェニルアミノ基、t-ブチルジフェニルアミノ基、ジイソプロピルジフェニルアミノ基、ジ-t-ブチルジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基、ナフチルフェニルアミノ基等を含んで成る。
【0040】
式(1a)の化合物のある分類によれば、化合物はモノマー又はポリマー鎖を含んで成ってよい。((1a)、(1b)および(1c)を含んで成る)式(1)の化合物にモノマー又はポリマー鎖が含有していることは、式(1b)および(1c)の化合物に関する下記の説明において、更に詳細に説明されている。
【0041】
式1b
式(1b)では、1又はそれ以上のR〜R15は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ケトン基、アミド基、シアノ基、カルボキシレート基、スルホネート基、置換アリール基又は非置換アリール基、置換アルキル基又は非置換アルキル基および置換複素環基又は非置換複素環基から成る基から選択されてもよい。これら用語は、式(1a)の箇所で規定しており、それらの定義をここでも同様に用いる。
【0042】
アルキル基、アリール基および複素環基での任意の置換基は、式(1a)で説明したものと同様であり、ハロゲン原子、ニトロ基、ケトン基、アミド基、シアノ基、カルボキシレート基、スルホネート基、アルコキシル基、アリーロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、モノマー又はポリマー鎖、および別のアリール基、アルキル基又は複素環基を含んで成る。各アリール基、アルキル基又は複素環基は、更に1又はそれ以上の置換基により更に置換されてもよい。その上、アリール基、アルキル基又は複素環基の置換基にある更なる置換基は、1又はそれ以上のハロゲン原子、ニトロ基、ケトン基、アミド基、シアノ基、カルボキシレート基、スルホネート基、アルコキシル基、アリーロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基およびアリールアミノ基から選択されてもよい。
【0043】
置換基は、1つの原子により直接的にアリール、アルキル又は複素環基に結合されてもよいし、又は1つよりも多い原子によって、又はヘテロ原子を通じて結合されてもよい。ある場合では、置換基は2価のアルキル基又はエチレンジオキシ基(すなわち、-O-CHCH-O-)のように、2つ又はそれよりも多い結合点で結合されてもよい。
【0044】
別の態様では、1対の置換基RおよびR、R10およびR11、並びに/又はR13およびR14は共に置換環基又は非置換環基を形成してもよい。R、R12およびR15は各々既に規定したものであるか、存在せず、R〜R15任意の基にある任意の置換基はモノマー又はポリマー鎖を含んで成ってよい。用語「環基」とは、環リングおよび連結環又は縮合環系を示すために広義の意味で使用されている。それは、炭素環又は複素環であってもよく、又、脂肪族、芳香族、飽和又は不飽和であってよい。かかるリングは、(全ての環原子が、例えばシクロヘキシルのような炭素原子である)炭素環、(上記に説明するような)複素環、および、芳香族基(炭素系芳香族基又は複素芳香族基であってよい)又はアリール基であってよい。環基は単環又は3つの以下の連結環又は縮合環を含んで成ってよい。
【0045】
式(1b)の化合物のある分類によれば、R、RおよびRの少なくとも1つ、R101112の少なくとも1つ、およびR13、R14およびR15の少なくとも1つは水素原子を有しない。
【0046】
式(1b)の化合物のある分類によれば、化合物はモノマー又はポリマー鎖を含んで成ってよい。この事は下記でより詳細に説明する。
【0047】
式(1c)
式(1c)では、Ar16〜Ar18が置換アリール基および非置換アリール基から各々選択される。用語「アリール」は既に規定している。
【0048】
アリール基は置換されていてもよいし、又は置換されていなくてもよい。かかる置換基は、式(1a)および(1b)の箇所で説明したアリール基である。
【0049】
モノマー又はポリマー鎖置換基
式(1)の化合物のある分類によれば、(同様に式(1a)〜(1c)の化合物のある分類によれば)、化合物はモノマー又はポリマー鎖を含んで成ってよい。式(1)に示す化合物は、(式(1a)の場合)R〜Rの基の少なくとも1つを介して、又は(式(1b)の場合)R〜R15の基の少なくとも1つを介して、又は(式(1c)の場合)Ar16〜Ar18の1又はそれ以上の置換基を介してモノマー又はポリマー鎖に結合されてよい。
【0050】
モノマー又はポリマー鎖は、-R19-のように示されてよい適当な2価の結合基を通じて結合されてよい。2価の結合基の例は直接結合、-O-、-NH-、-Nアルキル-、-Nアリール-、-アルキル-(例えば-(CH)-)、-CO-、-CO-、-アリール-、-ヘテロアリール-、およびこれらの組合せを含んで成ってよい。その組合せは例えば-O-アリール-、-NH-アリール-、-NHアリール-、-Nアルキル-アリール-、-(CH)-アリール-を含んで成る。すなわち、R〜Rにある置換基の1つは-R19-モノマー又は-R19-ポリマーであってよい。
【0051】
用語「モノマー」は重合させてもよい任意のモノマー単位を言う。適当なモノマーは-‘CR20=CHR21を含んでもよく、R20は水素、アルキル、アリール又はヘテロアリールであり、R21は水素、ハロゲン原子、ニトロ基、ケトン基、アクリレート基、アミド基、シアノ基、カルボキシレート基、スルホネート基、アリール基、アルキル基又は複素環基であり、又はR20およびR21は共に置換環基又は非置換環基又は複素環基を形成する。これら置換基の各々は、上記で同定された考えられる置換基の範囲から選択される更に1又はそれ以上の置換基によって更に置換されてもよい。残りの化合物にモノマーが結合される点は‘Cと付された炭素原子を通じて行われてもよい。R20およびR21が環基又は複素環基を形成する場合、結合点は環基又は複素環基にある原子を通じて行われてもよい。この場合、‘Cは水素、アルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択される置換基R22を更に含んで成る。モノマーはその後重合されて、式(1)の化合物の重合のバージョンを形成してもよい。
【0052】
用語「ポリマー」又は「ポリマー鎖」は任意のポリマー又はポリマー・セグメントを言う。
ポリマー/ポリマー・セグメントを含む本発明の化合物の例を、下記にいくつか示す。例として、-(‘CH-CH)-および-(‘CR20-CHR21)-を含んで成る。R20は、水素、アルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、R21は水素又は任意の適当な置換基、例えばハロゲン原子、ニトロ基、ケトン基、アクリレート基、アミド基、シアノ基、カルボキシレート基、スルホネート基、アリール基、アルキル基又は複素環基から選択され、又はR20およびR21は共に置換環基又は非置換環基又は複素環基を形成する。R20およびR21は共に環基又は複素環基を形成する際、環基又は複素環基は結合された炭素原子を含んで成る。これら置換基の各々は、上記で特定された考えられる置換基の範囲から選択された更に1又はそれ以上の置換基によって、更に置換されてもよい。ポリマー又はポリマー・セグメントの結合点は‘Cと付された炭素原子を通じて行われてもよい。R20およびR21が環基又は複素環基を形成する場合、ポリマー又はポリマー・セグメントの結合点は、環基又は複素環基にある原子を通じて行われてもよい。この場合、‘Cは水素、アルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択される置換基R22を更に含んで成る。上記で説明したとおり、ポリマー又はポリマー・セグメントは、任意の2価の結合基又は基の組合せを通じて化合物に結合される。
【0053】
モノマーおよびポリマーの内容において用語「複素環基」は、前述したものと同じ意味である。又、用語「環基」も上記に規定したものである。
【0054】
ポリマー鎖置換基を含んで成る式(1)の化合物は、例えばRAFT重合又は別のリビング重合法のような適当な技術により形成されてよい。RAFTおよびリビング重合技術は
ポリマーの分野では知られており、詳しくはRAFTおよびリビング重合技術に関する刊行物から得ることができる。なお、RAFT重合の分野で本出願人の名前で出願された特許出願がある。刊行物の全てが参考文献に組み入れられている。モノマー単位を含んで成る式(1)の化合物が上記で説明した適当な技術を通じて重合され、式(1)の化合物のポリマーフォームを形成することができる。
【0055】
式(1)に示す化合物の特定の例は下記に示すNo.(2)〜(61)の化合物例を含んで成ってよい。しかしながら、これらの化合物に限定されるものではない。




















【0056】
上記で説明したように、有機層は、
式(1)の化合物でドープされた単層、又は、
少なくとも1つの層が式(1)の化合物でドープされてもよい多層、又は、少なくとも1つの層が分離ドーパントでドープされた式(1)の化合物を含んで成る層から構成される多層、又は、
少なくとも1つの層が式(1)の化合物の全部を含んで成ってよい多層
によって構成されてよい。
【0057】
本出願の有機ルミネッセンス・デバイスにおいて、上記で説明した式(1)の化合物を含んで成る有機化合物層は、一対の電極(カソードおよびアノード)間にある(他の層があれば)他の層と離れて、又は共に形成されてもよい。適当な形成技術は真空蒸着又は溶解法を含む。
【0058】
有機化合物層の厚さは、好ましくは多くとも10μm未満、より好ましくは0.5μm未満、更に好ましくは0.001〜0.5μmであってよい。
【0059】
本発明の特定の態様により、本発明のデバイスにおける可能な配置範囲を表わす添付図に関してより詳細な説明がされる。これらの態様は一例のみにより供されるが、発明の範囲を限定するものではないことは理解されよう。
【0060】
本出願のエレクトロルミネッセンス・デバイスは図1に示されるように式(1)により規定される化合物のみを含んで成る単層構造を有してもよく、又、図2および3に示されるように2つ又はそれよりも多い層から成る多層状構造であってもよい。
【0061】
より具体的には、図1は本発明の有機エレクトロルミネッセンス・デバイスの第1態様の概略断面図である。図1では、有機エレクトロルミネッセンス・デバイスは基板1、(基板1に蒸着された)アノード2、(アノード2に蒸着された)発光層3および(発光層3に
蒸着された)カソード4を含んで成る。この態様では、発光層3は有機化合物型単層を形成する。この単層は、自らの特性に基づいて、又はホスト化合物の正孔輸送能力、電子輸送能力およびルミネッセンス能力の性能を高めるドーパントと共に正孔輸送能力、電子輸送能力および(電子および正孔の再結合に関連する)ルミネッセンス能力を有する化合物全部から成ってよい。ある態様によれば、式(1)の化合物はドーパントで正孔輸送層としての機能を果たし得る。他の態様によれば、式(1)の化合物はドーパントとしての機能を果たし得る。他の態様によれば、式(1)の化合物はさらに下記にて説明するように分離正孔注入層としての機能を果たし得る。
【0062】
図1では、発光層3は好ましくは5nm〜1μm、より好ましくは5〜50nmの厚さを有していてよい。
【0063】
図2は正孔輸送層5および電子輸送層6を含んで成る多層型デバイスの形状である本発明の有機エレクトロルミネッセンス・デバイスの別の態様を示す。
【0064】
図2より、有機ルミネッセンス・デバイスは基板1、(基板1に蒸着された)アノード2、(アノード2に蒸着された)正孔輸送層5、(正孔輸送層5に蒸着された)電子輸送層6、および(電子輸送層6に蒸着された)カソードを含んで成る。この態様では、正孔輸送層5および電子輸送層6のいずれか一方、又は両方が、発光層3を形成するためのドーパントとして発光性化合物を含んで成ってよい。この場合、正孔輸送層5および電子輸送層6は各々非発光性化合物を含んで成ってよい。式(1)の化合物は、正孔輸送層5、すなわち正孔輸送層のコンポーネントを形成し得る。
【0065】
図2の態様では、正孔輸送層5および電子輸送層6の各々は、好ましくは5nm〜1μm、より好ましくは5nm〜50nmの厚さを有していてよい。
【0066】
図3は、正孔輸送層5、発光層3および電子輸送層6を含んで成る多層型デバイスの形状である本発明の有機エレクトロルミネッセンス・デバイスの別の態様を示す。図3では、有機ルミネッセンス・デバイスは基板1、(基板1に蒸着された)アノード2、(アノード2に蒸着された)正孔輸送層5、(正孔輸送層5に蒸着された)発光層3、(発光層3に蒸着された)電子輸送層6および(電子輸送層6に蒸着された)カソードを含んで成る。この態様では、正孔輸送層、発光層および電子輸送層の各々は、正孔輸送化合物、発光性化合物および電子輸送化合物をそれぞれ使用することで、又はこれら化合物を混合した物を使用することで形成されてもよい。式(1)の化合物は、正孔輸送層5、すなわち正孔輸送層のコンポーネントを形成し得る。
【0067】
図4は、正孔注入層7、正孔輸送層5、発光層3および電子輸送層6を含んで成る多層を有する本発明の有機エレクトロルミネッセンス・デバイスの別の態様を示す。図4では、有機ルミネッセンス・デバイスは、基板1、(基板1に蒸着された)アノード2、(アノード2に蒸着された)正孔注入層7、(正孔注入層に蒸着された)正孔輸送層5、(正孔輸送層5に蒸着された)発光層3、(発光層3に蒸着された)電子輸送層6および(電子輸送層6に蒸着された)カソードを含んで成る。この態様では、正孔注入層、正孔輸送層、発光層および電子輸送層の各々は、正孔注入化合物、正孔輸送化合物、発光性化合物および電子輸送化合物をそれぞれ使用することで、又はこれら化合物を混合した物を使用することで形成されてもよい。式(1)の化合物は、正孔注入層7および/又は正孔輸送層5(又はこれらのコンポーネント)を形成し得る。
【0068】
図1、2、3および4において、3、5、6および7の各層は、低分子若しくはポリマー化合物又は低分子およびポリマー化合物の混合物を使用する真空蒸着又は湿式プロセスのいずれか一方によって形成されてもよい。層3、5および6の各厚さは好ましくは1nm〜1μmの範囲であってよい。カソードおよびアノードの各厚さは好ましくは100〜200nmであってよい。
【0069】
図1、2、3および4に示されるデバイスの有機層構造は各々基本構造を示す。かかる構造は要求される特性により適切に最適化されてもよい。適当な変更例は、1又はそれ以上の追加層を組み入れることを含んで成る。
【0070】
例えば、正孔輸送層に変えて、(アノードに蒸着された)正孔注入層および(正孔注入層に蒸着された)正孔輸送層を含んで成ってよい。
【0071】
図1、2および4のデバイスとは異なるデバイス構造のより具体的な態様が下記に示されるが、これらのデバイス構造に限定されるものではない。
(1)アノード/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/カソード
(2)アノード/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/カソード
(3)アノード/絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/カソード
(4)アノード/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/絶縁層/カソード
(5)アノード/無機半導体/絶縁体/正孔輸送層/発光層/絶縁体/カソード
(6)アノード/絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/絶縁層/カソード
(7)アノード/絶縁層/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/カソード
(8)アノード/絶縁層/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/絶縁層/カソード
【0072】
上記に記載した態様では、制限されるものではないが、より好ましいデバイス構造は課(1)、(2)、(3)、(7)および(8)である。ある態様によれば、式(1)の化合物は正孔注入層又は正孔発生層として形成されてもよい。この場合、正孔注入層又は正孔発生層は、1nm〜1μm、より好ましくは1〜50nmの厚さを有する。ある態様によれば、正孔注入材料又は正孔発生材料として、正孔注入層又は正孔発生層として、又は正孔輸送層の
ドーパントとして式(1)の化合物が使用される。
【0073】
ある態様では、式(1)の化合物は正孔輸送化合物(又は材料)、電子輸送化合物および/又は発光化合物と組み合わされて使用されてもよく、次の例を含んで成ってよい。
正孔輸送材料/化合物:





電子輸送材料/化合物:



発光材料/化合物:

【0074】
アノード(例えば、図1〜4にある2)の材料として、大きな仕事関数を有するものを使用することが好ましい。例えば、金、白金、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレニウム、バナジウムおよびこれらの合金のような金属;酸化スズ、酸化亜鉛、インジウム酸化亜鉛(IZO)およびインジウム酸化スズ(ITO)のような金属酸化物およびポリアニリン、ポリピロールおよびポリチオフェンのような導電性ポリマーおよびこれらの誘導体を含んで成ってよい。これらの化合物は単独で使用されてもよいし、又は、2つ又はそれよりも多い種類で使用されてもよい。
【0075】
カソード(例えば、図1〜4にある4)の材料として、通常4.0eVを下回る小さな仕事関数を有するものを使用することが好ましい。例えば、ソジウム、マグネシウム、リチウム、カリウム、アルミニウム、インジウム、銀、鉛、クロムおよびこれらの合金のような金属又は金属酸化物を含んで成ってよい。金属酸化物の場合、インジウム酸化スズ(ITO) 、インジウム酸化亜鉛(IZO) 、および酸化亜鉛のような金属酸化物が適当である。
【0076】
絶縁層は、態様(3)〜(8)に記載しているように、電流リークを避けるためにいずれか一方の電極に隣接して蒸着されてよい。絶縁材料として、無機化合物を使用することが好ましい。例えば、酸化アルミニウム、フッ化リチウム、酸化リチウム、酸化セシウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸化バナジウムを含んで成ってよい。
【0077】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス・デバイスの基板(例えば、図1〜4に示される1)は、例えば、金属又はセラミックスのような任意の適当な材料から成る不透明な基板、又は、ガラス、石英、プラスチック等の任意の適当な透明な材料から成る透明な基板 を含んで成ってよい。カラーフィルター・フィルム、蛍光カラー変換フィルム、誘電性反射フィルム等を有する基板を形成すること、すなわち、発光ルミネッセンス光のアスペクトを制御することができる。
【0078】
本出願のデバイスは、積層有機エレクトロルミネッセンス(EL)デバイスの形成に供され得る。又、本出願は、ディスプレイおよび光源を有して成り、本発明の有機エレクトロルミネッセンス・デバイスを含んで成る電子デバイスにまで及ぶ。
【0079】
本発明は下記の準備例およびデバイス例に詳細に説明されるが、本発明はこれらの例に限定されるという意味ではない。
【実施例】
【0080】
<実施例1>

ヘキサフェニルメレム2
シュローダーとコーバーが説明した手順(シュローダー,H., コーバー, E.J. Org Chem.1962, 27, 4262.)に従い、既知の手順(シュワルツ, M., ブッシュマン, H. H., クローク, E., ジメネスアロンソ, O., ホレンズ, J., コルベラ アルホーナ, J., パエリア, D., ペレジェロ, C., テュルラス, C−R.2007, EP特許 1854797A1.)により準備されたキシレン(100mL)にシアメルルクロリドの混合物(2.30g, 8.34mmol)およびPhNH(9.87g,58.4mmol)を14時間80℃で加熱した。サケ色をした混合物が焼結ガラス炉に集められ、固形残渣が得られた。残渣をHO(2回)で洗浄し、次いでEtOH(2回)で洗浄した。残渣をCHClで溶解、ろ過、および濃縮して固形残渣を得た。残渣はフラッシュクロマトグラフィー(MeOH/CHCl, 勾配;0:100,2:98,3:97,4:96)で精製されて、無色の固体としてヘキサフェニルメレム2(3.89g, 69%)を得た。更に、この材料の一部を第1に再結晶化(ニトロメタン)により精製し、第2に昇華(350℃、0.025mBar)により精製した。:m.p.458〜465℃(DSC);R0.30(5:95EtOAc/CHCl);HNMR(CDCl,400MHz)δ7.22〜7.29(m,18H),7.34〜7.40(m, 12H);13CNMR(CDCl,100MHz)δ127.99,128.28,129.96,143.29,156.44,165.26;HRMS(EI)m/z673.2589C422910[M−H]+・は673.2571を要する。
【0081】
<実施例2>

N’,N'',N'''−トリフェニル−N’,N'',N'''−(トリ−2−ナフチル)メレム3
キシレン(100mL)にシアメルルクロリドの混合物(2.46g, 8.90mmol)およびN−フェニル−2−ナフチルアミン(13.6g,62.1mmol)を20時間80℃で加熱した。赤色をした混合物が焼結ガラス炉に集められ、固形残渣が得られた。残渣をHO(2回)で洗浄し、次いでEtOH(2回)で洗浄した。残渣をCHClで溶解、ろ過、および濃縮して固形残渣を得た。残渣はフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/CHCl, 勾配;0:100,1:99,2:98,次いで3:97)で精製されて、淡黄色の固体としてN’,N'’,N'''−トリフェニル−N',N'',N'''−(トリ−2−ナフチル)メレム3 (1.51g, 20%)を得た。更に、この材料の一部を第1に再結晶化(CHCl/ヘキサン)により精製し、第2に昇華(350℃、0.025mBar)により精製した。:m.p.417〜425℃(DSC);R0.37(3:97EtOAc/CHCl);HNMR(CDCl,400MHz)δ7.11〜7.32(m,15H),7.34〜7.40(m, 9H) , 7.54〜7.58(m,3H),7.63〜7.68(m, 3H) , 7.70〜7.77(m,6H);13CNMR(CDCl,100MHz)δ126.11,126.26,126.31,126.90,127.65,127.88,128.78,129.09,131.84,133.47,140.39,142.85,155.93,164.50;HRMS(EI)m/z823.3067C543510[M−H]+・は823.3041を要する。
【0082】
<実施例3>


N’,N'',N'''−トリフェニル−N',N'',N'''−(トリ−4−メトキシナフチル)メレム4
キシレン(50mL)にシアメルルクロリドの混合物(831mg, 3.01mmol)およびN−4−メトキシフェニル−フェニルアミン(4.19g,21.1mmol)を22時間80℃で加熱した。暗色をした混合物が焼結ガラス炉に集められ、固形残渣が得られた。残渣をHO(2回)で洗浄し、次いでEtOH(2回)で洗浄した。残渣をCHClで溶解、ろ過、および濃縮して固形残渣を得た。残渣はフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/CHCl, 勾配;0:100,2.5:97.5,次いで4:96)で精製されて、淡いオレンジ色の固体としてN',N'',N'''−トリフェニル−N’,N'',N'''−(トリ−4−メトキシフェニル)メレム4 (1.68g, 73%)を得た。更に、この材料の一部を第1に再結晶化(CHCl/トルエン)により精製し、第2に昇華(350℃、0.025mBar)により精製した。:m.p.487〜496℃(DSC);R0.17(5:95EtOAc/CHCl);HNMR(CDCl,400MHz)δ3.77(s,9H),6.88(d,J=8.8Hz, 6H) , 7.16(d,J=8.8Hz, 6H),7.20〜7.29(m, 9H) , 7.33〜7.40(m,6H);13CNMR(CDCl,100MHz)δ55.91,115.20,127.82,128.07,129.26,129.92,136.05,143.52,159.22,165.37;HRMS(EI)m/z763.2891C453510[M−H]+・は763.2888を要する。
【0083】
<実施例4>


ヘキサ−4−トリルメレム5
キシレン(100mL)にシアメルルクロリドの混合物(1.93g, 6.99mmol)およびジ−4−トリルアミン(9.60g,48.7mmol)を15時間80℃で加熱した。暗色をした混合物が焼結ガラス炉に集められ、固形残渣が得られた。残渣をHO(2回)で洗浄し、次いでEtOH(2回)で洗浄した。残渣をCHClで溶解、ろ過、および濃縮して固形残渣を得た。残渣はフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/CHCl/ヘキサン, 勾配;0:50:50,2.5:48.75:48.75,次いで2.5:72.5:25)で精製されて、無色の固体としてヘキサ−4−トリルメレム5 (4.47g, 84%)を得た。更に、この材料の一部を第1に再結晶化(CHCl/トルエン)により精製し、第2に昇華(350℃、0.025mBar)により精製した。:m.p.459〜468℃(DSC);R0.59(3:97EtOAc/CHCl);HNMR(CDCl,400MHz)δ2.28(s,18H),7.01〜7.10(m, 24H);13CCNMR(CDCl,100MHz)δ21.04,127.38,129.70,136.57,140.25,155.40,163.90;HRMS(EI)m/z757.3537C484110[M−H]+・は757.3510を要する。
【0084】
<実施例5>


ヘキサ−(4−フルオロフェニル)メレム31
0℃でTHF(75mL)にあるビス(4−フルオロフェニル)アミン(2.81g, 13.7mmol)の溶液へNaH(鉱油中に60%の分散系, 575mg, 14.3mmol)を加えて,得られた紅色の混合物を(10分)攪拌した。シアメルルクロリド(841mg, 3.05mmol)を加えて、混合物を室温で15時間攪拌し、次いで3時間加熱して還流させた。反応を室温まで冷却し、飽和水溶性NHCl(3mL)を加えて、反応混合物を10mLまで濃縮させた。混合物をHOで溶解し、焼結ガラス炉に集めて、固形残渣を得た。残渣をHO(2回)で洗浄し、次いでEtOH(3回)で洗浄した。残渣をCHClで溶解、ろ過、シリカで予め吸着した。この予め吸着された材料をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/CHCl, 勾配;1:99〜4:96)にさらして、無色の固体としてヘキサ−(4−フルオロフェニル)メレム31(1.5g, 63%)を得た。更に、この材料の一部を第1に再結晶化(CHCl/トルエン)により精製し、第2に昇華(310℃、10−5mBar)により精製した。:m.p.493〜496℃(DSC);HNMR(CDCl,400MHz)δ7.04〜7.11(m,12H),7.18〜7.24(m, 12H);HRMS(EI)m/z781.2033C422310[M−H]+・は781.2006を要する。
【0085】
<実施例6>



N',N'',N'''−(トリ−3,4−ジフルオロフェニル)−N’,N'',N'''−(トリ−4−フルオロフェニル)メレム32
0℃でTHF(30mL)にある3,4−ジフルオロ−N−(4−フルオロフェニル)アニリン(1.85g, 8.3mmol)の溶液へNaH(鉱油中に60%の分散系, 350mg, 8.66mmol)を加えて、得られた混合物を室温で(20分)攪拌し、次いで50℃で(20分)攪拌した。シアメルルクロリド(510mg, 1.84mmol)を加えて、混合物を8時間加熱して還流させた。反応を室温まで冷却し、飽和水溶性NHCl(3mL)を加えて、反応混合物を10mLまで濃縮させた。混合物をCHClおよびHOで希釈し、有機層を分離した。液層を(CHClで)再抽出して、(飽和食塩水で)結合された有機物を洗浄して、(MgSOで)乾燥し、ろ過し、および濃縮して固体残渣を得た。残渣はフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン/CHCl; 0:25:75次いで1:25:74、次いで2.5:25:72.5)で精製されて、無色の固体としてN’,N'',N'''−(トリ−3,4−ジフルオロフェニル)−N’,N'',N'''−(トリ−4−フルオロフェニル)メレム32(625mg, 40%)を得た。更に、この材料の一部を第1に再結晶化(CHCl/トルエン)により精製し、第2に昇華(310℃、10−5mBar)により精製した。:m.p.424〜427℃(DSC);HNMR(CDCl,400MHz)δ6.97〜7.05(m,3H),7.06〜7.14(m,9H), δ7.15〜7.36(m,9H);13CNMR(CDCl,100MHz)δ117.00,117.23,117.84(d,J19Hz),118.40(d,J19Hz),124.77(d,J4Hz),129.97,130.06,138.58(d,J3Hz),139.19(q,J3Hz),149.22(dd,J14,73Hz),151.64(dd,J14,73Hz),156.58,162.16(J247Hz),165.46;HRMS(ESI)m/z837.1891C422210[M+H]+・は837.1885を要する。
【0086】
<実施例7>




ヘキサ−(3,4−ジフルオロフェニル)メレム33
THF(70mL)にあるビス(3,4−ジジフルオロフェニル)アミン(2.95g, 12.2mmol)の溶液へNaH(鉱油中に60%の分散系, 490mg, 12.8mmol)を加えて、得られた混合物を室温で(30分)攪拌した。次いで、シアメルルクロリド(750mg, 2.72mmol)を加えて、混合物を20時間加熱して還流させた。反応を室温まで冷却し、飽和水溶性NHCl(3mL)を加えて、反応混合物を10mLまで濃縮させた。混合物をCHClおよびHOで希釈し、有機層を分離した。液層を(CHClで)再抽出して、(飽和食塩水で)結合された有機物を洗浄して、(MgSOで)乾燥し、ろ過し、および濃縮して固体残渣を得た。残渣はフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/CHCl; 0:100次いで1:99、次いで2:98)で精製されて、無色の固体としてヘキサ−(3,4−ジフルオロフェニル)メレム33 (1.1g, 45%)を得た。更に、この材料の一部を再結晶化(CHCl/トルエン)により精製した。:m.p.389〜393℃(DSC);HNMR(CDCl,400MHz)δ6.87〜6.93(m,6H),7.02(ddd,J2.6, 6.9, 10.7Hz, 6H), 7.11(q, J8.8Hz, 6H);13CNMR(CDCl,100MHz)δ117.34,(d,J19Hz),117.66(d,J19Hz),124.03(d,J4Hz),138.03(q,J4Hz),148.48(dd,J13,82Hz),150.98(dd,J14,82Hz),156.07,164.57;LRMS(EI)m/z889.4C42171012[M-H]+・は889.1を要する。
【0087】
<実施例8>



N’,N'',N'''−(トリ−4−シアノフェニル)−N’,N'',N'''−(トリ−4−トリフルオロメチルフェニル)メレム34
0℃でTHF(120mL)にある4−(4−(トリフルオロメチル)フェニルアミノ)ベンゾニトリル(1.6g, 6.11mmol)の溶液へNaH(鉱油中に60%の分散系, 260mg, 6.40mmol)を加えて、得られた紅色の混合物を(10分)攪拌した。次いで、シアメルルクロリド(420mg, 1.52mmol)を加えて、混合物を20時間加熱して還流させた。反応を室温まで冷却し、飽和水溶性NHCl(3mL)を加えて、反応混合物を10mLまで濃縮させた。混合物をCHClおよびHOで希釈し、有機層を分離した。液層を(CHClで)再抽出して、(飽和食塩水で)結合された有機物を洗浄して、(MgSOで)乾燥し、ろ過し、および濃縮して固体残渣を得た。残渣はフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン, 30:70、次いで0:100、次いでEtOAc/CHCl;5:95)で精製されて、無色の固体としてN',N'',N'''−(トリ−4−シアノフェニル)−N',N'',N'''−(トリ−4−トリフルオロメチルフェニル)メレム34(610mg, 42%)を得た。更に、この材料の一部を第1に再結晶化(CHCl/トルエン)により精製し、第2に昇華(350℃、10−5mBar)により精製した。:m.p.484〜489℃(DSC);HNMR(CDCl,400MHz)δ7.32(t,J9Hz12H),7.67(d,J9.0Hz, 12H);13CNMR(CDCl,100MHz)δ112.01,118.44,124.24(q,J270Hz),127.38(q,J14Hz),128.94,129.11,130.26(q,J33Hz),133.98,145.18,146.13,156.88,165.27;HRMS(ESI)m/z976.2044C482415NaF[M+Na]+・は976.2032を要する。
【0088】
<実施例9>

トリス−(4−トリル)−トリ−s−トリアジン50
トルエン(8.5mL)にあるAlClの混合物(3.32g, 25mmol)を65℃まで加熱した。シアメルルクロリド(1.5g, 5.4mmol)を30分以上6つの片に加えた。この混合物を5時間65℃で攪拌し、次いで、HO(30mL)を追加して急冷させ、次いで、十分に攪拌して、綿状の黄色の沈殿物を得た。反応混合物をろ過し、黄色
の沈殿物をHOで(3回)洗浄した。黄色の沈殿物をトルエンで(700mLまで)溶解し、シリカで予め吸着した。この予め吸着された材料を、フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/トルエン, 勾配;0:99〜2.5:97.5)にさらして、黄色の固体であるトリス−(4−トリル)−トリ−s−トリアジン50(540mg, 22%)を得た。更に、この材料を第1に再結晶化(キシレン)により精製し、第2に昇華(280℃、10−5mBar)により精製した。:m.p.449〜458℃(DSC);HNMR(C,400MHz)δ2.03(s,9H),7.04(d,J8.0Hz, 6H), 8.80(d,J8.2Hz, 6H);HRMS(EI)m/z443.1855C2721[M]+・は443.1853を要する。
【0089】
<実施例10>

トリス−(4−フルオロ−3−メチルフェニル)−トリ−s−トリアジン51
0℃で2−フルオロトルエン(8.5mL)にあるAlClの混合物(2.41g, 18mmol)へシアメルルクロリド(1.0g, 3.6mmol)を加えて、混合物を0℃で30分間攪拌し、次いで、80℃で4時間攪拌した。反応を氷を加えて止め、混合物を室温で1時間十分に攪拌し、次いで、100℃で30分間攪拌し、綿状の黄色の沈殿物を得た。反応混合物を室温まで冷却し、ろ過し、黄色の沈殿物をHOで(3回)洗浄し、黄色の沈殿物をトルエンで(500mLまで)溶解し、シリカで予め吸着した。この予め吸着された材料を、フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/トルエン, 勾配;0:100〜2:98)にさらして、黄色の固体であるトリス−(4−フルオロ−3−メチルフェニル)−トリ−s−トリアジン51(1.03g,57%)を得た。更に、この材料を第1に再結晶化(キシレン)により精製し、第2に昇華(265℃、10−5mBar)により精製した。:m.p.370〜380℃(DSC);HNMR(C,400MHz)δ2.06(s,9H),6.81(t,J8.8Hz, 3H), 8.54〜8.61(m,3H), 8.65(d,J7.6Hz, 3H);HRMS(EI)m/z497.1580C2718[M]+・は497.1570を要する。
【0090】
<実施例11>


トリス−(ジシアノメチル)−トリ−s−トリアジン52
0℃でTHF(30mL)にあるマロノニトリル(980mg, 14.8mmol)へNaH(鉱油中に60%の分散系, 610mg, 15.3mmol)を(5分以上片で)加えて、混合物を(30分)攪拌した。シアメルルクロリド(580mg, 2.12mmol)を加えて、混合物を加熱して8時間還流させた。混合物を室温まで冷却し、飽和水溶性NHCl(3mL)を加えて、反応混合物を10mLまで濃縮させた。HOを加えて、沈殿物を形成した。混合物をろ過して、固体をHOで(3回)洗浄した。固体をEtOAcで完全に抽出して、この抽出物をC18逆層シリカに予め吸着させた。この予め吸着させた材料をC18逆相シリカクロマトグラフィー(MeCN/HO, 勾配;0:100〜15:85)にさらして、黄色の固体であるトリス−(ジシアノメチル)−トリ−s−トリアジン52 (400mg,52%)を得た。:13CNMR(CDSO,100MHz)δ49.49,117.07,146.53,163.35;LRMS(EI)m/z889.4C1513[M+H]+・は366.3を要する。
【0091】
<実施例12>
例示の化合物の正孔注入特性を、例示の化合物およびNPD(N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N'−ジフェニル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン)を使用する2つの層を含んで成るデバイスを作成することにより確認した。かかるデバイスは、下記に記載するように製造した。
【0092】
デバイス1:4nmの厚さを有する化合物2を10−6トールの下でガラス基板上の(1000Åから成る)アルミニウム・フィルムに蒸着した。100nmの厚さを有するNPDを同じ状況下で化合物2層に蒸着した。最後に、1000Åの厚さを有するアルミニウム・フィルムをNPD層に蒸着した。
【0093】
デバイス2:上記と同じ状況下で化合物2の代わりに化合物5を使用してデバイス2を製造した。
【0094】
デバイスの性能データは図5に示される。正孔電流は低駆動電圧でさえ観測された。
【0095】
<実施例13>
電子輸送材料としてアルミニウムキノラート(Alq)を使用するデバイス3、4、5、6および7を製造して、出力効率を比較した。
【0096】
デバイス3〜7の層構造は、ガラス/ITO(130nm)/正孔注入/NPD(50nm)/Alq(70nm)/Al(100nm)である。全ての層は真空蒸着された。
【0097】
デバイス3:正孔注入層がないものを含んで成る。
【0098】
デバイス4:(正孔注入層として5nmの厚さの)ヘキサシアノヘキサアザトリフェニレン(HAT)を含んで成る。
【0099】
デバイス5:(正孔注入層として10nmの厚さの)ヘキサシアノヘキサアザトリフェニレン(HAT)を含んで成る。
【0100】
デバイス6:(正孔注入層として20nmの厚さの)ヘキサシアノヘキサアザトリフェニレン(HAT)を含んで成る。
【0101】
デバイス7:(正孔注入層として3nmの厚さの)化合物2を含んで成る。
【0102】
デバイスの性能データは図6に示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機エレクトロルミネッセンス・デバイスであって、
アノードおよびカソードを含んで成る一対の電極、および
前記一対の電極の間に配置された1又はそれよりも多い有機化合物層を含んで成り、
前記有機化合物層、又は、1若しくはそれ以上の前記有機化合物層は、下記の式(1)により示される化合物を含んで成り、



がNR、CR、Ar16およびシアノから選択され、
がNR、CR101112、Ar17およびシアノから選択され、
がNR、CR131415、Ar18およびシアノから選択され、
〜Rは、同じ又は異なっていてもよく、置換アリール基又は非置換アリール基、置換複素環基又は非置換複素環基、置換アルキル基又は非置換アルキル基およびシアノから成る基から各々独立して選択され、あるいは、置換基RおよびR、RおよびR、並びに/又はRおよびRの各対は、結合された窒素原子が含まれた置換複素環基又は非置換複素環基を共に形成してもよく、1又はそれ以上のR〜Rはモノマー又はポリマー鎖を含んで成る置換基を含んで成ってもよく、
同じ又は異なっていてもよいR〜R15は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ケトン基、アミド基、シアノ基、カルボキシレート基、スルホネート基、置換アリール基又は非置換アリール基、置換アルキル基又は非置換アルキル基、および置換複素環基又は非置換複素環基から成る基から各々独立して選択され、又は、一対の置換基RおよびR、R10およびR11、並びに/又はR13およびR14は、置換環基又は非置換環基を共に形成してもよく、R、R12およびR15の各々は上記のとおり、又は存在せず、又、R〜R15の任意の基にある任意の置換基は、モノマー又はポリマー鎖を含んで成ってよく、および、Ar16〜Ar18は、置換アリール基および非置換アリール基から各々選択され、前記置換基はモノマー又はポリマー鎖を含んで成ってよい、有機エレクトロルミネッセンス・デバイス。
【請求項2】
前記化合物が式(1a)から成り、


〜Rは、同じ又は異なっていてもよく、置換アリール基又は非置換アリール基、置換複素環基又は非置換複素環基、置換アルキル基又は非置換アルキル基およびシアノから成る基から各々独立して選択され、あるいは、置換基RおよびR、RおよびR、並びに/又はRおよびRの各対は、結合された窒素原子が含まれた置換複素環基又は非置換複素環基を共に形成してもよく、および1又はそれ以上のR〜Rはモノマー又はポリマー鎖を含んで成る置換基を含んで成ってもよい、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記アリール基が単環式である、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記アリール基が多環式である、請求項2に記載のデバイス。
【請求項5】
〜Rは、置換複素環基又は非置換複素環基から各々独立して選択される、請求項2に記載のデバイス。
【請求項6】
前記複素環基がポリ複素環である、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記複素環基がカルバゾール、ピリジン、キノリン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラジン、トリアゾール、イソオキサゾール、オキサジン、チアジン、オキサゾール、イミダゾール、オキサジアゾール、フラン、チオフェン、ピロール、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾリジンから選択される、請求項5に記載のデバイス。
【請求項8】
〜Rの各々が同じである、請求項2〜7のいずれかに記載のデバイス。
【請求項9】
、RおよびRの各々が同じであり、R、RおよびRの各々が同じであるが、RがRとは異なる、請求項2〜7のいずれかに記載のデバイス。
【請求項10】
〜Rの1つが、ポリマー鎖を含んで成る置換基を含んで成る、請求項2〜7のいずれかに記載のデバイス。
【請求項11】
がポリマー鎖を含んで成る置換基を含んで成り、R〜Rが互いに同じである、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記化合物が式(1b)から成り、



同じ又は異なっていてもよいR〜R15は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ケトン基、アミド基、シアノ基、カルボキシレート基、スルホネート基、置換アリール基又は非置換アリール基、置換アルキル基又は非置換アルキル基、および置換複素環基又は非置換複素環基から成る基から各々独立して選択され、又は、一対の置換基RおよびR、R10およびR11、並びに/又はR13およびR14は、置換環基又は非置換環基を共に形成してもよく、R、R12およびR15の各々は上記のとおり、又は存在せず、および、R〜R15の任意の基にある任意の置換基は、モノマー又はポリマー鎖を含んで成ってよい、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記化合物が式(1c)から成り、



Ar16〜Ar18は、置換アリール基および非置換アリール基から各々選択され、前記置換基はモノマー又はポリマー鎖を含んで成ってよい、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記デバイスが積層有機ELデバイスである、請求項1〜13のいずれかに記載のデバイス。
【請求項15】
前記デバイスがディスプレイを有して成る、請求項1〜14のいずれかに記載のデバイス。
【請求項16】
前記デバイスが光源を有して成る、請求項1〜15のいずれかに記載のデバイス。
【請求項17】
式(1)から成る化合物であって、


がNR、CR、Ar16およびシアノから選択され、
がNR、CR101112、Ar17およびシアノから選択され、
がNR、CR131415、Ar18およびシアノから選択され、
〜Rは同じ又は異なっていてもよく、置換アリール基又は非置換アリール基、置換複素環基又は非置換複素環基、置換アルキル基又は非置換アルキル基およびシアノから成る基から各々独立して選択され、あるいは、置換基RおよびR、RおよびR、並びに/又はRおよびRの各対は、結合された窒素原子が含まれた置換複素環基又は非置換複素環基を共に形成してもよく、1又はそれ以上のR〜Rはモノマー又はポリマー鎖を含んで成る置換基を含んで成ってもよく、
同じ又は異なっていてもよいR〜R15は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ケトン基、アミド基、シアノ基、カルボキシレート基、スルホネート基、置換アリール基又は非置換アリール基、置換アルキル基又は非置換アルキル基、および置換複素環基又は非置換複素環基から成る基から各々独立して選択され、又は、一対の置換基RおよびR、R10およびR11、並びに/又はR13およびR14は、置換環基又は非置換環基を共に形成してもよく、R、R12およびR15の各々は上記のとおり、又は存在せず、又、R〜R15の任意の基にある任意の置換基は、モノマー又はポリマー鎖を含んで成ってよく、および、Ar16〜Ar18は、置換アリール基および非置換アリール基から各々選択され、前記置換基はモノマー又はポリマー鎖を含んで成ってよい、式(1)の化合物。
【請求項18】
式(1a)から成る化合物であって、


〜Rは、同じ又は異なっていてもよく、置換アリール基又は非置換アリール基、置換複素環基又は非置換複素環基、置換アルキル基又は非置換アルキル基およびシアノから成る基から各々独立して選択され、あるいは、置換基RおよびR、RおよびR、並びに/又はRおよびRの各対は、結合された窒素原子が含まれた置換複素環基又は非置換複素環基を共に形成してもよく、および1又はそれ以上のR〜Rはモノマー又はポリマー鎖を含んで成る置換基を含んで成ってもよい、式(1a)から成る化合物。
【請求項19】
式(1b)から成る化合物であって、


同じ又は異なっていてもよいR〜R15は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ケトン基、アミド基、シアノ基、カルボキシレート基、スルホネート基、置換アリール基又は非置換アリール基、置換アルキル基又は非置換アルキル基、および置換複素環基又は非置換複素環基から成る基から各々独立して選択され、又は、一対の置換基RおよびR、R10およびR11、並びに/又はR13およびR14は、置換環基又は非置換環基を共に形成してもよく、R、R12およびR15の各々は上記のとおり、又は存在せず、および、R〜R15の任意の基にある任意の置換基は、モノマー又はポリマー鎖を含んで成ってよい、式(1b)から成る化合物。
【請求項20】
式(1c)から成る化合物であって、


Ar16〜Ar18は、置換アリール基および非置換アリール基から各々選択され、前記置換基はモノマー又はポリマー鎖を含んで成ってよい、式(1c)から成る化合物。
【請求項21】
式(1)から成る化合物の使用であって、


がNR、CR、Ar16およびシアノから選択され、
がNR、CR101112、Ar17およびシアノから選択され、
がNR、CR131415、Ar18およびシアノから選択され、
〜Rは同じ又は異なっていてもよく、置換アリール基又は非置換アリール基、置換複素環基又は非置換複素環基、置換アルキル基又は非置換アルキル基およびシアノから成る基から各々独立して選択され、あるいは、置換基RおよびR、RおよびR、並びに/又はRおよびRの各対は、結合された窒素原子が含まれた置換複素環基又は非置換複素環基を共に形成してもよく、1又はそれ以上のR〜Rはモノマー又はポリマー鎖を含んで成る置換基を含んで成ってもよく、
同じ又は異なっていてもよいR〜R15は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ケトン基、アミド基、シアノ基、カルボキシレート基、スルホネート基、置換アリール基又は非置換アリール基、置換アルキル基又は非置換アルキル基、および置換複素環基又は非置換複素環基から成る基から各々独立して選択され、又は、一対の置換基RおよびR、R10およびR11、並びに/又はR13およびR14は、置換環基又は非置換環基を共に形成してもよく、R、R12およびR15の各々は上記のとおり、又は存在せず、又、R〜R15の任意の基にある任意の置換基は、モノマー又はポリマー鎖を含んで成ってよく、および、Ar16〜Ar18は、置換アリール基および非置換アリール基から各々選択され、前記置換基はモノマー又はポリマー鎖を含んで成ってよい、有機エレクトロルミネッセンス・デバイスでの式(1)から成る化合物の使用。
【請求項22】
式(1)から成る化合物の使用であって、


がNR、CR、Ar16およびシアノから選択され、
がNR、CR101112、Ar17およびシアノから選択され、
がNR、CR131415、Ar18およびシアノから選択され、
〜Rは同じ又は異なっていてもよく、置換アリール基又は非置換アリール基、置換複素環基又は非置換複素環基、置換アルキル基又は非置換アルキル基およびシアノから成る基から各々独立して選択され、あるいは、置換基RおよびR、RおよびR、並びに/又はRおよびRの各対は、結合された窒素原子が含まれた置換複素環基又は非置換複素環基を共に形成してもよく、1又はそれ以上のR〜Rはモノマー又はポリマー鎖を含んで成る置換基を含んで成ってもよく、
同じ又は異なっていてもよいR〜R15は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ケトン基、アミド基、シアノ基、カルボキシレート基、スルホネート基、置換アリール基又は非置換アリール基、置換アルキル基又は非置換アルキル基、および置換複素環基又は非置換複素環基から成る基から各々独立して選択され、又は、一対の置換基RおよびR、R10およびR11、並びに/又はR13およびR14は、置換環基又は非置換環基を共に形成してもよく、R、R12およびR15の各々は上記のとおり、又は存在せず、又、R〜R15の任意の基にある任意の置換基は、モノマー又はポリマー鎖を含んで成ってよく、および、Ar16〜Ar18は、置換アリール基および非置換アリール基から各々選択され、前記置換基はモノマー又はポリマー鎖を含んで成ってよい、正孔注入材料、正孔発生材料、正孔注入層、正孔発生層、又は正孔輸送層でのドーパントとしての式(1)から成る化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−527744(P2012−527744A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511100(P2012−511100)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【国際出願番号】PCT/AU2010/000614
【国際公開番号】WO2010/132953
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(305039998)コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガニゼイション (92)
【Fターム(参考)】