説明

ベルト装置及び画像形成装置

【課題】ベルトにストレスを与えることなく、ベルト寄りを補正することができるベルト寄り補正方法及び装置並びにベルト装置、画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数のローラに巻き掛けられて走行駆動される中間転写ベルト3を有し、中間転写ベルト3のベルトの寄りを補正するベルト寄り補正装置であり、ローラの1つを軸線方向に移動可能で、且つ傾倒可能に支持された調整ローラ5とし、調整ローラ5に中間転写ベルト3の走行したとき中間転写ベルト3が予め一方向に寄る作用を付勢し、調整ローラ5の一端に、軸線方向の移動に応じて調整ローラ5の傾き角を変更可能な傾斜付与部材60を設け、傾斜付与部材60が中間転写ベルト3の寄りによる調整ローラ5の軸線方向の移動と釣り合う角度に調整ローラ5を傾ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のローラに巻き掛けられて走行駆動される無端ベルトを有し、該無端ベルトのベルトの寄りを補正するベルト寄り補正方法及び装置並びにベルト装置、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のローラに巻き掛けられて走行駆動される無端ベルト、特に幅広の無端ベルトを用いたベルト装置は知られており、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置においてもシート搬送装置、感光体ベルトユニット、定着装置等に用いられている。かかるベルト装置ではベルトに寄りが生ずると、画像の位置ズレ等の不具合を招くおそれがあり、このため、ベルトの寄りは規制或いは補正する必要がある。
【0003】
具体的には、寄りを規制する場合はベルト裏面の端部にゴムのガイドリブを設けそれをローラ端部や溝で規制したり、ベルト端面を直接ローラ端部に設けたツバを設け直接規制したりするものがある。
【0004】
また、ベルト寄りを補正する方法では、特許文献1に記載されているベルト裏面のリブが接触体間を通過することで回転し、リンク機構を介してローラ軸が傾くというものや、特許文献2に記載されているローラ端部に設けたリブあるいはベルト端部である部材を移動させることでローラに傾きを与えるというものがある。その他では特許文献3に記載されているように検知リングを設け、ベルト端部が乗り上げることで発生する駆動トルクを利用してローラ軸を傾けるというものも提案されている。
【0005】
また、センサーを用いベルトの位置を検知し、駆動源を用いてローラ軸に変位を与えるようなものも数多く提案され、実施されている。
しかしながら、ベルトを規制する方法においては、装置の持っているベルトの寄り量のばらつきによる、ベルト端部の乗り上げやガイドリブ剥れ、ベルト端部の破損等につながり、装置の寿命を決定する一因になっている。また、寄り量を極力抑えるために高い部品精度を要求する必要も有りコストアップにもなっている。それらを補正すべく先に述べた様々なベルト寄り補正方法がこれまでも提案されているのだが、センサーを用い、ローラ軸変位を駆動源を用いて行うような方法では、コストがかかるため低コスト化が進む普及層の装置に搭載することは難しい。
【0006】
そこで、機械的なリンク等を用いたものも提案されている。先に述べた特許文献1では、リンク機構が複雑であるため、ローラ軸を傾斜する動作までの間に生じる力のロスで狙いの動きをしない可能性もある。また、特許文献2では、ベルト端部に設けたリブ、或いは端部そのものを受けるため、ベルトへのストレスが懸念される。ベルトの走行性は機械の設置状態、環境、モードにも左右されるためその度にローラの釣り合い角度の補正が行われるためベルト端部へストレスが加わり耐久的に問題がある。また、ベルトの端面側から力が掛かるため剛性的にも不利な方向である。
【0007】
また、特許文献3では、表面を高摩擦係数化した部材を用いることで、ベルトの寄りを回転トルクに変換する方法を用いているが、これは高摩擦係数化した部材の経年的な劣化や突発的な汚れによる表面性の変化は回避できず信頼性に問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記した従来の問題を解消し、ベルトにストレスを与えることなく、ベルト寄りを補正することができるベルト寄り補正方法及び装置並びにベルト装置、画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、複数のローラに巻き掛けられて走行駆動される無端ベルトを有し、該無端ベルトのベルトの寄りを補正するベルト寄り補正方法において、前記ローラの1つを軸線方向に移動可能で、且つ傾倒可能に支持した調整ローラとして構成するするともに、該調整ローラを介してベルトの走行したときベルトが予め一方向に寄る作用を付勢しておき、前記ベルトを走行させ、ベルトが寄ることによって前記調整ローラの軸線方向の移動させ、その移動と釣り合う調整ローラの傾き角を決定することを特徴とするベルト寄り補正方法を提案する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ベルト寄る反力によるローラの移動を利用してベルト寄りを補正するので、ベルトに触れたり、寄りをセンサーで検知する必要がなく、確実で安定したしかも低コストなベルト寄り補正を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明が適用される画像形成装置の一形態を示す概略構成図である。
【図2】軸方向に移動可能な調整ローラを示す説明図である。
【図3】軸方向に移動可能な他の実施形態の調整ローラを示す説明図である。
【図4】調整ローラとベルトの問題が生じる関係を説明する説明図である。
【図5】本発明に係るベルト寄り補正装置を示す斜視図である。
【図6】図5のベルト寄り補正装置を示す側面図である。
【図7】ローラの傾きとベルト寄りとの関係を説明する説明図である。
【図8】中間転写ベルトの寄りによる移動と調整ローラの移動との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を用いて説明する。
図1はプリンタとして構成された画像形成装置の一例を示す概略構成図であり、ここに示した画像形成装置は、その本体筐体内に配置された複数の感光体、図示した例では第1ないし第4の4つの感光体1a,1b,1c,1dが設けられている。各感光体上には互いに異なる色のトナー像がそれぞれ形成され、図1に示した例では、これらの感光体1a,1b,1c,1d上に、ブラックトナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像及びイエロートナー像がそれぞれ形成される。なお、図1に示した各感光体1a,1b,1c,1dはドラム状に形成されているが、複数のローラに巻き掛けられて回転駆動される無端ベルト状の感光体を用いることもできる。
【0013】
第1ないし第4の感光体1a,1b,1c,1dに対向して中間転写体として構成された中間転写ベルト3が配置され、各感光体1a,1b,1c,1dが中間転写ベルト3の表面に当接している。ここに示した中間転写ベルト3は、支持ローラ4,5,6に巻き掛けられ、これらの支持ローラのうちの1つ、例えば支持ローラ4が駆動装置(図示せず)によって駆動される駆動ローラで構成され、該ローラの駆動により中間転写ベルト3が矢印A方向に回転駆動される。中間転写ベルト3は、多層構造、単層構造でも構わないが、多層構造であればベース層を例えば伸びの少ないフッ素樹脂やPVDFシート、ポリイミド系樹脂でつくり、表面をフッ素系樹脂等の平滑性のよいコート層で被ってなるものが好ましい。また、単層であればPVDF、PC、ポリイミド等の材質を用いるものがよい。
【0014】
第1ないし第4の感光体1a,1b,1c,1d上にトナー像を形成する構成と、その各トナー像を中間転写ベルト3上に転写する構成は実質的に全て同一であり、形成される各トナー像の色が異なるだけである。よって、第1の感光体1aにブラックトナー像を形成し、そのトナー像を中間転写ベルト3上に転写する構成と作用だけを説明する。この感光体1aは図1における時計方向に回転駆動され、このとき感光体表面に図示していない除電装置からの光が照射され、該感光体1aの表面電位が初期化される。初期化された感光体表面は帯電装置8によって所定の極性、この例ではマイナス極性に一様に帯電される。この帯電面に、露光装置9から出射する光変調されたレーザビームLが照射され、感光体1aの表面に書き込み情報に対応した静電潜像が形成される。図1に示した画像形成装置においてはレーザビームを出射するレーザ書き込み装置より成る露光装置9が用いられているが、LEDアレイと結像手段を有する露光装置などを用いることもできる。
【0015】
感光体1aに形成された静電潜像は、これが現像装置10を通るとき、ブラックトナー像として可視像化される。一方、中間転写ベルト3の内側には、そのベルトを挟んで感光体1aに対向して位置する転写ローラ11が配置されている。この転写ローラ11が中間転写ベルト3の裏面に当接し、感光体1aと中間転写ベルト3との適正な転写ニップが確保されている。
【0016】
上記転写ローラ11には、感光体1a上に形成されたトナー像のトナー帯電極性と逆極性、この例ではプラス極性の転写電圧が印加される。これにより、感光体1aと中間転写ベルト3との間に転写電界が形成され、感光体1a上のトナー像が、その感光体1aと同期して回転駆動される中間転写ベルト3上に静電的に転写される。トナー像を中間転写ベルト3に転写したあとの感光体1a表面に付着する転写残トナーは、クリーニング装置12によって除去され、感光体1aの表面が清掃される。
【0017】
全く同様にして、第2ないし第4の各感光体1b,1c,1dには、マゼンタトナー像、シアントナー像及びイエロートナー像がそれぞれ形成され、その各色のトナー像は、ブラックトナー像の転写された中間転写ベルト3上に順次重ねて静電転写される。
【0018】
一方、図1に示すように、装置本体内の下部には給紙装置14が配置され、給紙装置14は給紙ローラ15の回転によって、例えば転写紙より成る記録媒体Pが矢印B方向に送り出される。送り出された記録媒体Pは、レジストローラ対16によって、所定のタイミングで支持ローラ4に巻き掛けられた中間転写ベルト3の部分と、これに対置された転写装置の一例である二次転写ローラ17との間に給送される。このとき、二次転写ローラ17には所定の転写電圧が印加され、これによって中間転写ベルト3上の合成トナー像が記録媒体Pに二次転写される。
【0019】
合成トナー像を二次転写された記録媒体Pは、さらに上方に搬送されて定着装置18を通り、このとき記録媒体P上のトナー像が熱と圧力の作用により定着される。定着装置18を通過した記録媒体Pは、排紙部19を介して機外に排出される。また、トナー像転写後の中間転写ベルト3上に付着する転写残トナーはクリーニング装置20によって除去される。
【0020】
ところで、上記画像形成装置において、中間転写ベルト3が幅広の無端ベルトで構成されている。そして、この中間転写ベルト3にベルト寄りが発生すると、画像の位置ズレを招き画像品質を劣化させる。
【0021】
そこで、中間転写ベルト3を有するベルト装置には従動ローラである支持ローラ5を調整ローラとして構成し(以下、支持ローラ5を調整ローラ5という)、該調整ローラ5にベルト寄り補正装置を備えている。本実施形態の調整ローラ5は、図2に示すように、ローラ部51とローラ軸52が固定されて一体で、ローラ軸52が側板21に軸受53,54を介して回転自在で、且つ、軸線方向に摺動可能に装着されている。また、調整ローラ5は図2の構成の代わりに図3に示すように、ローラ部51とローラ軸52が別体で、ローラ軸52が側板50に固定され、ローラ部51がローラ軸52に対し軸受53,54を介して回転自在で、且つ、軸線方向に摺動可能に装着して構成のものでもよい。また、中間転写ベルト3のベルト幅は調整ローラ5の移動可能範囲に対して両側がはみ出ることがないように、ローラ部51の軸線方向の長さが中間転写ベルト3の幅よりかなり広いものに設定する。その理由は図4に示すように、中間転写ベルト3が調整ローラ5からはみ出ることでローラ端面部分のベルト巻きつけによるベルト寄りへの影響を無くすためである。
【0022】
さらに、調整ローラ5は図5に示すように、その一端側が軸支持部材55に支持され、軸支持部材55は支点56を介して本図に示していない側板50に回動可能に装着されている。そして、軸支持部材55は引っ張りバネ57によって支点56を中心として反時計方向に回動力が付勢され、下げようとする力が与えられているが、調整ローラ5の一端側が後に詳述する傾斜付与部材60に支持されてその位置に保持されている。
【0023】
次に、本実施形態のベルト寄り補正装置により、中間転写ベルト3の寄りを補正する方法について説明する。
本方法では、ベルトの寄ることで発生する力を利用してベルト寄りを補正する方式である。よって、図7に示すように、中間転写ベルト3が調整ローラ5上において寄りを強制的に発生させるため、予め調整ローラ5の軸線Lを水平線Cに対し傾き(角度α)を持たして配置する。それにより中間転写ベルト3は回転することで調整ローラ5の位置において寄りによる軸方向への移動が発生する。例えば図7に示すように図中右側を持ち上げて配置した場合、中間転写ベルト3は左側に移動を開始する。この時、後で詳細に説明するが、中間転写ベルト3の移動に伴い軸方向に移動可能とした調整ローラ5も移動を開始する。この調整ローラ5は中間転写ベルト3の寄りによる移動の反力でベルトと反対の右側に移動する。なお、図8は中間転写ベルト3の寄りによる移動と調整ローラ5の移動との関係を示すグラフである。図8から明らかなように、中間転写ベルト3が寄りによってプラスの方向に移動すると、調整ローラ5はその反力によってマイナスの方向に移動する。
【0024】
次に、調整ローラ5が中間転写ベルト3の寄りに伴い移動する理由について説明する。実際中間転写ベルト3を複数の軸に巻きつけた場合、それぞれのローラが全て平行に配置されていれば中間転写ベルト3はローラに対し直角に巻きついているので、中間転写ベルト3が軸方向に寄ることは幾何学的には考えにくい。しかしながら、それぞれのローラが微妙に平行な位置から傾きを持っていた場合(実際、部品は寸法ばらつきを持っており、部品の作りこみだけで完全な平行状態を保つことは不可能に近い。)、無端中間転写ベルト3である中間転写ベルト3を剛体と仮定した場合は、必ず各ローラに対しある角度α°を持って進入することになる。その場合中間転写ベルト3の搬送方向に進む距離に対しtanα分軸方向に中間転写ベルト3が移動することとなる。但し、2本の同一ローラ径に掛け回された状態においては、2本の進入角が計算上は同じとなるため軸方向の移動量に差がでにくいため、2本のローラで掛け渡す場合は、異なる径のものを用いるのが望ましい。
【0025】
本実施形態におけるベルト寄り補正装置は、図5及び図6に示すように、調整ローラ5の右側に軸支持部材55、引っ張りバネ57及び傾斜付与部材60を設けている。傾斜付与部材60はその上部に設けた支点61を介して図示していない側板50に回動可能に支持され、またほぼ中央部には上下方向に延びる支持長孔62が形成されている。支持長孔62の幅は調整ローラ5のローラ軸52の直径と同寸か僅かに大きい程度に設定され、支持長孔62にはローラ軸52が通されている。
【0026】
かかる構成により、調整ローラ5の一端(図5の右側)は傾斜付与部材60に支持され、所望の高さ位置に保持することができる。すなわち、調整ローラ5は引っ張りバネ57によって下方へ押されるので、ローラ軸52が支持長孔62の下端に圧接する位置に保持することができる。そして、傾斜付与部材60は支点61を中心に回動できるので、傾斜付与部材60の傾きに応じて調整ローラ5の傾斜角度が決められる。
【0027】
このように構成されたベルト寄り補正装置では補正に先立ち調整ローラ5の傾きを予め中間転写ベルト3に寄りが発生する角度に設定し、傾斜付与部材60で保持する。例えば、図5に示す例では調整ローラ5の傾きを水平軸線Cより右上がりとしたL1の位置に設定し、傾斜付与部材60によって調整ローラ5を該位置に保持する。
【0028】
次に、中間転写ベルト3を走行すると、ベルトは図の左方へ寄り、それによって調整ローラ5が右方へ移動する。このとき、調整ローラ5の右端面が傾斜付与部材60に押し、このときのベルト寄りによる押す力と引っ張りバネ57の下方へ押す力等による留まろうとする力とが釣り合う位置まで傾斜付与部材60が支点61を中心に回動する。そして、両者の力が釣り合うことで中間転写ベルト3は寄りを発生させることなく回転することができる。
【0029】
かくして、本発明では前以て調整ローラ5を中間転写ベルト3に寄りが発生するように傾け、それによって発生する中間転写ベルト3の寄りを利用して調整ローラ5の傾きを寄りが生じない角度に補正することができるものである。したがって、ベルト寄り補正装置の構成が簡単で低コストで提供でき、しかも安定した良好なベルト寄りの補正が得られる。
【0030】
なお、本ベルト寄り補正方法を実施するにあたって、調整ローラ5の移動する力で傾斜付与部材60を回転させる必要があるため、当然傾斜付与部材60の摺動負荷や力の伝達が効率良く実施されることが望ましいので、傾斜付与部材60の回転支点61は調整ローラ5のローラ軸52と、調整ローラ5の持ち上げる方向に対し垂直に配置するのが理想である。また、傾斜付与部材60を回転させる際に、調整ローラ5の移動する力を利用するので、傾斜付与部材60を押す際にその反力で調整ローラ5が力を受けた時に、調整ローラ5とその軸の摩擦係数よりも調整ローラ5表面と中間転写ベルト3裏面の摩擦係数が低すぎると調整ローラ5の移動だけが止まってしまい中間転写ベルト3は移動を続けるような状態になり、寄り補正が効かず中間転写ベルト3や装置の破損につながる。よって、調整ローラ5とその軸の摩擦係数よりも中間転写ベルト3裏面とローラ表面の摩擦係数を高くする必要がある。そのため、調整ローラ5表面はゴム等のグリップ力の高い材料を使用することが望ましい。
【0031】
ところで、中間転写ベルト3の寄りによる移動と調整ローラ5の移動との関係は、実際のところ、材料の剛性や特性など様々な要因があるため、この計算どおりに寄り量が決定するわけでは無いがおおよそこの値と比例する関係にあると考えられる。したがって、各ローラの中間転写ベルト3を軸方向に移動させる量がそれぞれのローラへの中間転写ベルト3の進入角が異なれば変わるため、調整ローラ5は軸方向に移動できない状態では、中間転写ベルト3裏面と各ローラ表面が滑ることで、全体でバランスを取ったある移動量に落ち着くこととなる。
【0032】
したがって、例えば図1の支持ローラ6、駆動ローラ4での進入角と傾ける調整ローラ5の進入角が異なるように、調整ローラ5の傾け角を設定しておけば、調整ローラ5は軸方向に移動可能な状態であるので、中間転写ベルト3が軸方向に移動する量が他のローラ4,6と調整ローラ5上で異なるのでその異なる分に比例して移動する。
【0033】
実際、実験で確認した移動量を図8のグラフに示している。この時の移動する量は最終的に計算から導き出すことは困難なので、実験でパラメータを振りながら現象面より調整ローラ5の傾け角を設定することになる。
【0034】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態のみに限定されるべきでない。例えば、上記実施形態では中間転写ベルトのベルト寄り補正装置について説明したが、本発明は中間転写ベルトを用いるベルト装置に限らず、転写材搬送ベルトを用いるベルト装置、定着ベルトを用いるベルト装置のベルト寄り補正にも適用することができるものである。
【符号の説明】
【0035】
3 中間転写ベルト
5 調整ローラ
55 軸支持部材
57 引っ張りバネ
60 傾斜付与部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0036】
【特許文献1】特開2005−92153号公報
【特許文献2】特開2006−162659号公報
【特許文献3】特許第2937566号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のローラに巻き掛けられて走行駆動される無端ベルトを有し、該無端ベルトのベルトの寄りを補正するベルト寄り補正方法において、
前記ローラの1つを軸線方向に移動可能で、且つ傾倒可能に支持した調整ローラとして構成するするともに、該調整ローラを介してベルトの走行したときベルトが予め一方向に寄る作用を付勢しておき、
前記ベルトを走行させ、ベルトが寄ることによって前記調整ローラの軸線方向の移動させ、その移動と釣り合う調整ローラの傾き角を決定することを特徴とするベルト寄り補正方法。
【請求項2】
複数のローラに巻き掛けられて走行駆動される無端ベルトを有し、該無端ベルトのベルトの寄りを補正するベルト寄り補正装置において、
前記ローラの1つを軸線方向に移動可能で、且つ傾倒可能に支持された調整ローラとし、
該調整ローラにベルトの走行したときベルトが予め一方向に寄る作用を付勢し、
前記調整ローラの一端に、軸線方向の移動に応じて当該調整ローラの傾き角を変更可能な傾斜付与部材を設け、
該傾斜付与部材が前記ベルトの寄りによる前記調整ローラの軸線方向の移動と釣り合う角度に前記調整ローラを傾けることを特徴とするベルト寄り補正装置。
【請求項3】
請求項2に記載のベルト寄り補正装置において、前記ベルトに予め付勢する一方向に寄る作用が前記調整ローラの所定方向へ傾けることであることを特徴とするベルト寄り補正装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のベルト寄り補正装置において、前記傾斜付与部材が前記ベルトの予め寄る方向と反対側の調整ローラ端面に当接する位置に設けられ、該傾斜付与部材はベルトが寄る作用の反力で移動する調整ローラ端面に押されて当該調整ローラの傾き角を変更することを特徴とするベルト寄り補正装置。
【請求項5】
請求項2ないし4の何れかに記載のベルト寄り補正装置において、前記ベルトの裏面と前記移動可能な調整ローラ表面との摩擦係数は、移動時の調整ローラ軸線方向の摺動部間における摩擦係数より大きくしたことを特徴とするベルト寄り補正装置。
【請求項6】
請求項2ないし5の何れかに記載のベルト寄り補正装置を用いるベルト装置において、
前記ベルトが、画像形成装置に用いる感光体ベルトであることを特徴とするベルト装置。
【請求項7】
請求項2ないし5の何れかに記載のベルト寄り補正装置を用いるベルト装置において、
前記ベルトが、画像形成装置に用いる中間転写ベルトであることを特徴とするベルト装置。
【請求項8】
請求項2ないし5の何れかに記載のベルト寄り補正装置を用いるベルト装置において、
前記ベルトが、画像形成装置に用いる転写材搬送ベルトであることを特徴とするベルト装置。
【請求項9】
請求項2ないし5の何れかに記載のベルト寄り補正装置を用いるベルト装置において、
前記ベルトが、画像形成装置に用いる定着ベルトであることを特徴とするベルト装置。
【請求項10】
請求項6ないし9の何れか1つのベルト装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−47826(P2013−47826A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−227795(P2012−227795)
【出願日】平成24年10月15日(2012.10.15)
【分割の表示】特願2008−22725(P2008−22725)の分割
【原出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】