説明

ベンダムスチンおよび抗−CD20抗体の組合せを用いた癌治療

ここで開示されているのは、癌の治療を目的とする、抗−CD20抗体と組合せたベンダムスチンの使用である。この組合せは、別個に、逐次的にかつ/または同時に投与可能である。医薬組成物および医薬品も同時に開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対するクロスリファレンス)
本出願は、全体が参照により本明細書に組み込まれている2009年1月16日出願の米国特許出願第61/145210号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、癌治療を目的とする、抗−CD20抗体と組合せたベンダムスチン(bendamustine)の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
無痛性非ホジキンリンパ腫(IL)は、増殖遅延型のリンパ腫である。これらは、ワーキングフォーミュレーションにおいて低悪性度および一部のカテゴリの中悪性度NHLと呼ばれたものを包含している。極早期で低悪性度の疾病において患者が治癒しない場合、治療の最終目的は苦痛緩和にある。FLは、米国および欧州において2番目に一般的なリンパ腫であり、非ホジキンリンパ腫(NHL)全体の11%〜35%を占めている[WHO2001]。濾胞性リンパ腫(FL)は、無痛性リンパ腫の群に属し、成熟(末梢)B細胞性腫瘍の下位群である[WHO2001]。それは、少なくとも部分的に濾胞性のパターンを有する胚中心B細胞(中心細胞および胚中心細胞)のリンパ腫として定義されている。
【0004】
無痛性非ホジキンリンパ腫(IL)は、リツキシマブに基づく療法で適正に治療されるものの、リツキシマブに対し不応性となった患者については選択肢に限界がある。ベンダムスチンは、リツキシマブ不応性無痛性リンパ腫の治療において活性を示し、その他のアルキル化剤に不応性の対象において活性を有することが示されてきた合成ナイトロジェンマスタード化合物である。しかしながら、これらの早期療法に不応性である対象においては、代替療法が特に必要とされる。
【0005】
近年、新世代の抗−CD20抗体についての報告が数多く存在している。このような新規抗体の1つがオファツムマブ(ofatumumab)である。オファツムマブは、B細胞の表面上でCD20分子の全く異なる膜近位小ループエピトープ(特異的結合部位)を標的化する新生代のヒトモノクローナル抗体である。これは、リツキシマブについて観察された腫瘍細胞溶解能力に比べて、類似のADCC(抗体依存性細胞媒介性細胞障害)活性で、CLLの場合がそうであるように特に低いCD20活性をもつ細胞において、CDC(補体依存性細胞障害)活性による腫瘍細胞溶解のより優れた誘発を生成する。国際公開第2004/035607号パンフレット内で2F2抗体として記述されているオファツムマブは、非ホジキンリンパ腫(NHL)、慢性リンパ性白血病(CLL)および関節リウマチ(RA)の治療に向けた臨床的開発段階にある。同様にTeeling et al.、Blood、104、pp1793(2004);およびTeeling et al.、J.Immunology、177、pp362−371(2007)も参照のこと。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態において、本発明は、ベンダムスチンと組合せて抗−CD20抗体を患者に投与する工程を含む、ヒトの患者における前駆BおよびT細胞性腫瘍、成熟B細胞性腫瘍、ホジキンリンパ腫および免疫不全関連リンパ増殖性疾患を含むCD20を発現するあらゆる癌の治療方法に関する。一実施形態においては、投与は同時である。別の実施形態においては、投与は逐次的であり、ベンダムスチンが最初に投与される。さらに別の実施形態においては、抗−CD20抗体が最初に投与される。さらに別の実施形態においては、抗−CD20抗体の投与と、ベンダムスチンの投与とに時差がある(stagger)。
【0007】
一実施形態において、本発明は、患者に対してベンダムスチンと組合せて抗−CD20抗体を投与する工程を含む、ヒトの患者の体内のFL(濾胞性リンパ腫)を含めたリツキシマブ不応性の無痛性非ホジキンリンパ腫の治療方法に関する。一実施形態において、投与は同時である。別の実施形態において、投与は逐次的であり、ベンダムスチンが最初に投与される。さらに別の実施形態においては、抗−CD20抗体が最初に投与される。さらに別の実施形態において、抗−CD20抗体の投与と、ベンダムスチンの投与とに時差がある。
【0008】
一実施形態において、本発明は、ベンダムスチンおよび抗−CD20抗体を含む医薬組成物において、組合せが、別個の、逐次的および/または同時の投与に適したものである、医薬組成物に関する。
【0009】
一実施形態において、抗−CD20抗体は、172位においてアミノ酸残基プロリンを含まないかまたは必要としないが、163位にアミノ酸残基アスパラギンおよび166位にアスパラギンを含むかまたは必要とするCD20上でエピトープに結合する単離されたヒト抗−CD20抗体である。このような抗体の例は、国際公開第2004/035607号パンフレット中に見出される。
【0010】
別の実施形態において、抗−CD20抗体は、オファツムマブである。
【0011】
一実施形態において、本発明は、癌(特にリツキシマブ不応性の無痛性非ホジキンリンパ腫)の治療のための医薬品の製造における抗−CD20抗体(特にオファツムマブ)の使用において、医薬品がベンダムスチンとの併用療法用のものである使用に関する。
【0012】
一実施形態において、本発明は、ベンダムスチンと組み合わせた癌(特にリツキシマブ不応性の無痛性非ホジキンリンパ腫)の治療において使用するための抗−CD20抗体(特にオファツムマブ)に関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】オファツムマブ/ベンダムスチン投与の非限定的な例を表わす。
【図2】JVM−3細胞上のCD20の中レベルの発現プロファイルを示す。第1ピーク:Mab対照;第2ピーク:BD Biosceience抗−CD20抗体クローン2H7;第3ピーク:リツキサン;第4ピーク:オファツムマブ。
【図3】次善の用量(オファツムマブ:2mg/kgおよびベンダムスチン50mg/kg;n=6/群)でのオファツムマブ/ベンダムスチンの組合せの利点を示す。
【図4】JVM3(CLL)モデルにおけるオファツムマブとベンダムスチンの組合せ(TREANDA)(s.c.(皮下注射)、24日目;n=6/群)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
濾胞性リンパ腫のための現行の治療戦略は、最大の疾病制御および長い生存率を確立することに焦点をあてている。組織学上の早期および低悪性度段階を超えて進行した疾病は、いまだに治癒不能の状態である。毒性が無いこと、有効な療法を達成することの間には、一つの平衡が存在する。したがって、FL対象、特にアルキル化剤、プリン類似体およびリツキシマブに対し不応性となった対象の大部分の治療のための、副作用が少なく有効な療法に対するなおも満たされていないニーズが存在する。オファツムマブは、リツキシマブ耐性となった対象において活性を示しており[Hagenbeek、et al.Blood 2008;111:5486−5495]、ベンダムスチンはアルキル化剤およびプリン類似体耐性をもつ対象において活性を示した[Schoffski et al.、Ann Oncol.2000;11:729−734;Solal−Celigny et al.、Blood.2004;104:1258−1265;Heider et al.、Anticancer Drugs.2001;12:725−729;Bremer K.、J Cancer Res Clin Oncol 2002;128:603−609;Friedberg et al.、J Clin Oncol.2008;26:204−210]。オファツムマブとベンダムスチンの組合せは、他の治療方法に対し不応性となった対象のために低い毒性プロファイルと効率を組合せている。
【0015】
本発明は、ヒトの患者においてFL(濾胞性リンパ腫)を含めたリツキシマブ不応性の無痛性非ホジキンリンパ腫を治療するための方法において、患者に対しベンダムスチンと組合せて抗−CD20抗体を投与する工程を含む方法に関する。一実施形態において、投与は同時である。別の実施形態において、投与は逐次的であり、ベンダムスチンが最初に投与される。さらに別の実施形態においては、抗−CD20抗体が最初に投与される。さらに別の実施形態において、抗−CD20抗体の投与と、ベンダムスチンの投与とに時差がある。
【0016】
本発明は同様に、ヒトの患者においてFCD20を発現する腫瘍型を治療するための方法において、患者に対しベンダムスチンと組合せて抗−CD20抗体を投与する工程を含む方法に関する。一実施形態において、投与は同時である。別の実施形態において、投与は逐次的であり、ベンダムスチンが最初に投与される。さらに別の実施形態においては、抗−CD20抗体が最初に投与される。さらに別の実施形態において、抗−CD20抗体の投与と、ベンダムスチンの投与とに、時差がある。CD20を発現する腫瘍型の例としては、前駆BまたはT細胞性腫瘍、成熟B細胞性腫瘍、ホジキンリンパ腫または、免疫不全関連リンパ増殖性疾患から選択された群が含まれる。
【0017】
ベンダムスチンおよびオファツムマブを投薬する非限定的な方法が実施例1で示されている。
【0018】
本発明は同様に、ヒトの患者に対してオファツムマブおよびベンダムスチンを投与する工程を含む、NHL(非ホジキンリンパ腫)、B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、成熟B細胞性腫瘍、B細胞慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、低悪性度、中悪性度および高悪性度FLを含む、濾胞性リンパ腫(FL)、皮膚濾胞中心リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫(MALT型、結節型および脾臓型)、ヘアリー細胞白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、形質細胞腫、形質細胞性骨髄腫、移植後リンパ増殖性疾患、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、T細胞非ホジキンリンパ腫および黒色腫からなる群から選択される癌を治療する方法にも関する。一実施形態において、投与は同時である。別の実施形態において、投与は逐次的であり、ベンダムスチンが最初に投与される。さらに別の実施形態においては、抗−CD20抗体が最初に投与される。さらに別の実施形態において、抗−CD20抗体の投与と、ベンダムスチンの投与とに、時差がある。
【0019】
リツキシマブ不応性の無痛性リンパ腫は、以下の通りに定義される。リンパ腫は、単剤療法としてかまたは任意の化学療法と組合せた形でのリツキシマブに対して、またはリツキシマブと化学療法に後続する維持療法として与えられたリツキシマブに対して不応性である。リンパ腫は、以下の条件が存在する場合に、不応性である:
1.単剤療法としてまたは任意の化学療法と組合せた形で投与されたリツキシマブに対して少なくとも部分的応答(PR)を達成できない場合;または
2.(単剤療法としてかまたは任意の化学療法と組合せた形で与えられたかまたはR−chemoに続くリツキシマブ維持治療の間の)リツキシマブによる治療中に疾病が進行した場合;または
3.(単剤療法としてかまたは任意の化学療法と組合せた形で与えられたかまたはR−chemoに続くリツキシマブ維持治療計画後の)リツキシマブ最終用量から6ヶ月以内に応答者において疾病が進行した場合。
【0020】
本発明の一実施形態において、抗−CD20抗体はモノクローナルである。
【0021】
一実施形態において、抗−CD20抗体は、Fe媒介性エフェクタ機能を有する。
【0022】
一実施形態において、抗−CD20抗体は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)エフェクタ機能を有する。
【0023】
一実施形態において、抗−CD20抗体は、補体依存性細胞傷害(CDC)エフェクタ機能を有する。
【0024】
本発明の一実施形態において、抗−CD20抗体はキメリック、ヒト化またはヒトモノクローナル抗体である。
【0025】
一実施形態において、CD20に対するモノクローナル抗体(抗−CD抗体)は、全長IgG1抗体、全長IgG2抗体、全長IgG3抗体、全長IgG4抗体、全長IgM抗体、全長IgA1抗体、全長IgA2抗体、全長分泌型IgA抗体、全長IgD抗体および全長IgE抗体からなる群から選択された全長抗体であり、ここで抗体は真核細胞内でグルコシル化されている。
【0026】
一実施形態において、抗−CD20抗体は全長抗体、例えば全長IgG1抗体である。
【0027】
一実施形態において、抗−CD20抗体は抗体フラグメント、例えばscFvまたはUniBodyTM(国際公開第2007/059782号パンフレットにおいて開示されている一価抗体)である。本発明の一実施形態において、CD20に対する抗体(抗−CD20抗体)は、免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドに融合される配列番号1の重鎖可変領域または配列番号2の軽鎖可変領域の形をした結合ドメインポリペプチド;(ii)ヒンジ領域に融合された免疫グロブリン重鎖CH2定常領域、および(iii)CH2定常領域に融合された免疫グロブリン重鎖CH3定常領域を含む結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質である。
【0028】
一実施形態において、CD20に対する抗体は、ヒトCD20に対するものと少なくとも同じ親和力を有する変異体P172S CD20(セリンに変異した172位のプロリン)に結合する。
【0029】
本発明の一実施形態において、CD20に対する抗体は、以下のようなCD20上のエピトープに結合する:
(i)172位にアミノ酸残基プロリンを含まないかまたはそれを必要としないもの;
(ii)170位にアミノ酸残基アラニンをまたは172位にプロリンを含まないかまたはそれを必要としないもの;
(iii)163位にアミノ酸残基アスパラギンをそして166位にアスパラギンを含むかまたはそれを必要とするもの;
(iv)172位にアミノ酸残基プロリンを含まないかまたはそれを必要としないが、163位にアミノ酸残基アスパラギンをそして166位にアスパラギンを含むかまたはそれを必要とするもの;または
(v)170位にアミノ酸残基アラニンをまたは172位にプロリンを含まないかまたはそれを必要としないが、163位にアミノ酸残基アスパラギンをそして166位にアミノ酸残基アスパラギンをそして166位にアスパラギンを含むかまたはそれを必要とするもの。
【0030】
一実施形態において、CD20に対する抗体は、ヒトCD20の小さい第1の細胞外ループ内のエピトープに結合する。
【0031】
一実施形態において、CD20に対する抗体は、CD20上の不連続エピトープに結合する。
【0032】
一実施形態において、CD20に対する抗体は、CD20上の不連続エピトープに結合し、ここでこのエピトープは、第1の小細胞外ループの一部分と第2の細胞外ループの一部分とを含む。
【0033】
一実施形態において、CD20に対する抗体は、CD20上の不連続エピトープに結合し、ここでこのエピトープは、小さい第1細胞外ループの残基AGIYAPと第2の細胞外ループの残基MESLNFIRAHTPYIを有する。
【0034】
一実施形態において、CD20に対する抗体は、以下の群から選択された特徴の1つ以上を有する:
(i) 補体の存在下でCD20を発現する細胞の補体依存性細胞傷害(CDC)を誘発することができる;
(ii) 補体の存在下でCD20および高レベルのCD55および/またはCD59を発現する細胞の補体依存性細胞傷害(CDC)を誘発することができる;
(iii) CD20を発現する細胞のアポトーシスを誘発することができる;
(iv) エフェクタ細胞の存在下でCD20を発現する細胞の抗体依存性細胞傷害(ADCC)を誘発することができる;
(v) CD20を発現する細胞の同型接着を誘発することができる;
(vi) CD20に結合した時点で脂質ラフトに転移(translocate)することができる;
(vii) CD20を発現する細胞を枯渇させることができる;
(viii) 低レベルのCD20を発現する細胞(CD20low細胞)を枯渇させることができる;そして
(ix) ヒト組織内において現位置でB細胞を有効に枯渇させることができる。
【0035】
本発明の一実施形態において、CD20に対する抗体は、配列番号5、9または11から選択されたVH CDR3配列を含む。
【0036】
一実施形態において、CH20に対する抗体は配列番号3のVH CDR1、配列番号4のVH CDR2、配列番号5のVH CDR3、配列番号6のVL CDR1、配列番号7のVL CDR2および配列番号8のVL CDR3配列を含む。
【0037】
本発明の一実施形態において、CH20に対する抗体は、配列番号10のVH CDR1−CDR3スパニング配列を含む。
【0038】
本発明の一実施形態において、CH20に対する抗体は、それぞれ配列番号1および配列番号2に記されているアミノ酸配列;またはそれぞれ配列番号1および配列番号2に記されているアミノ酸配列と少なくとも95%、そしてより好ましくは少なくとも98%または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むヒト重鎖およびヒト軽鎖可変領域を有する。
【0039】
本発明の一実施形態において、CH20に対する抗体は、オファツムマブ(2F2)、11B8または7D8などの国際公開第2004/035607号パンフレット中で開示されている抗−CD20抗体の1つ、2C6などの国際公開第2005/103081号パンフレット中で開示されている抗体の1つ、国際公開第2004/103404号パンフレット中で開示されている抗体の1つ、AME−133(Applied Modecular Evolutionにより開発されたヒト化および最適化された抗CD20モノクローナル抗体)、米国特許公開第2003/0118592号明細書中で開示されている抗体の1つ、TRU−015(CytoxB20G、Trubion Pharmaceuticals Incにより開発された、抗−CD20抗体上の主要ドメインから誘導された小分子免疫薬学的融合タンパク質)、国際公開第2003/68821号パンフレット中で開示されている抗体の1つ、IMMU−106(ヒト化抗−CD20モノクローナル抗体)、国際公開第2004/56312号パンフレット中で開示されている抗体の1つ、オクレリツマブ(2H7.v16、PRO−70769、P−15694)、Bexxar(登録商標)(トシツモマブ)、およびRituxan(登録商標)/MabThera(登録商標)(リツキシマブ)から選択される。「CD20」および「CD20抗原」という用語は、本明細書で互換的に使用されており、CD20遺伝子でのトランスフェクションを受けた細胞により自然に発現されるかまたはこれらの細胞上で発現されるヒトCD20のあらゆるバリアント、イソ型および種ホモログを含む。当該技術分野において認められているCD20の同義語には、Bリンパ球表面抗原B1、Leu−16およびBp35が含まれる。ヒトCD20はUniProtKB/Swiss−ProtエントリP11836を有する。
【0040】
本明細書中で使用される「免疫グロブリン」という用語は、4つ共全てジスルフィド結合により相互連結されている、2対のポリペプチド鎖、1対の軽(L)低分子量鎖および1対の重量(H)鎖からなる構造的に関連づけされた糖タンパク質の一部類を意味する。免疫グロブリンの構造は充分に特徴づけされてきた。例えばFundamental Immunology Ch.7(Paul、W.、ed.、2nd ed.Raven Press、N.Y.(1989)を参照のこと)。簡単に言うと、各々の重鎖は標準的に、重鎖可変領域(本明細書中ではVHと省略)および重鎖定常領域で構成されている。重鎖定常領域、CHは典型的に、3つのドメインCH1、CH2およびCH3で構成されている。各々の軽鎖は典型的に、軽鎖可変領域(本明細書中VLと省略)および軽鎖定常領域で構成されている。軽鎖定常領域は典型的に、1つのドメインCLで構成されている。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存レベルの高い領域が散在する、相補的決定領域(CDR)とも呼ばれる超可変性をもつ領域(あるいは、構造的に定義されたループ形状および/または配列が超可変的であるかもしれない超可変領域)にさらに細分されてよい。
【0041】
各々のVHおよびVLは典型的に、以下の順序でアミノ末端からカルボキシ末端まで配置された3つのCDRおよび4つのFRで構成されている:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4(Chothia and Lesk J.Mol.Biol.196、901−917(1987)も同じく参照のこと)。典型的には、この領域におけるアミノ酸残基の付番はKabat et al.、Sequences of Proteins of Immunological Interest、5th Ed.Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD.(1991)中で記述されている方法によって実施される(本明細書中におけるKabat中にある通りのまたはKabatにしたがった可変ドメイン残基付番などという語句は、重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインのためのこの付番システムを意味する)。この付番システムを用いて、ペプチドの実際の線形アミノ酸配列は、可変ドメインのFRまたはCDRの短縮またはその中への挿入に対応するより少ないまたは追加のアミノ酸を含んでいてよい。例えば、重鎖可変ドメインは、VH CDR2の残基52の後に単一アミノ酸インサート(例えばKabatにしたがった残基52a)を、かつ重鎖FR残基82の後に挿入残基(例えばKabatにしたがった残基82a、82bおよび82cなど)を含んでいてよい。残基のKabat付番は、「標準的な」Kabat付番配列と抗体の配列の相同的領域における整列により所与の抗体について決定されてよい。
【0042】
本明細書中で使用される「抗体」という用語は、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、約24時間以上、約48時間以上、約3、4、5、6、7日以上などの有意な期間またはその他の任意の関連する機能的に定義済の期間(例えば、抗原に結合する抗体と結びつけられた生理学的応答を誘発、促進、増強および/または変調するのに充分な時間、および/またはFc媒介性エフェクタ活性を抗体が回復するのに充分な時間)、典型的な生理学的条件下で抗原に特異的に結合する能力を有する、免疫グロブリン分子、免疫グロブリン分子のフラグメント、またはそのいずれかの誘導体を意味する。
【0043】
免疫グロブリン分子の重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系のさまざまな細胞(例えばエフェクタ細胞)および補体活性化の古典的経路中の最初の構成要素であるClqなどの補体系の構成要素を含めた、宿主組織または因子に対する免疫グロブリンの結合を媒介するかもしれない。
【0044】
抗−CD20抗体は、単一特異性、二重特異性または多重特異性を有していてよい。実際、本発明が提供する二重特異性抗体、ダイアボディなどは、CD20の一部分に加えて適切なあらゆる標的に結合してよい。
【0045】
上述の通り、本明細書中で使用する「抗体」という用語は、別段の記述がない限りまたは前後関係から明確に相反しているのでないかぎり、例えば酵素分割、ペプチド合成および組換え技術など抗原に対する特異的結合能力を保持する公知の任意の技術により提供される抗体のフラグメントを含む。抗体の抗原結合機能が全長(無傷)抗体のフラグメントによって実施されてもよいということが示されてきた。「抗体」という用語の中に包含される抗体結合フラグメントの例としては、非限定的に、(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価のフラグメントであるFabフラグメント;ヒンジ領域においてジスルフィド架橋により連結された2つのFabフラグメントを含む二価のフラグメントであるF(ab)2およびF(ab’)2フラグメント;(iii)本質的にVHおよびCH1ドメインで構成されているFdフラグメント;(iv)本質的に抗体の単一アームのVLおよびVHドメインで構成されているFVフラグメント;(v)本質的にVHドメインで構成されドメイン抗体とも呼ばれる(Holt et al.(November 2003)dAbフラグメント(Ward et al.、Nature 341、544−546(1989));(vi)ラクダ抗体またはナノ抗体(Revets et al.(January 2005) Expert Opin Biol Ther.5(1):111−24);(vii)VH CDR3などの単離相補性決定領域(CDR);(viii)国際公開第2007/059782号パンフレット中で開示されている一価抗体であるUniBodyTM;(ix)一本鎖抗体または一本鎖Fv(scFv)(例えばBird et al.、Science242、423−426(1988)およびHuston et al.、PNAS USA 85、5879−5883(1988)を参照のこと)、(x)単一特異性抗体または二重特異性抗体であり得るダイアボディ(scFvダイマー)(ダイアボディの説明については、例えばPNAS USA90(14)、6444−6448(1993)、欧州特許第EP404097号明細書または国際公開第93/11161号パンフレットを参照のこと)、トリアボディまたはテトラボディが含まれる。このようなフラグメントは一般に抗体の定義の範囲内に含まれるが、これらは集合的におよび各々独立して、異なる生物学的特性および有用性を示す本発明の一意的特徴である。本発明に関連するこれらのおよびその他の有用な抗体フラグメントについては本明細書中でさらに詳しく論述されている。
【0046】
抗体という用語が一般にモノクローナル抗体ならびにポリクローナル抗体を含むことを理解すべきである。抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、マウス抗体などであり得る。生成された状態の抗体は、任意のイソタイプを有し得る。
【0047】
本明細書で使用される「ヒト抗体」という用語は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列から誘導された可変領域および定常領域を有する抗体を含むように意図されている。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列によりコードされていないアミノ酸残基を含んでいてよい(例えば、試験管内のランダムまたは部位特異的変異誘発によってかまたは生体内体細胞変異により導入された変異)。しかしながら、本明細書で使用される「ヒト抗体」という用語は、別の哺乳動物種例えばマウスの生殖細胞系列から誘導されたCDR配列がヒトフレームワーク配列内にグラフトされた抗体を含むようには意図されていない。
【0048】
本明細書中で使用されるように、ヒト抗体が例えばヒト免疫グロブリン遺伝子を坦持する遺伝子導入マウスに免疫付与することによってかまたはヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリをスクリーニングすることによってヒト免疫グロブリン配列を用いて1つの系から得られ、ここで、選択されたヒト抗体が生殖細胞系列免疫グロブリン遺伝子によりコードされたアミノ酸配列と少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%または例えば少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する場合、このヒト抗体は特定の一生殖細胞系列配列「から誘導され」ている。典型的には、特定のヒト生殖細胞系列配列から誘導されたヒト抗体は、免疫グロブリン遺伝子によりコードされたアミノ酸配列とは、10以下のアミノ酸差異、例えば5以下のアミノ酸差異、例えば4、3、2または1以下のアミノ酸差異を示す。VH抗体配列については、VH CDR3ドメインはこのような比較の中に含みいれられない。
【0049】
「キメラ抗体」という用語は、1抗体からの一つ以上の領域および1つ以上のその他の抗体からの一つ以上の領域を含む抗体を意味する。「キメラ抗体」という用語は、一価、二価または多価の抗体を含む。一価キメラ抗体は、キメラL鎖とジスルフィド架橋を通して会合させられたキメラH鎖により形成されたダイマー(HL)である。二価のキメラ抗体は、少なくとも一つのジスルフィド架橋を通して会合させられた2つのHLダイマーにより形成されたテトラマー(H2L2)である。多価キメラ抗体も同様に、(例えばIgMH鎖またはμ鎖からの)2+結合部位をもつ分子の形に集合するCH領域を利用することなどによって、生産されてよい。典型的には、キメラ抗体は、重鎖および/または軽鎖が、特定の種から誘導されたまたは特定の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体内の対応する配列と同一性または相同性を有し、一方1つまたは複数のその鎖の残りが別の種から誘導されたまたは別の抗体クラスまたはサブクラスならびにこのような抗体のフラグメントに属する抗体の対応する配列と同一性または相同性を有している抗体(それらが所望の生物学的活性を示すかぎりにおいて)を意味する(例えば米国特許第4,816,567号明細書およびMorrison et al.、PNAS USA81、6851−6855(1984)を参照のこと)。キメラ抗体は、当該技術分野において周知の組換えプロセスにより産生される(例えばCabilly et al.、PNAS USA81、3273−3277(1984)、Morrison et al.、PNAS USA81、6851−6855(1984)、Boulianne et al.、Nature312、643−646(1984)、欧州特許第125023号明細書、Neuberger et al.、Nature314、268−270(1985)、欧州特許第171496号明細書、欧州特許第173494号明細書、国際公開第86/01533号パンフレット、欧州特許第184187号明細書、Sahagan et al.、J.Immunol.137、1066−1074(1986)、国際公開第87/02671号パンフレット、Liu et al.、PNAS USA84、3439−3443(1987)、Sun et al.、PNAS USA84、214−218(1987)、Better et al.、Science240、1041−1043(1988)およびHarlow et al.、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、(1988)を参照のこと)。
【0050】
「ヒト化抗体」という用語は、非ヒト抗体から誘導された最小限の配列を含むヒト抗体を意味する。典型的には、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域からの残基が、所望の特異性、親和性および能力を有するマウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類などの非ヒト種の超可変領域(ドナー抗体)からの残基により置換されているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。
【0051】
さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体内に見出されない残基を含むかもしれない。これらの修飾はさらに抗体性能を高度化するために行われる。一般に、ヒト化抗体は少なくとも1つそして典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、ここで超可変ループの全てまたは実質的に全てで非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域の全てまたは実質的に全てが、ヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は任意には同様に、ヒト免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部分を含む。さらなる詳細については、Jones et al.、Nature321、522−525(1986)、Riechmann et al.、Nature332、323−329(1988)およびPresta、Curr.Op.Struct.Biol.2、593−596(1992)を参照のこと。
【0052】
「患者」という用語は、ヒトの患者を意味する。
【0053】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」という用語は、単一分子組成をもつ抗体分子の調合物を意味する。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する単一の結合特異性および親和性を示す。したがって、「ヒトモノクローナル抗体」という用語は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列から誘導された可変および定常領域を有する単一結合特異性を示す抗体を意味する。ヒトモノクローナル抗体は、不死化細胞に融合されたヒト重鎖トランス遺伝子および軽鎖トランス遺伝子を含むゲノムを有する遺伝子導入マウスなどの遺伝子導入または染色体導入非ヒト動物から得たB細胞を含むハイブリドーマによって生成されてよい。
【0054】
本明細書で使用される「組換え型ヒト抗体」という用語は、(a)ヒト免疫グロブリン遺伝子またはそれから調製されたハイブリドーマに対して遺伝子導入型または染色体導入型である動物(例えばマウス)から単離された抗体(本明細書の他の箇所でさらに詳述)、(b)抗体を発現するように形質転換された宿主細胞例えばトランスフェクトーマから単離された抗体、(c)組換え型、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリから単離された抗体、および(d)他のDNA配列に対するヒト免疫グロブリン遺伝子配列のスプライシングが関与するその他のあらゆる手段によって調製、発現、作製または単離されるすべてのヒト抗体を含む。このような組換え型ヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列から誘導された可変および定常領域を有する。しかしながら、一部の実施形態において、このような組換え型ヒト抗体は、試験管内変異誘発(または、ヒトIg配列について遺伝子導入型である動物が使用される場合には、生体内体細胞変異)に付されるかもしれず、したがって組換え型抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系列VHおよびVL配列から誘導されこれと関係性を持つものの、生体内のヒト抗体生殖細胞系列レパートリー内で天然には存在しないかもしれない。
【0055】
「遺伝子導入非ヒト動物」という用語は、1つ以上のヒト重鎖および/または軽鎖トランス遺伝子またはトランス染色体(動物の天然ゲノムDNA内に組込まれたまたは組込まれていないもの)を含み、かつ完全ヒト抗体を発現することのできるゲノムを有する非ヒト動物を意味する。例えば、遺伝子導入マウスは、ヒト軽鎖トランス遺伝子および、ヒト重鎖トランス遺伝子またはヒト重鎖トランス染色体のいずれかを有することができ、こうしてそのマウスは、CD20抗原および/またはCD20を発現する細胞で免疫付与された場合ヒト抗−CD20抗体を産生する。ヒト重鎖トランス遺伝子は、例えば遺伝子導入マウス、例えばHuMAb−Mouse(登録商標)、例えばHCo7またはHCo12マウスの場合そうであるようにマウスの染色体DNA内に組込まれてよく、あるいはヒト重鎖トランス遺伝子は、国際公開第02/43478号パンフレットに記載されているような染色体導入KM−Mouse(登録商標)の場合がそうであるように、染色体外に維持されてもよい。このような遺伝子導入および染色体導入マウス(本明細書中集合的に「遺伝子導入マウスと呼ばれる」は、V−D−J組換えおよびイソタイプスイッチングを受けることにより、(IgG、IgA、IgM、IgDおよび/またはIgEなどの)所与の抗原に対するヒトモノクローナル抗体の多数のイソタイプを産生することができる。遺伝子導入非ヒト動物は同様に、動物の乳の中で発現される遺伝子に対し遺伝子を作動的に連結させることなどにより、このような特異的抗体をコードする遺伝子を導入することにより特異的抗原に対する抗体を生産するためにも使用可能である。
【0056】
アミノ酸(ポリペプチド)配列に関しては、「同一性」または「相同性」という用語は、適切な挿入または欠失と最適に整列および比較された場合の2つのアミノ酸配列間の同一性の度合いを表わす。2つの配列間の同一性百分率は、2つの配列の最適な整列のために導入される必要のあるギャップの数および各ギャップの長さを考慮に入れて、配列が共有する同一性位置の数の一関数である(すなわち同一性%=同一位置の数/合計位置数×100)。配列の比較および2つの配列間の同一性百分率の決定は、以下で記述する数学的アルゴリズムを用いて達成可能である。
【0057】
2つのポリペプチド配列間の同一性百分率は、NWSgapdna.CMPマトリクスおよび40、50、60、70または80のギャップ重みおよび1、2、3、4、5または6の長さ重みを用いて、GCGソフトエアパッケージ内のGAPプログラムを使用して決定可能である。2つのアミノ酸配列間の同一性百分率は同様に、PAM120重み残基表、12というギャップ長ペナルティおよび4というギャップペナルティを用いて、ALIGNプログラム(バージョン2.0)内に取込まれたE.Meyers and W.Miller(Comput.Appl.Biosci.、4:11−17(1988))のアルゴリズムを用いて決定可能である。さらに、2つのアミノ酸配列間の同一性百分率は、Blossum62マトリクスまたはPAM250マトリクスのいずれか、および16、14、12、10、8、6または4のギャップ重みおよび1、2、3、4、5または6の長さ重みを用いて、GCGソフトウエアパッケージ内のGAPプログラム中に取込まれたNeedleman and Wunsch(J.Mol.Biol.48:444−453(1970))アルゴリズムを用いて決定可能である。
【0058】
一例としては、ポリペプチド配列は、本明細書中に記述されているようなポリペプチド基準配列(例えば配列番号1)と同一(すなわち100%の同一性)であってよく、あるいは、同一性%が100%、例えば少なくとも50、60、70、80、85、90、95、98または99%となるように基準配列に比べて一定数の整数までのアミノ酸改変数を含んでいてもよい。このような改変は、少なくとも一つのアミノ酸欠失、保存的および非保存的置換を含む置換、または挿入からなる群から選択され、ここで前記改変は、基準ポリペプチド配列のアミノまたはカルボキシ末端位置の間のどこかで、基準配列内のアミノ酸間で個別にまたは基準配列内部の1つ以上の隣接する基の中に散在する状態で、発生してよい。所与の同一性%についてのアミノ酸改変の数は、本明細書中で記述されているポリペプチド基準配列(例えば配列番号1)によりコードされたポリペプチド配列内のアミノ酸の合計数に、それぞれの同一性百分率の数値的百分率(100で除したもの)を乗じて、次にこの積を本明細書中で記述されているポリペプチド基準配列(例えば配列番号1)内のアミノ酸の前記合計数から減算することによって決定される、すなわち:
≦x−(x・y)
なお式中、nは、アミノ酸改変の数であり、xは配列番号1によりコードされるポリペプチド配列内のアミノ酸の合計数であり、yは、50%の場合0.50、60%の場合0.60、70%の場合0.70、75%の場合0.75、80%場合0.80、85%の場合0.85、90%の場合0.90、95%の場合0.95、98%の場合0.98、99%の場合0.99、または100%の場合1.00であり、「・」は乗算演算子を表わす符合であり、ここでxおよびyの任意の非整数積は、それをxから減算する前に最も近い整数に丸められる。
【0059】
本発明は同様に、ベンダムスチンを含む医薬組成物(調合物)をも提供する。このような組成物は、治療上有効な量のベンダムスチンを含み、さらに薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤をさらに含んでいてよい。このような薬学的担体は、ピーナツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの石油、動物、植物または合成由来のものを含めた油や水などの無菌液体であり得る。医薬組成物が静脈内投与される場合、担体として水を使用することができる。例えば注射剤用の液体担体として、食塩溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液を利用することもできる。適切な薬学的賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、白亜、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが含まれる。組成物は、所望される場合、少量の湿潤剤または乳化剤またはpH緩衝剤を含むこともできる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸薬、カプセル、粉末、持続放出型調合物、などの形態をとり得る。組成物は、トリグリセリドなどの従来の結合剤および担体を伴う座薬として調合することもできる。経口調合物は、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準的担体を含み得る。適当な薬学的担体の例は、E.W MartinによるRemignton’s Pharmaceutical Sciences中に記載されている。このような組成物は、患者に対する適切な投与のための形態を提供するべく適切な量の担体と共に、多くの場合精製された形態で治療上有効な量の化合物を含む。調合物は、投与様式に合っていなければならない。
【0060】
本発明の一実施形態において、組成物は、ヒトに対する静脈内投与に適合させられた医薬組成物として日常的手順にしたがって調合される。典型的には、静脈内投与のための組成物は、無菌等張性水性緩衝液中の溶液である。適切である場合、組成物は同様に、注射の部位における痛みを緩和するため、リグノカインなどの局部麻酔薬および可溶化剤をも含んでいてよい。一般に、成分は、個別にまたは単位剤形の形に一緒に混合された状態で、例えば乾燥した凍結乾燥粉末または無水濃縮物として、活性作用物質の数量を示した上でアンプルまたは小袋などの密封した容器の中に入って供給される。組成物を輸液により投与しなければならない場合には、医薬品グレードの無菌水または食塩水が入った輸液ボトルを用いてそれを分注することができる。組成物が注射により投与される場合、投与前に成分を混合してもよいように、注射用無菌水または食塩水のアンプルを提供することができる。
【0061】
したがって、ベンダムスチンは、医薬品の製造において使用されてよい。本発明の医薬組成物は、非経口投与用に溶液としてまたは凍結乾燥粉末として調合されてよい。粉末は、使用に先立ち適切な希釈剤またはその他の薬学的に許容される担体を添加することによって戻されてよい。液体調合物は、緩衝等張水溶液であってよい。適切な希釈剤の例としては、正規等張食塩溶液、水または緩衝酢酸ナトリウムまたはアンモニウム溶液中の標準5%デキストロースがある。このような調合物は、非経口投与に特に適しているが、経口投与のために使用されてもよく、あるいは、吸入用として定量吸入器または噴霧器内に収納されてもよい。このような医薬組成物に対し、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、ヒドロキシセルロース、アカシア、ポリエチレングリコール、マンニトール、塩化ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムなどの賦形剤を添加することも望ましいかもしれない。
【0062】
あるいは、経口投与のためベンダムスチンをカプセル封入、錠剤化しても、またはエマルジョンまたはシロップの形で調製してもよい。組成物を増強または安定化するため、または組成物の調製を容易にするため、薬学的に許容される固体または液体担体を加えてもよい。固体担体としては、デンプン、ラクトース、硫酸カルシウム二水和物、白土、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸、タルク、ペクチン、アカシア、寒天またゼラチンが含まれる。液体担体には、シロップ、ピーナツ油、オリーブ油、食塩水および水が含まれる。担体は同様に、持続放出型材料、例えば単独のまたはワックスを伴うモノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルを含んでいてよい。固体担体の量は変動するが、一投薬量単位あたり約20mg〜約1gの間にある。医薬調製物は、錠剤形態について適切である場合には、ミル粉砕、混合、造粒および圧縮;または硬質ゼラチンカプセル形態については、ミル粉砕、混合および充填が関与する従来の調剤技術にしたがって製造される。液体担体が使用される場合、調製物は、シロップ、エレキシル剤、エマルジョンまたは水性または非水性懸濁液の形となる。このような液体調製物は、直接経口投与されても(p.o)、あるいは軟質ゼラチンカプセル内に充填されてもよい。
【0063】
ベンダムスチンは、薬学的に許容される担体内に活性成分として有効量の化合物を含む医薬組成物として調製されてよい。本発明の組成物においては、いつでも注射できる形態に生理学的pHで緩衝されたベンダムスチンを含む水性懸濁液または溶液が利用されてよい。非経口投与のための組成物は一般に、水性担体などの薬学的に許容される担体中に溶解させられたベンダムスチンまたはそのカクテルの溶液を含む。さまざまな水性担体、例えば0.4%の食塩水、0.3%のグリシンなどを利用してよい。これらの溶液は無菌であり、一般に粒子状物質を含まない。これらの溶液は、従来の周知の滅菌技術(例えば濾過)により滅菌されてよい。組成物は、pH調整および緩衝剤などの、生理学的条件を近似するのに必要とされる薬学的に許容される補助物質を含んでいてよい。このような調合物中の本発明のベンダムスチンの濃度は、約0.5重量%未満、通常は約1重量%以上から少なくとも約15または20重量%まで大幅に変動することができ、選択された特定の投与様式にしたがって、主として流体体積、粘度などに基づいて選択される。
【0064】
こうして、筋内注射用のベンダムスチンの医薬組成物を、1mLの無菌緩衝水および約1ng〜約100mg、例えば約50ng〜約30mgまたは約5mg〜約25mgのベンダムスチンを含むように調製することができると考えられる。同様にして、静脈内輸液向けのベンダムスチンの医薬組成物を、250mLの無菌リンガー溶液、および約1mg〜約30mgまたは約5mg〜約25mgのベンダムスチンを含むように作製することができると考えられる。非経口投与可能な組成物を調製するための実際の方法は周知であるか、または当業者にとって明白であり、例えばRemington’s Pharmaceutical Science、15th ed.、Mack Publishing Company、Easton、Pennsylvaniaの中でより詳細に記述されている。
【0065】
医薬調製物の形で調製される場合、ベンダムスチンは、単位剤形の形で存在してよい。適切な治療上有効な用量は、当業者により容易に決定され得る。このような用量は、適切な場合、応答期間中、医師により適宜選択される適切な時差がある(stagger)間隔で反復されてよい。さらに、試験管内検定を任意に使用して、最適な投薬量範囲を同定する一助としてもよい。調合物中で利用すべき精確な用量は投与経路および疾病または傷害の重篤度によっても左右され、処置医の判断および各々の患者の状況に応じて決定されるべきである。有効な用量は、試験管内または動物モデル被験系から導出された用量−応答曲線から外挿されてよい。
【0066】
ベンダムスチンについては、患者に投与される投薬量は、典型的に患者の体重1kgあたり0.1mg〜100mgである。患者に投与される投薬量は、患者の体重1kgあたり0.1mg〜20mgあるいは、1mg〜10mgであってよい。
【0067】
本発明は同様に、ベンダムスチンの医薬組成物の成分が1つ以上充填された1つ以上の容器を含む医薬パックまたはキットをも提供している。任意には、このような1つまたは複数の容器には、調合薬または生物学的製剤の製造、使用または販売を規制する政府機関によって規定された形態での添付文書を付随させることができ、この添付文書は、ヒトへの投与のための製造、使用または販売を規制する機関による承認を反映する。本発明の別の実施形態において、キットには、特定の適応症の治療のための投薬量要件を満たすのに必要とされる適切な数の容器が具備され得る。
【0068】
別の実施形態において、ベンダムスチンは、小胞内、詳細にはリポソーム内に入って送出されてよい(Langer、Science249:1527−1533(1990);Treat、et al.、Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer、Lopez−Berestein and Fidler(eds.)、Liss、New York、pp.353−365(1989)中;Lopez−Berestein、ibid.、pp.317−327;同書全体を参照のことを参照のこと)。
【0069】
さらに別の実施形態においては、ベンダムススチンを制御放出系内で送出することができる。一実施形態においては、ポンプを使用してよい(Langer、上掲書;Sefton、CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201(1987);Buchwald、et al.、Surgery88:507(1980);Saudek、et al.、N.Engl.J.Med.321:574(1989)を参照のこと)。別の実施形態においては、ポリマー材料を使用することができる(Medical Applications of Controlled Release、Langer and Wise(eds.)、CRC Pres.、Boca Raton、Fla.(1974);Controlled Drug Bioavailability、Drug Product Design and Performance、Smolen and Ball(eds.)、Wiley、New York (1984);Ranger、et al.、J.、Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.23:61(1983);同じく、Levy、et al.、Science228:190(1985);During、et al.、Ann.Neurol.25:351(1989);Howard、et al.、J.Neurosurg.71:105(1989)も参照のこと)を参照のこと)。さらに別の実施形態においては、治療標的、すなわち脳の近傍に制御放出系を置き、こうして全身的用量の一画分のみを必要とすることができる(例えば例えば、Goodson、Medical Applications of Controlled Release、上掲書、vol.2、pp.115−138(1984)中も参照のこと)を参照のこと)。その他の制御放出系については、Langerによる論評(Science249:1527−1533(1990))の中で論述されている。
【0070】
ベンダムスチンは、任意の適切な内部経路によって投与されてよく、必要に応じて、例えば1日〜約3週間、毎日1回〜3回の頻度乃至は1週間に1回または2週間に1回の頻度で反復されてよい。あるいは、ベンダムスチンを改変して、電荷密度を削減し、こうして経口生物学的利用を可能にしてもよい。用量および治療期間の長さは、ヒトの循環内における本発明の分子の相対的持続時と関連し、治療対象の身体条件および患者の全身的健康に応じて当業者により調製され得る。
【0071】
リポソーム中のカプセル封入、微小粒子、マイクロカプセル、化合物を発現できる組換え型細胞、レセプタ媒介性エンドサイトーシス(例えばWu、et al.、J.Biol.Chem.262:4429−4432(1987)を参照のこと)、レトロウイルスまたはその他のベクターなどの一部分としての核酸の構築など、さまざまな送出系が公知であり、ベンダムスチンの投与のために使用可能である。導入方法としては、皮内、筋内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外および口腔内経路があるが、これらに限定されない。ベンダムスチンは、例えば輸液またはボーラス注入法、上皮または粘膜皮膚層(例えば口腔粘膜、直腸粘膜および腸粘膜など)を通した吸収などの任意の都合の良い経路により投与されてよく、その他の生物学的に活性な作用物質と共に投与されてよい。投与は全身的でも局所的でもあり得る。さらに、脳室内注射および髄膜注射を含めた任意の適切な経路により中枢神経系内に本発明の医薬化合物または組成物を導入することが望ましいかもしれない。脳室内注射は、例えばオンマヤ槽などのタンクに取付けられた脳室内カテーテルにより容易にされてよい。例えば、吸入器または噴霧器およびエアロゾル化剤との調合を使用して、肺投与を用いることも可能である。
【0072】
抗−CD20抗体
当業者である医師または獣医師であれば、抗−CD20抗体を含む医薬組成物の有効量を容易に決定し処方することができる。例えば、医師または獣医師は、所望の治療効果を達成するために必要とされるものよりも低いレベルで医薬組成物中に利用される本発明の化合物の用量を開始し、所望の効果が達成されるまで投薬量を漸進的に増大させることができると考えられる。一般に、本発明の組成物の適切な日用量は、治療効果を生成するために有効な最低用量である化合物の量である。投与は静脈内、筋内、腹腔内または皮下投与であることが好ましい。望まれる場合、治療用組成物の有効日用量は、一日全体を通して適切な間隔を置いて別個に投与される2、3、4、5、6以上の分割用量として、任意には単位剤形で投与されてよい。抗−CD20抗体を単独で投与することも可能であるが、医薬調合物(組成物)として化合物を投与することが好ましい。
【0073】
一実施形態においては、本発明に係わるヒトモノクローナル抗体を、10〜2000mg/m、通常は10〜500mg/m、例えば200〜400mg/m、例えば375mg/mの週投薬量で輸液により投与してよい。このような投与は、例えば1〜8回、例えば3〜5回反復されてよい。投与は、2〜24時間、例えば2〜12時間の期間にわたり連続輸液により実施されてよい。
【0074】
別の実施形態において、抗体は、毒性副作用を軽減するため24時間を超える長い期間にわたる緩慢な連続輸液により投与される。
【0075】
さらに別の実施形態において、抗体は、250mg〜2000mg、例えば300mg、500mg、700mg、1000mg、1500mgまたは2000mgの週投薬量で最高8回、例えば4〜6回投与される。投与は、2〜24時間、例えば2〜12時間の期間にわたる連続輸液により実施されてよい。このような投薬計画は、例えば6ヶ月または12ヵ月後、必要に応じて1回以上反復されてよい。投薬量は、抗−CD20抗体を標的化する抗イディオタイプ抗体を使用することにより生体試料中に投与した時点で循環する抗−CD20抗体の量を測定することによって決定また調整可能である。
【0076】
さらに別の実施形態において、抗体は、維持療法によって、例えば6ヶ月以上の期間にわたり一週間に一回投与される。
【0077】
一実施形態において、本発明は、治療上有効な量の抗−CD20抗体を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、薬学的に許容される担体または希釈剤ならびにその他の任意の公知のアジュバントおよび賦形剤と共に、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、19th Edition、Gennaro、Ed.、Mack Publishing Co.、Easton、PA、1995中で開示されているものなどの従来の技術にしたがって調合されてよい。医薬組成物は、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、洗浄剤(例えば非イオン系洗剤、例えばTween−80)、安定剤、安定剤(例えば糖または無タンパク質アミノ酸)、保存料、組織固定剤、可溶化剤、および/または医薬組成物中に内含するのに適したその他の材料を含み得る。医薬組成物中の活性成分の実際の投薬量レベルは、患者に対する毒性無く、特定の患者、組成物および投与様式について所望される治療上の応答を達成するのに有効である活性成分の量を得るように変動させてよい。選択される投薬量レベルは、利用される特定の組成物の活性、投与経路、投与時間、利用されている特定の化合物の排泄率、治療の持続時間、利用されている特定の組成物と併用されるその他の薬物、化合物および/または材料、治療対象患者の年齢、性別、体重、身体条件、全身的健康およびそれまでの病歴および、医術において周知の類似の因子を含めたさまざまな薬物動態学的因子によって左右される。
【0078】
本発明の抗−CD20抗体は任意の適切な経路、例えば経口、経鼻、吸入、気管支内、肺胞内、局所(口腔、経皮および舌下を含む)、直腸内、膣内および/または非経口経路を介して投与されてよい。一実施形態において、本発明の医薬組成物は非経口投与される。
【0079】
本明細書中で使用される「非経口投与」および「非経口投与される」という語句は、通常は注射による、腸内および局所投与以外の投与様式を意味し、表皮、静脈内、筋内、動脈内、髄腔内、心腔内、皮内、腹腔内、腱内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内、胸郭内、硬膜外および胸骨内注射および輸液を含む。
【0080】
一実施形態において、抗−CD20抗体医薬組成物は、静脈内または皮下注射または輸液により投与されている。例えば、医薬組成物は、副作用を軽減するため、2〜8時間例えば4時間にわたり投与されてよい。
【0081】
一実施形態において、抗−CD20抗体医薬組成物は、吸入により投与される。抗−CD20抗体のFabフラグメントは、このような投与経路に適しているかもしれない。Crowe et al.(February 15、1994)Proc Natl Acad Sci USA、91(4):1386−1390を参照のこと。
【0082】
一実施形態において、抗−CD20抗体医薬組成物は、皮下注射により結晶質形態で投与される。Yang et al.、PNAS USA100(12)、6934−6939(2003)を参照のこと。
【0083】
薬学的に許容される担体としては、本発明の化合物と生理学的に適合性のある任意のおよびすべての適切な溶媒、分散媒、コーティング、抗菌および抗真菌剤、等張化剤、酸化防止剤および吸収遅延剤などが含まれる。
【0084】
本発明の医薬組成物中で利用されてよい適切な水性および非水性担体の例としては、水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、エタノール、デキストロース、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)およびそれらの適切な混合物、植物油、例えばオリーブ油、トウモロコシ油、ピーナツ油、綿実油およびゴマ油、カルボキシメチルセルロースコロイド溶液、トラガカントゴムおよび注射用有機エステル例えばオレイン酸エチルおよび/またはさまざまな緩衝液が含まれる。その他の担体は、製薬技術分野において周知である。
【0085】
薬学的に許容される担体には、無菌水溶液または分散そして無菌注射用溶液または分散の即時調製用の無菌粉末が含まれる。薬学的に活性な物質のためのこのような媒質および作用物質の使用は、当該技術分野において公知である。任意の従来の媒質または作用物質が活性化合物と不適合である場合を除いて、本発明の医薬組成物内でのその使用が企図されている。
【0086】
適切な流動性は、例えばレシチンなどのコーティング材料を使用することによって、分散の場合に所要粒子サイズを維持することによって、および界面活性剤を使用することによって維持されてよい。
【0087】
抗−CD20抗体を含む医薬組成物は同様に、薬学的に許容される酸化防止剤、例えば(1)水溶性酸化防止剤、例えばアスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;(2)油溶性酸化防止剤、例えばパルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファトコフェロールなど;および(3)金属キレート剤、例えばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、燐酸などを含んでいてよい。
【0088】
抗−CD20抗体を含む医薬組成物は同様に、組成物中に等張化剤、例えば糖、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、グリセロールまたは塩化ナトリウムも含んでいてよい。
【0089】
薬学的に許容される希釈剤には、食塩水および水性緩衝液が含まれる。
【0090】
抗−CD20抗体を含む医薬組成物は同様に、選択された投与経路に適した1つ以上のアジュバント、例えば保存料、湿潤剤、乳化剤、分散剤、保存料または緩衝液などを含んでいてもよく、これらは、医薬組成物の保管寿命または有効性を増強するかもしれない。本発明の抗−CD20抗体は、例えばラクトース、スクロース、粉末(例えばデンプン粉末)、アルカン酸のセルロースエステル、ステアリン酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、燐酸および硫酸のナトリウムおよびカルシウム塩、アカシア、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドンおよび/またはポリビニルアルコールと混和されてよい。アジュバントのその他の例は、QS21、GM−CSF、SRL−172、ヒスタミン二塩酸塩、チモカルチン、チオテパ、モノホスホリルリピドA/マイクロバクテリア組成物、ミョウバン、不完全フロインドアジュバンド、モンタナイドISA、RIBIアジュバント系、TiterMaxアジュバント、syntexアジュバント調合物、免疫刺激複合体(ISCOM)、gerbuアジュバント、CpGオリゴデオキシヌクレオチド類、リポポリサッカリドおよびポリイノシン酸:ポリシチジル酸である。
【0091】
微生物の存在は、滅菌手順およびさまざまな抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などの封入の両方によって予防されてよい。さらに、注射用製剤形態の長時間吸収は、一ステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅延させる作用物質の封入によってもたらされるかもしれない。
【0092】
抗−CD20抗体を含む医薬組成物は、さまざまな適切な形態をしていてよい。このような形態としては、例えば液体、半固体および固体剤形、例えば液体溶液(例えば注射用および輸液用溶液)、分散または懸濁液、エマルジョン、マイクロエマルジョン、ジェル、クリーム、顆粒、粉末、錠剤、丸薬、粉末、リポソーム、デンドリマーおよびその他のナノ粒子(例えばBaek et al.、Methods Enzymol.362、240−9(2003)、Nigavekar et al.、Pharm Res.21(3)、476−83(2004)を参照))、微小粒子および座薬が含まれる。
【0093】
最適な形態は、選択された投与様式および組成物の性質により左右される。調合物は、例えば粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、ワックス、油、脂質、脂質(カチオンまたはアニオン)を含む小胞、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水中油型および油中水型エマルジョン、エマルジョンカルボワックス(さまざまな分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲルおよびカルボワックスを含む半固体混合物を含んでいてよい。以上のもののいずれも、本発明に係わる治療および療法において適切であるかもしれないが、ここで医薬組成物中の抗−CD20抗体が調合物によって不活性化されず、調合物が投与経路との生理学的な適合性および耐容性を有するものであることが条件である。薬剤師にとって周知である賦形剤および担体に関する追加情報については、例えばPowell et al.、「Compendium of excipients for parenteral formulations」PDA J Pharm Sci Technol.52、238−311 (1998)およびその中の引用も参照のこと。
【0094】
インプラント、経皮パッチおよびマイクロカプセル化送出系を含む、制御放出調合物などの、高速放出から化合物を保護する担体と共に、抗−CD20抗体を調製してよい。このような担体には、単独のまたはワックスを伴うゼラチン、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、生物分解性、生物適合性ポリマー、例えばエチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルソエステル類およびポリ乳酸、または当該技術分野において周知のその他の材料が含まれていてよい。このような調合物の調製のための方法は、一般に当業者にとって公知である。例えばSustained and Controlled Release Drug Delivery Systems、J.R.Robinson、ed.、Marcel Dekker、Inc.、New York、1978を参照のこと。
【0095】
本発明に係わる一部の投与経路により抗−CD20抗体を含む医薬組成物を投与するためには、その不活性化を防止するための材料で抗−CD20抗体をコーティングするかまたはこの材料と抗体を同時投与することが必要であるかもしれない。例えば、抗−CD20抗体を、適切な担体、例えばリポソームまたは希釈剤に入れて対象に投与してもよい。リポソームは、水中油中水型CGFエマルジョンならびに従来のリポソームを含む(Strejan et al.、J.Neuroimmunol.7、27(1984))。
【0096】
投与経路に応じて、化合物を不活性化し得る酸およびその他の自然条件の作用から担体を保護するための材料中で、抗−CD20抗体をコーティングしてよい。例えば、抗−CD20抗体を適切な担体、例えばリポソーム中に入れて対象に投与してもよい。リポソームには、水中油中水型CFGエマルジョンならびに従来のリポソームが含まれる(Strejan et al.、J.Neuroimmunol.7、27(1984))。
【0097】
非経口投与のための薬学的に許容される担体には、無菌水溶液または分散そして無菌注射用溶液または分散の即時調製用の無菌粉末が含まれる。薬学的に活性な物質のためのこのような媒質および作用物質の使用は、当該技術分野において公知である。任意の従来の媒質または作用物質が活性化合物と不適合である場合を除いて、本発明の医薬組成物中でのその使用が企図されている。補足的活性化合物を組成物中に取り込んでもよい。
【0098】
注射用の医薬組成物は、典型的に無菌で、製造および保管条件下で安定していなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソームまたは高い薬物濃度に適したその他の秩序構造として調合されてよい。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)およびそれらの適切な混合物、植物油、例えばオリーブ油および注射用有機エステル例えばオレイン酸エチルを含む水性または非水性溶媒または分散媒であってよい。適切な流動性は、レシチンなどのコーティングを使用することによって、分散の場合の所要粒子サイズを維持することによって、および界面活性剤を使用することによって維持されてよい。数多くの場合において、組成物中に等張剤、例えば糖、ポリアルコール、例えばグリセロール、マンニトール、ソルビトールまたは塩化ナトリウムも含みいれることが好ましい。注射用製剤形態の長時間吸収は、一ステアリン酸塩およびゼラチンなどの吸収を遅延させる作用物質を組成物中に含み入れることによってもたらされるかもしれない。必要に応じて、例えば以上で列挙されている通りの成分の1つまたは組合せと共に適切な溶媒中に所要量で活性化合物を取込み、その後滅菌精密濾過することによって、無菌注射用溶液を調製してよい。
【0099】
一般に、基本的分散媒および例えば以上に列挙したものうちのその他の所要成分を含む無菌ビヒクル内に活性化合物を取込むことによって、分散が調製される。無菌注射用溶液の調製のための無菌粉末の場合、調製方法の例としては、先に細菌濾過されたその溶液からの任意の追加の所望される成分と活性成分の粉末を生成する真空乾燥およびフリーズドライ(凍結乾燥)がある。
【0100】
必要に応じて、以上で列挙されている成分の1つまたは組合せと共に適切な溶媒中に所要量で活性化合物を取込み、その後滅菌精密濾過することによって、無菌注射用溶液を調製してよい。一般に、基本的分散媒および以上に列挙したものうちのその他の所要成分を含む無菌ビヒクル内に活性化合物を取込むことによって、分散が調製される。無菌注射用溶液の調製のための無菌粉末の場合、調製方法の例としては、先に細菌濾過されたその溶液からの任意の追加の所望される成分と活性成分の粉末を生成する真空乾燥およびフリーズドライ(凍結乾燥)がある。
【0101】
本発明を、その製品または本質的な属性から逸脱することなく、その他の具体的形態で実施してもよく、したがって、本発明の範囲を示すものとしては、上述の明細または以下の実施例ではなく、むしろ添付のクレームを参照すべきである。
【0102】
本明細書で使用される「担体」という用語は、治療用物質と共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビヒクルを意味する。
【0103】
「単離された」という用語は、その天然の状態から「人間の手」により改変されたことを意味する。すなわちそれが実際に発生した場合、その原初の環境から変更されているか取出されているかまたはその両方である。例えば、生きた有機体内に天然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、「単離され」ていないが、同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、その天然の状態で共存する細胞材料の少なくとも1つから分離された場合、本明細書中でこの用語が利用されている意味合いで「単離され」ている。その上、形質転換、遺伝子操作またはその他の任意の組換え体により有機体内に導入されるポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、生きていてもいなくてもよい前記有機体内になおも存在していても「単離され」ている。
【0104】
本明細書で使用される「医薬の(薬学的)」という用語は、本発明の獣医学的利用分野を含む。「治療上有効な量」という用語は、選択された身体的条件を緩和するために有用である治療薬の量を意味する。
【0105】
本明細書で使用される「薬学的に許容される」という用語は、動物の体内そして詳細にはヒトの体内での使用のために連邦または州政府の規制機関により承認されているか、または米国薬局方またはその他の一般的に認知されている薬局方中に列記されていることを意味する。
【0106】
疑念を回避するため、一実施形態において、抗−CD20抗体と共にベンダムスチンを投与する工程は、時差投与であり、これによるとベンダムスチンおよび抗−CD20抗体は交互に与えられる。疑念を回避するために、時差投与では、ベンダムスチンまたは抗−CD20抗体のいずれを先に投与してもよい。
【0107】
【表1】

【実施例】
【0108】
実施例1 オファツムマブ/ベンダムスチン組合せ投与の非限定的例
リツキシマブに対して不応性である濾胞性リンパ腫を治療するため、一実施形態において、オファツムマブは、サイクル1で1日目:300mg、8日目:1000mgとそれに続くサイクル2〜6の1日目に1000mgで静脈内投与され;ベンダムスチンは、サイクル1〜6で1日目および2日目に28日毎に60〜120mg/mで投与される(各サイクルは28日毎である)。
【0109】
別の実施形態において、オファツムマブは、サイクル1で1日目:300mg、8日目:1000mgとそれに続くサイクル2〜6の1日目に1000mgで静脈内投与され(オファツムマブについて、各サイクルは28日毎である);ベンダムスチンは、サイクル1〜8で1日目および2日目に21日毎に60〜120mg/mで投与される(ベンダムスチンについて各サイクルは21日毎である)。
【0110】
別の実施形態において、オファツムマブは、サイクル1で1日目:300mg、8日目:1000mgとそれに続くサイクル2〜6の1日目に1000mgで静脈内投与され;ベンダムスチンは、サイクル1〜6で1日目および2日目に28日毎に90mg/mで投与される(各サイクルは28日毎である)。
【0111】
別の実施形態において、オファツムマブは、サイクル1で1日目:300mg、8日目:1000mgとそれに続くサイクル2〜6の1日目に1000mgで静脈内投与され(オファツムマブについて、各サイクルは28日毎である);ベンダムスチンは、サイクル1〜8で1日目および2日目に21日毎に120mg/mで投与される(ベンダムスチンについて各サイクルは21日毎である)。
【0112】
さらなる実施形態において、オファツムマブは、オファツムマブの6サイクル(各サイクルは28日毎である)の完了後さらに2年間2ヶ月毎に1000mg投与されてよい。
【0113】
さらなる実施形態において、オファツムマブは、オファツムマブの6サイクル(各サイクルは28日毎である)の完了後さらに2ヶ月毎に2000mg投与されてよい。
【0114】
さらなる実施形態において、オファツムマブは、オファツムマブの6サイクル(各サイクルは28日である)の完了後さらに2ヶ月毎に500mg投与されてよい。
【0115】
さらなる実施形態において、オファツムマブは、オファツムマブの6サイクル(各サイクルは28日である)の完了後さらに毎月または3ヶ月毎に500mg、1000mgまたは2000mg投与されてよい。
【0116】
さらなる実施形態において、オファツムマブは、オファツムマブの6サイクル(各サイクルは28日である)の完了後さらに2年間2ヶ月毎に300〜2000mg投与される。
【0117】
さらなる実施形態において、オファツムマブは、オファツムマブの6サイクル(各サイクルは28日である)の完了後さらに2年間2ヶ月毎に300〜2000mg、完全寛解(CR)、部分寛解(PR)または疾患安定(SD)を達成した対象に対して投与されてよい。
【0118】
実施例2 CLLモデルにおいてオファツムマブおよびベンダムスチンの治療上の効能を実証する生体内研究
【0119】
リツキサンおよびオファツムマブは抗ヒト抗体であることから、Invitrogen製のZenon標識キット(z−25455)を用いて蛍光タグで直接これらを標識することが必要である。各抗体1マイクログラムをPBS中で調製し、抗体溶液に対しZenonヒトIgG標識試薬(成分A)を5マイクロリットル添加した。室温で5分間、混合物をインキュベートし、次に5マイクロリットルのZenonブロッキング試薬(成分B)を添加した。さらに5分間室温に置いた後、錯体は直ちに使用できる状態にあった。PBS中に、5×10個/mlの生存JVM−3細胞を再懸濁させた。各管に100μlの細胞を添加した。10μlのヒトIgGを添加して非特異的結合をブロックした。細胞およびヒトIgGを10分間インキュベートした。適切な管に、10μlの各々の蛍光標識された抗−CD20抗体を添加した(リツキサン、オファツムマブおよびBD Bioscience抗−CD20抗体クローン2H7)。暗所で氷上にてさらに30分間混合物をインキュベートした。その後500μlのPBSを細胞に添加し、これらを1000rpmで5分間遠心分離した。上清を除去し、500μlのPBSを添加し、細胞を再び遠心分離した。再び上清を除去し、細胞を300μlのPBS中で再懸濁させた。BD FACSCanto上で細胞を分析した。
【0120】
結論:
BD Bioscienceからの直接標識された抗−CD20抗体は、リツキサンまたはオファツムマブ抗体のいずれよりも少ないレセプタを細胞表面上で結合させた。これは、標識手順の差異に起因すると考えられる。しかしながら、リツキサンおよびオファツムマブは同じ要領で標識され、オファツムマブは、リツキサン抗体よりも多くのレセプタを細胞表面上で結合させた。図2を参照のこと。
【0121】
材料譲渡契約を通して、DSMZ(ドイツ微生物細胞培養収集機関)からヒトB細胞白血病JVM−3細胞株を入手し、低温保存した。JVM−3細胞を貯蔵庫から取出し、加湿した5%COインキュベータ内において37℃で、10%のウシ胎仔血清、1%のピルビン酸ナトリウムそして1%のグルタミンを補足したRPMI1640培地中で培養した。CB.17−SCIDの雌のマウスの脇腹に4×10個のJVM−3細胞を皮下注射した。腫瘍の直径を一週間に2回キャリパーで測定し、体積=幅×長さ/2という公式を用いて腫瘍の体積を計算した。マウスを治療グループに無作為に分け、移植後14日目、腫瘍が平均体積66〜76mmに達した時点で治療を開始した。治療グループは一週間に2回(14日目、17日目および21日目)、2mg/kgのオファツムマブの腹腔内投与と、15日目のアルキル化剤ベンダムスチン50mg/kgの静脈注射を受けた。Prism GraphPadソフトウエアを用いて腫瘍体積データをグラフ化し、一方向ANOVAとそれに続くBonferroni多重比較試験で統計的に評価した。
【0122】
結論:
我々のデータから、オファツムマブ(一週間に2回、2mg/kg腹腔内)とベンダムスチン化学療法(50mg/kg静脈内、単回用量)を組合せた結果、単剤療法(抗体またはベンダムスチンのいずれか)またはビヒクルで治療されたグループに比べて腫瘍の成長が著しく遅延することが実証された。我々のデータは、CLL患者における生存率の増加と毒性の減少をも含めて、臨床状況におけるオファツムマブ/ベンダムスチン併用療法がもたらす利益を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に対してベンダムスチンおよび抗−CD20抗体を投与する工程を含む、患者における癌を治療または予防する方法。
【請求項2】
癌がリンパ腫である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
癌が、前駆B細胞性またはT細胞性腫瘍、成熟B細胞性腫瘍、ホジキンリンパ腫、または免疫不全関連リンパ増殖性疾患からなる群から選択されるCD20を発現する腫瘍型である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
癌が、リツキシマブ不応性の無痛性非ホジキンリンパ腫である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
無痛性非ホジキンリンパ腫が、濾胞性リンパ腫である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
癌が、NHL(非ホジキンリンパ腫)、B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫、成熟B細胞性腫瘍、B細胞慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、低悪性度、中悪性度および高悪性度の濾胞性リンパ腫を含む濾胞性リンパ腫(FL)、皮膚濾胞中心リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫(MALT型、結節型、および脾臓型)、ヘアリー細胞白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、形質細胞腫、形質細胞性骨髄腫、移植後リンパ増殖性疾患、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、T細胞非ホジキンリンパ腫、および黒色腫からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ベンダムスチンおよび抗−CD20の投与が同時である、請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ベンダムスチンおよび抗−CD20抗体の投与が逐次的であり、ベンダムスチンが最初に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ベンダムスチンおよび抗−CD20抗体の投与が逐次的であり、抗体が先に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ベンダムスチンの投与と、抗−CD20抗体の投与とに時差がある、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
抗−CD20抗体がオファツムマブである、請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
オファツムマブが、サイクル1の1日目に300mg、8日目に1000mgと、それに続いてサイクル2〜6の1日目に1000mgで静脈内投与され、ベンダムスチンがサイクル1〜6において28日毎に1日目および2日目に90mg/m投与される(各サイクルは28日毎である)、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
オファツムマブが、6サイクルの完了後、2年間、2ヶ月毎にさらに1000mg投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
オファツムマブが、6サイクルの完了後、2ヶ月毎にさらに2000mg投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
オファツムマブが、6サイクルの完了後、2ヶ月毎にさらに500mg投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
オファツムマブが、6サイクルの完了後、毎月または3ヶ月毎にさらに500mg、1000mg、または2000mg投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
オファツムマブが、6サイクルの完了後、2年間2ヶ月毎にさらに300〜2000mg投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
オファツムマブおよびベンダムスチンが静脈投与される、請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
組合せが、別個の、逐次的、および/または同時の投与に適したものである、ベンダムスチンおよび抗−CD20抗体を含む、医薬組成物。
【請求項20】
抗−CD20抗体が、オファツムマブである、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
医薬品がベンダムスチンとの併用療法用である、癌治療のための医薬品の製造における、抗−CD20抗体の使用。
【請求項22】
使用には、請求項2〜18のいずれか一項またはそれ以上の記載の特徴が含まれる、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
ベンダムスチンと組み合わせた癌の治療において使用するための抗−CD20抗体。
【請求項24】
使用には、請求項2〜18のいずれか一項またはそれ以上の記載の特徴が含まれる、請求項23に記載の使用のための抗−CD20抗体。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−515217(P2012−515217A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546347(P2011−546347)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/021123
【国際公開番号】WO2010/083365
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(591002957)グラクソスミスクライン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (341)
【氏名又は名称原語表記】GlaxoSmithKline LLC
【Fターム(参考)】