説明

ベルト計量システム

計量フレームと、計量フレームの両側に配置される入口移行支持構造体および出口移行支持構造体とを備えるベルト計量システム。計量フレームは、コンベアベルトを支持するために複数の近接して離間されるアイドラを含むことが好ましい。随意的な入口移行支持構造体は第2のベルト支持要素を含むことができ、また、随意的な出口移行支持要素は第3のベルト支持要素を含むことができる。1つの形態例では、移行領域で計量フレームに隣接するあるいは計量フレームの近傍のベルトを支持するために複数の近接して離間されるアイドラも設けられる。複数の近接して離間されるアイドラは、計量フレームでの、あるいはその近傍でのベルト弛みを減少させ、改善し、あるいは制御し、したがってコンベアベルトに沿う相対的な材料の動きあるいは他の非直線的な動的作用により別に導入される誤差を減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本発明は、静止質量で較正されるシステムにおいて、ベルト上で搬送される材料の高精度計量のために信頼できる活荷重性能が求められる、コンベアベルト計量システムの分野に関する。
【背景】
【0002】
[002]信頼できるコンベアベルト計量システムを開発しようとする試みには多くの手法が存在してきた。多くの様々な産業、例えば採鉱、船舶の荷積み、鉄道の荷積み、穀物、石炭発電、洗毛、採石、食品産業等で大量の材料を処理するためには、正確な進行中計量機器が必要とされる。しかしながら、現在、既知のベルト計量構造は、静止質量較正に基づいて十分に信頼できる活荷重性能を提供していない。高精度ベルト計量の分野では、特に長いコンベアベルトシステムの場合、ベルト計量システムには2つの構造が普及している。これらは、回動計量フレーム(場合によっては「接近−後退(approach−retreat)」システムと呼ばれる)、および完全に懸架されたすなわち浮いている計量フレームである。
【0003】
[003]コンベアベルト上で搬送されている間に行う材料の正確な計量は、幾つかの固有の問題を提起する。例えば、重量計懸架システムは、いかなる横方向の力またはベルト張力から発生した力を計量フレームの出力信号に変換することなく、コンベアベルトのラインに対して垂直な力のみを伝達することにより、計量システムのアイドラ(すなわち、ローラ)に力を伝達するように機能しなければならない。
【0004】
[004]出願人によって確認された特定の問題は、コンベア上で輸送中の材料が各支持アイドラセット上で上下するときに起こる動的作用に関係し、これらの動的作用は、コンベアベルトに沿う搬送材料の相対運動から、あるいは材料が上下するときの非直線的な動的作用から引き起こされる。これまでは、相対運動誤差の原因が理解されていなかった、あるいは重要でないとみなされていた。相対運動により、積載材料の実際の粒子は、コンベアベルト自体の速度でコンベアベルトに沿って移動しなくなる。この相対運動誤差は多くの場合小さいが、相対運動誤差はこれまで適切に理解されあるいは認識されていなかった誤差であり、相対運動誤差により、0.25%精度を得るように設計されたベルト重量計が実際にはおそらくたった0.5%または1.0%の精度をもたらしていた。
【0005】
[005]この問題に対する1つの解決策は、何らかの手段によって積載材料自体の粒子の実際の速度を測定することであり、ベルトの速度が搬送材料の速度を表わしているとみなさないことである。しかしながら、これには、新たな測定システムの開発を必要とする。
【0006】
[006]他の誤差の原因は、非直線的な動的作用から生じると考えられるが、よく理解されていない。誤差は、材料が運動中に計量されるときに生じるが、非直線的な動的作用に起因するか、あるいは誤差がベルトに相対する材料の運動作用に起因するかである。
【0007】
[007]当該技術分野において知られる、ベルト計量の他の重大な誤差原因は、搬送材料を計量するために用いられる計量フレームと張力が付与されたコンベアベルトとの間の相互作用によって生じる。計量フレーム上で搬送される材料の単位長さ当たりの重量測定の精度が、ベルト張力およびアイドラ(すなわち、ローラ)の位置ずれによって影響されることは実証することができる。理想的には、コンベアベルトが完全に位置合わせされて最高の剛性の完全懸架式の計量フレームを含み、それにより、コンベアベルトが常に完全に位置合わせされた場合、ベルト張力、すなわち測定すべき重量に対して垂直なベルトの力は、重量測定に何ら影響を及ぼさない。しかしながら、理想的な状態は通常存在せず、ベルト張力は重量の測定における重大な誤差原因である。
【0008】
[008]図1を参照すると、ベルト計量システム100の一部を形成する既知の従来の完全懸架式の計量フレーム110が示されている。ベルト計量システム100は、ベルト130を支持するために離間されるアイドラ120を含む。アイドラ140は完全懸架式の計量フレーム110の一部である。ベルト130に沿って運ばれる搬送材料は、その重量をベルト130およびアイドラ140を介して伝え、計量フレーム110によって測定することができる。完全懸架式の計量フレーム110は、計量フレームに装着されるアイドラが動かなくなった場合、結果として生じる、ベルトに沿う摩擦力が、実際に出力重量信号に影響を及ぼさないという特性を有する。また、通常コンベアベルトに作用する荷重の2〜3%である通常のアイドラの転がり摩擦は、計量フレームからの出力重量信号に反映されない。完全懸架式の計量フレームでは、計量フレーム上の任意の場所に加えられる重量が同じ出力重量信号を生成する。そのような構造は、コンベアベルトに対して垂直な荷重にのみ反応する。
【0009】
[009]図2を参照すると、ベルト計量システム200の一部を形成する既知の従来のデュアル回動「接近−後退」タイプの計量フレームが示されている。計量フレーム210aおよび210bは、回動点215aおよび215bでそれぞれ回動される。アイドラ220がコンベアベルト230を支持し、またアイドラ240が計量フレームの一部を形成する。回動計量フレーム構造では、回動点周りの回転モーメントに起因して、出力重量信号中にアイドラ摩擦の成分が存在する。計量フレームに加えられる重量は、回動点からの距離に応じて変化する出力重量信号を生成する。
【0010】
[010]従来技術に固有の1つまたは複数の問題に対処する、あるいは少なくとも改善するベルト計量システムが必要である。
【0011】
[011]この明細書中の任意の先の刊行物(または、先の刊行物から得られる情報)への言及、既知の任意の事項への言及は、先の刊行物(または、先の刊行物から得られる情報)または既知の事柄が、本明細書が関連する活動分野における共通の一般知識の一部を成すという確認、承認または任意の形態の示唆とみなされるものではなく、また、みなされるべきではない。
【発明の概要】
【0012】
[012]出願人は、コンベアベルトの弛みがコンベアベルトに沿う相対的な材料の動きあるいは他の非直線的な動的作用に寄与することを確認した。また、ベルト弛みが大きければ大きいほど、ベルト上の材料の相対的な動きあるいは他の非直線的な動的作用が大きくなることも出願人によって確認された。出願人は、ベルト弛みを排除しまたは減少させ、あるいは別の方法で許容できる低いレベルに制御して、コンベアベルトに沿って搬送される材料の相対的な動きまたは他の非直線的な動的作用を制御または改善するベルト計量システムを創出した。
【0013】
[013]出願人は、ベルト弛み設計の工業規格を達成するために必要であるとこれまで考えられてきたよりも近接した間隔でアイドラを配置すると、ベルト弛みが比較的小さいレベルまで減少し、したがって、コンベアベルトに沿う相対的な材料の動きあるいは他の非直線的な動的作用によって導入される、以前は知られていなかったあるいは正しく認識されていなかった誤差が減少するという驚くべき結果を見出した。
【0014】
[014]一形態例によれば、計量フレームでコンベアベルトを支持するために、複数の近接して離間されるベルト支持要素が設けられる計量フレームを備える、ベルト計量システムが提供される。ベルト支持要素はアイドラであることが好ましい。
【0015】
[015]更なる特定の非限定的な形態において、複数の近接して離間されるベルト支持要素は、コンベアベルトの弛みをベルト支持要素間の間隔の2%未満まで減少させ、ベルト支持要素は1.0m未満の間隔で離れて配置され、ベルト支持要素は0.75m未満の間隔で離れて配置され、および/またはベルト支持要素は0.5m未満の間隔で離れて配置される。
【0016】
[016]随意的に、ベルトは、該ベルト上での材料滑りを減少させるための表面構造または表面組成を含む。計量フレームは完全懸架式の計量フレームであることが好ましい。
【0017】
[017]他の形態例によれば、コンベアベルトを支持するための少なくとも1つのベルト支持要素を含む計量フレームと、計量フレームの第1の側に配置される入口移行領域で複数の近接して離間されるベルト支持要素と、計量フレームの第2の側に配置され、出口移行領域で複数の近接して離間されるベルト支持要素とを備えるベルト計量システムが提供される。
【0018】
[018]特定の例では、入口移行支持構造体が入口移行領域に設けられ、出口移行支持構造体が出口移行領域に設けられ、入口移行支持構造体および出口移行支持構造体が計量フレームに対して独立した構造体である。
【0019】
[019]好ましくは、複数の近接して離間されるベルト支持要素が、複数の近接して離間されるアイドラである。様々な形態では、計量フレームの少なくとも1つのベルト支持要素が、複数の近接して離間されるアイドラであり、あるいは計量フレームの少なくとも1つのベルト支持要素が、滑り床(スライダベッド)である。例えば固定ベースタイプのあるいはエアーサポートタイプの様々な滑り床を使用できる。複数の近接して離間されるベルト支持要素は、コンベアベルトの弛み(沈降)をベルト支持要素間の間隔の2%未満まで減少させることが好ましい。
【0020】
[020]更なる特定であるが非限定的な形態では、入口移行支持構造体および出口移行支持構造体が近接して離間されたアイドラのラックを含み、少なくとも1つの回動点を有する近接して離間されたアイドラのラックが回動され、入口移行支持構造体、および/または出口移行支持構造体が1つまたは複数の翼状部分が付けられた支持要素を含み、1つまたは複数の翼状部分が付けられた支持要素が傾斜アイドラであり、かつ/あるいは1つまたは複数の翼状部分が付けられた支持要素が平行四辺形構造体の一部である。
【0021】
[021]他の形態例によれば、ベルトを支持するための複数の近接して離間されるアイドラを含む計量フレームと、計量フレームに隣接する少なくとも1つの移行領域でベルトを支持するための複数の近接して離間されるアイドラと、少なくとも1つの移行領域の外側でベルトを支持するための近接して離間されない複数のアイドラとを備えるベルト計量システムが提供される。複数の近接して離間されるアイドラは、少なくとも1つの移行領域の外側でベルトを支持するための近接して離間されない複数のアイドラによってもたらされるベルトの弛みと比べて、少なくとも1つの移行領域でベルトの弛みを減少させることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
[022]例の実施形態は、添付図面と関連して説明される、少なくとも1つの好ましいが非限定的な実施形態の一例としてのみ与えられる以下の説明から明らかになる。
【0023】
【図1】図1は、通常のあるいは標準的なアイドラ間隔を有する従来の完全懸架式の計量フレームを示している(従来技術)。
【0024】
【図2】図2は、通常のあるいは標準的なアイドラ間隔を有する従来の回動(すなわち、「接近−後退」)タイプの計量フレームを示している(従来技術)。
【0025】
【図3A】図3Aは、入口移行構造体と出口移行構造体との間に配置される近接して離間される複数のアイドラを含む中央完全懸架式の計量フレームを有するベルト計量システムを示している。
【0026】
【図3B】図3Bは、それぞれが近接して離間される複数のアイドラを有する入口移行領域と出口移行領域との間に配置される計量フレームを有するベルト計量システムを示している。
【0027】
【図3C】図3Cは、近接して離間される複数のアイドラを含む計量フレームを有するベルト計量システムを示している。
【0028】
【図4】図4は、ベルト計量システムの詳しい特別な例の上面図、側面図、および断面図を示している。
【0029】
【図5】図5は、ベルト計量システムの他の特別な例の上面図、側面図、および断面図を示している。
【0030】
【図6】図6は、ベルト計量システムの他の特別な例の上面図、側面図、および断面図を示している。
【0031】
【図7】図7は、ベルト計量システムの他の特別な例の上面図、側面図、および断面図を示している。
【0032】
【図8】図8は、ベルト計量システム(ベルトが図示されていない)の一例の等角図を示している。
【好ましい実施形態】
【0033】
[033]一例としてのみ与えられる以下の形態は、好ましい1つまたは複数の実施形態の主題のより正確な理解を提供するために記載される。例の特徴を示すために組み入れられる図面において、同じ参照符号は、図の全体にわたって同じ部分を特定するために使用される。
【0034】
[034]出願人は、ベルト弛みがベルトに対して直角な相対的上下動を引き起こし、それにより、材料がアイドラの上を通るときに搬送材料中の粒子が上下に振動する傾向があることを確認した。この材料外乱が材料自体のフロー特性に影響を及ぼし、また、ベルトの傾きが、ベルトに沿う材料の相対的な動きおよび他の非直線的な動的作用を悪化させる可能性があり、その場合、上下の加速および同等でないあるいは直線的でない力に起因して、計量フレームによって得られる材料の質量が真の重量を表わさない。
【0035】
[035]コンベアベルトに沿う材料の相対的な動き、「材料滑り」と称される場合がある出願人により確認された現象、または他の起こり得る非直線的な動的作用は、予測できる高精度なレベルで信頼できる材料計量を達成するために制御または改善される必要がある計量誤差の唯一の重大な原因ではない。ベルト張力は、計量誤差の他の原因となる。
【0036】
[036]計量フレームに作用するベルト張力を制御する1つの手段が計量フレームの周囲または近傍のアイドラ間隔を増大させることであるということが知られている。このことは、コンベアベルトライン上の最後の固定アイドラ(または一組のアイドラであるアイドラセット)と計量フレーム上の最初のアイドラ(またはアイドラセット)との間の移行距離を増大させること、および計量フレーム上の最後のアイドラ(またはアイドラセット)と計量フレームに続くコンベアベルトライン上の次の固定アイドラ(またはアイドラセット)との間の移行距離を増大させることを意味する。計量フレームの端部の移行距離が広げられると、計量フレームとコンベアベルトラインの隣り合うアイドラとの間のいかなる位置ずれもより小さい角度のずれをもたらし、そのため、より小さなベルト張力作用が、ベルトに対して垂直に変換されて、重量測定に寄与することになる。
【0037】
[037]つまり、出願人は、正確なベルト計量システムのための2つの明らかに相反する要求、すなわち、
1.ベルト弛みに起因するベルト上での相対的な材料の動きあるいは他の非直線的な動的作用(出願人によって確認された)を排除するために、アイドラ間隔を減少させること、および
2.重量測定に対するベルト張力の影響を減少させるために、特に計量フレームの端部でアイドラ間隔を増大させること(一般に認められた工業的手法)
を確認した。
【0038】
[038]したがって、近接して離間されるアイドラを計量フレームの一部として有し、および/または、計量フレームへ向かう移行構造体または移行領域であって、ベルト上の材料を乱さないという必要性を満たし、かつこの移行空間でのベルトの角度ずれを減少させるという必要性も満たす移行構造体または移行領域を有する、ベルト計量システムを構築することが望ましいと出願人は考える。この予期しない相反する一組の要求に基づき、出願人は、これらの明らかに相反する要求に対処するためのベルト計量システムを創出した。
【0039】
[039]図3Aを参照すると、近接して離間される複数の第1のベルト支持要素340を含む完全懸架式の計量フレーム310を備えるベルト計量システム300が示される。近接して離間される複数の第1のベルト支持要素340は、完全懸架式の計量フレーム310に対してベルト350を支持する。随意的に、入口移行支持構造体320が、完全懸架式の計量フレーム310の第1の側に配置されて、1つまたは複数の第2のベルト支持要素322を含む。また、随意的に、出口移行支持構造体330が、完全懸架式の計量フレーム310の第2の側に配置されて、1つまたは複数の第3のベルト支持要素332を含む。
【0040】
[040]入口移行支持構造体320および出口移行支持構造体330は、完全懸架式の計量フレーム310から独立した構造体である。図示の例では、近接して離間される複数の第1のベルト支持要素340、1つまたは複数の第2のベルト支持要素322、および/または、1つまたは複数の第3のベルト支持要素332が、アイドラである。特定の例では、1つまたは複数の第2のベルト支持要素322、および/または1つまたは複数の第3のベルト支持要素332が、近接して離間される複数のアイドラである。
【0041】
[041]近接して離間されるアイドラは、複数のアイドラを含むフレームワーク(枠組、骨組)である、近接して離間されたアイドラ(すなわち、ローラ)のラックとして設けることができる。近接して離間されたアイドラのラックは、1つまたは複数の点で、例えば枢支点324または334で回動させることができる。
【0042】
[042]他の実施形態において、入口移行支持構造体320、および/または出口移行支持構造体330は、1つまたは複数の翼状部分が付けられた支持要素を含むことができるが、例えばベース(底部)のアイドラに対して角度を成して配置される傾斜アイドラであってもよい。
【0043】
[043]他の実施形態において、1つまたは複数の第2のベルト支持要素、および/または1つまたは複数の第3のベルト支持要素は、アイドラではなく滑り床(スライダベッド)であってもよい。滑り床が使用される場合には、滑り床が回動されることが好ましい。
【0044】
[044]図3Bを参照すると、更に他の実施形態では、ベルト370を支持するための少なくとも1つのベルト支持要素を含む任意のタイプの計量フレーム365を備える、ベルト計量システム360が提供される。計量フレームの一部として含まれる少なくとも1つのベルト支持要素は、近接して離間される複数のアイドラあるいは1つまたは複数の滑り床であってもよい。また、ベルト計量システム360は、近接して離間される複数のベルト支持要素375(例えば、アイドラまたはアイドラセット)を含んで、入口移行領域380および出口移行領域385に、計量フレーム365に隣接してあるいは近接してベルト370を支持する。近接して離間される複数のアイドラ375は、ベルトの弛みを減少させ、制御し、あるいは改善するために使用されて、ベルト上の材料の相対的な動きあるいは他の非直線的な動的作用が減少する。移行領域380,385の向こう側では、標準的な離間アイドラ390を使用することができる。
【0045】
[045]したがって、近接して離間される複数のアイドラは、計量フレームに隣接する、あるいは近接する少なくとも1つの移行領域でベルトを支持するために使用される。少なくとも1つの移行領域の外側でベルトを支持するために、近接して離間されない(すなわち、通常のあるいは標準的な業界の間隔の)複数のアイドラが更に使用される。近接して離間される複数のアイドラは、少なくとも1つの移行領域の外側でベルトを支持するための近接して離間されない更なる複数のアイドラによりもたらされるベルトの弛みと比べて、少なくとも1つの移行領域でベルトの弛みを減少させる。図3Bに示されるアイドラ375と390の相対的な間隔は、任意であり、例示のみを目的としたものである。ベルト計量システムは、入口移行領域と出口移行領域との間で互いに隣接して配置された2以上の計量フレームを含むことができる。
【0046】
[046]図3Cを参照すると、更なる他の実施形態では、近接して離間される複数のベルト支持要素を含む完全懸架式の計量フレーム394を備えるベルト計量システム392が提供される。複数の近接して離間されるアイドラ396が使用されるのが好ましい。複数の近接して離間されるアイドラ396は、完全懸架式の計量フレーム394に対してベルト398を支持する。複数の近接して離間されるアイドラ396は、計量フレームでのベルトの弛みを減少させ、制御し、あるいは改善するために使用され、ベルト上の材料の相対的な動きあるいは他の非直線的な動的作用が減少する。計量フレームの向こう側では、ベルトを支持するために近接して離間されない(すなわち、通常のあるいは標準的な業界の間隔の)アイドラ399を使用することができる。
【0047】
[047]様々な実施形態では、ベルト計量フレームへの任意の形態の上りおよび下りの傾斜路または移行領域構造体を利用することができるが、この傾斜路または移行構造体は、ベルトの角度ずれを減少させるという結果をもたらすとともに、コンベアベルト上で動いている材料を振動させたり、あるいはそうでない場合転倒させたりすることによって変動を与えることがないという結果をもたらすものでなければならない。傾斜路または移行構造が、近接して離間されるアイドラあるいは滑り床の形態を有する特別なベルト支持体を含むことが好ましい。
【0048】
[048]現在、業界で認められたベルトの弛み(沈降)は、アイドラ間隔の約2%である。業界で認められた規格は、約2%の許容できるベルト弛みを達成するために、必要に応じ、ベルト荷重およびベルト張力に応じた様々な設計間隔を使用する。アイドラの間隔は一般に経済的理由によるものであり、石炭などの比較的軽い材料を運ぶコンベアのために必要とされるアイドラの数を減らすためにしばしば1.5m間隔が使用され、また、鉱物などの重い材料を運ぶコンベアにおいてはしばしば1.0m間隔が使用される。計量フレームまたは計量フレームへの移行領域においてあるいはその近傍で通常の搬送アイドラを1.0m未満の間隔で配置することは、追加して掛かる費用のため、また、今まで利点が気付かれなかったため、比較的長いコンベアベルトシステムでは熟考されていなかった。
【0049】
[049]出願人は、計量フレームおよび/または移行領域を、比較的近接して離間されるアイドラ(すなわち、近接して離間されるアイドラまたはローラのラック)と関連付けることにより、精度がかなり向上するベルト計量システムを提供した。近接して離間されるアイドラは、随意的に移行領域において計量フレームの各端部に配置させることができるが、計量フレームの長さに沿って配置されるのが好ましい。言い換えると、近接して離間されるアイドラを、計量域全体(計量フレーム、ならびに計量フレームに入る移行領域および計量フレームから出る移行領域)にわたって配置させることができる。アイドラの近接間隔は、計量フレーム上、および移行傾斜路の前後の区域で継続されてもよい。計量フレームから離れて入口および出口に移行する領域または区域を越えたところでは、業界で認められる標準的なアイドラ間隔を使用できる。コンベアベルトのこれらの区域では重量測定が行なわれないからである。
【0050】
[050]特定の実施形態では、各端部で回動され、かつ水平搬送アイドラから成る近接して離間されるアイドラのラックが使用され、水平搬送アイドラは、該アイドラの上端とベルト接触ラインまたはその近傍で回動される。これは、回動される移行傾斜路のアイドラからもたらされるかもしれない摩擦が、計量フレームによって感知されず、したがって、出力重量信号の一部でないという効果を有する。したがって、ベルトの弛みを制御しあるいは改善するために計量フレームの移行領域またはその近傍で十分に近接して離間されるアイドラまたはアイドラセットを有するベルト計量システムが提供される。
【0051】
[051]他の利点は、近接して離間されるアイドラを使用することによって実現できる。異なる材料は、異なる材料フロー特性に起因して、同じベルト重量計で程度が異なる誤差を示すことが知られている。近接して離間されるアイドラはこの問題を回避するが、これは、材料の相対的な動きおよび非直線的な動的作用が減少されあるいは回避され、それにより、材料がその場(in-situ)にとどまるからである。また、近接して離間されるアイドラは、異なるベルト速度が異なる重量結果を示すという他の問題にも更に対処する。
【0052】
[052]入口移行支持構造体および出口移行支持構造体は、計量フレーム前/後の最後/最初の固定アイドラとベルトとの接触ラインで回動させることができるとともに、計量フレームへ向かう端部では、ベルトと計量フレーム上の最初および最後のアイドラとの間の接触ラインで回動させることができる。そのような回動構成はベルト張力の影響を回避する。
【0053】
[053]ベルト計量システムの技術分野における認められる規格は、しばしばコンベアの通常の搬送側に沿って1.5m間隔のアイドラまたはアイドラセットを有するコンベアを使用する。時には、ベルト張力効果を最小限に抑えるために、2.0mまであるいは5.0m程度まで広げられた間隔が使用され得る。また、ある場合には、ベルト張力が重大な問題であるとみなされないところでは、1.0m間隔のアイドラまたはアイドラセットが、認められる規格として使用される。
【0054】
[054]本明細書中、「近接して」離間されるアイドラまたはアイドラセットは、1.0mより大きくないアイドラ間隔であると考えられる。非限定的な例として、特定の実施で使用される通常の間隔の半分以下の任意のアイドラ間隔を「近接して」離間されると考えることができる。しかしながら、より一般的には、用語「近接して」とは、ベルト弛み効果が計量フレームであるいはその近傍でかなり減少されるようなアイドラまたはアイドラセットの間隔を示すものとして解釈されるべきである。1つの測定例として、近接して離間されるアイドラは、アイドラ間隔の2%未満のベルト弛み(沈降)を達成する。特定の例として、アイドラは、1.0m未満の間隔、0.75m以下の間隔、または、0.5m以下の間隔に設定することができ、あるいは可能な限り密集させて互いに直接に隣接して離間させることができ、あるいは限定的な例では、ロールを滑り床に置き換えることができる。
【0055】
[055]更なる実施形態では、翼状部分が付けられたすなわち樋状のアイドラを入口移行構造体および出口移行構造体に配置することができ、これは、適切な取り付け手段を使用することにより、いかなるアイドラ摩擦成分も出力重量信号に寄与させることがない。これを達成するため、開放された平行四辺形状の構造体を計量フレームまたは計量フレームの各端部の固定構造体またはこれらの両方に取り付けることにより、翼状部分が付けられたアイドラを装着することができる。翼状部分が付けられたすなわち樋状のアイドラが単純に移行構造体に取り付けられた場合には、アイドラを回転させる(あるいは、アイドラが詰まって動かなくなる場合にはアイドラの上をスライドする)ために必要な力が、移行構造体枢軸と相互に作用し、計量フレームからの出力重量信号に誤差が導入されてしまう。
【0056】
[056]しかしながら、翼状部分が付けられたすなわち樋状のアイドラの導入は、入口移行構造体および出口移行構造体で対称的に実施される場合には、導入される力の全てを無視できるように打ち消し合うことができることに留意すべきである。要望に応じて、アイドラ摩擦力を出力重量信号に導入しない、開放された平行四辺構造のサスペンション(懸架装置、掛け具)を使用して、入口移行構造体および出口移行構造体で翼状部分が付けられたすなわち樋状のアイドラを適用することができる。
【0057】
[057]完全に懸架された計量フレームを使用する更なる実施形態では、計量フレームは、2,3,4,5,6個またはそれを超える個数のロードセルあるいは他の重量測定装置上に載置する1つのフレームで構成してもよい。あるいは、1,2,3,4個またはそれを超える個数のロードセルあるいは他の重量測定装置に機械的な力を方向付けてそれらの力を分配する一連の複数のレバーおよび/または複数の機械的なリンク装置を設けることができる。
【0058】
[058]特定の例において、計量フレームは、出力重量信号がベルト上で搬送されるいかなる材料および移動ベルトに対して垂直な力によっても影響されないことを確実にするために、横方向および縦方向の制限を含むことができる。計量フレームは、この結果を得るために、開放された平行四辺形状のフレーム、および/または屈曲部(湾曲部)を含んでもよい。
【0059】
[059]他の態様では、更に厚いベルトを設けることにより、ベルト上での材料の動きを減少することができる。ベルトの厚さは、特定のコンベアベルト設備間で異なる。しばしば、1.0m幅ベルトにおいて20mm厚が使用され、あるいは2.0m幅ベルトにおいて35mm厚が使用される。認められる工業規格と比べて比較的大きい厚さのベルトを設けることにより、アイドラ/ローラで搬送材料に伝達される外乱力が小さくなり、それにより、材料の跳ね返りが少なくなり、したがってベルト上での相対的な材料の動きあるいは他の非直線的な動的作用が小さくなる。
【0060】
[060]これに加えてあるいはこれに代えて、ベルト表面の材料および/または構造(組成)は、ベルトに対する材料の動きを減少させることを支援するように選択することができる。典型的な摩擦係数よりも比較的に大きい摩擦係数のベルト表面または構造(組成)とすることにより、ベルト表面が搬送材料を所定位置によりよく保持でき、それにより、ベルト上での材料滑りが減少する。ベルト表面に対する材料の相対的な動きを減少させるために、ベルト表面に突出構造またはベルト表面中にくぼみを設けることができる。
【0061】
更なる例
[061]以下の例は、特定の実施形態の更に詳しい説明を与える。この例は、単なる例示的なものであり、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0062】
[062]図4を参照すると、ベルト計量システム400の構造要素の特定の非限定的な例の上面図、側面図、および断面図が示されている。図5を参照すると、ベルト計量システム500の構造要素の更なる特定であるが非限定的な例である、上面図、側面図、および断面図が示されている。図6を参照すると、ベルト計量システム600の構造要素の更なる特定であるが非限定的な例である、上面図、側面図、および断面図が示されている。図7を参照すると、ベルト計量システム700の構造要素の更なる特定であるが非限定的な例である、上面図、側面図、および断面図が示されている。
【0063】
[063]図8を参照すると、ベルト計量システム800(ベルトを図示せず)の一例の等角図が示されている。ベルト計量システム800は、複数の近接して離間されるベルト支持要素820を含む完全懸架式の計量フレーム810を含む。近接して離間されるベルト支持要素820は、図示のコンベア区域の全体にわたって使用され、完全懸架式の計量フレーム810に対してベルトを支持する。翼状部分が付けられた支持要素830も設けられる。
【0064】
[064]本発明の随意的な実施形態は、本明細書中で個別にまたは総称して言及され、あるいは示唆される部品、要素、および特徴に存し、上記部品、要素、または特徴のうちの2つ以上の任意のあるいは全ての組み合わせに存すると広く考えられてもよく、また、本明細書では、本発明が関連する技術分野において既知の等価量を有する特定の整数ついて言及されるが、そのような既知の等価量はあたかも個別に説明されるように本願に組み入れられるとみなされる。
【0065】
[065]好ましい実施形態を詳しく説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく当業者により様々な変形、置き換え、および変更を行なうことができることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量フレームでコンベアベルトを支持するための複数の近接して離間されるベルト支持要素が設けられる計量フレームを備える、ベルト計量システム。
【請求項2】
前記ベルト支持要素がアイドラである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の近接して離間されるベルト支持要素が、コンベアベルトの弛み(沈降)を前記ベルト支持要素間の間隔の2%未満まで減少させる、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ベルト支持要素が1.0m未満の間隔で離れて配置される、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項5】
前記ベルト支持要素が0.75m未満の間隔で離れて配置される、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項6】
前記ベルト支持要素が0.5m未満の間隔で離れて配置される、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項7】
前記ベルトが、該ベルト上での材料滑りを減少させる表面の構造または組成を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記計量フレームが完全に懸架された計量フレームである、請求項1〜7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
コンベアベルトを支持するための少なくとも1つのベルト支持要素を含む計量フレームと、
前記計量フレームの第1の側に配置される入口移行領域の複数の近接して離間されるベルト支持要素と、
前記計量フレームの第2の側に配置される出口移行領域の複数の近接して離間されるベルト支持要素と
を備えるベルト計量システム。
【請求項10】
前記入口移行領域に入口移行支持構造体が設けられ、前記出口移行領域に出口移行支持構造体が設けられ、前記入口移行支持構造体および前記出口移行支持構造体が前記計量フレームに対して独立した構造体である、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記複数の近接して離間されるベルト支持要素が、複数の近接して離間されるアイドラである、請求項9または10に記載のシステム。
【請求項12】
前記計量フレームの前記少なくとも1つのベルト支持要素が、複数の近接して離間されるアイドラである、請求項9〜11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記計量フレームの前記少なくとも1つのベルト支持要素が滑り床である、請求項9〜11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数の近接して離間されるベルト支持要素が、コンベアベルトの弛み(沈降)を前記ベルト支持要素間の間隔の2%未満まで減少させる、請求項9〜13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記入口移行支持構造体および前記出口移行支持構造体が、近接して離間されるアイドラのラックを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記近接して離間されるアイドラのラックが回動される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記入口移行支持構造体および/または前記出口移行支持構造体が、1つまたは複数の翼状部分が付けられた支持要素を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
前記1つまたは複数の翼状部分が付けられた支持要素が、傾斜したアイドラである、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記1つまたは複数の翼状が付けられた支持要素が、平行四辺形の構造体の一部である、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
ベルトを支持するための複数の近接して離間されるアイドラを含む計量フレームと、
前記計量フレームに隣接する少なくとも1つの移行領域でベルトを支持するための複数の近接して離間されるアイドラと、
前記少なくとも1つの移行領域の外側でベルトを支持するための近接して離間されない複数のアイドラと
を備えるベルト計量システム。
【請求項21】
前記複数の近接して離間されるアイドラが、前記少なくとも1つの移行領域の外側でベルトを支持するための近接して離間されない前記複数のアイドラによりもたらされるベルトの弛みと比べて、前記少なくとも1つの移行領域でベルトの弛みを減少させる、請求項20に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図8】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−516992(P2012−516992A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546537(P2011−546537)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【国際出願番号】PCT/AU2010/000098
【国際公開番号】WO2010/085858
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(511183685)
【出願人】(511183696)
【Fターム(参考)】