説明

ベルト状の駆動手段をもつ装置、およびその装置における電気エネルギーまたは信号を伝達する方法

【課題】信頼性があって簡単な装置、および異なる種類のベルト状駆動手段を介してエネルギーおよび/または信号を伝達する方法を提供する。
【解決手段】例えばエレベータ装置(30)のような、ベルト状の駆動手段(32)をもち、駆動プーリ(35.1)によって駆動されると共に、信号および/またはエネルギーを伝達する少なくとも一つの導電要素を有し、この要素は、駆動手段の長手方向に延びている装置において、接触手段(40.2)が、装置の作動時に移動する駆動手段(32)の領域において少なくとも一つの導電要素と接触するように設けられ、駆動プーリ(35.1)からベルト状の駆動手段(32)への力の伝達は、摩擦結合によって行われる装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の導入部に係るベルト状駆動手段をもつ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような装置は、典型的には、エレベータ装置であり、エレベータケージに電流を供給するために、またはエレベータケージおよび制御機器間で信号を伝達するために、いわゆるつり下げ式ケーブルを装備している。ケーブルが損傷したときにそのようなエレベータ装置に混乱が生じることがある。さらに、状況によっては、ケーブルの設備や取り付けが複雑である。つり下げ式ケーブルはまた、例えばクレーン装置等のような他の装置でも用いられている。
【0003】
独国特許第10232965号明細書によれば、最近、一体化した導電体を有する駆動手段が使用されているつり下げ式ケーブルを交換する動きがある。しかしながら、この場合、電流が固定場所から駆動手段内に埋められた導電体に流さなければならず、また、駆動手段は、この固定場所上を移動するので、一体化した導電体との接触が困難である。そのため、上記特許明細書では、エレベータ装置の駆動プーリを修正すると共に、それに接点を設けることが提案されている。歯付きベルトの歯の間にアクセス可能な導電体を有する特別な歯付きベルトが用いられている。駆動プーリのまわりを走行中に、駆動プーリの歯先の接触場所は、歯付きベルトの歯間の領域において導電体と点状に係合する。
【0004】
この取り組み方法の欠点は、それが歯付きベルトの場合だけにしか用いることができないことである。さらなる欠点は、エレベータ装置の複雑で高価な部品である駆動プーリが、接点の取り付けのためにさらにいっそう複雑であることにある。さらに、駆動プーリがエレベータの安全性に関して主要な役割を有する。従って、実際には、むしろ、駆動プーリを修正しない傾向にある。歯隙間の領域における干渉は歯付きベルトを弱め、最悪の場合、ベルトの荷重負担能力を損ないさえすることがある。
【特許文献1】独国特許第10232965号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、信頼性があって簡単な装置、および異なる種類のベルト状駆動手段を介してエネルギーおよび/または信号を伝達する方法を提供することにある。本発明の他の目的としては、そのような装置の組み立てを簡単化して問題なく行うことができることとされる。他の目的は、そのような装置においてエネルギーおよび信号の伝達の経済的な解決法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、これらの目的は、独立請求項の特徴によって達成される。
【0007】
本発明の好ましい発展は、従属請求項によって定義される。
【0008】
本発明は、実質的に、ベルト状の駆動手段をもち、駆動プーリによって駆動されると共に信号および/またはエネルギーを伝達する少なくとも一つの導電要素を有し、この要素は、駆動手段の長手方向に延びており、接触手段が、装置の作動時に移動する駆動手段の領域において少なくとも一つの導電要素と接触するように設けられている、本発明に係る装置において、駆動プーリからベルト状の駆動手段への力の伝達は摩擦結合によって行われることにある。
【0009】
本発明に係る装置は次の利点を有する。
【0010】
摩擦結合により駆動プーリによって駆動されるベルト駆動手段を使用すると、摩擦材料および駆動プーリのループ角の選択により最大上昇牽引力に所定の制限を加えることができる。従って、駆動手段が妨害されることによって移動される物体が存在する可能性がある装置において、人に対する損傷および危険性を回避することができる。
【0011】
エレベータ装置において、駆動手段に対する牽引力の摩擦固定の伝達により、例えば、制御不能の場合に釣り合いおもりがその走行下限に移動するときに、エレベータケージがもはや上昇せず、これにより、安全性に関する危険性が取り除かれるという効果がある。従って、ケージまたは釣り合いおもりがその走行限界に移動するとき、駆動ユニットが突然停止することなく、駆動部の全体の過負荷を回避することができることを達成することもできる。
【0012】
駆動プーリによる摩擦結合によって駆動されるベルト状駆動手段は、歯付きベルトよりも製造がほぼより簡単でありより経済的である。
【0013】
例えば、エレベータ装置の場合、歯付き駆動手段に代えて一体化された導電体をもつ、摩擦結合によって作動する駆動手段を使用すると、エネルギーおよび/信号を伝達するつり下げ式ケーブルを装備せずに済ませることができる。従って、材料費コストが低減し、装置の組み立てが簡単化する。さらに、振動の影響を受けやすい懸吊ケーブルを案内しないことによる問題点が解消される。
【0014】
本発明を、例に基づき且つ図面を参照して以下に詳述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の第1の実施形態を図1に示す。図1に示す例は、機関室を有さず、エレベータケージ13を備えるエレベータ装置10である。互いにほぼ平行に延びている二つの駆動手段12.1、12.2が設けられている。以下の説明および図1では、前側駆動手段は12.1によって、後ろ側駆動手段は12.2によって示されている。これは、より良く識別するのに必要である。駆動手段12.1、12.2のケージ側の端部は、第1の駆動手段固定点19の領域において、案内レールまたはエレベータ昇降路に固定されている。駆動手段12.1および12.2の各々は、エレベータケージ13の下でループをなしており、駆動ユニット(図2では図示せず)に接続されている駆動プーリ15のまわりでループをなしており、且つ釣り合いおもり14を担持している。図示の例では、駆動手段12.1、12.2は、釣り合いおもり14を担持し、そのとき、駆動手段12.1、12.2は、釣り合いおもり・ローラ11のまわりで走行すると共に、釣り合いおもり側の端部が二つの駆動手段固定点18の領域において固定されている。図示された実施形態の場合、エレベータケージ13の下方のループは、それぞれ対配置のケージ支持ローラ17.1によって形成される。
【0016】
釣り合いおもりから検討すると、ベルト駆動部は、釣り合いおもり・ローラ11、駆動プーリ12、およびケージ支持ローラ17.1を備える。これらのローラは、駆動手段12.1を案内するので、案内ローラと称される。
【0017】
本実施形態では、ベルト状駆動手段12.1、12.2は、エレベータケージ13を移動するために駆動プーリ15によって駆動されるので、駆動プーリ15には、特に、機械的に負荷がかけられている。
【0018】
本発明によれば、駆動手段12.1、12.2の少なくとも一つは、信号および/またはエネルギーを伝達するための少なくとも一つの導電要素を備える。この伝達は、例えば、駆動手段側端部の領域におけるエレベータ昇降路内の駆動手段固定点19の領域の固定接続場所20.2からエレベータケージ13に、またはその反対方向に行うことができる。このため、導電要素は、駆動手段12.1、12.2の長手方向に沿って延びている。駆動手段12.1、12.2の領域におけるエレベータケージ13には、駆動手段12.1、12.2の少なくとも一つがその上を移動する接触手段20.1が設けられている。駆動手段12.1、12.2の長手方向に平行に延びる(長手)溝が、導電要素を備える駆動手段12.1、12.2に設けられている。この溝は、特別な接触手段20.1が導電要素にアクセスできるように設計されている。
【0019】
接触手段20.1は、駆動手段12.1、12.2の少なくとも一つに関して、エレベータケージ13が移動しているときにこれらの駆動手段12.1、12.2が接触手段20.1上を走行するように構成されており、配列されている。その場合、接触手段20.1は、導電要素に常時接触している。図1に示す実施形態の場合、接触手段は、(押さえ)ローラ17.2を備える。
【0020】
本発明の他の実施形態を、図2に関連して以下に説明する。概略的に示されたエレベータ昇降路31内でエレベータケージ33を移動するために駆動プーリ35.1を介して駆動ユニット36によって駆動されるベルト状駆動手段32を有するエレベータ装置30が示されている。信号および/またはエネルギーを伝達する少なくとも一つの導電要素は駆動手段32に設けられている。この導電要素は、駆動手段32の長手方向に沿って延びている。接触手段40.2は、駆動手段32の領域に設けられている。駆動手段32は、これらの接触手段40.2に対して相対的に移動する。
【0021】
駆動手段32の長手方向に平行に延びる少なくとも一つの溝は、駆動手段32に設けられている。この溝は、接触手段40.2が少なくとの一つの導電要素にアクセスできるように形成されている。接触手段40.2は、駆動手段32に関して、エレベータケージ33が移動しているときに駆動手段32が接触手段40.2上を走行するように構成されており、配列されている。その場合、接触手段40.2は、少なくとも一つの導電要素に常時接触している。
【0022】
図示の実施形態では、釣り合いおもり34は、締結手段34.1を介して駆動手段32の一端に締結されている。エレベータケージ33は、駆動手段32の他端に締結されている。釣り合いおもり34から検討すると、駆動手段32は、駆動ユニット36によって回転し始める駆動プーリ35.1のまわりでループをなしている。そこから、駆動手段32はエレベータケージ33に走行する。図示の例では、接触手段40.2は、押さえローラとして構成されている。押さえローラ40.2は、走行する駆動手段32上に軽い圧力を付勢するように配列されている。本実施形態の例では、押圧ローラ40.2は、駆動プーリに隣接して据えられている。
【0023】
接触手段40.2を介して、例えばエネルギーがエレベータケージ33に供給され得る。この目的のために、好ましくは、駆動手段の導電体とエレベータケージの消費部の間に常時電気的に接触する電気的接点40.1がケージの領域に設けられている。
【0024】
接触手段がエレベータ装置の異なる場所に位置することができることは、本発明の重要な利点であるとされる。従って、接触手段の固定場所は、信号および/またはエネルギーの供給および/または除去ができる限り有利になるように選択される。従って、接触手段は、例えば、エレベータの制御機器の直近に配列することができる。さらに、例えば、接触手段は、それらができる限り汚れない場所に配列することができる。
【0025】
従来の駆動手段を本発明に係る駆動手段で置き換えると共に、接触手段をエレベータケージの各位置にアクセス可能な駆動手段の領域に配列する点で既存のエレベータ装置を改良することも可能である。
【0026】
本発明を、図面を必要な限り参照して以下に詳細に説明する。取り扱われる本発明の態様は、明示的に言及しない限り、図1に示す実施形態に関連して用いられるばかりでなく、図2に示す実施形態に関連して用いられることができる。その場合、図1および図2は、事実上単に概略的であると共に、基本的なエレベータの構造を示すために選択されたものであることに注意すべきである。
【0027】
図1において、二つの駆動手段12.1、12.2が用いられている。しかしながら、本発明は、一般的に、少なくとも一つのベルト状駆動手段を有する任意のエレベータ装置と共に用いることができる。図2では、単一の駆動手段32を有する実施形態が示されている。
【0028】
この文脈では、ベルト状駆動手段として、長手方向とほぼ矩形断面を有すると共に、それ自体可撓性の駆動手段が示されている。典型的な例として、平ベルト(図7Aおよび図7B参照)歯付きベルトおよびくさびリブベルト(図3A、図4、図5A、図5B、図6A、図6B参照)が挙げられている。ここに列記されたものは、非限定的なものとして理解すべきである。
【0029】
図3Aに、くさびリブベルト40の断面が示されている。この断面は、ベルト40の長手軸に垂直に延びている。くさびリブベルト40は、四つのリブ44および三つのリブ中間スペース43をもつ前側と、ほぼ平坦な後ろ側42と、二つの側壁41とを有する。ベルト駆動部のローラ50の部分が図3Bに示されている。ローラ50は、一周する環状溝53およびリブ54を有する構造化された円筒状ケーシングを有する。これらは、好ましくは、ベルト40がローラ50のまわりに走行するときにベルト40を案内するように形成されている。ローラ50は、例えば駆動プーリとして機能を果たす。
【0030】
図3Aに示す本発明の実施形態によれば、ベルト40は、その後ろ側42に、ベルト40の長手軸に平行に延びる少なくとも一つの(長手)溝46を有する。本例では、二つの溝46が存在する。二つの導電体47が、溝46の下においてベルト40内に埋められている。これらの導電体47は、可撓性構造をなすと共に、ベルト40の長手軸に平行に延びている。
【0031】
駆動手段における導電体は、好ましくは、円または楕円状断面のような任意の断面形状を有することができる。好ましくは、細いワイヤで作られたワイヤケーブルを形成すると共に、いくつかの撚り線を備える導電体を使用するのが好ましい。この適用に最適化された強度特性を有する銅合金がワイヤ材料として特に適している。
【0032】
導電体は、例えばバネ青銅から成る金属ストリップであってもよい。
【0033】
ベルト状駆動手段を製造する場合、導電体は、有利には駆動手段の中に一体化されている。好ましい製造方法の場合、導電体は駆動手段の中に入り込んでおり、そこでは、導電体は、押出による導電体の製造中に、一般的に張力担持体と共にベルトケーシング内に埋め込まれている。必要な長手溝は、同じ押出処理において製造される。
【0034】
駆動手段における導電体はまた、銅合金の可撓性薄片をめっきすることにより実現される。この薄片は、例えば、接着により駆動手段の後ろ側または駆動手段の長手溝の底部に固定される。この場合、薄片は、好ましくは、可撓性駆動手段の中立区間の領域に配列されるべきである。
【0035】
導電体47および溝46がベルトの後ろ側42に配置されているので、図3Aに示す実施形態が好ましい。典型的には、ベルト40の前側だけが駆動プーリ上を走行すると共に、牽引力伝達の結果としてより高い負荷にさらされるので、ベルトの後ろ側42はほとんど機械的負荷がかからない。ベルトの後ろ側42は、ほぼ自由にアクセスすることができる。
【0036】
上記くさびリブベルトが、有利には摩擦力固定用(粘着力固定用)牽引要素として使用される。くさびリブベルトは、平ベルトと同様の走行特性の場合、その形状に基づいてより高いケーブル力比を可能とする。くさびリブベルトのさらなる利点はそれが自動調芯することである。さらに、くさびリブベルトは、例えば歯付きベルトよりさらに静かに走行する。
【0037】
本発明によれば、ベルト状駆動手段は、駆動手段に付加的な引っ張り強度および/または長手方向強度を与えるために、金属(例えば、鋼または銅撚り糸)または非金属撚り糸(例えば、アラミド撚り糸)、化学的ファイバP.B.O(ザイロン(Zylon)と称される)等の形態の張力担持体を装備することができる。
【0038】
本発明に係る駆動手段内に存在する導電要素は、例えば、固定した場所からエレベータケージまたは釣り合いおもりに電気的エネルギーを伝達し且つ/または信号(アナログおよび/またはディジタル)を伝達する機能を有する。
【0039】
従って、例えば、エレベータケージ内のエネルギー消費部、例えば照明またはファンは、駆動手段およびその導電体を介して電力が供給され得る。そのような電気接続はまた、エレベータの釣り合いおもりに配置されたエレベータ駆動部に電力を供給するか、またはそこに取り付けられた安全制動装置を電気的に作動させる目的を果たすことができる。エネルギー源は、例えば、エレベータ昇降路の適宜な場所に据えることができる。駆動手段内の導電体は、正の電圧をエレベータケージ内の消費部に導くことが考えられる。このエレベータケージでは、エレベータケージの案内レールを介して接地されている。
【0040】
しかしながら、導電体をもつ駆動手段はまた、信号伝達用としても用いることができる。従って、例えば、エレベータケージの要求呼び出しまたは非常呼び出しは、駆動手段の導電体を介してエレベータ昇降路内の制御機器に受け渡すことができる。このために、例えば、エレベータケージと制御機器またはコンピュータの間のバス接続の形態が駆動手段を介して実現され得る。
【0041】
「ハイブリッドバージョン」では、エネルギー供給ばかりでなく、信号伝達もまた駆動手段の導電体を介して行うことができる。従って、例えば、必要な導電体の数を減らすために、伝達すべき信号は、エネルギーを導く導電体上で調節することができる。従って、例えば、適宜な配線の場合、エレベータケージにエネルギーが供給することができるばかりでなく、エレベータケージと制御機器の間の通信を管理することができる。
【0042】
このように存在する張力担持体は、図5A、図6A、および図7Aで認めることができる。それらは、引っ張り強度を増加させるだけでなく、電気的機能をも果たす。
【0043】
図4には、押さえローラ70の形態の接触手段と協働する他のくさびリブベルト60が概略的に示されている。くさびリブベルト60は、三つのリブ64を有する。図示された例では、導電体67は、特にその目的のための溝内の二つのリブ中間スペースに据えられている。溝は、くさびリブベルト60の前側からアクセスすることができる。図示された実施形態の例では、ベルト60は、四つのリブ74および三つのリブ中間スペース73をもつ構造化された円筒状周面を有する押さえローラ70のまわりに走行する。二つの金属ディスク71が、押さえローラ70の中に組み込まれており、リブ74の頂部を超えて突出している。ディスク71は、ベルト60の溝内に係合すると共に、そこで導電体67と接触するように構成されている。ディスク71と電気的に接続された二つの導電スリーブ72は、ローラ70の軸77と同軸的に配置されている。二つの導電ディスク75は、ローラ70の二つの端面の領域において対応する凹所に据えられる。ディスク75は、それぞれ、スリーブ72と導電的に接続されている。例えば摺動接点76は、図4に示すように、ディスク75に対して外側から押圧することができる。導電体67との導電接続は、これらの摺動接点76、ディスク75、スリーブ72およびディスク71を介して形成することができる。
【0044】
図5Aおよび図5Bには、駆動手段80と、押さえローラ83を備える接触手段81とをもつ本発明に係る装置の部分の他の実施形態が示されている。図5Aには、概略断面図が示されている。図5Bは、図5Aの線A−Aに沿う断面図を示す。駆動手段は、四つのリブと三つのリブ中間スペースを有するくさびリブベルト80である。好ましくは鋼ワイヤ撚り糸の形態をとる張力担持体は、参照番号88で示されている。ベルト80の長手軸に平行に延びる三つの(長手)溝86は、図示の例では、ベルト80の後ろ側に設けられている。三つの導電体87がベルト80内に設けられている。導電体87も同様にベルトの長手方向に平行に延びている。導電体87は、可撓性であり、ベルトおよび導電体87の各設計により、電気的機能の他に支持機能をも果たす。ベルト80は、後ろ側が押さえローラ83の接触ディスク84に接触する。これらの接触ディスク84は、(長手)溝86に係合し、導電体87に導電的に接触する。
【0045】
図5Aおよび図5Bに概略的に示すように、押さえローラ83は、ローラ軸83.1を有する回転自在に取り付けられたローラである。駆動手段80が押さえローラ83上を移動するとき、押さえローラ83は回転し始め、接触ディスク84の最外周の周速は、駆動手段80の速度にほぼ対応する。これにより、接触ディスク84と導電体87の間に恒久的な、摺動することなく(non−wiping)電気的に接触する状態がもたらされる。
【0046】
駆動手段80と接触ディスク84の間に最小ループ角、例えば、できるだけ大きな接触領域を得るために3°を超えるループ角が存在する実施形態が特に好ましい。
【0047】
接触手段81は、好ましくは、電圧導電部との意図しない接触や汚れに対して保護するためにハウジング82を備える。
【0048】
図示の実施形態では、個々の接触ディスク84と導電的に接触する三つの摺動接点85.3が押さえローラ83の上方に設けられている。摺動接点85.3は、ケーブル85.2を介してプラグ接点85.1等に接触している。三つの摺動接点85.3は、絶縁構造のレール85上に据えられている。例えば、エレベータ制御機器との接続が、プラグ接点85.1を介して行われることができる。
【0049】
図6Aおよび図6Bには、本発明の他の実施形態が示されている。これらは、図5Aおよび図5Bに示す実施形態に概ね対応しているので、以下、本実施形態の本質的な要素についてのみ説明する。
【0050】
押さえローラ93を備えると共に、駆動手段90内に埋め込まれた導電体97と接触する接触手段91が示されている。駆動手段90は、四つのリブおよび三つのリブ中間スペース並びに複数の張力担持体98を有するくさびリブベルト90である。図示の例では、ベルトの前側は、押さえローラ93のまわりで走行し、押さえローラ93は、その外周が適切に構造化されている。
【0051】
図示の例では、ベルト90の長手軸に平行に延びる三つの(長手)溝(図6Aおよび図6Bでは図示せず)がベルト90の前側に設けられている。三つの導電体97は、ベルト90内のこれらの溝の領域に設けられている。ベルト90は、前側が押さえローラ93の接触ディスク94と接触するようになる。これらの接触ディスク94は、(長手)溝に係合し、導電体97と導電的に接触する。
【0052】
概略的に示すように、押さえローラ93はまた、回転軸93.1をもつ回転自在に取り付けられたローラである。これにより、接触ディスク94と導電体97の間に恒久的な、摺動することなく電気的に接触する状態がもたらされる。
【0053】
図6Bから明らかなように、駆動手段90が、できる限り大きな接触領域を得るために、最小ループ角で接触ディスク94のまわりでループをなす実施形態が特に好ましい。
【0054】
接触手段91は、好ましくは、電圧導電部との意図しない接触や汚れに対して保護するためにハウジング92を備える。
【0055】
図7Aおよび図7Bには、本発明の他の実施形態が示されている。これらは、図5Aから図6Bに示す実施形態に概ね対応しているので、以下、本実施形態の本質的な要素についてのみ説明する。
【0056】
押さえローラ103を備えると共に、駆動手段100と接触する接触手段101が示されている。駆動手段100は平ベルトである。三つの導電体107および四つの張力担持体108がベルト100内に設けられている。ベルト100は、一方の側が押さえローラ103の接触ディスク104に接触するようになる。これらの接触ディスク104は、(長手)溝と係合すると共に、導電体107と導電的に接触する。
【0057】
概略的に示すように、押さえローラ103はまた、回転軸103.1をもつ回転自在に取り付けられたローラであり(このローラは、上述の場合と異なる状態で取り付けられている)、これにより、接触ディスク104と導電体107の間に恒久的な、摺動することなく接触する状態がもたらされる。三つの摺動リング105.4は、押さえローラ103の端面の一つに設けられている。摺動接点105.3は、個々の接触ディスク104とプラグ接続部105.1の間を接触させるために、これらの摺動リング105.4に対して軸方向に押圧される。例えばケーブル105.2は、摺動接点105.3とプラグ接続部105.1の間に設けることができる。
【0058】
図7Bから明らかなように、駆動手段100が、できる限り大きな接触領域を得るために、最小ループ角によって接触ディスク104のまわりでループをなす実施形態が特に好ましい。
【0059】
接触手段101は、好ましくは、電圧導電部との意図しない接触や汚れに対して保護するためにハウジング102を備える。
【0060】
図8は、ベルト状駆動手段10が、駆動手段のケーシングの外側に適用されると共に、例えば、良好な導電性をもつ金属合金から作られる平坦な導電トラック117の形態の導電体を有する本発明に係る装備を示す。ベルト案内がこれを許容するところでは、導電体トラック117が、ベルトプーリに接触しない駆動手段110の後ろ側に適用される。導電体トラック117は、通常、駆動手段のケーシングに接着により固定されるが、既知の化学および/または物理的めっき法によってケーシング材料の上に被覆される。張力担持体118をもつ平ベルトの形態の駆動手段110、および好ましくはポリウレタンから成るケーシングが示されている。接触手段111はまた、この場合、導電体117が接触することができる複数の接触ディスク114をもつ押さえローラ113を備える。押さえローラ113は、この場合、駆動手段110を横方向に案内して、接触ディスク114と導電トラック117とを正しく協働させるために、横方向フランジ119を装備する。駆動手段の外側に適用されると共に接触に対して保護されていない導電トラックをもつ実施形態の場合、50ボルト未満の電圧の伝達システムを使用することは、電気エネルギーおよび信号の伝達に対する安全性の理由で有用である。
【0061】
図9および図10に概略的に示されている他の実施形態において、接触手段はローラまたはディスクの部分ではない。図9に示す図解は、撓みまたは押さえローラ133上を走行するベルト状駆動手段130(平ベルト130)の断面図である。撓みまたは押さえローラ133は、埋め込まれた導電体137を中に含む本発明に係る駆動手段130を押圧する。(長手)溝136が、駆動手段の後ろ側に設けられている。導電ケーブル131、例えば鋼ケーブルは、二つの締結点132の間のローラ133の上方で締め付けられる。締結点132は、駆動手段130の最上の旋回点のやや上方にある。これにより、図9にやや誇張されて示すように、ケーブル131が少なくとも5°、好ましくは10°のループ角Bだけ溝に係合するばかりでなく、ベルトの後ろ側で導電体137のまわりに堅く締まり、その結果、ケーブル131は、ベルト状の駆動手段130内の導電体137と接触可能になる。本発明の知見によれば、当業者は、明らかに、より大きなループ角B、例えばB<20°、好ましくはB<60°、またはさらにはB<180°で実施形態を実現することができる。
【0062】
図10は、ベルト状駆動手段140と、少なくとも一つの摺動接触要素144を備える接触手段141とをもつ本発明の他の実施形態を示す。接触要素144は、ベルト状駆動手段のケーシング内の溝146と係合すると共に、曲がりバネ148による設定可能な力によってベルト状案内手段140内に埋められた導電体147に対して弾性的に押圧される。曲がったスキッド149を備える接触手段144は、ケーブル145.2およびプラグ145.1を介して導電体147と接触可能になる。
【0063】
図11および図12は、本発明に係る装備が特に有利に使用されているエレベータ装置を示す。
【0064】
図11には、エレベータ昇降路150.1に設置され、エレベータケージ153および釣り合いおもり154をもつエレベータ装置であって、駆動ユニット156が釣り合いおもり154に取り付けられている装置が概略的に示されている。エレベータケージおよび釣り合いおもりは、ベルト状支持駆動手段152に懸吊されている。これは、第1の固定点158から釣り合いおもり154に取り付けられた駆動ユニット156の駆動プーリ155.1に下方に走行し、駆動プーリのまわりでループをなし、次いで、エレベータ昇降路150.1の昇降路頂部に設置された撓みローラ155.2に上方に延び、このローラのまわりでループをなし、エレベータケージ153の第1の支持ローラ155.3に下方に延び、この支持ローラのまわりでループをなし、エレベータケージの第2の支持ローラ155.4に水平に走行し、この支持ローラのまわりでループをなし、最後に、支持案内手段の第2の固定点159に上方に延びている。ケージおよび釣り合いおもりは、支持駆動手段の2:1ワイヤ掛け法(reeving)によって懸吊されている。上記実施形態は、一方では、駆動ユニット156の重量が釣り合いおもり154の重量に寄与すると共に、他方では、駆動ユニットのモータがエレベータケージの走行中の走行空気の流れによって集中的に冷却されるという利点がある。釣り合いおもりに装備された駆動ユニットをもつ前述の従来例の欠点は、可撓性のつり下げ式ケーブルを介してまたは摺動導電体を介して駆動ユニットに対する電流の送給がなされてしまうことにある。この欠点は、適宜な接触システムと共に一体的な導電体をもつ本発明に係るベルト状支持手段を用いることによって解消することができる。
【0065】
図11は、釣り合いおもり154上の駆動ユニット156に送給される電流の原理を以下のように示す。
【0066】
電流ケーブル157.2は、昇降路頂部に装備された端子ボックス157.1から支持駆動手段の第1の固定点158に導かれる。この固定点では、電流ケーブル157.2の導電体が、支持駆動手段152の中にまたは支持駆動手段に存在する導電体と静的に接続されている。構成が、例えば、図6A、図6Bまたは図7A、図7Bに示された接触手段91、101の一つに対応する接触手段151が、釣り合いおもりに取り付けられた駆動ユニット156の上方の釣り合いおもり154に締結されている。この接触手段151に存在する接触ディスクは、支持駆動手段内に存在する導電体からモータケーブル157.3を介して、駆動ユニット156のモータに電流を導通させる。支持駆動手段は、例えば、釣り合いおもりにおける電気的に作動する安全制動装置を作動させることができる信号伝達用の導電体を明らかに含む。
【0067】
図12は、駆動ユニット166が取り付けられたエレベータケージ163および釣り合いおもり164をもつエレベータ昇降路160.1に設置されたエレベータ装置160を概略的に示す。エレベータケージ163および釣り合いおもり164は、ベルト状支持駆動手段162に懸吊されている。これは、第1の固定点168から釣り合いおもり164の支持ローラ165.1に下方に走行し、この支持ローラのまわりにループをなし、続いてエレベータ昇降路160.1の昇降路頂部に設置された第1の撓みローラ165.2に上方に延び、このローラのまわりでループをなし、第2の撓みローラ165.3に水平に延び、このまわりで走行し、エレベータケージ163上に取り付けられた駆動ユニット166の駆動プーリ165.4に下方に延び、この駆動プーリのまわりでループをなし、最後に、支持駆動手段162の第2の固定点169に上方に延びている。ケージおよび釣り合いおもりは、支持駆動手段の2:1ワイヤ掛け法(reeving)によって懸吊されている。エレベータ装置の上記実施形態は、駆動ユニット166のモータが、エレベータケージの走行中の走行空気の流れによって集中的に冷却されるという利点がある。さらに、駆動ユニット166は、保守のために問題なくアクセス可能であり、これは、特に、機関室のないエレベータ装置の場合に有利である。エレベータケージに設置された駆動ユニットをもつ前述の従来例の欠点は、可撓性のつり下げ式ケーブルを介してまたは摺動導電体を介して駆動ユニットに対する電流の送給がなされてしまうことにある。この欠点は、適宜な接触システムと共に一体的な導電体をもつ本発明に係るベルト状支持手段を用いることによって解消することができる。
【0068】
図12は、エレベータケージ163上の駆動ユニット166に送給される電流の原理を以下のように示す。
【0069】
電流ケーブル167.2は、昇降路頂部に設置された端子ボックス167.1から支持駆動手段162の第2の固定点169に導かれる。電流ケーブル167.2の導電体は、この固定点において支持駆動手段の中にまたは支持駆動手段にある導電体と静的に接続される。構造が、例えば図5A、図5B、または図7A、図7Bに示された接触手段81、101の一つに対応する接触手段161は、エレベータケージ163に取り付けられた駆動ユニット166の駆動プーリ165.4の上方に締結されている。この接触手段161内にある接触ディスクは、支持駆動手段162の中にまたは支持駆動手段にある導電体から駆動ユニット166のモータにモータケーブルを介して電流を導通させる。支持駆動手段は、信号伝達用の、例えばエレベータケージへの走行命令伝達用の導電体を明らかに含む。
【0070】
図11および図12に示すエレベータ装置の場合、ベルト状支持駆動手段152、162は、支持撓みローラと同じように駆動プーリのまわりの走行時に、常に同じ向きで曲がるように装備されている。従って、支持駆動手段内に一体化している導電体が任意の機械的交番応力に晒されなくして、もって耐用年数に大変好ましい効果を得ることができる。図11に係るエレベータ装置の場合、ベルト状支持駆動手段152の常に同じ向きにある曲げは、昇降路頂部に装備された撓みローラ155.2とエレベータケージの第1の支持ローラ155.3の間にあるベルトの張り152.1の領域において、このベルトの張りの長手軸のまわりに180°だけ、これが捩られることにより達成される。
【0071】
上記のように、種々のベルト状の駆動手段は、前側および後ろ側を有する。駆動手段の後ろ側に溝が設けられている実施形態が特に好ましい(例えば図1、図2、図3A、図5A、および図7Aを参照)。エレベータケージが移動しているときは、駆動手段の後ろ側は、接触手段上を走行し、もって接触手段は、駆動手段の後ろ側から導電要素と常時接触することができる。これらの実施形態は、それらが、駆動手段内の導電体が前側からアクセス可能である実施形態(例えば図6A参照)よりも悪い影響を受けないという利点を有する。
【0072】
本発明に係る接触手段は、駆動手段の溝と係合する摺動接触要素を有することができる。その例は、図8および図9に示されている。これにより、導電体との摺動接触が可能になる。
【0073】
非摺動接触が可能な実施形態は特に好ましい。この例は、図1、図2、図4、図5A、図6A、図6B、図7A、および図7Bに示されている。これらの図に示された装置の適宜な改良点の場合、接触手段は、回転し始め、これにより、すでに述べたように、駆動手段内の導電体との接触領域における接触手段の周速を駆動手段の速度にほぼ対応させることができる。この場合、回転する常時接点を理想的に実現することができる。
【0074】
接触手段は、好ましくは、駆動手段との接触によって回転し始めるように好ましくは回転自在に取り付けられている。従って、この場合、いわゆる連れ回り接触手段が関連している。
【0075】
図1に関連して、エレベータケージに接触手段を有するエレベータ装置が記載されている。これらの接触手段は、それに相対的に固定してエレベータケージと共に移動すると共に、実施形態により駆動手段内の導電体と摺動または非摺動接触する。本実施形態は、直接的に(1:1)懸吊されていない、即ち、例えばループが不足しているケーブルを有するエレベータケージに特に適している。
【0076】
テストから、接触手段と導電要素の間に、駆動手段の長手方向に平行に少なくとも5ミリメートルの長さAを有する接触領域が確保されるべきであることが分かる(例えば図8参照)。従って、常時確実で且つ混乱のない接触は、極端な状況においてでさえも保証することができる。さらに、汚れについては副次的な役目である。
【0077】
本発明は、取り付けが簡単な改良用部品一式として提供することができる。
【0078】
本発明は、従来のつり下げ式ケーブルと組み合わせて実現することができる。
【0079】
本発明は、無線により作動する通信手段によって補完するかまたは拡張することもできる。従って、例えば、エレベータケージのエネルギー供給は駆動手段を介して達成することができ、ケージからエレベータ制御機器への信号伝達は赤外線またはRF(無線周波数)を介して行われる。
【0080】
本発明はまた、一つを超える数のエレベータケージが移動するエレベータ装置、例えば、同じ支持駆動手段につり下げられると共に、互いに釣り合い重りとして機能する二つのエレベータケージが移動するエレベータ装置で用いられてもよい。
【0081】
有利には、ベルトガイドおよび駆動部に属するエレベータ装置のローラは、信号および/またはエネルギーの供給または導出に用いられていない。導電要素は、個別に構成され、特別に最適化されており、これにより、安全とコスト的有利性が達成される。
【0082】
ベルト状の駆動手段の中にまたは駆動手段における電流が導通する導電体による危険性に対して人を保護するために、二つの可能性が挙げられる。
・ 駆動手段に接触したときに危険が生じないように、導電体は駆動手段に埋め込まれる。その場合、それらは、狭い溝を介してのみアクセスすることができる。
・ 図8に関連してすでに述べたように、エネルギーと信号の伝達は、50ボルト未満の電圧で行うことができる。この場合、導電体がベルト状駆動手段の周囲の外部に固定されているときでさえ、接触の安全性は確保される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係るエレベータ装置の概略部分図である。
【図2】本発明に係る他のエレベータ装置の概略部分側面断面図である。
【図3A】本発明に係る駆動手段の概略断面図である。
【図3B】図3Aにおける駆動手段がそのまわりを回ることができるローラの概略断面図である。
【図4】本発明に係る駆動手段および接触手段の概略断面図である。
【図5A】本発明に係る、押さえローラおよびくさびリブベルトを有する接触手段の概略断面図である。
【図5B】図5Aに示す、押さえロータおよびくさびリブベルトを備える接触手段の線A−Aに沿う概略断面図である。
【図6A】本発明に係る、押さえローラおよびくさびリブベルトを有する他の接触手段の概略断面図である。
【図6B】図6Aに示す、押さえローラおよびくさびリブベルトを備える接触手段の線A−Aに沿う概略断面図である。
【図7A】本発明に係る、押さえローラおよび平ベルトを有する他の接触手段の概略断面図である。
【図7B】図7Aに示す、押さえロータおよび平ベルトを備える接触手段の線A−Aに沿う概略断面図である。
【図8】本発明に係る、押さえローラを備え、外部導電トラックを備える平ベルトの他の接触手段の概略断面図である。
【図9】本発明に係る、駆動手段の部分および接触手段の概略図である。
【図10】本発明に係る、平ベルトにおける導電体上を摺動する摺動接点を備える他の接触手段の概略断面図である。
【図11】釣り合いおもりに設置された駆動ユニットを備える、本発明に係るエレベータ装置の概略図である。
【図12】エレベータケージに設置された駆動ユニットを備える、本発明に係る他のエレベータ装置の概略図である。
【符号の説明】
【0084】
10、30、150、160 エレベータ装置
11、17.2、50 ローラ
12、15、35.1、155.1、165.4 駆動プーリ
12.1、12.2、80、90、100、110 駆動手段
13、33、153、163 エレベータケージ
14、34、154、164 釣り合いおもり
17.1 ケージ支持ローラ
18、19 駆動手段固定点
20.1、40.2、81、91、101、111、141、151 接触手段
20.2 固定接続場所
31、150.1、160.1 エレベータ昇降路
32、130、140 ベルト状駆動手段
34.1 締結手段
36、156、166 駆動ユニット
40、60、80、90 くさびリブベルト
41 側壁
42 後ろ側
43 リブ中間スペース
44、54、64、74 リブ
46、86、136、146 溝
47、67、87、97、107、137、147 導電体
53 環状溝
70、83、93、103、113、133 押さえローラ
71 金属ディスク
72 導電スリーブ
73 中間スペース
75 導電ディスク
76、85.3、105.3 摺動接点
77 軸
82、92、102 ハウジング
83.1 ローラ軸
84、94、104、114 接触ディスク
85 レール
85.1 プラグ接点
85.2、105.2、145.2 ケーブル
88、98、108、118 張力担持体
93.1、103.1 回転軸
105.1 プラグ接続部
105.4 摺動リング
117 導電トラック
119 横方向フランジ
131 導電ケーブル
132 締結点
144 摺動接触要素
145.1 プラグ
148 曲がりバネ
149 スキッド
152、162 ベルト状支持駆動手段
155.2、165.2、165.3 撓みローラ
155.3、155.4、165.1 支持ローラ
157.1、167.1 端子ボックス
157.2、167.2 電流ケーブル
157.3 モータケーブル
158、168 第1の固定点
159、169 第2の固定点
161 接触手段
162 支持駆動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト状駆動手段(12.1、12.2、32、40、60、80、90、100、110、130、140、152、162)をもつと共に、駆動プーリ(15、35.1、155.1、165.4)によって駆動される装置(10、30、150、160)であって、信号および/またはエネルギーを伝達する少なくとも一つの導電要素(47、67、87、97、107、117、137、147)が、駆動手段(12.1、12.2、32、40、60、80、90、100、130、140、152、162)の中にまたは駆動手段に設けられていると共に、駆動手段の長手方向に延びており、装置の作動時に移動する駆動手段の領域において少なくとも一つの導電要素(47、67、87、97、107、137、147)と接触する接触手段(20.1、40.2、70、81、91、101、111、131、141)が設けられている装置(10、30、150、160)において、駆動プーリ(15、35.1、155.1、165.4)からベルト状駆動手段(12.1、12.2、32、40、60、80、90、100、110、130、140、152、162)への力の伝達は、摩擦結合によって行われることを特徴とする、装置。
【請求項2】
導電要素(47、67、87、97、107、117、147)の接触は、装置のベルトプーリ(11、15、17.1、35.1、155.1、155.2、155.3、155.4、165.1、165.2、165.3、165.4)と接触しない駆動手段(12.1、12.2、32、40、60、80、90、100、110、140、152、162)の領域において、接触手段(20.1、40.2、70、81、91、101、111、141)によって行われることを特徴とする、請求項1に記載の装置(10、30、150、160)。
【請求項3】
エレベータ装置であって、駆動手段(12.1、12.2、32、40、60、80、90、100、110、140、152、162)がエレベータケージ(13、33、153、163)を移動することを特徴とする、請求項1または2に記載の装置(10、30、150、160)。
【請求項4】
駆動手段(12.1、12.2、32、40、60、80、90、100、140)の長手方向に平行に延びていると共に、少なくとも一つの導電要素(47、67、87、97、107、117、147)への接触手段(20.1、40.2、70、81、91、101、141、151、161)のアクセスを可能とする少なくとも一つの溝(46、86、146)が、駆動手段(12.1、12.2、32、40、60、80、90、100、110、140)に設けられていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置(10、30、150、160)。
【請求項5】
駆動手段(12.1、12.2、32、40、80、100、140)は、
・ 前側および後ろ側(42)を有し、
・ 溝(46、86)は、駆動手段(12.1、12.2、32、40、80、100、140)の後ろ側(42)に設けられており、
・ エレベータケージ(13、33、135、163)が移動しているとき、駆動手段(12.1、12.2、32、40、80、100、140)の後ろ側(42)は、接触手段(20.1、40.2、81、101、141)上を走行し、
・ 接触手段(20.1、40.2、81、101、141)は、駆動手段(12.1、12.2、32、40、80、100、140)の後ろ側(42)から、少なくとも一つの導電要素(47、87、107、147)に常時接触することを特徴とする、請求項4に記載の装置(10、30、160)。
【請求項6】
駆動手段(110)の少なくとも一つの導電要素は、駆動手段(110)の後ろ側または前側にめっきされた導電トラック(117)であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置(10、30、160)。
【請求項7】
駆動手段(12.1、12.2、32、40、60、80、90、140、152、162)はくさびリブベルトであり、リブ(44、64)は、駆動手段(12.1、12.2、32、40、60、80、90、140、152、162)の前側に設けられていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置(10、30、150、160)。
【請求項8】
接触手段(131)は、少なくとも一つの導電要素(117、137、147)と摺動接触する少なくとも一つの摺動接触要素(131、144)を備えることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置(10、30、150、160)。
【請求項9】
接触手段(20.1、40.2、70、81、91、101)は、少なくとも部分的に溝(46、86)に係合し且つ少なくとも一つの導電要素(46、67、87、97、107)と接触することができると共に、回転自在に取り付けられた少なくとも一つの接触要素(71、84、94、104)を備えることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置(10、30、150、160)。
【請求項10】
回転自在に取り付けられた接触要素(71、84、94、104、114)は、押さえローラ(17.2、40.2、83、93、103、113)の部分であるか、または前記押さえローラの領域に配列されていることを特徴とする、請求項9に記載の装置(10、30)。
【請求項11】
押さえローラ(17.2、40.2、83、93、103、113)は、駆動手段の案内に必須のプーリおよびローラ(11、15、17.1、35.1、155.1、155.2、155.3、155.4、165.1、165.2、165.3、165.4)のグループに属していないことを特徴とする、請求項10に記載の装置(10、30、150、160)。
【請求項12】
押さえローラ(17.2、40.2、83、93、103、113)は、駆動手段(12.1、12.2、32、80、90、100、110)に対し圧力を付勢し、駆動手段は、少なくとも5°の角度範囲(B)で押さえローラ(17.2、40.2、83、93、103、113)のまわりでループをなすように配列され、構成されることを特徴とする、請求項10または11に記載の装置(10、30)。
【請求項13】
接触手段(20.1、161)は、エレベータケージ(13、162)にまたは釣り合いおもり(154)に配列されており、駆動手段(12.1、12.2、152、162)は、エレベータケージ(13、163)または釣り合いおもり(154)の接触手段(20.1、151、161)上を移動することを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置(10、160)。
【請求項14】
駆動ユニット(156、166)は、釣り合いおもり(154)またはエレベータケージ(153、163)に設置されているエレベータ装置(150、160)であることを特徴とする、請求項13に記載の装置(150、160)。
【請求項15】
接触手段(40.2)は、装置(30)のエレベータ昇降路(31)内に配列されており、駆動手段(32)は、接触手段(40.2)に対して移動することを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置(30)。
【請求項16】
駆動手段(152、162)が、ベルトプーリ(155.1、155.2、155.3、155.4、165.1、165.2、165.3、165.4)上を走行中に、常に同じ向きで曲がるように案内されているエレベータ装置(150、160)であることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の装置(150、160)。
【請求項17】
請求項1に記載の装置における電気エネルギーまたは電気信号を伝達する方法において、導電要素(47、67、87、97、107、117、147)は、ベルトプーリ(11、15、17.1、35.1、155.1、155.2、155.3、155.4、165.1、165.2、165.3、165.4)と接触しない駆動手段(12.1、12.2、32、40、60、80、90、100、110、140、152、162)の領域において、接触手段(20.1、40.2、70、81、91、101、111、141)によって接触されることを特徴とする、方法。
【請求項18】
エネルギーばかりでなく信号もまた少なくとも一つの導電要素(47、67、87、97、107、117、147)を介して同時に伝達されることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
エネルギーが少なくとも一つの導電要素(47、67、87、97、107、117、147)を介して伝達されると共に、信号が無線で機能する伝達手段を介して伝達されることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
・ 一体化した導電体(47、67、87、97、107、117、137、147)をもつ駆動手段(12.1、12.2、32、40、60、80、90、100、110、130、140、152、162)を取り付け、
・ 接触手段(20.1、40.2、70、81、91、101、111、131、141)を、接触手段の接触要素(131、144、71、84、94、104、114)が駆動手段に一体化した導電体に接触する接触手段上を駆動手段が移動するように置き、
・ 接触手段と、その目的および/または制御手段用として設けられた電気消費部(156、166)との間で電気的接続(157.3)をなすことを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の装置を組み立てる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−182566(P2006−182566A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−362750(P2005−362750)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(390040729)インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト (166)
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】