説明

ベルトユニット、画像読取装置及び画像形成装置。

【課題】本発明の課題は、簡易な構成でベルトのねじれを防止できるベルトユニットと、このベルトユニットを備えた画像読取装置及び画像形成装置を得ることを目的とする。
【解決手段】本発明に係るベルトユニット75は、駆動ローラ77と、従動ローラ79と、駆動ローラ77及び従動ローラ79に巻き掛けられた無端状のベルト81とを備え、駆動ローラ77は、ベルト81の幅方向全域に亘って設けた1つの駆動軸85と、駆動軸85と同軸に配置した一方及び他方の(複数の)ローラ部83а、83bとを有し、少なくとも1つのローラ部はベルト81の駆動方向にのみ駆動軸85と一体に回転するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿又は記録媒体を搬送するベルトユニットと、このベルトユニットにより原稿を搬送しつつ画像を読取る画像読取装置と、この画像読取装置を備えた画像形成装置と、このベルトユニットにより記録媒体を搬送しつつ画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示す従来技術では、駆動ローラ及び従動ローラに無端のベルトを巻き掛けたベルトユニットが開示されている。このベルトユニットの駆動ローラは、同軸線に配置した2本の駆動軸をワンウェイクラッチを介して連結して、各駆動軸にローラ部を固定した構成になっている。これにより、各駆動軸に固定したローラ部とベルトとの間に作用する摩擦力のばらつき等に起因するベルトのねじれを防止している。
【0003】
【特許文献1】特開平6−321381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、2つの駆動軸をワンウェイクラッチを介して組み付けているので構成が複雑である。
【0005】
そこで、本発明は、簡易な構成でベルトのねじれを防止できるベルトユニットと、このベルトユニットを備えた画像読取装置及び画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、駆動ローラと、従動ローラと、駆動ローラ及び従動ローラに巻き掛けられた無端状のベルトとを備え、駆動ローラは、ベルトの幅方向全域に亘って設けた1つの駆動軸と、駆動軸と同軸に配置した複数のローラ部とを有し、少なくとも1つのローラ部はベルトの駆動方向にのみ駆動軸と一体に回転することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、少なくとも1つのローラ部は駆動軸に固定されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載のベルトユニットを備え、このベルトユニットにより原稿を搬送しつつ画像を読取ることを特徴とする画像読取装置である。
【0009】
請求項4に記載された発明は、請求項3に記載の画像読取装置を備え、この画像読取装置で読取った画像を記録媒体に形成することを特徴とする画像形成装置である。
【0010】
請求項5に記載された発明は、請求項1又は2に記載のベルトユニットを備え、このベルトユニットにより記録媒体を搬送しつつ画像を形成することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、1つの駆動軸に配置した複数のローラ部の少なくとも1つをベルトの駆動方向にのみ駆動軸と一体に回転するように設ける簡易な構成で、ベルトと各ローラ部との間に作用する摩擦力のばらつき等によりベルトに偏った張力が発生しても、少なくとも1つのローラ部が駆動軸に対してベルトの駆動方向に回転するので、ベルトのねじれを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、添付図面を参照して、本発明の第1実施の形態を詳細に説明する。尚、図1は本実施の形態に係るベルトユニットの駆動ローラを抜き出して示す横断面図であり、図2(a)は本実施の形態に係るベルトユニットの平面図であり、図2(b)は本実施の形態に係るベルトユニットの縦断面図であり、図3は本実施の形態に係る画像形成装置の制御の構成を示すブロック図であり、図4は本実施の形態に係る画像形成装置の概略的構成を示す縦断面図である。
【0013】
本実施の形態に係る自動原稿搬送装置(画像読取装置)70は、図4に示すように、画像形成装置71の上部に搭載されており、原稿束をセットする原稿セット部Aと、セットされた原稿束Sから1枚毎原稿を分離して給送する分離給送部(給紙装置)Bと、給送された原稿を一次突き当て整合する働きと整合後の原稿を引き出し搬送する働きのレジスト部Cと、搬送される原稿をターンさせて、原稿面を読取り側(下方)に向けて搬送するターン部Dと、原稿の表面画像を読取りガラス(コンタクトガラス)21の下方より読取る第1読取り搬送部Eと、表面画像読取り後の原稿の裏面画像を読取る第2読取り搬送部Fと、表裏の読取りが完了した原稿の機外排出を行う排紙部Gと、読取り完了後の原稿を積載保持するスタック部Hと、これら搬送動作の駆動を行うピックアップモータ101(図3参照)、給紙モータ102、読取りモータ103、排紙モータ104、底板上昇モータ105と、これらの一連の動作を制御するコントローラ100とを備えている。
【0014】
画像形成装置71は、複写機であり、原稿の画像を読取る画像読取り部と、画像読取り部が読取った原稿の画像を用紙(記録媒体)に形成する画像形成部と、画像形成部に用紙を供給する給紙部と、画像形成部が画像形成した用紙を排出する排紙部とを備えている。
【0015】
原稿セット部Aは、原稿束Sが載置される原稿テーブル2と、原稿テーブル2に原稿が載置されたことを検知する原稿セットフィラー4及び原稿セットセンサ5と、原稿セットテーブル1に載置された原稿のサイズを検知する原稿長さ検知センサ30、31とを有している。原稿長さ検知センサとしては、反射型センサ又は原稿1枚にても検知可能なアクチェーター・タイプのセンサが用いられており、これにより原稿の搬送方向長さの概略が判定される。原稿テーブル2は可動原稿テーブル3を有しており、可動原稿テーブル3は底板上昇モータ105により図に示すa、b方向に上下動可能な構成になっていて、原稿がセットされたことを原稿セットフィラー4、原稿セットセンサ5により検知すると底板上昇モータ105を正転させて原稿束の最上面がピックアップローラ7と接触するように可動原稿テーブル3を上昇させる。
【0016】
分離給送部Bは、原稿束Sの原稿を呼び出すピックアップローラ(呼出部材)7と、呼び出された原稿を搬送路に向けて1枚ずつ分離して搬送する分離ローラ10及び給紙ベルト9とを有している。ピックアップローラ7は、ピックアップモータ101によりカム機構で図に示すc、d方向に動作すると共に、可動原稿テーブル3が上昇し可動テーブル3上の原稿上面により押されてc方向に上がり原稿テーブル上昇検知センサ8により上限を検知可能となっている。給紙ベルト9は給紙モータ102の正転により給紙方向に駆動され、リバースローラ10は給紙モータ102の正転により給紙と逆方向に回転駆動され、最上位の原稿とその下の原稿を分離して、最上位の原稿のみを給紙できる構成となっている。
【0017】
レジスト部Cは、分離給送部Bから搬送された原稿をターン部Dに向けて搬送するプルアウトローラ12と、このプルアウトローラ12に向けて搬送される原稿を検知する突き当てセンサ11と、プルアウトローラ12から搬送されてきた原稿の幅方向の長さを検知する原稿幅センサ13とを有している。原稿幅センサ13は奥行き方向に複数個並べられ、プルアウトローラ12により搬送された原稿の搬送方向に直交する幅方向のサイズを検知する。また、原稿の搬送方向の長さは原稿の先端後端を突き当てセンサ11で読取ることによりモータパルスから原稿の長さを検知する。
【0018】
ターン部Dは、中間ローラ14と、中間ローラ14の下流側に設けた読取り入口センサ15と、レジスト部Cから搬送された原稿を読取りガラス21の読取り位置20に向けて搬送する第1読取り入口ローラ16と、第1読取り入口ローラ16により搬送される原稿を検知するレジストセンサ17とを有している。
【0019】
第1読取り搬送部Eは、原稿の表面画像を読取る読取りガラス21が設けられた第1読取り部19と、原稿を読取りガラス21に接触させつつ搬送するベルトユニット75と、第1読取り入口ローラ16から搬送された原稿を読取りガラス21と白色背景板との間に案内する読取り入口ガイド18と、読取り位置20を通過した原稿を第2読取り搬送部Fに向けて搬送する第1読取り出口ローラ23と、第1読取り出口ローラ23を通過した原稿を検知する排紙センサ24とを有している。
【0020】
ベルトユニット75は、図2に示すように、駆動ローラ77と、従動ローラ79と、駆動ローラ77及び従動ローラ79に巻き掛けられた無端状の読取りベルト81とを備えている。読取りベルト81の内側には、読取りベルト81の内周を読取りガラス21側に押さえる押さえローラ80が配置されている。
【0021】
駆動ローラ77は、一方及び他方の(複数の)ローラ部83а、83bを、読取りベルト81の幅方向全域に亘って設けた1つの駆動軸85に支持したものである。駆動軸85の一端には、プーリ87が固定されており、プーリ87に巻き掛けられたタイミングベルト89により、読取りモータ103の駆動力が伝達されるようになっている。尚、駆動軸85と、従動ローラ79の軸は支持部材により支持されている。
【0022】
一方及び他方のローラ部83а、83bは略同幅であり、これらを合わせて読取りベルト81の幅方向全域に亘って設けられている。
【0023】
図1に示すように、一方及び他方のローラ部(少なくとも1つのローラ部)83а、83bは駆動軸85とワンウェイクラッチ91а、91bを介して連結されており、一方及び他方のローラ部83а、83bは読取りベルト81の駆動方向(図1の矢印P方向)にのみ駆動軸85と一体に回転するようになっている。即ち、一方及び他方のローラ部83а、83bは駆動軸85に対して読み取りベルト81の駆動方向にのみ回転可能になっている。
【0024】
第2読取り搬送部Fは、図4に示すように、原稿の裏面画像を読取る第2読取り部25と、原稿の浮きを抑えつつ原稿を搬送する第2読取りローラ26と、第1読取り出口ローラ23により搬送された原稿を排紙部Gに搬送する第2読取り出口ローラ27とを有している。
【0025】
排紙部Gは、表裏の画像読取りを終了した原稿をスタック部Hに排出する排紙ローラ28を有している。
【0026】
また図3に示すように、コントローラ100はI/F(インターフェイス)107を介して自動原稿搬送装置70の制御を行う画像形成装置71の本体制御部111と相互通信可能に設けられている。このコントローラ100の入力側には、上述したレジストセンサ17、原稿セットセンサ5、排紙センサ24、突き当てセンサ11、読取り入口センサ15、原稿テーブル上昇センサ8、底板ホームポジションセンサ6、原稿長さセンサ30、31が接続されている。また、コントローラ100の出力側には、ピックアップモータ101、給紙モータ102、読取りモータ103、排紙モータ104、底板上昇モータ105と、第2読取り搬送部25とが接続されている。第2読取り搬送部25の画像データは本体制御部111に送信されるようになっている。
【0027】
本実施の形態に係る自動原稿搬送装置70の動作を説明する。画像形成装置本体73の操作部108において給紙ボタンが押されて、本体制御部111からI/F107を介してコントローラ100に原稿給紙信号が送信されると、ピックアップローラ7は給紙モータ102の正転により回転駆動されて、原稿テーブル2上の数枚(理想的には1枚)の原稿をピックアップする。給紙ベルト9とリバースローラ10との作用により1枚に分離された原稿は給紙ベルト9によって更に送られ、突き当てセンサ11によって先端が検知され更に進んで停止しているプルアウトローラ12に突き当たる、その後突き当てセンサ11の検知から所定量定められた距離送られ、結果的には、プルアウトローラ12に所定量撓みを持って押し当てられた状態で給紙モータ102を停止させることにより、給紙ベルト9の駆動が停止する。この時、ピックアップモータ101を回転させることでピックアップローラ7を原稿上面から退避させ原稿を給紙ベルト9の搬送力のみで送ることにより、原稿先端は、プルアウトローラ12の上下ローラ対のニップに進入し、先端の整合(スキュー補正)が行われる。
【0028】
プルアウトローラ12及び中間ローラ14の駆動によりレジスト部Cからターン部Dに原稿が搬送される際には、レジスト部Cでの搬送速度を第1読取り搬送部Eでの搬送速度よりも高速に設定して原稿を第1読取り部19へ送り込む処理時間の短縮が図られている。
【0029】
原稿先端が読取り入口センサ15により検出されると、第1読取り入口ローラ16の上下ローラ対のニップに原稿先端が進入前に、原稿搬送速度を読取り搬送速度と同速にするために減速を開始すると同時に、読取りモータ103を正転駆動して、ベルトユニット75、第1読取り入口ローラ16、第1読取り出口ローラ23、第2読取り出口ローラ27を駆動する。原稿の先端をレジストセンサ17にて検知すると、所定の搬送距離をかけて減速し、読取り位置20の手前で一時停止すると共に、本体制御部111にI/F107を介してレジスト停止信号を送信する。続いて本体制御部111より読取り開始信号を受信すると、レジスト停止していた原稿は、読取り位置20に原稿先端が到達するまでに所定の搬送速度に立ち上がるように増速されて搬送される。読取りモータ103のパルスカウントにより検出された原稿先端が第1読取り部19に到達するタイミングで、本体制御部111に対して第1面の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号が、第1読取り部19を原稿後端が抜けるまで送信される。
【0030】
読取りモータ103が駆動されると、ベルトユニット75の駆動軸85に図1の矢印P方向に向く駆動力が伝達され、これと同時にワンウェイクラッチ91а、91bが繋がって一方及び他方のローラ部83а、83bは駆動軸85と一体に矢印Pの方向に回転する。そして、一方及び他方のローラ部83а、83bと読取りベルト81との間に作用する摩擦力により読取りベルト81が矢印P方向に循環移動する。
【0031】
一般に、駆動ローラと従動ローラとに幅広の無端ベルトを巻き掛けたベルトユニットにおいては、駆動ローラとベルトの内周との間に作用する摩擦力の部分差により、またベルトの周長が部分的に異なることにより、ベルトに偏った張力が加わり、ベルトにねじれが生じることがある。ベルトにねじれが生じたままベルトを駆動すると、ベルトにシワが発生したり、ベルトが蛇行したり、ベルトが伸びたりする等の問題が生じる。そして、この問題は、自動原稿搬送装置においては、搬送される原稿にスキューが生じて読取り画像が乱れたり、搬送路内で原稿がジャムになったりする原因になる。
【0032】
そこで、本実施の形態について考察する。例えば、一方のローラ部83аと読取りベルト81との間に作用する摩擦力が他方のローラ部83bと読取りベルト81との間に作用する摩擦力よりも大きい場合には、読取りベルト81における一方のローラ部83а側が他方のローラ部83b側に対して先行するようになり、読取りベルト81をねじろうとする張力(他方のローラ部83bを図1の矢印P方向に回転させようとする力)が発生する。
【0033】
この状態のまま、読取りベルト81を駆動し続けると、他方のローラ部83bを矢印P方向に回転させようとする力が増大して、ワンウェイクラッチ91bが切れる。これにより、他方のローラ部83bが駆動軸85に対して矢印P方向に回転して、読取りベルト81の他方のローラ部83b側が、先行する一方のローラ部83а側に追いつくため、読取りベルト81のねじれが防止される。その後、ワンウェイクラッチ91bが再び繋がって、他方のローラ部83bに駆動力が伝達される。
【0034】
また、他方のローラ部83bと読取りベルト81との間に作用する摩擦力が一方のローラ部83аと読取りベルト81との間に作用する摩擦力よりも大きい場合には、読取りベルト81における他方のローラ部83b側が一方のローラ部83а側に対して先行するようになるが、この場合も上記と同様な考察結果が得られる。
【0035】
表面のみの原稿読取りの場合には、第1読取り部19を通過した原稿は第2読取り部25を経て排紙部Gへ搬送される。この際、排紙センサ24により原稿の先端を検知すると、排紙モータ104を正転駆動して排紙ローラ28を反時計方向に回転させる。また、排紙センサ24による原稿の先端検知からの排紙モータパルスカウントにより、原稿後端が排紙ローラ28の上下ローラ対のニップから抜ける直前に排紙モータ駆動速度を減速させて、排紙トレイ29上に排出される原稿が飛び出さないように制御される。
【0036】
両面原稿読取りの場合には、排紙センサ24にて原稿先端を検知してから読取りモータ103のパルスカウントにより第2読取り部25に原稿先端が到達するタイミングで第2読取り部25に対してコントローラ部100から副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号が第1読取り部19を原稿後端が抜けるまで送信される。第2読取りローラ26は第2読取り部25における原稿の浮きを抑えると同時に、第2読取り部25におけるシェーディングデータを取得するための基準白部を兼ねるものである。
【0037】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置1の動作の概略を説明する。画像形成装置本体の操作部108からの給紙信号を受けて、給紙トレイから画像形成部に用紙(記録媒体)が供給され、この用紙に自動原稿搬送装置70により読取られた原稿の画像が形成される。画像形成された用紙は排紙部に排出される。
【0038】
次に、本実施の形態に係る自動原稿搬送装置70の作用及び効果を説明する。本実施の形態によれば、1つの駆動軸85に配置した一方及び他方のローラ部83а、83bを読取りベルト81の駆動方向にのみ駆動軸85と一体に回転するように設ける簡易な構成で、読取りベルト81と各ローラ部83а、83bとの間に作用する摩擦力のばらつき等により読取りベルト81に偏った張力が発生しても、一方のローラ部83а又は他方のローラ部83bが駆動軸85に対してベルトの駆動方向(矢印P方向)に回転するので、読取りベルト81のねじれを防止できる。
【0039】
一方及び他方のローラ部83а、83bをワンウェイクラッチ91а、91bを介して駆動軸85に連結しているので、読取りベルト81における一方のローラ部83а側及び他方のローラ部83b側の何れが先行する場合でも、読取りベルト81のねじれを防止できる。
【0040】
一方及び他方のローラ部83а、83bの双方又は何れかに常時駆動力が伝達されるので、読取りベルト81を確実に駆動できる。
【0041】
一方及び他方のローラ部83а、83bは、ワンウェイクラッチ91а、91bの作用により、駆動軸85に対し読取りベルト81の駆動方向(矢印P方向)に回転可能なので、ベルトユニット75で原稿を搬送中に原稿がジャムになっても、ジャム処理が容易である。
【0042】
本実施の形態と同様な効果を奏するベルトユニット75を備えた自動原稿搬送装置(画像読取装置)70を提供できる。
【0043】
本実施の形態と同様な効果を奏する自動原稿搬送装置(画像読取装置)70を備えた画像形成装置1を提供できる。
【0044】
次に、本発明の他の実施の形態を説明するが、以下の説明において、上述した第1実施の形態と同一の作用効果を奏する部分には同一の符号を付することにより、その部分の詳細な説明を省略し、以下の説明では上述の第1実施の形態と異なる点を主に説明する。
【0045】
第2実施の形態を、図5を参照して説明する。尚、図5は本実施の形態に係るベルトユニットの駆動ローラを抜き出して示す横断面図である。
【0046】
本実施の形態では、図5に示すように、一方のローラ部83аは駆動軸85に固定されており(駆動軸85と一体成形されており)、他方のローラ部83bと駆動軸85とはワンウェイクラッチ91bを介して連結されており、他方のローラ部83bは読取りベルト81の駆動方向(図5の矢印P方向)にのみ駆動軸85と一体に回転するようになっている。即ち、他方のローラ部83bは駆動軸85に対して読み取りベルト81の駆動方向にのみ回転可能になっている。
【0047】
読取りモータ103が駆動されると、駆動軸85と共に一方のローラ部83аが矢印P方向に回転を開始し、これと同時にワンウェイクラッチ91bが繋がり、他方のローラ部83bが駆動軸85と共に矢印P方向に回転する。そして、読取りベルト81と一方及び他方のローラ部83а、83bとの間に作用する摩擦力により読取りベルト81が循環移動する。
【0048】
読取りベルト81における一方のローラ部83а側が他方のローラ部83b側に対して先行した状態でベルトが循環移動し続けると、やがてワンウェイクラッチ91bが切れる。これにより、他方のローラ部83bが駆動軸85に対して矢印P方向に回転して、読取りベルト81の他方のローラ部83b側が、先行する一方のローラ部83а側に追いつくため、読取りベルト81のねじれが防止される。その後、ワンウェイクラッチ91bが再び繋がって、他方のローラ部83bに駆動力が伝達される。
【0049】
本実施の形態によれば、一方のローラ部83аを駆動軸85に固定しているので、ワンウェイクラッチ91bが切れて他方のローラ部83bに駆動力が伝達されない間も、一方のローラ部83аにより読取りベルト81に駆動力を伝達することができる。
【0050】
一方のローラ部83аと駆動軸85とを一体成形することにより、部品点数を少なくすることができる。
【0051】
読取りベルト81における一方のローラ部83а側が他方のローラ部83b側に対して先行する場合に、読取りベルト81のねじれを防止できる。
【0052】
本実施の形態と同様な効果を奏するベルトユニット75を備えた自動原稿搬送装置(画像読取装置)70を提供できる。
【0053】
本実施の形態と同様な効果を奏する自動原稿搬送装置(画像読取装置)70を備えた画像形成装置1を提供できる。
【0054】
第3実施の形態を、図6を参照して説明する。尚、図6は本実施の形態に係るベルトユニットの駆動ローラを抜き出して示す横断面図である。
【0055】
本実施の形態では、一方のローラ部83аと駆動軸85とはワンウェイクラッチ91аを介して連結されており、一方のローラ部83аは読取りベルト81の駆動方向(図6の矢印P方向)にのみ駆動軸85と一体に回転するようになっている。即ち、一方のローラ部83аは駆動軸85に対して読み取りベルト81の駆動方向にのみ回転可能になっている。
【0056】
他方のローラ部83bは、駆動軸85に対して自由に回転可能に支持されている。
【0057】
読取りモータ103が駆動されると、駆動軸85が図6の矢印P方向に回転を開始し、これと同時にワンウェイクラッチ91аが繋がって、一方のローラ部83аが矢印P方向に回転する。読取りベルト81と一方のローラ部83аとの間に作用する摩擦力によって、読取りベルト81が矢印P方向に循環移動する。読取りベルト81と他方のローラ部83bとの間に作用する摩擦力により他方のローラ部83bは読取りベルト81に連れ回る。
【0058】
ここで、読取りベルト81における一方のローラ部83а側が他方のローラ部83b側に対して先行すると、他方のローラ部83bが駆動軸85に対して矢印P方向に回転して、読取りベルト81における他方のローラ部83b側が、先行する一方のローラ部83а側に追いつくため、読取りベルト81のねじれが防止される。
【0059】
また、読取りベルト81における他方のローラ部83b側が一方のローラ部83а側に対して先行した状態で読み取りベルト81が循環移動し続けると、やがてワンウェイクラッチ91аが切れる。これにより、一方のローラ部83аが駆動軸85に対して矢印P方向に回転して、読取りベルト81の一方のローラ部83а側が、先行する他方のローラ部83b側に追いつくため、読取りベルト81のねじれが防止される。その後、ワンウェイクラッチ91аが再び繋がって、一方のローラ部83аに駆動力が伝達される。
【0060】
本実施の形態によれば、一方のローラ部83аをワンウェイクラッチ91аを介して駆動軸85に連結し且つ他方のローラ部83bを駆動軸85に対して自由に回転可能としているので、1つのワンウェイクラッチ91аを用いて、読取りベルト81の一方のローラ部83а側及び他方のローラ部83b側の何れが先行する場合でも、読取りベルト81のねじれを防止できる。
【0061】
一方のローラ部83аは、ワンウェイクラッチ91аの作用により、駆動軸85に対して読取りベルト81の駆動方向(矢印P方向)に回転可能であり、且つ、他方のローラ部83bは駆動軸85に対して自由回転可能なので、ベルトユニット75で原稿を搬送中に原稿がジャムになっても、ジャム処理が容易である。
【0062】
本実施の形態と同様な効果を奏するベルトユニット75を備えた自動原稿搬送装置(画像読取装置)70を提供できる。
【0063】
本実施の形態と同様な効果を奏する自動原稿搬送装置(画像読取装置)70を備えた画像形成装置1を提供できる。
【0064】
尚、本発明は上述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0065】
上述した実施の形態では、一方及び他方のローラ部83а、83bの双方又は何れか一方をワンウェイクラッチを介して駆動軸85と連結しているが、これに代えて、一方及び他方のローラ部83а、83bの双方又は何れかをワンウェイベアリング又はラチェットを介して駆動軸85と連結しても良い。
【0066】
上述した実施の形態では、ローラ部を駆動軸85に2つ配置しているが、これに限らず、例えばローラ部を駆動軸85に3つ配置して、両外側の2つのローラ部をワンウェイクラッチを介して駆動軸85に連結して、中央のローラ部を駆動軸85に固定するか又は駆動軸85に対し何れの方向にも回転可能に設けても良い。
【0067】
上述した実施の形態では、一方及び他方のローラ部83а、83bを合わせて読取りベルト81の幅方向全域に亘って設けているが、これに限らず、各ローラ部83а、83bの幅を小さくして読取りベルト81との接触面積を減らすようにしても良い。
【0068】
上述した実施の形態では、画像形成装置71は画像読取り部を備えた複写機であるが、これに限らず、画像形成装置71は、画像読取り部を備えていないプリンター等であっても良い。
【0069】
上述した実施の形態では、ベルトユニット75を第1読取り搬送部Eに設けているが、これに代えて、ベルトユニット75を画像形成装置本体73の画像形成部に設けて、ベルトユニット75により用紙(記録媒体)を搬送しつつ用紙に画像を形成しても良い。上述実施形態と同様な効果を奏するベルトユニット75を画像形成部に備えた画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第1実施の形態に係るベルトユニットの駆動ローラを抜き出して示す横断面図である。
【図2】(a)は第1実施の形態に係るベルトユニットの平面図であり、(b)は第1実施の形態に係るベルトユニットの側面図である。
【図3】第1実施の形態に係る画像形成装置の制御の構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施の形態に係る画像形成装置の概略的構成を示す縦断面図である。
【図5】第2実施の形態に係るベルトユニットの駆動ローラを抜き出して示す横断面図である。
【図6】第2実施の形態に係るベルトユニットの駆動ローラを抜き出して示す横断面図である。
【符号の説明】
【0071】
70 自動原稿搬送装置(画像読取装置)
71 画像形成装置
75 ベルトユニット
77 駆動ローラ
79 従動ローラ
81 読取りベルト(無端状のベルト)
83а、83b 一方及び他方のローラ部
85 駆動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動ローラと、従動ローラと、駆動ローラ及び従動ローラに巻き掛けられた無端状のベルトとを備え、駆動ローラは、ベルトの幅方向全域に亘って設けた1つの駆動軸と、駆動軸と同軸に配置した複数のローラ部とを有し、少なくとも1つのローラ部はベルトの駆動方向にのみ駆動軸と一体に回転することを特徴とするベルトユニット。
【請求項2】
少なくとも1つのローラ部は駆動軸に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のベルトユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のベルトユニットを備え、このベルトユニットにより原稿を搬送しつつ画像を読取ることを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像読取装置を備え、この画像読取装置で読取った画像を記録媒体に形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のベルトユニットを備え、このベルトユニットにより記録媒体を搬送しつつ画像を形成することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−263128(P2009−263128A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−122873(P2008−122873)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】