説明

ベンダー装置

【課題】
重労働の作業を必要とすることなく、しかも、作業者を傷付けることなく、上歯を所定の位置にセットできるようにしたベンダー装置を提供する。
【解決手段】
下歯に設置可能に設けられて、上歯の加重を受け止めながら上歯を移送する移送具を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下に対向した上歯と下歯との間で板材を折り曲げるようにしたベンダー装置に係り、特に、上歯を移送するための移送具を備えたベンダー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図4に示すように、互いに上下に対向した下歯(図示せず)と上歯101との間で、板材102を挟むようにして、該板材102を折り曲げるベンダー装置が知られている。
【0003】
そして、前記上歯101が、上下動する上下駆動機構(図示せず)に取り付けられて、前記下歯に対して上下動することで、前記下歯に対して接近し、又は、離間するものである。
【0004】
そして、前述のベンダー装置を用いて、板材102を折り曲げる場合、図4に示すように、下歯を覆うように板材102を載置し、板材102の上から上歯101を板材102に接近させて該板材102を上歯101と下歯との間で挟むようにして、該板材102を折り曲げる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来技術においては、上歯101は、作業者の人手によって持ち運ばれて、上下動駆動機構に取り付けられるものであるが、この上歯101の重量は数十キロであるため、この上歯101を運ぶには数人の人手が必要になる上に、このように重量のある上歯101は数人の作業者が腰をかがめて持ったままの姿勢で前記上下動駆動機構の所定の位置にセットされることになるため、上歯101を所定の位置まで運んでセットするには重労働の作業が必要であった。
【0006】
又、上歯101を所定の位置まで運んでセットするまでの間、作業者は、上歯101の歯部105に下側から手のひらを当て、該歯部105を手のひらで掴むようにして持ち運ぶため、持ち運びの際に、作業者は、上歯101の歯部105に触れることで、手を傷付け易いという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、前記従来技術の問題に鑑みてなされたもので、その目的は、重労働の作業を必要とすることなく、しかも、作業者を傷付けることなく、上歯を所定の位置にセットできるようにしたベンダー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、下歯と、該下歯に対して上下に対向するように設けられた上歯とを備え、下歯と上歯との間で板材を折り曲げるようにしたベンダー装置において、
前記下歯に設置可能に設けられて、前記上歯の加重を受け止めながら前記上歯を移送する移送具を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、移送具は、上歯を両側から支持するガイドローラを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、上歯を移送装置によって所定の位置まで移送できるため、数人の作業者による重労働の作業を伴うことなく、上歯を所定の位置まで移送できる上に、上歯を移送する際に、作業者が手を傷付ける虞がない。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、上歯は、ガイドローラによって、両側からガイドされながら、所定の位置まで移送される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本実施形態の移送具1の斜視図を示す。図2は、移送具1の正面図を示す。図3は、移送具1を下歯にセットすると共に、該移送具1によって、上歯(図3中、鎖線で示す)を移送する状態を示す。
【0013】
図1に示すように、移送具1は、長尺状の基台2と、該基台2に設けられた移送ローラ3と、第1のガイドローラ4,4と、第2のガイドローラ5,5とを備えた構成になっている。
【0014】
前記基台2の下部は、図3に示すように、下歯100の溝104に嵌り込む幅に形成され、又、該基台2からは、下方へ突出するストッパ6が設けられている。
【0015】
前記移送ローラ3は、前記基台2の一端側に設けられた水平軸7に回転自在に設けられている。前記移送ローラ3の周面には、溝8が形成されている。
【0016】
前記第1のガイドローラ4,4は、前記基台2から立設された一対の支持棒9,9の先端に設けられた垂直軸10、10に回転自在に設けられている。これら第1のガイドローラ4,4同士の間には、隙間S1が空けられている。
【0017】
又、前記第2のガイドローラ5、5は、前記基台2から立設された一対の支持棒11、11の先端に設けられた垂直軸12、12に回転自在に設けられている。これら第2のガイドローラ5、5同士の間には、隙間S2が空けられている。
【0018】
次に、作用について説明する。図3に示すように、移送具1を下歯100にセットする。この場合、移送具1の基台2の下部を下歯100の溝104に嵌め込むと共に、移送具1のストッパ6を下歯100の端面に当てる。その後、移送具1を螺子等によって、下歯100に固定する。
【0019】
以上の説明においては、一の移送具1を下歯100の一端に取り付けた場合について説明したが、他の移送具1を、前述のようにして、下歯100の他端に固定する。これによって、下歯100の両端に、移送具1が取り付けられたことになる。
【0020】
次に、図3中、鎖線で示すように、作業者が、上歯101の上部を把持して、該上歯101を移送ローラ1に載せる。この際、上歯101の歯部105が、移送ローラ3の溝8に収まるように、該上歯101を移送ローラ3に載せる。次に、該上歯101を、第1ガイドローラ4,4同士の隙間S1と、第2ガイドローラ5、5同士の隙間S2を通して、押し込む。
【0021】
次に、該上歯101の先端部を、反対側に設けられた移送具(図示せず)の第2ガイドローラ同士の隙間と、第1ガイドローラ同士の隙間を通して移送ローラに載せる。
【0022】
次に、上下動機構部(図示せず)を下方へ下げて、該上下動機構部に前記上歯10を取り付ける。これによって、上歯101を上下動機構に取り付ける作業が完了する。
【0023】
以上のように、上歯101は、移送具1によって、移送されるものであって、作業者が持ち運びしないため、数人の作業者による重労働の作業を必要としない上に、作業者が傷付けられる虞がない。
【0024】
以降、図4で示す従来技術のように、下歯100の上に板材をセットした後、上歯101を下降させ、上歯101と下歯100との間で、板材を挟み、更に、上歯101を下歯100の溝104内に押し込むように、該上歯101を更に強く下降させることで、板材は、溝104の側壁によって折り曲げられる。これによって、板材を折り曲げる作業が完了する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態に係る移送具の斜視図を示す。
【図2】本実施形態に係る移送具の正面図を示す。
【図3】本実施形態の移送具によって、上歯を移送する状態を示す斜視図である。
【図4】従来技術のベンダー装置の上歯の下に板材を載置した状態を示す。
【符号の説明】
【0026】
1 移送具
3 移送ローラ
4 ガイドローラ
5 ガイドローラ
100 下歯
101 上歯


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下歯と、該下歯に対して上下に対向するように設けられた上歯とを備え、下歯と上歯との間で板材を折り曲げるようにしたベンダー装置において、
前記下歯に設置可能に設けられて、前記上歯の加重を受け止めながら前記上歯を移送する移送具を備えたことを特徴とするベンダー装置。
【請求項2】
前記移送具は、前記上歯を両側から支持するガイドローラを備えたことを特徴とする請求項1に記載のベンダー装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−56506(P2009−56506A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227862(P2007−227862)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(590006114)日英シャッター株式会社 (3)
【Fターム(参考)】