説明

ベントナイト−非晶質シリカ複合体

【課題】天然ベントナイトから該ベントナイトに含まれるSiO結晶を非晶質化する工程を経て得られ、従来公知のスメクタイトには見られない新規な粒子構造を有するベントナイト−非晶質シリカ複合体を提供する。
【解決手段】ベントナイトと非晶質シリカとの複合体であり、細孔径1.7〜100nmでの細孔容積が0.40〜1.00cm/gの範囲にあり、H≦−3.0の固体酸量が0.41〜0.80mmol/gの範囲にあると共に、0.002g/200ml濃度での水分散液で測定したゼータ電位が−15〜−35mVの範囲にあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スメクタイト系粘土に属する天然ベントナイトの粒子から得られるベントナイト−非晶質シリカ複合体に関するものであり、より詳細には、特に脱色剤としての機能に優れたベントナイト−非晶質シリカ複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
ベントナイトは、スメクタイトを主成分とする代表的な粘土であり、水に対する親和性が高く、また油分に対する界面活性効果を示すなどの特性も有しているため、化粧品の填料、洗浄剤あるいは油脂の脱色剤等として古くから使用されている。
しかしながら、ベントナイトは、一般に、石英、玉髄、オパールC、オパールCT、クリストバライト、トリジマイト等のSiO結晶とともに産出し、特に、2八面体型粘土鉱物と強固に複合したオパールC、オパールCTやクリストバライト等は、スメクタイトの極微細結晶と渾然一体となって分離が困難である。しかも、このような分離が困難なSiO結晶は、環境等に対する悪影響や安全性の問題並びにスメクタイト系粘土の特性を低下させる等の不都合を及ぼすことから、その除去が求められている。
【0003】
上記のようなSiO結晶をベントナイト等のスメクタイト系粘土から除去する手段としては、例えばスメクタイト系粘土の水分散液にアルカリを加えて加熱処理する方法が知られており、このような方法は実際にも使用されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、スメクタイト系粘土の水分散液に水酸化マグネシウム或いは酸化マグネシウムを用いて処理することにより、スメクタイト系粘土中に含まれているオパールC等をタルクに転換する方法も提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58−204862号公報
【特許文献2】特開2007−204284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1や特許文献2の方法では、アルカリ加熱処理やマグネシウム化合物を用いての処理が行われるため、化学薬剤によるコストの増大がもたらされるばかりか、未反応成分除去のための精製処理等の工程数増加による生産性の低下という問題や、化学薬剤によるスメクタイトの性能低下等の問題があり、特に特許文献1のようにアルカリ加熱処理を行うと、SiO結晶を効果的に除去できるとしても、スメクタイト系粘土の構造破壊が生じてしまう事もあり、その性能低下が大きく、さらには添着された金属イオン等による電気絶縁性の低下やコロイド分散性の低下という問題も生じる。
【0007】
本出願人は、先に、多くの産地から産出するスメクタイト系粘土について、スメクタイトに特有の性能の低下を生じることなく、不可避的不純物として含まれるSiO結晶を消失させる手段を検討した結果、天然に産出したベントナイトの塊状物を粗粉砕し、風簸や水簸により夾雑物を除去した後、粒子径がナノ桁台になるまで著しく高度に湿式粉砕を行ったときには、極めて意外なことに、このベントナイトに不可避的不純物として含まれていたオパールC等のSiO結晶が消失するという知見を見出し、特許出願を行った(特願2010−078121)。即ち、夾雑物を除去した後のSiO結晶含有ベントナイトを水の存在下で徹底的に機械的に粉砕することにより、SiO結晶が非晶質化してベントナイト粒子と共に共存する水分散液が得られるものである。即ち、この水分散液を乾燥して得られる粉末は、スメクタイトの(001)面に由来するX線回折ピークを有しているがSiO結晶に由来するX線回折ピークは有しておらず、このことから、ベントナイトの特有の性能が損なわれずにSiOが非晶質化しており、かかる粒子はベントナイトと非晶質化SiOとを含む粒子であることが判る。しかしながら、このようなベントナイトと非晶質化SiOとを含む粒子の水分散液は、これをそのままの状態で乾燥して粉末とすると、乾燥中に各粒子が水溶媒中を移動するため、ベントナイト粒子とSiO粒子のそれぞれが偏在したような不均一な乾燥物に仕上がる。そのため、吸着特性等が大きく損なわれてしまうという問題があった。
【0008】
即ち、本発明の目的は、天然ベントナイトから該ベントナイトに含まれるSiO結晶を非晶質化する工程を経て得られ、従来公知の活性白土には見られない新規な細孔構造を有し、吸着特性に優れたベントナイト−非晶質シリカ複合体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記のベントナイトと非晶質化SiOとを含む粒子についての研究をさらに進めた結果、この粒子の水分散液に無機凝集剤を添加して該粒子を予め凝集させ、分離せしめた後、その凝集物中の溶解性塩類を水洗によって除去し、乾燥することで得られた粉末、又は、分離後、水洗を行わずに乾燥させた粉末を、水若しくは希硫酸で洗浄することによって、含まれる塩類を除去し再乾燥することで得られた粉末、あるいは、この粒子の水分散液を乾燥することで得られた粉末を再度水に分散させ、無機凝集剤を添加した後、水洗及び再乾燥することで得られた粉末は、従来公知の活性白土には見られない新規な細孔構造を有しており、特に油脂等に対する脱色剤として有用な吸着特性を十分に発揮し得るベントナイト−非晶質シリカ複合体が得られるという新規な知見を見出し、かかる知見に基づき、本発明を完成させるに至った。
【0010】
本発明によれば、ベントナイトと非晶質シリカとの複合体であり、細孔径1.7〜100nmでの細孔容積が0.40〜1.00cm/gの範囲にあり、H≦−3.0の固体酸量が0.41〜0.80mmol/gの範囲にあると共に、0.002g/200ml濃度での水分散液で測定したゼータ電位が−15〜−35mVの範囲にあることを特徴とするベントナイト−非晶質シリカ複合体が提供される。
【0011】
本発明のベントナイト−非晶質シリカ複合体においては、1.7〜11.5nmの細孔径での細孔容積(A)と11.5nmより大で100nm以下での細孔容積(B)との比(B/A)が1.00以上の範囲にあることが好ましい。
【0012】
本発明のベントナイト−非晶質シリカ複合体は、アンモニア昇温脱離(TPD)法において100℃〜800℃の温度でのアンモニア脱離量が0.60〜1.40mmol/gの範囲であることが好ましい。
【0013】
本発明のベントナイト−非晶質シリカ複合体中に含まれる非晶質シリカ成分は、SiO結晶に由来するものである。
【0014】
また、本発明のベントナイト−非晶質シリカ複合体は、油脂類もしくは鉱物油の脱色剤として利用される。
【発明の効果】
【0015】
本発明のベントナイト−非晶質シリカ複合体は、細孔径1.7〜100nmでの細孔容積が0.40〜1.00cm/gであり、H≦−3.0の固体酸量が0.41〜0.80mmol/gであることから理解されるように、細孔容積及び固体酸量が何れも大きい点に顕著な特徴を有している。
【0016】
ベントナイト(pHが酸性サイドにあるものは酸性白土と呼ばれることもある)は、スメクタイト系粘土に属するものであり、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト等の2八面体型スメクタイトを主成分とする。かかるベントナイトは、SiO四面体シート−AlO八面体シート−SiO四面体シートからなる層状構造を有し、これらの八面体シートのAlの一部がMgやFe(II)に、四面体シートのSiの一部がAlにと、より低原子価の異種金属で同型置換された基本層を有している。この基本層結晶格子はその置換部分に陰電荷を生じるが、これらの積層層間にはそれにつり合う量のカチオンと水が存在し、電荷的には中和されている。このようなベントナイトは、八面体シートのAlに由来して適度な固体酸量と細孔容積(全細孔容積)を有しているが、これを酸処理することにより、細孔容積や比表面積を大きくすることが知られている。このような酸処理物は活性白土と呼ばれており、一般に大きな細孔容積を有しているが、反面、酸処理によってAl成分が除去されるため、その固体酸量は小さい。即ち、本発明のベントナイト−非晶質シリカ複合体のように大きな細孔容積と大きな固体酸量とを示す活性白土は知られておらず、これは本発明のベントナイト−非晶質シリカ複合体の大きな特徴である。
【0017】
また、本発明のベントナイト−非晶質シリカ複合体は、0.002g/200ml濃度での水分散液で測定したゼータ電位が−15〜−35mVの範囲にあり、その絶対値が小さい。即ち、かかるベントナイト−非晶質シリカ複合体は、ベントナイト粒子と非晶質シリカ粒子とを含む水分散液に無機凝集剤(例えば硫酸アルミニウム)を添加することにより得られるものであり、ゼータ電位の絶対値が小さいということは、ベントナイト(水中で負に荷電する)あるいはシリカ粒子(水中で負に荷電する)の電荷が無機凝集剤のカチオン(例えばAl3+)で中和されていることを意味している。換言すると、ゼータ電位の絶対値が小さいことから、ベントナイト粒子と非晶質シリカ粒子とが結合し一体化した状態で分散されているものと理解される。
【0018】
また、本発明のベントナイト−非晶質シリカ複合体においては、1.7〜11.5nmの細孔径での細孔容積(A)と11.5nmより大で100nm以下での細孔容積(B)との比(B/A)が1.00以上であり、大きな径の細孔をより多く有していることを意味している。このような大きな細孔は、油脂類中に存在するクロロフィルのような分子径の大きな色素の吸着除去に特に有効である。
【0019】
また、本発明のベントナイト−非晶質シリカ複合体は、アンモニア昇温脱離(TPD)法における100℃〜800℃でのアンモニアの脱離量が、0.60〜1.40mmol/gであり、活性白土に比べると、アンモニアの脱離量が多く、特異的なアンモニアの脱離を示す。すなわち、複合体内の固体酸点に捕捉されるアンモニアに加えて、複合体内に形成されている細孔へのアンモニア吸着能も表していると考えられる。
【0020】
上述したように、本発明のベントナイト−非晶質シリカ複合体は、大きな細孔容積と大きな固体酸量を有していることからクロロフィル等の色素を効果的に吸着することができ、油脂類や鉱油類の脱色剤として極めて有効である。
また、このベントナイト−非晶質シリカ複合体は、耐熱性が高く、必要な細孔構造が安定に保持されることからリサイクル特性に優れ、例えば上記の脱色剤として使用したとき、使用済みの複合体を加熱して吸着物質を分解除去したときにも、油脂類や鉱油類の脱色に有効な細孔構造が保持されるため、再び脱色剤としての用途に利用することができる。
【0021】
さらに、本発明のベントナイト−非晶質シリカ複合体を製造する上で酸を使用する場合でも、その必要量は電荷調整に必要な量で良く、活性白土製造時の様な高濃度(活性白土処理槽中の硫酸濃度:10〜40重量%)の硫酸による酸処理を行う必要はないため、工業的に量産するにあたって排水処理に要する負荷が軽いという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例1で水簸したベントナイト分散液(湿式粉砕前)と実施例1で得られた本発明のベントナイト−非晶質シリカ複合体のX線回折像を示す。
【図2】実施例2,3で得られた本発明のベントナイト−非晶質シリカ複合体と比較例1,2,3の細孔分布を示す。
【図3】実施例2で得られた本発明のベントナイト−非晶質シリカ複合体と比較例2のアンモニアTPDスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<ベントナイト−非晶質シリカ複合体の製造>
本発明のベントナイト−非晶質シリカ複合体は、まず、ベントナイトと、該ベントナイトに含まれるSiO結晶を非晶質化して得られる非晶質シリカとからなる前駆体粒子の水分散液を調製し、この水分散液に無機凝集剤を添加し、該前駆体の粒子を凝集せしめ、ろ過あるいは遠心分離の後、水洗及び乾燥することにより得られる。
【0024】
前駆体の製造に用いるベントナイトとしては、天然に産出するベントナイトを用いる。ベントナイトは、既に述べたように、2八面体型スメクタイトを主成分とするものであり、スメクタイトに特有のSiO四面体シート−AlO八面体シート−SiO四面体シートからなる層状構造を有し、これらの八面体シートのAlの一部がMgやFe(II)に、四面体シートのSiの一部がAl等のより低原子価の異種金属で同型置換された基本層を有しており、この基本層結晶格子は、その置換部分に陰電荷を生じるが、これらの積層層間にはそれにつり合う量のカチオンと水が存在している。
このような天然のベントナイトは、オパールやクリストバライト等のSiO結晶とともに産出する場合が多く、特に産地によっては、このようなSiO結晶がスメクタイトの前述した層構造を有する微細結晶と渾然一体となっており、風簸等の物理的手段によっては分離困難となっている。本発明では、このような分離困難なSiO結晶を含有している天然の産物であるベントナイトを用いて前駆体粒子の水分散液を製造する。
【0025】
本発明において、特に好適に使用される原料ベントナイトは、特にCa型ベントナイトと呼ばれるものであり、その酸化物換算での化学組成は、一般に次の通りである。
SiO:45〜80重量%
Al:10〜20重量%
MgO:1.0〜5.0重量%
Fe:1.0〜5.0重量%
CaO:1.0〜5.0重量%
NaO:0.1〜2.0重量%
O:0.1〜2.0重量%
その他の金属酸化物:1.0重量%以下
熱減量(1050℃):4.0〜10.0重量%
【0026】
上記のようなCa型ベントナイトには、石英、クリストバライト等と共に、玉髄、オパールC、オパールCT等の分離困難なSiO結晶含量が5重量%以上、物によっては10〜35重量%程度とかなり多く含まれている。勿論、Na含量の多いNa型ベントナイトと称されるものも、本発明のベントナイト−非晶質シリカ複合体の製造原料として使用することができる。いずれにしても、一般にオパールCT等の分離困難なSiO結晶の含有量が極めて少ないものは、本発明のベントナイト−非晶質シリカ複合体の製造原料として用いるメリットは小さい。
【0027】
尚、ベントナイトに含まれるSiO結晶含有量測定方法はのちに詳述するが、X線回折による内部標準法により、内部標準物質としてCaFを用い被検試料に対して一定量の割合で添加して測定される。
【0028】
本発明においては、上記のベントナイトを、粗粉砕した後、水簸や風簸に供し、この後に、湿式粉砕を行う。この水簸や風簸により、種々の夾雑物を除去することができる。特に、粗大なSiO結晶は容易に分離される。
この場合、粗粉砕の方法は、生の原料粘土をそのまま水性媒体中で湿式粉砕してもよいし、一旦、乾燥してから乾式粉砕してもよい。
また、水簸に際しては、例えば予めごく少量の炭酸ソーダ等を用いてのイオン交換処理により、Ca型ベントナイトをNa型の活性化ベントナイトに転換させることが好ましく、これにより、スメクタイトがコロイド分散し易くなり粗大な石英等のSiO結晶を粒径差によって速やかに沈降分離することができる。
【0029】
湿式粉砕は、ベントナイトを水に分散し(ベントナイト濃度1〜10重量%程度)、この分散液をポットミルに投入し、強粉砕することにより行う。
この粉砕は、強く行うことが必要であるため、粉砕装置としてもナノ桁台までの粉砕が可能な高レベルの粉砕装置を使用し、粉砕ボールとしては、ボール径が0.5mm以下の微細なアルミナボール、ジルコニアボール等を使用できる。特にジルコニアボール等の高硬度のボール(ビッカース硬度が13GPa以上)を使用することが好ましい。
【0030】
上記の湿式粉砕は、水分散液中の粒子がヒドロゾルの形態になるまで行われ、例えば動的光散乱法により測定した中位径(D50)が10〜70nmの範囲となるまで行われる。このように、粒子径がナノ桁台となるまで微粉砕することにより、オパールC、オパールCT等の従来、分離困難とされていたSiO結晶を消失せしめ、非晶質の形態に転換させることができる。
また、ナノ桁台までの強粉砕が可能な高レベルの粉砕装置としては、例えばアシザワ・ファインテック社製スターミル、Willy.A.Bachofen社製ダイノーミルが市販されている。
【0031】
上記のような湿式粉砕により、本発明のベントナイト−非晶質シリカ複合体の前駆体粒子の水分散液が得られる。
即ち、かかる水分散液では、著しく微細に粉砕されたベントナイト粒子と非晶質化されたシリカの微細粒子とが分散しており、上記の説明から理解されるように、分散粒子の中位径(D50)が10〜70nmの範囲にあり、極めて微細なヒドロゾルの形態で粒子が分散している。
また、非晶質シリカは、原料ベントナイトに含まれるSiO結晶に由来するものであるから、該水分散液中の非晶質シリカ含有量は、ベントナイト当り5重量%以上であり、原料ベントナイトの産地等によっては10〜35重量%程度である。
【0032】
このような水分散液中に分散されている前駆体粒子は、SiO結晶が消失し、非晶質SiOに転換しているため、Cu管球を用いたX線回折測定を行うと、SiO結晶に由来するX線回折ピーク、例えば石英の2θ=26.5〜26.7度の領域に現れる(101)面に由来するピーク、またクリストバライトの2θ=21.7〜22.1度の領域に現れるピークは存在していない。また、アルカリ加熱処理も行われていないため、スメクタイト構造の破壊は生じていないので、スメクタイトの(001)面に由来するピークは、2θ=5.1〜6.5度の領域にそのまま現れている。したがって、このような前駆体粒子は、ベントナイトとしての特性をそのまま有している。
【0033】
しかしながら、上記のようにして得られる前駆体粒子の水分散液をそのままの状態で乾燥して粉末としたものでは、前駆体粒子の水分散液に含まれるベントナイトと非晶質化SiOの各粒子が、乾燥中に水溶媒中を移動できるため、ベントナイト粒子とSiO粒子のそれぞれが偏在したような不均一な構造を形成してしまい、均一な細孔構造を持つ複合体が得られない。このため、前駆体粒子の水分散液に無機凝集剤を添加して、予め各粒子を固定化した後に乾燥することで、均一な構造を有する複合体が得られる。
【0034】
上記に用いる無機凝集剤としては、例えば硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄等、公知のものを使用することができ、取り扱いや経済性等の観点から、一般的に硫酸アルミニウムが最適である。なお、本発明に用いる無機凝集剤としては、前駆体粒子の水分散液における酸の濃度が5.0重量%以下の酸(特に硫酸)を使用しても良い。
【0035】
無機凝集剤を用いての複合化は、例えば希釈等により、前駆体の水分散液の複合化に適した濃度(例えば固形分濃度で1.0〜5.0重量%程度)に適宜調整したのち、無機凝集剤を該水分散液に添加混合する。
【0036】
用いる無機凝集剤の量は、その種類によっても異なるが、例えば硫酸アルミニウムでは、水分散液中の前駆体(固形分に相当)100重量部当り3.0〜6.0重量部、特に3.5〜5.0重量部程度の量である。
【0037】
上記のような無機凝集剤の使用によりベントナイト粒子及び非晶質シリカ粒子の荷電が中和され、ベントナイト粒子と非晶質シリカ粒子からなる複合体粒子がフロックを形成する。
フロックは、遠心分離又はろ過により分離され、水洗により過剰の無機凝集剤が除去され、さらに乾燥して水分を除去することにより、目的とする本発明のベントナイト−非晶質シリカ複合体が得られる。
乾燥は、熱風乾燥、噴霧乾燥等、それ自体公知の手段で行われる。
【0038】
<ベントナイト−非晶質シリカ複合体>
このように、本発明のベントナイト−非晶質シリカ複合体は、天然のベントナイトから活性白土製造時の様な高濃度の硫酸による酸処理やアルカリ処理等の化学的処理を行うことなく得られ、その製造に際して、排水処理等の負荷が極めて軽減されている。
かかる複合体は、無機凝集剤成分を含有しているため、前述した前駆体粒子をそのままの状態で乾燥した粉末と比べて、その水分散液でのゼータ電位の絶対値が小さくなっている。具体的には、この複合体の0.002g/200ml濃度での水分散液で測定したゼータ電位は−15〜−35mVの範囲にあり、同条件で測定した前駆体分散液のゼータ電位よりも、その絶対値が小さい。
即ち、かかるベントナイト−非晶質シリカ複合体では、粒子の電荷が中和されており、ベントナイト粒子と非晶質シリカ粒子とが強く均一に複合化しているものと考えられる。このような電荷の中和により、予め粒子同士を結合させておくことで、前駆体粒子の水分散液をそのままの状態で乾燥して粉末としたもののようなべントナイト粒子とSiO粒子のそれぞれが偏在したような形態を形成せず、吸着特性に優れる均一な構造体が得られる。
【0039】
例えば、この複合体の細孔径1.7〜100nmでの細孔容積(BJH法での全細孔容積)は、0.40〜1.00cm/g、特に0.40〜0.95cm/gの範囲にあり、H≦−3.0の固体酸量は、0.41〜0.80mmol/g、特に0.44〜0.60mmol/gの範囲である。また、細孔分布をみても、1.7〜11.5nmの細孔径での細孔容積(A)と11.5nmより大で100nm以下での細孔容積(B)との比(B/A)が1.00以上、特に1.55〜5.00の範囲にあり、大きな細孔が増大している。
【0040】
このように、本発明のベントナイト−非晶質シリカ複合体は、大きな細孔容積と大きな固体酸量とを有しているため、油脂類や鉱油類の脱色剤として極めて好適に使用される。特に、細孔容積比(B/A)が前述した範囲内のものは、クロロフィル等の色素の吸着に有効と考えられる大きなサイズの細孔を多く含んでいるため、脱色剤としての用途には最適である。
【0041】
また、本発明のベントナイト−非晶質シリカ複合体は、耐熱性が高く、細孔構造が安定に保持されるという性質を有しており、従って、上記のような脱色剤などのように適用した場合、吸着成分や付着成分を焼成等により除去した後、繰り返して脱色剤等の用途に供することができる。即ち、焼成により油脂類や鉱油類の脱色に有効な細孔構造が破壊されないため、細孔構造に由来する吸着特性は焼成物でも維持されているからである。
【0042】
さらに、本発明のベントナイト−非晶質シリカ複合体は、天然ベントナイトを原料として、単純な機械的粉砕などの単位操作によって得られるため、その化学的組成は、水簸等により石英等の分離容易なSiO結晶やその他の夾雑物が除去されていることを除けば、原料ベントナイトとほぼ同じ量割合で各種の酸化物成分(代表的にはSiOやAl等)を含有している。また、天然ベントナイトに含まれる分離困難なSiO結晶に相当する量の非晶質のSiO粒子を含有しており、その含有量は、10重量%以上、特に15〜35重量%の範囲にある。
【0043】
本発明のベントナイト−非晶質シリカ複合体は、既に述べたように脱色剤としての用途に最適であるが、ベントナイトに特有の性質(例えば優れた界面活性能)を示し、さらには細孔容積比(B/A)が高い領域にシフトしており、種々の物質に対しての吸着能が増大しているなどの観点から、脱色剤以外の用途、例えば、各種触媒あるいは触媒坦体、各種洗剤における柔軟剤としての用途、BTX用の脱オレフィン剤、各種樹脂の配合剤、化粧品用の填料などに使用することもできる。
【実施例】
【0044】
本発明の優れた効果を、次の実施例で説明する。
尚、実施例における各種試験は下記の方法で行なった。
【0045】
(1)X線回折(定性測定)
試料の調製:
粉末状の試料はそのままで、分散液状の試料については、110℃で乾燥してから乳鉢で粉砕し粉末状とした試料について測定した。
X線回折装置:(株)リガク製RINT−UltimaIV
測定条件:X線=Cu−Kα線、管電圧=30kV、管電流=40mA、
発散スリット:2/3°、散乱スリット:2/3°、受光スリット=0.3mm
サンプリング幅:0.02°、走査速度:2°/min
【0046】
(2)X線回折(SiO結晶含有率測定)
ベントナイトに含まれるSiO結晶含有量は、X線回折による内部標準法により、内部標準物質としてCaFを用い被検試料に対して一定量の割合で添加し下記の条件で測定した。試料に含まれる石英および玉髄は、2θ=26.0〜26.7度の領域に現れる(101)面(ICDD46−1045)による回折ピークの積分強度と、クリストバライト、オパールCおよびオパールCTは、2θ=21.4〜22.1度の領域に現れる(101)面(ICDD39−1425)による回折ピークの積分強度とCaF(ICDD35−816)の(220)面による回折ピークの積分強度との比をそれぞれ求めた。なお、石英の標準試料としては、NIST 1878aを、クリストバライトの標準試料としては、NIST 1879aをそれぞれ用いた。
X線回折装置:(株)リガク製RINT−UltimaIV
測定条件:X線=Cu−Kα線、管電圧=40kV、管電流=50mA、
発散スリット:2/3°、散乱スリット:2/3°、受光スリット=0.3mm
ステップ幅:0.01°、計数時間:10s
【0047】
(3)比表面積、細孔容積及び細孔容積比
Micromeritics社製TriStar3000を用いて測定を行った。比表面積は比圧が0.05から0.25以下の吸着枝側窒素吸着等温線からBET法で解析した。
細孔容積は窒素吸着法により測定を行い、吸着枝側窒素吸着等温線から、BJH法により細孔直径1.7〜100nmの細孔容積を求めた。また、1.7〜11.5nmの細孔直径における細孔容積(A)と11.5nmより大で100nm以下の細孔直径における細孔容積(B)の比(B/A)より、細孔容積比を求めた。
【0048】
(4)細孔分布
Micromeritics社製TriStar3000を用いて測定を行い、吸着データから、BJH法により細孔分布を求めた。
【0049】
(5)固体酸量
n−ブチルアミン滴定法にてH≦−3.0の固体酸量を測定した。試料は予め150℃で3時間乾燥して絶乾状態にしたものについて測定を行った。[参考文献:「触媒」Vol.11,No6,P210−216(1969)]
【0050】
(6)アンモニア脱離量
日本ベル製TPD−AT−1型昇温脱離装置を用いて、100〜800℃の温度でのアンモニア脱離量を測定した。[参考文献:片田,丹羽,ゼオライト,21,45(2004)]
測定条件:試料量=0.1g、W/F=13kgsm−3、昇温速度=10Kmin−1
【0051】
(7)脱色試験法
脱色剤の性能試験には、粘土ハンドブック第三版 日本粘土学会編(技報堂出版)p570の図に示す脱色試験機を用いた。脱色試験機には8本の硬質ガラス製大型試験管(容量200ml)が油浴にセットできる。各試験管には、下端が丸くなった波形の攪拌棒を入れ、その下端は試験管の底部に常に接触するようにゴム管で調節する。8本の攪拌棒は中央の親歯車から分かれた子歯車によって回転するので、その回転速度は全く等しく保たれる。中央の親歯車の下には油浴を攪拌する攪拌羽根がついていて、油浴内の温度を均一に保っている。脱色試験は最大8個まで、任意の数で試験できる。各試験管に脱酸処理済みの菜種油を50gずつ採取し、各脱色剤サンプルを0.5gずつ(油に対して1%)加えて脱色試験用の攪拌棒でよく混ぜる。各試験管を110℃に保たれた前記の脱色試験機にセットし、20分間攪拌を行った後脱色試験機から取り出し、油と脱色剤の混合スラリーをろ過することにより各脱色油を得る。各脱色油の白色光線透過率(蒸留水の透過率を100%としたときの相対値)を(株)平間理化研究所製光電比色計2C型で測定する。また、クロロフィル残存量は、日本分光社製V−630spectrophotometerを用い、基準油脂分析試験法に準拠し定量した。
各サンプルの脱色能とクロロフィル残存量比は以下のようにして求めた。(比較となる活性白土は比較例2を使用した。)
脱色能[%]
(各サンプルを使用した脱色油の透過率/比較となる活性白土を使用した
脱色油の透過率)*100
クロロフィル残存量比
各サンプルを使用した脱色油のクロロフィル残存量/比較となる活性白土
を使用した脱色油のクロロフィル残存量
【0052】
(8)中位径1(動的光散乱法)
200mLトールビーカーにイオン交換水約100mL入れ、そこへ分散液を0.1mL採取し分散させる。超音波分散機により15分間超音波分散した後、マルバーン社製ゼーターサイザーを使用し、動的散乱法により体積基準での中位径(D50)を測定した。
【0053】
(9)中位径2(レーザー回折散乱法)
マルバーン社製マスターサイザー2000を使用し、溶媒にエタノールを用いてレーザー回折散乱法により体積基準での中位径(D50)を測定した。
【0054】
(10)ゼータ電位
500mLのトールビーカーにイオン交換水200mLを入れ、そこに、試料0.002gを採取し、分散させる。得られた分散液を、マルバーン社製ゼーターサイザーnanoZSを使用し測定した。
【0055】
(11)化学組成
強熱減量、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ナトリウム(NaO)の分析はJIS.M.8853:1998に準拠して測定した。また、Fe、CaO、MgO、KOは原子吸光法を用いた。なお、測定試料は110℃乾燥物を基準とした。
【0056】
(実施例1)
新潟県産Ca型ベントナイト(水分35重量%)に対し炭酸ナトリウムを3重量部加え混錬した後、5mm径の円柱状に造粒し、この造粒物を乾燥・粉砕して活性化ベントナイトを得た。この活性化ベントナイトを水に分散させ、10重量%分散液に調製し、遠心分離機による水簸操作で夾雑物を取り除いた。この水簸したベントナイトのX線回折像を図1に示す。更に、X線回折法よりオパールCT含有量を定量したところ25.2重量%であった。
この水簸操作を行った固形分濃度6.0重量%のベントナイト分散液350mLを粉砕容積150mLの高速回転式ビーズミル(アシザワ・ファインテック(株)社製)で、粉砕媒体として0.1mmのジルコニアビーズを粉砕容積に対し85%使用し、周速度13m/s、流量0.1L/minで分散液を循環しながら粉砕した。
粉砕後の水分散液にさらに水を加えて固形分濃度2.0重量%になるように濃度を調整した。2.0重量%の固形分のうち、25.2重量%分がオパールCT由来の非晶質SiOということになる。濃度調整後の水分散液を攪拌しながら水分散液中のオパールCT由来のSiOに対し、Al/SiO(重量比)として0.13となるように硫酸アルミニウム水溶液を滴下した。滴下終了後、水分散液を昇温し85℃で2時間加熱攪拌した。その後、水分散液を遠心分離しケーキを回収した。回収したケーキを再び水に分散させ、可溶性成分を溶出させた後に遠心分離によりケーキを回収するという操作を、水分散液のpHが3.5〜4.5の範囲になるまで繰り返して水洗した。水洗後のケーキを110℃で乾燥した後、乳鉢で粉砕し、目開き90μmの篩を通過したものを試料とした。
【0057】
(実施例2)
実施例1と同様の方法で水洗を行った後、回収したケーキに水を加え固形分濃度2.0重量%に水分散液を調製し、噴霧乾燥して得られた粉末を試料とした。
得られた試料について各種物性測定を行い、その結果を表1に示した。
【0058】
(実施例3)
実施例1と同様の方法で水洗を行った後、回収したケーキを99.5重量%のエタノール溶液に分散させ遠心分離によりケーキを回収するという操作を、2,3回繰り返してケーキ中の水をエタノールに置換した。置換後のケーキを60℃で乾燥した後、乳鉢で粉砕し、目開き90μmの篩を通過したものを試料とした。
得られた試料について各種物性測定を行い、その結果を表1に示した。
また、脱色試験に使用した廃白土を回収し、マッフル炉を用いて600℃で3時間焼成を行い、再度同様の方法で脱色試験を行ったところ、再生率[%]{(焼成試料を使用した脱色油の透過率/未使用試料を使用した脱色油の透過率)*100}は99%であり、脱色性能は回復することを確認した。
【0059】
(実施例4)
実施例1の方法で得た水洗前の水分散液を噴霧乾燥し、乾燥試料を得た。この乾燥試料を0.1重量%硫酸水溶液に分散させ、可溶性成分の抽出を行った。抽出後、上澄み液を除去し、水を加えて攪拌して静置した後、上澄み液を除去するという操作を、上澄み液のpHが3.5〜4.5の範囲内になるまで繰り返した。水洗終了後、ろ過によりケーキを回収した。回収したケーキを110℃で乾燥した後、乳鉢で粉砕し、目開き90μmの篩を通過したものを試料とした。
得られた試料について各種物性測定を行い、その結果を表1に示した。
【0060】
(実施例5)
実施例1と同様の方法で高速回転式ビーズミルによる湿式粉砕を行った。得られた水分散液に水を加え固形分濃度2.0重量%に水分散液を調製し、噴霧乾燥し、乾燥試料を得た。この乾燥試料を5重量%硫酸水溶液に分散させ、電荷の中和を行った。この時、溶液中の固形分濃度が1重量%となるように乾燥試料を加えた。その後、上澄み液を除去し、水を加えて攪拌して静置した後、上澄み液を除去するという操作を、上澄み液のpHが3.5〜4.5の範囲内になるまで繰り返した。水洗終了後、ろ過によりケーキを回収した。回収したケーキを110℃で乾燥した後、乳鉢で粉砕し、目開き90μmの篩を通過したものを試料とした。
得られた試料について各種物性測定を行い、その結果を表1に示した。
【0061】
(比較例1)
実施例1において、遠心分離機による水簸操作を強めた他は、実施例1と同様にして行い乾燥試料を得た。なお、遠心分離により水簸した分散液のオパールCT含有量を定量したところ9.8重量%であった。
得られた試料について各種物性測定を行い、その結果を表1に示した。
【0062】
(比較例2)
新潟県産のスメクタイト系粘土を原料として用い、この原料を粗砕、混練し5mm径に造粒した。得られた造粒物の水分は37重量%であった。この造粒物1500gを処理槽に充填し、そこに35重量%硫酸水溶液2000mLを循環させ酸処理を行った。その時の処理温度は90℃、処理時間は7時間であった。酸処理終了後、酸処理物に洗浄水を循環して水洗を行った後、110℃に設定した恒温乾燥機で約10時間乾燥、粉砕、分級して活性白土粉末を得た。
得られた活性白土粉末について各種物性測定を行い、その結果を表1に示した。
【0063】
(比較例3)
比較例2における水洗終了後の酸処理物(乾燥前の含水物)を原料として用いた。この酸処理物に水を加え、家庭用ミキサーで解砕することにより、固形分濃度20重量%の水性懸濁液を得た。
この懸濁液1250gに7.5重量%の水酸化ナトリウム溶液66gを加え、90℃で5時間攪拌することによりアルカリ処理を行った。この懸濁液をろ過し、ろ過ケーキを1重量%硫酸水溶液に分散させ、デカンテーション法により酸洗浄を行った後、水洗した。
水洗後の懸濁液をろ過し、ろ過ケーキを110℃で乾燥、粉砕、分級して活性白土粉末を得た。
得られた活性白土粉末について、各種物性測定を行い、その結果を表1に示した。
【0064】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベントナイトと非晶質シリカとの複合体であり、細孔径1.7〜100nmでの細孔容積が0.40〜1.00cm/gの範囲にあり、H≦−3.0の固体酸量が0.41〜0.80mmol/gの範囲にあると共に、0.002g/200ml濃度での水分散液で測定したゼータ電位が−15〜−35mVの範囲にあることを特徴とするベントナイト−非晶質シリカ複合体。
【請求項2】
1.7〜11.5nmの細孔径での細孔容積(A)と11.5nmより大で100nm以下での細孔容積(B)との比(B/A)が1.00以上の範囲にある請求項1に記載のベントナイト−非晶質シリカ複合体。
【請求項3】
アンモニア昇温脱離(TPD)法において、100〜800℃の温度でのアンモニアの脱離量が0.60〜1.40mmol/gの範囲である請求項1または2に記載のベントナイト−非晶質シリカ複合体。
【請求項4】
前記非晶質シリカ成分が、SiO結晶に由来するものである請求項1〜3の何れかに記載のベントナイト−非晶質シリカ複合体。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載のベントナイト−非晶質シリカ複合体からなる油脂類もしくは鉱物油の脱色剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−82607(P2013−82607A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−214715(P2012−214715)
【出願日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【出願人】(000193601)水澤化学工業株式会社 (50)
【Fターム(参考)】