説明

ベーゴマ玩具

【課題】従来のベーゴマのように巻きつけた紐の巻き戻しで回転させるとともに、ベーゴマ玩具の落とし所の腕前を問われ、単にシュータを使ってコマ玩具を回転させるコマ玩具では味わうことのできないテクニックが必要とされ、奥の深いベーゴマ遊びを楽しむことができるベーゴマ玩具を提供すること。
【解決手段】ベーゴマ玩具1は略逆円錐台状に形成されるとともに底面から回転軸体6が下方に突出し、該回転軸体6の周面には張り出し部13が周設され、上記ベーゴマ玩具1の側面には、上記紐2の巻き始めを係合させるための切欠き32が少なくとも1つ形成し、上記ベーゴマ玩具1の周面には、上記切欠き32から上記回転軸6の張り出し部13にかけて、上記紐2をガイドするガイド溝22を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベーゴマ玩具、詳しくはベーゴマ玩具を回転させるための紐の巻き付けを容易にしたベーゴマ玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コマを回して他のコマとぶつけ合って遊ぶコマ回しが昔から楽しまれており、その中でもベーゴマが子供たちに受け入れられていた。このベーゴマは紐を巻きまわし、巻き回した紐を一気に巻き戻すことにより、ベーゴマに回転を付与させるものであったが、紐に2つの結び目を作り、この2つの結び目に紐を巻きまわすため紐の巻き回しが難しく、年少者には経験が必要になるため簡単にベーゴマを楽しむことができなかったが、誰でも簡単にコマ回しが楽しめるように新しいコマ玩具が本出願人から提案され実用に供されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このコマ玩具は、シュータに差し込んだラック部材を引き操作することによってコマ玩具を回転させるようにしたもので、コマ玩具に紐を巻きつける必要がなく、誰でも簡単にコマ玩具を回転させることができるものであった。
【特許文献1】登録実用新案第3037318号公報(「0024」、図11参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする問題点は、上述のコマ玩具は、コマ玩具を落とす場所の上方にシュータを保持し、ラック部材を引き操作するだけで目的の場所にコマ玩具を落とすことができるが、従来のコマ玩具に紐を巻きつけコマ玩具を目的の場所に放り出すようにして回転させるための技術を必要としないもので、遊戯者の経験や技術が遊びの優劣に反映されない点であった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決し、従来のベーゴマのように巻きつけた紐の巻き戻しで回転させるとともに、ベーゴマ玩具の落とし所の腕前を問われ、単にシュータを使ってコマ玩具を回転させるコマ玩具では味わうことのできないテクニックが必要とされ、奥の深いベーゴマ遊びを楽しむことができるベーゴマ玩具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために本発明に係るベーゴマ玩具は、以下の要件を備えることを特徴とする。
(イ)上記ベーゴマ玩具は、略逆円錐台状に形成されるとともに底面から回転軸が突出して形成され、該回転軸の周面には突縁が周設されていること
(ロ)上記ベーゴマ玩具の側面には、コマ玩具に回転力を付与するために用いる紐の巻きはじめを係合させるための切欠きが少なくとも1つ形成されていること
(ハ)上記ベーゴマ玩具の底部には、上記切欠きから上記回転軸部の側面にかけて、上記紐をガイドするガイド溝が構成されていること
なお、前記ベーゴマ玩具の側面には、前記紐を固定するための固定溝を設けてもよい。
【0007】
また、前記ベーゴマ玩具は、錘部材を含む複数の部材を層状に重ねて構成されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、紐の巻き始めを切欠きに係合させ、この切欠きから回転軸に向けて形成されたガイド溝にそって回転軸まで案内し、回転軸から巻き始めるので、ベーゴマ玩具に紐が巻き付けやすく、本来のベーゴマと同じ遊び方を楽しむことができるベーゴマ玩具を提供することができる。
【0009】
請求項2の発明によれば、ベーゴマ玩具に巻きつけた紐の巻き終わりが固定溝に固定されるので、折角巻きつけた紐が緩んで巻き直すような煩わしさを回避することができるベーゴマ玩具を提供することができる。
【0010】
請求項3の発明によれば、ベーゴマ玩具を錘部材を含む複数の部材を層状に重ねて構成したので、各部材に色や形状などの特性を持たせた場合は、部材の組み合わせでオリジナリティのあるベーゴマ玩具を構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本発明に係るベーゴマ玩具1の平面側斜視図を示し、このベーゴマ玩具1は紐2を巻きつけ、巻きつけた紐2を一気に巻き戻すことによって回転が付与されるように構成されているもので、このベーゴマ玩具1は、図2(a)、(b)の正面図及び側面図に示すように、ベース部材5と、ベース部材5の底面から下方に突出した回転軸部6と、ベース部材5の内部に収容される錘部材7(図3の分解斜視図参照)と、該錘部材7を収容した状態で、ベース部材5の上に配置される天板8とを層状に組み付けたもので、天板8の上にはシール9が貼り付けられている。
【0012】
回転軸部6は逆円錐状の基部10の上面に基部10の径よりもやや小さな径の嵌合筒11が膨出して形成され、中央にはネジ孔12が形成されている。そして、基部10の外周部は玩具ベーゴマ玩具1に巻きつける紐2の巻き始めが回転軸部6から下方にずれないようにするための張り出し部13を構成している。
【0013】
なお、上記紐2の回転軸部6への最初の巻きつけは張り出し部13の上からになるが、回転軸部6を太くしたことにより、巻き距離を短縮(巻き回数の減少)することができ、紐2を巻きやすくした。
【0014】
ベース部材5は、逆円錐台状で上面が開口して擂鉢状に形成され、内部に錘部材7を収容できるようになっている。そして、底面には上記回転軸部6の嵌合筒11を嵌め合わせるる嵌合穴15が形成され、上面16には対向して円弧状の壁17が形成されている。この壁17の高さは紐2の太さよりやや低く形成され、上記天板8を重ねた際、ベース部材5の上面16と天板8の下面とで紐2を挟んで固定する固定溝18を構成するようになっている。
【0015】
なお、壁17の中央部分は上方に少し膨出し、後述する天板8を重ねたとき、天板8とベース部材5との取り付け位置が正しくなるように天板8に形成されている係合凹部31に係合する係合凸部19が形成されている。
【0016】
そして、上面20の壁のない部分には切欠き21が形成され、ベース部材5の周面には紐2を上記切欠き21から回転軸部6に案内するガイド溝22が、この切欠き21に連続して形成されている(図2(a)参照)。
【0017】
また、切欠き21に直交する位置の周面には、巻き回した紐を固定溝17に導くガイド部23が切りかかれて形成されている。
【0018】
錘部材7は、鉛や鉄などの金属で、上記ベース部材5の内側に収容できるように、ほぼ相似して形成され、上面25には円弧状の壁26が突出して形成され、底面には上述の回転軸部6の嵌合筒11に嵌合する嵌合凸部27が下方に膨出し、中央には縦にネジ29を通すための貫通孔28が形成されている。
【0019】
この錘部材7をベース部材5の内側に収容したときには、錘部材7の上面25と、ベース部材5の上面16とが面一なり、錘部材7の壁26の上面と、ベース部材5の壁17の上面とが面一なり、嵌合凸部27が回転軸部6の嵌合筒11に嵌めあわされ、回転軸部6とベース部材5と錘部材7とが一体になるように形成されている。
【0020】
天板8は、円板状に形成され、中央にはネジ29を差し込む孔30が形成され、裏面には上述したベース部材5に形成された係合凸部19に係合する係合凹部31が形成され、この係合凹部31に直交する方向の周縁には紐2を咬みこませる切欠き32が形成されている。この切欠き32は天板8をベース部材5と連結したときにはベース部材5の切欠き21と対応する位置に形成されている。
【0021】
シール9は、アニメやゲームに登場するキャラクターなどの絵柄が印刷されたもので、天板8の孔26を塞ぐとともに、を識別するための機能を備えたものである。
【0022】
上記構成のベーゴマ玩具1は、回転軸部6の嵌合筒11をベース部材5の下側から嵌合孔に嵌め合わせ、錘部材7を嵌合凸部27が11に嵌め合わせるようにしてベース部材5に収容し、ベース部材の上から天板を、ベース部材の19に31が嵌合するように取り付け、ネジ29の先端を天板8の穴30から差し込み、錘部材の貫通孔28を通して回転軸部6のネジ孔12に捻じ込んで締め付けることにより、回転軸部6、ベース部材5、錘部材7、天板8が層状になったベーゴマ玩具1を組み立てることができる。
【0023】
上記構成のベーゴマ玩具1で遊ぶ場合は、先ずベーゴマ玩具1に紐2を巻きつけなければならないが、紐2の始端には結び目で構成されたコブ35が1つ設けられ、他端には指を掛ける指掛け36が取り付けられているので、コブ35が天板8の上に位置するようにして始端を切欠き32に噛み込ませた後、紐2を切欠き32からガイド溝22に沿って回転軸部6の側面まで案内し(図5(a)参照)、図5(b)にしめすように、回転軸部6から巻き始める。この時、回転軸部6には張り出し部13が形成されているので紐2は回転軸部6から外れることなく確実に回転軸部6に巻きつけることができる。回転軸部6に巻きつけた後、図5(c)に示すように、ベース部材5の底面に紐2を巻き回し、底面の外周部まで巻いたらガイド部23からベース部材5の上面に引き出し、図5(d)に示すように、紐2を固定溝18に咬み込ませる。この状態では紐2の始端は切欠き32で固定され、紐2の巻き始めは回転軸体6の張り出し部13で確実に回転軸体6に巻きつけることができ、ベース部材5に巻き回した紐2の巻き終わりは固定溝18でしっかりと固定されるので、一旦ベーゴマ玩具1に巻きつけた紐2は緩むことがない。
【0024】
この状態で、図5(e)(f)に示すように、人差し指、親指、中指でベーゴマ玩具1を掴んで、指掛け36が小指にかかるようにして薬指、小指でしっかり紐2を握り、図示しないゲーム盤上の目的に向かって、従来のベーゴマと同じように振り出せばよい。
【0025】
上述のように、ベーゴマ玩具1に紐2を巻きつける際は、切欠き32、切欠き21、ガイド溝22に沿って回転軸部6から巻き始め、巻き終わりはガイド部23から引き出して固定溝18に固定させれば、簡単に且つ確実に紐をベーゴマ玩具1に巻きつけることができ、しかも巻きつけた紐2はベーゴマ玩具1を回転させる意思がなければ勝手に巻き戻ることがないので、従来のベーゴマのように紐を巻きつける苦労から解消され、ベーゴマゲームに集中することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るベーゴマ玩具の平面側斜視図
【図2】(a)(b)は上記ベーゴマ玩具の正面図及び側面図
【図3】上記ベーゴマ玩具の分解斜視図
【図4】上記ベーゴマ玩具の縦断面図
【図5】(a)〜(f)は上記ベーゴマ玩具に紐を巻きつける状態を説明する斜視図
【符号の説明】
【0027】
1 ベーゴマ玩具
2 紐
5 ベース部材
6 回転軸体
7 錘部材
8 天板
13 張り出し部
17 固定溝
21 切欠き
22 ガイド溝
32 切欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベーゴマ玩具の周面に巻き回した紐の巻き戻しで回転させる、以下の要件を備えることを特徴とするベーゴマ玩具。
(イ)上記ベーゴマ玩具は、略逆円錐台状に形成されるとともに底面から回転軸が突出して形成され、該回転軸の周面には突縁が周設されていること
(ロ)上記ベーゴマ玩具の側面には、コマ玩具に回転力を付与するために用いる紐の巻きはじめを係合させるための切欠きが少なくとも1つ形成されていること
(ハ)上記ベーゴマ玩具の底部には、上記切欠きから上記回転軸部の側面にかけて、上記紐をガイドするガイド溝が構成されていること
【請求項2】
前記ベーゴマ玩具の側面には、前記紐の巻き終わりを固定するための固定溝を設けた、請求項1記載のベーゴマ玩具。
【請求項3】
前記ベーゴマ玩具は、錘部材を含む複数の部材を層状に重ねて構成される、請求項1及び2記載のベーゴマ玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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