説明

ベルト搬送装置,画像形成装置,およびプログラム

【課題】 ベルトの搬送異常が発生した場合に、自動で異常箇所を特定できるようにする。
【解決手段】 制御IC11は、ステアリングローラ5の現在のステアリング制御位置およびステアリングセンサ9の出力に基づいて、中間転写ベルト2の幅方向の位置ずれを補正するためのステアリング制御位置変化量を算出し、ステアリングローラ5のステアリング制御位置を、その算出したステアリング制御位置変化量だけ変化させると共に、ローラ駆動機構12により、所定のタイミングにて複数の接離部材(1次転写ローラ3,2次転写ローラ7)を順次中間転写ベルト2に接触またはその中間転写ベルト2から離間させ、その接触後またはその離間後の中間転写ベルト2もしくはステアリングローラ5の挙動をステアリングセンサ9を用いて監視し、その結果に応じて複数の接離部材のうちのいずれかの異常を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ベルトを適切に搬送するベルト搬送装置、それを備えた複写機,プリンタ,ファクシミリ装置等の画像形成装置、および上記ベルト搬送装置を制御するコンピュータに必要な機能(この発明に係わる機能)を実現させるためのプログラムに関し、特にベルトの寄りを補正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、上記のようなベルト搬送装置を用いた電子写真方式の画像形成装置として、複数個の感光体上にそれぞれ形成された各単色トナーによる単色画像を中間転写体上に順次転写してその各単色画像を重ね合わせた合成カラー画像を形成させる複数個の1次転写部(1次転写手段)と、それによって中間転写体上に形成された合成カラー画像を用紙等のシート上に一括転写する2次転写部(2次転写手段)とを備えたものや、感光体上に順次形成される各単色トナーによる単色画像を中間転写体上に順次転写してその各単色画像を重ね合わせた合成カラー画像を形成させる1次転写部と、それによって中間転写体上に形成された合成カラー画像をシート上に一括転写する2次転写部とを備えたものがある。
【0003】
このような画像形成装置においては、ベルト状の感光体である感光体ベルト又はベルト状の中間転写体である中間転写体ベルト等の無端状に形成されるベルトに当接させる1次転写部や2次転写部のように、作像モード等の動作モードにより、接触又は離間(引き離し)する部材である接離部材があり、これらの接離部材の動作(以下「接離動作」という)の影響でベルトの幅方向位置のずれ(ベルトの寄り)、つまりベルトの搬送異常が発生し、ベルトが破損することがあった。
【0004】
そこで、ベルトの搬送異常発生時にベルト破損を防止するため、例えば特許文献1に見られるようなものが提案されている。
特許文献1には、無端状に形成される転写ベルトと、この転写ベルトを支持搬送する複数のローラを有する画像形成装置において、少なくとも1つのローラの端部に、転写ベルトのエッジ方向(幅方向)の所定量の動きを許容しつつガイドするガイド部材を設けると共に、転写ベルトの進行方向と直交する方向の異常な移動を検知して、転写ベルトのエッジの損傷を防止する技術について開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、ベルトの搬送異常を検知した場合に、ベルトの損傷を防ぐためにベルトを停止し、サービスマンによりメンテナンスされるまで機械を復旧できない。また、ベルト搬送には多くのローラが使用され、かつ多くの部材が当接されているため、サービスマンが異常の原因を解析するには多くの時間と労力を必要するという問題があった。
この発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、ベルトの搬送異常が発生した場合に、自動で異常箇所を特定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記の目的を達成するため、以下に示すベルト搬送装置、それを備えた画像形成装置、および上記ベルト搬送装置を制御するコンピュータに実行させるプログラムをそれぞれ提供する。
この発明によるベルト搬送装置は、所定の経路に沿って移動するベルトと、そのベルトに接触またはそのベルトから離間される複数の接離部材と、上記ベルトの移動経路に交わる幅方向の位置を検出するベルト位置センサと、上記ベルトに接し、ステアリング制御位置を変えることにより、上記ベルトの移動経路を制御するためのステアリング部材と、そのステアリング部材の現在の上記ステアリング制御位置および上記ベルト位置センサの出力に基づいて、上記ベルトの上記幅方向の位置ずれを補正するためのステアリング制御位置変化量を算出する変化量算出手段と、上記ステアリング部材の上記ステアリング制御位置を、上記変化量算出手段によって算出されたステアリング制御位置変化量だけ変化させるステアリング制御手段と、所定のタイミングにて上記複数の接離部材を順次上記ベルトに接触またはそのベルトから離間させ、その接触後またはその離間後の上記ベルトもしくは上記ステアリング部材の挙動を上記ベルト位置センサを用いて監視し、その結果に応じて上記複数の接離部材のうちのいずれかの異常を検出する異常検出手段とを備えたものである。
【0007】
なお、上記所定のタイミングを、外部から要求された任意のタイミングとすればよい。
あるいは、上記ベルトが上記幅方向に寄りすぎていることを異常として検出する他の異常検出手段を設け、上記所定のタイミングを、上記他の異常検出手段による異常検出時としてもよい。この場合、上記ベルトの上記幅方向の両端側にそれぞれ、そのベルトがその幅方向に寄りすぎていることを検出するオーバランセンサを設け、上記他の異常検出手段が、上記オーバランセンサの出力に基づいて上記異常を検出するとよい。あるいは、上記他の異常検出手段が、上記ベルト位置センサによる検出値が所定の閾値を超えた場合に、上記異常として検出してもよい。
【0008】
また、上記ベルトの寄り速度を算出する寄り速度算出手段を設け、上記異常検出手段が、上記ベルトの挙動として上記寄り速度算出手段による算出値が所定の閾値を超えた場合に、上記異常として検出するとよい。
あるいは、上記異常検出手段が、上記ベルトの挙動として上記ベルト位置センサによる検出値が所定の閾値を超えた場合に、上記異常として検出してもよい。
あるいはまた、上記異常検出手段が、上記ベルトの挙動としてそのベルトの幅方向の位置の収束時間が所定の閾値を超えた場合に、異常として検出してもよい。
あるいはさらに、上記異常検出手段が、上記ステアリング部材の挙動として、上記複数の接離部材のいずれかによる上記ベルトへの接触後の上記ステアリング部材の上記ステアリング制御位置の正常時とのずれ量が所定の閾値を超えた場合に、上記異常として検出してもよい。
【0009】
この発明による画像形成装置は、上記のベルト搬送装置と、そのベルト搬送装置によって搬送される画像形成用のベルトとを備えたものである。
なお、上記所定のタイミングを、電源オン時から画像形成動作までの間としてもよい。
また、上記ベルトを、感光体ベルト,転写ベルト,中間転写ベルト,シート搬送用ベルト、定着ベルトのうちのいずれか1つ以上とすればよい。
【0010】
この発明によるプログラムは、所定の経路に沿って移動するベルトと、そのベルトに接触またはそのベルトから離間される複数の接離部材と、上記ベルトの移動経路に交わる幅方向の位置を検出するベルト位置センサと、上記ベルトに接し、ステアリング制御位置を変えることにより、上記ベルトの移動経路を制御するためのステアリング部材とを有するベルト搬送装置を制御するコンピュータに、上記ステアリング部材の現在の上記ステアリング制御位置および上記ベルト位置センサの出力に基づいて、上記ベルトの上記幅方向の位置ずれを補正するためのステアリング制御位置変化量を算出する変化量算出機能と、上記ステアリング部材の上記ステアリング制御位置を、上記変化量算出手段によって算出されたステアリング制御位置変化量だけ変化させるステアリング制御機能と、所定のタイミングにて上記複数の接離部材を順次上記ベルトに接触または該ベルトから離間させ、その接触後またはその離間後の上記ベルトもしくは上記ステアリング部材の挙動を上記ベルト位置センサを用いて監視し、その結果に応じて上記複数の接離部材のうちのいずれかの異常を検出する異常検出機能とを実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
この発明のベルト搬送装置および画像形成装置によれば、ステアリング部材の現在のステアリング制御位置およびベルト位置センサの出力に基づいて、ベルトの幅方向の位置ずれを補正するためのステアリング制御位置変化量を算出し、ステアリング部材のステアリング制御位置を、その算出したステアリング制御位置変化量だけ変化させると共に、所定のタイミングにて複数の接離部材を順次上記ベルトに接触またはそのベルトから離間させ、その接触後またはその離間後のベルトもしくはステアリング部材の挙動を監視し、その結果に応じて複数の接離部材のうちのいずれかの異常を検出することにより、接離部材に異常が発生した場合やベルトの搬送異常が発生した場合に、自動で異常箇所を特定することができる。
この発明のプログラムによれば、ベルト搬送装置を制御するコンピュータに、変化量算出機能,ステアリング制御機能,異常検出機能をそれぞれ実現させることにより、同様な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の一実施形態である画像形成装置の主要部の概略構成例を示す斜視図である。
【図2】図1に示した画像形成装置におけるベルト搬送異常となる原因例を示す説明図である。
【図3】図1に示した画像形成装置における2次転写対向ローラ6、2次転写ローラ7、およびそれらに挟まれている中間転写ベルト2を、その2次転写対向ローラ6および2次転写ローラ7の図1の縦軸方向に切断した模式図である。
【図4】図1の2次転写ローラ7等の接離部材が中間転写ベルト2に当接した時のその中間転写ベルト2およびステアリングローラ5の挙動を示す波形図である。
【図5】図1の2次転写ローラ7等の接離部材が中間転写ベルト2に当接した時のその中間転写ベルト2およびステアリングローラ5の挙動を示すと共に、中間転写ベルト2の搬送異常を説明するための波形図である。
【0013】
【図6】図1の制御IC11によるこの発明に関わる処理の第1実施例を示すフロー図である。
【図7】その残りの処理を示すフロー図である。
【図8】図1の制御IC11によるこの発明に関わる処理の第2実施例のメインルーチンの一例を示すフロー図である。
【図9】図8のステップS35における異常検出処理のサブルーチンの一例を示すフロー図である。
【図10】その残りの処理を示すフロー図である。
【図11】図9のステップS42における中間転写ベルト2の位置を中央方向に戻すための処理のサブルーチンの一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態である画像形成装置の主要部の概略構成例を示す斜視図である。
この画像形成装置は、タンデム方式の複写機,プリンタ,ファクシミリ装置等の画像形成装置であり、Y(Yellow)、C(Cyan)、M(Magenta)、K(Black)の各色に対応する感光体1(1Y,C1,M1,K1)が設けられている。これらの感光体1は、それぞれ予め帯電された面に図示しない光書込装置による光書込みにより静電潜像が形成され、その各潜像がそれぞれY,C,M,Kの各色トナーにより現像されて各色のトナー画像が形成されるものである。
【0015】
また、感光体1の下部には所定の経路に沿って移動する中間転写ベルト2が設けられ、この中間転写ベルト2の背面に設けられた複数の1次転写手段である1次転写ローラ3(3Y,C3,M3,K3)の上昇により、感光体1と中間転写ベルト2が当接して1次転写が行われるようになっている。
1次転写ローラ3は、上昇により中間転写ベルト2と当接するようになる場合と、上昇前から常に中間転写ベルト2と当接している場合とがある。また、1次転写ローラ3の上昇に代え、感光体1を下降するようにしてもよい。感光体1と中間転写ベルト2と1次転写ローラ3とにより1次転写部を構成する。
【0016】
中間転写ベルト2は、駆動ローラ4,ステアリングローラ5,および2次転写対向ローラ6により搬送可能に保持されている。
この中間転写ベルト2には、用紙等のシートにトナー画像を2次転写するための2次転写ローラ7が2次転写対向ローラ6と対向する箇所で接離するようになっている。また、中間転写ベルト2には残ったトナーを除去するためのクリーニング部材8が接離するようになっている。2次転写対向ローラ6と中間転写ベルト2と2次転写ローラ7とにより2次転写部を構成する。
【0017】
中間転写ベルト2は、駆動ローラ4によって搬送駆動され、ステアリングローラ5により幅方向位置のずれが補正されるようになっている。ここで、ステアリングローラ5とは、その回転軸の軸方向(以下単に「軸方向」という)の一方の端部を支点として、他方の端部の位置であるステアリング制御位置が上下方向に移動するステアリング部材である。そのステアリング制御位置の移動(ステアリングローラ5の傾き角度の変更)を、「ステアリング」という。そのステアリングは、後述するローラ駆動機構12により行われる。そして、そのステアリングにより、中間転写ベルト2の幅方向の寄り、つまり中間転写ベルト2の移動経路を制御することができる。
【0018】
一方、中間転写ベルト2の一部の近傍には、中間転写ベルト2のエッジ位置(つまり中間転写ベルト2の移動経路に交わる幅方向の位置であるベルト位置)を検出するためのステアリングセンサ9(ベルト位置センサ)が設けられている。更に、中間転写ベルト2が寄りすぎていることを検出するオーバランセンサ10が設けられている。このオーバランセンサ10は、中間転写ベルト2の幅方向の手前側と奥側にそれぞれ配置されている各ガイド部材(中間転写ベルト2の寄りすぎを防止するための部材)の近傍にそれぞれ設けられている。
【0019】
ステアリングセンサ9は、例えば変位センサを用いたベルト位置センサであり、中間転写ベルト2のエッジ位置(ベルト位置)を常に検出し、そのエッジ位置に応じた検出信号(アナログ信号もしくはデジタル信号)を出力する。
なお、ここではステアリングセンサ9を用いる例について説明したが、中間転写ベルト2の搬送方向と直交する幅方向の位置が分かるセンサ(ベルト位置センサ)であれば、どのようなものを用いてもよい。
オーバランセンサ10は、中間転写ベルト2が寄りすぎていること、つまり中間転写ベルト2の搬送異常を検出するためのセンサであり、対応する検出信号を出力する。
【0020】
ステアリングセンサ9からの検出信号およびオーバランセンサ10からの検出信号は制御IC(Integrated Circuit)11に入力され、その制御IC11は、ローラ駆動機構12の駆動量を算出して、ローラ駆動機構12を制御する。このとき、ステアリングセンサ9からの検出信号に基づいて中間転写ベルト2の位置を特定できる。また、図示しないタイマによる時間計測を行い、その計測時間とステアリングセンサ9からの検出信号とに基づいて中間転写ベルト2の寄り速度を算出することができる。更に、図示しないステアリングモータの回転角度(ステアリング制御位置に対応する)を制御することにより、ステアリングローラ5の傾き角度を変更させるステアリングを行うことができる。ステアリングモータには、回転角度がステップ的に変化するステッピングモータを使用するとよい。
【0021】
ローラ駆動機構12は、制御IC11の制御指示に従い、中間転写ベルト2に接離される接離部材(1次転写ローラ3,2次転写ローラ7,クリーニング部材8等)を駆動し、中間転写ベルト2に対する接離動作を行う。また、ステアリングモータ(ステッピングモータ)によってステアリングローラ5を駆動し、そのステアリングを行う。
ステアリングローラ5の駆動量、つまりステアリングモータの回転角度の変更量(ステアリング制御位置の移動量)は、ステアリングセンサ9からの検出信号が示す中間転写ベルト2の位置と予め設定された目標ベルト位置との差によって決まる。
【0022】
制御IC11は、CPU(中央処理装置)を構成しており、プログラムを格納しているROM(固定ROM又はフラッシュROM等)および制御処理の作業領域として用いるRAMを含むメモリ13と接続されている。それらによって、マイクロコンピュータを構成する。そして、CPUが、ROM内のプログラムを実行し、ステアリングセンサ9とオーバランセンサ10からの検出信号に基づいてローラ駆動機構12を制御することにより、この発明に関わる変化量算出手段,ステアリング制御手段,異常検出手段,他の異常検出手段,および寄り速度算出手段としての機能を果す。
【0023】
図2は、図1に示した画像形成装置におけるベルト搬送異常となる原因例を示す説明図である。
図3は、図1に示した画像形成装置における2次転写対向ローラ6、2次転写ローラ7、およびそれらに挟まれている中間転写ベルト2を、その2次転写対向ローラ6および2次転写ローラ7の図1の縦軸方向に切断した模式図である。
【0024】
図1に示した画像形成装置では、例えば、図2に示すように、中間転写ベルト2の背面(駆動ローラ4やステアリングローラ5等の中間転写ベルト2を搬送するための搬送ローラと接する面)にトナーや潤滑剤等の異物が付着し、中間転写ベルト2と各搬送ローラの摩擦が変化する(例えば異物が中間転写ベルト2の幅方向の奥側のみに付着することによる)ことで、中間転写ベルト2の搬送異常の原因となる。
【0025】
ここで、2次転写ローラ7が中間転写ベルト2に対して、例えば図3の(a)に示すように均一に当接している状態を正常時であるとした場合、同図の(b)に示すように均一に当接されていない状態や、図2に示したような異物の付着といった現象が発生することで、中間転写ベルト2の幅方向の手前と奥側で搬送力が異なり、中間転写ベルト2の搬送異常を起こす恐れがある。
なお、ここでは2次転写ローラ7による中間転写ベルト2の搬送異常について説明したが、1次転写ローラ3等の他の接離部材によっても同様な異常が発生することは言うまでもない。
【0026】
図4は、図1の2次転写ローラ7等の接離部材が中間転写ベルト2に当接した時のその中間転写ベルト2およびステアリングローラ5の挙動を示す波形図である。
図2,図3によって説明したようなベルト搬送異常を引き起こす原因を持つ接離部材が中間転写ベルト2に当接された場合、中間転写ベルト2およびステアリングローラ5は、例えば図4に示すような挙動を示す。
具体的には、接離部材が中間転写ベルト2に当接された場合、その中間転写ベルト2の幅方向の位置(ベルト位置)は正常時に比べて位置ずれ(ベルト位置ずれ)が大きくなり、収束時間(ベルト収束時間)が長くなる。中間転写ベルト2の寄り速度(ベルト寄り速度)については、速度ずれが大きくなる。
【0027】
よって、接離部材が中間転写ベルト2に当接された場合に、ベルト位置ずれ又はベルト寄り速度を算出し、その算出値が予め設定された所定の閾値を超えた場合に、接離部材の異常と判定できる。あるいは、上記の算出値と通常時のベルト位置ずれ又はベルト寄り速度の算出値とを比較し、両算出値のずれ量が予め設定された所定の閾値を超えた場合に、接離部材の異常と判定できる。また、接離部材が中間転写ベルト2に当接された場合に、ベルト収束時間を測定し、その測定値が予め設定された所定の閾値を超えた場合にも、接離部材の異常と判定できる。あるいは、上記測定値と通常時のベルト収束時間の測定値とを比較し、両測定値のずれ量が予め設定された所定の閾値を超えた場合にも、接離部材の異常と判定できる。
【0028】
接離部材が中間転写ベルト2に当接された場合のステアリングローラ5の角度(傾き角度)については、中間転写ベルト2の寄り速度が「0」になる(ベルト位置が「0」に収束した)ときの角度(ステアリングローラ5の安定角)が、正常時とずれるため、そのずれ量が予め設定された所定の閾値を超えた場合に、接離部材の異常と判定できる。
また、図4には示していないが、ベルト位置が収束せず、そのまま発散してしまう場合もある。
【0029】
図5は、図1の2次転写ローラ7等の接離部材が中間転写ベルト2に当接した時のその中間転写ベルト2およびステアリングローラ5の挙動を示すと共に、中間転写ベルト2の搬送異常を説明するための波形図である。
2次転写ローラ7等の接離部材に何らかの異常がある場合は、図5に示すような挙動を示すため、以下の4つの判定式のいずれか1つ、もしくは複数を用いることで、異常を検知することが可能となる。図5に示すXlag,Tlag,Vlag,θlagは、異常を判定するための閾値である。
【0030】
判定式1:|X(接離部材当接時のベルト位置ずれ)|>Xlag(正常時の位置ずれよ りも大きい値を設定)
判定式2:|T(接離部材当接時のベルト収束時間)|>Tlag(正常時の収束時間よ りも大きい値を設定)
判定式3:|V(接離部材当接時のベルト速度ずれ)|>Vlag(正常時の速度ずれよ りも大きい値を設定)
判定式4:|θ(接離部材当接後のステアリングローラの安定角)|>θlag(正常時 のステアリングローラの安定角+αを設定)
【0031】
図6,図7は、図1の制御IC11によるこの発明に関わる処理の第1実施例を示すフローチャートである。
制御IC11は、所定タイミング(例えばこの画像形成装置の操作部あるいは通信可能な外部機器から要求された任意のタイミング)で図6,図7に示す処理ルーチンをスタートすると、まずステップS1において、ローラ駆動機構12により、中間転写ベルト2の駆動に最低限必要なローラ、つまり中間転写ベルト2の搬送に必要なローラおよび最低限のベルトテンションをかけるためのローラのみを当接させる。それらのローラを、ここでは「ベルト搬送ローラ」という。
【0032】
この第1実施例では、K色転写用の1次転写ローラ3K(1次転写接離K)のみを中間転写ベルト2に当接させ、その1次転写ローラ3Kを除くFc(フルカラー)転写用の1次転写ローラ3Y,C3,M3(1次転写接離Fc)、2次転写ローラ7、クリーニング部材8を中間転写ベルト2から離間させる。なお、1次転写ローラ3Kはベルトテンションを保つために当接させる。また、Fc用の1次転写ローラとは、実際には全色(Y,C,M,K色)転写用の1次転写ローラ3Y,C3,M3,K3に相当するが、説明の都合上、K色転写用の1次転写ローラ3Kを除く3色転写用の1次転写ローラ3Y,C3,M3をFc用の1次転写ローラとする場合もある。
【0033】
制御IC11は、次にステップS2へ進んで中間転写ベルト2に対する寄り制御を開始させ、ステップS3で中間転写ベルト2の搬送を開始させる。
ここで、中間転写ベルト2に対する寄り制御とは、ステアリングローラ5の現在のステアリング制御位置(つまりステアリングモータの回転角度に対応する)およびステアリングセンサ9の出力(中間転写ベルト2の幅方向の位置に対応する)に基づいて、中間転写ベルト2の幅方向の位置ずれを補正するためのステアリング制御位置変化量(ステアリングモータの回転角度の補正値)を算出し、ステアリングローラ5のステアリング制御位置を、その算出したステアリング制御位置変化量だけ変化させる制御に相当する。
【0034】
制御IC11は、ステップS3の処理を行った後、ステップS4,S5へ進み、中間転写ベルト2の搬送開始から予め設定された所定時間taを経過する前に中間転写ベルト2の検出位置(ベルト位置)が所定の範囲内に収束したか否かを判定し、所定の範囲内に収束していなければ、中間転写ベルト2、ベルト搬送ローラ、もしくは1次転写ローラ3Kに異常があるため、ステップS17へ移行し、その異常を検出して、その異常の箇所(異常検出1)をメモリ13(実際にはRAM)に記憶し、ステップS18で中間転写ベルト2の搬送および寄り制御を停止させる。
【0035】
また、中間転写ベルト2の搬送開始から所定時間taを経過する前に中間転写ベルト2の検出位置が所定の範囲内に収束した場合には、中間転写ベルト2、ベルト搬送ローラ、1次転写ローラ3Kのいずれにも異常がないため、ステップS6へ進む。
ステップS6以降では、各接離部材を中間転写ベルト2に順次当接させ、そのときの中間転写ベルト2およびステアリングローラ5の挙動による接離部材の異常を検出したかどうかを判定し、その判定結果に応じた処理を行う。接離部材の異常の検出は、図5によって説明した方法で行う。
【0036】
すなわち、まずステップS6において、Fc用の残りの1次転写ローラ3Y,C3,M3(1次転写接離Fc)を中間転写ベルト2に当接させた後、ステップS7,S8へ進み、その当接時点から予め設定された所定時間tbを経過する前に中間転写ベルト2もしくはステアリングローラ5の挙動による1次転写ローラ3Y,C3,M3(1次転写接離Fc)の異常を検出したかどうかを判定し、その異常を検出すればステップS19へ移行して、1次転写ローラ3Y,C3,M3を中間転写ベルト2から離間させ、ステップS20においてステップS7で検出した異常の箇所(異常検出2)をメモリ13に記憶する。
【0037】
なお、1次転写ローラ3Y,C3,M3を中間転写ベルト2に順次当接させ、その当接毎にその時点から所定時間tbを経過する前に、中間転写ベルト2もしくはステアリングローラ5の挙動による中間転写ベルト2に当接した1次転写ローラ3の異常を検出したかどうかを判定するようにすることもできる。
【0038】
一方、1次転写ローラ3Y,C3,M3を中間転写ベルト2に当接した時点から所定時間tbを経過する前にその1次転写ローラ3Y,C3,M3(1次転写接離Fc)の異常を検出しなかった場合には、ステップS9へ進んで2次転写ローラ7を中間転写ベルト2に当接させた後、ステップS10,S11へ進み、その当接時点から予め設定された所定時間tcを経過する前に中間転写ベルト2もしくはステアリングローラ5の挙動による2次転写ローラ7の異常を検出したかどうかを判定し、その異常を検出すればステップS21へ移行して、その2次転写ローラ7を中間転写ベルト2から離間させ、ステップS22においてステップS10で検出した異常の箇所(異常検出3)をメモリ13に記憶する。
【0039】
また、2次転写ローラ7を中間転写ベルト2に当接した時点から所定時間tcを経過する前にその当接した2次転写ローラ7の異常を検出しなかった場合には、ステップS12へ進んでクリーニング部材8を中間転写ベルト2に当接させた後、ステップS13,S14へ進み、その当接時点から予め設定された所定時間tdを経過する前に中間転写ベルト2もしくはステアリングローラ5の挙動によるクリーニング部材8の異常を検出したかどうかを判定する。
【0040】
そして、クリーニング部材8を中間転写ベルト2に当接した時点から所定時間tdを経過する前にそのクリーニング部材8の異常を検出した場合には、ステップS23へ移行して、そのクリーニング部材8を中間転写ベルト2から離間させ、ステップS24においてステップS13で検出した異常の箇所(異常検出4)をメモリ13に記憶する。
また、クリーニング部材8を中間転写ベルト2に当接した時点から所定時間tdを経過する前にその当接したクリーニング部材8の異常を検出しなかった場合には、ステップS15へ進み、メモリ13の記憶内容を参照していずれかの異常を検出したか否かをチェックする。
【0041】
そして、いずれかの異常も検出しなかった場合には、ステップS16へ進んで通常印刷を許可する。
いずれかの異常を検出した場合には、ステップS25へ移行し、検出した異常がFc印刷のみで使用する箇所の異常(例えば1次転写接離Fc)であるか否かを判定して、その異常であればステップS26でK色印刷のみを許可し、Fc色の印刷とK色の印刷の両方で使用する箇所の異常(例えば2次転写ローラ7やクリーニング部材8)であればステップS27へ移行し、全モータを停止させ、印刷を許可しない(禁止する)。
なお、異常があった場合(その異常個所がメモリ13に記憶された場合)には、その異常箇所を、この画像形成装置の図示しない操作部の表示部あるいは通信可能なパーソナルコンピュータ等の外部機器の表示部に表示させることにより、サービスマンに通知することもできる。
【0042】
図8〜図11は、図1の制御IC11によるこの発明に関わる処理の第2実施例を示すフローチャートである。
図8は、その第2実施例のメインルーチンの一例を示すフローチャートである。
制御IC11は、所定のタイミング(例えばこの画像形成装置の操作部あるいは通信可能な外部機器から要求された任意のタイミング)で図8に示すメインルーチンをスタートし、まずステップS31の処理を行う。つまり、ローラ駆動機構12により、通常動作で中間転写ベルト2に対する寄り制御を開始する。
【0043】
次に、ステップS32へ進み、通常動作での中間転写ベルト2に対する寄り制御を行っている時に、中間転写ベルト2の進行方向と直交する方向(主走査方向)の異常な移動を図1のオーバランセンサ10で検知すると、ステップS33へ進み、中間転写ベルト2の破損を防止するために作像系の全てのモータを停止させ、ステップS34で中間転写ベルト2に対する寄り制御も停止させる。
【0044】
その後、異常箇所の特定を行うため、ステップS35へ進み、接離部材の異常検出を行う異常検出モードに移行して異常検出処理を行う。その異常検出処理は、図9,図10によって後述する。
その後、ステップS36へ進んで異常を検出したかどうかをチェックし、ステップS35の異常検出処理にて異常を検出しなければ、ステップS37へ進み、通常の印刷モードに移行して通常の印刷を許可する。
一方、ステップS35の異常検出処理にて異常を検出した場合した場合には、ステップS38へ移行する。
【0045】
そして、検出した異常がFc印刷のみで使用する箇所の異常(例えば1次転写接離Fc)であるか否かを判定して、その異常であればステップS39でK色印刷のみを許可し、Fc色の印刷とK色の印刷の両方で使用する箇所の異常(例えば2次転写ローラ7やクリーニング部材8)であればステップS40へ移行し、全モータを停止させ、印刷を禁止する。
なお、異常があった場合には、その異常箇所を図示しない操作部の表示部あるいは通信可能なパーソナルコンピュータ等の外部機器の表示部に表示させることにより、サービスマンに通知することもできる。
【0046】
図9,図10は、図8のステップS35における異常検出処理のサブルーチンの一例を示すフローチャートである。
図1の制御IC11は、異常検出モードに移行すると、まずステップS41において、ローラ駆動機構12により、中間転写ベルト2の駆動に最低限必要なベルト搬送ローラ(中間転写ベルト2の搬送に必要なローラおよび最低限のベルトテンションをかけるためのローラ)以外のローラを全て中間転写ベルト2から離間させる。
【0047】
この第2実施例では、1次転写ローラ3K(1次転写接離K)のみを中間転写ベルト2に当接させ、1次転写ローラ3Y,C3,M3(1次転写接離Fc)、2次転写ローラ7、クリーニング部材8を中間転写ベルト2から離間させる。
この時点では、中間転写ベルト2の位置は主走査方向(幅方向)に大きく偏っており、そのまま中間転写ベルト2を駆動させてしまうと更に偏り、中間転写ベルト2が破損する恐れがある。そのため、ステップS42において、中間転写ベルト2の位置を中央方向(寄り制御が可能な位置まで)に戻すための処理を行う。この処理については、図11によって後述する。
【0048】
次に、ステップS43へ進んで異常検出0の有無をチェックし、ステップS42の処理で中間転写ベルト2の位置を中央方向に戻すのが失敗した場合には、メモリ13に異常検出0が記憶されているため異常検出モードを終了して、図8のメインルーチンへリターンする。
中間転写ベルト2の位置を中央方向に戻すのが成功した場合には、メモリ13に異常検出0が記憶されていないためステップS44へ進み、中間転写ベルト2の寄り制御を開始した後、ステップS45,S46へ進み、中間転写ベルト2の寄り制御開始から所定時間taを経過する前に、中間転写ベルト2もしくはステアリングローラ5の挙動による中間転写ベルト2、ベルト搬送ローラ、もしくは1次転写ローラ3Kの異常を検出したか否かを判定する。
【0049】
そして、中間転写ベルト2の寄り制御開始から所定時間taを経過する前に、中間転写ベルト2、ベルト搬送ローラ、もしくは1次転写ローラ3Kの異常を検出した場合には、ステップS56において、その検出した異常の箇所(異常検出1)をメモリ13に記憶し、異常検出モードを終了して、図8のメインルーチンへリターンする。その異常の検出は、図5によって説明した方法で行う。
【0050】
中間転写ベルト2の寄り制御開始から所定時間taを経過する前に、中間転写ベルト2、ベルト搬送ローラ、もしくは1次転写ローラ3Kの異常を検出しなかった場合には、ステップS47へ進む。
以降のステップS47〜S55,S57〜S62の処理、つまり各接離部材を中間転写ベルト2に順次当接させ、そのときの中間転写ベルト2もしくはステアリングローラ5の挙動による接離部材の異常を検出したかどうかを判定し、その判定結果に応じて行う処理は、図6,図7のステップS6〜S14,S19〜S24の処理と同様である。
【0051】
制御IC11は、ステップS62の処理を行った後、あるいはステップS54,S55の判定処理において、クリーニング部材8を中間転写ベルト2に当接させた時点から所定時間tdを経過する前に、そのクリーニング部材8の異常を検出しなかった場合に、全ての接離部材の異常検出のための処理が完了するため、異常検出モードを終了して、図8のメインルーチンへリターンする。
【0052】
図11は、図9のステップS42における中間転写ベルト2の位置を中央方向(寄り制御が可能な位置まで)に戻すための処理のサブルーチンの一例を示すフローチャートである。
図1の制御IC11は、まずステップS71において、中間転写ベルト2の幅方向の手前側(ベルト手前側)に設けられているオーバランセンサ10がオンになった(中間転写ベルト2を検出した)か、中間転写ベルト2の幅方向の奥側(ベルト奥側)のオーバーランセンサ10がオンになったかを判定する。
【0053】
そして、ベルト手前側に設けられているオーバランセンサ10がオンになっている場合には、ステップS72において、中間転写ベルト2がベルト奥側に寄る方向にステアリングローラ5を傾ける。また、ベルト奥側に設けられているオーバランセンサ10がオンになっている場合には、ステップS78において、中間転写ベルト2がベルト手前側に寄る方向にステアリングローラ5を傾ける。このときの、ステアリングローラ5の傾け角度(ステアリング移動量)は、中間転写ベルト2が確実に狙いの方向に寄るように大きく傾ける。
【0054】
その後、ステップS73へ進み、中間転写ベルト2の搬送(駆動)を開始させる。このとき、中間転写ベルト2が急激に寄って、その中間転写ベルト2が破損するのを防止するために、その搬送速度を遅く設定してもよい。
中間転写ベルト2の搬送を開始後、ステップS74,S75の判定処理へ進み、中間転写ベルト2の搬送開始から所定時間を経過する前にステアリングセンサ9による中間転写ベルト2の検出位置が所定の範囲内に収束したか否かを判定し、収束すればそのまま、収束していなければ中間転写ベルト2、ベルト搬送ローラ、もしくは1次転写ローラ3Kに異常があるため、ステップS76で中間転写ベルト2を停止させ、ステップS77でその異常の箇所(異常検出0)をメモリ13に記憶した後、図9のルーチンへリターンする。
【0055】
なお、以上説明した第1,第2実施例では、接離部材の異常検出を行う際に、複数の接離部材を順次中間転写ベルト2に接触させ、その接触後の中間転写ベルト2もしくはステアリングローラ5の挙動から複数の接離部材のうちのいずれかの異常を検出するようにしたが、複数の接離部材を順次中間転写ベルト2から離間させ、その離間後の中間転写ベルト2もしくはステアリングローラ5の挙動から複数の接離部材のうちのいずれかの異常を検出するようにすることもできる。
【0056】
また、第2実施例では、中間転写ベルト2が幅方向に寄りすぎていることをオーバランセンサ10により異常として検出したタイミングで、接離部材の異常検出を行う異常検出モードに移行するようにしたが、オーバランセンサ10の代わりにステアリングセンサ9を用い、中間転写ベルト2が幅方向に寄りすぎていることをステアリングセンサ9により異常として検出し(ステアリングセンサ9による検出値が所定の閾値を超えた場合に異常として検出し)、そのタイミングで異常検出モードに移行することもできる。
【0057】
このように、制御IC11が、ステアリングローラ5の現在のステアリング制御位置およびステアリングセンサ9の出力(検出値)に基づいて、中間転写ベルト2の幅方向の位置ずれを補正するためのステアリング制御位置変化量を算出し、ステアリングローラ5のステアリング制御位置を、その算出したステアリング制御位置変化量だけ変化させると共に、ローラ駆動機構12により、所定のタイミングにて複数の接離部材を順次中間転写ベルト2に接触またはその中間転写ベルト2から離間させ、その接触後またはその離間後の中間転写ベルト2もしくはステアリングローラ5の挙動をステアリングセンサ9を用いて監視し、その結果に応じて複数の接離部材のうちのいずれかの異常を検出することにより、接離部材に異常が発生した場合や中間転写ベルト2の搬送異常が発生した場合に、自動で異常箇所を特定することができる。
【0058】
以上、この発明を、中間転写ベルトの搬送を行うベルト搬送装置およびそれを備えた画像形成装置に適用した実施例について説明したが、この発明はこれに限らず、画像形成用の他のベルト(感光体ベルト,転写ベルト,転写搬送ベルト,シート搬送用ベルト,又は定着ベルト)の搬送を行うベルト搬送装置およびそれを備えた複写機やプリンタ等の画像形成装置にも適用可能である。
すなわち、中間転写ベルト上に各色の感光対が並べられて配設されるタンデム式の画像形成装置におけるベルト搬送装置にこの発明を適用した例について説明したが、この発明が適用可能な画像形成装置およびベルト搬送装置はこの構成に限るものではない。複数のローラに張架されたベルトをそのローラのうちの少なくとも1以上のローラによって搬送するベルト搬送装置を有する画像形成装置であれば、そのいずれのベルト搬送装置にも適用可能である。
【0059】
〔この発明に関わるプログラム〕
このプログラムは、ベルト搬送装置を制御するコンピュータ(CPU)に、この発明に関わる変化量算出手段,ステアリング制御手段,異常検出手段,他の異常検出手段,および寄り速度算出手段としての機能を実現するためのプログラムであり、このようなプログラムをコンピュータに実行させることにより、上述したような作用効果を得ることができる。
【0060】
このようなプログラムは、はじめからベルト搬送装置に備えるROM、あるいは不揮発性メモリ(フラッシュROM,EEPROM等)、あるいはHDD(ハードディスク装置)などの記憶手段に格納しておいてもよいが、記録媒体であるCD−ROM、あるいはメモリカード,フレキシブルディスク,MO,CD−R,CD−RW,DVD+R,DVD+RW,DVD−R,DVD−RW,又はDVD−RAM等の不揮発性記録媒体(メモリ)に記録して提供することもできる。それらの記録媒体に記録されたプログラムをベルト搬送装置にインストールしてCPUに実行させるか、CPUにそれらの記録媒体からこのプログラムを読み出して実行させることにより、上述した各手順を実行させることができる。
さらに、ネットワークに接続され、プログラムを記録した記録媒体を備える外部機器あるいはプログラムを記憶手段に記憶した外部機器からダウンロードして実行させることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上の説明から明らかなように、この発明によれば、ベルト搬送装置および画像形成装置が、接離部材に異常が発生した場合やベルトの搬送異常が発生した場合に、自動で異常箇所を特定することができる。したがって、この発明を適用することにより、接離部材に異常が発生した場合やベルトの搬送異常が発生した場合に、自動で異常箇所を特定可能なベルト搬送装置および画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0062】
1(1Y,C1,M1,K1):感光体 2:中間転写ベルト
3(3Y,C3,M3,K3):1次転写ローラ 4:駆動ローラ
5:ステアリングローラ 6:2次転写対向ローラ 7:2次転写ローラ
8:クリーニング部材 9:ステアリングセンサ 10:オーバランセンサ
11:制御IC 12:ローラ駆動機構 13:メモリ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開平09−16051号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の経路に沿って移動するベルトと、
該ベルトに接触または該ベルトから離間される複数の接離部材と、
前記ベルトの移動経路に交わる幅方向の位置を検出するベルト位置センサと、
前記ベルトに接し、ステアリング制御位置を変えることにより、前記ベルトの移動経路を制御するためのステアリング部材と、
該ステアリング部材の現在の前記ステアリング制御位置および前記ベルト位置センサの出力に基づいて、前記ベルトの前記幅方向の位置ずれを補正するためのステアリング制御位置変化量を算出する変化量算出手段と、
前記ステアリング部材の前記ステアリング制御位置を、前記変化量算出手段によって算出されたステアリング制御位置変化量だけ変化させるステアリング制御手段と、
所定のタイミングにて前記複数の接離部材を順次前記ベルトに接触または該ベルトから離間させ、該接触後または該離間後の前記ベルトもしくは前記ステアリング部材の挙動を前記ベルト位置センサを用いて監視し、その結果に応じて前記複数の接離部材のうちのいずれかの異常を検出する異常検出手段とを備えたことを特徴とするベルト搬送装置。
【請求項2】
前記所定のタイミングは、外部から要求された任意のタイミングであることを特徴とする請求項1に記載のベルト搬送装置。
【請求項3】
請求項1に記載のベルト搬送装置において、
前記ベルトが前記幅方向に寄りすぎていることを異常として検出する他の異常検出手段を設け、
前記所定のタイミングは、前記他の異常検出手段による異常検出時であることを特徴とする請求項1に記載のベルト搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載のベルト搬送装置において、
前記ベルトの前記幅方向の両端側にそれぞれ、該ベルトが該幅方向に寄りすぎていることを検出するオーバランセンサを設け、
前記他の異常検出手段は、前記オーバランセンサの出力に基づいて前記異常を検出することを特徴とするベルト搬送装置。
【請求項5】
前記他の異常検出手段は、前記ベルト位置センサによる検出値が所定の閾値を超えた場合に、前記異常として検出することを特徴とする請求項3に記載のベルト搬送装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のベルト搬送装置において、
前記ベルトの寄り速度を算出する寄り速度算出手段を設け、
前記異常検出手段は、前記ベルトの挙動として前記寄り速度算出手段による算出値が所定の閾値を超えた場合に、前記異常として検出することを特徴とする請求項1に記載のベルト搬送装置。
【請求項7】
前記異常検出手段は、前記ベルトの挙動として前記ベルト位置センサによる検出値が所定の閾値を超えた場合に、前記異常として検出することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のベルト搬送装置。
【請求項8】
前記異常検出手段は、前記ベルトの挙動として該ベルトの幅方向の位置の収束時間が所定の閾値を超えた場合に、異常として検出することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のベルト搬送装置。
【請求項9】
前記異常検出手段は、前記ステアリング部材の挙動として、前記複数の接離部材のいずれかによる前記ベルトへの接触後の前記ステアリング部材の前記ステアリング制御位置の正常時とのずれ量が所定の閾値を超えた場合に、前記異常として検出することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のベルト搬送装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のベルト搬送装置と、該ベルト搬送装置によって搬送される画像形成用のベルトとを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1に記載のベルト搬送装置と、該ベルト搬送装置によって搬送される画像形成用のベルトとを備え、
前記所定のタイミングは、電源オン時から画像形成動作までの間であることを特徴とするベルト搬送装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の画像形成装置において、
前記ベルトが、感光体ベルト,転写ベルト,中間転写ベルト,シート搬送用ベルト、定着ベルトのうちのいずれか1つ以上であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
所定の経路に沿って移動するベルトと、
該ベルトに接触または該ベルトから離間される複数の接離部材と、
前記ベルトの移動経路に交わる幅方向の位置を検出するベルト位置センサと、
前記ベルトに接し、ステアリング制御位置を変えることにより、前記ベルトの移動経路を制御するためのステアリング部材とを有するベルト搬送装置を制御するコンピュータに、
前記ステアリング部材の現在の前記ステアリング制御位置および前記ベルト位置センサの出力に基づいて、前記ベルトの前記幅方向の位置ずれを補正するためのステアリング制御位置変化量を算出する変化量算出機能と、
前記ステアリング部材の前記ステアリング制御位置を、前記変化量算出手段によって算出されたステアリング制御位置変化量だけ変化させるステアリング制御機能と、
所定のタイミングにて前記複数の接離部材を順次前記ベルトに接触または該ベルトから離間させ、該接触後または該離間後の前記ベルトもしくは前記ステアリング部材の挙動を前記ベルト位置センサを用いて監視し、その結果に応じて前記複数の接離部材のうちのいずれかの異常を検出する異常検出機能とを実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−198275(P2012−198275A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60658(P2011−60658)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】