説明

ベンチ

【課題】 太陽電池セルの損傷を防止できるとともに簡易な構成で且つ製造が容易であり、更に施工が容易で大きい発電力を得ることができるベンチを提供する。
【解決手段】 本発明のベンチ1は、上下の透光パネル11a、11b間に太陽電池セル13を透光パネル11a、11bに沿って配置した複層パネル9と、複層パネル9の端部に連結した支持部5とを備え、複層パネル9を座部3とした。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ベンチに関する。
【0002】
【従来の技術】屋外に設置されるベンチに太陽電池セルを設け、太陽エネルギーを利用して発電する技術が公知である。例えば、実開平4−84568号公報には、ベンチの座部に、太陽電池セルを設けた構成が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公報に記載の技術では、太陽電池セルの損傷を防止するため、金属製の着座本体に太陽電池セルの収納空間を設け、収納空間を透光カバーで閉じている。従って、構造が複雑であり、製造し難いという問題がある。また、ベンチの施工時には、太陽電池セルに直接触れて取り扱うため、太陽電池セルを損傷するおそれがある。更に、上記公報の技術では、ベンチの座部の一部にのみ太陽電池セルを設けているが、発電力を大きくするため、複数の太陽電池セルを設ける場合、施工現場で一つ一つの太陽電池セルを座部に設置する必要があり、ベンチの施工に手間がかかるという問題がある。
【0004】そこで、本発明は、太陽電池セルの損傷を防止できるとともに簡易な構成で且つ製造が容易であり、更に施工が容易で大きい発電力を得ることができるベンチの提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、上下の透光パネル間に太陽電池セルを透光パネルに沿って配置した複層パネルと、複層パネルの端部に連結した支持部とを備え、複層パネルを座部としたことを特徴とする。
【0006】この請求項1に記載の発明によれば、太陽電池セルは、複層パネル間に挟むだけであるから構成が簡易であり、太陽電池セルをいくつでも容易に配置でき、更に太陽電池セルを備えた座部の製造も容易である。太陽電池セルは、搬送時や施工時に、その上下の面全体を透光パネルで覆っているので、太陽電池セルに直接外力が作用しにくく、太陽電池パネルの損傷を防止する。また、複層パネルの端部に支持部を連結するだけで容易にベンチの施工ができる。座部には、座面に沿って太陽電池セルを配置して、太陽電池セルの発電面積を大きくできるので、発電量を大きくすることができる。
【0007】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上下の透光パネルの間には、上下の透光パネルとは強度の異なる透光パネルを更に配置したことを特徴とする。
【0008】この請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の作用を奏するとともに、 座部の複層パネルは、上下の透光パネルの中間に上下パネルとは強度の異なるパネルを配置する構成であるから、複層パネル全体の脆さを低減でき、複層パネルが破損し難い。
【0009】請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、支持部は中空を備え、支持部の中空内に太陽電池セルで発電した電気を蓄電するバッテリと電気機器の制御部とを収納したことを特徴とする。
【0010】この請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の作用を奏するとともに、バッテリと制御部とを支持部の中空内に収納しているので、バッテリと制御部との設置やメンテナンスが容易であるとともに、ベンチ全体の構成をコンパクトにでき、外観もよい。また、支持部には、大きなバッテリを設置可能であるから、容量の大きなバッテリを収納することにより大きな蓄電量を得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。まず、図1及び図2R>2を参照して本発明の第1実施の形態を説明する。図1は第1実施の形態にかかるベンチの略半分を示す斜視図であり、図2は図1に示すベンチの概略的構成を示す縦断面図である。本実施の形態にかかるベンチ1は、座部3と、座部3の左右両端部に連結した支持部5とから構成されており、支持部5には照明ランプ7が設けられている。座部3は、複層パネル9であり、この複層パネル9は、3枚の透光パネル11a、11b、11cを上下に重ね合わせて構成されている。上の透光パネル11aと下の透光パネル11bとは、同じ材質の強化ガラスであり、中間の透光パネル11cは、上下の透光パネル11b、11cよりも強度の小さい生ガラスである。上の透光パネル11aと中間の透光パネル11cとの間には、太陽電池セル13が、座部3の長手方向に沿って列状に複数枚配置されており、太陽電池セル13は、座面3aの略全体に沿って設けられている。座部3を同じ強度の上の透光パネル11aと下の透光パネルとの間に、これらの透光パネルよりも強度の異なる透光パネルを配置することにより、複層パネル9全体として高い強度を得ることができ、破損し難い。また、太陽電池セル13は、複層パネル9と一体であり、その周囲がパネルで覆われているので、直接触れたり、外力が作用し難くいので、搬送時や施工時に太陽電池セル13の損傷を防止できる。また、透光パネル11a、11cの間に太陽電池セル13を挟んだ構成とすることにより、太陽電池セル13を内臓した複層パネル9を容易に製造することができるとともに、太陽電池セル13を何枚配置する場合であっても容易に製造することができる。尚、列状に配置された各太陽電池セル13は、互いに電気的に接続されている。支持部5には、座部3の長手方向における左右端部が連結されており、左右の支持部5はその上部に座部3の端部を連結して、地面に立設されている。支持部5には、左右の支持部5が互いに向かい合う内側面と、これと反対の外側面とにそれぞれ照明ランプ7が設けられている。本実施の形態では、照明ランプ7として、LED(発光ランプ)が用いられており、このLEDは、直流電圧の印加により発光する。照明ランプ7は、支持部5の上下に、それぞれ列状に複数に配置されている。支持部5は、中空16を備える筒状であり、その中空16内にバッテリ15及び制御部17とが収納されている。
【0012】次に、本実施の形態の作用を説明する。昼間は、座部3の座面3a全体が太陽光を受け、座部3に設けられた複数の太陽電池セル13が太陽光により発電する。発電した電気は制御部17を介してバッテリ15に蓄電される。太陽電池セル13は座面3aの略全体に沿って配置されているので、発電面積が広く、大きな電力を発電することができる。夜間には、バッテリ15に蓄電された電力を制御部17を介して照明ランプ7に供給して、ベンチ1の周囲を照らす。太陽電池セル13による発電量が多く且つバッテリ15も大型化して蓄電量を大きくしているので、夜間の間、長時間に亘って照明することができる。尚、照明ランプ7の夜間の点灯は、タイマーによるスイッチでも良いし、受光素子により日暮れを検知するスイッチでもよい。一方、人がベンチ1に腰掛けた場合には、複層パネルは、上下の透光パネル11a、11bとこれらの間に上下の透光パネル11a、11bと異なる強度の透光パネルを設けているので、複層パネル全体として脆さを低減でき、強度が高まるので、損傷し難い。また、座部3の搬送時や施工時において、太陽電池セル13は透光パネルで覆われているので、太陽電池セル13に直接触れないで作業できるので、直接外力が作用し難く、太陽電池セル13の損傷を防止する。しかも、座部3は、板状であるから腰掛け易い。また、ベンチの施工時には、複層パネル3の両側端部を支持部5に連結するだけで、容易に施工できる。
【0013】以下に、図3〜図8を参照して本発明の他の実施の形態を説明するが、上述した第1実施の形態と同一の作用を奏する部分には、同一の符号を付することによりその部分の詳細な説明を省略し、主に第1実施の形態と異なる点を説明する。図3に第2実施の形態を示す。この第2実施の形態では、複層パネル9の下に更にアクリル樹脂製の透光パネル18を設け、照明ランプ7は支持部の中空16内に設けて透光パネル18の小口面18aを照明ランプ7で照らす構成としている。尚、小口面20は荒削り加工しており、このような透光パネル18の小口面18aを照明ランプ7で照らすことにより、座部3が面状の発光体となって見え、照明による美しい光の演出効果を得ることができる。
【0014】図4及び図5に第3実施の形態を示す。この第3実施の形態では、ベンチ1には背もたれ21を設けており、背もたれ21には、座部3の座面3aに向けて風を吹出す吹出し口23を形成しているとともに、背もたれ21の内部にファン(電気機器)25を収納した構成になっている。吹出し口23は、ファン25の駆動により複層パネル9の座面3a全体に沿って風を吹出すようになっている。この第3実施の形態では、支持部5に設けた押しボタン24を押すことにより、バッテリ15からファン25に電力を供給し、ファン25を駆動する。ファン25から吹出された風により、座部3の座面3aについた水滴やごみ等を吹き飛ばす。また、夏場において、高温になった座部3を冷却し、座り易くすることができる。
【0015】図6及び図7に第4実施の形態を示す。この第4実施の形態では、上の透光パネル11aに電熱線26を設けるとともに、座部3に温度センサ27を設けている。また、支持部5には人検知センサ29が設けられている。人検知センサ29は、特に制限はないが、例えば遠赤外線を発して人体の温度を検知するものが用いられる。この第4実施の形態では、座部に人が座ると、人検知センサ29がこれを検知して、バッテリ15の電力を電熱線26に供給して電熱線26を加熱して、座面を温める。制御部17は、温度センサ27が所定温度、例えば20℃よりも高い温度の検知信号を受けると電熱線26への電力の供給を停止するようになっており、人検知センサ29が人を検知し、且つ温度センサ27が20℃以下を検知したときに電熱線に電力を供給して、座面を温める。
【0016】図8に第5実施の形態を示す。この第5実施の形態では、制御部17が電子オルゴールとタイマーとを内蔵しており、支持部5に人検知センサ29と、スピーカ35とを備えている。この第5実施の形態では、人検知センサ29が人を検知すると、制御部17では、電子オルゴールを所定時間機能させて、スピーカー35から音楽を流す。尚、この第5実施の形態では、電子オルゴールとタイマーに換えて制御部17に受信器を内蔵し、地震情報やメッセージ等を流すものであってもよい。
【0017】本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、太陽電池セル13の形状は特に限定されるものでなく、6角形や円形等の形状であってもよい。また、太陽電池セル13の配列も限定されず、座部3に列状に配置することに限らず、ランダムに配置してもよい。太陽電池セルにより発電した電力を利用する電気機器は、上述した照明ランプ7や電熱線26等に限らず、他の電気機器であってもよい。また、電気機器は、ベンチ1に一体に設けられていることに限らず、ベンチ1と別体であってもよく、例えば、太陽電池セル13の電力をベンチ1の近くに設けられた街灯に用いてもよい。座部3としての複層パネル9の大きさや形状は制限されない。例えば、複層パネル9は横長のものに限らないし、円形であってもよい。複層パネル9は、3枚の透光パネル11a、11b、11cを重ね合わせたものに限らず、重ねあわせるパネルの数は何枚でもよい。更に、複層パネル9は、上下の透光パネルの中間に強度の異なる透過パネルを設けることに限らない。複層パネル9を構成する透光パネル11a、11b、11cの材質は、ガラスに限らず、樹脂等であってもよい。また、支持部5の形状や大きさは限定されず、太陽電池セルが受ける光を遮らないように座部3を支持するものであればよい。
【0018】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、太陽電池セルは、複層パネル間に挟むだけであるから太陽電池パネルを備える座部の構成が簡易であり、また、座部に太陽電池セルをいくつでも容易に配置でき、更に太陽電池セルを備えた座部の製造も容易である。太陽電池セルは、その上下の面全体を透光パネルで覆っているので、搬送時や施工時に、太陽電池セルに直接外力が作用しにくく、太陽電池パネルの損傷を防止できる。また、複層パネルの端部に支持部を連結するだけで容易にベンチの施工ができる。座部には、座面の全体に沿って太陽電池セルを配置して、太陽電池セルの発電面積を大きくできるので、発電量を大きくすることができる。更に、パネル面を座面としているので、座面を広くとることができ、座り心地が良い。
【0019】この請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の効果を奏するとともに、座部の複層パネルは、上下のパネルの間に上下のパネルとは強度の異なるパネルを配置する構成であるから、複層パネル全体の脆さを低減でき、複層パネルが破損し難い。
【0020】請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の効果を奏するとともに、太陽電池セルで発電した電気を蓄電するバッテリと電気機器の制御部とを支持部の中空内に収納しているので、バッテリと制御部との設置やメンテナンスが容易であるとともに、ベンチの外観もよい。また、支持部には、大きなバッテリを設置可能であるから、容量の大きなバッテリを収納することにより大きな蓄電量を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態にかかるベンチの略半分を示す斜視図である。
【図2】図1に示すベンチの縦断面図である。
【図3】本発明の第2実施の形態にかかるベンチの略半分を示す縦断面図である。
【図4】本発明の第3実施の形態にかかるベンチの略半分を示す斜視図である。
【図5】図4に示すベンチの縦断面図である。
【図6】本発明の第4実施の形態にかかるベンチの略半分を示す斜視図である。
【図7】図6に示すベンチの縦断面図である。
【図8】本発明の第5実施の形態にかかるベンチの略半分を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ベンチ
3 座部
5 支持部
9 複層パネル
11a 上の透光パネル
11b 下の透光パネル
11c 中間の透光パネル
13 太陽電池セル
15 バッテリ
17 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】上下の透光パネル間に太陽電池セルを透光パネルに沿って配置した複層パネルと、複層パネルの端部に連結した支持部とを備え、複層パネルを座部としたことを特徴とするベンチ。
【請求項2】上下の透光パネルの間には、上下の透光パネルとは強度の異なる透光パネルを更に配置したことを特徴とする請求項1に記載のベンチ。
【請求項3】支持部は中空を備え、支持部の中空内に太陽電池セルで発電した電気を蓄電するバッテリと電気機器の制御部とを収納したことを特徴とする請求項1または2に記載のベンチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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