説明

ベンラファキシン塩酸塩の徐放性コーティングされた小型錠剤

本発明は、ベンラファキシン塩酸塩および医薬的に許容される賦形剤を含む、1日1回の徐放性医薬製剤に関する。より好ましくは、本発明は、小型錠剤の形態でハードゼラチンカプセルに導入される徐放性組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、各小型錠剤が、ベンラファキシン塩酸塩、微結晶セルロース、結合剤および適宜通常の賦形剤からなる治療上の有効量の小型錠剤を含むハードゼラチンカプセルを含む徐放製剤の医薬組成物に関する。
【0002】
(背景技術)
徐放性または放出制御性の医薬組成物を調製する疎水性ポリマーの使用は、当該技術分野で公知である。徐放性にするために、薬物を含む小型錠剤の固形製剤は、疎水性ポリマーおよび増孔剤でコーティングされる。固形製剤が、周囲の媒体に接触するとすぐに、微細孔を形成し、薬物がこれらの微細孔を通って拡散される。放出速度の制御は、活性成分の持続的な血漿レベルを生じること、および投与頻度を減少させることによって、治療を有利にし、それにより投与計画のための患者の薬剤服用順守を改善する。本発明は、ヒトの患者に対して、1日1回の投与に適したベンラファキシン塩酸塩の小型錠剤を含む徐放性カプセルの医薬組成物を提供する。
【0003】
本発明は、1日1回の投与のための徐放性医薬製剤、特に、ベンラファキシン塩酸塩の放出制御医薬製剤に関する。
【0004】
ベンラファキシン塩酸塩の輸送に適用した徐放性の薬物送達システムのいくつかは、先行技術において公知である。
【0005】
米国特許第4535186号は、有用な抗うつ薬であるヒドロキシシクロアルカンフェネチルアミンの分類を記載し、適当な一種として、ベンラファキシン塩酸塩のような現在公知の化合物を例示する。
【0006】
ベンラファキシンは、(R/S)−l−[2−(ジメチルアミノ)−l−(4−メトキシフェニル)エチル]−シクロヘキサノールとして、化学的に命名される。現在、ベンラファキシン塩酸塩は、通常の即時放出錠剤または24時間徐放性の多粒子カプセル剤として成人に投与される。ベンラファキシン塩酸塩は、商品名 EFFEXOR.RTM.(Wyeth Ayerst)として、米国を含む種々の国々で販売承認されている。ベンラファキシン塩酸塩は、即時放出および徐放性カプセルとして、それぞれ商品名 エフェクソール(EFFEXOR).RTM.(Wyeth Ayerst)およびEFFEXOR XR.RTM.(Wyeth Ayerst)の錠剤として入手できる。
【0007】
ベンラファキシン塩酸塩は、水にとても溶けやすい。自由に溶解する薬物の非常に遅い分解速度を有する医薬形態を開発するのは非常に困難であることが知られている。
【0008】
米国特許第6274171号および関連の欧州特許第0797991号は、カプセル化された徐放製剤のベンラファキシン塩酸塩を開示する。1日1回のカプセル化された徐放性製剤が、平らにした薬物血漿プロファイルを提供し、副作用を軽減することを開示する。カプセル化された製剤は、ベンラファキシン塩酸塩、微結晶セルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の偏球を含むことが説明されている。これらの偏球状体は、エチルセルロースおよびHPMCの混合物でコーティングされる。適量のコーティングを提供することによって、所望の血漿プロファイルを得ることができる。
【0009】
米国特許第6274171号および欧州特許第0797991号は、ベンラファキシン塩酸塩の徐放性製剤を製造することが、一つには塩酸塩の高い水溶性のために困難であったことも述べている。実際に、圧縮錠剤が物理的に不安定(貧圧縮性またはキャッピングの問題)であるか、または溶解研究においてあまりに早く溶解するかのどちらかであったので、ヒドロゲル技術によって徐放性の錠剤を生じるための多くの試みは実らなかったことを、これらの特許は開示している。これらの特許に記載されたカプセル化された徐放製剤と違って、ヒドロゲルの徐放性のベンラファキシン塩酸塩の錠剤が、典型的に40%〜50%が2時間以内に放出され、60%〜70%が4時間以内に放出されて、85%〜100%が8時間以内に放出される溶解プロファイルを示すことを説明されている。
【0010】
W099/22724は、カプセル化したベンラファキシン塩酸塩の徐放性の投与形態も開示する。これらの製剤は、偏球状体が実質的にHPMCを含まないという点で米国特許第6274171号および欧州特許第0797991号のそれらと異なる。
【0011】
ベンラファキシンの徐放性カプセルは製造されているが、ベンラファキシンの徐放を提供するより単純な投与形態を提供することは有利となるであろう。
【0012】
W094/27589およびWO01/37815は、ベンラファキシン塩酸塩を含む浸透性の投与形態を記載する。
【0013】
US20030190354は、ベンラファキシン塩酸塩が、親水性および疎水性マトリクス形成成分の組合せと混合されるマトリクス錠剤の投与形態において、活性化合物としてベンラファキシン塩酸塩を含む徐放性組成物を開示している。マトリクス成分は、高いおよび低い粘度グレードのヒドロキシルプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、グリセリルベヘネートおよびメチルセルロースの適当な組合せである。二つの造粒法が、錠剤製造のために使用された:第一は標準的な一工程の造粒法であり、すべての賦形剤が活性成分と一緒に混合され、次いでコリドン(Kollidon)SRで湿式造粒し、乾燥し、粉砕し、卵型の割線錠剤に圧縮した。第二の造粒法は、二工程の方法であって、最初にエトセル(Ethocel)またはコンプリトール(Compritol)から選択される疎水性成分と混合した活性材料を湿式造粒した。その後に、粉砕した造粒物を親水性成分、メトセル(methocel)および滑沢成分、シロイド(syloid)244およびステアリン酸Mgと混合した。
【0014】
WO03/55475は、ベンラファキシン放出制御製剤を教示する。本発明の医薬製剤は、例えば、アモルファス形態において有利であり得る活性な薬物、ポリビニルピロリドン、異なった粘性を有する二つの親水性ポリマーの組合せ、および適宜、固形製剤用の他の一般的に使用される成分からなるコアを含む。コアは、異なる水透過性を有する2つのポリマーの組合せを含むポリマーの被膜でコーティングされる。フィルムコーティングのための可塑剤および他の一般的に使用される成分は、それらに適宜加えてもよい。担体、すなわち、水溶性ポリマー、ポリビニルピロリドンおよび低粘性の親水性ポリマーの組合せは、それが活性成分の非晶形を安定化し、持続し、反復可能であり、活性成分の非晶形または多晶形、その粒径および特定の表面積に無関係の方法で、非晶形の活性成分の放出を同時に改良する二重の効果および有利さを有する。
【0015】
WO03/53402および関連のUS2004133982は、0次の持続放出投与形態を開示する。顆粒内エチルセルロースおよび水溶性の活性剤を含み、顆粒外エチルセルロースと共に造粒し、圧縮したマトリクスコア、およびフィルムコーティングが完全にマトリクスコアを覆う疎水性ポリマーを含むフィルムコーティングを含む固形投与形態を開示する。本発明は、(a)活性剤および顆粒内エチルセルロースを含む第一の混合物を製造し;(b)顆粒生成物を得るために第一の混合物を造粒し;(c)顆粒外エチルセルロースを含む第二の混合物を製造し;(d)顆粒生成物および第二の混合物を含む第三の混合物を製造する工程からなる水溶性の活性剤を含む、0次の持続放出錠剤を製造するための方法にも関する。
【0016】
WO04/12699および関連のUS20040096501は、少量の放出制御薬剤を用いることによって改良した放出する活性成分の放出速度を有効に制御するための二重の遅延技術の使用を教示する。この二重の遅延技術は、従って投与形態の大きさをかなり軽減し、燕下を簡便にする。該投与形態は、a)高い溶解性の活性成分および1またはそれ以上の疎水性の放出制御剤を含むマトリクス微粒子、b)1またはそれ以上の疎水性の放出制御剤でマトリクス微粒子をコーティングすることからなる。
【0017】
徐放性の薬物の製剤は、それらの減少した投与頻度のため、投与に有利である。頻度は、活性成分の持続効果を確実にするための持続時間にわたり、一定の薬物血漿濃度を維持することによって減少することができる。
【0018】
(発明の目的)
医薬組成物から活性成分の徐放性を提供することが本発明の目的であり、その徐放性は持続した時間にわたり、最小限の治療濃度を超える血漿レベルを有する。
【0019】
本発明の他の目的は、1日1回の投与形態のための徐放性の医薬組成物を提供することである。
【0020】
本発明のさらに他の目的は、所定の様式で活性成分を放出する徐放性の医薬組成物を提供することである。
【0021】
本発明のさらに他の目的は、製法時間を減少するように、常法で製剤を製造することである。
【0022】
本発明のさらに他の目的は、圧縮およびコーティングからなる常法で、Effexor XRと生物学的に同等であるベンラファキシン塩酸塩の徐放製剤を開発することである。
【0023】
(発明の概要)
従って、本発明は、ベンラファキシン塩酸塩、希釈剤、水溶性成分および非水溶性ポリマーおよび他の医薬的に許容される賦形剤を含む徐放性医薬製剤に関する。
【0024】
該成分は、所定の様式において、ベンラファキシン塩酸塩の徐放性を与えるような方法で選択される。
【0025】
本発明は、小型錠剤形中の徐放性組成物であって、ベンラファキシン塩酸塩、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドンおよび適宜通常の賦形剤を含み、更にエチルセルロースおよびプラスドン(plasdone)S630コポリビドニウム(ISPテクノロジーズ)を含む小型錠剤のコーティング剤からなる治療上の有効量の小型錠剤を含むハードゼラチンカプセル内に導入される組成物に関する。本発明の錠剤は、とりわけベンラファキシンHClが持つ特有の溶解プロファイルを示す。
【0026】
好ましくは、本発明は、組成物の全重量の約40%〜約80%のベンラファキシン塩酸塩、約25%〜約45%の微結晶セルロースおよび約0.5%〜約10%のポリビニルピロリドンを含む、徐放製剤に関する。小型錠剤のコーティングは、組成物の全重量の約2%〜15%含む。コーティング組成物は、コーティング層の全重量の約50%〜約95%のエチルセルロースおよび約3%〜約50%のプラスドンS−630 コポリビドニウム(ISPテクノロジーズ)を含む。
【0027】
より好ましくは、本発明は、組成物の全重量の約48%〜約68%のベンラファキシン塩酸塩、約26%〜約38%の微結晶セルロース、および約2%〜約9%のポリビニルピロリドンを含む徐放製剤に関する。小型錠剤のコーティングは、組成物の全重量の約4%〜14%含む。小型錠剤のコーティングは、約65%〜約95%のエチルセルロースおよびコーティング層の全重量の約5%〜約40%のプラスドンS−630 コポリビドニウムを含む。
【0028】
さらにより好ましくは、本発明は、組成物の全重量の約57%〜約62%のベンラファキシン塩酸塩、約27%〜約32%の微結晶セルロース、および約2.5%〜約5.5%のポリビニルピロリドンを含む徐放製剤に関する。小型錠剤のコーティングは、組成物の全重量の約6%〜12%を含む。小型錠剤のコーティングは、コーティング層の全重量の約70%〜約80%のエチルセルロース、および約20%〜約30%のプラスドンS−630 コポリビドニウムを含む。
【0029】
本発明によれば、徐放製剤は、圧縮に続いて、機能的なコーティング方法によって製造され、該方法は、
i.ベンラファキシン塩酸塩および希釈剤を混合し、
ii.混合した混合物を結合剤の水性または非水性溶液と造粒し、それを乾燥し、
iii.乾燥した造粒物を潤滑し、適当な形の錠剤(直径3〜6mm)に圧縮し、
iv.錠剤を非水溶性および水溶性ポリマーの水性または非水性の分散剤でコーティングし、
v.工程(iv)で得られたコーティングされた小型錠剤を適当な大きさのカプセルに充填
することを含む。
【0030】
12、6、3個のかかる小型錠剤を医薬的に許容されるカプセルに充填させて、ベンラファキシンがそれぞれ150mg、75mgおよび37.5mgの力価のカプセルを形成する。
【0031】
(発明の詳細な説明)
本発明の態様として、該ハードゼラチンカプセルは、フィルムコーティングされた小型錠剤を含む。これらの小型錠剤は、活性成分、結合剤ならびに水溶性成分および適宜通常の賦形剤を含む。これらの小型錠剤は、水溶性および非水溶性ポリマーの組み合わせを用いてコーティングされる。
【0032】
本発明によれば、該医薬組成物は、活性成分として、ベンラファキシン塩酸塩を含む。ベンラファキシン塩酸塩は、徐放性の組成物の全重量の約40%〜約80%、好ましくは約48%〜約68%、より好ましくは約57%〜約62%存在しうる。
【0033】
さらに、ベンラファキシン塩酸塩は、カプセルあたり12.5mg〜400mg存在しうる。
【0034】
本発明の態様によれば、該小型錠剤は、希釈剤として微結晶セルロースを含む。微結晶セルロースは、徐放性組成物の全重量の約25%〜約45%、好ましくは、約26%〜約38%、より好ましくは、約27%〜約32%存在しうる。
【0035】
本発明の態様によれば、該小型錠剤は、結合剤としてポリビニルピロリドンを含む。ポリビニルピロリドンは、徐放性組成物の全重量の約0.5%〜約10%、好ましくは約2%〜約9%、より好ましくは約2.5%〜約5.5%存在しうる。
【0036】
上記成分に加えて、流動促進剤として医薬品グレードのステアリン酸マグネシウム/ステアリン酸、抗粘着剤としてタルク、および滑沢剤としてコロイド状二酸化ケイ素が、小型錠剤内に含まれる。好ましくは、ステアリン酸マグネシウム/ステアリン酸、タルクおよびコロイド状二酸化ケイ素は、単独または組み合わせて、1%〜6%重量の範囲で存在する。
【0037】
本発明の態様として、小型錠剤のコーティングは、非水溶性ポリマーおよび水溶性ポリマーを含む。非水溶性ポリマーは、エチルセルロースのようなセルロースエーテル、酢酸セルロースのようなセルロースエステル、ローンファーマ社の商品名「オイドラギット.RTM.」RL、RSおよびNEなどから入手可能なメタクリル酸誘導体からなる群から選択される。好ましい態様として、該非水溶性ポリマーは、徐放性組成物の機能的なコーティング含量が約50重量%〜約95重量%で存在するエチルセルロースである。
【0038】
本発明の態様として、小型錠剤のコーティングは水溶性ポリマーも含む。該水溶性ポリマーは、プラスドンS−630 コポリビドニウム(ISPテクノロジーズ)、水和したコロイド状シリカ、ショ糖、マンニトールまたは同一の役割をすることができる他の物質からなる群から選択される。好ましい態様として、該水溶性ポリマーは、徐放性組成物の機能的なコーティング含量が約3重量%〜約50重量%で存在するプラスドンS−630 コポリビドニウム(ISPテクノロジーズ)である。
【0039】
セルロースのエチルエーテルであるエチルセルロースは、アセタール結合によって一緒に連結されるβ−アンヒドログルコース単位の長鎖ポリマーである。それは無味で、自由流動性の白色から淡褐色の粉末である。安定で、わずかに吸湿性の材料である。グリセリン、プロピレングリコールおよび水に実質的に不溶である。46.5%未満のエトキシル基を含むエチルセルロースは、クロロホルム、酢酸メチルおよびテトラヒドロフランならびにエタノール(95%)の芳香族炭化水素の混合液中で、自由に溶解する。46.5%以上のエトキシ基を含むエチルセルロースは、クロロホルム、エタノール(95%)、酢酸エチル、メタノールおよびトルエン中で自由に溶解する。セルロースエステルよりも酸性材料に対して敏感であるけれど、アルカリに対して、希釈および濃縮に対して、および塩溶液に対して化学的に耐性がある。エチルセルロースポリマーは、3〜11のpHの範囲内でかなりの安定性を示し、それ故、それらは酸性およびアルカリ性成分と一緒に用いることができる。
【0040】
エチルセルロースの粘性は、典型的に、80%トルエン:20%エタノール(w/w)の混合溶媒中で溶解した5%w/vのエチルセルロースを用いて、25℃で測定する。異なったグレードのエチルセルロースは、それぞれ3〜5.5cP、6〜8cP、6〜8cP、9〜11cP、9〜llcP、18〜22cP、41〜49cP、90〜110cP、90〜110cPの範囲の粘度を有する、エトセルstd4プレミアム、エトセルstd7FPプレミアム、エトセルstd7プレミアム、エトセルstd10FPプレミアム、エトセルstd10Pプレミアム、エトセルstd20Pプレミアム、エトセルstd45Pプレミアム、エトセルstd100FPプレミアム、エトセル100Pである。エチルセルロース溶液の粘度は、エチルセルロース濃度の上昇に伴って増加する。該溶液の粘度は、ほとんど完全にアルコール量に依存し、トルエンに依存しない。また、それらのエトキシル量および重合度が異なるエチルセルロースの非医薬品グレードは入手可能である。エチルセルロースは、精製したセルロースをアルカリ溶液と処理し、続いて、アルカリ性セルロースをクロロエタンでエチル化することにより製造する。プラスドンS−630 コポリビドニウム(ISPテクノロジーズ)は、N−ビニル−2−ピロリジンおよび酢酸ビニルがランダムに60:40の比からなる水溶性の合成共重合体である。プラスドンS−630 コポリビドニウムは、低吸湿性である。50%のRHレベルにおいて、プラスドンS−630 コポリビドニウムは、10重量%以下で得て、得られた湿気を容易に脱着する。湿度に敏感な薬物のために選択される賦形剤である。
【0041】
プラスドンS−630 コポリビドニウムのK値は、25.4および34.2の間で明記される。K値は、1%水溶液の運動学的粘性から計算され、それ故、ポリマーの平均分子量に関連する。
【0042】
プラスドンS−630 コポリビドニウムは、かなり有効なフィルムを形成する粘着剤である。その特有の特徴により、製剤および多様な医薬投与形態のコーティングにおいて、それは有用であるが、錠剤の結合剤として主に用いられる。
【0043】
プラスドンS−630 コポリビドニウムは、多くの溶媒に可溶であり、非水性の顆粒剤またはコーティング剤に使用され得る。それは、できる限り取り扱いの有効性を保証するために流動性噴霧乾燥粉末として提供される。噴霧乾燥は、しっかり制御された粒径分布を有する球状の粒子を生じる。該粒子の形態は、優れた粉体流動性に関与し、他の賦形剤と混合することを促進する。
【0044】
本発明組成物を製造するための方法によって、該ベンラファキシン塩酸塩を微結晶セルロースと混合し、結合剤溶液を用いて造粒する。これらの造粒物は、次いで小型錠剤に圧縮する。生じた小型錠剤を次いで徐放性ポリマーでコーティングした。
【0045】
本発明の態様として、機能的なコーティングは、エチルアルコールのような溶媒中、エチルセルロースおよびプラスドンS630 コポリビドニウムを溶解することによって行われる。生じた溶液をコーティングパンまたは多孔タービンもしくは流動床装置を用いて、小型錠剤のコアに噴霧する。
【0046】
本発明の態様として、機能的なコーティング/錠剤の重量比は、例えば、0.02〜0.15であり、好ましくは0.04〜0.14であり、より好ましくは0.06〜0.12から成る。
【0047】
該小型錠剤の大きさは、直径3〜6mmの範囲内である。
【0048】
好ましくは、ベンラファキシン塩酸塩および希釈剤は、適当なメッシュのふるいにかけて、ふるいにかけた塊を高度な剪断混合を用いて混合し、混合した塊を水性または非水性の結合剤溶液で造粒し、造粒した塊を湿度が4%w/w以下になるまで乾燥し、乾燥した塊を適当なメッシュのふるいに通して、この造粒物を滑沢剤、流動促進剤、抗粘着剤で滑らかにする。滑らかにした造粒物を適当な大きさ(直径3〜6mm)の小型錠剤に圧縮する。該小型錠剤をさらに水溶性および非水溶性ポリマーの被膜でコーティングした。これらのフィルムコーティングした小型錠剤をハードゼラチンカプセルに充填する。
【0049】
本発明は、以下の実施例で説明される。
【0050】
実施例
小型錠剤を含む徐放性カプセルの製造のための一般的な方法
ベンラファキシン塩酸塩および微結晶セルロースは、適当なメッシュのふるいにかけて、ふるいにかけた塊を高度な剪断混合を用いて混合し、混合した塊をポリビニルピロリドン水溶液で造粒とし、造粒した塊を湿度が4%w/w以下になるまで乾燥し、乾燥した塊を適当なメッシュのふるいに通して、この造粒物をステアリン酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素およびタルクで滑沢にし、滑沢にした造粒物を小型錠剤に圧縮する。
【0051】
これらの小型錠剤を水溶性および非水溶性ポリマーの機能的なコーティングの水性または非水性の分散剤でコーティングする。フィルムコーティングした小型錠剤の直径は、3〜6mmの範囲である。これらの小型錠剤は、次いでハードゼラチンカプセルに充填する。
【0052】
12、6、3個のかかる小型錠剤を医薬的に許容されるカプセルに充填させて、ベンラファキシンがそれぞれ150mg、75mgおよび37.5mgの力価のカプセルを形成する。
【0053】
溶出方法
すべての実施例において、錠剤を含むカプセルを37℃で、試験液として水(900mL)中、40メッシュのバスケット(USPタイプ1)で100rpmにて回転させ、ベンラファキシン塩酸塩の溶出試験を行った。以下の実施例において、該組成物およびその溶出プロファイルは、表で示す。
【0054】
実施例1
組成


溶出プロファイル

【0055】
実施例2
組成


溶出プロファイル

【0056】
実施例3
組成


溶出プロファイル

【0057】
実施例4
組成


溶出プロファイル

さらに、本発明で想定されるような小型錠剤に代えて、本発明の組成物を押し出し、球状にし、乾燥して、球状楕円体を形成する場合、溶出プロファイルはより即時的であり、付随する実施例で示されるとおり、1日1回投与には不適当である。
【0058】
実施例5
組成

ベンラファキシン塩酸塩(171.24g)および微結晶セルロース(85.56g)の均一に混合した混合物をポビドン(13.2g)の水溶液を用いて、全面湿った軟塊になるよう造粒した。形成した塊を押し出し、球状とし、乾燥して、コーティングしていない球状楕円体を製造した。組成物の円筒形の押し出し物は、球状化の間、不均一の球状楕円体を生じる押し出した円筒体の長さが変わりやすく、とても粘着性で壊れやすかった。該押し出し物を球状にするのは困難であった。生じた球状楕円体は、不規則に形成され、集合体の形成を生じる特質の過剰に粘着性であった。集合体を球状楕円体に乾燥後、ふるいによって除去した。該球状楕円体をさらにエチルアルコール中、19.5gのエチルセルロースおよび5.86gのコポリビドンの溶液でウルスター(wurster)型の流動床塗布機でコーティングした。球状楕円体の壊れやすい性質は、コーティングの間、あまりに多くの微粉を生じた。微粉の存在は、コーティングの間、ほとんど集合体の形成をさせなかった。該フィルムコーティングした球状楕円体をふるいにかけ、それらの集合体を除去し、次いで医薬的に許容されるカプセルに充填した。
【0059】
インビトロの薬物溶出研究は、900mlの水中、37℃で100rpmにて、USP I法を用いて、生成した球状楕円体で実施した。薬物放出は、以下の通りであった:

溶出プロファイルは、本発明に請求される組成物の球状楕円体の製造が1日1回投与に不適切な、より即時の薬物放出特性を有することを示唆している。該発明は、それ故、直径3mm以上の小型錠剤にだけ実行可能であり、直径2mm以下の球状楕円体にはできない。
【0060】
生物薬剤学
12人の健康で成人の男性のヒト患者において、米国のWyeth Ayerstラボラトリーズで製造したベンラファキシン塩酸塩(150mg)徐放性カプセル(Effexor XR(登録商標))と比較して、ベンラファキシン(150mg)の徐放性カプセル(実施例1)におけるランダム化した2回の処置の2回の期間の2つの順序の単独投与であり、交差バイオアベイラビリティの研究を絶食条件下で実施した。平均薬物血漿レベルは、図1に示され、薬物動態パラメーターは表1に記録されている。
表1:

【図面の簡単な説明】
【0061】
(原文に記載無し)
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードゼラチンカプセルに充填された小型錠剤の形態のベンラファキシン塩酸塩の徐放製剤であって、該小型錠剤が、コアおよび外側のコーティングを有し、該小型錠剤のコアが、ベンラファキシン塩酸塩、微結晶セルロースおよびポリビニルピロリドンを含み、該コーティングが、非水溶性ポリマーおよび水溶性ポリマーを含む徐放製剤。
【請求項2】
各小型錠剤の40〜80重量%のベンラファキシン塩酸塩、各小型錠剤の25〜45重量%の微結晶セルロース、各小型錠剤の0.5〜10重量%のポリビニルピロリドンを含み、該小型錠剤が、小型錠剤の全重量の2〜15%からなる被膜でコーティングされ、該コーティングが、50〜95%の非水溶性ポリマーおよび3〜50%の水溶性ポリマーを含む、請求項1のベンラファキシン塩酸塩の徐放製剤。
【請求項3】
各小型錠剤の約48〜68重量%のベンラファキシン塩酸塩、各小型錠剤の約26〜38重量%の微結晶セルロースおよび各小型錠剤の約2〜9重量%のポリビニルピロリドンを含み、該小型錠剤が、小型錠剤の全重量の5〜14%からなる被膜でコーティングされ、該コーティングが、65〜95%の非水溶性ポリマーおよび5〜40%の水溶性ポリマーを含む、請求項2のベンラファキシン塩酸塩の徐放製剤。
【請求項4】
各小型錠剤の約57〜62重量%のベンラファキシン塩酸塩、各小型錠剤の約27〜32重量%の微結晶セルロースおよび各小型錠剤の約2.5〜5.5重量%のポリビニルピロリドンを含み、該小型錠剤が、小型錠剤の全重量の6〜12%からなる被膜でコーティングされ、該コーティングが70〜80%の非水溶性ポリマーおよび20〜30%水溶性ポリマーを含む、請求項3のベンラファキシン塩酸塩の徐放製剤。
【請求項5】
使用される非水溶性ポリマーが、エチルセルロースおよびオイドラギットから選択される、請求項1〜4のいずれかのベンラファキシン塩酸塩の徐放製剤。
【請求項6】
使用される非水溶性ポリマーが、エチルセルロースである、請求項5のベンラファキシン塩酸塩の徐放製剤。
【請求項7】
使用される水溶性成分が、コポリビドニウムである、請求項1〜6のいずれかのベンラファキシン塩酸塩の徐放製剤。
【請求項8】
小型錠剤の直径が、3〜6mmである、請求項1〜7のいずれかのベンラファキシン塩酸塩の徐放製剤。
【請求項9】
1日1回投与される、請求項1〜8のいずれかのベンラファキシン塩酸塩の徐放製剤。
【請求項10】
(i)ベンラファキシン塩酸塩および希釈剤を混合し、
(ii)混合した混合物を結合剤の水性または非水性溶液と造粒し、それを乾燥し、
(iii)乾燥させた造粒物を潤滑し、錠剤に圧縮し、
(iv)非水溶性および水溶性成分の水性または非水性の分散剤で錠剤をコーティングし、
(v)工程(iv)で得られたコーティングされた小型錠剤をカプセルに充填
することを含む徐放製剤の製造方法。

【公表番号】特表2007−520547(P2007−520547A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552018(P2006−552018)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【国際出願番号】PCT/IN2004/000340
【国際公開番号】WO2005/074895
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(506267307)アレムビック・リミテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】ALEMBIC LIMITED
【Fターム(参考)】