説明

ベルト装置及び画像形成装置

【課題】 転写ベルト14がフランジ面18Aを乗り越えてしまうことを抑制する。
【解決手段】 駆動ローラ15の軸方向端部に鍔状のフランジ面18Aを有するカラー18を設けるとともに、フランジ面18Aを転写ベルト14の外周面14Bより径方向外側まで延出させ、かつ、フランジ面18Aのうち転写ベルト14の端部と対応する面に径方向外側に向かうほど軸方向中央側に近づくように円錐面状に傾斜した傾斜錐面18Bを設定する。これにより、傾斜錐面18Bは、フランジ面18Aの外径側を軸方向中央側に返した「返し」と同様な機能を果たすこととなるので、フランジ面18Aの直径寸法を大きくすることなく、転写ベルト14がフランジ面18Aを乗り越えてしまうことを十分に抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は無端ベルト等からなるベルト装置、及びこのベルト装置を用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の発明では、無端ベルトが架け渡された一対のローラの軸方向端部に円板状のフランジ面を設けて無端ベルトが軸方向に移動(以下、斜行という。)することを防止している。
【0003】
なお、画像形成装置用のベルト装置において、無端ベルトが斜行すると、形成される画像の品質が大きく悪化してしまうおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−170478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、無端ベルトを斜行させる力が大きい場合には、無端ベルトがフランジ面を乗り越えてしまう場合がある。
本発明は、上記点に鑑み、無端ベルトのフランジ面の乗り越えを抑制すること可能な新たな構成のベルト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、帯状の無端ベルト(14)と、無端ベルト(14)が架け渡された一対のローラ(15、16)と、一対のローラのうち少なくとも一方のローラの軸方向一端側に設けられ、径方向外側に拡がる鍔状のフランジ面(18A)を有する規制部材(18)とを備え、フランジ面(18A)は、一対のローラ(15、16)に張架された無端ベルト(14)の外周面(14B)より径方向外側まで拡がっているとともに、無端ベルト(14)の幅方向端部と接触することにより、無端ベルト(14)が軸方向一端側に向けて斜行することを規制する規制面として機能し、さらに、フランジ面(18A)には、径方向外側に向かうほど軸方向中央側に近づくように円錐面状に傾斜した傾斜錐面(18B)が設けられていることを特徴とする。
【0007】
なお、無端ベルト(14)は、その幅方向がローラ(15、16)の軸方向と一致するように一対のローラ(15、16)に無端ベルト(14)が架け渡されるので、「軸方向」と「幅方向」とは互いに平行な方向である。
【0008】
そして、本発明において、仮に、軸方向一端側に向けて斜行した無端ベルト(14)がフランジ面(18A)を乗り越える程度まで斜行するには、無端ベルト(14)は、傾斜錐面(18B)に沿って軸方向他端側に戻るように逆向きに変位した後、再び、軸方向一端側に向けて変位する必要がある。
【0009】
つまり、傾斜錐面(18B)は、フランジ面(18A)の外径側を軸方向中央側に返した「返し」と同様な機能を果たすこととなるので、無端ベルト(14)のフランジ面(18A)の乗り越えを十分に抑制すること可能となる。
【0010】
ところで、フランジ面を特許文献1と同様に単純な円板状とした場合において、無端ベルト(14)のフランジ面(18A)の乗り越えを十分に抑制するには、フランジ面(18A)の直径寸法を十分に大きくする必要がある。
【0011】
これに対して、本発明では傾斜錐面(18B)を設けているので、フランジ面を単純な円板状とした場合に比べて、フランジ面(18A)の直径寸法を小さくしても無端ベルト(14)のフランジ面(18A)の乗り越えを十分に抑制すること可能となる。したがって、ベルト装置の大型化を抑制しつつ、無端ベルト(14)のフランジ面(18A)の乗り越えを十分に抑制することができる。
【0012】
因みに、上記各手段等の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記各手段等の括弧内の符号に示された具体的手段等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置1の中央断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るベルトユニット13の斜視図である。
【図3】(a)は本発明の実施形態に係るベルトユニット13の特徴を示す図であり、(b)は駆動ローラ15の断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る駆動ローラ15の軸端側の拡大断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る駆動ローラ15の軸端側の拡大断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る駆動ローラ15の軸端側の拡大断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る駆動ローラ15の軸端側の拡大断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る駆動ローラ15の軸端側の特徴を説明するための図であって、ベルトユニット13を上下方向から見た図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係る駆動ローラ15の軸端側の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態は、本発明に係るベルト装置を電子写真方式の画像形成装置に適用したものであり、以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(第1実施形態)
1.画像形成装置の概略構造
画像形成装置1の筐体3内には、図1に示すように、記録用紙やOHPシート等のシート(以下、用紙という。)に現像剤像を転写することにより用紙に画像を形成する電子写真方式の画像形成部5が収納されている。
【0015】
本実施形態に係る画像形成部5はダイレクトタンデム方式の画像形成手段であり、この画像形成部5は、複数(本実施形態では4個)のプロセスユニット7、転写ローラ8、露光器9及び定着器11等から構成されている。
【0016】
なお、本実施形態では、用紙の搬送方向上流側から順に、ブラック用のプロセスユニット7K、イエロー用のプロセスユニット7Y、マゼンタ用のプロセスユニット7M、及びシアン用のプロセスユニット7Cが用紙の搬送方向に沿って直列に配設されている。
【0017】
また、各プロセスユニット7K〜7Cは、現像剤像が担持される感光ドラム7A、及び感光ドラム7Aを帯電させる帯電器7B等から構成されている。そして、帯電した感光ドラム7Aを露光器9にて露光して感光ドラム7Aの外周面に静電潜像が形成された後、電荷を帯びた現像剤が感光ドラム7Aに供給されると、感光ドラム7Aの外周面に現像剤像が担持(形成)される。
【0018】
また、用紙を搬送する転写ベルト14を挟んで感光ドラム7Aと対向する位置には、感光ドラム7Aに担持された現像剤を用紙に転写させる転写ローラ8が設けられており、各感光ドラム7Aに担持されていた現像剤像は、転写ベルト14により搬送される用紙に転写されて用紙上で直接的に重ね合わせられた後、定着器11にて加熱されて用紙に定着する。
【0019】
2.ベルトユニット
ベルトユニット13は、図2に示すように、転写ベルト14、駆動ローラ15、従動ローラ16、及びこれら一対のローラ15、16をその軸方向両端側で保持するフレーム17等から構成されており、このベルトユニット13は、装置本体(画像形成装置1)に対して着脱可能に組み付けられている。
【0020】
転写ベルト14は、樹脂材料(本実施形態では、熱可塑性エラストマー)からなる帯状に形成された無端状のベルトであって、駆動ローラ15と従動ローラ16との間に架け渡されている(図1参照)。
【0021】
そして、転写ベルト14の内周面には、図3(a)に示すように、転写ベルト14の回転方向に沿うように転写ベルト14の内方側に突出したガイドリブ14Aが設けられており、このガイドリブ14Aは、図3(b)に示すように、転写ベルト14の幅方向一端側であって幅方向端部(図3(b)の左端)から幅方向中央側(図3(b)の右側)にずれた位置に設けられている。
【0022】
因みに、本実施形態に係るガイドリブ14Aは、接着剤や加硫接着により転写ベルト14に一体化されている。また、転写ベルト14の幅方向とは、駆動ローラ15等の軸方向と平行な方向をいう。
【0023】
駆動ローラ15は、フレーム17に対する位置を不動とした状態でフレーム17に回転可能に組み付けられているとともに、装置本体に設けられた電動モータ(図示せず。)から直接又は間接的に駆動力を得て回転する。
【0024】
一方、従動ローラ16は駆動ローラ15と平行に配設されており、かつ、図1に示すように、従動ローラ16は、その軸方向と直交する方向であって、転写ベルト14の張架面に発生する張力の方向と平行な方向(本実施形態では、前後方向)に変位できるようにフレーム17に組み付けられている。なお、張架面とは、転写ベルト14のうち駆動ローラ15と従動ローラ16との間に形成される平面部14Cをいう。
【0025】
そして、従動ローラ16は、従動ローラ16と駆動ローラ15との軸間距離が増大する向きの弾性力をコイルバネ19から受けている。このため、本実施形態に係る従動ローラ16は、張架面14C(転写ベルト14)に所定の張力を発生させるテンションローラとして機能する。したがって、駆動ローラ15が回転すると、転写ベルト14は、駆動ローラ15及び従動ローラ16に対して滑ることなく、駆動ローラ15と共に回転する。
【0026】
また、従動ローラ16は、図3(b)に示すように、転写ベルト14の内周面に接触する円筒状のローラ部16A、及びローラ部16Aの軸方向両端側を閉塞するとともに、ローラ部16Aを回転可能に支持するローラ軸16B等から構成されている。
【0027】
そして、従動ローラ16の軸方向端部のうちガイドリブ14Aと同一側の端部には、径方向外側に拡がる鍔状のフランジ面18Aを有するカラー18がローラ軸16Bに対して回転可能に装着されており、このカラー18は、ローラ軸16Bに装着された止め輪(JIS B 2804〜2806等参照)16Cにより抜け止めされている。
【0028】
また、フランジ面18Aは、一対のローラ15、16に張架された転写ベルト14の外周面14Bより径方向外側まで拡がっており(φ2>φ1)、このフランジ面18Aのうち転写ベルト14の端部と対向する面には、図4に示すように、径方向外側に向かうほど軸方向中央側(図4の右側)に近づくように円錐面状に傾斜した傾斜錐面18Bが設定されている。なお、本実施形態に係る傾斜錐面18Bは、軸方向と直交する方向に対する傾斜角を一定として直線的に傾いた形状となっている。
【0029】
そして、カラー18には、ガイドリブ14Aが嵌り込む凹状の溝部18Cが設けられており、この溝部18Cを構成する一対の側壁のうち軸端側(図4では、左端側)の側壁はフランジ面18A(傾斜錐面18B)により構成されている。なお、「溝部18Cを構成する一対の側壁」とは、溝部18Cの内壁のうち、軸方向において離間した状態で対向する一対の内壁を意味する。
【0030】
このため、ガイドリブ14Aが溝部18Cに嵌り込んだ状態において、転写ベルト14が軸方向一端側(フランジ面18A側)に斜行すると、フランジ面18Aと転写ベルト14の幅方向端部とが接触するため、フランジ面18Aは、転写ベルト14が軸方向一端側に向けて斜行することを規制する規制面として機能する。
【0031】
一方、ガイドリブ14Aが溝部18Cに嵌り込んだ状態において、転写ベルト14が軸方向他端側(フランジ面18Aと反対側)に斜行すると、溝部18Cを構成する一対の側壁のうちフランジ面18Aと対向する側面18Dとガイドリブ14Aの側面とが接触するため、溝部18Cは、転写ベルト14が軸方向他端側に向けて斜行することを規制する規制面として機能する。
【0032】
因みに、駆動ローラ15は、カラー18が設けられていない点を除き、その他の構成は従動ローラ16とほぼ同様な構造である。そして、その軸方向一端側(本実施形態では、ガイドリブ14Aが設けられていない側)には、装置本体に設けられた電動モータから供給される駆動力を駆動ローラ15に伝達する歯車(図示せず。)等が設けられている。
【0033】
なお、カラー18は、従動ローラ16のローラ軸16B及び転写ベルト14に摺接するので、カラー18は、耐摩耗性に優れ、かつ、摩擦抵抗の小さい樹脂(例えば、POM)にて構成されている。
【0034】
因みに、本実施形態に係るカラー18は、型成形品であるため、型抜きを考慮し、フランジ面18Aと溝部18Cが形成された本体部18Eとを別々に成形した後、両者18A、15Eを組み付けて一体化しているが、削り加工によりフランジ面18Aと本体部18Eとを一体形成してもよい。
【0035】
3.本実施形態に係る画像形成装置(ベルトユニット)の特徴
本実施形態では、フランジ面18Aは、転写ベルト14の外周面14Bより径方向外側まで拡がっているので、本実施形態において、仮に、軸方向一端側(図4の左側)に向けて斜行した転写ベルト14がフランジ面18Aを乗り越える程度まで斜行するには、転写ベルト14は、傾斜錐面18Bに沿って軸方向他端側(図4の右側)に戻るように逆向きに変位した後、再び、軸方向一端側(図4の左側)に向けて変位する必要がある。
【0036】
つまり、傾斜錐面18Bは、フランジ面18Aの外径側を軸方向中央側に返した「返し」と同様な機能を果たすこととなるので、転写ベルト14がフランジ面18Aを乗り越えてしまうことを十分に抑制すること可能となる。
【0037】
ところで、フランジ面を特許文献1と同様に単純な円板状とした場合において、転写ベルト14のフランジ面18Aの乗り越えを十分に抑制するには、フランジ面18Aの直径寸法を十分に大きくする必要がある。
【0038】
これに対して、本実施形態では傾斜錐面18Bを設けているので、フランジ面を単純な円板状とした場合に比べて、フランジ面18Aの直径寸法を小さくしても転写ベルト14がフランジ面18Aを乗り越えてしまうことを十分に抑制すること可能となる。したがって、ベルトユニット13の大型化を抑制しつつ、転写ベルト14がフランジ面18Aを乗り越えてしまうことを十分に抑制することができる。
【0039】
因みに、本実施形態に係る傾斜錐面18Bは、上記の効果を十分に発揮させるべく、軸方向に対して直交する方向に対して5°〜10°程度の傾斜角に設定されている。
また、本実形態に係るカラー18には、ガイドリブ14Aが嵌り込む溝部18Cが設けられており、この溝部18Cは、転写ベルト14が軸方向他端側(図4の右側)に向けて斜行することを規制部として機能するので、転写ベルト14の斜行を確実に抑制すること可能となる。
【0040】
したがって、カラー18及びガイドリブ14Aを軸方向一端側(図4の左側)のみに設けた構成としても、転写ベルト14の斜行を十分に抑制することができるとともに、カラー18及びガイドリブ14Aを軸方向両端側に設けた場合に比べてベルトユニット13の製造原価低減を図ることができる。
【0041】
ところで、転写ベルト14が軸方向一端側(図4の左側)に斜行すると、転写ベルト14の幅方向一端側がフランジ面18Aに接触して転写ベルト14に摩擦力(抵抗力)が作用するが、この際の摩擦力が大きいと、大きな摩擦力に誘発されて転写ベルト14がフランジ面18Aを乗り越えてしまう可能性がある。
【0042】
これに対して、本実施形態では、ガイドリブ14Aは、図4に示すように、幅方向端部(図4の左端)から幅方向中央側(図4の右側)にずれた位置に設けられているので、転写ベルト14が軸方向一端側(図4の左側)に斜行した場合には、転写ベルト14のうちガイドリブ14Aからフランジ面18A側に突出した部分(以下、この部分を突出部14Dという。)が最初にフランジ面18Aに接触することとなる。
【0043】
そして、突出部14Dとフランジ面18Aとの接触面積は、ガイドリブ14Aとフランジ面18Aとが接触した場合の接触面積に比べて十分に小さいので、突出部14Dとフランジ面18Aとの接触により発生する摩擦力は、ガイドリブ14Aとフランジ面18Aとが接触した場合の摩擦力に比べて十分に小さくなる。したがって、本実施形態では、転写ベルト14がフランジ面18Aを乗り越えてしまうことを確実に抑制することができる。
【0044】
また、本実施形態では、カラー18は従動ローラ16のみに設けられているが、このような構成とすれば、駆動ローラ15のみにカラー18を設ける場合、又は従動ローラ16及び駆動ローラ15にカラー18を設ける場合に比べて、転写ベルト14の早期劣化を抑制できることを試験により確認している。
【0045】
4.発明特定事項と実施形態との対応関係
本実施形態では、転写ベルト14が特許請求の範囲に記載された無端ベルトに相当し、画像形成部5が特許請求の範囲に記載された画像形成手段に相当し、ベルトユニット13が特許請求の範囲に記載されたベルト装置に相当し、カラー18が特許請求の範囲に記載された規制部材に相当する。
【0046】
(第2実施形態)
第1実施形態に係る傾斜錐面18Bは、軸方向と直交する方向に対する傾斜角を一定として直線的に傾いた形状であったが、本実施形態は、図5に示すように、軸方向と直交する方向に対する傾斜角が外径側に近づくほど大きくなるように変化した曲線状に傾いた形状にて傾斜錐面18Bを構成したものである。
【0047】
(第3実施形態)
上述の実施形態に係る傾斜錐面18Bは、フランジ面18Aのほぼ全域に設けられていたが、本実施形態は、図6に示すように、フランジ面18Aのうち傾斜錐面18Bより回転中心側に、軸方向と直交する方向に拡がる平面部18Fを設けたものである。
【0048】
すなわち、平面部18Fは傾斜錐面18Bと滑らかに連続した面であって、溝部18Cの側壁を構成する部分を傾斜させることなく、軸方向と直交させたものである。
なお、図6では、第1実施形態に係るフランジ面18Aに本実施形態を適用したものであるが、他の実施形態にも適用できることはいうまでもない。
【0049】
(第4実施形態)
本実施形態は、図7に示すように、傾斜錐面18Bの外縁部(図7では、フランジ面18Aの外径端)の角を丸くして円弧状の丸取部18Gを設けたものである。なお、図7は第1実施形態に係るカラー18に本実施形態を適用した例であるが、他の実施形態にも適用できることはいうまでもない。
【0050】
ところで仮に、傾斜錐面18Bの外縁部が、図8の二点鎖線で示すように、従動ローラ16の軸方向中心側に突出し過ぎると、張架面14Cにおいて転写ベルト14の端部が傾斜錐面18Bと接触(干渉)するおそれがある。しかし、本実施形態では、傾斜錐面18Bの外縁部に丸取部18Gを設けたので、仮に、フランジ面18Aの外径端に転写ベルト14が接触した場合であっても、転写ベルト14が損傷してしまうことを抑制することができる。
【0051】
なお、図8の実線で示す傾斜錐面18Bは、現実の傾斜錐面18Bを示しており、この傾斜錐面18Bの傾斜角は、上述したように、5°〜10°程度と小さい角度であるので、現実の傾斜錐面18Bは、目視では、軸方向にほぼ垂直な面に見える。
【0052】
(第5実施形態)
本実施形態は、図9に示すように、傾斜錐面18Bの外縁部(図8では、丸取部18G)から更に径方向外側に拡がる外縁鍔部18Hを設けたものであり、この外縁鍔部18は傾斜錐面18Bと滑らかに連続している。
【0053】
これにより、本実施形態では、第4実施形態と同様、転写ベルト14の損傷を抑制することができる。
なお、図9に示す外縁鍔部18Hは、軸方向と直交する方向に拡がる平面状であるが、本実施形態は、これに限定されるものではなく、傾斜錐面18Bの傾斜角より小さい傾斜角を有する面であればよい。
【0054】
因みに、図9は第4実施形態に係るカラー18に本実施形態を適用した例であるが、他の実施形態にも適用できることはいうまでもない。
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、転写ベルト14上を搬送される用紙に直接的に現像剤像を転写するダイレクト方式の画像形成装置であったので、画像形成部5により形成された現像剤像は間接的に転写ベルト14(ベルトユニット13)により搬送されたが、本発明はこれに限定されるものではなく、転写ベルト14に現像剤像を転写し、その現像剤像を転写ベルト14にて直接的に搬送した後、用紙に転写する中間転写方式の画像形成装置やインクジェット方式の画像形成装置にも適用することができる。
【0055】
また、上述の実施形態では、従動ローラ16のみにカラー18を設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、駆動ローラ15のみ又は駆動ローラ15及び従動ローラ16にカラー18を設けてもよい。
【0056】
また、上述の実施形態では、画像形成装置用のベルトユニットに本発明に係るベルト装置を適用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、画像読取装置のベルト装置にも適用することができる。
【0057】
また、上述の実施形態では、転写ベルト14にガイドリブ14Aを設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、ガイドリブ14A及び溝部18Cを廃止してもよい。
すなわち、(a)カラー18を軸方向両端側に設けるとともに、それらカラー18のフランジ面18Aが互いに面するようにカラー18を配設する、又は(b)カラー18を軸方向一端側のみに設けるとともに、転写ベルト14が常にカラー18側に斜行するような構成としてもよい。
【0058】
なお、転写ベルト14を常にカラー18側に斜行させるための具体的構成として、例えば、一対のコイルバネ19のうち、軸方向他端側のコイルバネ19の押圧力を軸方向一端側の押圧力より大きくすることにより、転写ベルト14に発生する張力のうち、軸方向他端側の張力を軸方向一端側の張力より大きくして、張力が大きい側から張力が小さい側に転写ベルト14が斜行するような構成としてもよい。
【0059】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上記各実施形態の各構成要素をそれぞれ組み合わせて適用することもできる。
【符号の説明】
【0060】
1…画像形成装置、5…画像形成部、7…プロセスユニット、7A…感光ドラム、
7C、7K、7M、7Y…プロセスユニット、8…転写ローラ、9…露光器、
11…定着器、13…ベルトユニット、14…転写ベルト、14A…ガイドリブ、
15…駆動ローラ、16…従動ローラ、17…フレーム、18…カラー、
18A…フランジ面、18B…傾斜錐面、18C…溝部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の無端ベルトと、
前記無端ベルトが架け渡された一対のローラと、
前記一対のローラのうち少なくとも一方のローラの軸方向一端側に設けられ、径方向外側に拡がる鍔状のフランジ面を有する規制部材とを備え、
前記フランジ面は、前記一対のローラに張架された前記無端ベルトの外周面より径方向外側まで拡がっているとともに、前記無端ベルトの幅方向端部と接触することにより、前記無端ベルトが軸方向一端側に向けて斜行することを規制する規制面として機能し、
さらに、前記フランジ面には、径方向外側に向かうほど軸方向中央側に近づくように円錐面状に傾斜した傾斜錐面が設けられていることを特徴とするベルト装置。
【請求項2】
前記無端ベルトの内周面には、前記無端ベルトの回転方向に沿うように前記無端ベルトの内方側に突出したガイドリブが設けられており、
さらに、前記規制部材には、前記ガイドリブが嵌り込むことにより、前記無端ベルトが軸方向他端側に向けて斜行することを規制する溝部が設けられていることを特徴とする本ベルト装置。
【請求項3】
前記規制部材及び前記ガイドリブは、軸方向一端側のみに設けられていることを特徴とする請求項2に記載のベルト装置。
【請求項4】
前記ガイドリブは、前記無端ベルトの幅方向端部から幅方向中央側にずれた位置に設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載のベルト装置。
【請求項5】
前記傾斜錐面は、軸方向と直交する方向に対する傾斜角を一定として直線的に傾いた形状となっていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のベルト装置。
【請求項6】
前記傾斜錐面は、軸方向と直交する方向に対する傾斜角が外径側に近づくほど大きくなるように変化した曲線状に傾いた形状となっていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のベルト装置。
【請求項7】
前記傾斜錐面は、前記フランジ面の外周側に設けられており、
さらに、前記フランジ面のうち前記傾斜錐面より回転中心側には、軸方向と直交する方向に拡がる平面部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のベルト装置。
【請求項8】
前記傾斜錐面の外縁部には、その角を丸くして円弧状とした丸取部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のベルト装置。
【請求項9】
前記規制部材のうち前記傾斜錐面の外縁部より径方向外側には、当該外縁部から更に径方向外側に拡がる外縁鍔部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のベルト装置。
【請求項10】
電子写真方式の画像形成装置であって、
現像剤像を形成する画像形成手段と、
請求項1ないし9のいずれか1項に記載のベルト装置とを備え、
前記画像形成手段により形成される現像剤像は、前記ベルト装置にて搬送されることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−254867(P2012−254867A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129238(P2011−129238)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】