説明

ベッド

【課題】従来の発泡ポリウレタンマットに換えて、通気性、伸縮性を有するシート状体を枠体に張設するにあたり、撓みが大きくなり過ぎないように適当な張りを持たせて張設する構成を提供する。
【解決手段】ベッド1は、長方形状の枠体4に通気性、伸縮性のあるシート状体5を張設しているが、前記枠体4の左右対向片6を両手持ち状に支持する支持部3を備える構成としており、シート状体5と支持部3とのあいだに空間Sが形成されるため、該空間Sでシート状体5に人が寝てできる撓みを空間Sで許容することができる。これにより、ギャッチしたときの追従性、寝たときの通気性を共に満足させるものでありながらシート状体5に人が寝てできる撓みを許容することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気性、伸縮性を有するシート状体を枠片に張設したベッドの技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種ベッドは、衛生的であることが好ましく、医療、介護においては長時間ベッドに横たわることもあることから特に、衛生面に気を払う必要がある。
ところで従来、ベッドの枠体は前後が長く左右に短くなっており、この枠体にスプリングマットを敷設していた。ところが近年、ベッドに寝ている人の生活に合わせてベッドを背上げや膝上げのため折り曲げが可能な所謂ギャッチベッドにすることが行われている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【特許文献1】特開平9−56752号公報
【特許文献2】実開平7−31035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし前記スプリングマットは、前記折り曲げた場合の追従性が悪く、このため発泡ポリウレタンのマットを敷設して折り曲げ性に対応しようとしている。ところが発泡ポリウレタンのマットは、寝時において心地よい反発力を確保するためにはある程度の厚みが必要であり、このようにすると通気性を確保しにくく、汗がマットに篭もって湿りがちになってここに細菌が繁殖することもあり、このためマットを覆蓋するシーツ交換を頻繁に行って衛生面に配慮する必要があるといった問題がある。
【0004】
また、このものにおいて、発泡ポリウレタンマットに換えて、通気性を有するシート状体を枠体に張付けることで通気性を十分に確保することが提唱されるが、シート状体を、撓みが大きくなり過ぎないように適当な張りを持たせて張設するためには、枠体にかなりの負荷が掛かりこれをどのように支持するのか、例えばギャッチベッドに採用した場合にギャッチする構成をどのように確保するのかといった問題があり、これらに本発明が解決しようとする課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、寝る人の身長方向である前後方向に長い一対の左右の枠片に通気性および伸縮性を有するシート状体を張設したベッドであって、該ベッドは、シート状体が沈む空間を形成すると共に、左右の枠片を支持するための支持部を備えて構成したことを特徴とするベッドである。
請求項2の発明は、請求項1において、支持部は、左右の枠片を下側から両持ち状に支持する左右持ち手部で弾性支持して、ベッドに掛かる体重を受けて左右方向に弾性変形することを特徴とするベッドである。
請求項3の発明は、請求項1または2において、支持部は、V字状またはU字状に形成されていてシート状体が沈む空間を形成していることを特徴とするベッドである。
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか一つにおいて、支持部は、前後方向に間隔を存して複数備えられていることを特徴とするベッドである。
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか一つにおいて、左右の枠片は、前後方向に複数分割されたものとし、該分割された隣接同士の枠片は、互いの動きに追従するように連結されていることを特徴とするベッドである。
請求項6の発明は、請求項5において、前記左右の枠片は、寝る者の背部を受ける背部片と、臀部を受ける臀部片と、大腿部を受ける大腿部片と、膝下部を受ける膝下部片とであり、これら各部片が各別に変姿するギャッチベッドであることを特徴とするベッドである。
請求項7の発明は、請求項6において、支持部は、左右の枠片の背部片、臀部片、大腿部片、膝下部片の各部片に複数離間して備えられていることを特徴とするベッドである。
請求項8の発明は、請求項1乃至7の何れか一つにおいて、ベッドは、シート状体の張りを調節するための調節手段を備えていることを特徴とするベッドである。
請求項9の発明は、請求項8において、前記調節手段は、左右持ち手部の間隔を調整して張り調節するための間隔調節装置に構成されていることを特徴とするベッドである。
請求項10の発明は、請求項8において、前記調節手段は、左右の枠片に備えられシート状体を巻き取ってシート状体の張りを調節するための巻き調節装置に構成されていることを特徴とするベッドである。
請求項11の発明は、請求項8乃至10の何れか一つにおいて、前記調節手段を駆動するための駆動装置と、該駆動装置を制御するための駆動制御手段とが備えられていることを特徴とするベッドである。
請求項12の発明は、請求項11において、ベッドは、使用する者の体重を検知するための検知手段を備えると共に、駆動制御手段は、予め体重とシート状体の張り強さとの関係を設定した設定データを記憶するための記憶部と、該記憶部から読み出した前記設定データに前記検知手段で検知した体重を照合して得られた張り強さにシート状体を調節するための信号を駆動装置に出力するための制御部を備えて構成されていることを特徴とするベッドである。
請求項13の発明は、請求項1乃至10の何れか一つにおいて、前記シート状体は、経糸を非エラストマ性糸、緯糸をエラストマ性糸を用いて編組されたものとし、経糸がベッドに寝る者の前後方向を向き緯糸が左右方向を向くようにして張設して左右方向に伸縮するものであることを特徴とするベッドである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、人が寝たときにできるシート状体の撓みを、前記空間で許容することができる。しかも、シート状体を採用しているので、通気性の良い衛生的なベッドとすることができる。
請求項2の発明とすることにより、人が寝たときの負荷は、シート状体の伸張と、左右の持ち手部が左右方向内方に向けて弾性変形することとで分散して受けることができる。
請求項3の発明とすることにより、支持部は、容易に形成することができるものでありながら、左右方向、天地方向の弾性を有すると共に、例えば、シート状体の張りを調節をするための調節手段を取り付けるような場合に、該取り付けを容易なものとすることができる。
請求項4の発明とすることにより、左右枠片の支持を確実かつ、安定したものとすることができる。
請求項5の発明とすることにより、前記分割された一つの枠片に大きな負荷が働いたような場合、隣接する枠片は、連結されているので引っ張られて追従することになり、前記負荷を分散して一つの枠片に負荷が集中して働くことを回避することができる。
請求項6の発明とすることにより、背部、臀部、大腿部、膝下部でシート状体の張りの強さが異なるものとすることができると共に、ギャッチベッドに採用した場合に適当なギャッチをさせることが容易な枠片とすることができる。
請求項7の発明とすることにより、通気性の良いシート状体を張設したギャッチベッドとすることで、寝る時間の多い患者、被介護者等が寝るベッドとして適当なものとすることができる。
請求項8の発明とすることにより、左右枠片に張設することだけで張りの強さを設定するのではなく使用者の好みにあった張りに調節することができる。
請求項9の発明とすることにより、支持部の左右持ち手部の間隔を調整することで、左右枠片の間隔も拡縮し、シート状体の張りを調節することができるので、簡易な構成で張り調節をすることが可能になる。
請求項10の発明とすることにより、簡易にシート状体の張り調節を行うことができる。
請求項11の発明とすることにより、駆動制御手段で調節手段の駆動装置を制御することができるので、シート状体の張り調節を自動化することができる。
請求項12の発明とすることにより、検知手段で使用する者の体重を検知し、駆動制御手段で検知した体重を、設定データを照合することにより張り強さのデータが得られ、該データに基づいてシート状体の張りを自動的に調節することができる。この結果、使用者の好みに合わせた張り調節を容易な方法で自動化することができる。
請求項13の発明とすることにより、シート状体は、エラストマ性の緯糸を左右方向を伸縮するようにして張設されており、身長方向は通常のポリエステル繊維が有する伸縮性での伸縮として、シート状体が沈みすぎることのないものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1はベッドであり、該ベッド1は、後述するように基台2と、該基台2に支持受けされる支持部3と、該支持部3に支持される枠体4と、該枠体4に張設されるシート状体5とを備えて構成されている。また本実施の形態のベッド1は、就寝するための就寝姿勢と、寝ている者の起き上がり動作を助けるための背上げ姿勢とに変姿自在なギャッチベッドであり、基台2には、前記ギャッチさせるための駆動手段が設けられているが、該駆動手段は、電動モータ(図示せず)がリンク機構(図示せず)を介して枠体4をギャッチさせる公知の手段(例えば、実開平7−31035号公報、特開平9−56752号公報参照。)を適宜採用して実施されているため、詳細な説明については省略する。
【0008】
基台2は、長方形をした矩形枠状の骨部2aと、該骨部2aの寝る人の身長方向の前後方向(以下、単に前後方向とする。)に対向する片部のあいだに前記支持部3を受けるための支持受け部2bと、寝た者の落下を防止するための前記前後片部から天側に突出形成された柵部2cと、前記骨部2aの四隅に備えられるキャスター2dとを備えて構成されている。
【0009】
支持部3は、弾性を備えた素材(例えば、鉄、ステンレス、チタン等の金属が好適)を用いて寝る人の身長方向に対して左右方向(以下、単に左右方向とする。)に長尺状に形成されており、左右方向中央部にあって前記支持受け部2bに支持される左右平板状の支持片3aと、該支持片3aから左右上方向に向けて拡開状に延出する左右の持ち手部3bとによって略V字状に構成され、前記持ち手部3bの延出端部が枠体4の後述する左右枠片6にそれぞれ固着されている。
【0010】
9は前記左右持ち手部3bのあいだの間隔を変化させてシート状体5の張力を調節するための間隔調節装置であって、該間隔調節装置9は、高さ調整自在に支持片3aの天側に突出して備えられる突出部10、該突出部10と左右の持ち手部3bとのあいだに突っ張り状に設けられ両端を突出部10と持ち手部3bとに軸支された左右のリンク部11とを備えて構成され、突出部10の高さを適宜変更することでリンク部11が左右の持ち手部3bのあいだの間隔を拡縮させることができる。本実施の形態の突出部10は、支持片3aの天側から貫通させたボルト10aを床側からナット10bで受けて螺合する構成になっており、この螺合を調節することにより前記高さ調整ができるようになっている。尚、間隔調節装置9は、本発明の調節手段を構成しており、図示しない電動モータ等の駆動装置でボルト10aまたはナット10bを回動させて突出部10の高さを調整することができるよう設定している。
【0011】
12は支持片3aの床側に突出したボルト10aとナット10bを保護するための保護部材であって、該保護部材12は、支持部3が支持受け部2bに支持受けされるにあたり、支持受け部2bに形成された穴部2eに挿入されることになるが、この挿入された姿勢で穴部2eが露出することを防止するため支持片3aと保護部材12とのあいだに穴部2eを覆蓋する覆蓋部13が設けられている。
【0012】
枠体4は、前後方向に長く、左右方向に短い長方形状をしており、前後方向に対向する前後枠片7と、左右方向に互いに対向する前記左右枠片6とを備えている。左右の枠片6は、前後方向に長い一対からなり、左右方向に移動可能に備えられている。
前記左右枠片6は、寝る者の背部を受ける背部片6aと、臀部を受ける臀部片6bと、大腿部を受ける大腿部片6cと、膝下部を受ける膝下部片6dとを有し前後方向に複数分割して形成されていると共に、前記部片6a、6b、6c、6dの隣接片同士のあいだには、該隣接片同士を互いの動きに追従すべく連結するための連結部8が形成されている。このため、例えば、臀部片6bに腰を下してベッド1に入る場合、臀部片6bは、該臀部片6bのあいだに備えた支持部3の付勢力を受けるだけでなく、隣の背部片6a、大腿部片6cを引っ張ることでこれらのあいだの支持部3の前記引っ張りに対する反発力も受けることができて負荷が一部だけに掛かることを防止している。因みに、本実施の形態の連結部8は、蝶番であるが、該蝶番に限られることが無いのはもちろんであり、例えば、前記隣り合う片の対向端部を齟齬状に突き合せ、これらの突き合せた両端部に支軸を貫通させる構成や、隣り合う片のあいだにゴム等の弾性部材を備える構成としても良い。さらに、連結部8として、前記蝶番に換えて、ボールジョイントや自在継ぎ手等の三次元屈曲させるものとすることで、部片6a、6b、6c、6d同士を多自由度的に連結することができる。
【0013】
また背部片6a、臀部片6b、腿部片6c、膝下部片6dの各左右部片のあいだには、それぞれ間隔調節装置9を備えた支持部3が備えられることにより、左右枠片6のあいだを拡縮することができるようになっている。因みに、前後枠片7は、隣接する背部枠片6a、膝下部枠片6dに連結された構成とすることができるが、この場合、左右枠片6のあいだが拡縮されることに追従するため、長さ方向に伸縮自在な構成にする必要があり、該拡縮するための機構としては、入り子継ぎ手機構や雄雌嵌合方式等が考えられる。
【0014】
また、シート状体5は、通気性、伸縮性を有する素材からなり、織って形成したもの、編組して形成したもの(網を含む)等であるが、本実施の形態のシート状体5は、経糸5aと緯糸5bとを編組して形成されており、前記経糸5aは伸縮性が少ない非エラストマ性のポリエステル糸からなる一方、緯糸5bはエラストマ性のポリエステル糸からなっている。ここでエラストマ性のポリエステル糸としては低反発弾性を有した糸が採用され、このようなシート状体5とすることで、該シート状体5は、緯方向には低反発弾性を備えた伸縮性を有するが、経方向には伸縮性が少ない特性を有している。本実施の形態では、このようなシート状体5としてダイヤフローラ(登録商標、東洋紡株式会社製)を使用している。因みに、シート状体5は、経緯と緯糸ともエラストマ性のポリエステル糸であってもよく、さらにはこれら経緯糸が傾斜する状態で張設することもできる。
【0015】
そしてシート状体5は、経糸5aが前後方向を向き緯糸5bが左右方向を向くようにし前後方向に伸縮性が少ないものとしつつ左右方向に伸縮性を持たせて左右枠片6に張設される。このとき、張設によるシート状体5の張力が支持部3に掛かることになるが、左右の持ち手部3bを間隔調節装置9が突っ張って固定させることで左右片6の間隔を維持しシート状体5に適当な張りを持たせることができる。また、間隔調節装置9で左右持ち手部3bの間隔を拡縮してシート状体5の張りを適宜調節することができる。
【0016】
また、支持部3は、持ち手部3bが前記V字状に形成されているので、シート状体5とのあいだに空間Sが形成され、この結果、人が寝てシート状体5が撓んでも支持部3やその他の部材に接触することが無いように配慮されている。
【0017】
ベッド1をギャッチさせるにあたり、臀部片6bのあいだに備えられた支持部3を支持受け部2bに固定しその他の支持部3を離接可能なものとしている。因みに、ギャッチさせるための前記リンク機構を背部片6aのあいだに備えた支持部3と、大腿部片6cまたは膝下部片6dのあいだの支持部3とに取り付けて起伏させることで背上げ、膝上げをする構成とすることができる。
【0018】
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、ベッド1は、枠体4に通気性、伸縮性のあるシート状体5を張設しているが、枠体4の対向片を両手持ち状に支持する支持部3を有しており、シート状体5と支持部3とのあいだに空間Sが形成されるため、ギャッチしたときの追従性、寝たときの通気性を共に満足させるものでありながらシート状体5に人が寝てできる撓みを空間Sで許容することができる。
【0019】
さらに、支持部3は、左右枠片6にシート状体5を緊張状に張設することにより働く左右方向内方に向く負荷を、左右の持ち手部3bが左右方向内方に弾性変形しようとする付勢力で受けることになるが、左右持ち手部の付勢力は、さらにシート状体5に人が寝たときの負荷、人が左右枠片6の何れか一方に腰掛けたときの負荷も受けることになる。この場合に、人が寝たときの負荷は、シート状体5の伸長と、左右の持ち手部3bが左右方向内方に向けて弾性変形することとで分散して受けることになるが、左右枠片6の何れか一方に腰掛けた場合、該腰掛けた側の持ち手部3bの左右方向外方に沈む状態の弾性変形と、これに引っ張られてシート状体5が左右方向に伸長することと、該伸長したシート状体5を介して反対側の持ち手部3bが左右方向内方に持ち上がる弾性変形とで分散して受けることになるため、底着き感が緩和された寝心地、座り心地の良いものとなる。
【0020】
しかも、左右枠片6は、ギャッチベッドとするため、背部片6aと、臀部片6bと、大腿部片6cと、膝下部片6dとに分割しているが、これらのうち隣り合う片同士が連結部8で連結しているため、例えば臀部片6bに腰掛けた場合のように一つの片(臀部片6b)に大きな負荷が働いたような場合、隣接する片(背部片6a、大腿部片6c)は連結部8で折れ曲がる状態になりながら、引っ張られて追従することになり、この結果、該追従した隣接片(背部片6a、大腿部片6c)を支持する支持部3およびシート状体5が前記弾性変形することになってこれを受けるため分散されることになって、腰掛けた片(臀部片6b)に負荷が集中して働いて大きく沈んでしまうことを回避できる。
【0021】
さらに、間隔調節装置9は、突出部10の高さ調整をすることにより左右の枠片6のあいだを拡縮させてシート状体5の張りを調節することができる。この結果、シート状体5の張り調節を、寝る人の体重や、好みに合わせた張り状態の張設を簡単に行うことができる。しかもこの場合、各支持部3において間隔調節装置9を張設できるので、例えば背部片6aは張りを強くし、臀部片6bは張りを弱くする等の部分的な張り張設が使用者の好みや、使用者の状況(病状)判断をする医師や介護者の指導等によって自由にできることになる。
【0022】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されるものでないことは勿論であり、例えば図5に示される第二の実施の形態のようにしても実施することができる。このものにおいて、前記第一の実施の形態と同様のものについては同じ引出し符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0023】
本第二の実施の形態のベッド14は、シート状体5を巻き取り、巻き出しを行うことで張りを調節することができる巻き調節装置15を設けた点、各部片6a、6b、6c、6dそれぞれに二つの離間した支持部3を設けた点が第一の実施の形態のベッド1と異なる。
【0024】
前記巻き調節装置15は、本発明の調節手段を構成するものであって、シート状体5の左右方向の端部を取り付けた回転軸15aを図示しない電動モータ等の駆動手段で回転させるが、本実施の形態では、背部片6aおよび膝下部片6dに取り付けられており、このため、ベッド14を就寝姿勢にしたときは寝心地を考慮して多少撓むように張りを調節しておき、ベッド14を背上げ姿勢にしたときは、背部および膝下部のシート状体5を確り張ることで寝者の上半身が沈まないように確り起こし、ベッド14から出る時に足を突く部分の張りを強めることができる。また、本実施の形態の巻き調節装置15は、枠体の対向片の両片に一対として取り付けられており、これらが互いに逆回転して同時に巻き上げ(巻き出し)を行うことができるようになっている。
【0025】
また、各部片6a、6b、6c、6dのそれぞれの対向間に支持部3を離間させて二つ備えられており、各部片6a、6b、6c、6dの端側に負荷が掛かっても必要以上に傾くことを避けることができるため、枠体4を安定させることができる。
【0026】
例えば、図8、9に示される第三の実施の形態のようにしても実施することができる。本実施形態のベッド16は、寝る人の体重に合わせてシート状体5の張りを自動的に調節することができるものである。
該自動的な調節としては、例えば、使用者の体重を検知するための検知手段18と、間隔調節装置9の高さ調整を行う前記駆動装置の駆動を制御するための駆動制御手段17とによって行うことができ、以下に説明を詳細する。
【0027】
本実施の形態の検知手段18は、ひずみゲージからなり、体重を持ち手部3bのひずみとして検知するが、後述する体重の演算を正確に行うため、検知手段18を全ての支持部3の左右の持ち手部3bに備えられている。尚、検知手段18は、基台2に掛かる負荷を検知し使用者が乗る前後の誤差を検知したり、支持部3に掛かる負荷を測定するためのロードセルであってもよい。
【0028】
駆動制御手段17は、パーソナルコンピュータの中央処理装置(CPU)等であって、前記検知手段18の検知結果を演算するための演算部17aと、各種データを記憶するための記憶部17bと、前記調節手段の張りを調節を実行させるための制御部17cとを備えて構成されている。
【0029】
演算部17aは、前記検知手段18で検知したひずみ量を基に体重を演算することができるようになっている。
【0030】
記憶部17bは、情報を読み書き自在に記憶することができる例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)であって、体重に応じた好ましいシート状体5の張り強さを設定した設定データや、現在設定されているのシート状体5の張り強さ(以下、単に「現設定データ」とする。)等の情報を記憶することができるようになっている。因みに、記憶部17bは、前記設定データを、各部片6a、6b、6c、6dごとに適当な張り強さに設定して体圧分散を行うことができるよう設定することもでき、また、前記設定データを予め複数パターン(例えば、背部を強めに張る、全体を強めに張る、臀部を弱めに張る等)記憶させその中から寝る人の好みに合わせて適宜選択することができるようにすることができる。
【0031】
制御部17cは、前記演算部17aで演算した体重データを、記憶部17bに記憶されている前記設定データに照合して前記体重に対応した張り強さを得るが、該張り強さに対応した調節をするための信号を間隔調節装置9の駆動装置に出力する。
【0032】
20は適宜作成した前記体重を、駆動制御手段17に入力し記憶部17bに記憶させるための体重入力スイッチであり、また21はシート状体5を微調節するための微調節スイッチであって、これらは、キーボード、CDドライブ等からなっている。因みに、微調節スイッチ21は、駆動制御手段17に各間隔調節装置9を適宜調節するための指令を出力することで好みの設定ができるようになっている。
そして、本実施の形態の駆動制御手段17の制御手順の一例を図9のフローチャート図に基づいて説明する。
【0033】
まず、ベッド16に人が乗ったか否かが判断される(ステップS1)が、該判断で「NO」、つまり人がベッド16に乗っていないと判断された場合、「YES」の判断がなされるまでステップ1を繰り返し判断することになる。因みに、ベッド16に人が乗ったか否かの判断は、検知手段18が反応したか否かで判断することができる。
【0034】
次いで、ステップS1で「YES」の判断がなされると、制御部17cは、ベッド16に乗った人の体重を、検知手段18の検知を経て演算部17aで演算するが、この後、前記体重を記憶部17bに記憶する(ステップS2)。
次いで、前記体重が、前回検知した体重(前記ステップ2で検知した体重を今回検知した体重とした場合の前回の体重)と同じであるか否かが判断され(ステップ3)該判断が「YES」、つまり今回検知した体重と、前回検知した体重とが同じであると判断された場合、制御部17cは、現設定データに基づく信号を出力して張り調節し(ステップ4)、微調節スイッチ21による微調節の指令がなされたか否かが判断されることになる(ステップ5)。これに対して「NO」、つまり前回検知した体重と異なる体重であると判断された場合、制御部17cは、前記演算して得られた体重を、記憶部17bから読み出した設定データに照合して前記体重に対応した張り強さを得た後、該張り強さにシート状体5を調節するための信号を間隔調節装置9の駆動装置に出力して張り調節を行う(ステップ6)が、該調節した張りの強さの情報を現設定データとして記憶部17bに記憶(ステップ7)した後、前記ステップ5で微調節するための指令がなされたかを判断することになっている。
そして、前記ステップ5で「YES」、つまり微調節の指令がなされたと判断した場合、前記指令に基いて張り調節する(ステップ8)が、微調節されたシート状体5の張りの強さの情報は、記憶部17bの現設定データを書き換えて記憶する(ステップ7)。
【0035】
これに対して、ステップ7で「NO」、微調節の指令が無いと判断された場合、続いて使用者がベッドから降りたか否かの判断がなされる(ステップ9)。該判断で「NO」、つまりベッド16から降りていないと判断した場合、ステップ5に戻って微調整指令がなされたか否か判断され以降、「YES」、つまりベッド16から降りたと判断されるまでこの工程を繰り返すことになるが、「YES」の判断がなされた場合、制御部17cは、前記駆動装置にシート状体5の張りを緩める指令を出力し、左右枠片6、支持部3への負担を軽減することができるようになっており(ステップ10)、次いでステップ1に戻ってベッド16に人が乗ったか否かの判断がなされることになる。このため、前記張りを緩めた状態は、ステップ1で人が乗ったと判断された後ステップ4に至るまで続くことになる。尚、ベッド16から降りたか否かの判断は、前記検知手段18の検知により行うことができる。
【0036】
尚、本実施の形態では、使用者の体重を検知して求めることとしたが、体重入力スイッチ20で体重を直接入力することもできこの場合には、検知手段18で検知を行うことなく制御部17cの照合を行うことができる。
また、本実施の形態では、使用する者の体重を検知してシート状体5の張りを自動的に調節することとしたが、各部片6a、6b、6c、6dごとに掛かる負荷を検知して張り調節を行うものとすることができ、例えば、検知の結果、部片によって負荷に強弱があると判断された場合、各部片6a、6b、6c、6dに均一の負荷が掛かるように張りを調節することで効率的な体圧分散を行うことができる。
さらに、本実施の形態では、調節手段を間隔調節装置9とした場合について説明したが、駆動制御手段17から巻き調節装置15に信号を出力して張りを調節することも勿論できる。
【0037】
ところで、第一、第二の実施の形態のベッド1、ベッド16に採用した例えば、シート状体5を張設した枠体4を支持部3で支持したり、シート状体5の張り調節をするための技術を、いす等に応用することができる。
【0038】
また、第一、第二の実施の形態の支持部3は、持ち手部3bを弾性変形させる構成としていたが、図10、11に示すように、支持部23を支持片23aと左右持ち手部23bとに分割し該左右持ち手部23bを支持片23aに揺動自在に軸部24で軸支すると共に、左右持ち手部23bを所定の位置に位置させるように付勢するための後述する弾性部材を備えることにより、左右持ち手部23bを非弾性とした場合であっても支持部23で左右枠片6を弾性支持することができる。
【0039】
図10に示す支持部23は、前記弾性部材に相当するひねり弾機25を軸部24に巻きつけ状に備え一端を支持片23aに固定し他端を左右持ち手部23bに固定したものである。
また、図11(A)に示す支持部23は、左右の持ち手部23bのあいだに左右持ち手部23bを左右方向外方に付勢するための前記弾性部材に相当するコイル弾機26を備えて構成したものである。
さらに、図11(B)に示す支持部23は、左右持ち手部23bを左右方向外方に引っ張るための前記弾性部材に相当するコイル弾機27を持ち手部23bと骨部2aとのあいだに備えたものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】ベッドの斜視図である。
【図2】(A)、(B)はそれぞれベッドの側面図、図2(A)のX−X端面図である。
【図3】(A)、(B)はそれぞれベッドの平面図、底面図である。
【図4】(A)、(B)はそれぞれベッドを背上げ姿勢にしたベッドの斜視図、背上げ姿勢のベッドの側面図である。
【図5】(A)、(B)はそれぞれ第二の実施の形態の就寝姿勢のベッドの斜視図、背上げ姿勢のベッドの斜視図である。
【図6】(A)、(B)はそれぞれ第二の実施の形態の就寝姿勢のベッドの側面図、背上げ姿勢のベッドの側面図である。
【図7】図6(A)のY−Y端面図である。
【図8】第三の実施の形態のブロック図である。
【図9】第三の実施の形態のフローチャート図である。
【図10】(A)は他例における要部端面図、(B)は(A)の一部拡大図、(C)は(B)のZ矢視図である。
【図11】(A)、(B)はそれぞれ別の他例における要部端面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 ベッド
2 基台
3 支持部
3a 支持片
3b 持ち手部
4 枠体
5 シート状体
5a 経緯
5b 緯糸
6 左右枠片
6a 背部片
6b 臀部片
6c 大腿部片
6d 膝下部片
7 前後枠片
8 連結部
9 間隔調節装置
14 ベッド
15 巻き調節装置
16 ベッド
17 駆動制御手段
18 検知手段
17a 演算部
17b 記憶部
17c 制御部
S 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝る人の身長方向である前後方向に長い一対の左右の枠片に通気性および伸縮性を有するシート状体を張設したベッドであって、
該ベッドは、シート状体が沈む空間を形成すると共に、左右の枠片を支持するための支持部を備えて構成したことを特徴とするベッド。
【請求項2】
請求項1において、支持部は、左右の枠片を下側から両持ち状に支持する左右持ち手部で弾性支持して、ベッドに掛かる体重を受けて左右方向に弾性変形することを特徴とするベッド。
【請求項3】
請求項1または2において、支持部は、V字状またはU字状に形成されていてシート状体が沈む空間を形成していることを特徴とするベッド。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一つにおいて、支持部は、前後方向に間隔を存して複数備えられていることを特徴とするベッド。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一つにおいて、左右の枠片は、前後方向に複数分割されたものとし、該分割された隣接同士の枠片は、互いの動きに追従するように連結されていることを特徴とするベッド。
【請求項6】
請求項5において、前記左右の枠片は、寝る者の背部を受ける背部片と、臀部を受ける臀部片と、大腿部を受ける大腿部片と、膝下部を受ける膝下部片とであり、これら各部片が各別に変姿するギャッチベッドであることを特徴とするベッド。
【請求項7】
請求項6において、支持部は、左右の枠片の背部片、臀部片、大腿部片、膝下部片の各部片に複数離間して備えられていることを特徴とするベッド。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一つにおいて、ベッドは、シート状体の張りを調節するための調節手段を備えていることを特徴とするベッド。
【請求項9】
請求項8において、前記調節手段は、左右持ち手部の間隔を調整して張り調節するための間隔調節装置に構成されていることを特徴とするベッド。
【請求項10】
請求項8において、前記調節手段は、左右の枠片に備えられシート状体を巻き取ってシート状体の張りを調節するための巻き調節装置に構成されていることを特徴とするベッド。
【請求項11】
請求項8乃至10の何れか一つにおいて、前記調節手段を駆動するための駆動装置と、該駆動装置を制御するための駆動制御手段とが備えられていることを特徴とするベッド。
【請求項12】
請求項11において、ベッドは、使用する者の体重を検知するための検知手段を備えると共に、
駆動制御手段は、予め体重とシート状体の張り強さとの関係を設定した設定データを記憶するための記憶部と、
該記憶部から読み出した前記設定データに前記検知手段で検知した体重を照合して得られた張り強さにシート状体を調節するための信号を駆動装置に出力するための制御部を備えて構成されていることを特徴とするベッド。
【請求項13】
請求項1乃至10の何れか一つにおいて、前記シート状体は、経糸を非エラストマ性糸、緯糸をエラストマ性糸を用いて編組されたものとし、経糸がベッドに寝る者の前後方向を向き緯糸が左右方向を向くようにして張設して左右方向に伸縮するものであることを特徴とするベッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−113767(P2008−113767A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−298236(P2006−298236)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(591102958)株式会社バイオ技研 (1)
【Fターム(参考)】