説明

ベンズイミダゾール−7−カルボキシレート誘導体およびpH調整剤を含有する固形医薬組成物

【課題】アンジオテンシンII受容体拮抗作用を有する化合物(I)[化合物(I)の定義は明細書のとおり]の安定性に優れ、かつ該化合物の溶出性にも優れた固形医薬組成物を提供することである。
【解決手段】化合物(I)またはその塩とpH調整剤とを含有してなる固形医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後記化合物(I)とpH調整剤を含有することを特徴とする、化合物(I)の安定性に優れ、かつ該化合物の溶出性にも優れた固形医薬組成物に関する。また、本発明は化合物(I)の安定化方法、溶出改善方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品は有効かつ安全であることが重要であり、たとえ製造直後に有効かつ安全な状態であっても、流通過程で薬物が容易に分解・変質してしまうようなものは、医薬品としての有効性と安全性が担保されているとは言えない。従って、薬物の安定性は、医薬品にとって極めて重要である。
【0003】
また、医薬品の有効性と安全性を担保するためには、薬効成分自体の有効性や安全性が重要であるばかりでなく、生体内における薬物溶出性など、製剤の持つ特性も極めて重要である。例えば、製剤からの薬物溶出が遅すぎると、血中の薬物が有効な濃度に達せず、期待された薬効が十分に発揮されない可能性がある。一方、製剤からの薬物溶出が速すぎると、血中の薬物濃度が急激に上昇し、副作用の危険性が高まる。
すなわち、医薬品には、有効性と安全性に加え、安定性と一定の薬物溶出性が保証されていることが要求される。
一方、薬物溶出性は、薬物の溶解度と相関することが知られている。すなわち一般に、薬物の溶解度が低いほど、薬物の溶出性は悪くなることが知られている。
【0004】
ところで、強力なアンジオテンシンII受容体拮抗作用を有するベンズイミダゾール誘導体(I)
【0005】
【化1】

【0006】
(式中、Rは脱プロトン化しうる水素原子を有する単環状の含窒素複素環基を示し、Rはエステル化されたカルボキシル基を示し、Rは置換されてもよい低級アルキルを示す)またはその塩(以下、化合物(I)と称する場合がある)、とりわけ2-エトキシ-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸 (5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチルの塩(特許文献1)は、高血圧症などの治療薬として有望視されている。
【0007】
ところが、化合物(I)は通常の製剤化条件である中性のpH領域においては不安定であることから、化合物(I)が安定化するように製剤の特性を調整する必要がある。しかし、化合物(I)が安定化するpH領域においては、化合物(I)の溶解度が低い。
従って、化合物(I)においては、その安定性と溶解性とを両立させることが極めて困難であり、当該両立を図ることが待望される。
【特許文献1】国際公開第2005/080384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は化合物(I)の安定性に優れ、かつ該化合物の溶出性にも優れた固形医薬組成物を提供することである。
また、本発明の他の課題は、化合物(I)の安定化方法、更には溶出改善方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明者らは、化合物(I)の製剤中の安定性と製剤からの溶出性とを両立すべく鋭意研究を行った結果、化合物(I)にpH調整剤を共存させることにより、延いては固形製剤をpH調整剤にて化合物(I)の溶解度が低くなるpH領域に調整しうるようにすることにより、予想外にも化合物(I)の製剤中の安定性と製剤からの溶出性とが両立されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は下記の通りである。
(1)式(I)
【0011】
【化2】

【0012】
(式中、Rは脱プロトン化しうる水素原子を有する単環状の含窒素複素環基を示し、Rはエステル化されたカルボキシル基を示し、Rは置換されてもよい低級アルキルを示す)で表される化合物またはその塩およびpH調整剤を含有してなる固形医薬組成物;
(2)式(I)で表される化合物の塩が2-エトキシ-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸 (5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル カリウム塩(以下、化合物Aと称する場合がある)である前記(1)記載の医薬組成物;
(3)pH調整剤がpH2ないし5のpH調整剤である前記(1)または(2)記載の医薬組成物;
(4)pH調整剤がフマル酸一ナトリウム、またはフマル酸と水酸化ナトリウムの組み合わせである前記(3)記載の医薬組成物;
(5)式(I)で表される化合物またはその塩を含有する固形医薬組成物において、pH調整剤を配合することを特徴とする、固形医薬組成物における式(I)で表される化合物またはその塩の安定化方法;
(6)式(I)で表される化合物またはその塩を含有する固形医薬組成物において、pH調整剤を配合することを特徴とする、固形医薬組成物からの式(I)で表される化合物またはその塩の溶出改善方法;
(7)式(I)で表される化合物またはその塩を含有する固形医薬組成物における式(I)で表される化合物またはその塩の安定化のためのpH調整剤の使用;
(8)式(I)で表される化合物またはその塩を含有する固形医薬組成物からの式(I)で表される化合物またはその塩の溶出性改善のためのpH調整剤の使用;
などに関する。
【0013】
本発明の固形医薬組成物は、そこに含有される化合物(I)の安定性に優れ、かつ該化合物の溶出性にも優れている。
また、本発明の化合物(I)の安定化方法によれば、固形医薬組成物中における化合物(I)が有意に安定化される。更には本発明の化合物(I)の溶出改善方法によれば、固形医薬組成物からの化合物(I)の溶出性が有意に改善される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1および比較例1で得た乾燥素錠の薬物溶出性を示す。
【図2】実施例3および比較例3で得た乾燥素錠の薬物溶出性を示す。
【図3】実施例5および比較例4で得た乾燥素錠の薬物溶出性を示す。
【0015】
(発明の詳細な説明)
前記式(I)において、Rは脱プロトン化しうる水素原子を有する単環状の含窒素複素環基を示し、例えば、テトラゾリル基または式
【0016】
【化3】

【0017】
〔式中、iは−O−または−S−を示し、jは>C=O、>C=Sまたは>S(O)mを示す(式中、mは0、1または2を示す)〕で表される基(例えば、4,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル基など)などが好ましい。
なお、4,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル基には、式:
【0018】
【化4】

【0019】
で示される3つの互変異性体、(a′、b′およびc′)が存在し、4,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル基は上記a′、b′およびc′のすべてを含む。
【0020】
前記式(I)において、Rはエステル化されたカルボキシル基を示し、例えば、水酸基,アミノ、ハロゲン原子、低級(C2-6)アルカノイルオキシ(例、アセチルオキシ、ピバロイルオキシなど)、低級(C4-7)シクロアルカノイルオキシ、 (低級(C1-6)アルコキシ)カルボニルオキシ(例、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシなど)、(低級(C3-7)シクロアルコキシ)カルボニルオキシ(例、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシなど)、低級(C1-4)アルコキシおよび5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イルから選ばれる置換基で置換されていてもよい低級(C1-4)アルキルでエステル化されたカルボキシル基(例えば、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル基、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エトキシカルボニル基)などが好ましい。
【0021】
前記式(I)において、Rは置換されてもよい低級アルキルを示し、Rとしては水酸基、アミノ基、ハロゲン原子および低級(C1−4)アルコキシ基から選ばれる置換基で置換されていてもよい低級(C1−5)アルキル(好ましくは、低級(C2−3)アルキル;特に好ましくは、エチル)が好ましい。
【0022】
式(I)で表される化合物の塩としては、薬学的に許容される塩が挙げられ、例えば、式(I)で表される化合物の、無機塩基との塩、有機塩基との塩などが挙げられる。無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。有機塩基との塩の好適な例としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
式(I)で表される化合物の塩としては、式(I)で表される化合物のアルカリ金属塩が好ましく、なかでも式(I)で表される化合物のカリウム塩が好ましい。
【0023】
式(I)で表される化合物またはその塩としては、2-エトキシ-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸 (5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチルの塩が好ましく、2-エトキシ-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸 (5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル カリウム塩が特に好ましい。
式(I)で表される化合物の塩は水和物または非水和物のいずれであってもよい。
【0024】
本発明で用いるpH調整剤としては、化合物(I)の製剤中の安定性と製剤からの溶出性とを両立させるものであって、医薬品に適用可能であれば如何なるpH調整剤であってもよく、また複数のpH調整剤を組み合わせて用いてもよい。本発明で用いるpH調整剤としては、pHが約2ないし約5、好ましくは約3ないし約5、より好ましくは約3ないし約4を示すpH調整剤が好ましく用いられ、例えば、酒石酸、クエン酸、乳酸、フマル酸、りんご酸、アスコルビン酸、酢酸、酸性アミノ酸(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸)などの酸性物質、これら酸性物質の無機塩(例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩など)、これら酸性物質と有機塩基(例えば、リジン、アルギニンなどの塩基性アミノ酸、メグルミンなど)との塩、並びにそれらの水和物、溶媒和物などが用いられる。
ここに、pH調整剤におけるpHは次の条件下に測定したものである。即ち、25℃で水に1%w/vにてpH調整剤を溶解または懸濁させて得た溶液または懸濁液のpHである。
【0025】
本発明で用いるpH調整剤としては、酸性物質と塩基性物質とを組み合わせて用い、組み合わせたpH調整剤を25℃で水に1%w/vで溶解または懸濁させた場合に、溶液または懸濁液のpHが約2ないし約5、好ましくは約3ないし約5、より好ましくは約3ないし約4を示すように調節して用いてもよい。組み合わせて用いる酸性物質としては、上記のpH約2ないし約5の酸性物質およびそれらの塩に加え、塩酸、硫酸、リン酸などの強酸も用いることができる。組み合わせて用いる塩基性物質としては、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、アンモニア、合成ヒドロタルサイト)、有機塩基(例えば、リジン、アルギニンなどの塩基性アミノ酸、メグルミンなど)などが挙げられる。
さらに、本発明で用いるpH調整剤としては、リン酸二水素ナトリウム、フマル酸一ナトリウムなどのように、溶液が当該pHにおいて緩衝能を有するものが好ましい。
本発明で用いるpH調整剤としては、フマル酸一ナトリウムが特に好ましく、フマル酸と水酸化ナトリウムとを組み合わせて用いてもよい。
【0026】
本発明の固形医薬組成物において、pH調整剤は固形医薬組成物中、0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%含有される。また、有効成分である化合物(I)は固形医薬組成物中0.1〜60重量%、好ましくは1〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%含有される。
【0027】
本発明の固形医薬組成物としては、例えば、錠剤、顆粒剤、細粒剤、カプセル剤、丸剤などの経口投与に適した固形製剤が挙げられる。
該固形製剤は、自体公知の方法(例えば、第14改正日本薬局方の製剤総則に記載されている方法)により製造できる。例えば、錠剤の場合は、化合物(I)、pH調整剤、賦形剤(例:乳糖、白糖、ブドウ糖、デンプン、コーンスターチ、蔗糖、微結晶セルロース、カンゾウ末、マンニトール、ソルビトール、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウムなど)、崩壊剤(例:アミノ酸、デンプン、コーンスターチ、炭酸カルシウム、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、カルボキシメチルスターチナトリウムなど)などを加えて混合し、結合剤(例:ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、デンプン、アラビアゴム、トラガント、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、プルラン、グリセリンなど)を加えて顆粒とし、これに滑沢剤(例:ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、精製タルクなど)等を加えて打錠して錠剤とする。また、顆粒剤、細粒剤においても錠剤とほぼ同様の方法で造粒を行うか、あるいはノンパレル(商品名、白糖75%(W/W)およびコーンスターチ25%(W/W)を含む球状顆粒)に、水または、白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の結合剤溶液(濃度:約0.5〜70%(W/V))を噴霧しながら、化合物(I)、pH調整剤および添加剤(例:白糖、コーンスターチ、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなど)を含有してなる粉状散布剤をコーティングすることにより得られる。カプセル剤の場合は、上記の顆粒剤、細粒剤をゼラチンやヒドロキシプロピルメチルセルロース等のカプセルに充填するかもしくは、有効成分を賦形剤(例:乳糖、白糖、ブドウ糖、デンプン、蔗糖、微結晶セルロース、カンゾウ末、マンニトール、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムなど)とともに、ゼラチンやヒドロキシプロピルメチルセルロース等のカプセルに充填すればよい。
【0028】
該固形製剤は、味のマスキング、腸溶性あるいは徐放性などのためのコーティング剤でコーティングされていてもよい。コーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、ツイーン80、プルロニックF68、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、オイドラギット(ローム社製、西ドイツ、メタアクリル酸・アクリル酸共重合物)などが挙げられるが、必要に応じ、酸化チタン、ベンガラ等の遮光剤を用いてもよい。
【0029】
本発明の固形医薬組成物は、哺乳動物(例えば、ヒト、イヌ、ウサギ、ラット、マウスなど)の医薬として安全に使用することができる。
患者に対する化合物(I)の投与量は、年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与時間、排泄速度、薬物の組み合わせなどを考慮し、また患者のその時に治療を行っている病状の程度に応じて決められるが、一日投与量約0.05〜500mg、好ましくは0.1〜100mgである。
【実施例】
【0030】
以下に実施例をあげて本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
また、実施例および比較例において、乳糖、マンニトール、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、精製白糖、コーンスターチおよびステアリン酸マグネシウムとしては、第十四改正日本薬局方適合品を、クロスカルメロースナトリウム、白糖・デンプン球状顆粒およびケイ酸カルシウムとしては、医薬品添加物規格2003適合品を用いた。
【0031】
実施例1
流動層造粒乾燥機(FD−5S、株式会社パウレック)中で、化合物A(1200g)およびマンニトール(2673g)を均一に混合後、ヒドロキシプロピルセルロース(151.2g)、フマル酸(56.00g)および水酸化ナトリウム(19.32g)の水溶液を噴霧して造粒し、ついで機内で乾燥した。得られた造粒物をパワーミル粉砕機(P−3、昭和化学機械工作所)を用い、1.5mmφパンチングスクリーンで解砕した。得られた整粒末(3660g)にクロスカルメロースナトリウム(345.0g)、結晶セルロース(450.0g)およびステアリン酸マグネシウム(45.00g)を加え、タンブラー混合機(TM−15、昭和化学機械工作所)で混合した。得られた混合物をロータリー打錠機(アクエリアス、菊水製作所)で9.5mmφの杵を用いて打錠(打錠圧:6.5KN/杵、錠剤1錠あたりの重量:360mg)し、下記組成の素錠を得た。次いで、該素錠を40℃で16時間減圧乾燥した。
【0032】
製剤(360mgあたり)の組成
化合物A 85.36mg
マンニトール 191.26mg
ヒドロキシプロピルセルロース 10.8 mg
フマル酸 4 mg
水酸化ナトリウム 1.38mg
クロスカルメロースナトリウム 27.6 mg
結晶セルロース 36 mg
ステアリン酸マグネシウム 3.6 mg
計 360 mg
【0033】
実施例2
流動層造粒乾燥機(Lab−1、株式会社パウレック)中で、化合物A(42.68g)、乳糖(217.32g)、結晶セルロース(32g)およびフマル酸一ナトリウム(10g)を均一に混合後、ヒドロキシプロピルセルロース(12g)およびフマル酸一ナトリウム(10g)の水溶液を噴霧して造粒し、ついで機内で乾燥し、造粒物を得た。
【0034】
造粒物(162mgあたり)の組成
化合物A 21.34mg
乳糖 108.66mg
結晶セルロース 16 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
フマル酸一ナトリウム 10 mg
計 162 mg
【0035】
実施例3
流動層造粒乾燥機(Lab−1、株式会社パウレック)中で、化合物A(42.68g)、乳糖(217.32g)、結晶セルロース(32g)およびフマル酸一ナトリウム(10g)を均一に混合後、ヒドロキシプロピルセルロース(12g)およびフマル酸一ナトリウム(10g)の水溶液を噴霧して造粒し、ついで機内で乾燥した。得られた造粒物を16メッシュ(目開き1.0mm)の篩で篩過し整粒末を得た。得られた整粒末(16.2g)に低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(0.8g)を加え、ガラス瓶中で混合した。得られた混合物をオートグラフ(島津製作所製、AG−5000B)で9.5mmφの杵を用いて打錠(打錠圧:7.5KN/杵、錠剤1錠あたりの重量:398.3mg)し、下記組成の素錠を得た。次いで、該素錠を40℃で16時間減圧乾燥した。
【0036】
製剤(398.3mgあたり)の組成
化合物A 50 mg
乳糖 254.6mg
結晶セルロース 37.5mg
ヒドロキシプロピルセルロース 14.1mg
フマル酸一ナトリウム 23.4mg
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 18.7mg
計 398.3mg
【0037】
実施例4
化合物A(71.13g)、コーンスターチ(18g)、精製白糖(68.87g)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(40g)およびフマル酸一ナトリウム(28.33g)を均一に混合し、主薬層散布剤とした。遠心転動造粒機(CF−mini、フロイント産業株式会社)に、白糖・デンプン球状顆粒(100g)を投入し、ヒドロキシプロピルセルロース(2g)およびフマル酸一ナトリウム(5g)の水溶液を噴霧しながら、主薬層散布剤を散布し、球形顆粒を得た。得られた球形顆粒を40℃で16時間減圧乾燥し、篩で篩過し、710〜1180μmの顆粒を得た。
【0038】
製剤(100mgあたり)の組成
白糖・デンプン球状顆粒 30 mg
化合物A 21.34mg
コーンスターチ 5.4 mg
精製白糖 20.66mg
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 12 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 0.6 mg
フマル酸一ナトリウム 10 mg
計 100 mg
【0039】
実施例5
流動層造粒乾燥機(Lab−1、株式会社パウレック)中で、化合物A(42.68g)、マンニトール(217.32g)、結晶セルロース(32g)およびフマル酸一ナトリウム(10g)を均一に混合後、ヒドロキシプロピルセルロース(12g)およびフマル酸一ナトリウム(10g)の水溶液を噴霧して造粒し、ついで機内で乾燥した。得られた造粒物を16メッシュ(目開き1.0mm)の篩で篩過し整粒末を得た。得られた整粒末(16.2g)に低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(0.8g)を加え、ガラス瓶中で混合した。得られた混合物をオートグラフ(島津製作所製、AG−5000B)で6mmφの杵を用いて打錠(打錠圧:3KN/杵、錠剤1錠あたりの重量:170mg)し、下記組成の素錠を得た。次いで、該素錠を40℃で16時間減圧乾燥した。
【0040】
製剤(170mgあたり)の組成
化合物A 21.34mg
マンニトール 108.66mg
結晶セルロース 16 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
フマル酸一ナトリウム 10 mg
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 8 mg
計 170 mg
【0041】
実施例6
流動層造粒乾燥機(Lab−1、株式会社パウレック)中で、化合物A(85.36g)、マンニトール(155.64g)、および結晶セルロース(30g)を均一に混合後、ヒドロキシプロピルセルロース(9g)およびリン酸二水素ナトリウム(20g)の水溶液を噴霧して造粒し、ついで機内で乾燥した。得られた造粒物を16メッシュ(目開き1.0mm)の篩で篩過し整粒末を得た。得られた整粒末(250g)にクロスカルメロースナトリウム(12.5g)およびステアリン酸マグネシウム(2.5g)を加え、ポリ袋中で混合した。得られた混合物をロータリー打錠機(コレクト19K、菊水製作所)で9.5mmφの杵を用いて打錠(打錠圧:7.5KN/杵、錠剤1錠あたりの重量:318mg)し、下記組成の素錠を得た。次いで、該素錠を40℃で16時間減圧乾燥した。
【0042】
製剤(318mgあたり)の組成
化合物A 85.36mg
マンニトール 155.64mg
結晶セルロース 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 9 mg
リン酸二水素ナトリウム 20 mg
クロスカルメロースナトリウム 15 mg
ステアリン酸マグネシウム 3 mg
計 318 mg
【0043】
実施例7
流動層造粒乾燥機(Lab−1、株式会社パウレック)中で、化合物A(85.36g)、マンニトール(155.64g)、結晶セルロース(30g)およびフマル酸一ナトリウム(20g)を均一に混合後、ヒドロキシプロピルセルロース(9g)の水溶液を噴霧して造粒し、ついで機内で乾燥した。得られた造粒物を16メッシュ(目開き1.0mm)の篩で篩過し整粒末を得た。得られた整粒末(250g)にクロスカルメロースナトリウム(12.5g)およびステアリン酸マグネシウム(2.5g)を加え、ポリ袋中で混合した。得られた混合物をロータリー打錠機(コレクト19K、菊水製作所)で9.5mmφの杵を用いて打錠(打錠圧:7.5KN/杵、錠剤1錠あたりの重量:318mg)し、下記組成の素錠を得た。次いで、該素錠を40℃で16時間減圧乾燥した。
【0044】
製剤(318mgあたり)の組成
化合物A 85.36mg
マンニトール 155.64mg
結晶セルロース 30 mg
フマル酸一ナトリウム 20 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 9 mg
クロスカルメロースナトリウム 15 mg
ステアリン酸マグネシウム 3 mg
計 318 mg
【0045】
実施例8
流動層造粒乾燥機(Lab−1、株式会社パウレック)中で、化合物A(85.36g)、マンニトール(155.64g)、および結晶セルロース(30g)を均一に混合後、ヒドロキシプロピルセルロース(9g)およびフマル酸一ナトリウム(20g)の水溶液を噴霧して造粒し、ついで機内で乾燥した。得られた造粒物を16メッシュ(目開き1.0mm)の篩で篩過し整粒末を得た。得られた整粒末(250g)にクロスカルメロースナトリウム(12.5g)およびステアリン酸マグネシウム(2.5g)を加え、ポリ袋中で混合した。得られた混合物をロータリー打錠機(コレクト19K、菊水製作所)で9.5mmφの杵を用いて打錠(打錠圧:7.5KN/杵、錠剤1錠あたりの重量:318mg)し、下記組成の素錠を得た。次いで、該素錠を40℃で16時間減圧乾燥した。
【0046】
製剤(318mgあたり)の組成
化合物A 85.36mg
マンニトール 155.64mg
結晶セルロース 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 9 mg
フマル酸一ナトリウム 20 mg
クロスカルメロースナトリウム 15 mg
ステアリン酸マグネシウム 3 mg
計 318 mg
【0047】
実施例9
流動層造粒乾燥機(Lab−1、株式会社パウレック)中で、化合物A(85.36g)、マンニトール(166.64g)、結晶セルロース(30g)およびフマル酸一ナトリウム(15g)を均一に混合後、ヒドロキシプロピルセルロース(9g)およびフマル酸一ナトリウム(5g)の水溶液を噴霧して造粒し、ついで機内で乾燥した。得られた造粒物を16メッシュ(目開き1.0mm)の篩で篩過し整粒末を得た。得られた整粒末(155.5g)に結晶セルロース(18.3g)、クロスカルメロースナトリウム(9.15g)およびステアリン酸マグネシウム(1.65g)を加え、ポリ袋中で混合した。得られた混合物をロータリー打錠機(コレクト19K、菊水製作所)で9.5mmφの杵を用いて打錠(打錠圧:7.5KN/杵、錠剤1錠あたりの重量:369.2mg)し、下記組成の素錠を得た。次いで、該素錠を40℃で16時間減圧乾燥した。
【0048】
製剤(369.2mgあたり)の組成
化合物A 85.36mg
マンニトール 166.64mg
結晶セルロース 66.6 mg
フマル酸一ナトリウム 15 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 9 mg
フマル酸一ナトリウム 5 mg
クロスカルメロースナトリウム 18.3 mg
ステアリン酸マグネシウム 3.3 mg
計 369.2 mg
【0049】
実施例10
流動層造粒乾燥機(Lab−1、株式会社パウレック)中で、化合物A(85.36g)、マンニトール(166.64g)、結晶セルロース(30g)およびフマル酸一ナトリウム(15g)を均一に混合後、ヒドロキシプロピルセルロース(9g)およびフマル酸一ナトリウム(5g)の水溶液を噴霧して造粒し、ついで機内で乾燥した。得られた造粒物を16メッシュ(目開き1.0mm)の篩で篩過し整粒末を得た。得られた整粒末(155.5g)にケイ酸カルシウム(18.3g)、クロスカルメロースナトリウム(9.15g)およびステアリン酸マグネシウム(1.65g)を加え、ポリ袋中で混合した。 得られた混合物をロータリー打錠機(コレクト19K、菊水製作所)で9.5mmφの杵を用いて打錠(打錠圧:7.5KN/杵、錠剤1錠あたりの重量:369.2mg)し、下記組成の素錠を得た。次いで、該素錠を40℃で16時間減圧乾燥した。
【0050】
製剤(369.2mgあたり)の組成
化合物A 85.36mg
マンニトール 166.64mg
結晶セルロース 30 mg
フマル酸一ナトリウム 15 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 9 mg
フマル酸一ナトリウム 5 mg
ケイ酸カルシウム 36.6 mg
クロスカルメロースナトリウム 18.3 mg
ステアリン酸マグネシウム 3.3 mg
計 369.2 mg
【0051】
実施例11
流動層造粒乾燥機(Lab−1、株式会社パウレック)中で、化合物A(85.36g)、マンニトール(161.64g)および結晶セルロース(30g)を均一に混合後、ポリビニルピロリドン(18g)およびフマル酸一ナトリウム(5g)の水溶液を噴霧して造粒し、ついで機内で乾燥した。得られた造粒物を16メッシュ(目開き1.0mm)の篩で篩過し整粒末を得た。得られた整粒末(250g)にクロスカルメロースナトリウム(12.5g)およびステアリン酸マグネシウム(2.5g)を加え、ポリ袋中で混合した。得られた混合物をロータリー打錠機(コレクト19K、菊水製作所)で9.5mmφの杵を用いて打錠(打錠圧:7.5KN/杵、錠剤1錠あたりの重量:318mg)し、下記組成の素錠を得た。次いで、該素錠を40℃で16時間減圧乾燥した。
【0052】
製剤(318mgあたり)の組成
化合物A 85.36mg
マンニトール 161.64mg
結晶セルロース 30 mg
フマル酸一ナトリウム 5 mg
ポリビニルピロリドン 18 mg
クロスカルメロースナトリウム 15 mg
ステアリン酸マグネシウム 3 mg
計 318 mg
【0053】
実施例12
流動層造粒乾燥機(Lab−1、株式会社パウレック)中で、化合物A(85.36g)およびマンニトール(199.99g)を均一に混合後、ヒドロキシプロピルセルロース(9g)、フマル酸(4.2g)および水酸化ナトリウム(1.45g)の水溶液を噴霧して造粒し、ついで機内で乾燥した。得られた造粒物を16メッシュ(目開き1.0mm)の篩で篩過し整粒末を得た。得られた整粒末(250g)に結晶セルロース(25g)、クロスカルメロースナトリウム(12.5g)およびステアリン酸マグネシウム(2.9g)を加え、ポリ袋中で混合した。得られた混合物をロータリー打錠機(コレクト19K、菊水製作所)で9.5mmφの杵を用いて打錠(打錠圧:7.5KN/杵、錠剤1錠あたりの重量:348.5mg)し、下記組成の素錠を得た。次いで、該素錠を40℃で16時間減圧乾燥した。
【0054】
製剤(348.5mgあたり)の組成
化合物A 85.36mg
マンニトール 199.99mg
ヒドロキシプロピルセルロース 9 mg
フマル酸 4.2 mg
水酸化ナトリウム 1.45mg
結晶セルロース 30 mg
クロスカルメロースナトリウム 15 mg
ステアリン酸マグネシウム 3.5 mg
計 348.5 mg
【0055】
実施例13
流動層造粒乾燥機(Lab−1、株式会社パウレック)中で、化合物A(85.36g)およびマンニトール(199.99g)を均一に混合後、ヒドロキシプロピルセルロース(9g)、フマル酸(4.2g)および水酸化ナトリウム(2.04g)の水溶液を噴霧して造粒し、ついで機内で乾燥した。得られた造粒物を16メッシュ(目開き1.0mm)の篩で篩過し整粒末を得た。得られた整粒末(250.3g)に結晶セルロース(25g)、クロスカルメロースナトリウム(12.5g)およびステアリン酸マグネシウム(2.9g)を加え、ポリ袋中で混合した。得られた混合物をロータリー打錠機(コレクト19K、菊水製作所)で9.5mmφの杵を用いて打錠(打錠圧:7.5KN/杵、錠剤1錠あたりの重量:349.1mg)し、下記組成の素錠を得た。次いで、該素錠を40℃で16時間減圧乾燥した。
【0056】
製剤(349.1mgあたり)の組成
化合物A 85.36mg
マンニトール 199.99mg
ヒドロキシプロピルセルロース 9 mg
フマル酸 4.2 mg
水酸化ナトリウム 2.04mg
結晶セルロース 30 mg
クロスカルメロースナトリウム 15 mg
ステアリン酸マグネシウム 3.5 mg
計 349.1 mg
【0057】
実施例14
流動層造粒乾燥機(Lab−1、株式会社パウレック)中で、化合物A(85.36g)およびマンニトール(199.99g)を均一に混合後、ヒドロキシプロピルセルロース(9g)、フマル酸(4.2g)および水酸化ナトリウム(2.55g)の水溶液を噴霧して造粒し、ついで機内で乾燥した。得られた造粒物を16メッシュ(目開き1.0mm)の篩で篩過し整粒末を得た。得られた整粒末(250.9g)に結晶セルロース(25g)、クロスカルメロースナトリウム(12.5g)およびステアリン酸マグネシウム(2.9g)を加え、ポリ袋中で混合した。得られた混合物をロータリー打錠機(コレクト19K、菊水製作所)で9.5mmφの杵を用いて打錠(打錠圧:7.5KN/杵、錠剤1錠あたりの重量:349.6mg)し、下記組成の素錠を得た。次いで、該素錠を40℃で16時間減圧乾燥した。
【0058】
製剤(349.6mgあたり)の組成
化合物A 85.36mg
マンニトール 199.99mg
ヒドロキシプロピルセルロース 9 mg
フマル酸 4.2 mg
水酸化ナトリウム 2.55mg
結晶セルロース 30 mg
クロスカルメロースナトリウム 15 mg
ステアリン酸マグネシウム 3.5 mg
計 349.6 mg
【0059】
実施例15
流動層造粒乾燥機(Lab−1、株式会社パウレック)中で、マンニトール(190.99g)を均一に混合後、フマル酸(4.2g)および水酸化ナトリウム(1.45g)の水溶液を噴霧後、化合物A(85.36g)を加え、ポリビニルピロリドン(18g)の水溶液を噴霧して造粒し、ついで機内で乾燥した。得られた造粒物を16メッシュ(目開き1.0mm)の篩で篩過し整粒末を得た。得られた整粒末(250g)に結晶セルロース(25g)、クロスカルメロースナトリウム(12.5g)およびステアリン酸マグネシウム(2.9g)を加え、ポリ袋中で混合した。得られた混合物をロータリー打錠機(コレクト19K、菊水製作所)で9.5mmφの杵を用いて打錠(打錠圧:7.5KN/杵、錠剤1錠あたりの重量:348.5mg)し、下記組成の素錠を得た。次いで、該素錠を40℃で16時間減圧乾燥した。
【0060】
製剤(348.5mgあたり)の組成
マンニトール 190.99mg
フマル酸 4.2 mg
水酸化ナトリウム 1.45mg
化合物A 85.36mg
ポリビニルピロリドン 18 mg
結晶セルロース 30 mg
クロスカルメロースナトリウム 15 mg
ステアリン酸マグネシウム 3.5 mg
計 348.5 mg
【0061】
実施例16
流動層造粒乾燥機(Lab−1、株式会社パウレック)中で、化合物A(106.7g)およびマンニトール(242.4g)を均一に混合後、ヒドロキシプロピルセルロース(13.5g)、フマル酸(2.5g)および水酸化ナトリウム(0.863g)の水溶液を噴霧して造粒し、ついで機内で乾燥した。得られた造粒物を16メッシュ(目開き1.0mm)の篩で篩過し整粒末を得た。得られた整粒末(183g)に結晶セルロース(22.5g)、クロスカルメロースナトリウム(17.25g)およびステアリン酸マグネシウム(2.25g)を加え、ポリ袋中で混合した。得られた混合物をロータリー打錠機(コレクト19K、菊水製作所)で6.0mmφの杵を用いて打錠(打錠圧:2.5KN/杵、錠剤1錠あたりの重量:90.0mg)し、下記組成の素錠を得た。次いで、該素錠を40℃で16時間減圧乾燥した。
【0062】
製剤(90.0mgあたり)の組成
化合物A 21.34 mg
マンニトール 48.4875mg
ヒドロキシプロピルセルロース 2.7 mg
フマル酸 0.5 mg
水酸化ナトリウム 0.1725mg
結晶セルロース 9 mg
クロスカルメロースナトリウム 6.9 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.9 mg
計 90.0 mg
【0063】
実施例17
流動層造粒乾燥機(Lab−1、株式会社パウレック)中で、マンニトール(349.1g)を均一に混合後、ヒドロキシプロピルセルロース(13.5g)、フマル酸(2.5g)および水酸化ナトリウム(0.863g)の水溶液を噴霧して造粒し、ついで機内で乾燥した。得られた造粒物を16メッシュ(目開き1.0mm)の篩で篩過し整粒末を得た。得られた整粒末(91.5g)と実施例16の整粒末(91.5g)に結晶セルロース(22.5g)、クロスカルメロースナトリウム(17.25g)およびステアリン酸マグネシウム(2.25g)を加え、ポリ袋中で混合した。得られた混合物をロータリー打錠機(コレクト19K、菊水製作所)で6.0mmφの杵を用いて打錠(打錠圧:2.5KN/杵、錠剤1錠あたりの重量:90.0mg)し、下記組成の素錠を得た。次いで、該素錠を40℃で16時間減圧乾燥した。
【0064】
製剤(90.0mgあたり)の組成
化合物A 10.67 mg
マンニトール 59.1575mg
ヒドロキシプロピルセルロース 2.7 mg
フマル酸 0.5 mg
水酸化ナトリウム 0.1725mg
結晶セルロース 9 mg
クロスカルメロースナトリウム 6.9 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.9 mg
計 90.0 mg
【0065】
実施例18
流動層造粒乾燥機(FD−S2、株式会社パウレック)中で、化合物A(5999g)およびマンニトール(13360g)を均一に混合後、ヒドロキシプロピルセルロース(756.0g)、フマル酸(280.0g)および水酸化ナトリウム(96.60g)の水溶液を噴霧して造粒し、ついで機内で乾燥した。得られた造粒物をパワーミル粉砕機(P−3、昭和化学機械工作所)を用い、1.5mmφパンチングスクリーンで解砕した。得られた整粒末(36980g)にクロスカルメロースナトリウム(3478g)、結晶セルロース(4536g)およびステアリン酸マグネシウム(453.6g)を加え、タンブラー混合機(TM20−0−0型、末広化工機)で混合した。得られた混合物をロータリー打錠機(アクエリアス36K、菊水製作所)で9.5mmφの杵を用いて打錠(打錠圧:6.8KN/杵、錠剤1錠あたりの重量:360mg)し、下記組成の素錠を得た。次いで、該素錠を40℃で16時間減圧乾燥した。
【0066】
製剤(360mgあたり)の組成
化合物A 85.36mg
マンニトール 191.26mg
ヒドロキシプロピルセルロース 10.8 mg
フマル酸 4 mg
水酸化ナトリウム 1.38mg
クロスカルメロースナトリウム 27.6 mg
結晶セルロース 36 mg
ステアリン酸マグネシウム 3.6 mg
計 360 mg
【0067】
比較例1
流動層造粒乾燥機(Lab−1、株式会社パウレック)中で、化合物A(71.1g)およびマンニトール(163.9g)を均一に混合後、ヒドロキシプロピルセルロース(9.0g)の水溶液を噴霧して造粒し、ついで機内で乾燥した。得られた造粒物を16メッシュ(目開き1.0mm)の篩で篩過し整粒末を得た。得られた整粒末(230.0g)にクロスカルメロースナトリウム(17.6g)、結晶セルロース(23.0g)およびステアリン酸マグネシウム(2.3g)を加え、ポリ袋中で混合した。得られる混合物をロータリー打錠機(ミニロータリー製錠機、菊水製作所)で9.5mmφの杵を用いて打錠(打錠圧:6.5KN/杵、錠剤1錠あたりの重量:360mg)し、下記組成の素錠を得た。次いで、該素錠を40℃で16時間減圧乾燥した。
【0068】
製剤(360mgあたり)の組成
化合物A 85.36mg
マンニトール 196.64mg
ヒドロキシプロピルセルロース 10.8 mg
クロスカルメロースナトリウム 27.6 mg
結晶セルロース 36 mg
ステアリン酸マグネシウム 3.6 mg
計 360 mg
【0069】
比較例2
流動層造粒乾燥機(Lab−1、株式会社パウレック)中で、化合物A(42.68g)、乳糖(217.32g)、および結晶セルロース(32g)を均一に混合後、ヒドロキシプロピルセルロース(12g)の水溶液を噴霧して造粒し、ついで機内で乾燥し、造粒物を得た。
【0070】
造粒物(152mgあたり)の組成
化合物A 21.34mg
乳糖 108.66mg
結晶セルロース 16 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
計 152 mg
【0071】
比較例3
流動層造粒乾燥機(Lab−1、株式会社パウレック)中で、化合物A(42.68g)、乳糖(217.32g)、および結晶セルロース(32g)を均一に混合後、ヒドロキシプロピルセルロース(12g)の水溶液を噴霧して造粒し、ついで機内で乾燥した。得られた造粒物を16メッシュ(目開き1.0mm)の篩で篩過し整粒末を得た。得られた整粒末(15.2g)に低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(0.8g)を加え、ガラス瓶中で混合した。得られた混合物をオートグラフ(島津製作所製、AG−5000B)で9.5mmφの杵を用いて打錠(打錠圧:7.5KN/杵、錠剤1錠あたりの重量:374.9mg)し、下記組成の素錠を得た。次いで、該素錠を40℃で16時間減圧乾燥した。
【0072】
製剤(374.9mgあたり)の組成
化合物A 50 mg
乳糖 254.6mg
結晶セルロース 37.5mg
ヒドロキシプロピルセルロース 14.1mg
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 18.7mg
計 374.9mg
【0073】
比較例4
流動層造粒乾燥機(Lab−1、株式会社パウレック)中で、化合物A(42.68g)、マンニトール(217.32g)、および結晶セルロース(32g)を均一に混合後、ヒドロキシプロピルセルロース(12g)の水溶液を噴霧して造粒し、ついで機内で乾燥した。得られた造粒物を16メッシュ(目開き1.0mm)の篩で篩過し整粒末を得た。得られた整粒末(15.2g)に低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(0.8g)を加え、ガラス瓶中で混合した。得られた混合物をオートグラフ(島津製作所製、AG−5000B)で6mmφの杵を用いて打錠(打錠圧:3KN/杵、錠剤1錠あたりの重量:160mg)し、下記組成の素錠を得た。次いで、該素錠を40℃で16時間減圧乾燥した。
【0074】
製剤(160mgあたり)の組成
化合物A 21.34mg
マンニトール 108.66mg
結晶セルロース 16 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 8 mg
計 160 mg
【0075】
実験例1
実施例1および比較例1で得た乾燥素錠の薬物溶出性を溶出試験(2.0w/w%ドデシル硫酸ナトリウム含有リン酸緩衝液(pH6.8)900mL、パドル法、回転数50rpm、37℃)により評価した。溶出試験は第十四改正日本薬局方溶出試験法第2法(パドル法)にしたがって実施した。溶出率の測定は、各時点において試験液をUV測定装置(Agilent8453、Agilent社)で測定し、同装置のMulti Component Analysisを用いて化合物Aと主分解物を定量し、その合計量から溶出率を算出した。結果を図1に示す。−●−は実施例1の乾燥素錠の結果を示す。−○−は比較例1の乾燥素錠の結果を示す。
図1に示すように、pH調整剤の添加により、溶出性が改善されることが示された。
【0076】
実験例2
実施例1および比較例1で得た乾燥素錠を、それぞれガラス瓶に乾燥剤とともに入れ、40℃に1ヶ月間保存した際の、分解物の増加量を以下のような方法で測定した。
化合物Aが約1μg/mLとなるように抽出液で溶解し、非水系フィルター(0.45μm)でろ過した後、次の条件で高速液体カラムクロマトグラフィー(HPLC)法により定量した。
HPLC条件
検出器:紫外線吸光光度計、測定波長:240nm
カラム:YMC−Pack ProC18、5μm、内径:4.6mm、長さ:150mm
カラム温度:25℃
移動相(A):0.05mol/Lリン酸緩衝液(pH3.0)/アセトニトリル混液(9:1)
移動相(B):0.05mol/Lリン酸緩衝液(pH3.0)/アセトニトリル混液(3:7)
流量:1mL/分
グラジェントプログラム(リニア)

【0077】
結果を表1に示す。表1に示すように、pH調整剤の添加により、化合物Aの分解が抑えられることが示された。
【0078】
【表1】

【0079】
実験例3
実施例2および比較例2で得た造粒物を、それぞれガラス瓶に乾燥剤とともに入れ、40℃に1ヶ月間保存した際の、分解物の増加量を実験例2と同様の方法で測定した。
結果を表2に示す。表2に示すように、pH調整剤の添加により、化合物Aの分解が抑えられることが示された。
【0080】
【表2】

【0081】
実験例4
実施例3および比較例3で得た乾燥素錠の薬物溶出性を溶出試験(0.5w/w%ドデシル硫酸ナトリウム含有リン酸緩衝液(pH6.8)900mL、パドル法、回転数50rpm、37℃)により評価した。溶出試験は第十四改正日本薬局方溶出試験法第2法(パドル法)にしたがって実施した。薬物の溶出量は、各時点において試験液をメンブランフィルター(孔径0.45μm)でろ過した後、次の条件で高速液体カラムクロマトグラフィー(HPLC)法により定量し、化合物A(保持時間約10分)と主分解物(保持時間約4分)の合計量から溶出率を算出した。
HPLC条件
検出器:紫外線吸光光度計、測定波長:260nm
カラム:YMC−Pack ProC18、5μm、内径:4.6mm、長さ:150mm
カラム温度:25℃
移動相:0.05mol/Lリン酸緩衝液(pH3.0)/アセトニトリル混液(1:1)
流量:約1mL/分
結果を図2に示す。−●−は実施例3の乾燥素錠の結果を示す。−○−は比較例3の乾燥素錠の結果を示す。
図2に示すように、pH調整剤の添加により、溶出性が改善されることが示された。
【0082】
実験例5
実施例3および比較例3で得た乾燥素錠を、それぞれガラス瓶に乾燥剤とともに入れ、40℃に1ヶ月間保存した際の、分解物の増加量を実験例2と同様の方法で測定した。
結果を表3に示す。表3に示すように、pH調整剤の添加により、化合物Aの分解が抑えられることが示された。
【0083】
【表3】

【0084】
実験例6
実施例5および比較例4で得た乾燥素錠の薬物溶出性を実験例3にしたがって実施した。結果を図3に示す。−●−は実施例5の乾燥素錠の結果を示す。−○−は比較例4の乾燥素錠の結果を示す。
図3に示すように、pH調整剤の添加により、溶出性が改善されることが示された。
【0085】
実験例7
実施例6および比較例1で得た乾燥素錠を、それぞれガラス瓶に乾燥剤とともに入れ、40℃に1ヶ月間保存した際の、分解物の増加量を実験例2と同様の方法で測定した。
結果を表4に示す。表4に示すように、至適pHを示すpH調整剤の添加により、化合物Aの分解が抑えられることが示された。
【0086】
【表4】

【0087】
実験例8
実施例12、実施例13および実施例14で得た乾燥素錠を、それぞれガラス瓶に乾燥剤とともに入れ、40℃に2週間保存した際の、分解物の増加量を実験例2と同様の方法で測定した。結果を表5に示す。表5に示すように、pH調整剤の添加により、化合物Aの分解が抑えられ、さらに最適pHに調整することで安定性が向上することが示された。
【0088】
【表5】

【0089】
実験例9
実施例16、実施例17および比較例1で得た錠剤を、それぞれガラス瓶に乾燥剤とともに入れ、40℃に1ヶ月間保存した際の、分解物の増加量を実験例2と同様の方法で測定した。
結果を表6に示す。表6に示すように、実施例16および実施例17の錠剤においても、安定化の効果が確認できた。
【0090】
【表6】

【0091】
実験例10
pH調整剤を25℃で水に1%w/vにて溶解または懸濁させて得た溶液または懸濁液のpHを測定した。結果を表7に示す。
【0092】
【表7】

【0093】
実験例11
比較例1の錠剤3錠に水1080mLを加えて、錠剤が完全に崩壊するまで撹拌した。得られた懸濁液の25℃におけるpHを測定したところ、8.02であった。
【0094】
実験例12
化合物AのpHの異なる水溶液に対する溶解度を以下のように測定した。
過剰量の化合物Aと水溶液を試験管に入れ、25℃の条件で、5分に1回30秒間振り混ぜる。30分後に溶液を0.45μmのメンブランフィルターでろ過しサンプルとする。これを、以下のHPLC条件で、化合物Aの濃度を測定する。
【0095】
HPLC条件
検出器:紫外線吸光光度計、測定波長:260nm
カラム:YMC−Pack ProC18、3μm、内径:6mm、長さ:5cm
カラム温度:25℃
移動相:0.05mol/Lリン酸緩衝液(pH3.0)/アセトニトリル混液(1:1)
流量:約1mL/分
【0096】
【表8】

【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明の固形医薬組成物は、製剤中における化合物(I)の優れた安定性と、製剤からの活性成分の優れた溶出性を兼ね備えていることから、医薬品の製剤技術として極めて有用である。
【0098】
以上、本発明の具体的な態様のいくつかを詳細に説明したが、当業者であれば示された特定の態様には、本発明の教示と利点から実質的に逸脱しない範囲で様々な修正と変更をなすことは可能である。従って、そのような修正および変更も、すべて後記の請求の範囲で請求される本発明の精神と範囲内に含まれるものである。
【0099】
本出願は米国仮出願60/908,515を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、Rは脱プロトン化しうる水素原子を有する単環状の含窒素複素環基を示し、Rはエステル化されたカルボキシル基を示し、Rは置換されてもよい低級アルキルを示す)で表される化合物またはその塩およびpH調整剤を含有してなる固形医薬組成物。
【請求項2】
式(I)で表される化合物の塩が2-エトキシ-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸 (5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル カリウム塩である請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
pH調整剤がpH2ないし5のpH調整剤である請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項4】
pH調整剤がフマル酸一ナトリウムまたはフマル酸と水酸化ナトリウムの組み合わせである請求項3記載の医薬組成物。
【請求項5】
式(I)で表される化合物またはその塩を含有する固形医薬組成物において、pH調整剤を配合することを特徴とする、固形医薬組成物における式(I)で表される化合物またはその塩の安定化方法。
【請求項6】
式(I)で表される化合物またはその塩を含有する固形医薬組成物において、pH調整剤を配合することを特徴とする、固形医薬組成物からの式(I)で表される化合物またはその塩の溶出改善方法。
【請求項7】
式(I)で表される化合物またはその塩を含有する固形医薬組成物における式(I)で表される化合物またはその塩の安定化のためのpH調整剤の使用。
【請求項8】
式(I)で表される化合物またはその塩を含有する固形医薬組成物からの式(I)で表される化合物またはその塩の溶出性改善のためのpH調整剤の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−522692(P2010−522692A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541656(P2009−541656)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【国際出願番号】PCT/JP2008/056522
【国際公開番号】WO2008/123536
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】